JP2009264167A - 燃料直噴エンジン - Google Patents

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吾一 片山
Hiroshi Tajima
寛 但馬
Kenichiro Iketani
健一郎 池谷
Hiroshi Sono
比呂志 園
Yoshimasa Kaneko
宜正 金子
Yukihisa Yamatani
幸久 山谷
Akihiro Yamaguchi
晃弘 山口
Nobuhiko Sasaki
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Abstract

【課題】 ペントルーフ型ピストンを備えた燃料直噴エンジンにおいて、バルブ孔の開口面積を確保しながらフュエルインジェクタが受ける熱害を軽減する。
【解決手段】 ピストン13のペントルーフ型の頂面に対向するシリンダヘッド16の下面の頂部16aの幅Aを、そこに開口するインジェクタ取付孔16bの直径Bよりも小さく形成したので、シリンダヘッド16の吸気バルブ孔17の直径を可及的に大きくしても、吸気バルブ孔17が前記頂部16aと干渉し難くなるため、吸気バルブ孔17の形状の変形を最小限に抑えて吸気効率を高めることができる。シリンダヘッド16の頂部16aの幅Aを小さくすると、フュエルインジェクタ23の先端部23aの露出量が増加して熱害を受け易くなるが、インジェクタ取付孔16bの開口縁を囲むように環状の遮熱ボス部16cをシリンダヘッド16の下面に突設したことで、フュエルインジェクタ23の先端部23aを熱害から保護することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、頂面のピストン中心軸方向の高さが円周方向に変化するピストンと、前記ピストンの頂面の中央部に凹設されたキャビティと、前記キャビティ内に燃料を噴射するフュエルインジェクタとを備えた燃料直噴エンジンに関する。
一般的に燃料直噴ディーゼルエンジンのピストンの頂面は平坦に形成されているが、ピストンの頂面をペントルーフ型に突出させた燃料直噴ディーゼルエンジンが、下記特許文献1により公知である。
このように、ピストンの頂面をペントルーフ型に形成すると、それに対向するシリンダヘッドの下面もペントルーフ型になるため、そこに開口する吸気バルブ孔や排気バルブ孔の開口面積を増加させて吸排気効率を高めることができる。
実開昭62−49620号公報
ところで上記従来のものは、シリンダヘッドのペントルーフ型の下面の頂部は尾根状に尖っておらず、フュエルインジェクタを装着するインジェクタ取付孔を形成できるように所定幅を有する平面状になっている。その結果、シリンダヘッドのペントルーフ型の下面の傾斜面の幅が減少し、吸気バルブ孔や排気バルブ孔の開口面積を充分に確保できなくなる問題がある。
この問題を解消するために、吸気バルブ孔や排気バルブ孔の直径をシリンダヘッドの下面の平面状の頂部と干渉するように拡大すると、吸気バルブ孔や排気バルブ孔の形状が前記平面状の頂部と干渉する部分で変形してしまい、その部分で吸気や排気の流れが乱れて吸排気効率が低下するという問題が発生してしまう。
そこで、シリンダヘッドのペントルーフ型の下面の頂部の幅を減少させ、傾斜面の幅を増加させることが考えられるが、このようにすると、ピストン中心軸上に配置されて先端がシリンダヘッドからピストン側に突出するフュエルインジェクタの先端部の露出量が増加するため、その先端部が燃焼した混合気の熱に晒され易くなってフュエルインジェクタの耐久性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ペントルーフ型ピストンを備えた燃料直噴エンジンにおいて、バルブ孔の開口面積を確保しながらフュエルインジェクタが受ける熱害を軽減することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ピストンピン軸線と平行に延びる頂部を挟んで傾斜する二つの傾斜面を含み、ピストン中心軸方向の高さが円周方向に変化するペントルーフ型の頂面を有するピストンと、前記ピストンのペントルーフ型の頂面に対向するペントルーフ型の下面に、前記二つの傾斜面に対向するバルブ孔が開口するシリンダヘッドと、前記ピストンの頂面の中央部に凹設されたキャビティと、前記シリンダヘッドのピストン中心軸上に穿設されたインジェクタ取付孔に装着され、複数の燃料噴射孔が形成された先端部が前記シリンダヘッドの下面の頂部から下方に突出するフュエルインジェクタとを備える燃料直噴エンジンにおいて、前記シリンダヘッドの下面の頂部の幅を前記インジェクタ取付孔の直径よりも小さく形成するとともに、前記インジェクタ取付孔の開口縁を囲むように環状の遮熱ボス部を前記シリンダヘッドの下面に突設したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記シリンダヘッドの遮熱ボス部は、ピストン中心軸から放射方向に延びる任意の半平面と交差する断面形状が、円周方向の全域に亘って略等しいことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、Nを2以上の自然数とし、前記キャビティの内壁面と、ピストン中心軸から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するN個の半平面とで、前記キャビティをN個の仮想的なキャビティ区分に区画したとき、前記各々の仮想的なキャビティ区分の容積が略等しくなるように、前記キャビティの内壁面の形状を設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
尚、実施の形態の吸気バルブ孔17および排気バルブ孔18は本発明のバルブ孔に対応する。
請求項1の構成によれば、ピストンのペントルーフ型の頂面に対向するシリンダヘッドのペントルーフ型の下面の頂部の幅を、そこに開口するインジェクタ取付孔の直径よりも小さく形成したので、シリンダヘッドの下面に形成されるバルブ孔の直径を可及的に大きくしても、そのバルブ孔がシリンダヘッドの下面の頂部と干渉し難くなるため、前記バルブ孔の形状の変形を最小限に抑えて吸排気効率を高めることができる。シリンダヘッドのペントルーフ型の下面の頂部の幅を小さくすると、フュエルインジェクタの先端部の露出量が増加して混合気の燃焼に伴う熱の影響が増加するが、インジェクタ取付孔の開口縁を囲むように環状の遮熱ボス部をシリンダヘッドの下面に突設したことで、フュエルインジェクタの先端部を熱害から保護することができる。
また請求項2の構成によれば、シリンダヘッドの遮熱ボス部のピストン中心軸から放射方向の断面形状を、円周方向の全域に亘って略等しくしたので、遮熱ボス部の各部に加わる熱負荷を均一化することができる。
また請求項3の構成によれば、ピストンの頂面の中央部に凹設したキャビティの内壁面と、ピストン中心軸から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するN個の半平面とで、キャビティをN個の仮想的なキャビティ区分に区画したとき、各々の仮想的なキャビティ区分の容積が略等しくなるようにキャビティの内壁面の形状を設定したので、キャビティにおける燃料および空気の混合状態を均一化してエンジンの出力向上および排気有害物質の低減を図ることができる。このとき、シリンダヘッドの遮熱ボス部のピストン中心軸から放射方向の断面形状を、円周方向の全域に亘って略等しくしたので、遮熱ボスを設けても各々の仮想的なキャビティ区分の容積の均一性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図13は本発明の実施の形態を示すもので、図1はディーゼルエンジンの要部縦断面図(図2の1−1線断面図)、図2は図1の2−2線矢視図、図3は図1の3−3線矢視図、図4はピストンの上部斜視図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図2の6−6線断面図、図7は図3の7−7線断面図、図8は図3の8−8線断面図、図9は図3の9−9線断面図、図10は補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図7に対応する図、図11は補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図8に対応する図、図12は仮想的なキャビティ区分の説明図、図13はキャビティ区分の方向を円周方向に変化させたときの、該キャビティ区分の容積の変化率を示すグラフである。
