JP2009266805A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製造効率を低下させることなく、絶縁性の隔壁で画成された複数の画素領域へ凸版印刷法により有機発光インキを塗布する際の印刷ずれを防止し、画素領域に形成される有機発光層に混色が生じることのない有機EL素子の製造方法、該製造方法を用いて得られた有機EL素子、および前記有機EL素子を含む表示装置を提供する。
【解決手段】陰極と、陽極と、前記陰極および陽極の間に位置する有機発光層とを有する有機EL素子の製造方法であって、互いに略平行に相対して配置された複数本の隔壁と、陽極とが設けられた基板を用意し、前記隔壁間の凹部に対応して略平行に相対して配設された複数本の凸部を備える凸版印刷版を用いて、有機発光材料と溶媒とを含む有機発光インキを前記隔壁の長手方向に沿って前記凹部に連続的に供給することにより前記有機発光層を形成する有機発光層形成工程を含むことを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と記す場合もある)の製造方法、該製造方法を用いて得られた有機EL素子、および前記有機EL素子を含む表示装置に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、絶縁性の隔壁で画成された複数の画素領域へ凸版印刷法により有機発光インキを塗布する際の印刷ずれを防止し、画素領域に形成される有機発光層に混色が生じることのない有機EL素子の製造方法、該製造方法を用いて得られた有機EL素子、および前記有機EL素子を含む表示装置に関するものである。
周知のように、有機EL素子は、基本的な構造として、第1の電極(陽極および陰極のうちの一方の電極)および第2の電極(陽極および陰極のうちの他方の電極)と、これらの電極間に設けられる有機発光層とを有している。かかる構造において、前記有機発光層を挟んで相対向する電極間に電流を流すことにより前記有機発光層が発光する。
通常、有機EL素子を用いた表示装置では、それぞれ1つの画素として機能する多数の有機EL素子がマトリクス状に配置された表示パネルが用いられる。かかる表示パネルでは、多数の画素を確保するために、前記第1の電極が微細なストライプ状のパターンに形成され、このパターン化された第1の電極上に多数の画素領域を形成するために格子状の隔壁が形成される。この隔壁は、前記第1の電極パターン上にフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜をフォトリソグラフィー技術を用いてパターン化することにより形成される。隔壁により囲まれた領域には、第1の電極が露出しており、この領域が画素領域となる。すなわち画素領域は、行方向および列方向にそれぞれ所定の間隔で、マトリクス状に配置される。
従来の技術では、画素領域の配置に対応させてマトリクス状に配置された複数の凸部を備える凸版印刷版を用いて、有機発光材料と溶媒とを含む有機発光インキを各隔壁内に供給して、有機発光層を形成している(例えば特許文献1参照)。
特開2006−286243号公報
特許文献1に記載のように、各種インキを各画素領域に凸版印刷法を用いて付着させる方法は、有機EL素子を効率的に製造するに適した方法であるが、本発明者らの検討によれば、以下のような解決すべき問題点があることが判明した。
隔壁により画成された画素領域に凸版印刷版を用いて印刷する場合に、凸版印刷版に設けられる複数の凸部と、複数の画素領域とをそれぞれ正確に位置合わせする必要があり、位置ずれ許容度が小さく、凸版印刷版の版胴方向、周方向の位置精度、基板の送り方向の角度精度が厳しくなり、効率的な製造が困難となっていた。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたもので、その課題は、製造効率を低下させることなく、絶縁性の隔壁で画成された複数の画素領域へ凸版印刷法により有機発光インキを塗布する際の印刷ずれを防止し、画素領域に形成される有機発光層に混色が生じることのない有機EL素子の製造方法、該製造方法を用いて得られた有機EL素子、および前記有機EL素子を含む表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、陰極と、陽極と、前記陰極および陽極の間に位置する有機発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、互いに略平行に相対して配置される複数本の隔壁と、前記陽極とが設けられた基板を用意し、前記隔壁間の凹部に対応して略平行に相対して配設された複数本の凸部を備える凸版印刷版を用いて、有機発光材料と溶媒とを含む有機発光インキを前記隔壁の長手方向に沿って前記凹部に連続的に供給することにより前記有機発光層を形成する有機発光層形成工程を含むことを特徴とする。
上記構成において、前記基板には、隔壁間において、画素の形成される複数の画素領域が隔壁に沿って設定され、隣接する画素領域の間に、基板からの高さが前記隔壁よりも低い電気絶縁層が配置されることが、好ましい。
上記構成において、前記凸版印刷版が、円筒状または円柱状であり、前記複数本の凸部の長手方向が周方向と重なるように、該複数本の凸部を配列することが、好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を用いて得られたものであることを特徴とする。また、本発明の表示装置は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子を含むことを特徴とする。
