以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1及び図2は、本願発明に係る表示装置を含むノートブック型パーソナルコンピュータの斜視図である。このノートブック型パーソナルコンピュータ1(以下、単に「ノートパソコン1」という。)は、ユーザが携帯可能とされ、例えば文書作成、表計算及び画像処理等のソフトウェアが動作されることによりユーザが各種の作業等を行い得るものである。なお、図1及び図2におけるノートパソコン1の正面側を前面側、背面側を後面側といい、ノートパソコン1を正面視して右側及び左側ということにする。
ノートパソコン1は、外部表面に複数のキートップを有するキーボード2aやポインティングパッド2bを備え、内部にCPUやハードディスク(いずれも図示略)を備えるキーボード装置2と、例えば液晶ディスプレイを備える表示装置3とによって構成されている。キーボード装置2と表示装置3は平面視で横長長方形の形状を有している。表示装置3は、キーボード装置2の後面2箇所でヒンジにより結合され、キーボード装置2に対して前後方向に折り畳み自在とされている。図1は、表示装置3がキーボード装置2に対して折り畳まれた状態を示しており、図2は、キーボード装置2に対して表示装置3が後面側に開かれた状態を示している。
表示装置3は、横長長方形で平板状のベース部4と、このベース部4とほぼ同一の形状とサイズを有する第1及び第2表示装置5,6と、上カバー7と、下カバー8とによって構成されている。なお、ベース部4は、ベース本体4aと裏面カバー4bとからなる。この表示装置3は、図3に示すように、第1及び第2表示部5,6のそれぞれがベース部4に対して当該ベース部4の面に沿って平行移動自在、すなわち、第1及び第2表示部5,6は、正面視で左右方向にスライド自在とされている。
より詳細には、第1及び第2表示部5,6は、上カバー7と下カバー8とによってこれらのカバー7,8の長手方向に移動可能に支持されており、図2に示すように、第1及び第2表示部5,6がベース部4に収納され、第1表示部5だけが見える状態(以下、この状態を「1画面状態」という。)と、図3に示すように、この1画面状態から第1表示部5を右側に引き出すとともに、第2表示部6を左側に引き出して第1及び第2表示部5,6が見える状態(以下、この状態を「2画面状態」という。)にすることができる。
第1及び第2表示部5,6は、後述するように表示領域をそれぞれ有しているが、1画面状態では第1表示部5の表示領域のみが正面からユーザによって視認でき、2画面状態では両表示部5,6の表示領域が同時にユーザによって視認できる。
なお、1画面状態は、従来のノートブック型パーソナルコンピュータにおける使用状態と同じであるから、第1表示部5にのみ画像を表示させることにより、従来のノートブック型パーソナルコンピュータと同様の使用が可能になるが、2画面状態では、第1表示部5と第2表示部6の表示方向(画面に垂直な方向)が平行で、しかもノートパソコン1の正面に居るユーザの方向に向いていないので、ユーザにとって両表示部5,6に表示された画像が見辛く、作業性が悪いと考えられる。本実施形態では、2画面状態から更に第1及び第2表示部5,6をそれぞれ、図4に示すように、内側にチルト自在としている。
すなわち、2画面状態では、第1表示部5は、左端を中心に前側(図4の矢印で示す方向)に所定の角度(およそ5度〜6度)だけ回動可能になされ、第2表示部6は、右端を中心に前側に所定の角度(およそ5度〜6度)だけ回動可能になされている。第1及び第2の表示部5,6をそれぞれチルトさせた状態(以下、この状態を「2画面チルト状態」という。)では、ユーザが位置している場合、第1及び第2の表示部5,6の表示方向がキーボード装置2のほぼ正面にいるユーザの方向に向くことになるので、2画面チルト状態では、両表示部5,6の表示領域をユーザにほぼ正面から視線を変えるだけで視認させることができる。
本実施形態に係るノートパソコン1は、図1〜図4に示したように、表示装置3が第1表示部5の表示領域と、第2表示部6の表示領域といった2つの表示領域を有し、1画面状態から第1表示部5を右側にスライドさせるとともに、第2表示部6を左側にスライドさせて2画面状態とし、更に第1表示部5と第2表示部6をそれぞれ内側にチルトさせてベース部4のほぼ中央で第1表示部5の左端と第2表示部6の右端の位置が揃った2画面チルト状態とするためのスライド機構とチルト機構とを備えていることを特徴としている。
ここで、本実施形態に係るノートパソコン1に採用しているスライド機構とチルト機構の基本的な構造について説明する。
第1表示部5や第2表示部6のような厚みの薄い横長長方形の板状体を長手方向にスライド移動させた後に回動させることのできる機構として、例えば、板状体の上側面と下側面にそれぞれ帯状のガイド溝を形成し、板状体を支持する支持体に一対のガイドピンを設け、各ガイドピンを板状体の上側面のガイド溝と下側面のガイド溝とに嵌入させる構造が知られている。
この構造では、支持体に設けられた一対のガイドピンをそれぞれ板状体の上側面のガイド溝と下側面のガイド溝とに嵌入させることによって板状体が支持体にスライド可能に支持される。板状体を長手方向に引いたり、押したりすると、支持体に設けられた一対のガイドピンが板状体の上下の側面に形成されたガイド溝に沿って相対移動し、板状体がガイド溝に沿う方向に移動する(スライド動作)。また、板状体は一対のガイドピンによってガイド溝上の一点で支持されるので、板状体の端部を前後に(盤面に対して垂直方向に)押したり、引いたりすると、板状体はガイドピンによる支持点を回転軸として回動する(チルト動作)。
したがって、この構造を本願発明に係るノートパソコン1に適用することが考えられる。しかしながら、上記の構造をノートパソコン1に適用した場合、1画面状態では第1表示部5と第2表示部6とが重なり、第1表示部5に形成されるガイド溝と第2表示部6とに形成されるガイド溝が前後に並設されることになるので、これに応じて第1表示部5のガイドピンと第2表示部6のガイドピンの位置が前後方向にずれることになる。第1表示部5と第2表示部6をそれぞれ左右に引き出して2画面状態にした状態からチルト動作をさせる場合はガイドピンがチルト動作の回動軸として機能するので、第1表示部5のガイドピンと第2表示部6のガイドピンが位置ずれをしていることによって、ベース部4のほぼ中央で第1表示部5の左端と第2表示部6の右端の位置を揃えることができない。
例えば、第1表示部5に対する一対のガイドピンと第1表示部6に対する一対のガイドピンを上カバー7と下カバー8の長手方向における中央位置に配置した場合は、2画面状態にしたときに第1表示部5に対するガイドピンは第1表示部5の左端に位置し、第2表示部6に対するガイドピンは第2表示部6の右端に位置することになる(すなわち、第1表示部5の左端と第2表示部6の右端とが前後方向に位置ずれした状態となる)ので、この状態で第1及び第2表示部5,6をそれぞれチルト動作させても第1表示部5の左端と第2表示部6の右端が揃うことはない。
一方、上カバー7と下カバー8の長手方向における第1表示部5に対する一対のガイドピンの位置と第1表示部6に対する一対のガイドピンの位置を異ならせた場合は、2画面状態にしたときに第1表示部5に対するガイドピンの位置を第1表示部5の左端から右側にずらせ、第2表示部6に対するガイドピンの位置を第2表示部6の右端から左側にずらせることができるので、2画面チルト状態における第1表示部5の左端と第2表示部6の右端のずれは、上カバー7及び下カバー8の長手方向におけるガイドピンの位置を中央に配置した場合よりも緩和することできる。
しかしながら、2画面状態では、正面から見ると、第1表示部5の左端と第2表示部6の右端との間に隙間がない状態(前後方向では段差が生じている)になっているので、この状態から第1及び第2表示部5,6をそれぞれ内側にチルトさせると、第1表示部5の左端と第2表示部6の右端とが前後方向に移動することにより、両者の間に隙間ができるという不都合が生じる。
また、チルト動作で第1表示部5の左端と第2表示部6の右端の前後方向における位置を揃えるようにすると、第1表示部5に対するガイドピンの位置と第2表示部6に対するガイドピンの位置が前後方向でずれているので、第1表示部5を内側にチルトさせる角度と第2表示部6を内側にチルトさせる角度とが異なる(ユーザから第1表示部5と第2表示部6が左右対称に配置されているように見えない)という不都合もある。
そこで、本実施形態に係るノートパソコン1では、図5に示すようなスライド機構とチルト機構を採用している。
図5は、第1表示部5に採用しているスライド機構及びチルト機構の概念図を示したもので、(a)〜(c)はそれぞれ1画面状態、2画面状態、2画面チルト状態の状態に相当している。なお、以下では、図5の手前側を前側とし、上下左右の方向は前側から見た方向として説明する。
図5において、板状体100は第1表示部5に対応する部材である。板状体100の上側面には長手方向に沿って帯状のガイド溝101が形成され、下側面にも長手方向に沿って帯状のガイド溝(図では見えていない)が形成されている。板状体100の上下の側面の左端にはそれぞれガイドピン102とガイドピン103が突設されている。
一方、板状体100を支持する支持部材(図示省略)には、板状体100の上側面の左端部に対向する位置に板状体100の長手方向に沿うようにL字状のガイド溝104が形成されている。板状体100の上側面の左端部に対向する位置にも板状体100の長手方向に沿うようにL字状のガイド溝105が形成されている。また、支持部材(図示省略)には、1画面状態で板状体100の右端部に対向する位置に回動軸106と回動軸110が設けられている。回動軸106にはL字状のアーム107が回動自在に取り付けられ、アーム107の屈曲した先端部分には一対のガイドピン108,109が下方に突設されている。回動軸110にもL字状のアーム111が回動自在に取り付けられ、アーム111の屈曲した先端部分には一対のガイドピン112,113が上方に突設されている。
板状体100は、ガイドピン102とガイドピン103をそれぞれガイド溝104とガイド溝105に嵌入させるとともに、上側のガイド溝101にアーム107に突設された一対のガイドピン108,109を嵌入させ、かつ、下側のガイド溝(図では見えていない)にアーム111に突設された一対のガイドピン112,113を嵌入させて支持部材にスライド可能に支持される。
図5に示す板状体100の支持機構に含まれるスライド移動を可能にする構成は、実質的に、上下の側面にそれぞれスライド方向に帯状のガイド溝を設け、各ガイド溝に3個のガイドピンを嵌入させた構成と見ることができる。板状体100がスライド移動するときには、一定の間隔を設けて直線状に配置された3個のガイドピンが同一のガイド溝上を移動するので、板状体100がガイド溝に沿う姿勢に保持され、1個のガイドピンがガイド溝上を移動する場合のようなガタツキが生じることがない。
なお、上側のスライド機構について言えば、ガイドピン108とガイドピン109の間隔は比較的狭いので、両者を纏めて1個のガイドピンと見れば、その1個のガイドピンとガイドピン102とで実質的に板状体100のスライド移動中におけるガタツキが防止されていると言える。そうすると、本実施形態に係るノートパソコン1に適用しているスライド機構は、直線状に一定の距離を設けて配置された2つのガイドピンを同一のガイド溝に嵌入させ、板状体100がスライド移動する際に、2つのガイドピンを同一のガイド溝上で移動させるという考えに基づくものと言うことができる。下側のスライド機構についても同様である。
次に、図5に示す板状体100の支持機構に含まれるチルト動作を可能にする構成は、チルト動作おける一対の回動軸106,110を支持部材に設け、これらの回動軸106,110にそれぞれアーム107,111を介して板状体100を回動自在に取り付けた構成と見ることができる。アーム107,111と板状体100とは固定されていないが、2画面状態で板状体100をチルトさせるときには、上側のアーム107の一対のガイドピン108,109のガイド溝101における位置は変化せず、実質的にアーム107が板状体100に固定されている状態となっている。下側のアーム110についても同様である。これは、チルト動作のときは、図5(c)に示すように、ユーザから板状体100に矢印方向の力が加えられ、この力の方向はガイドピン108,109をガイド溝101に対して直交する方向で移動させる方向だからである。
したがって、チルト動作では、アーム107,111及び板状体100が一体となって回動軸106,110を中心に回動することになるが、これは、回動軸106,110を中心に板状体100全体を回転移動させて板状体100の左端の位置調整と板状体100の板面の向く方向の調整とを行っていると言える。
上記のように、板状体100の支持機構は、板状体100を1画面状態からスライド移動させて2画面状態にした後に、板状体100の外部の回転軸を中心に板状体100全体を回転させて2画面チルト状態に変化させる機構である。そして、この機構の主要な構成は、支持部材にチルト動作の回動軸を設ける一方、板状体100のスライド機構を構成するガイドピンとガイド溝のうち、ガイド溝を板状体100側に形成し、ガイドピンを回動軸に回動可能に取り付けられるアームに設け、このアームを介して板状体100が支持部材にスライド可能かつチルト可能に支持される構成(ガイド溝101、回動軸106,110、アーム107,111、ガイドピン108,109、112,113の部分)となっている。
なお、ガイドピン102,103とガイド溝104,105は、スライド機構及びチルト動作の要素ではあるが、主として板状体100のスライド移動及びチルト動作中のガタツキを防止し、スムーズかつ安定した移動を実現する機能を果たしている。アーム107に設けられる一対のガイドピン108,109の間隔とアーム111に設けられる一対のガイドピン112,113の間隔を比較的長くすれば、板状体100のスライド移動における安定性を向上できるので、ガイドピン102,103及びガイド溝104,105を除くことも可能である。
しかしながら、ノートパソコン1では、第1及び第2表示部5,6が重なった1画面状態においては、例えば重なった状態で第1表示部5のみを表示させる場合や例えばユーザがノートパソコン1を携帯する場合等が想定され、そのような場合には1画面状態が保持されることが望ましい。また、第1及び第2表示部5,6を同時に表示させる場合は2画面チルト状態が保持されることが望ましく、2画面状態から2画面チルト状態にチルトさせるときにも1画面状態に戻らないようにすることが望ましい。
したがって、携帯時や作業時における機器の安定性から、1画面状態〜2画面チルト状態で第1及び第2表示部5,6の移動を規制し、各状態の姿勢を保持するロック機構が必要になるが、例えば、ガイド溝101とアーム107に設けたガイドピン108,109とによるスライド機構にそのロック機構まで設けるのは、機構が複雑になるとともに、配置スペース上の制約も大きいので容易ではない。
そこで、本実施形態では、ガイドピン102,103及びガイド溝104,105に相当する構成を設け、これらのスライド機構と、板状体100の上側面に形成したガイド溝101、下側面に形成したガイド溝(図5では見えていない)及びガイドピン108,109,112,113で構成されるスライド機構とでスライド移動の安定性を確保するとともに、例えば、ガイドピン102及びガイド溝104で構成されるスライド機構に相当する部分にロック機構を設けている。
なお、図5では、ガイドピン102,103及びガイド溝104,105によるガイド機構及びロック機構が板状体100の左端部に設けられることになるが、このガイド機構の位置は板状体100の左端部に限られるものではなく、例えば、ガイド機構を板状体100の背面側に設けることもできる。すなわち、板状体100の背面に対向する支持部材の側面にガイド溝104,105に相当するガイド部材を設け、板状体100の背面にガイドピン102,103に相当するピン部材を設け、これらのピン部材を支持部材側のガイド部材に嵌入させる構成とすることもできる。本実施形態では、後述するように、第2表示部6に対するスライド機構及びチルト機構にこの構成を採用している。
