JP2010048229A - 燃料直噴エンジン - Google Patents

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寛 但馬
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吾一 片山
Yoshimasa Kaneko
宜正 金子
Yukihisa Yamatani
幸久 山谷
Akihiro Yamaguchi
晃弘 山口
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Abstract

【課題】 燃料直噴エンジンにおいて、インジェクタの少なくとも三つの燃料噴射軸の上下方向角度が一定でない場合に、燃焼室における燃料および空気の混合状態を可及的に均一化する。
【解決手段】 フュエルインジェクタの6本の燃料噴射軸Li1,Li2がピストン中心軸Lpと成す角度を燃料噴射傘半角γ/2としたとき、燃料噴射軸Li1,Li2が二つの燃料噴射傘半角(γ/2=55°および75°)を備える場合、隣接する二つの燃料噴射軸Li1,Li2を通る平面において該二つの燃料噴射軸Li1,Li2が相互に成す第1噴射軸間角δが全て一定の54°となるように、燃料噴射軸Li1,Li2の方向(つまり、ピストン中心軸Lp方向に見たときに、燃料噴射軸Li1,Li2が相互に成す第2噴射軸間角δ′)を不均一に設定したので、燃焼室内における燃料の分布のばらつきを改善して混合気形成の更なる均質化を図ることができる。
【選択図】 図12

Description

本発明は、少なくとも三つの燃料噴射軸を備えるフュエルインジェクタから燃焼室に直接燃料を噴射する燃料直噴エンジンに関する。
燃料直噴ディーゼルエンジンの燃焼室は、シリンダヘッドの下面とシリンダに摺動自在に嵌合するピストンの頂面とで区画される。一般に燃焼室の上面(つまりシリンダヘッドの下面)は平坦に形成されており、それに対応してピストンの頂面も平坦に形成されている(いわゆるフラット型)。
一方、燃焼室の上面(つまりシリンダヘッドの下面)をペントルーフ状に形成し、それに対応してピストンの頂面もペントルーフ状に形成した(いわゆるペントルーフ型)燃料直噴ディーゼルエンジンが、下記特許文献1により公知である。
ペントルーフ型のピストンの頂面にキャビティを凹設すると、キャビティの開口の高さが円周方向に変化する。従って、キャビティの底壁部の高さを円周方向に一定にすると、キャビティの周壁部の深さが円周方向に変化してしまい、フュエルインジェクタから噴射された燃料と空気との混合状態が円周方向に不均一になり、エンジンの出力が低下したり排気有害物質が増加したりする問題がある。
この問題を解決するために、上記特許文献1に記載されたものは、キャビティの底壁部の高さをキャビティの開口の高さの変化に追従するように変化させることで、キャビティの周壁部の深さを円周方向にほぼ一定にし、これによりキャビティにおける燃料と空気との混合状態が円周方向に均一になるようにしている。
しかしながら上記特許文献1に記載されたものは、キャビティの周壁部の深さは円周方向に一定になるが、各燃料噴射軸を通るキャビティの断面形状がキャビティの開口の高さに応じて変化してしまうため、燃料と空気との混合状態を必ずしもキャビティの円周方向に均一化することができなかった。
そこで本出願人は、下記特許文献2に開示されているように、ピストン中心軸上に配置したフュエルインジェクタの複数の燃料噴射軸を通るキャビティの各断面形状を基本的に同一形状にすることで、キャビティ内での燃料および空気の混合状態を均一化し、エンジンの出力向上および排気有害物質の低減を図った燃料直噴エンジンを提案した。
特公平5−17369号公報 特開2008−2443号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載された発明は、フュエルインジェクタの複数の燃料噴射軸を通るキャビティの各断面形状を基本的に同一形状にしているが、実際に複数の燃料噴射軸が相互に成す角度が円周方向に不均一であったため、キャビティ内での燃料および空気の混合状態を更に均一化する余地が残されていた。以下、その理由を、図13に基づいて具体的に説明する。
フュエルインジェクタの6本の燃料噴射軸Li1,Li2は、ピストン中心軸Lpと直交する平面に投影した場合に、それらが相互に成す挟み角である第2噴射軸間角δ′が一定の60°に設定されている。図13(A)に比較例として示すフラット型のピストンを備えたエンジンでは、上記特許文献2に示されたペントルーフ型のピストンを備えたエンジンと異なり、キャビティの底壁の高さ(周壁部の深さ)が円周方向に均一であって、下向きに傾斜した燃料噴射軸Li1,Li2が成す燃料噴射傘半角γ/2を一定(例えば、75°)としており、実際に燃料噴射軸Li1,Li2が相互に成す角度、即ち、隣接する二つの燃料噴射軸Li1,Li2を通る平面において、それら二つの燃料噴射軸Li1,Li2が成す挟み角である第1噴射軸間角δは、第2噴射軸間角δ′が全て同じ60°であるのと同様に、全てが同じ58°になり、燃焼室の円周方向に亘って均一になる。