本発明にかかる有機EL素子の製造方法は、隔壁の長手方向(以下、「隔壁の長手方向」を「隔壁の伸びる向き」という場合がある。)に沿って、前記有機発光インキを連続的に供給(塗布)して、有機発光層を形成するので、隔壁の伸びる向き方向の位置合わせ精度を緩和することができ、精度の高い印刷を維持しつつ製造効率を向上することができる。
したがって、本発明によれば、製造効率を低下させることなく、凸版印刷法により有機発光インキを塗布する際の印刷ずれを防止して、有機EL素子を作製することができ、画素領域に形成される有機発光層に混色が生じることのない有機EL素子および該有機EL素子を有する表示装置を効率的に製造することができる。
図1は、隔壁の形成された基板の平面図である。 図2は、図1の切断面線II−IIから見た基板の断面構成図である。 図3は、本発明に用いる凸版印刷版の構造および該凸版印刷版を用いた有機発光層の印刷時の基板との位置関係を示した斜視図である。
以下に、本発明方法が対象とする有機EL素子の構造について説明し、その後、本発明にかかる有機EL素子の製造方法について、さらに詳しく説明する。なお、以下の説明において示す図面における各部材の縮尺は実際と異なる場合がある。また、有機EL素子には電極のリード線などの部材も存在するが、本発明の説明として直接的に関係はないために記載および図示を省略している。また、以下の説明において、基板の厚み方向の一方を「上方」または「上」といい、基板の厚み方向の他方を「下方」または「下」という場合がある。この上下関係は説明の便宜上設定したもので、必ずしも実際に有機EL素子が製造される工程および使用される状況に適用されるものではない。
(基板)
有機EL素子に用いる基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板、これらを積層したものなどが用いられる。さらに、プラスチック、高分子フィルムなどに低透水化処理を施したものを用いることもできる。前記基板としては、市販のものが使用可能であり、または公知の方法により製造することもできる。
(電極および有機発光層)
有機EL素子の基本的構造としては、少なくとも陽極と、陰極と、前記陽極および陰極の間に位置する有機発光層(以下、「有機発光層」を単に「発光層」という場合がある。)とが積層されて構成される。また少なくとも陽極および陰極のうちのいずれか一方が光透過性を有する透明電極から成る。前記発光層には低分子および/または高分子の有機発光材料が用いられる。なお本明細書において「透明」とは、光透過性を示す性質をあらわし、所定の部材に入射する光の全部または一部が透過することを意味する。
有機EL素子において、陽極および陰極の間には、複数の発光層が設けられてもよく、また発光層以外の層が設けられてもよい。以下、陰極と発光層との間に設ける層を陰極側インターレイヤーといい、陽極と発光層との間に設ける層を陽極側インターレイヤーという場合がある。
陽極と発光層との間に設ける陽極側インターレイヤーとしては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層等が挙げられる。
上記正孔注入層は、陰極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層であり、上記正孔輸送層とは、正孔注入層または陽極により近い層(正孔輸送層)からの正孔注入を改善する機能を有する層である。また、正孔注入層または正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層を電子ブロック層と称することがある。電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
上記電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層であり、上記電子輸送層は、電子注入層または陰極により近い層(電子輸送層)からの電子注入を改善する機能を有する層である。また、電子注入層もしくは電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層を正孔ブロック層と称することがある。正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、ホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
上記のような陽極と陰極との間に設けられる各層の積層構成としては、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた構成、陰極と発光層との間に電子輸送層を設けた構成、陰極と発光層との間に電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた構成等が挙げられる。例えば、具体的には以下のa)〜d)の積層構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同様。)
上記構成において、先述のように、発光層とは発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ場合もある。発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と呼ばれることがある。