図1〜図6に示すように、燃料直噴型のディーゼルエンジンは、シリンダブロック11に形成されたシリンダ12に摺動自在に嵌合するピストン13を備えており、ピストン13はピストンピン14およびコネクティングロッド15を介して図示せぬクランクシャフトに接続される。シリンダブロック11の上面に結合されるシリンダヘッド16の下面に、ピストン13の頂面に対向する2個の吸気バルブ孔17,17と、2個の排気バルブ孔18,18とが開口しており、吸気バルブ孔17,17に吸気ポ−ト19が連通し、排気バルブ孔18,18に排気ポート20が連通する。吸気バルブ孔17,17は吸気バルブ21,21で開閉され、排気バルブ孔18,18は排気バルブ22,22で開閉される。ピストン中心軸Lp上に位置するようにフュエルインジェクタ23が設けられるとともに、フュエルインジェクタ23に隣接するようにグロープラグ24が設けられる。
ピストン13の頂面と、そこに対向するシリンダヘッド16の下面とは平坦ではなく断面三角形のペントルーフ状に傾斜しており、この形状により、吸気ポ−ト19および排気ポート20の湾曲度を小さくするとともに吸気バルブ孔17,17および排気バルブ孔18,18の直径を確保し、吸気効率および排気効率を高めることができる。ペントルーフ状に形成されたシリンダヘッド16の下面の頂部16a,16aは、ピストンピン14と平行に直線状に延びる平坦面であり、その幅A(図2参照)は極めて小さく設定されている。このように、シリンダヘッド16の下面の頂部16a,16aの幅Aを可及的に小さくすることで、吸気バルブ孔17,17および排気バルブ孔18,18の直径を最大限に確保することができる。シリンダヘッド16の下面には、前記頂部16a,16aの両側に連なって下向きに傾斜する一対の傾斜面16d,16dが形成される。
ピストン13の頂面には、ピストン中心軸Lpを中心とするキャビティ25が凹設される。キャビティ25の径方向外側には、ピストンピン14と平行に直線状に延びる頂部13a,13aから吸気側および排気側に向かって下向きに傾斜する一対の傾斜面13b,13bと、傾斜面13b,13bの下端近傍に形成されてピストン中心軸Lpに直交する一対の平坦面13c,13cと、頂部13a,13aの両端を平坦に切り欠いた一対の切欠き部13d,13dとが形成される。ピストン13の頂部13a,13aはシリンダヘッド16の頂部16a,16aに対向し、ピストン13の傾斜面13b,13bはシリンダヘッド16の傾斜面16d,16dに対向する。
ピストン中心軸Lpに沿うようにシリンダヘッド16に穿設されたインジェクタ取付孔16bに嵌合するフュエルインジェクタ23は、ピストン中心軸Lp上の仮想的な点である燃料噴射点Oinjを中心として円周方向に60°間隔で離間する6つの方向に燃料を噴射すべく、その先端部23aに6個の燃料噴射孔23b…を備える。インジェクタ取付孔16bの直径Bに対し、シリンダヘッド16の下面の頂部16a,16aの幅Aは小さく設定される。尚、インジェクタ取付孔16bの直径Bとは、インジェクタ23を燃焼室内に挿入するために必要なシリンダヘッド16の下面に形成される開口の直径である。前記6本の燃料噴射軸のうちの2本の第1燃料噴射軸Li1は、ピストン中心軸Lp方向に見てピストンピン14と重なっており、他の4本の第2燃料噴射軸Li2は、ピストンピン14の方向に対して60°の角度で交差している。またピストン中心軸Lpに直交する方向に見て、6本の第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2は斜め下向きに傾斜しており、その下向きの度合いは第1燃料噴射軸Li1については小さく、第2燃料噴射軸Li1については大きくなっている(図8および図9参照)。
尚、フュエルインジェクタ23が実際に燃料を噴射する燃料噴射孔23b…はピストン中心軸Lpから径方向外側に僅かにずれているが、前記燃料噴射点Oinjは前記第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2がピストン中心軸Lpと交差する点として定義される。
図1、図2、図5および図6から明らかなように、シリンダヘッド16の下面に開口するインジェクタ取付孔16bの開口部の周囲を囲むように環状の遮熱ボス部16cが下向きに突設される。図1および図5を比較すると分かるように、ピストン中心軸Lpを通る任意の半平面が遮熱ボス部16cと交差する断面形状は、円周方向の全ての位置で略一致している。
