JP2009266705A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内部短絡の発生を抑制し得るリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】 少なくとも、正極と、集電体の片面または両面に負極活物質含有層を有する負極と、セパレータと、非水電解液とを備えたリチウム二次電池であって、前記負極活物質含有層が、前記集電体の表面に形成された、Liと合金化が可能な元素または前記元素を含有する化合物を含む負極活物質含有層(I)と、前記負極活物質含有層(I)の表面に形成された、Liイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を含み、かつ厚みが20μmを超え100μm以下の負極活物質含有層(II)とを有していることを特徴とするリチウム二次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部短絡の発生を抑制し得るリチウム二次電池に関するものである。
リチウム二次電池の負極材料(負極活物質)としては黒鉛系炭素材料が一般的であるが、近年、電池の高容量化の要請から、Sn(スズ)、Si(シリコン)や、これらの酸化物のように、黒鉛系炭素材料よりもLi(リチウム)を多く収容できる負極材料(以下、「高容量負極材料」ともいう)が注目されている。
しかしながら、これらの高容量負極材料は、充放電反応に伴う体積の膨張収縮が大きく、例えば、SnやSiなどの薄膜を有する負極を用いて構成した電池では、LiSnやLiSiの組成式においてx=4.4になるまでLiを電気化学的に挿入すると、薄膜の体積が4倍にまで膨張してしまう。このような負極材料の体積変化は、負極材料の微粉化や集電体からの薄膜の剥離を招き、リチウム二次電池の充放電特性(充放電サイクル特性)低下の一因となる。
こうした事情を受けて、前記のような高容量負極材料を用いて負極を構成するに当たり、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、溶射法、めっき法などにより高容量負極材料からなる薄膜を、負極集電体の表面に形成する技術が開発されている(例えば、特許文献1〜7)。これらの手法によって高容量負極材料からなる薄膜を形成すると、集電体とより強固に一体化するため、電池の充放電に伴う高容量負極材料の微粉化などが発生しても、集電体からの脱離が生じにくく、充放電サイクル特性が向上する。
しかしながら、高容量負極材料からなる薄膜と集電体との密着性の高い負極を用いると、特に電池製造時において、内部短絡の発生する割合(すなわち、オフ品の発生率)が高くなって電池の生産性が低下する虞があることや、電池の充放電に伴う高容量負極材料の体積変化によって、高容量負極材料からなる薄膜の内部にクラックが発生し、それにより生じた前記薄膜のエッジ部分がセパレータを貫通して内部短絡を引き起こす虞のあることが、本発明者の検討により明らかとなった。よって、前記の高容量負極材料を用いて電池を構成する場合、前記のような内部短絡の発生を抑制することが求められる。
例えば、特許文献8には、集電体の表面に形成されたアモルファス状リチウム金属またはアモルファス状リチウム合金の層の集電体とは反対側の表面に、炭素材料などから構成されるリチウムイオン担持層を有する負極を用いて構成されたリチウム二次電池が記載されている。特許文献8では、前記構成の採用によって、デンドライト成長に起因する内部短絡の発生を抑制できるとしている。特許文献8に記載のリチウム二次電池では、前記のような高容量負極材料を使用している訳ではないが、ここに開示の手法を、高容量負極材料を有するリチウム二次電池に応用することも考えられる。
特開2000−243389号公報 特開2001−68094号公報 特開2001−256968号公報 特開2003−7295号公報 特開2005−63767号公報 特開2005−108523号公報 国際公開第01/31720号 特開2002−373707号公報
しかしながら、本発明者の検討によって、高容量負極材料を有するリチウム二次電池に、特許文献8に開示の手法を適用しても、前記のような内部短絡の発生を十分に抑制し得ないことが判明した。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部短絡の発生を抑制し得るリチウム二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明のリチウム二次電池は、少なくとも、正極と、集電体の片面または両面に負極活物質含有層を有する負極と、セパレータと、非水電解液とを備えたリチウム二次電池であって、前記負極活物質含有層は、前記集電体の表面に形成された、Liと合金化が可能な元素または前記元素を含有する化合物を含む負極活物質含有層(I)と、前記負極活物質含有層(I)の表面に形成された、Liイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を含み、かつ厚みが20μmを超え100μm以下の負極活物質含有層(II)とを有していることを特徴とするものである。
Liと合金化が可能な元素または前記元素を含有する化合物といった所謂高容量負極材料を含む負極活物質含有層では、前記の通り、電池の充放電に伴う高容量負極材料の体積変化によって負極活物質含有層にクラックが生じやすく、これにより、微小な内部短絡を引き起こされて電池特性が損なわれる虞がある。