しかしながら、図13(B)に示すペントルーフ型のピストンを備えたエンジンでは、キャビティの底壁の高さ(周壁部の深さ)が円周方向で変化するのに対応し、第1燃料噴射軸Li1が成す燃料噴射傘半角γ/2は75°であるのに、第2燃料噴射軸Li2が成す燃料噴射傘半角γ/2は55°であり、両者が一致しないことになる。その結果、前記第2噴射軸間角δ′が一定の60°に設定されていても、実際に燃料噴射軸Li1,Li2が相互に成す角度である第1噴射軸間角δは57°のものと48°のものとの二種類が発生し、第1噴射軸間角δが燃焼室の円周方向に亘って均一にならないためにキャビティ内での燃料および空気の混合状態も均一化されない虞がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、燃料直噴エンジンにおいて、インジェクタの少なくとも三つの燃料噴射軸の上下方向角度が一定でない場合に、燃焼室における燃料および空気の混合状態を可及的に均一化することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、少なくとも三つの燃料噴射軸を備えるフュエルインジェクタから燃焼室に直接燃料を噴射する燃料直噴エンジンにおいて、ピストン中心軸に平行な軸線と前記燃料噴射軸とが成す角度を燃料噴射傘半角としたとき、前記少なくとも三つの燃料噴射軸は少なくとも二つの燃料噴射傘半角を備え、隣接する二つの燃料噴射軸を通る平面において該二つの燃料噴射軸が成す噴射軸間角が、各噴射軸間角間で略均一となるように前記燃料噴射軸の方向を設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、Nを3以上の自然数としたとき、N個の燃料噴射軸を備えるフュエルインジェクタから燃焼室に直接燃料を噴射する燃料直噴エンジンにおいて、ピストン中心軸に平行な軸線と前記燃料噴射軸とが成す角度を燃料噴射傘半角としたとき、前記N個の燃料噴射軸は少なくとも二つの燃料噴射傘半角を備え、隣接する二つの燃料噴射軸を通る平面において該二つの燃料噴射軸が成す挟み角を第1噴射軸間角とし、ピストン中心軸と直交する平面に投影した隣接する二つの燃料噴射軸が成す挟み角を第2噴射軸間角としたとき、N個の前記第1噴射軸間角間の最大差異角がN個の前記第2噴射軸間角間の最大差異角よりも小さくなるように前記燃料噴射軸の方向を設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、各燃料噴射軸の仮想延長線が一点で交差するように前記燃料噴射軸の方向を設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、頂面のピストン中心軸方向の高さが円周方向に変化するピストンを備え、前記インジェクタは、前記ピストンの前記頂面の中央部に凹設された前記燃焼室としてのキャビティ内に燃料を噴射するものであり、Mを2以上の自然数とし、前記キャビティの内壁面と、ピストン中心軸から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するM個の半平面とで、前記キャビティをM個の仮想的なキャビティ区分に区画したとき、前記各々の仮想的なキャビティ区分の容積が略等しくなるように、前記キャビティの内壁面の形状を設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項4の構成に加えて、前記フュエルインジェクタのn番目の燃料噴射軸を通る前記キャビティの断面を燃料噴射断面Snとし、前記燃料噴射断面Snと前記キャビティの開口周縁との交点を第1特定点Anとし、前記第1特定点Anを通りかつ前記燃料噴射断面Snにおけるシリンダヘッドの下面と平行な線上には第2特定点Bnが存在し、前記燃料噴射断面Snにおける前記キャビティの底壁部上には第3特定点Cnが存在し、前記第2特定点Bnは前記第1特定点Anよりもピストン中心軸に近い位置にあり、前記第3特定点Cnは前記キャビティの底壁部の最大外径位置よりもピストン中心軸に近い位置にあり、前記第1、2特定点An,Bnを前記燃料噴射断面Snにおける前記シリンダヘッドの下面に沿う線で結ぶ経路AnBnと、前記第1、第3特定点An,Cnを前記燃料噴射断面Snにおける前記キャビティの壁面に沿って結ぶ経路AnCnと、前記第2、第3特定点Bn,Cnを最短直線で結ぶ経路BnCnとで囲まれる断面形状が、各燃料噴射断面Snにおいて略等しくしたものを基準断面形状とし、前記ピストンの頂面のピストン中心軸方向の高さが低い方向に存在する燃料噴射軸を通る前記燃料噴射断面Snほど、前記基準断面形状が拡大するように前記キャビティの内壁面の形状を変化させることで、前記各々の仮想的なキャビティ区分の容積を略等しくしたことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項5の構成に加えて、前記経路AnCnのうち、該経路AnCnの最下部から前記第3特定点Cnまでの区間の形状が拡大するように変化させたことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項7に記載された発明によれば、請求項5または請求項6の構成に加えて、前記仮想的なキャビティ区分の数Mが前記燃料噴射軸の数Nに等しいことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項8に記載された発明によれば、請求項4〜請求項7の何れか1項の構成に加えて、前記ピストンの頂面の形状は、ピストンピンの軸線と平行な稜線を挟んで傾斜する二つの傾斜面を有するペントルーフ形状であることを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項9に記載された発明によれば、請求項8の構成に加えて、前記ピストンピンの軸線に近い燃料噴射軸ほど、その燃料噴射傘半角を大きくしたことを特徴とする燃料直噴エンジン。
また請求項10に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、頂面のピストン中心軸方向の高さが円周方向に変化するピストンを備え、前記インジェクタは、前記ピストンの前記頂面の中央部に凹設された前記燃焼室としてのキャビティ内に燃料を噴射するものであり、Mを2以上の自然数とし、前記キャビティの内壁面と、ピストン中心軸から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するM個の半平面とで、前記キャビティをM個の仮想的なキャビティ区分に区画したとき、前記各々の仮想的なキャビティ区分の容積のばらつきが、前記キャビティの深さを円周方向に均一にした場合の前記M個の仮想的なキャビティ区分の容積のばらつきよりも小さくなるように、前記キャビティの内壁面の形状を設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
尚、実施の形態のキャビティ25は本発明の燃焼室に対応する。
請求項1の構成によれば、燃料直噴エンジンの燃焼室に直接燃料を噴射するフュエルインジェクタの少なくとも三つの燃料噴射軸がピストン中心軸に平行な軸線と成す角度を燃料噴射傘半角としたとき、前記少なくとも三つの燃料噴射軸が少なくとも二つの燃料噴射傘半角(実施の形態では55°と75°)を備える場合、つまり前記少なくとも三つの燃料噴射軸の上下方向の傾きが不均一な場合、隣接する二つの燃料噴射軸を通る平面において該二つの燃料噴射軸が成す噴射軸間角が、各噴射軸間角間で略均一(実施の形態では54°)となるように燃料噴射軸の方向を設定したので、各々の燃料噴射軸における燃焼室形状等に適した燃料噴射傘半角としながら、各燃料噴射軸間隔をピストン中心軸に対して全周で均一化することができ、燃焼室内における燃料の分布のばらつきを改善して混合気形成の更なる均質化を図ることができる。
また請求項2の構成によれば、燃料直噴エンジンの燃焼室に直接燃料を噴射するフュエルインジェクタのN個の燃料噴射軸がピストン中心軸に平行な軸線と成す角度を燃料噴射傘半角としたとき、前記N個の燃料噴射軸が少なくとも二つの燃料噴射傘半角(実施の形態では55°と75°)を備える場合、つまりN個の燃料噴射軸の上下方向の傾きが不均一な場合、隣接する二つの燃料噴射軸を通る平面において該二つの燃料噴射軸が成す挟み角を第1噴射軸間角(実施の形態では54°の1種類)とし、ピストン中心軸と直交する平面に投影した隣接する二つの燃料噴射軸が成す挟み角を第2噴射軸間角(実施の形態では67°および56.5°の2種類)としたとき、N個の第1噴射軸間角間の最大差異角(実施の形態では54°−54°=0°)がN個の前記第2噴射軸間角間の最大差異角(実施の形態では67°−56.5°=10.5°)よりも小さくなるように燃料噴射軸の方向を設定したので、燃焼室内における燃料の分布のばらつきを改善して混合気形成の更なる均質化を図ることができる。
また請求項3の構成によれば、各燃料噴射軸の仮想延長線が一点で交差するように燃料噴射軸の方向を設定したので、燃料噴射傘半角および噴射軸間角の精度を高めることができる。