さらに、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記電荷注入層または膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。積層する層の順番や数および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜に設定することができる。
また、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた有機EL素子としては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた有機EL素子、陽極に隣接して電荷注入層を設けた有機EL素子が挙げられる。例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
(陽極)
上記陽極には、たとえば透明電極として、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜を用いることができ、透過率が高いものが好適に利用でき、用いる有機層により適宜、選択して用いる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅等の薄膜が用いられ、これらのなかでも、ITO、IZO、酸化スズが好ましい。
また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。また、前記有機の透明導電膜に用いられる材料、金属酸化物、金属硫化物、金属、およびカーボンナノチューブなどの炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも一種類以上を含む混合物からなる薄膜を、陽極に用いても良い。
さらに、該陽極に、光を反射させる材料を用いても良く、かかる材料としては、仕事関数が3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができ、例えば5nm〜10μmであり、好ましくは10nm〜1μmであり、さらに好ましくは20nm〜500nmである。
(陽極側インターレイヤー)
上述のように、前記陽極と発光層との間に、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層などの陽極側インターレイヤーが積層される。
(正孔注入層)
正孔注入層は、上述のように、陽極と正孔輸送層との間、または陽極と発光層との間に設けることができる。正孔注入層を形成する材料としては、公知の材料を適宜用いることができ、特に制限はない。例えば、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
また、このような正孔注入層の厚みとしては、5〜300nm程度であることが好ましい。この厚みが5nm未満では、製造が困難になる傾向があり、他方、300nmを超えると、駆動電圧、および正孔注入層に印加される電圧が大きくなる傾向となる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層を構成する材料としては、特に制限はないが、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル(TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)等の芳香族アミン誘導体、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリアリールアミンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
これらの中でも、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリアリールアミンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の厚みは、特に制限されないが、目的とする設計に応じて適宜変更することができ、1〜1000nm程度であることが好ましい。この厚みが前記下限値未満となると、製造が困難になる、または正孔輸送の効果が十分に得られないなどの傾向があり、他方、前記上限値を超えると、駆動電圧および正孔輸送層に印加される電圧が大きくなる傾向がある。したがって正孔輸送層の厚みは、上述のように、好ましくは、1〜1000nmであるが、より好ましくは、2nm〜500nmであり、さらに好ましくは、5nm〜200nmである。
(有機発光層)
有機発光層は、通常、主として蛍光または燐光を発光する有機物(低分子化合物および高分子化合物)を含む。なお、さらにドーパント材料を含んでいてもよい。本発明において用いることができる有機発光層を形成する材料としては、例えば、以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、およびドーパント材料などが挙げられる。
上記色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどが挙げられる。