次に、図7〜図9を参照して先願発明(特願2006−175597号)のキャビティ25の断面形状を詳述する。先願発明のキャビティ25の断面形状を説明する理由は、先願発明のキャビティ25の断面形状を補正して本願発明のキャビティ25の断面形状を得るからである。図7はピストンピン14に対して直交する方向の断面であり、図8はピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面(第2燃料噴射軸Li2を含む断面)であり、図9はピストンピン14に沿う方向の断面(第1燃料噴射軸Li1を含む断面)である。
先願発明は、ピストン中心軸Lpを通る任意の断面において、キャビティ25の形状を可及的に一致させることを狙ったものである。キャビティ25の断面形状はピストン中心軸Lpを挟んで左右二つの部分に分かれており、その二つの部分は図9のピストンピン14方向の断面では概ね直線状に繋がっているが、図7のピストンピン14直交方向の断面と、図8のピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面とでは、ピストン13のペントルーフ形状に応じて山型に繋がっている。但し、キャビティ25の断面形状の主要部、つまり図7〜図9に網かけをして示す部分の形状は完全に一致している。
図7〜図9から明らかなように、ピストン中心軸Lpを中心として形成されたキャビティ25は、ピストン13の頂面から下向きに直線状に延びる周壁部25aと、周壁部25aの下端からピストン中心軸Lpに向かってコンケーブ状に湾曲する曲壁部25bと、曲壁部25bの径方向内端からピストン中心軸Lpに向かって斜め上方に直線状に延びる底壁部25cと、ピストン中心軸Lp上で底壁部25cの径方向内端に連なる頂部25dとで構成される。
キャビティ25に対向するシリンダヘッド16の下面を示す線L−R1,L−R2から下方に距離Haだけ離れて平行に延びるラインをピストン頂面基本線L−a1,L−a2とする。同様にシリンダヘッド16の下面を示す線L−R1,L−R2から下方に距離Hbcだけ離れて平行に延びる線をキャビティ底面基本線L−bc1,L−bc2とし、シリンダヘッド16の下面を示す線L−R1,L−R2から下方に距離Hdだけ離れて平行に延びる線をキャビティ頂部基本線L−d1,L−d2とする。
燃料噴射点Oinjを中心とする半径Raの円弧と前記ピストン頂面基本線L−a1,L−a2との交点をa1,a2とする。同様に燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rbの円弧と前記キャビティ底面基本線L−bc1,L−bc2との交点をb1,b2とし、燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rcの円弧と前記キャビティ底面基本線L−bc1,L−bc2との交点をc1,c2とし、燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rdの円弧と前記キャビティ頂部基本線L−d1,L−d2との交点をd1,d2とする。交点e1,e2は、前記交点d1,d2からピストン頂面基本線L−a1,L−a2に下ろした垂線が該ピストン頂面基本線L−a1,L−a2に交差する点である。
キャビティ25の周壁部25aは直線a1b1,a2b2の上にあり、キャビティ25の底壁部25cは直線c1d1,c2d2に一致し、キャビティ25の曲壁部25bは直線a1b1,a2b2および直線c1d1,c2d2を滑らかに接続する。
しかして、交点a1,c1,d1,e1あるいは交点a2,c2,d2,e2によって決まる網かけした断面形状が,ピストン中心軸Lpを通る任意の断面において等しくなるように、キャビティ25の形状が設定される。
前記交点a1,a2は本発明の第1特定点Anに対応し、前記交点e1,e2は本発明の第2特定点Bnに対応し、前記交点d1,d2は本発明の第3特定点Cnに対応するものである。
図8および図9に示す第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2を通る断面については、図9に示すピストンピン14方向の断面(燃料噴射断面S1)における網かけ部分と、図8に示すピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面(燃料噴射断面S2)における網かけ部分とは同形になる。