次に、本実施形態に係るノートパソコン1では、例えば、キーボード装置2で2つのアプリケーションが起動されると、両アプリケーションでそれぞれ表示すべき画像信号が作成されるが、1画面状態では両画像信号が第1表示部5に転送されて当該第1表示部5の表示領域に重ね表示や並列表示等が行われる。一方、ユーザが一画面状態から2画面チルト状態に切り換えると、一方のアプリケーションで作成された画像信号が第1表示部5に転送されるとともに、他方のアプリケーションで作成された画像信号が第2表示部5に転送され、両画像信号がそれぞれ第1表示部5の表示領域と第2表示部6の表示領域に分かれて表示されるようになる。
したがって、ノートパソコン1では、キーボード装置2で生成された画像信号を第1表示部5と第2表示部6とに転送するための配線が必要になる。その一方、表示装置3は、キーボード装置2に対して前後方向に折り畳み自在であり、更に表示装置3側の第1表示部5と第2表示部6とは、ベース部4に対してスライド自在かつチルト自在であるので、キーボード装置2から第1表示部5と第2表示部6とに画像信号を転送するための配線に対して非常に大きな経路上及びスペース上の制約がある。
このため、本実施形態に係るノートパソコン1では、ベース部4と第1及び第2表示部5,6とにそれぞれ中継基板を設け、キーボード装置2で生成した画像信号やこの画像信号の表示を制御するための表示制御信号等を全て一旦、ベース部4の中継基板に転送し、この後、第1表示部5に表示すべき画像信号やその表示制御信号等を当該第1表示部5の中継基板に、また、第2表示部6に表示すべき画像信号やその表示制御信号等を当該第2表示部6の中継基板にそれぞれ転送する構成としている。そして、第1表示部5では、中継基板で受け取った画像信号やその表示制御信号等を当該第1表示部5内の表示制御回路に転送して第1表示部5の表示領域に画像信号を表示させ、第2表示部6では、中継基板で受け取った画像信号やその表示制御信号等を当該第2表示部6内の表示制御回路に転送して第2表示部6の表示領域に画像信号を表示させるようにしている。
上記のように、1画面状態ではベース部材4、第1表示部5及び第2の表示部6が重なり合った状態となり、2画面状態及び2画面チルト状態では第1表示部5と第2の表示部6とが並設されるようにベース部材4に対する第1表示部5と第2表示部6の位置が左右に変化するので、1画面状態、2画面状態及び2画面チルト状態のそれぞれでベース部材4の中継基板に対する第1表示部5の中継基板の相対位置とベース部材4の中継基板に対する第2表示部6の中継基板の相対位置とが変化する。
このため、本実施形態に係るノートパソコン1では、後述するように、ベース部材4の中継基板と第1表示部5及び第2表示部6の各中継基板との配線構造についても工夫をしている。
以下、表示装置3のスライド及びチルトの機構、中継基板間の配線、ロック機構について詳細構造を説明する。
まず、スライド及びチルトの機構について、図6〜図12を用いて説明する。なお、図面を見やすくするために、図6〜図12では中継基板間の配線構造やロック機構に関する部分を部分的に省略している。
図6は、第1表示部5の分解斜視図である。第1表示部5は、平板状のベース部材11と、液晶パネル12aを有する液晶ユニット12と、枠体13とによって概略構成されている。
ベース部材11は、液晶パネル12aとほぼ同等の大きさを有しており、液晶ユニット12に対向する面(内面)であって右端下部に第1中継基板14が取り付けられている。第1中継基板14は、上述した第1表示部5に設けられる中継基板である。この第1中継基板14については、後段の中継基板間の配線の説明の部分で説明する。
ベース部材11の上端近傍及び下端近傍には、上端及び下端に沿って一対のレール部材15,16がビス止めによって取り付けられている。一対のレール部材15,16は、図5のガイド溝101に相当し、第1表示部5の左右方向の移動をガイドするためのものである。各レール部材15,16は、ベース部材11の上端及び下端の長手方向の長さとほぼ同等の長さを有しており、断面視で半円状のレール溝15a,16aをそれぞれ有している。レール部材15,16は、帯状の板材を長手方向に沿ってほぼ半分に折り曲げ、一方の平板部に取り付け部分を形成し、他方を半円状に曲げ加工によりレール溝の部分を形成したものである(図9のレール部材15,16の断面形状参照)。
また、表示装置3の小型化、軽量化の観点から第1表示部5の幅は可及的に狭くする必要があるので、レール部材15,16の幅寸法を第1表示部5の幅とほぼ同一にし、レール部材15,16をベース部材11に取り付けることによって第1表示部5の上側面と下側面とが形成される構成となっている。詳細は後述するが、レール溝15a,16aは、第1及び第2連結部材21,22に支持される鋼球26を転動させるものである。したがって、レール溝15a,16aの径は、鋼球26の径とほぼ同一になっている。
レール部材15,16のうち、ベース部材11の上端側に設けられるレール部材15は、図9(b)に示すように、レール溝15aが上方を向くように取り付けられ、ベース部材11の下側面側に設けられるレール部材16は、レール溝16aが下方を向くように取り付けられる。
液晶パネル12aは、液晶を用いた表示器であり、例えば外光、フロントライト又はバックライト等の光源からの光を遮断したり透過したりして多種多様の表示を行うものである。なお、液晶パネルに代えて、プラズマを利用したパネルや有機EL(Organic Electro-Luminescence)を利用したパネル等が採用されてもよい。
枠体13は、液晶ユニット12の周囲を保護するとともに化粧板としての機能を有するものであり、中央に液晶パネル12aの表示領域と同程度の大きさを有する開口13aが形成されている。
なお、ベース部材11には、上側面と下側面の左端に一対のシャフト17,18がそれぞれ取り付けられている。この一対のシャフト17,18は、それぞれ図5のガイドピン102,103に相当する機能を果たす部材である。
第2表示部6は、図5のガイド溝101に相当する構成については、第1表示部5と同様の構成とされている。したがって、図7、図10に示すように、第2表示部6の上端に、レール溝19aが上側面に設けられるようにレール部材19が取り付けられている。また、図7、図10には見えていないが、第2表示部6の下端に、レール溝10aが下側面に設けられるようにレール部材20が取り付けられている。レール部材19,20は、レール部材15,16と同一の形状のものである。
なお、第2表示部6の上側面には、図5のガイドピン102,103に相当する機能を果たす部材(第1表示部5の一対のシャフト17,18に対応する部材)は設けられていない。第2表示部6では、上述したように、背面側に図5のガイドピン102,103に相当する機能を果たす部材を設けているからである。この構成については後述する。
図7は、表示装置3を後面側から見た第1ないし第4連結部材21,22,31,32の取り付け構造を示す斜視図である。なお、同図では、上カバー7、下カバー8及びベース部4の裏面カバー4bが省略されている。
図7におけるベース部本体4aの左端には、上下一対の第1及び第2連結部材21,22が設けられている。第1連結部材21は、図5の回動軸106,アーム107及びガイドピン108,109によって構成される部材に相当し、第2連結部材22は、図5の回動軸110,アーム111及びガイドピン112,113によって構成される部材に相当している。第1及び第2連結部材21,22は、ベース部本体4aと第1表示部5とを連結するとともに、第1表示部5が左右方向にスライド移動されたり前後方向にチルト移動されたりするとき、第1表示部5を支持するためのものである。第1連結部材21は、ベース部本体4aの上端近傍にビス止めされて取り付けられている。また、第2連結部材22は、ベース部本体4aの下端近傍にビス止めされて取り付けられている。
第1連結部材21は、図8に示すように、略L字状の本体部23と、シャフト24と、シャフト24を支持するためのシャフト支持部25と、複数(図7では2個)の鋼球26と、これらの鋼球26を支持するための鋼球支持部27とによって構成されている。シャフト24は、図5の回動軸206に相当し、本体部23、シャフト支持部25及び鋼球支持部27は、図5のアーム107に相当し、2つの鋼球26はそれぞれ図5のガイドピン108,109に相当している。