また請求項4の構成によれば、ピストンの頂面の中央部に凹設したキャビティの内壁面と、ピストン中心軸から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するM個の半平面とで、キャビティをM個の仮想的なキャビティ区分に区画したとき、各々の仮想的なキャビティ区分の容積が略等しくなるようにキャビティの内壁面の形状を設定したので、上記請求項1〜請求項3の構成による燃料噴射の均一化に加え、燃料噴射空間であるキャビティが均一化されることで、キャビティにおける燃料および空気の混合状態がより一層均一化されてエンジンの出力向上および排気有害物質の低減を図ることができる。
また請求項5の構成によれば、特許文献2の発明のキャビティの断面形状を基準断面形状とし、ピストンの頂面のピストン中心軸方向の高さが低い方向に存在する燃料噴射軸を通る燃料噴射断面Snほど、前記基準断面形状が拡大するようにキャビティの内壁面の形状を変化させることで、各々の仮想的なキャビティ区分の容積を略等しくしたので、特許文献2の発明に比べて各燃料噴射断面Snにおける燃料および空気の混合状態をより均一化することができる。
また請求項6の構成によれば、キャビティの内壁面における経路AnCnのうち、経路AnCnの最下部から第3特定点Cnまでの区間は燃料噴射軸と近接するが、その区間の形状が拡大するように変化させることで、キャビティの内壁面への燃料の付着を抑制して燃焼悪化を防止することができる。
また請求項7の構成によれば、仮想的なキャビティ区分の数Mを燃料噴射軸の数Nに等しくしたので、一つのキャビティ区分に一つの燃料噴射軸が対応することになり、燃料の混合状態を円周方向により均一化することができる。
また請求項8の構成によれば、ピストンの頂面の形状をピストンピンの軸線と平行な稜線を挟んで傾斜する二つの傾斜面を有するペントルーフ形状としたので、吸入ポートの開口面積を拡大して吸気効率を高めることができる。
また請求項9の構成によれば、ピストンピンの軸線に近い燃料噴射軸ほど、その燃料噴射傘半角を大きくしたので、キャビティの位置が高い部分では燃料噴射軸の方向を高く設定し、キャビティの位置が低い部分では燃料噴射軸の方向を低く設定することで、キャビティにおける燃料および空気の混合状態を均一化することができる。
また請求項10に記載された発明によれば、キャビティをM個の仮想的なキャビティ区分に区画したとき、各々の仮想的なキャビティ区分の容積のばらつきが、キャビティの深さを円周方向に均一にした場合(特許文献1の発明)のM個の仮想的なキャビティ区分の容積のばらつきよりも小さくなるように、キャビティの内壁面の形状を設定したので、特許文献1の発明に比べてキャビティにおける燃料および空気の混合状態を均一化してエンジンの出力向上および排気有害物質の低減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図12は本発明の実施の形態を示すもので、図1はディーゼルエンジンの要部縦断面図、図2は図1の2−2線矢視図、図3は図1の3−3線矢視図、図4はピストンの上部斜視図、図5は図3の5−5線断面図、図6は図3の6−6線断面図、図7は図3の7−7線断面図、図8は補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図5に対応する図、図9は補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図6に対応する図、図10は仮想的なキャビティ区分の説明図、図11はキャビティ区分の方向を円周方向に変化させたときの、該キャビティ区分の容積の変化率を示すグラフ、図12は第1噴射軸間角δ、第2噴射軸間角δ′および燃料噴射傘半角γ/2の関係を示す図である。
図1〜図3に示すように、燃料直噴型のディーゼルエンジンは、シリンダブロック11に形成されたシリンダ12に摺動自在に嵌合するピストン13を備えており、ピストン13はピストンピン14およびコネクティングロッド15を介して図示せぬクランクシャフトに接続される。シリンダブロック11の上面に結合されるシリンダヘッド16の下面に、ピストン13の頂面に対向する2個の吸気バルブ孔17,17と、2個の排気バルブ孔18,18とが開口しており、吸気バルブ孔17,17に吸気ポ−ト19が連通し、排気バルブ孔18,18に排気ポート20が連通する。吸気バルブ孔17,17は吸気バルブ21,21で開閉され、排気バルブ孔18,18は排気バルブ22,22で開閉される。ピストン中心軸Lp上に位置するようにフュエルインジェクタ23が設けられるとともに、フュエルインジェクタ23に隣接するようにグロープラグ24が設けられる。