図9に示すピストンピン14方向の断面において、第1燃料噴射軸Li1がキャビティ25と交差する点を燃料衝突点P1とし、図8に示すピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面において、第2燃料噴射軸Li2がキャビティ25と交差する点を燃料衝突点P2とする。二つの燃料衝突点P1,P2は、網かけした同一形状の断面上の同じ位置に存在している。従って、燃料衝突点P2の位置は燃料衝突点P1の位置よりも低くなり、燃料噴射点Oinjから延びる第2燃料噴射軸Li2は第1燃料噴射軸Li1よりも更に下向きに燃料を噴射することになる。
燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P1までの距離D1は、燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P2までの距離D2に略一致する。また燃料衝突点P1におけるキャビティ25の接線と第1燃料噴射軸Li1とが成す燃料衝突角α1は、燃料衝突点P2におけるキャビティ25の接線と第2燃料噴射軸Li2とが成す燃料衝突角α2に略一致する。
以上のように先願発明によれば、ピストン中心軸Lpを通る任意の断面において、燃料噴射点Oinjの近傍のごく一部(交点e1,d1,d2,e2で囲まれた領域)を除いて、キャビティ25の断面形状が同一に形成されている。特に、第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2を含む二つの断面(図8および図9参照)においてもキャビティ25の断面形状が同一に形成されており、しかも前記二つの断面において燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P1,P2までの距離D1,D2が略等しく設定され、かつ燃料衝突点P1,P2における燃料衝突角α1,α2が略等しく設定されるので、キャビティ25の各部における空気および燃料の混合状態を円周方向に均一化し、混合気の燃焼状態を改善してエンジン出力の増加および排気有害物質の低減を図ることができる。
また図7および図8に示すピストン13の頂面が傾斜する断面においても、キャビティ25の開口のエッジ(交点a2の部分)が成す角度が、図9に示すピストン13の頂面が平坦な場合に比べて鋭角化することがないため、その部分の熱負荷を軽減して耐熱性を高めることができる。
ところで先願発明は、図7〜図9におけるキャビティ25の断面形状が、網かけをして示す部分では完全に一致しているものの、燃料噴射点Oinjの近傍の交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域で不一致になっている。その理由は、キャビティ25の断面形状のピストン中心軸Lpを挟む二つの部分が、図9のピストンピン14方向の断面では概ね直線状に繋がっているが、図7のピストンピン14直交方向の断面と、図8のピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面とでは、ピストン13のペントルーフ形状に応じて山型に繋がっているため、交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積が、図9のピストンピン14方向の断面で最も大きく、図8のピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面で減少し、図7のピストンピン14直交方向の断面で更に減少するためである。
本実施の形態は、交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積が最大になるピストンピン14方向のキャビティ25の断面形状(図9参照)を基準とし、その他の方向の断面形状を拡大する方向(つまり、キャビティ25の深さを増加させる方向)に補正することで、前記交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積の差異を補償し、キャビティ25の全ての方向の断面で空気および燃料の混合状態の一層の均一化を図るものである。