また、高容量負極材料を含む薄膜などの負極活物質含有層を有する負極において、その製造時に寸法調整のために裁断すると、裁断部に鋭利なバリが形成されやすい。このような負極と、正極と、セパレータとを用いて電極体を構成すると、前記のバリがセパレータを貫通して微小な内部短絡を引き起こし、これによっても電池特性が損なわれる虞がある。負極と正極とを、セパレータを介して重ね合わせて渦巻状に巻回し、更にこれをプレスするなどした扁平状の巻回電極体を使用する電池(角形電池など)では、前記のプレス工程において負極に形成されたバリがセパレータを貫通する現象が特に生じやすい。
更に、高容量負極材料を含む負極活物質含有層を、例えばめっき法や蒸着法などにより集電体表面に形成すると、集電体が長時間高温に曝されたり、集電体の成分が負極活物質含有層に拡散したりするため、負極が硬くなり、これによっても、例えば前記の巻回電極体(特に扁平状の巻回電極体)を作製する際に、負極のクラック発生が生じやすくなり、電池特性低下を引き起こす微小な内部短絡発生の原因となる。
そこで、本発明のリチウム二次電池では、集電体の片面または両面に形成した高容量負極材料を含む負極活物質含有層(I)の表面に、Liイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を含み、かつ厚みが20μmを超え100μm以下の負極活物質含有層(II)を設けた負極を用いている。
負極活物質含有層(II)に含まれる炭素材料も高容量負極材料と同様に負極活物質として作用するため、電池の容量低下を抑えつつ高容量負極材料を含む負極活物質含有層(I)を薄くすることができる。そのため、負極の硬さを抑えることができ、これにより、負極活物質含有層(I)でのクラック発生を抑制できる。
しかも、炭素材料を含む負極活物質含有層(II)が、高容量負極材料を含む負極活物質含有層(I)とセパレータとの間に介在することになるため、電池製造時に負極活物質含有層(I)にバリやクラックが形成されたり、電池の充放電に伴って負極活物質含有層(I)にクラックが形成されたりしても、これらによるセパレータの貫通を防止できる。
本発明のリチウム二次電池では、前記の各作用によって、微小な内部短絡の発生を抑制することができる。
本発明によれば、内部短絡の発生を抑制し得るリチウム二次電池を提供することができる。
本発明のリチウム二次電池に係る負極は、集電体の片面または両面に、負極活物質含有層(I)と負極活物質含有層(II)とを有している。
図1に、本発明に係る負極の一例を表す断面模式図を示している。図1に示す負極1は、集電体103の両面に負極活物質含有層(I)101、101が形成されており、それぞれの負極活物質含有層(I)101、101の集電体103とは反対側の表面に、負極活物質含有層(II)102、102が形成されている。図1では、集電体103の両面に、負極活物質含有層(I)101、101、および負極活物質含有層(II)102、102を有する負極1を示しているが、本発明に係る負極は、集電体の片面にのみ、負極活物質含有層(I)および負極活物質含有層(II)を有していてもよい。
負極活物質含有層(I)は、Liと合金化が可能な元素または前記元素を有する化合物を含んでおり、このLiと合金化が可能な元素または前記元素を有する化合物は、負極活物質として機能する。Liと合金化が可能な元素としては、SiまたはSnが好ましく、前記化合物としては、これら元素の2種以上を有していてもよい。すなわち、負極活物質含有層(I)の含有する活物質としては、具体的には、SiまたはSn(これら元素の単体);Snを含有する合金(CuSn、SnNi、MgSnなどの金属間化合物);SiまたはSnの酸化物;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、前記合金の中では、特にCuSnなどの空間群P6/mmcに属するNiAs型の金属間化合物は、可逆性に優れ、容量も大きく、充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を構成しやすくなるので好適である。なお、前記合金は、必ずしも特定の組成に限定されるものではなく、比較的広い固溶範囲を有する合金では、中心組成から多少ずれた組成となることもあり得る。また、前記構成元素の一部が、他の元素で置換されたものであってもよく、たとえば、Cu6−xSn(x<6)、またはCuSn5−y(y<5)などのように、合金の主要構成元素を他の元素Mで置換し、多元素の化合物とすることもできる。
また、Siの酸化物を含む化合物、すなわち、Si(シリコン)とO(酸素)を構成元素に含む化合物(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である。以下、「SiO」と表記する。)も、リチウム二次電池をより高容量とし得る点で好ましい。
SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中に、Siが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の化合物の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の化合物の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