上記金属錯体系材料としては、例えば、イリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体など、中心金属に、Al、Zn、Be、Ir、PtなどまたはTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体などを挙げることができる。
上記高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
上記有機発光層形成材料のうち青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、上記有機発光層形成材料のうち緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、上記発光層形成材料のうち赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
上記有機発光層中に発光効率の向上や発光波長を変化させるなどの目的で、ドーパントを添加することができる。このようなドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。
なお、かかる有機発光層の厚さは、通常、2nm〜200nmである。
(陰極側インターレイヤー)
上述のように、前記発光層と後述の陰極との間に、必要に応じて、電子注入層、電子輸送層などの陰極側インターレイヤーが積層される。
(電子輸送層)
電子輸送層を形成する材料としては、公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
(電子注入層)
電子注入層は、先に述べたように、電子輸送層と陰極との間、または発光層と陰極との間に設けられる。電子注入層としては、発光層の種類に応じて、アルカリ金属やアルカリ土類金属、あるいは前記金属を一種類以上含む合金、あるいは前記金属の酸化物、ハロゲン化物および炭酸化物、あるいは前記物質の混合物などが挙げられる。
前記アルカリ金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウム等が挙げられる。
前記アルカリ土類金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
さらに、金属、金属酸化物、金属塩をドーピングした有機金属化合物、および有機金属錯体化合物、またはこれらの混合物も、電子注入層の材料として用いることができる。
この電子注入層は、2層以上を積層した積層構造を有していても良い。具体的には、Li/Caなどが挙げられる。この電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。
この電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
(陰極)
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易な材料および/または電気伝導度が高い材料および/または可視光反射率の高い材料が好ましい。かかる陰極材料としては、具体的には、金属、金属酸化物、合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物、酸化亜鉛(ZnO)等の無機半導体などを挙げることができる。
上記金属としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属や周期表13族金属等を用いることができる。これら金属の具体的例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等を挙げることができる。
また、合金としては、上記金属の少なくとも一種を含む合金を挙げることができ、具体的には、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等を挙げることができる。
陰極は、必要に応じて透明電極とされるが、それらの材料としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、IZOなどの導電性酸化物;ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの導電性有機物を挙げることができる。
なお、陰極を2層以上の積層構造としてもよい。また、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば、10nm〜10μmであり、好ましくは、20nm〜1μmであり、さらに好ましくは、50nm〜500nmである。
(上部封止膜)
上述のように陰極が形成された後、基本構造として陽極−発光層−陰極を有してなる発光機能部を保護するために、該発光機能部を封止する上部封止膜が形成される。この上部封止膜は、通常、少なくとも一つの無機層と少なくとも一つの有機層を有する。積層数は、必要に応じて決定され、基本的には、無機層と有機層は交互に積層される。
なお、基板および上部封止膜により発光機能部が被包されていても、プラスチック基板はガラス基板に比べて、ガスおよび液体の透過性が高く、また有機発光層などの発光物質は酸化されやすく、水と接触することにより劣化しやすいため、前記基板としてプラスチック基板が用いられる場合は、プラスチック基板上にガスおよび液体に対するバリア性の高い下部封止膜を積層し、その後、この下部封止膜の上に上記発光機能部を積層する。この下部封止膜は、通常、上記上部封止膜と同様の構成、同様の材料にて形成される。
[有機EL素子の製造方法]