図10は、図7のピストンピン14直交方向におけるキャビティ25の断面形状の補正手法を説明するものであり、鎖線の形状は先願発明のものを示し、実線の形状は本実施の形態のものを示している。
本実施の形態によるキャビティ25の断面形状の補正は、交点b1および交点c1の位置を、それぞれ交点b1′および交点c1′となるように下方に移動させることで、網かけ部分の面積を増加させることにより行われる。
先ずキャビティ底面基本線L−bc1と、直線e1d1の下方への延長線との交点をf1として決定する。続いて交点f1を通るキャビティ底面基本線L−bc1を、交点f1を中心として所定角度βだけ下方に回転させ、新たなキャビティ底面基本線L−bc1′を設定する。続いて燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rbの円弧と新たなキャビティ底面基本線L−bc1′との交点を前記b1′として決定し、燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rcの円弧と新たなキャビティ底面基本線L−bc1′との交点を前記c1′として決定する。
しかして、補正後のキャビティ25の断面形状では、キャビティ25の周壁部25aは直線a1b1′の上にあり、キャビティ25の底壁部25cは直線c1′d1に一致し、キャビティ25の曲壁部25bは直線a1b1′および直線c1′d1を滑らかに接続している。
尚、キャビティ底面基本線L−bc1とピストン中心軸Lpとの交点をfとし、この交点fを中心としてキャビティ底面基本線L−bc1を所定角度βだけ下方に回転させることで、新たなキャビティ底面基本線L−bc1′を設定しても良い。
このように、キャビティ25の内壁面における経路AnCnのうち、経路AnCnの最下部から第3特定点Cnまでの区間は第2燃料噴射軸Li2と近接するが、その区間の形状を変化させることでキャビティ25の内壁面への燃料の付着を抑制して燃焼悪化を防止することができる。
本実施の形態では、正味平均有効圧力NMEPが、煤が発生しない状態で、先願発明に対して2%程度向上した。
図10は、図8のピストンピン14に対して60°で交差する方向におけるキャビティ25の断面形状の補正手法を説明するものであり、鎖線の形状は先願発明のものを示し、実線の形状は本実施の形態のものを示している。
図9(ピストンピン14方向)および図7(ピストンピン14直交方向)における交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積の差異に比べ、図9(ピストンピン14方向)および図8(ピストンピン14に対して60°で交差する方向)の前記面積の差異は小さいため、図11(ピストンピン14に対して60°で交差する方向)におけるキャビティ25の断面形状の拡大量は、図10(ピストンピン14直交方向)におけるキャビティ25の断面形状の拡大量よりも小さなものとなる。
以上、ピストン中心軸Lpの一側のキャビティ25の断面形状の補正について説明したが、ピストン中心軸Lpの他側のキャビティ25の断面形状の補正も全く同様にして行われる。
以上のように、本実施の形態によれば、先願発明が有する問題点、つまり燃料噴射点Oinjの近傍の交点e1,d1,d2,e2で囲まれた領域におけるキャビティ25の各断面形状の不一致が補償されるので、キャビティ25の各部における空気および燃料の混合状態を円周方向に一層均一化し、混合気の燃焼状態を改善してエンジン出力の更なる増加および排気有害物質の更なる低減を図ることができる。
図12は、本実施の形態によるキャビティ25の断面形状の補正を、別の視点で捕らえる説明図である。
同図において、キャビティ25の中心を通るピストン中心軸Lpから、6個の半平面X1〜X6が放射状に延びている。隣接する2個の半平面X1〜X6が成す角度(挟み角)は全て60°であり、各半平面X1〜X6の間を2等分する6本の2等分線は、ピストン中心軸Lpの方向に見て第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2と重なっている。キャビティ25は6個の半平面X1〜X6によって6個の仮想的なキャビティ区分25A〜25Fに分割されており、本実施の形態によれば、上述したキャビティ25の断面形状の補正により、6個のキャビティ区分25A〜25Fの容積を理論的には同一に設定することが可能である。