図5では、板状体100の上側面に形成されたガイド溝に案内される部材をピンとしたが、本実施形態では、第1表示部5の上側面に設けられるレール溝15aと下側面に設けられるレール溝16aとに案内される部材を鋼球26としている。これは、第1表示部5のスライド移動に伴ってレール溝15a,16aに案内される部材の摩擦力を可及的に低減し、スムーズなスライド移動を可能にするとともに、第1及び第2連結部材21,22がそれぞれ厚みの小さい上カバー7と下カバー8の内部に配置されるので、可及的に小型化にするためである。
本体部23の一端及びシャフト支持部25には、第1連結部材21がシャフト24に回動可能に支持される嵌合孔を形成するための半円形状の嵌合溝23a,25aがそれぞれ形成されている。嵌合溝23a,25aの径は、シャフト24の円柱部分24aの径よりも僅かに小さく設定され、シャフト24は所定の摩擦力で回転できる状態で嵌合孔に取り付けられるようになっている。本体部23にシャフト24の円柱部分24aを挟み込むようにしてシャフト支持部25がビス止めされることにより、嵌合溝23aと嵌合溝25aが合わさって形成される嵌合孔にシャフト24が所定の摩擦力で回動可能に支持される。
また、本体部23及び鋼球支持部27には、鋼球26を転動自在に支持する球状の溝を形成するための半円形状の転動支持溝23b,27bがそれぞれ形成されている。転動支持溝23b,27bの径は鋼球26の径と略同一であるが、転動支持溝23bと転動支持溝27bとが合わさってできる球状の溝の円形開口部分の径は鋼球26より僅かに小さくなるようになっている。これは、球状の溝に嵌め込まれた鋼球26の抜けを防止するためである。
本体部23に、鋼球26を挟み込むようにして鋼球支持部27がビス止めされることにより、転動支持溝23bと転動支持溝27bとが合わさって形成される2つの球状の溝にそれぞれ鋼球26が転動可能に支持される。球状の溝に支持された鋼球26の一部は当該球状の溝の表面から突出される。この鋼球26の突出部分は、第1表示部5を上カバー7と下カバー8とで挟むように支持する際に、図9に示すように、上記した第1表示部5の上側のレール部材15のレール溝15aに接触される。
第2連結部材22は、第1連結部材21と略同様の構成からなる。すなわち、第2連結部材22の本体部28(図7参照)には、シャフト29が嵌合され、シャフト29は、ベース部本体4aの下端近傍に取り付けられる。また、本体部28から鋼球26の一部が突出するように配され、この鋼球26の突出部分は、第1表示部5を上カバー7と下カバー8とで挟むように支持する際に、上記した第1表示部5の下側のレール部材16のレール溝16aに接触される。
なお、第2連結部材22の本体部28の厚みA2(図7参照)は、第1連結部材21の本体部23の厚みA1(図7参照)より大きく設定されている。これは、第1表示部5の第1中継基板14とベース部4に設けられる中継基板とを接続するFPC(Flexible Printed Circuit)からなるケーブルの配線経路として下側の第2連結部材22を沿わせるようにしているので、第2連結部材22の厚みA2をFPCケーブルの幅寸法に合わせているためである。この配線経路を採用しないのであれば、第2連結部材22の本体部28の厚みA2は第1連結部材21の本体部23の厚みA1と同一にすることができる。
ユーザが第1表示部5を長手方向(左右方向)に引いたり、押したりすると、第1及び第2連結部材21,22に転動自在に支持される各鋼球26が図9に示した第1表示部5のレール部材15,16のレール溝15a,16aに沿って転動する。すなわち、図9(b)の拡大図に示すように、第2連結部材22から突出した鋼球26は、第1表示部5の下端に取り付けられたレール部材16のレール溝16aに沿って転動し、第1連結部材21から突出した鋼球26は、第1表示部5の上端に取り付けられたレール部材15のレール溝15aに沿って転動する。したがって、これにより、第1表示部5は左右方向に移動する。なお、図9(a)は上面図であり、図9ではベース部4、第2表示部6等は省略されている。
図7に戻り、ベース部4の中央やや右寄りには、上下一対の第3及び第4連結部材31,32が設けられている。第3連結部材31は、第2表示部6に対して、第1表示部5の第1連結部材21と同一の機能を果たすものであり、第4連結部材32は、第2表示部6に対して、第1表示部5の第2連結部材22と同一の機能を果たすものである。したがって、第3及び第4連結部材31,32は、ベース部本体4aと第2表示部6とを連結するとともに、第2表示部6が左右方向にスライド移動されたり前後方向にチルト移動されたりするとき、第2表示部6を支持する。第3連結部材31は、ベース部本体4aの上端近傍にビス止めされて取り付けられている。また、第4連結部材32は、ベース部本体4aの下端近傍にビス止めされて取り付けられている。
なお、第1及び第2連結部材21,22は、図10に示すように、正面から見てベース部4の右端部に取り付けられていたが、第3及び第4連結部材31,32は、ベース部4の長手方向の中心Nから少し左側に寄った位置に取り付けられている。このように、ベース部4における第1及び第2連結部材21,22と第3及び第4連結部材31,32の取り付け位置を異ならせているのは、図11,図12に示すように、2画面状態から、第1表示部5全体をシャフト24を中心に反時計回りに回動させるとともに、第2表示部6全体をシャフト34を中心に時計回りに回動させて2画面チルト状態にしたときに、第1表示部5の左端と第2表示部6の右端とがベース部4の中心Nで合わさり、第1表示部5の表示方向(図11,図12のM1の方向)の正面方向に対する傾き角θ1(図12参照)と第2表示部6の表示方向(図11,図12のM2の方向)の正面方向に対する傾き角θ2(図12参照)とがほぼ同一(本実施形態ではθ1,θ2は6度程度)となるようにするためである。
したがって、ベース部4における、第1及び第2連結部材21,22の取り付け位置の中心Nからの距離L1と、第3及び第4連結部材31,32の取り付け位置の中心Nからの距離L2とは、2画面状態から、第1表示部5全体をシャフト24を中心に反時計回りに回動させるとともに、第2表示部6全体をシャフト34を中心に時計回りに回動させて2画面チルト状態にしたときに、上述した関係を満たすように設定されている。
第3及び第4連結部材31,32は、第1及び第2連結部材21,22と略同様の構成である。第3連結部材31では、本体部33に嵌合されたシャフト34がベース部本体4aに取り付けられる。また、第4連結部材32は、本体部35に嵌合されたシャフト36がベース部本体4aに取り付けられる。ユーザが第2表示部6を長手方向(左右方向)に引いたり、押したりすると、第3及び第4連結部材31,32は、第2表示部6の一対のレール部材19,20のレール溝19a,20aに沿って鋼球26が転動することにより、第2表示部6は左右方向に移動する。なお、第4連結部材32の本体部35の厚みも、第2連結部材22の本体部28と同様の理由により、第3連結部材31の本体部33の厚みより大きく設定されている。
第3及び第4連結部材31,32は、前後方向の長さが第1及び第2連結部材21,22に比べ、小とされている。図7に示すように、例えば第3連結部材31の前後方向の長さB2は、第1連結部材21の前後方向の長さB1より小とされている。これは、第3及び第4連結部材31,32は、ベース部4に対して第1表示部5より近い第2表示部6を支持するためである。
なお、これら第1ないし第4連結部材21,22,31,32の構成は、上記した構成に限るものではない。例えば、第1ないし第4連結部材21,22,31,32の形状は略L字状に限らず、例えば略T字状や略三角形状等でもよい。また、2つの鋼球26同士の間隔や鋼球26の数等は、第1ないし第4連結部材21,22,31,32が第1及び第2表示部5,6を支持することによって、第1及び第2表示部5,6が安定して平行移動することができるのであれば、特に限定されるものではない。
図10は、1画面状態(重なり状態)における表示装置3を示し、(a)は上面図、(b)は正面図である。図11は、2画面状態における表示装置3を示し、(a)は上面図、(b)は正面図である。図12は、2画面チルト状態における表示装置3を示し、(a)は上面図、(b)は正面図である。なお、図10〜図12では、キーボード装置2、上カバー7及び下カバー8等は省略されている。また、1画面状態〜2画面チルト状態の各状態では、その状態を維持するために第1及び第2表示部5,6にロック機構が設けられているが、このロック機構については後述する。