図1および図4から明らかなように、ピストン13の頂面と、そこに対向するシリンダヘッド16の下面とは平坦ではなく断面三角形のペントルーフ状に傾斜しており、この形状により、吸気ポ−ト19および排気ポート20の湾曲度を小さくするとともに吸気バルブ孔17,17および排気バルブ孔18,18の直径を確保し、吸気効率および排気効率を高めることができる。
ピストン13の頂面には、ピストン中心軸Lpを中心とするキャビティ25が凹設される。キャビティ25の径方向外側には、ピストンピン14と平行に直線状に延びる頂部13a,13aから吸気側および排気側に向かって下向きに傾斜する一対の傾斜面13b,13bと、傾斜面13b,13bの下端近傍に形成されてピストン中心軸Lpに直交する一対の平坦面13c,13cと、頂部13a,13aの両端を平坦に切り欠いた一対の切欠き部13d,13dとが形成される。
図3、図6、図7および図12から明らかなように、ピストン中心軸Lpに沿って配置されたフュエルインジェクタ23は、ピストン中心軸Lp上の仮想的な点である燃料噴射点Oinjを中心として、平面視で(ピストン中心軸Lp方向に見て)円周方向に56.5°あるいは67°間隔で離間する6つの方向に燃料を噴射する。6本の燃料噴射軸のうちの2本の第1燃料噴射軸Li1は、ピストン中心軸Lp方向に見てピストンピン14と重なっており、他の4本の第2燃料噴射軸Li2は、ピストンピン14の方向に対して56.5°の角度で交差している。従って、相互に隣接する2本の第2燃料噴射軸Li2は67°の角度で交差している。
ここで、上記のような平面視での隣接燃料噴射軸の成す角度を、ピストン中心軸Lpと直交する平面に投影した隣接する燃料噴射軸Li1,Li2が成す角度である第2噴射軸間角δ′と定義すると、第1燃料噴射軸Li1と第2燃料噴射軸Li2との間の第2噴射軸間角δ′は56.5°であり、二つの第2燃料噴射軸Li2間の第2噴射軸間角δ′は67°である。
またピストン中心軸Lpに直交する方向に見て、6本の第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2は斜め下向きに傾斜しており、その下向きの度合いを示す燃料噴射傘角γは第1燃料噴射軸Li1では大きく、第2燃料噴射軸Li2では小さくなっている。具体的には、第1燃料噴射軸Li1の燃料噴射傘角γは150°であり、第2燃料噴射軸Li2の燃料噴射傘角γは110°である。よって、燃料噴射傘角γをピストン中心軸Lpで2分し、その2分したものを燃料噴射傘半角γ/2と定義すると、第1燃料噴射軸Li1の燃料噴射傘半角γ/2は75°となり、第2燃料噴射軸Li2の燃料噴射傘半角γ/2は55°となる。
尚、フュエルインジェクタ23が実際に燃料を噴射する噴射点はピストン中心軸Lpから径方向外側に僅かにずれているが、前記燃料噴射点Oinjは前記第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2がピストン中心軸Lpと交差する点として定義される。
次に、図5〜図7を参照して特許文献2の発明のキャビティ25の断面形状を詳述する。特許文献2の発明のキャビティ25の断面形状を説明する理由は、特許文献2の発明のキャビティ25の断面形状を補正して本願発明のキャビティ25の断面形状を得るからである。図5はピストンピン14に対して直交する方向の断面であり、図6はピストンピン14に対して56.5°で交差する方向の断面(第2燃料噴射軸Li2を含む断面)であり、図7はピストンピン14に沿う方向の断面(第1燃料噴射軸Li1を含む断面)である。
特許文献2の発明は、ピストン中心軸Lpを通る任意の断面において、キャビティ25の形状を可及的に一致させることを狙ったものである。キャビティ25の断面形状はピストン中心軸Lpを挟んで左右二つの部分に分かれており、その二つの部分は図7のピストンピン14方向の断面では概ね直線状に繋がっているが、図5のピストンピン14直交方向の断面と、図6のピストンピン14に対して56.5°で交差する方向の断面とでは、ピストン13のペントルーフ形状に応じて山型に繋がっている。但し、キャビティ25の断面形状の主要部、つまり図5〜図7に網かけをして示す部分の形状は完全に一致している。
図5〜図7から明らかなように、ピストン中心軸Lpを中心として形成されたキャビティ25は、ピストン13の頂面から下向きに直線状に延びる周壁部25aと、周壁部25aの下端からピストン中心軸Lpに向かってコンケーブ状に湾曲する曲壁部25bと、曲壁部25bの径方向内端からピストン中心軸Lpに向かって斜め上方に直線状に延びる底壁部25cと、ピストン中心軸Lp上で底壁部25cの径方向内端に連なる頂部25dとで構成される。