しかしながら、6個のキャビティ区分25A〜25Fの容積を完全に同一に設定する必要はなく、それを略同一に設定するだけでも、先願発明に比べて燃料の混合状態を円周方向により均一化することができる。具体的には、6個のキャビティ区分25A〜25Fの容積のばらつき、つまり最大容積のキャビティ区分と最小容積のキャビティ区分の容積との差分を先願発明に比べて小さくすれば、燃料の混合状態を円周方向により均一化することができる。
図13は、キャビティ区分の方向(つまり、キャビティ区分の挟み角の2等分線の方向)をピストンピン14の方向を基準(0°)としてピストン中心軸Lpまわりに左右に各60°の範囲で移動させたとき、そのキャビティ区分の容積の変化率を示すものである。破線は従来例に対応し、実線は本実施の形態に対応する。
何れのものも、キャビティ区分の挟み角の2等分線の方向がピストンピン14の方向に対して60°で交差するとき(図12のキャビティ区分25B,25C,25E,25F参照)を基準とし、そのときの変化率を0%としている。破線で示す従来例では、キャビティ区分の挟み角の2等分線の方向がピストンピン14の方向に一致するとき(図12のキャビティ区分25A,25D参照)、変化率は最大になって7%程度であるが、実線で示す実施の形態では、同じ位置で変化率は最大になるが、その値は大幅に減少して僅か0.5%に抑えられている。
従って、本願発明の一つの定義は、「各キャビティ区分25A〜25Fの容積のばらつきが、キャビティの深さを円周方向に均一にした従来例の各キャビティ区分25A〜25Fの容積のばらつきよりも小さいもの」とすることができる。
さて、図6(実施の形態)および図15(従来例)を比較すると明らかなように、図15の従来例はシリンダヘッド16の下面の頂部16a,16aの幅Aがインジェクタ取付孔16bの直径Bよりも大きく設定されているので、吸気バルブ孔17,17の一部が前記頂部16a,16aと大きく干渉してしまい、その部分で吸気バルブ孔17,17の形状が変化して吸気の流れがスムーズでなくなる問題がある。一方、図6の実施の形態はシリンダヘッド16の下面の頂部16a,16aの幅Aがインジェクタ取付孔16bの直径Bよりも小さく設定されているので、吸気バルブ孔17,17は前記頂部16a,16aと殆ど干渉せず、吸気バルブ孔17,17の形状を円周方向に概ね一定にして吸気の流れをスムーズにすることができる。
このように、本実施の形態によれば、シリンダヘッド16の下面の頂部16a,16aの幅Aをインジェクタ取付孔16bの直径Bよりも小さく設定したことで、吸気バルブ孔17,17の直径を最大限に確保しながら、吸気バルブ孔17,17を通過する吸気の流れをスムーズにすることができる。
図14は参考例を示すものである。
上述した実施の形態では遮熱ボス部16cがインジェクタ取付孔16bの周囲を360°に亘って取り囲むように形成されるが、この参考例は、フュエルインジェクタ23が最も露出して熱害を受け易い部分だけを遮熱ボス部16cで覆うようにしている。つまり環状の遮熱ボス部16cの高さを実施の形態よりも低くすることで、シリンダヘッド16の下面の頂部16a,16aの近傍の2か所だけに下向きに突出する遮熱ボス部16c,16cが残るようにしている。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では本発明を吸気バルブ孔17,17に対して適用しているが、排気バルブ孔18,18に対しても適用することができる。
また実施の形態のペントルーフ状に形成されたシリンダヘッド16の下面の頂部16a,16aは、完全な平坦面である必要はなく、角を丸めた曲面であっても良い。
また実施の形態では、仮想的なキャビティ区分25A〜25Fの数を6個に設定しているが(N=6)、前記キャビティ区分25A〜25Fの数は2個以上であれば良い(Nは2以上の自然数)。
このとき、キャビティ区分25A〜25Fの数と燃料噴射軸の数とは、必ずしも一致させる必要はないが、それを一致させることで、一つのキャビティ区分25A〜25Fに一つの燃料噴射軸が対応することになり、燃料の混合状態を円周方向により均一化することができる。尚、キャビティ区分25A〜25Fの挟み角の2等分線を燃料噴射軸に一致させれば、一つのキャビティ区分25A〜25Fの中心に燃料噴射軸が位置することになり、燃料の混合状態を更に均一化することができる。