この1画面状態において、上記ロック機構が解除された上で、ユーザが第1表示部5に手を添えて第1表示部5を右方向に引っ張ると、第1及び第2連結部材21,22に支持された鋼球26がレール部材15,16のレール溝15a,16aで転動することにより、図11に示すように、第1表示部5が右方向にスライド移動される。
また、ユーザが第2表示部6に手を添えて第2表示部6を左方向に引っ張ると、第3及び第4連結部材31,32に支持された鋼球26がレール部材19,20のレール溝19a,20aで転動することにより、図11に示すように、第2表示部6が左方向にスライド移動され、これにより2画面状態になる。
この2画面状態では、ユーザは第1表示部5及び第2表示部6をそれぞれ視認することができる。しかし、この2画面状態では、図11(a)に示すように、第1及び第2表示部5,6の境目部分において段差が生じている。そのため、ユーザの視点からの距離が第1表示部5と第2表示部6とで異なることになり、ユーザに違和感が生じる。そこで、本実施形態においては、チルト機能を設け、第1及び第2表示部5,6を中央寄りに傾けることのできるようにしている。
すなわち、図11に示す2画面状態において、ユーザが第1表示部5の右端に手を添えて手前方向に引くと、第1及び第2連結部材21,22がシャフト24,29を軸にして上面視で時計周りに回動することにより、図12に示すように、第1表示部5が手前側にチルトされる。
また、2画面状態において、ユーザが第2表示部6の左端に手を添えて手前方向に引くと、第3及び第4連結部材31,32がシャフト34,36を軸として上面視で反時計周りに回動することにより、図12に示すように、第2表示部6が手前側にチルトされる。
第1及び第2表示部5,6がチルトされると、第1表示部5の左端と第2表示部6の右端とがベース部4の中央付近で合わさり、これにより2画面チルト状態となる。
2画面チルト状態では、2画面状態のようにベース部4の中央付近で段差が生じることがなくなり、第1及び第2表示部5,6が中央付近で表面をほぼフラットにして接することになる。したがって、ユーザは、第1及び第2表示部5,6の表示領域を視点からほぼ等しい距離で視認することができる。また、ユーザには、第1及び第2表示部5,6の表示領域がそれぞれユーザの方を向くことになり、第1及び第2表示部5,6の表示領域をより良好に視認することができる。
このように、本実施形態においては、第1及び第2表示部5,6の2つの表示領域を備え、第1ないし第4連結部材21,22,31,32によって第1及び第2表示部5,6をスライド移動させるとともに、その後に第1及び第2表示部5,6をそれぞれベース部4に設けたシャフト24とシャフト34とを中心に回動させるようにチルト移動ができるので、2画面チルト状態では第1表示部5と第2表示部6との境界部分をほぼ一致させることができる。したがって、例えば第1及び第2表示部5,6の表示領域を交互に視認して作業を行うユーザは、ほぼ等しい距離で視認することができることから、良好に作業を行うことができる。
次に、中継基板間の配線の構造について、図13〜図19を用いて説明する。なお、図面を見易くするために、図13〜図19ではスライド及びチルトの機構やロック機構に関する部分を部分的に省略している。
図13は、第1表示部5内の中継基板間の配線の構造を示す図で、1画面状態における表示装置3を前面側から見た要部斜視図であり、図15は、第1及び第2表示部5,6内の中継基板間の配線の構造を示すための図で、表示装置3を前面側から見た2画面状態における要部斜視図である。図13,図15では、第1表示部5の液晶パネル12a、上カバー7及び下カバー8等が省略されている。また、図14は、図13において、第1中継基板14と第2中継基板44と制御基板43の接続関係の部分を抽出した図であり、図16は、図15において、第1中継基板14と第2中継基板44と制御基板43の接続関係の部分を抽出した図である。
なお、制御基板43は、主としてキーボード装置2から転送される第1及び第2表示部5,6に対する画像信号や表示制御信号等を第1表示部5と第2表示部6とに分配する制御するものであるから、キーボード装置2と第1及び第2表示部5,6との間で画像信号や表示制御信号等を中継するという意味では中継基板に相当する。
図13に示すように、第1表示部5のベース部材11の液晶ユニット12に対向する面の右端下部に横長長方形状の第1中継基板14が取り付けられている。また、第2表示部6のベース部材11の液晶ユニット12に対向する面の右端下部に第1中継基板14と同一形状の第2中継基板44が取り付けられている。そして、1画面状態では、図14に示すように、正面から見ると、第1中継基板14と第2中継基板44とが重なり合う位置関係となっている。
第1中継基板14の下辺のほぼ中央にコネクタが設けられ、このコネクタに第1ケーブル41が接続されている。第1ケーブル41は、この第1中継基板14とベース部4に取り付けられた制御基板43(図14参照)とを接続するものである。
第1表示部5の第1中継基板14は、第1ケーブル41を介してベース部4の制御基板43に接続されている。また、第1表示部5の第1中継基板14は、左辺のほぼ中央にコネクタが設けられ、このコネクタに接続される図示していないケーブルを介して第1表示部5の液晶パネル12aに接続されている。すなわち、第1中継基板14は、制御基板43から第1ケーブル41を介して転送される画像信号や表示制御信号等を図略のケーブルを介して第1表示部5の液晶パネル12aに伝達する。
第2表示部6の第2中継基板44も、図15に示すように、第1表示部6の第1中継基板14と同様の構成であり、下辺のほぼ中央に設けられたコネクタに第2ケーブル42が接続され、この第2ケーブル42を介して制御基板43に接続されている。また、左辺のほぼ中央にコネクタが設けられ、このコネクタに接続される図示していないケーブルを介して第2表示部6の液晶パネル12aに接続されている。すなわち、第2中継基板44は、制御基板43から第2ケーブル42を介して転送される画像信号や表示制御信号等を図略のケーブルを介して第2表示部6の液晶パネル12aに伝達する。
制御基板43は、ベース部4の第1及び第2表示部5,6に対向する面の下部に取り付けられ、図示していないが、キーボード装置2の内部に配置される表示用CPU等に図略のケーブルを介して接続されている。すなわち、制御基板43は、表示用CPU等からの画像信号や表示制御信号等を第1表示部5の第1中継基板14と、第2表示部6の第2中継基板44とに分配して伝達するものである。なお、表示用CPU等から制御基板43に送られる画像信号や表示制御信号等は、予め表示用CPU等で第1表示部5用と第2表示部6用とに分配され、制御基板43は、分配した画像信号等を第1及び第2中継基板14,44にそれぞれ伝達する中継基板であってもよい。
図2に示したように、表示装置3はキーボード装置2に対して前後方向に折り畳み自在となっているので、表示装置3内の第1表示部5の第1中継基板14とベース部4の制御基板43とを接続する第1ケーブル41は、下カバー8内を通さなければならない。第2表示部6の第2中継基板44とベース部4の制御基板43とを接続する第2ケーブル42についても、同様である。
一方、第1中継基板14は、第1表示部5が1画面状態から2画面状態にスライドすると、制御基板43に対して重なった状態(図14参照)から右側に離れた状態(図16参照)にその位置が変化する。このことは、第2中継基板44についても同様である。したがって、第1及び第2ケーブル41,42には、第1及び第2中継基板14,44の位置の変化に応じて形状が変化する機能が必要になる。
ベース部4の下端には第1表示部5をスライド及びチルト可能に支持する第2連結部材22が取り付けられ、この第2連結部材22の本体部23は下カバー8内に配置されるが、図14及び図16から明らかなように、ベース部4内の制御基板43から第2連結部材22を通って第1表示部5に到る経路は、第1表示部5のスライド移動に関係なく固定されている。第2表示部6に対する第4連結部材32について同様で、ベース部4内の制御基板43から第4連結部材32を通って第2表示部6に到る経路は、第2表示部6のスライド移動に関係なく固定されている。
