JP2009267765A - 車載統合アンテナの製造方法 - Google Patents

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悠嗣 吉田
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Abstract

【課題】ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナからノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造する場合に、より容易に各アンテナ性能の低下を抑えることを可能にする。
【解決手段】電話用メインアンテナエレメント5および電話用サブアンテナエレメントのうちの電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡させることによって、GPS用アンテナエレメント3のアンテナ性能の低下を抑える。
【選択図】図3

Description

本発明は、車載統合アンテナの製造方法に関するものである。
従来から、複数のアンテナエレメントを1つの筐体に収めた車載統合アンテナが知られている。例えば、特許文献1には、よく知られた車載統合アンテナとして、GPS用のアンテナエレメント1つ、VICS用のアンテナエレメント1つ、ETC用のアンテナエレメント1つ、および電話用のダイバーシティ方式のアンテナエレメント2つ、の5つのアンテナエレメントを統合した統合アンテナが開示されている。
この統合アンテナは、低コストで複数の車種に対応させるために、例えば上述した4メディア5エレメントの構成の他に、その4メディア5エレメントの構成から1つの電話用のアンテナエレメントを除くことで電話用のアンテナエレメントをノンダイバーシティ方式にした4メディア4エレメントの構成、電波VICSのアンテナエレメントをその4メディア5エレメントの構成から除いた3メディア4エレメントの構成、ETCのアンテナエレメントをその4メディア5エレメントの構成から除いた3メディア4エレメントの構成など、同じパッケージの製品をもとにして複数の製品構成に対応させる必要がある。
複数のアンテナエレメントを1つの筐体に収めた場合、各々のアンテナ性能は、各々のアンテナエレメントの影響(干渉)を受ける。よって、一般的に統合アンテナでは、各々のアンテナエレメントの相互の影響度合いを考慮し、アンテナエレメントの形状の方式や配置の設計を行う。しかしながら、上述したように、配置済みのアンテナエレメントを除くことによって複数の製品構成に対応させる場合、各々のアンテナエレメントの影響度合いが変化してしまい、製品構成によっては各アンテナ性能が許容値以下になってしまうという問題を有していた。
そこで、この問題を解決する手段として、例えば、特許文献2には、車載統合アンテナから除くアンテナエレメントに代わって、アンテナエレメントを模擬したダミー部材をこの車載統合アンテナに実装する技術が開示されている。
特開2005−354476号公報 特開2006−33698号公報
しかしながら、特許文献2に開示の技術では、ダミー部材が本来のアンテナエレメントと類似しているため、ダミー部材と本来のアンテナエレメントとを取り違えることによる誤組み付けが生じ易く、実装に手間がかかるという問題を有していた。また、各アンテナ性能の低下を抑えるようなダミー部材を設計するのが困難であるため、特許文献2に開示の技術では、各アンテナ性能の低下を抑えるようなダミー部材を設計する手間がかかるという問題点を有していた。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナからノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造する場合に、より容易に各アンテナ性能の低下を抑えることを可能にする車載統合アンテナの製造方法を提供することにある。
請求項1の車載統合アンテナの製造方法は、上記課題を解決するために、ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナからノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造する車載統合アンテナの製造方法であって、前記ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントのうちの1つの電話用アンテナエレメント以外の電話用アンテナエレメントの給電部とGND部とを短絡させることによってノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造することを特徴としている。
ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナから、電話用アンテナエレメントを除外することによってノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造する場合、各々のアンテナエレメントの影響度合いが変化し、除外した電話用アンテナエレメントの給電部に近接する位置に配置されていたアンテナエレメントほど、アンテナ性能の低下が顕著となる。
これに対して、本発明者は、電話用アンテナエレメントを除外する代わりに、電話用アンテナエレメントの給電部とGND部とを短絡させた場合に、この給電部のインピーダンスの影響によって、上述のアンテナ性能の低下を抑えることができることを見出した。
よって、ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナからノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造する場合に、ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントのうちの1つの電話用アンテナエレメント以外の電話用アンテナエレメントの給電部とGND部とを短絡させることによって、より容易に各アンテナ性能の低下を抑えることが可能になる。