また実施の形態では、仮想的なキャビティ区分25A〜25Fの容積には、上死点にあるピストン13の頂面とシリンダヘッド16の下面とに挟まれた部分の容積を含めず、キャビティ25の開口端縁までの容積(即ち、ピストン頂面基本線L−a1,L−a2より下の容積)としたが、それを含めたものを仮想的なキャビティ区分25A〜25Fの容積として定義しても、同様の作用効果を奏することができる。
また実施の形態ではディーゼルエンジンについて説明したが、本願発明はディーゼルエンジンに限定されず、燃焼室内に燃料を直接噴射する任意の形式のエンジンに対して適用することができる。
ディーゼルエンジンの要部縦断面図(図2の1−1線断面図) 図1の2−2線矢視図 図1の3−3線矢視図 ピストンの上部斜視図 図2の5−5線断面図 図2の6−6線断面図 図3の7−7線断面図 図3の8−8線断面図 図3の9−9線断面図 補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図7に対応する図 補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図8に対応する図 仮想的なキャビティ区分の説明図 キャビティ区分の方向を円周方向に変化させたときの、該キャビティ区分の容積の変化率を示すグラフ 参考例を示す前記図2に対応する図 従来例を示す前記図6に対応する図
符号の説明
13 ピストン
13a 頂部
13b 傾斜面
16 シリンダヘッド
16a 頂部
16b インジェクタ取付孔
16c 遮熱ボス部
17 吸気バルブ孔(バルブ孔)
18 排気バルブ孔(バルブ孔)
23 フュエルインジェクタ
23a 先端部
23b 燃料噴射孔
25 キャビティ
25A〜25F キャビティ区分
X1〜X6 半平面
L2 ピストンピン軸線
Lp ピストン中心軸
A シリンダヘッドのペントルーフ型の下面の頂部の幅
B インジェクタ取付孔の直径

Claims (3)

  1. ピストンピン軸線(L2)と平行に延びる頂部(13a)を挟んで傾斜する二つの傾斜面(13b)を含み、ピストン中心軸(Lp)方向の高さが円周方向に変化するペントルーフ型の頂面を有するピストン(13)と、前記ピストン(13)のペントルーフ型の頂面に対向するペントルーフ型の下面に、前記二つの傾斜面(13b)に対向するバルブ孔(17,18)が開口するシリンダヘッド(16)と、前記ピストン(13)の頂面の中央部に凹設されたキャビティ(25)と、前記シリンダヘッド(16)のピストン中心軸(Lp)上に穿設されたインジェクタ取付孔(16b)に装着され、複数の燃料噴射孔(23b)が形成された先端部(23a)が前記シリンダヘッド(16)の下面の頂部(16a)から下方に突出するフュエルインジェクタ(23)とを備える燃料直噴エンジンにおいて、
    前記シリンダヘッド(16)の下面の頂部(16a)の幅(A)を前記インジェクタ取付孔(16b)の直径(B)よりも小さく形成するとともに、前記インジェクタ取付孔(16b)の開口縁を囲むように環状の遮熱ボス部(16c)を前記シリンダヘッド(16)の下面に突設したことを特徴とする燃料直噴エンジン。
  2. 前記シリンダヘッド(16)の遮熱ボス部(16c)は、ピストン中心軸(Lp)から放射方向に延びる任意の半平面と交差する断面形状が、円周方向の全域に亘って略等しいことを特徴とする、請求項1に記載の燃料直噴エンジン。
  3. Nを2以上の自然数とし、前記キャビティ(25)の内壁面と、ピストン中心軸(Lp)から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するN個の半平面(X1〜X6)とで、前記キャビティ(25)をN個の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)に区画したとき、前記各々の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)の容積が略等しくなるように、前記キャビティ(25)の内壁面の形状を設定したことを特徴とする、請求項2に記載の燃料直噴エンジン。
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