したがって、本実施形態では、第1ケーブル14の配線経路のうち、ベース部4から第1表示部5に到る部分の経路(表示装置3の厚み方向の経路)を、制御基板43から下方に第2連結部材22の位置まで下ろした後、下カバー8内を第2連結部材22の本体部23に沿わせて第1表示部5の下方位置に到る経路としている(図14,図16参照)。そして、第1表示部5の下方位置から第1中継基板14のコネクタまで上がる経路では、その経路の中間にスライド方向に延びて折り返された部分を設け、この部分の形状を第1中継基板14の位置の変化に応じて変化させる(すなわち、折り返し点を変化させる)ようにしている。
第2ケーブル42の配線経路についても同様で、第2ケーブル42のベース部4から第2表示部6に到る部分の経路(表示装置3の厚み方向の経路)を、制御基板43から下方に第4連結部材32の位置まで下ろした後、下カバー8内を第4連結部材32の本体部23に沿わせて第2表示部6の下方位置に到る経路としている(図14,図16参照)。そして、第2表示部6の下方位置から第2中継基板44のコネクタまで上がる経路では、その経路の中間にスライド方向に延びて折り返された部分を設け、この部分の形状を第2中継基板44の位置の変化に応じて変化させる(すなわち、折り返し点を変化させる)構成としている。
上記のように、第1及び第2ケーブル41,42の配線経路は複雑で、しかも本実施形態に係るノートパソコン1では、その配線経路を、厚みの薄い下カバー8と厚みの薄い第1及び第2表示部5,6の内部に形成しなければならない(図15参照)。このため、第1及び第2ケーブル41,42は、例えばFPCといった屈曲自在な部材によって構成されている。FPCは、例えばポリエステルフィルム上に銅等を印刷又はエッチング等を施すことにより所望の回路を形成したものであり、本実施形態では、配線ケーブルとして用いている。
図17は、第1ケーブル41の展開図である。以下の説明では、図17における上下左右の方向を第1ケーブル41の上下左右の方向として説明する。
第1ケーブル41は、制御基板43のコネクタに接続される接続部41αと、接続部41αから所定長さD1だけ下方に延びた第1直線部41aと、第1直線部41aに対して左方向に屈折された第1屈折部41bと、第1屈折部41bから所定長さD2だけ左方向に延びた第2直線部41cと、第2直線部41cに対して上方向に屈折された第2屈折部41dと、第2屈折部41dから所定長さD3だけ上方向に延びた第3直線部41eと、第3直線部41eに対して左方向に屈折された第3屈折部41fと、第3屈折部41fから所定長さD4だけ左方向に延びた第4直線部41gと、第4直線部41gに対して上方向に屈折された第4屈折部41hと、第4屈折部41hから所定長さD5だけ上方向に延びた第5直線部41iと、第1中継基板14のコネクタに接続される接続部41βとによって構成されている。
ここで、所定長さD1は、図14を参照すると、制御基板43から第2連結部材22の高さ位置までの長さに相当し、所定長さD2は、第2連結部材22の本体部23の周囲を巻回する長さに相当し、所定長さD3は、第2連結部材22から第1表示部5内の下端にケーブル位置を変化させる長さに相当する。また、所定長さD4は、上述した折り返し部分を展開した長さであるが、図14及び図16に示されるように、第1表示部5のスライド移動にともなって第1中継基板14が移動してもその移動距離に不足を生じないように折り返し部分が十分に変形できる長さに相当し、所定長さD5は、第4直線部41gの高さ位置から制御基板43までの長さに相当する。
第1ケーブル41は、上記の構成により、図14に示すように、制御基板43から第2連結部材22の高さ位置まで下方に延び、第2連結部材22の本体部23の外周を包み込むように引き回され、一旦上方向に延びるとともに略水平方向に延び、所定位置41Aで折り返されて再度上方向に延び第1中継基板14に至る。
第2ケーブル42は、第1ケーブル41とほぼ同様の展開形態を有しているが、制御基板43から第4連結部材32を経由して第2中継基板44に至るため、第1ケーブル41に比べ、長さ及び寸法の点で多少異なる。具体的には、第1ケーブル41に比べて、所定長さD2と所定長さD4が短くなる。
第2ケーブル42は、図14に示すように、制御基板43から第4連結部材32の高さ位置まで下方に延び、第4連結部材32の本体部23の外周を包み込むように引き回され、一旦上方向に延びるとともに略水平方向に延び、所定位置42Aで折り返されて再度上方向に延び第2中継基板44に至る。
図16に示すように、ユーザが1画面状態から2画面状態に移行させる場合、第1表示部5が右方向にスライド移動し、それにともなって第1中継基板14も移動する。この場合、第1ケーブル41は、制御基板43と第1中継基板14との接続状態を維持しながら、第1中継基板14の移動によって変形される。すなわち、第1ケーブル41は、制御基板43から第2連結部材22で保持される部分(第1直線部41aから第2屈折部41dに至る部分)は、その形態が維持され、第4直線部41gにおける折り返し位置41Aを変位させながら変形される。
図18は、2画面状態における第2連結部材22と第1ケーブル41との位置関係を示す上面図である。より具体的には、図16における第2連結部材22と第1ケーブル41の部分を上から見た図である。
1画面状態から2画面状態に変化すると、第1表示部5では、図14及び図16に示されるように、第1中継基板14が第2連結部材22の左側から右側に位置を変化させ、この結果、第1ケーブル41の第4直線部41gは、上面視で第2連結部材22で保持される第2直線部41cと交差することになるが、第4直線部41gと第2直線部41cは、高さ方向において異なる位置にあるので、ケーブル自体が接触することはない。
また、図16に示すように、ユーザが1画面状態から2画面状態に移行させる場合、第2表示部6が左方向にスライド移動し、それにともなって第2中継基板44も移動する。この場合、第2ケーブル42は、制御基板43と第2中継基板44との接続状態を維持しながら、第2中継基板44の移動によって変形される。すなわち、第2ケーブル42は、制御基板43から第4連結部材32で保持される部分は、その形態が維持され、直線部における折り返し位置42Aを変位させながら変形される。
図19は、1画面状態における第4連結部材32と第2ケーブル42との位置関係を示す上面図である。より具体的には、図14における第4連結部材32と第2ケーブル42の部分を上から見た図である。
第2表示部6では、1画面状態で第2ケーブル42の第4直線部41gが、上面視で第4連結部材32で保持される第2直線部41cと交差することになるが、第4直線部41gと第2直線部41cは、高さ方向において異なる位置にあるので、ケーブル自体が接触することはない。また、1画面状態から2画面状態にかけては、第2中継基板44が第4連結部材32から遠ざかる方向に移動し、2画面状態では第2ケーブル42が上面視で第4連結部材32と交差することはない。
このように、第1及び第2中継基板14,44と制御基板43との間には、屈曲性を有するFPCによって構成される第1及び第2ケーブル41,42によって接続されているため、第1及び第2表示部5,6のスライド移動にともなって第1及び第2中継基板14,44が移動されても、制御基板43からの表示制御信号等を良好に第1及び第2中継基板14,44に伝達することができる。
また、第1及び第2表示部5,6が前後方向にチルト移動したとしても、制御基板43と第1及び第2中継基板14,44との接続状態を良好に維持することができる。
また、第1表示部5が第1の連結支持部材の回動によってベース部4に対してチルト動作をしても第1ケーブル41は第2連結部材22の表面に沿っているので、第2連結部材22の回動によって第1ケーブル41に過度な負荷が掛かることはない。同様に、第2表示部6が第2の連結支持部材の回動によってベース部4に対してチルト動作をしても第2ケーブル42は第4連結部材32の表面に沿っているので、第4連結部材32の回動によって第2ケーブル42に過度な負荷が掛かることはない。
次に、ロック機構について説明する。まず、第1表示部5のロック機構について、図20〜図24を用いて説明する。なお、図面を見やすくするために、図20〜図24ではスライド及びチルトの機構や中継基板間の配線構造に関する部分を部分的に省略している。