また、請求項2の車載統合アンテナの製造方法では、前記ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントは、前記車載統合アンテナの地板と一体成形されていることを特徴としている。
ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナからノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造する場合に、このような請求項2の構成では、車載統合アンテナの地板と一体成形されている電話用アンテナエレメントを取り除く方法を用いると、地板から電話用アンテナエレメントを取り除くための手間が大きい。
しかしながら、前述の請求項1の構成を用いれば、地板から電話用アンテナエレメントを取り除く代わりに、電話用アンテナエレメントの給電部とGND部とを短絡させることによって、ノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを、各アンテナ性能の低下を抑えながら製造することができる。従って、ノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを、各アンテナ性能の低下を抑えながら、より容易に製造することができる。
また、請求項3の車載統合アンテナの製造方法では、前記短絡は、前記給電部と前記GND部とを金属で橋渡しし、前記給電部と前記GND部とをそれぞれこの金属と半田付けすることによって行わせることを特徴としている。
さらに、請求項4の車載統合アンテナの製造方法では、前記短絡は、金属製のクリップによって前記給電部と前記GND部とをともに挟み込むことによって行わせることを特徴としている。
請求項3および4のようにしても、ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナからノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造する場合に、より容易に各アンテナ性能の低下を抑えることが可能になる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明を行う。図1は、車両に搭載される統合アンテナ(以下、車載統合アンテナ1とする)の全体構成を概略的に示す図である。また、図2は、車載統合アンテナ1のうちの電話用メインアンテナエレメント5の構成を概略的に示す要部拡大図である。車載統合アンテナ1は、ETC用アンテナエレメント2、GPS用アンテナエレメント3、VICS用アンテナエレメント4、電話用メインアンテナエレメント5、および電話用サブアンテナエレメント6が実装されて構成されている。なお、車載統合アンテナ1は、電話用メインアンテナエレメント5と電話用サブアンテナエレメント6との2系統の電話用アンテナエレメントを備える(つまり、ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える)4メディア5エレメントの車載統合アンテナである。
ETC用アンテナエレメント2は、略矩形状に成形されている電極21が、略直方体形状に成形されている誘電体22上に搭載されるとともに、その誘電体22がETC用アンテナエレメントの地板(以下、ETC用アンテナ地板23)上に搭載されて構成されている。そして、ETC用アンテナ地板23の裏面側にはETC用回路基板(図示せず)が配設されている。また、ETC用アンテナエレメント2は、同軸ケーブル24を介してETC用接続コネクタ(図示せず)に接続されており、ETC用接続コネクタがETC用無線機(図示せず)に接続されることによって、ETC用無線機との間で電波信号を送受信可能な構成になっている。なお、このETC用アンテナエレメント2は、ETCシステムでの電波の到来方向が天頂方向から約23度傾いた方向であることから、電極21のアンテナ面が水平方向から約23度傾いた方向となるように実装されている。
GPS用アンテナエレメント3は、略矩形状に成形されている電極31が、略直方体形状に成形されている誘電体32上に搭載されているとともに、その誘電体32がGPS/VICS用回路基板33上に実装されて構成されている。また、GPS用アンテナエレメント3は、同軸ケーブル35を介してGPS/VICS用接続コネクタ(図示せず)に接続されており、GPS/VICS用接続コネクタがGPS/VICS用無線機(図示せず)に接続されることにより、GPS/VICS用無線機との間で電波信号を送受信可能になっている。また、GPS用アンテナエレメント3は、GPS衛星から送信された円偏波のGPS電波を受信可能となるように実装されている。
VICS用アンテナエレメント4は、略矩形状に成形されている電極41が、略直方体形状に成形されている誘電体42上に搭載されているとともに、その誘電体42がGPS/VICS用回路基板33上に実装されて構成されている。また、VICS用アンテナエレメント4は、同軸ケーブル35を介してGPS/VICS用接続コネクタに接続されており、GPS/VICS用接続コネクタがGPS/VICS用無線機に接続されることにより、GPS/VICS用無線機との間で電波信号を送受信可能になっている。また、VICS用アンテナエレメント4は、VICS送信機から送信された垂直・水平偏波のVICS電波を受信可能となるように実装されている。
なお、ETC用アンテナエレメント2の誘電体22、GPS用アンテナエレメント3の誘電体32、およびVICS用アンテナエレメント4の誘電体42は、各々に搭載される電極21、31、41を機械的に保持するとともに波長短縮の効果を奏するものであって、高周波損失の小さい例えばPPS(ポリフェニレンスルフィド)を母材とする樹脂やセラミックを材料として構成されている。
電話用メインアンテナエレメント5は、電話用のメインアンテナエレメントとして機能するもので、伝送線路部材である線状の導電性部材51が変形折り返し型の所定形状に成形されて構成されている。電話用メインアンテナエレメント5は、その導電性部材51の一端部(以下、給電端部51a)が、同軸ケーブル52に接続されて給電されるとともに、その導電性部材51の他端部(以下、接地端部51b)が、車載統合アンテナ1の地板(以下、統合アンテナ地板7)に接地されている。また、電話用メインアンテナエレメント5は、同軸ケーブル52を介して電話用接続コネクタ(図示せず)に接続されており、電話用接続コネクタが電話用無線機(図示せず)に接続されることにより、電話用無線機との間で電波信号を送受信可能になっている。