また、SiOやその他の酸化物(SiまたはSnの酸化物)を使用する場合、その表面を炭素で被覆していることが好ましい。これらの酸化物(SiOを含む。本明細書において、負極活物質について「酸化物」と記載する場合、SiOを含むものとする。)は導電性が乏しいため、負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電助剤を使用し、負極内[負極活物質含有層(I)内]における前記酸化物と導電助剤との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。そこで、前記酸化物の表面を炭素で被覆すれば、例えば、単に前記酸化物と炭素材料からなる導電助剤とを混合して使用する場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
前記酸化物の表面を炭素で被覆する方法としては、例えば、以下の方法が採用できる。酸化物粒子を分散媒(エタノールなど)に分散させ、それを噴霧して乾燥したり、公知の機械的造粒法によるなどして、複数の粒子を含む複合粒子を作製する。次に、前記酸化物の複合粒子と炭化水素系ガス(トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、メタン、アセチレンなど)とを、気相中にて、例えば600〜1200℃程度に加熱して、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、粒子の表面上に堆積させる[気相成長(CVD)法]。
また、炭素で被覆された前記酸化物と、導電助剤として機能する炭素材料とを複合化した複合体として用いたり、前記酸化物とそれよりも比抵抗値が小さい導電性材料との造粒体を形成し、更にその表面を炭素で被覆して用いたりしてもよく、この場合には、負極活物質含有層(I)において更に良好な導電ネットワークの形成が可能となる。
負極活物質含有層(I)の形成方法としては、活物質(Liと合金化し得る元素または前記元素を含有する化合物)、バインダ、および導電助剤(必要があれば使用すればよい)などを含む負極合剤を溶剤に分散させて負極活物質含有層(I)形成用組成物(ペースト、スラリーなど)を調製し(バインダについては、溶剤に溶解していてもよい)、前記組成物を集電体に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理を施す方法が採用できる。負極活物質含有層(I)形成用組成物に用いる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などが挙げられる。
負極活物質含有層(I)に使用するバインダとしては、例えば、でんぷん、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類やそれらの変成体;ポリイミド、ポリアミド、ポリアミド、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂やそれらの変成体;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシドなどのゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
負極活物質含有層(I)に導電助剤を使用する場合、その導電助剤としては、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀など)、金属繊維、ポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載のもの)などが挙げられる。また、めっき法などにより負極活物質含有層(I)中に金属(銅など)を析出させて、これを導電助剤としてもよい。導電助剤は、前記例示のものを1種単独で用いてもよく、これらの2種以上を併用してもよい。
また、負極活物質含有層(I)に係る活物質として、Liと合金化し得る元素単体や、Liと合金化し得る元素を含む合金などを用いる場合には、物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)、液相成長法などの薄膜形成法によって前記活物質の薄膜を集電体表面に形成し、これを負極活物質含有層(I)とすることもできる。PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー(MBE)法、レーザーアブレーション法などが挙げられる。CVD法としては、熱CVD法、MOCVD(有機金属気相成長)法、RF(Radio Frequency)プラズマCVD法、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマCVD法、光CVD法、レーザーCVD法、原子層エピタキシー(ALE)法などが例示できる。また、液相成長法としては、めっき法(電解めっき、無電解めっき)、陽極酸化法、塗布法、ゾル−ゲル法などが挙げられる。
また、Liと合金化し得る元素を含む合金(金属間化合物)として、例えば、CuSnを用いる場合には、前記の各種薄膜形成法によってCu膜とSn膜とを交互に数層ずつ積層し、熱処理を施してCuとSnとを相互に拡散させることでCuSnを形成させてもよい。
負極活物質含有層(I)においては、電池の容量を高める観点から、活物質(Liと合金化し得る元素または前記元素を含有する化合物)の含有量は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。負極活物質含有層(I)は活物質のみで形成してもよく、例えば前記のように、Liと合金化し得る元素単体や、Liと合金化し得る元素を含む合金で形成された薄膜を負極活物質含有層(I)とすることもできる。そのため、負極活物質含有層(I)における活物質の含有量は100質量%でもよいが、バインダも併用して負極活物質含有層(I)を構成する場合には、バインダの使用による効果を確保する観点から、活物質の含有量は、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましい。