本実施形態に係る表示装置3では、第1及び第2表示部5,6が1画面状態から2画面を経て2画面チルト状態に移行することができるのであるが、1画面状態を保持するためのロック機構と、1画面状態から2画面状態にスライドした後に逆方向にスライドすることを禁止するためのロック機構が設けられている。
図20は、第1表示部5のロック機構を示す図で、1画面状態の第1表示部5を前面側から見た要部斜視図である。同図では、主として第1表示部5のベース部材11とベース部4の裏面カバー4bとを示しており、ベース部本体4a、第2表示部6、第1表示部5の液晶パネル12a、第1中継基板14、第3及び第4連結部材31,32並びに上カバー7及び下カバー8等は省略されている。
図20には詳細に示していないが、ベース部本体4a(図略)の上端及び下端には、一対のガイド部材51,52がそれぞれ設けられている。ガイド部材51は、図5のガイド溝104に相当し、第1表示部5のベース部材11の上端であって左端近傍において支持されたシャフト17(図5のガイドピン102に相当)を案内するためのものである。また、ガイド部材52は、図5のガイド溝105に相当し、ベース部材11の下端であって左端近傍において支持されたシャフト18(図5のガイドピン103に相当)を案内するためのものである。
図21は、ガイド部材51の構造を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。ガイド部材51は、上面視で略L字状に形成され、長手方向に沿ってガイド溝53が形成されている。図21において、ガイド溝53の左端には、ガイド部材51の上下方向に貫通する丸孔54が形成されている。また、ガイド溝53の右端には、ガイド部材51の短手方向に延びた部位51aに沿ってガイド部材51の上下方向に貫通する長孔55が形成されている。
丸孔54は、第1表示部5が1画面状態のときシャフト71が嵌まり込んで1画面状態を維持するためのものである。また、長孔55は、第1表示部5が2画面状態になると、シャフト17が嵌まり込んで第1表示部5が1画面状態に戻るのを禁止するものである。長孔55は、ガイド溝53の延設方向に対して略直交方向よりやや内側を向いた角度で形成されている。この角度は、第1表示部5が2画面状態からチルト動作をするとき、第1表示部5全体がシャフト24を中心に回転し、シャフト17の軌跡はシャフト24を中心とした円弧状となるので、そのシャフト17の軌跡に合わせることによって生じるものである。
図22は、丸孔54とシャフト17によるロック機構の動作を説明するための図である。シャフト17は、同図に示すように、先端が半球状をした棒状に形成されており、本体の所定位置に段差17aが形成されている。シャフト17は、後端に平坦部17bが形成されており、平坦部17bの中央には貫通孔17cが形成されている。
第1表示部5のベース部材11の上部左端近傍には、図20及び図22に示すように、略コ字状の支持片57が設けられており、シャフト17は、段差17aより下の部分が支持片57のコ字状部分を通るように上下動可能に取り付けられる。この取り付けの際、シャフト17の段差17aより下の部分にバネ56が遊嵌され、バネ56の下端が支持片57のコ字状部分で係止される。この構成により、シャフト17の段差17aにバネ56の伸張力が上方の付勢力として作用する。
シャフト17の平坦部17bには、ワイヤ58が連結されている。このワイヤ58は、ベース部材11の左右端に形成された2つの滑車60,61(図20参照)を介してベース部材11の右端に設けられた操作部62に接続されている。操作部62は、操作片62aと本体片62bとが一体成形されたものであり、本体片62bにワイヤ58が連結されている。本体片62bは、図20には示されていないが、ベース部材11に対して上下移動自在に支持されている。
一方、ガイド部材52は、ベース部材11に固着されているシャフト18を案内するものであるが、ガイド部材52にはガイド部材51と同様のガイド溝が設けられているだけで、丸孔54、長孔55に相当する部分は設けられていない。シャフト18にはシャフト17のようなロック機構が設けられていないからである。
シャフト17は、第1表示部5が図20における右方向に移動される際、ガイド部材51のガイド溝53によって案内される。また、シャフト18もガイド部材52のガイド溝によって案内される。これにより、ベース部材11は、ガイド部材51,52によって、上下から挟み込まれるので、移動時における安定性を確保することができる。
上記の構成によれば、図22(a)に示すように、シャフト17がガイド部材51の丸孔54の位置にある1画面状態では、バネ56による上方の付勢力により、シャフト17はガイド部材51の丸孔54に嵌まり込んだ状態となる。したがって、第1表示部5は、左右方向の移動が規制され、1画面状態においてロック状態となる。
この1画面状態において、例えばユーザが操作部62の操作片62aを下方(ワイヤ58を図20の矢印T1の方向に引っ張る方向)に操作すると、その操作力はワイヤ58を介してシャフト17に伝達され、図22(b)に示すように、バネ56を縮ませながらシャフト17が下方に移動する。したがって、1画面状態でガイド部材51の丸孔54に嵌まり込んでいたシャフト17は、丸孔54から抜脱される。
シャフト17が丸孔54から抜脱された状態で、図22(c)に示すように、第1表示部5がユーザによって右方向に移動され、操作片62aの下方操作が解除されると、シャフト17は、バネ56の付勢力によってその上端をガイド部材51のガイド溝53の底面に接触させながらガイド溝53に沿って移動する。また、図示しないが、シャフト18は、ガイド部材52のガイド溝に沿って移動する。すなわち、1画面状態におけるロック状態が解除される。
そして、さらに第1表示部5がユーザによって右方向に移動されれば、シャフト17は、ガイド部材51の短手方向に延びた長穴55の位置に到達する。すなわち、図23に示すように、第1表示部5がスライド移動された2画面状態になる。
図23は、第1表示部5のロック機構を示す図で、2画面状態の第1表示部5を前面側から見た要部斜視図である。第1表示部5が右方向に移動し、シャフト17が長穴55の位置に到達すると、バネ56の付勢力によりシャフト17は上方向に移動して長穴55(図21参照)に嵌まり込み、2画面状態となる。2画面状態でシャフト17が長孔55に一旦嵌まり込むと、上述したように、操作部62の操作によってロック状態を解除する(シャフト17を下方に引っ張る)ことがない限り、第1表示部5が逆方向にスライド移動することは禁止される。
図24は、第1表示部5のロック機構を示す図で、2画面チルト状態の第1表示部5を前面側から見た要部斜視図である。2画面状態で、ユーザが第1表示部5の右辺近傍に手をかざして手前側に引くと、第1及び第2連結部材21,22のシャフト24,29(図略)を軸にして第1及び第2連結部材21,22並びに第1表示部5が上面視で時計回りに回動する。この第1表示部5の回動によりシャフト17はベース部材4側に移動することになるが、この移動はガイド部材51の長穴55によってガイドされ、シャフト17は長穴55の後方側に移動する。すなわち、シャフト17が長孔55でガイドされることにより、第1表示部5の2画面状態から2画面チルト状態への移行をスムーズに行うことができる。
また、第1表示部5が2画面チルト状態に到達したときには、シャフト17が長孔55に嵌まり込んでいるので、第1表示部5が逆方向にスライド移動して1画面状態に戻ることはない。なお、2画面チルト状態で、操作部62によってロック状態を解除する操作が行われた場合、シャフト17は長穴55から抜けた状態になるが、下側のシャフト18はガイド部材52のガイド溝に嵌り込んだ状態であるので、これにより第1表示部5のスライド移動は禁止される。したがって、2画面チルト状態では、操作部62のロック状態の解除操作の有無に関係なく、第1表示部5は2画面状態に移行する動作しかできない。