一方、電話用サブアンテナエレメント6は、電話用のサブアンテナエレメントとして機能するもので、上述した電話用メインアンテナエレメント5と同様にして、伝送線路部材である線状の導電性部材61が変形折り返し型の所定形状に成形されて構成されている。この電話用サブアンテナエレメント6も、上述した電話用メインアンテナエレメント5と同様に、その導電性部材61の一端部(図示せず)が、同軸ケーブル62に接続されて給電されるとともに、その導電性部材61の他端部(図示せず)が、統合アンテナ地板7に接地されている。また、電話用サブアンテナエレメント6は、同軸ケーブル62を介して電話用接続コネクタに接続されており、電話用接続コネクタが電話用無線機に接続されることにより、電話用無線機との間で電波信号を送受信可能になっている。よって、導電性部材51の給電端部51aは、請求項の給電部として機能する。また、導電性部材51の接地端部51bは、請求項のGND部として機能する。
ETC用アンテナエレメント2、GPS用アンテナエレメント3、およびVICS用アンテナエレメント4は、統合アンテナ地板7上のほぼ中央に搭載されている樹脂材料からなる台座(図示せず)に機械的に保持されて固定されている。なお、ETC用アンテナエレメント2は、ETC用アンテナ地板23が台座に固定されており、GPS用アンテナエレメント3およびVICS用アンテナエレメント4は、GPS/VICS用回路基板33が台座に固定されている。また、統合アンテナ地板7と台座とは、ネジによってネジ止めされて互いに固定されている。
電話用メインアンテナエレメント5および電話用サブアンテナエレメント6は、統合アンテナ地板7の互いに対向する一対の縁部に統合アンテナ地板7と一体成形(例えばプレス成形)されることによって固定されている。つまり、ETC用アンテナエレメント2、GPS用アンテナエレメント3、およびVICS用アンテナエレメント4は、電話用メインアンテナエレメント5と電話用サブアンテナエレメント6との間に挟まれて配置される。なお、ETC用アンテナエレメント2、GPS用アンテナエレメント3、およびVICS用アンテナエレメント4のうち、GPS用アンテナエレメント3が、電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aに最も近接した位置に配置される。また、統合アンテナ地板7は、縦横約90mmの金属製の地板であって、電話用メインアンテナエレメント5、および電話用サブアンテナエレメント6のGNDとして機能する。
次に、図3を用いて、ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナ1からノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造する製造方法の説明を行う。図3は、電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡させる方法の一例を示す図である。なお、本実施形態では、電話用メインアンテナエレメント5および電話用サブアンテナエレメント6のうち、電話用メインアンテナエレメント5を未使用にさせることによって、ノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える(つまり、1系統の電話用アンテナエレメントしか備えない)4メディア4エレメントの車載統合アンテナを製造する場合を例に挙げて説明を行う。
電話用メインアンテナエレメント5を未使用にさせる方法としては、図3に示すように、電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを金属片101によって短絡させることによって行う。詳しくは、給電端部51aと接地端部51bとを金属片101で橋渡しした後に、給電端部51aと接地端部51bとをそれぞれ金属片101と半田付けすることによってこの短絡を行わせる。なお、給電端部51aと接地端部51bとを金属片101で橋渡しした後に、給電端部51aと接地端部51bとをそれぞれ金属片101と半田付けすることによって、給電端部51aと接地端部51bとを短絡させる構成の場合、統合アンテナ地板7の材質(つまり、電話用メインアンテナエレメント5および電話用サブアンテナエレメント6の材質)は、上述の半田付けを考慮して錫メッキ鋼板とする構成が好ましい。
また、本実施形態では、給電端部51aと接地端部51bとを短絡させる方法として、給電端部51aと接地端部51bとを金属片101で橋渡しした後に、給電端部51aと接地端部51bとをそれぞれ金属片101と半田付けする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図4に示すように、金属製のクリップ102によって給電端部51aと接地端部51bとをともに挟み込むことによって、給電端部51aと接地端部51bとを短絡させる構成であってもよい。この場合、金属製のクリップ102は、挟み込むだけの構造なので、ワンタッチで取り付けることができ、金属片101で橋渡しして半田付けする構成と比べても、より手軽に給電端部51aと接地端部51bとを短絡させることが可能になる。また、金属線を給電端部51aと接地端部51bとに渡して巻き付けることによって、給電端部51aと接地端部51bとを短絡させる構成であってもよい。