また、負極活物質含有層(I)におけるバインダの含有量は、バインダの使用による作用をより有効に発揮させる観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。ただし、負極活物質含有層(I)中におけるバインダの量が多すぎると、例えば負極活物質の量が少なくなって容量が小さくなる虞があることから、負極活物質含有層(I)におけるバインダの含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
負極活物質含有層(I)において、導電性成分(導電助剤、前記酸化物の表面を炭素で被覆する場合における炭素、前記の表面が炭素で被覆された酸化物と導電性材料との複合体に係る導電性材料、および前記酸化物と導電性材料との造粒体の表面を炭素で被覆した粒子における導電性材料を含む)を使用する場合、電池をより高容量化する観点から、導電性成分の合計量が、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。また、負極活物質含有層(I)において導電性成分の使用による作用をより有効に発揮させる観点からは、負極合剤層中における導電性成分の合計量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
負極活物質含有層(I)の厚み(集電体の片面あたりの厚み。以下同じ。)は負極活物質含有層(I)の組成や形成方法により異なるが、負極の硬さをある程度抑える観点から、負極合剤により構成される負極活物質含有層(I)の場合[例えば、前記の負極活物質含有層(I)形成用組成物を用いて形成する負極活物質含有層(I)の場合。以下、同じ。]には、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、また、前記の負極活物質の薄膜により構成される負極活物質含有層(I)の場合には、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。ただし、負極活物質含有層(I)が薄すぎると、Liと合金化し得る元素または前記元素を含有する化合物を負極活物質に使用することによる電池の高容量化の効果が小さくなる虞があることから、負極活物質含有層(I)の厚みは、負極合剤により構成される負極活物質含有層(I)の場合には、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、また、前記の負極活物質の薄膜により構成される負極活物質含有層(I)の場合には、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
負極活物質含有層(II)は、Liイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を含むが、この炭素材料も負極活物質含有層(I)に係る前記の高容量負極材料と同様に、負極活物質として機能する。負極活物質含有層(II)に係る炭素材料としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などが挙げられる。
前記の炭素材料の中でも、(002)面の面間隔d002が0.340nm以下の黒鉛が好ましく、d002が0.337nm以下の黒鉛がより好ましい。負極活物質含有層(II)がこのような黒鉛を含む場合には、電池をより高容量にすることができるからである。なお、黒鉛におけるd002の下限については特に制限はないが、理論的には0.335nm程度である。
また、負極活物質含有層(II)が炭素材料として黒鉛を含む場合、その黒鉛の結晶構造におけるc軸方向の結晶子の大きさLcは、3nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましく、25nm以上であることが更に好ましい。このようなLcを有する黒鉛の場合には、Liイオンの吸蔵・放出がより容易となるからである。なお、黒鉛におけるLcの上限については特に制限はないが、通常、200nm程度である。
負極活物質含有層(II)が含む炭素材料の平均粒径は、負極活物質含有層(II)の厚みとも関係するが、例えば、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であって、好ましくは15μm以下、より好ましくは13μm以下である。また、負極活物質含有層(II)が含む炭素材料の純度は99.9%以上であることが好ましい。このような平均粒径や純度を有する炭素材料であれば、入手が容易だからである。
なお、前記の炭素材料の平均粒径は、マイクロトラック社製「MICROTRAC HRA(Model:9320−X100)」を用いて、レーザー回折式粒度分布測定法により、体積基準で測定した値である。
負極活物質含有層(II)の形成方法としては、活物質である炭素材料、バインダ、および導電助剤(必要があれば使用すればよい)などを溶剤に分散させて負極活物質含有層(II)形成用組成物(ペースト、スラリーなど)を調製し(バインダについては、溶剤に溶解していてもよい)、前記組成物を負極活物質含有層(I)の表面に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理を施す方法が採用できる。負極活物質含有層(II)形成用組成物に用いる溶剤としては、負極活物質含有層(I)形成用組成物と同様のものが挙げられる。