以下、本発明の実施形態の有機EL素子の製造方法について、さらに詳しく説明する。
(陽極形成工程)
前述のいずれかの基板材料からなる基板を準備する。ガスおよび液体の透過性が高いプラスチック基板を用いる場合は、必要に応じて、基板上に下部封止膜を形成しておく。
次に、準備した基板上に前述のいずれかの陽極材料を用いて、陽極をパターン形成する。陽極は、例えば基板上において複数本形成され、基板の厚み方向から見て例えば縦縞状(または横縞状)に、互いに略平行に相対してパターン形成される。以下、縦縞状(または横縞状)に、互いに略平行に相対して複数本の部材が配置されるパターンを「ストライプ状」という場合がある。なお陽極のパターンはストライプ状に限らず、例えば画素ごとに電気的に独立して陽極を設けてもよく、例えばマトリクス状に離散的に陽極を設けてもよい。この陽極を透明電極とする場合には、前述のように、ITO、IZO、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、亜鉛アルミニウム複合酸化物等の透明電極材料を使用する。電極のパターン形成は、例えば、ITOを用いる場合、スパッタリング法により基板上に均一な堆積膜として形成され、続いて、フォトリソグラフィーによりライン状にパターニングされる。
(隔壁形成工程)
図1は、隔壁の形成された基板の平面図であり、図2は、図1の切断面線II−IIから見た基板の断面図である。まず、基板1上に陽極2を形成し、該電極上に、ストライプ状に配置される複数本の隔壁13aを形成する。陽極2は、前述したように複数本が、隔壁13aの長手方向(以下、「隔壁の長手方向」を「隔壁13aの伸びる方向」という場合がある。)にその長手方向を一致させてストライプ状に配置されていてもよく、本実施の形態では、ストライプ状に複数の陽極2が配置され、基板1の厚み方向の一方から見て、陽極2間の間隙に重なるように隔壁13aが配置される。また隔壁13a間において、画素の形成される複数の画素領域14が隔壁13aに沿って設定されてもよい。
なお隔壁13aの長手方向に隣接する画素領域14の間に、基板1からの高さが前記隔壁13aよりも低い電気絶縁層13bを設けてもよい。本実施の形態では、陽極2が形成された基板1上において、電気絶縁層13bが格子状に設けられ、具体的には基板の厚み方向の一方から見て隔壁13aの長手方向に隣接する画素領域14間に延伸する横縞と、陽極間に延伸する縦縞とにより構成される格子状の電気絶縁層13bが設けられる。
この電気絶縁層13bは、通常、後述のように、プラズマCVD法やスパッタ法等の公知の方法によりSiO、SiN等の無機絶縁材料からなる0.1〜0.2μm厚の絶縁膜を形成し、次いでフォトグラフィーとエッチングを実施することにより形成される。あるいは、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、ポリイミド樹脂系のポジ型またはネガ型の感光性材料(フォトレジスト組成物)などの有機材料を用いて絶縁膜を形成し、この絶縁膜にフォトグラフィーとエッチングを実施することにより、電気絶縁層13bを形成してもよい。
上記のパターニングによって前記絶縁膜が除去された領域が画素領域14に相当する領域であり、除去されずに残った膜が電気絶縁層13bとなる。隔壁13aは、電気絶縁層13b上に設けられる。なお、電気絶縁層13bを設けない場合には、隔壁13a間において陽極2がストライプ状に露出することになるが、このストライプ状の領域が画素領域14となる。
なお電気絶縁層13bを有機材料より形成する場合、有機物からなる部材の表面を選択的に撥インキ化処理する工程を行うことにより、隔壁13aと同時に電気絶縁層13bも撥インキ性にすることができるという利点がある。例えばCF4プラズマ処理を行うことにより、有機材料からなる隔壁13aおよび電気絶縁層13bの表面は撥インキ性に変更される。なおCF4プラズマ処理を行ったとしても、無機材料からなる陽極2の表面は有機発光インキに対して親液性を保持する。
電気絶縁層13bの表面が撥インキ性を持つと、各画素領域に有機発光インキを塗布した際に有機発光インクが電気絶縁層13bに付着した場合でも電気絶縁層13bから有機発光インキがはじかれ、電気絶縁層13bに有機発光インキが残存することを避けることができる。
上記隔壁13aの主たる役割は、隔壁13aで区切られた隣接する画素間での絶縁を図るとともに、隣接画素間の混色を防止する点にある。そのために、その高さ寸法を高く設定する。一方、上記電気絶縁層13bの役割は、隔壁13aに沿って配置される同一色の複数の画素間の絶縁を行う点にあり、混色防止の役割はない。したがって、画素領域14上に形成されるインターレイヤーや有機発光層などの積層膜の合計厚さより、隔壁13aの厚さを幾分厚く形成すればよい。かかる基準から、上記隔壁13aの高さ寸法としては2〜3μmに設定することが好ましい。また電気絶縁層13bの高さ寸法としては、無機物から成る電気絶縁層の場合、0.1〜0.2μm、有機物から成る電気絶縁層の場合1μm〜2μmに設定することが好ましい。なお有機材料の電気伝導性の大きさにより電気絶縁層13bは不要にすることもできる。