ここで、本発明における作用効果について、具体的に図5を用いて説明を行う。図5は、GPS用アンテナエレメント3の代表性能である指向性利得を示す図である。なお、図5中のAの実線は、4メディア5エレメントの車載統合アンテナ1におけるGPS用アンテナエレメント3の指向性利得を示している。また、図5中のBの実線は、車載統合アンテナ1から電話用メインアンテナエレメント5を取り除くことによって製造された4メディア4エレメントの車載統合アンテナにおけるGPS用アンテナエレメント3の指向性利得を示している。そして、図5中のCの破線は、車載統合アンテナ1の電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡させることによって製造された4メディア4エレメントの車載統合アンテナにおけるGPS用アンテナエレメント3の指向性利得を示している。また、図5中のDの実線は、GPS用アンテナエレメント3の指向性利得の規格中心を示している。さらに、図5中のEの実線は、GPS用アンテナエレメント3の指向性利得の規格下限を示している。また、GPS用アンテナエレメント3の指向性利得の評価は、一般的な評価方法と同様に、天頂方向(図5中の「0」方向)およびGPS用アンテナエレメント3の実装位置に対して低い仰角方向(図5中の「80」方向および「−80」方向)の3つの方向(以下、評価方向と呼ぶ)について行う。なお、指向性利得の単位は[dB]である。
まず、ETC用アンテナエレメント2、GPS用アンテナエレメント3、VICS用アンテナエレメント4、電話用メインアンテナエレメント5、および電話用サブアンテナエレメント6のアンテナ特性についての説明を行う。これら個々のアンテナエレメント2〜6は、車載統合アンテナ1の全体の形状を小型化するために互いに接近された状態で(密集された状態で)配置されていることから、そのアンテナ特性が他のアンテナエレメントの影響を受けるという事情がある。そのため、個々のアンテナエレメント2〜6は、自身を除いたアンテナエレメントの位置や形状が考慮された状態で所望のアンテナ特性が得られるように調整されている。具体的に説明すると、例えばGPS用アンテナエレメント3は、ETC用アンテナエレメント2、VICS用アンテナエレメント4、電話用メインアンテナエレメント5、および電話用サブアンテナエレメント6の位置や形状が考慮された状態で所望のアンテナ特性が得られるように調整されている。
ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナから、電話用アンテナエレメントを除くことによってノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造する場合、各々のアンテナエレメントの影響度合いが変化し、除外した電話用アンテナエレメントの給電部に近接する位置に配置されていたアンテナエレメントほど、アンテナ性能の低下が顕著となる。従って、ここでは、電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aに最も近接した位置に配置されているアンテナエレメントであるGPS用アンテナエレメント3の代表性能である指向性利得の評価結果を示すことによって、本発明における作用効果の説明を行う。なお、車載統合アンテナ1から電話用メインアンテナエレメント5を取り除くことによって製造された4メディア4エレメントの車載統合アンテナにおけるETC用アンテナエレメント2、VICS用アンテナエレメント4、および電話用サブアンテナエレメント6については、実際の測定の結果、アンテナ性能の低下はあまり見られなかった。
4メディア5エレメントの車載統合アンテナ1におけるGPS用アンテナエレメント3の指向性利得(図5中の実線A)は、図5から明らかなように、3つの評価方向について、GPS用アンテナエレメント3の指向性利得の規格下限および規格中心をともに上回っている。これに対して、車載統合アンテナ1から電話用メインアンテナエレメント5を取り除くことによって製造された4メディア4エレメントの車載統合アンテナにおけるGPS用アンテナエレメント3の指向性利得(図5中の実線B)は、図5から明らかなように、3つの評価方向のうちの、図5中の「−80」方向について、GPS用アンテナエレメント3の指向性利得の規格下限および規格中心をともに下回っている。一方、車載統合アンテナ1の電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡させることによって製造された4メディア4エレメントの車載統合アンテナにおけるGPS用アンテナエレメント3の指向性利得(図5中の破線C)は、図5から明らかなように、3つの評価方向について、GPS用アンテナエレメント3の指向性利得の規格下限および規格中心をともに上回っている。詳しくは、車載統合アンテナ1から単に電話用メインアンテナエレメント5を取り除く構成では、電話用メインアンテナエレメント5が正常に実装されている構成よりもGPS用アンテナエレメント3の指向性利得が低下することになるが、電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡させることによって電話用メインアンテナエレメント5を未使用とする構成では、給電端部51aのインピーダンスの影響によってGPS用アンテナエレメント3の指向性利得の低下を抑えることができ、電話用メインアンテナエレメント5が正常に実装されている構成と略同等のGPS用アンテナエレメント3の指向性利得を実現することができる。
以上に説明したように、本実施形態の構成によれば、ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナ1からノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える4メディア4エレメントの車載統合アンテナを製造する場合に、電話用メインアンテナエレメント5および電話用サブアンテナエレメントのうちの電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡させることによってノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える4メディア4エレメントの車載統合アンテナの製造を行えば、GPS用アンテナエレメント3のアンテナ性能の低下を抑えることができる。