また、負極活物質含有層(I)を、前記の負極活物質含有層(I)形成用組成物を用いて形成する場合には、集電体の表面に負極活物質含有層(I)形成用組成物を塗布した後、該組成物が完全に乾燥する前に負極活物質含有層(II)形成用組成物を塗布し、乾燥して、負極活物質含有層(I)と負極活物質含有層(II)とを同時に形成してもよい。更に、負極活物質含有層(I)形成用組成物を塗布し乾燥した後に、プレス処理を施すことなく負極活物質含有層(II)形成用組成物を塗布して乾燥し、その後にプレス処理を施すようにしてもよい。
負極活物質含有層(II)に用いるバインダおよび導電助剤としては、負極活物質含有層(I)に使用し得るものとして先に例示した各種バインダおよび導電助剤が挙げられる。
負極活物質含有層(II)におけるLiイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料の含有量は、電池をより高容量化する観点から、50質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。ただし、負極活物質含有層(II)における前記炭素材料の量が多すぎると、例えばバインダ量が少なくなって、負極活物質含有層(II)の強度などが低下する虞があることから、前記炭素材料の含有量は、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましい。
また、負極活物質含有層(II)におけるバインダの含有量は、負極活物質含有層(II)の強度などを高める観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。ただし、負極活物質含有層(II)におけるバインダ量が多すぎると、例えば前記炭素材料の量が少なくなって、電池の容量が小さくなる虞があることから、バインダの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましい。
更に、負極活物質含有層(II)における導電助剤の含有量は、0〜10質量%とすることが好ましい。
負極活物質含有層(II)の厚み(集電体の片面あたりの厚み。以下同じ。)は、負極活物質含有層(II)を設けることによる作用(電池の内部短絡発生を抑制する作用)を発揮させる観点から、20μmを超えている必要があり、30μm以上であることが好ましい。また、負極活物質含有層(II)が厚すぎると、負極の面積あたりの容量密度が大きくなって、活物質の利用率やレート特性が低下する虞があることから、負極活物質含有層(II)の厚みは、100μm以下であり、80μm以下であることが好ましい。
負極に使用する集電体としては、例えば、Cu、Ni、ステンレス鋼などを素材とする電解箔、圧延箔などの金属箔;穿孔板やエンボス加工板などの金属板;メッシュ;発泡体;などが挙げられる。負極集電体の厚みは、4〜20μmであることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池は前記の負極を有していればよく、その他の構成、構造については特に制限はなく、従来公知のリチウム二次電池で採用されている各種構成、構造を適用することができる。
正極には、例えば、正極活物質として、Li含有遷移金属酸化物を有するものが挙げられる。Li含有遷移金属酸化物の具体例としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1−y、LiCo1−y、LiNi1−y、LiMnNiCo1−y−z、LiMn、LiMn2−y(前記の各構造式中、Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ti、GeおよびCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、0≦x≦1.1、0<y<1.0、2.0<z<1.0である)などが挙げられる。
正極は、前記の正極活物質と導電助剤とバインダとを含む混合物(正極合剤)に、適当な溶剤を加えて十分に混練して得たペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を、集電体に塗布し、所定の厚みおよび密度を有する正極合剤層を形成することによって得ることができる。なお、正極は、前記の製法により得られたものに限られず、他の製法で製造したものであってもよい。
正極に係るバインダとしては、負極活物質含有層(I)や負極活物質含有層(II)に使用し得るものとして例示した前記の各バインダを用いることができる。また、正極に係る導電助剤についても、負極活物質含有層(I)や負極活物質含有層(II)に使用し得るものとして例示した前記の各導電助剤を使用できる。
なお、前記正極に係る正極合剤層においては、正極活物質の含有量が、例えば、79.5〜99質量%であり、バインダの含有量が、例えば、0.5〜20質量%であり、導電助剤の含有量が、例えば、0.5〜20質量%であることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池で用いる非水電解液としては、例えば、下記の溶媒中に下記の無機イオン塩を溶解させることによって調製した溶液が挙げられる。
溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を、1種または2種以上用いることができる。