キャビティ25に対向するシリンダヘッド16の下面を示す線L−R1,L−R2から下方に距離Haだけ離れて平行に延びるラインをピストン頂面基本線L−a1,L−a2とする。同様にシリンダヘッド16の下面を示す線L−R1,L−R2から下方に距離Hbcだけ離れて平行に延びる線をキャビティ底面基本線L−bc1,L−bc2とし、シリンダヘッド16の下面を示す線L−R1,L−R2から下方に距離Hdだけ離れて平行に延びる線をキャビティ頂部基本線L−d1,L−d2とする。
燃料噴射点Oinjを中心とする半径Raの円弧と前記ピストン頂面基本線L−a1,L−a2との交点をa1,a2とする。同様に燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rbの円弧と前記キャビティ底面基本線L−bc1,L−bc2との交点をb1,b2とし、燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rcの円弧と前記キャビティ底面基本線L−bc1,L−bc2との交点をc1,c2とし、燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rdの円弧と前記キャビティ頂部基本線L−d1,L−d2との交点をd1,d2とする。交点e1,e2は、前記交点d1,d2からピストン頂面基本線L−a1,L−a2に下ろした垂線が該ピストン頂面基本線L−a1,L−a2に交差する点である。
キャビティ25の周壁部25aは直線a1b1,a2b2の上にあり、キャビティ25の底壁部25cは直線c1d1,c2d2に一致し、キャビティ25の曲壁部25bは直線a1b1,a2b2および直線c1d1,c2d2を滑らかに接続する。
しかして、交点a1,c1,d1,e1あるいは交点a2,c2,d2,e2によって決まる網かけした断面形状が,ピストン中心軸Lpを通る任意の断面において等しくなるように、キャビティ25の形状が設定される。
前記交点a1,a2は本発明の第1特定点Anに対応し、前記交点e1,e2は本発明の第2特定点Bnに対応し、前記交点d1,d2は本発明の第3特定点Cnに対応するものである。
図6および図7に示す第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2を通る断面については、図7に示すピストンピン14方向の断面(燃料噴射断面S1)における網かけ部分と、図6に示すピストンピン14に対して56.5°で交差する方向の断面(燃料噴射断面S2)における網かけ部分とは同形になる。
図7に示すピストンピン14方向の断面において、第1燃料噴射軸Li1がキャビティ25と交差する点を燃料衝突点P1とし、図6に示すピストンピン14に対して56.5°で交差する方向の断面において、第2燃料噴射軸Li2がキャビティ25と交差する点を燃料衝突点P2とする。二つの燃料衝突点P1,P2は、網かけした同一形状の断面上の同じ位置に存在している。従って、燃料衝突点P2の位置は燃料衝突点P1の位置よりも低くなり、燃料噴射点Oinjから延びる第2燃料噴射軸Li2は第1燃料噴射軸Li1よりも更に下向きに燃料を噴射することになる。
燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P1までの距離D1は、燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P2までの距離D2に略一致する。また燃料衝突点P1におけるキャビティ25の接線と第1燃料噴射軸Li1とが成す燃料衝突角α1は、燃料衝突点P2におけるキャビティ25の接線と第2燃料噴射軸Li2とが成す燃料衝突角α2に略一致する。
以上のように特許文献2の発明によれば、ピストン中心軸Lpを通る任意の断面において、燃料噴射点Oinjの近傍のごく一部(交点e1,d1,d2,e2で囲まれた領域)を除いて、キャビティ25の断面形状が同一に形成されている。特に、第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2を含む二つの断面(図6および図7参照)においてもキャビティ25の断面形状が同一に形成されており、しかも前記二つの断面において燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P1,P2までの距離D1,D2が略等しく設定され、かつ燃料衝突点P1,P2における燃料衝突角α1,α2が略等しく設定されるので、キャビティ25の各部における空気および燃料の混合状態を円周方向に均一化し、混合気の燃焼状態を改善してエンジン出力の増加および排気有害物質の低減を図ることができる。
また図5および図6に示すピストン13の頂面が傾斜する断面においても、キャビティ25の開口のエッジ(交点a2の部分)が成す角度が、図7に示すピストン13の頂面が平坦な場合に比べて鋭角化することがないため、その部分の熱負荷を軽減して耐熱性を高めることができる。