なお、図21の示す構成では、ガイド部材51の長穴55は貫通孔としていたが、図21において、長穴55の上端(2画面チルト状態の位置)を除く部分にガイド溝53よりも深い底部を設けるようにしてもよい。これによれば、ガイド溝53と長穴55が交差する部分に段差ができるので、シャフト17がガイド溝53から長穴55に移動し、長穴55に嵌り込むと、第1表示部5は2画面状態から1画面状態に戻ることはできなくなる。また、この2画面状態から2画面チルト状態に移行すると、シャフト17が長穴55を移動し、上端に到達したときに貫通孔に嵌り込むので、第1表示部5は2画面チルト状態から2画面状態にも戻ることはできなくなる。すなわち、1画面状態、2画面状態及び2画面チルト状態の各状態でロックすることができる。
次に、第2表示部6におけるロック機構について、図25〜図30を用いて説明する。第2表示部6におけるロック機構及びロック解除機構は、上述したように第2表示部6の背面(ベース部4に対向する面)側に設けられている。
図25は、第2表示部6のロック機構のうち、第2表示部6のベース部材11に設けられ構成を示す要部斜視図である。また、図26は、第2表示部6のロック機構のうち、ベース部4のベース部本体4aに設けられ構成を示す要部斜視図である。これらの図では、第1表示部5、第2表示部6の液晶パネル12a及び第2中継基板44、ベース部4の裏カバー4b、第1及び第2連結部材21,22並びに上カバー7及び下カバー8等が省略されている。
図26に示すように、ベース部本体4aの中央には、横長の開口71が形成されている。開口71の上下端近傍には、一対のガイド部材72,73が設けられている。下側のガイド部材73は、第1表示部5に対する上側のガイド部材51に対応し、上側のガイド部材72は、第1表示部5に対する下側のガイド部材52に対応し、それぞれガイド部材52とガイド部材51と同様の機能を果たすものである。したがって、ガイド部材72には、図示しないが、ガイド部材52と同様のガイド溝が設けられている。また、ガイド部材73には、ガイド部材51と同様の丸孔(図27の丸孔75参照)とガイド溝(図27のガイド溝74参照)と長穴とが設けられている。
ガイド部材72,73は、シャフト76(図27参照)を案内するためのものである。すなわち、第2表示部6におけるロック機構では、一対のガイド部材72,73が一つのシャフト76を上下方向から挟み込むようにして案内する。
第2表示部6のベース部材11の裏面には、図26に示すように、略台形状の突起部77が形成されている。突起部77は、シャフト76をベース部材11の裏面からベース部4のベース部本体4a側に張り出すためのものである。突起部77には、図26,図27に示すように、凹陥部78が形成されている。凹陥部78の上下には、一対の支持部材77a,77bが形成されており、支持部材77a,77bには、シャフト76を垂直方向に貫通させるための図略の貫通孔が形成されている。
突起部77は、第2表示部6が図26における左右方向に移動されるにともない、ベース部本体4aの開口71内を右方向に移動する。
第2表示部6のベース部材11には、図25に示すように、開口11aが形成されている。ベース部材11の開口11aの近傍には、上下方向に変位自在な縦長の移動片80が設けられている。移動片80には、図27(a)に示すように、本体に略直交方向に延設された、シャフト76を把持するための把持部81が形成されている。シャフト76の把持部81と支持部材77aとの間にバネ79が遊嵌されている。この構成により、シャフト76の把持部81にバネ79の伸張力が下方の付勢力として作用する。
移動片80には、上下端近傍に貫通孔80a,80bがそれぞれ形成されている。移動片80は、上記貫通孔80a,80bにベース部材11に形成されたフック片11b,11cを貫通させてベース部材11に沿って配置される。
移動片80には、ワイヤ取付具82を介してワイヤ83が連結されている。ワイヤ83は、滑車84,85(図25参照)を介してベース部材11の左端近傍に設けられた操作部86に接続されている。操作部86は、操作片86aと本体片86bとが一体成形されたものであり、操作片86aにワイヤ83が連結されている。本体片86bは、ベース部材11に対して上下移動自在に支持されている。
上記の構成によれば、図27(a)に示すように、1画面状態では、ベース部材11に沿って配置された移動片80が把持部81にバネ79の付勢力が下方に作用するので、シャフト76はガイド部材73の丸孔74に嵌まり込んだ状態となる。したがって、第2表示部6は、左右方向におけるスライド移動が規制され、1画面状態においてロック状態となる。
この1画面状態において、例えばユーザが操作部86の操作片86aを下方(ワイヤ83を図25の矢印T2の方向に引っ張る方向)に操作すると、その操作力はワイヤ83及び移動片80を介してシャフト76に伝達され、図27(b)に示すように、バネ79を縮ませながらシャフト76が上方に移動する。したがって、1画面状態でガイド部材73の丸孔75に嵌まり込んでいたシャフト76は、丸孔75から抜脱される。
シャフト76が丸孔75から抜脱された状態で、第2表示部6がユーザによって左方向に移動され、操作片86aの下方操作が解除されると、シャフト76は、バネ79の付勢力によってその下端をガイド部材73のガイド溝74の底面に接触させながらガイド溝74に沿って移動する。また、シャフト76の上端は、ガイド部材72のガイド溝に沿って移動する。すなわち、1画面状態におけるロック状態が解除される。
そして、さらに第1表示部5がユーザによって右方向に移動されれば、シャフト76は、ガイド部材73の短手方向に延びた長穴の位置に到達する。すなわち、図28に示すように、第2表示部6がスライド移動された2画面状態になる。
図28は、第2表示部6のロック機構を示す図で、2画面状態の第2表示部6を前面側から見た要部斜視図である。第2表示部5が左方向に移動し、シャフト76が長穴の位置に到達すると、バネ79の付勢力によりシャフト76が下方向に移動して長穴に嵌まり込み、2画面状態となる。2画面状態でシャフト76が長孔に一旦嵌まり込むと、上述したように、操作部86の操作によってロック状態を解除する(シャフト76を上方に引っ張る)ことがない限り、第2表示部6が逆方向にスライド移動することは禁止される。
図29,図30は、第2表示部6のロック機構を示す図で、図29は2画面チルト状態の第2表示部6を前面側から見た要部斜視図、図30は2画面チルト状態の第2表示部6を後面側から見た要部斜視図である。
2画面状態で、ユーザが第2表示部6の左辺近傍に手をかざして手前側に引くと、第3及び第4連結部材31,32のシャフト34,36を軸にして第3及び第4連結部材31,32並びに第2表示部6が上面視で反時計回りに回動する。この第2表示部6の回動によりシャフト76はベース部材4側に移動することになるが、この移動はガイド部材73の長穴によってガイドされ、シャフト76は長穴の後方側に移動する。すなわち、シャフト76が長孔でガイドされることにより、第2表示部6の2画面状態から2画面チルト状態への移行をスムーズに行うことができる。
また、第2表示部6が2画面チルト状態に到達したときには、シャフト76が長孔に嵌まり込んでいるので、第2表示部6が逆方向にスライド移動して1画面状態に戻ることはない。
このように、本実施形態では、第1及び第2表示部5,6の1画面状態をロックするとともに、1画面状態から2画面状態に移行したときには逆方向へのスライドを禁止し、2が面状態と2画面チルト状態をロックするロック機構が設けているので、第1及び第2表示部5,6が重なった1画面状態を保持することができ、安定した状態で第1表示部5をユーザに視認させたり、ノートパソコン1を携帯させたりすることができる。また、第1及び第2表示部5,6が並設された2画面状態並びに並設された第1及び第2表示部5,6を多少内側に傾けた2画面チルト状態を保持することができ、安定した状態で第1及び第2表示部5,6をユーザに視認させることができる。
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、ノートブック型パーソナルコンピュータに本願発明を適用したが、本願発明を適用できる機器は、これらに限るものではなく、例えば携帯型のDVDプレーヤや車載用のナビゲーションシステム等の表示装置を有する電子機器等に適用することができる。また、上記実施形態で示した表示装置の外観、形状、サイズ等は一例にすぎず、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。