電気絶縁層13bを設ける形態では、隔壁13aを形成する前に電気絶縁層13bを形成する。無機物を用いて電気絶縁層13bを形成する場合には、まずプラズマCVD法やスパッタ法等の公知の方法によりSiO、SiN等の無機絶縁材料からなる0.1〜0.2μm厚の絶縁膜を形成する。次いで上記絶縁膜をフォトグラフィーとエッチングによって、複数の画素領域を除去し、格子状にパターニングすることで、電気絶縁層13bを形成する。また有機物を用いて電気絶縁層13bを形成する場合には、例えば前述した感光性材料(フォトレジスト組成物)を用いて、フォトリソグラフィーにより格子状にパターニングされた電気絶縁層13bを形成する。有機EL素子の表示品位を上げることを目的として、光遮光性の材料を感光性材料に含有させてもよい。
前記構造の隔壁13aの作製方法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして作製することができる。
まず前記格子状の電気絶縁層13b上に2〜3μm厚のフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層をストライプ状のマスクを介して露光し、上記ストライプ状に配置される複数本の陽極2間にのみレジスト層が残るように現像し、熱硬化させる。このストライプ状にパターニングされたレジスト層が上記隔壁13aを構成する。
上記感光性材料(フォトレジスト組成物)の塗布は、スピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スリットコーター等を用いたコーティング法により行うことができる。
上記隔壁13aを形成する絶縁性の感光性材料は、ポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよい。隔壁13aは、絶縁性であることが重要であり、絶縁性を有さない場合には、隔壁により画成されている陽極2間に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまうおそれがある。
隔壁13aを構成するための絶縁性の感光材料としては、具体的には、ポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系の各感光性化合物(感光性材料)を用いることができる。なお、この感光性材料には、有機EL素子の表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を含有させてもよい。
隔壁13aには必要に応じて撥インキ性処理が施される。
隔壁13aの表面に撥インキ性を付与するために、隔壁形成用の感光材料に撥インキ性物質を加えても良い。あるいは、隔壁13aを形成した後、その表面に撥インキ性物質を被覆させることにより、隔壁表面に撥インキ性を付与しても良い。この撥インク性は、後述のインターレイヤー用のインキに対しても、有機発光層用のインキに対しても、撥性であることが好ましい。
前記感光性材料に撥インキ性物質を添加する場合に用いる物質としては、シリコーン系化合物またはフッ素含有化合物が用いられる。これらの撥インキ性化合物は、後述の有機発光層形成に用いる有機発光インキ(塗布液)と、正孔輸送層などのインターレイヤー用の有機材料インキ(塗布液)の両方に撥インキ性を示すため、好適に用いることができる。
隔壁13aを形成した後に隔壁の表面に撥インキ性被膜を形成する方法としては、撥インキ性成分を含む塗布液を隔壁表面に塗布する方法、撥インキ性成分を気化させて隔壁表面に堆積させる方法、隔壁表面の有機材料の官能基をフッ素で置換することにより表面を改質する方法などを挙げることができる。後者の気相法による堆積方法として、具体的には、CFガスを真空プラズマ装置を用いてプラズマ化してフッ素成分を隔壁表面に作用させることにより、隔壁表面に撥インキ性を付与する方法が挙げられる。
なお上記電気絶縁層13bを有機材料から構成する場合には、先にも述べたように、上記CFガスを真空プラズマ装置を用いてプラズマ化してフッ素成分を隔壁表面に作用させる方法によって、隔壁13aと電気絶縁層13bとに同時に撥インキ性を付与することができる。
なお互いに略平行に相対して配置される複数本の隔壁と、前記陽極とが設けられた基板を用意する工程では、上述したように隔壁および陽極をそれぞれ形成するとしたが、隔壁と陽極とが予め設けられた基板を市場から入手してきてもよい。
(陽極側インターレイヤー形成工程)
隔壁形成後、必要に応じて、前述の正孔輸送層などの有機材料層(陽極側インターレイヤー)を形成する。
陽極側インターレイヤーの成膜方法としては、特に制限はないが、低分子材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、前述の陽極側インターレイヤー用の材料を溶解させるものであれば、特に制限はない。かかる溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
上記溶液からの成膜方法としては、凸版印刷法を用いることが好ましい。中でもフレキソ印刷法が好適である。この場合に用いる凸版印刷版としては、図3に示すように、隔壁間の凹部に対応して略平行に相対して配設された複数本の凸部を備える凸版印刷版を用いることが好ましく、具体的には前記複数本の隔壁13a間の幅にそれぞれ対応する幅を有し、前記複数本の隔壁13aの配置される間隔にそれぞれ対応する間隔でストライプ状に配置される複数本の凸部21を備える凸版印刷版20を用いることが好ましい。すなわちストライプ状に配置される複数本の凸部21は、隔壁13aと基板1(陽極)とにより画成されるストライプ状に配置された凹部15(図2)に対応して配置される。また、凸版印刷版20が、円筒状または円柱状であることが好ましく、前記複数本の凸部21を周方向に沿って配列することが好ましい。