ところで特許文献2の発明は、図5〜図7におけるキャビティ25の断面形状が、網かけをして示す部分では完全に一致しているものの、燃料噴射点Oinjの近傍の交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域で不一致になっている。その理由は、キャビティ25の断面形状のピストン中心軸Lpを挟む二つの部分が、図7のピストンピン14方向の断面では概ね直線状に繋がっているが、図5のピストンピン14直交方向の断面と、図6のピストンピン14に対して56.5°で交差する方向の断面とでは、ピストン13のペントルーフ形状に応じて山型に繋がっているため、交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積が、図7のピストンピン14方向の断面で最も大きく、図6のピストンピン14に対して56.5°で交差する方向の断面で減少し、図5のピストンピン14直交方向の断面で更に減少するためである。
本実施の形態は、交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積が最大になるピストンピン14方向のキャビティ25の断面形状(図7参照)を基準とし、その他の方向の断面形状を拡大する方向(つまり、キャビティ25の深さを増加させる方向)に補正することで、前記交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積の差異を補償し、キャビティ25の全ての方向の断面で空気および燃料の混合状態の一層の均一化を図るものである。
図8は、図5のピストンピン14直交方向におけるキャビティ25の断面形状の補正手法を説明するものであり、鎖線の形状は特許文献2の発明のものを示し、実線の形状は本実施の形態のものを示している。
本実施の形態によるキャビティ25の断面形状の補正は、交点b1および交点c1の位置を、それぞれ交点b1′および交点c1′となるように下方に移動させることで、網かけ部分の面積を増加させることにより行われる。
先ずキャビティ底面基本線L−bc1と、直線e1d1の下方への延長線との交点をf1として決定する。続いて交点f1を通るキャビティ底面基本線L−bc1を、交点f1を中心として所定角度βだけ下方に回転させ、新たなキャビティ底面基本線L−bc1′を設定する。続いて燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rbの円弧と新たなキャビティ底面基本線L−bc1′との交点を前記b1′として決定し、燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rcの円弧と新たなキャビティ底面基本線L−bc1′との交点を前記c1′として決定する。
しかして、補正後のキャビティ25の断面形状では、キャビティ25の周壁部25aは直線a1b1′の上にあり、キャビティ25の底壁部25cは直線c1′d1に一致し、キャビティ25の曲壁部25bは直線a1b1′および直線c1′d1を滑らかに接続している。
尚、キャビティ底面基本線L−bc1とピストン中心軸Lpとの交点をfとし、この交点fを中心としてキャビティ底面基本線L−bc1を所定角度βだけ下方に回転させることで、新たなキャビティ底面基本線L−bc1′を設定しても良い。
このように、キャビティ25の内壁面における経路AnCnのうち、経路AnCnの最下部から第3特定点Cnまでの区間は第2燃料噴射軸Li2と近接するが、その区間の形状を変化させることでキャビティ25の内壁面への燃料の付着を抑制して燃焼悪化を防止することができる。
本実施の形態では、正味平均有効圧力NMEPが、煤が発生しない状態で、特許文献2に記載された発明に対して2%程度向上した。
図9は、図6のピストンピン14に対して56.5°で交差する方向におけるキャビティ25の断面形状の補正手法を説明するものであり、鎖線の形状は特許文献2の発明のものを示し、実線の形状は本実施の形態のものを示している。
図7(ピストンピン14方向)および図5(ピストンピン14直交方向)における交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積の差異に比べ、図7(ピストンピン14方向)および図6(ピストンピン14に対して56.5°で交差する方向)の前記面積の差異は小さいため、図9(ピストンピン14に対して56.5°で交差する方向)におけるキャビティ25の断面形状の拡大量は、図8(ピストンピン14直交方向)におけるキャビティ25の断面形状の拡大量よりも小さなものとなる。
以上、ピストン中心軸Lpの一側のキャビティ25の断面形状の補正について説明したが、ピストン中心軸Lpの他側のキャビティ25の断面形状の補正も全く同様にして行われる。