無機イオン塩としては,Li塩、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸Li、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランLi、四フェニルホウ酸Liなどを、1種または2種以上用いることができる。
前記溶媒中に前記無機イオン塩が溶解された非水電解液の中でも、1,2−ジメトキシエタン,ジエチルカーボネートおよびメチルエチルカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種と、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートとを含む溶媒に、LiClO、LiBF、LiPF、およびLiCFSOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機イオン塩を溶解した電解液が好ましい。非水電解液中の無機イオン塩の濃度は、例えば、0.2〜3.0mol/dmが適当である。
セパレータとしては、強度が十分で且つ電解液を多く保持できるものがよく、そのような観点から、厚さが10〜50μmで開口率が30〜70%の、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはエチレン−プロピレン共重合体を含む微多孔フィルムや不織布などが好ましい。
また、本発明のリチウム二次電池の形状は、例えば、コイン形、ボタン形、シート形、積層形、円筒形、扁平形、角形、電気自動車などに用いる大型のものなど、いずれであってもよい。
本発明のリチウム二次電池に正極、負極およびセパレータを導入するにあたっては、電池の形態に応じて、複数の正極と複数の負極とをセパレータを介して積層した積層電極体や、正極と負極とをセパレータを介して積層し、更にこれを渦巻状に巻回した巻回電極体として使用することもできる。
なお、本発明のリチウム二次電池では、前記の通り、高容量負極材料であるLiと合金化が可能な元素または前記元素を含有する化合物を使用しつつ、電池製造時における負極でのバリやクラックの形成による内部短絡の発生を抑制できる。そのため本発明のリチウム二次電池は、高容量負極材料を使用した場合に、前記の内部短絡が発生しやすい巻回電極体(特に扁平状巻回電極体)を有する電池(特に角形電池やシート形電池など)とした場合に、その効果が特に顕著に発現する。
本発明のリチウム二次電池は、高容量としつつ、電池特性を損なうような微小な内部短絡の発生を抑制できるため、こうした特性を生かして、高容量電池が要求される各種携帯機器の電源用途を始めとして、従来のリチウム二次電池が適用されている各種用途に好ましく用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<負極の作製>
古河サーキットフォイル社製の電解銅箔(厚み8μm)を500mm×90mmに切り出し、電気化学法によって表面の酸化被膜、油脂、汚れなどを除去した。続いて、硫酸第一錫:40g/dm、硫酸:60g/dm、クレゾールスルホン酸:40g/dm、ゼラチン:2g/dm、およびβ−ナフトール:1g/dmを溶解させた水溶液からなるSnめっき浴に、空隙形成材として永和化成工業社製のアゾ化合物「ビニホールSE#30(商品名)」(分解温度142℃):0.2g/dmを混合してめっき液を調製した。このめっき液をスターラーで攪拌しながら、めっき液中に前記の電解銅箔を浸漬し、1A/dmの電流密度で100分間の電解めっきを行い、集電体となる電解銅箔の両面に、厚みが3μmのSnめっき薄膜を形成した。Snめっき薄膜を形成した集電体を水洗後、真空電気炉により200℃で17時間熱処理して、Snめっき薄膜中の空隙形成材を熱分解すると共に、Snめっき薄膜に係るSnを集電体のCuと合金化させて負極活物質含有層(I)を形成した後、室温まで徐冷した。
続いて、前記の集電体の両面に形成した負極活物質含有層(I)の表面に、高結晶の人造黒鉛を含む負極活物質含有層(II)を形成し、負極を作製した。
前記の人造黒鉛は、以下のようにして合成した。コークス粉末:100質量部、タールピッチ:40質量部、炭化ケイ素:14質量部およびコールタール:20質量部を、空気中において200℃で混合した後に粉砕し、窒素雰囲気中において1000℃で熱処理し、更に窒素雰囲気中において3000℃で熱処理して黒鉛化させて、人造黒鉛を得た。得られた人造黒鉛は、BET比表面積が4.0m/g、X線回折法によって測定される(002)面の面間隔d002が0.336nm、c軸方向の結晶子の大きさLcが48nm、全細孔容積が1×10−3/kgであった。
前記の人造黒鉛と、バインダであるSBRと、増粘剤であるCMCとを、質量比98:1:1の割合で混合し、更に水を加えて混合して調製した負極活物質含有層(II)形成用ペーストを、前記の集電体の両面に形成した負極活物質含有層(I)の表面に均一に塗布して乾燥し、その後、ロールプレス機により圧縮成形することで負極活物質含有層(II)を形成し、裁断した後にニッケル製のリード体を集電体に溶接して、帯状の負極を得た。得られた負極の総厚みは145μmであり、負極活物質含有層(II)の集電体片面あたりの厚みは、65.5μmであった。
<正極の作製>
92質量部のLiCoO(正極活物質)に導電助剤として鱗片状黒鉛5質量部を加えて混合し、この混合物に3質量部のPVDFをNMPに溶解させた溶液を加えて混合して、正極合剤含有スラリーを調製し、70メッシュの網を通過させて粒径が大きなものを取り除いた。その後、前記のスラリーを厚みが15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に均一に塗布して乾燥し、ロールプレス機により圧縮成形して総厚みを165μmとした後、裁断し、アルミニウム製のリード体を集電体に溶接して、帯状の正極を得た。