上記混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。かかる高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
(有機発光層形成工程)
上述の表面処理工程が終了した後、有機発光層の形成工程が実行される。この有機発光層形成工程の特徴は、上記陽極側インターレイヤー形成工程の場合と同様に、隔壁間の凹部に対応して略平行に相対して配設された複数本の凸部を備える凸版印刷版を用いる凸版印刷法により、有機発光材料を含む有機発光インキを塗布することにある。その場合に用いる凸版印刷版として、図3に示すように、前記複数本の隔壁13a間の幅(凹部15の幅)にそれぞれ対応する幅を有し、前記複数本の隔壁13aの配置される間隔にそれぞれ対応する間隔でストライプ状に配置される複数本の凸部21を備える凸版印刷版20を用いることである。さらに、凸版印刷版20が、円筒状または円柱状であることが好ましく、前記凸部の長手方向が周方向と重なるように、前記複数本の凸部21を配列することが好ましい。
多色の発光の有機EL素子を製造する場合では、上記隔壁13aによって画成された各凹状の溝には、その溝に対応した凸部21に付着された同一色の有機発光インキが塗布される。したがって、多色印刷をする場合でも、上記構成によれば、隔壁13a間の凹部に対する、凸版印刷版20の凸部21の位置合わせを精度よくすれば、印刷方向の位置合わせ精度が緩やかでも、各色の有機発光インキの塗布は正確に行われる。
上記有機発光インキは、有機発光材料を溶剤に溶解または安定に分散させて調製する。この有機発光材料を溶解または分散する溶剤としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の単独またはこれらの混合溶剤が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶剤が、有機発光材料の良好な溶解性を有することから好ましい。
なお、有機発光インキには、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
(陰極側インターレイヤー形成工程)
上記有機発光層の形成後、必要に応じて、電子輸送層や電子注入層などの陰極側インターレイヤーを形成する。
この陰極側インターレイヤーの形成方法は、電子輸送層の場合、特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が例示され、高分子電子輸送材料では、溶液または溶融状態からの成膜による方法が例示される。溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔輸送層を成膜する方法と同様の成膜法を用いることができる。
また、電子注入層の場合、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等を用いて形成される。
(陰極形成工程)
陰極は、先述のいずれかの材料を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、および金属薄膜を圧着するラミネート法などにより形成する。
前述のようにして、陰極を形成した後、基本構造として陽極−発光層−陰極を有してなる発光機能部を保護するために、上部封止膜を形成する。この上部封止膜は、必要に応じて、少なくとも一つの無機層と少なくとも一つの有機層とから構成する。これらの積層数は、必要に応じて決定し、基本的には、無機層と有機層は交互に積層する。
以下、本発明の実施例を示すが、以下に示す実施例は、本発明を説明するための好適な例示であって、なんら本発明を限定するものではない。
(実施例1)
(基板の準備および第1電極の形成)
まず、200mm(縦)×200mm(横)×0.7mm(厚み)の透明ガラス板上にITO薄膜を形成し、さらにパターニングを行ってストライプ状の陽極を形成した。陽極の繰り返し間隔(ピッチ)は、80μmで、陽極の幅(ライン幅)70μmに対して陽極間の間隔(スペース幅)は10μmであった(ライン/スペース=70μm/10μm)。陽極の厚みは、150nmであった。基板の厚み方向の一方から見て画素の形成される画素領域は、一方向に伸びるITO薄膜上において、前記一方向に所定の間隔をあけて島状に設定される。
(電気絶縁層の形成)
次に、プラズマCVD法によりSiOからなる絶縁膜を形成し、次いでフォトグラフィーとエッチングによって、幅50μm×長さ150μmの矩形形状の複数の画素領域に対応する領域の絶縁膜を選択的に除去し、電気絶縁層を形成した。
(隔壁の形成)
次に、上記基板上の全面に、ポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製、商品名「OFPR−800」)を用いて、慣用のフォトリソグラフィーにより、図1および図2に示す形状の隔壁13aを形成した。形成した隔壁13aの幅寸法は30μm、高さ寸法は2μmとした。また、隔壁13a同士の隣接間寸法は75μmとした。
次に、CF4ガスを用いた真空プラズマ装置(サムコインターナショナル社製、商品名「RIE−200L」)を用いて、隔壁13aに撥インキ化処理を行った。
(凸版印刷版)