また、ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナ1からノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える4メディア4エレメントの車載統合アンテナを製造する場合に、統合アンテナ地板7と一体成形されている電話用メインアンテナエレメント5を取り除く方法を用いると、統合アンテナ地板7から電話用メインアンテナエレメント5を取り除くための手間が大きい。しかしながら、本発明の構成によれば、統合アンテナ地板7から電話用メインアンテナエレメント5を取り除く代わりに、電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡することによって、ノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える4メディア4エレメントの車載統合アンテナを、各アンテナ性能の低下を抑えながら製造することができる。従って、ノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える4メディア4エレメントの車載統合アンテナを、各アンテナ性能の低下を抑えながら、より容易に製造することができる。
なお、本実施形態では、電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aに最も近接するアンテナエレメントがGPS用アンテナエレメント3であった場合に、GPS用アンテナエレメント3のアンテナ性能の低下を抑える例を挙げて説明をしたが、必ずしもこれに限らない。例えば、電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aに最も近接するアンテナエレメントがGPS用アンテナエレメント3以外のアンテナエレメントであった場合には、本発明によってそのアンテナエレメントのアンテナ性能の低下を抑えることになる。
また、本実施形態では、ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナ1からノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える4メディア4エレメントの車載統合アンテナを製造する場合に、電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡させ、電話用メインアンテナエレメント5を未使用とする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡させ、電話用メインアンテナエレメント5を未使用とする構成の代わりに、電話用サブアンテナエレメント6の給電端部と接地端部とを短絡させ、電話用サブアンテナエレメント6を未使用とする構成であってもよい。
さらに、本実施形態では、車載統合アンテナ1が、電話用メインアンテナエレメント5と電話用サブアンテナエレメント6との2系統の電話用アンテナエレメントを備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、車載統合アンテナ1が2系統よりも多い複数系統の電話用アンテナエレメントを備える構成であってもよい。この構成とした場合、ノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造するためには、複数系統の電話用アンテナエレメントのうちの1つの電話用アンテナエレメント以外の電話用アンテナエレメントの給電端部と接地端部とを短絡させる構成とすればよい。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
車載統合アンテナ1の全体構成を概略的に示す図である。 車載統合アンテナ1のうちの電話用メインアンテナエレメント5の構成を概略的に示す要部拡大図である。 電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡させる方法の一例を示す図である。 電話用メインアンテナエレメント5の給電端部51aと接地端部51bとを短絡させる方法の一例を示す図である。 GPS用アンテナエレメント3の指向性利得を示す図である。
符号の説明
1 車載統合アンテナ、2 ETC用アンテナエレメント、3 GPS用アンテナエレメント、4 VICS用アンテナエレメント、5 電話用メインアンテナエレメント、6 電話用サブアンテナエレメント、7 統合アンテナ地板(車載統合アンテナの地板)、51 導電性部材、51a 給電端部(給電部)、51b 接地端部(GND部)、101 金属片(金属)、102 クリップ

Claims (4)

  1. ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナからノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造する車載統合アンテナの製造方法であって、
    前記ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントのうちの1つの電話用アンテナエレメント以外の電話用アンテナエレメントの給電部とGND部とを短絡させることによってノンダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントを備える車載統合アンテナを製造することを特徴とする車載統合アンテナの製造方法。
  2. 前記ダイバーシティ方式の電話用アンテナエレメントは、前記車載統合アンテナの地板と一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の車載統合アンテナの製造方法。
  3. 前記短絡は、前記給電部と前記GND部とを金属で橋渡しし、前記給電部と前記GND部とをそれぞれこの金属と半田付けすることによって行わせることを特徴とする請求項1または2に記載の車載統合アンテナの製造方法。
  4. 前記短絡は、金属製のクリップによって前記給電部と前記GND部とをともに挟み込むことによって行わせることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載統合アンテナの製造方法。
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