<電池の組み立て>
前記の帯状の負極と帯状の正極とを、厚みが20μmの微孔性ポリエチレンセパレータ(空隙率41%)を介して重ね合わせ、渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体とし、この電極体をポリプロピレン製の絶縁テープで固定した。この際、50Vの直流電流を用いて、巻回電極体における内部短絡の有無を検査した。内部短絡の生じていたものを不良と判断し、作製した巻回電極体10個あたりの不良個数を求めた。
前記の内部短絡の検査において、不良と判断されなかった巻回電極体(なお、実施例1における巻回電極体では、不良と判断されたものはなかった。)を、外寸が、縦(厚み)4.0mm、横34mm、高さ50mmのアルミニウム合金製の角形の電池ケースに挿入し、リード体の溶接を行うと共に、アルミニウム合金製の蓋板を電池ケースの開口端部に溶接して電池前駆体とした。その後、50Vの直流電流を用いて、電池前駆体の巻回電極体における内部短絡の有無を検査した。内部短絡の生じていたものを不良と判断し、作製した電池前駆体10個あたりの不良個数を求めた。
前記の電池前駆体の内部短絡の検査において、不良と判断されなかった電池前駆体(なお、実施例1における電池前駆体では、不良と判断されたものはなかった。)の蓋板に設けた電解液注入口から非水電解液を注入し、1時間静置した。非水電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比30:70の混合溶媒に、1.0MのLiPFを溶解させた溶液を用いた。なお、本実施例のリチウム二次電池の設計電気容量は、780mAhとした。
次に、露点−30℃のドライルーム内で、非水電解液を注入した電池前駆体を、以下の条件で充電した。充電は、充電量が電池の設計電気容量(780mAh)の25%(195mAh)となるように、0.25CmA(195mA)の定電流で1時間行った。その間、電池内から発生するガスを、蓋板の電解液注入口から電池ケース外へ自然放出させた。充電終了後に蓋板の電解液注入口を封止して電池内部を密閉状態として、図2に示す構造で図3に示す外観を有するリチウム二次電池を得た。
ここで図2および図3に示す電池について説明すると、負極1と正極2は前記のようにセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角形の電池ケース4に電解液と共に収容されている。ただし、図2では、煩雑化を避けるため、負極1や正極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や電解液などは図示していない。また、負極1における負極活物質含有層(I)と負極活物質含有層(II)との区別もつけていない。
電池ケース4はアルミニウム合金製で電池の外装材を構成するものであり、この電池ケース4は正極端子を兼ねている。そして、電池ケース4の底部にはポリエチレンシートからなる絶縁体5が配置され、負極1、正極2およびセパレータ3からなる扁平状の巻回電極体6からは、負極1および正極2のそれぞれ一端に接続された負極リード体7と正極リード体8が引き出されている。また、電池ケース4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはポリプロピレン製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は電池ケース4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、電池ケース4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図2の電池では、蓋板9に電解液注入口14が設けられており、この電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている(従って、図2および図3の電池では、実際には、電解液注入口14は、電解液注入口と封止部材であるが、説明を容易にするために、電解液注入口14として示している)。更に、蓋板9には、防爆ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、負極リード体7をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体7と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能し、正極リード体8を蓋板9に直接溶接することによって電池ケース4と蓋板9とが正極端子として機能するようになっているが、電池ケース4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図3は前記図2に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図3は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図3では電池を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図2においても、電極体の内周側の部分は断面にしていない。