上記隔壁に対応して、図3に示す構造のフレキソ印刷版(材質:ポリエステル系樹脂)を準備した。この凸版印刷版20の凸部21の高さ寸法は100μm、幅寸法は30μm、ピッチ幅は75μmで、版胴の軸心方向Yに直交する周方向にストライプ状に形成した。
(陽極側インターレイヤーの形成)
次に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(Bayer社製、商品名「BaytronP AI4083」)の懸濁液を調製し、この懸濁液を0.2μmメンブランフィルターで濾過した。この濾過液を上記凸版印刷版を用いて、上記画素領域に塗布した。続いて、この塗布層を200℃×20分間、加熱処理して、80nm厚の正孔注入層を形成した。
(有機発光層の形成)
有機発光材料として、赤、緑、青の3色の高分子発光材料(サメイション社製、商品名「RP158(赤)」、「GP1300(緑)」、「BP361(青)」)をそれぞれ溶媒(アニソール/シクロへキシルベンゼン=重量比1/1の混合溶媒)に溶解させた3色の有機発光インキ(濃度:1重量%)を準備した。
上記構造のストライプ状の凸部を有するフレキソ印刷版を用いて、赤色の有機発光インキを基板上の対応する画素領域に印刷し、乾燥させ、赤色の有機発光層を形成した。同様にして、緑色の有機発光インキおよび青色の有機発光インキを順次印刷し、乾燥させて、緑色の有機発光層および青色の有機発光層を形成した。各色の有機発光層の厚みは、100nmのほぼ同一寸法であった。
なお、この時の印刷には、印刷機として、日本写真印刷(株)製の「オングストローマーSDR−0023(商品名)、版ドラム直径:80mm」を用いた。印刷速度は50mm/秒とした。版と基板とが接触する状態を印刷押し込み量0μmとして、その位置から版を50μm押し付けた状態(印刷押し込み量=50μm)で印刷した。
各画素領域内に形成された有機発光層の形状を光学顕微鏡(ニコン社製、商品名「オプチフォト88」、対物レンズ倍率:50倍)にて観察したところ、各有機発光層は画素領域からずれることなく画素領域に成膜していることが確認された。
(陰極の形成)
次に、上記有機発光層の上に、陰極として、カルシウムを100Åの厚さで蒸着し、さらに、酸化保護層としてアルミニウムを2000Åの厚さで蒸着した。これにより、ボトムエミッション構造の有機EL素子を作製した。
上述のようにして得た有機EL素子を発光させたところ、多色発光に滲みは見られず、鮮明な多色表示が得られた。
(実施例2)
以下の2点を除いては実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。(1)ポジ型フォトレジストを用いて電気絶縁層を形成したこと。(2)CF4ガスを用いたプラズマ処理を行わなかったこと。
実施例2では、ポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製、商品名「OFPR−800」)を用いて慣用のフォトリソグラフィーにより、格子状の電気絶縁層を形成した。
またCF4ガスを用いたプラズマ処理を省略したため、実施例1のようには隔壁13aに撥インキ化処理を行っていない。
上述のようにして得た有機EL素子を発光させたところ、多色発光に滲みは見られず、鮮明な多色表示が得られた。
(比較例)
格子状に形成された隔壁を設けた基板と、前記隔壁により画成された画素領域に対応する凸部を有する凸版印刷版を用いて、上記実施例1と同様の印刷機および印刷条件にて、有機発光インキを印刷し、乾燥して有機発光層を形成した。それ以外は、上記実施例1と同様にして有機EL素子を製造した。形成した隔壁の寸法は、高さ2μm、隔壁に形成した開口の寸法は幅50μm、長さ150μmであった。
製造した有機EL素子を発光させたところ、発色に滲み(混色)があり、表示ムラが発生した。
1 基板
2 陽極
13a 隔壁
13b 電気絶縁層
14 画素領域
15 凹部
20 凸版印刷版
21 凸版印刷版の凸部

Claims (5)

  1. 陰極と、陽極と、前記陰極および陽極の間に位置する有機発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    互いに略平行に相対して配置される複数本の隔壁と、前記陽極とが設けられた基板を用意し、
    前記隔壁間の凹部に対応して略平行に相対して配設された複数本の凸部を備える凸版印刷版を用いて、有機発光材料と溶媒とを含む有機発光インキを前記隔壁の長手方向に沿って前記凹部に連続的に供給することにより前記有機発光層を形成する有機発光層形成工程を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記基板には、前記隔壁間において、画素の形成される複数の画素領域が前記隔壁に沿って設定され、隣接する画素領域の間に、基板からの高さが前記隔壁よりも低い電気絶縁層が配置されていることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記凸版印刷版が、円筒状または円柱状であり、前記複数本の凸部の長手方向が周方向と重なるように、該複数本の凸部を配列したことを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法を用いて得られた有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を含むことを特徴とする表示装置。
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