前記のリチウム二次電池について、0.2CmAの定電流で4.2Vになるまで定電流で充電し、更に4.2Vの定電圧で、充電の電流値が20mAになるまで充電を行った。そして、充電後の電池を室温で1日放置した後に、その開路電圧(OCV)の充電直後からの変化を測定し、作製した電池10個あたりの、OCVに変化(低下)が生じた電池の個数を求めた。前記測定によりOCVに低下が生じた電池は、充電によって内部短絡が発生したと判断できる。
実施例2
集電体に電解銅箔(400mm×100mm、厚み18μm)を用い、この電解銅箔の両面に、RFスパッタリング法によって厚みが4μm(集電体の片面あたり)のSi薄膜からなる負極活物質含有層(I)を形成した。そして、この負極活物質含有層(I)を両面に形成した集電体を用いた以外は、実施例1と同様にして帯状の負極を作製した。
更に、前記の帯状の負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、巻回電極体10個あたりの不良個数、電池前駆体10個あたりの不良個数、および電池10個あたりの、OCVに低下が生じた個数を調べた。
実施例3
平均粒径が2μmのSi粒子:100質量部と、SBR:1.7質量部とを、水に分散させてスラリーを調製した。なお、SBRは、固形分濃度約45質量%のエマルションを用いた。
厚みが12μmの電解銅箔からなる集電体を室温で酸洗浄した後、純水で洗浄した。洗浄後の集電体の両面に、前記のスラリーを塗布し乾燥して塗膜(集電体片面あたりの厚み13μm)を形成した。
前記の、負極活物質含有層(I)を両面に形成した集電体を用いた以外は、実施例1と同様にして帯状の負極を作製した。そして、この帯状の負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、巻回電極体10個あたりの不良個数、電池前駆体10個あたりの不良個数、および電池10個あたりの、OCVに低下が生じた個数を調べた。
比較例1
負極活物質含有層(I)を構成するためのSnめっき薄膜の厚みを、集電体の片面あたり4μmとし、負極活物質含有層(II)を形成しない以外は、実施例1と同様にして帯状の負極を作製した。そして、この帯状の負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、巻回電極体10個あたりの不良個数、電池前駆体10個あたりの不良個数、および電池10個あたりの、OCVに低下が生じた個数を調べた。
比較例2
負極活物質含有層(II)を形成しない以外は、実施例2と同様にして帯状の負極を作製した。そして、この帯状の負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、巻回電極体10個あたりの不良個数、電池前駆体10個あたりの不良個数、および電池10個あたりの、OCVに低下が生じた個数を調べた。
比較例3
負極活物質含有層(II)を形成しない以外は、実施例3と同様にして帯状の負極を作製した。そして、この帯状の負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、巻回電極体10個あたりの不良個数、電池前駆体10個あたりの不良個数、および電池10個あたりの、OCVに低下が生じた個数を調べた。
実施例1〜3および比較例1〜3のリチウム二次電池について、電池製造時における巻回電極体10個あたりの不良個数、および電池前駆体10個あたりの不良個数、並びに電池10個あたりの、充電から1日放置後にOCVに低下が生じた個数を、表1に示す。
Figure 2009266705
表1から明らかなように、負極活物質含有層(I)の表面に負極活物質含有層(II)を形成した負極を有する実施例1〜3のリチウム二次電池では、電池製造時における不良の発生がなく、電池製造時における内部短絡の発生が抑制できており、更に、電池の充電後の内部短絡の発生も抑制できている。
本発明のリチウム二次電池に係る負極の一例を示す断面模式図である。 本発明のリチウム二次電池の一例を模式的に示す図で、(a)はその平面図、(b)はその部分縦断面図である。 図3に示すリチウム二次電池の斜視図である。
符号の説明
1 負極
2 正極
3 セパレータ
101 負極活物質含有層(I)
102 負極活物質含有層(II)
103 集電体

Claims (3)

  1. 少なくとも、正極と、集電体の片面または両面に負極活物質含有層を有する負極と、セパレータと、非水電解液とを備えたリチウム二次電池であって、
    前記負極活物質含有層は、前記集電体の表面に形成された、Liと合金化が可能な元素または前記元素を含有する化合物を含む負極活物質含有層(I)と、前記負極活物質含有層(I)の表面に形成された、Liイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を含み、かつ厚みが20μmを超え100μm以下の負極活物質含有層(II)とを有していることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 負極活物質含有層(I)の含むLiと合金化が可能な元素または前記元素を含有する化合物が、Si、Sn、またはこれらの酸化物である請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 負極活物質含有層(II)の含む炭素材料が、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、有機高分子化合物の焼成体、またはメソカーボンマイクロビーズである請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
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