以上のように、本実施の形態によれば、特許文献2の発明が有する問題点、つまり燃料噴射点Oinjの近傍の交点e1,d1,d2,e2で囲まれた領域におけるキャビティ25の各断面形状の不一致が補償されるので、キャビティ25の各部における空気および燃料の混合状態を円周方向に一層均一化し、混合気の燃焼状態を改善してエンジン出力の更なる増加および排気有害物質の更なる低減を図ることができる。
図10は、本実施の形態によるキャビティ25の断面形状の補正を、別の視点で捕らえる説明図である。
同図において、キャビティ25の中心を通るピストン中心軸Lpから、6個の半平面X1〜X6が放射状に延びており、隣接する2個の半平面X1〜X6が成す角度(挟み角)は全て60°である。キャビティ25は6個の半平面X1〜X6によって6個の仮想的なキャビティ区分25A〜26Fに分割されており、本実施の形態によれば、上述したキャビティ25の断面形状の補正により、6個のキャビティ区分25A〜26Fの容積を理論的には同一に設定することが可能である。
しかしながら、6個のキャビティ区分25A〜26Fの容積を完全に同一に設定する必要はなく、それを略同一に設定するだけでも、特許文献1の発明あるいは特許文献2の発明に比べて燃料の混合状態を円周方向により均一化することができる。具体的には、6個のキャビティ区分25A〜26Fの容積のばらつき、つまり最大容積のキャビティ区分と最小容積のキャビティ区分の容積との差分を特許文献1の発明あるいは特許文献2の発明に比べて小さくすれば、燃料の混合状態を円周方向により均一化することができる。
図11は、キャビティ区分の方向(つまり、キャビティ区分の挟み角の2等分線の方向)をピストンピン14の方向を基準(0°)としてピストン中心軸Lpまわりに左右に各60°の範囲で移動させたとき、そのキャビティ区分の容積の変化率を示すものである。破線は従来例(特許文献1の発明)に対応し、実線は本実施の形態に対応する。
何れのものも、キャビティ区分の挟み角の2等分線の方向がピストンピン14の方向に対して60°で交差するとき(図10のキャビティ区分25B,25C,25E,25F参照)を基準とし、そのときの変化率を0%としている。破線で示す従来例では、キャビティ区分の挟み角の2等分線の方向がピストンピン14の方向に一致するとき(図10のキャビティ区分25A,25D参照)、変化率は最大になって7%程度であるが、実線で示す実施の形態では、同じ位置で変化率は最大になるが、その値は大幅に減少して僅か0.5%に抑えられている。
従って、本願発明の一つの定義は、「各キャビティ区分25A〜26Fの容積のばらつきが、キャビティの深さを円周方向に均一にした従来例(特許文献1の発明)の各キャビティ区分25A〜26Fの容積のばらつきよりも小さいもの」とすることができる。
さて、上述のようにして、キャビティ25の各断面における断面積を均一にし、あるいは各キャビティ区分25A〜26Fの容積を均一にしても、実際に隣接する第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2が相互に成す第1噴射軸間角δ(図12参照)、即ち、隣接する燃料噴射軸Li1,Li2を通る平面において、それら二つの燃料噴射軸Li1,Li2が成す挟み角である第1噴射軸間角δが不均一であると、キャビティ15内の燃料の混合状態を円周方向に均一化することはできない。
そこで本実施の形態では、図12に示すように、ピストン中心軸Lp方向に見た場合の、第1燃料噴射軸Li1と第2燃料噴射軸Li2との間の第2噴射軸間角δ′を56.5°に設定し、かつ二つの第2燃料噴射軸Li2間の第2噴射軸間角δ′を67°に設定することにより、つまり六つの第2噴射軸間角δ′を不均一にすることにより、第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2の燃料噴射傘半角γ/2の違いを補償して六つの第1噴射軸間角δを全て同一の54°に設定することを可能にし、キャビティ15内の燃料の混合状態を円周方向に均一化している。
このように、本実施の形態によれば、キャビティ25の各断面における断面積を均一にし、あるいは各キャビティ区分25A〜26Fの容積を均一にしたことに加えて、六つの第1噴射軸間角δを全て同一に設定することで、キャビティ15内の燃料の混合状態を円周方向により一層均一化することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では、仮想的なキャビティ区分25A〜25Fの数を6個に設定しているが(M=6)、前記キャビティ区分25A〜25Fの数は2個以上であれば良い(Mは2以上の自然数)。
このとき、キャビティ区分25A〜25Fの数と燃料噴射軸の数とは、必ずしも一致させる必要はないが、それを一致させることで、一つのキャビティ区分25A〜25Fに一つの燃料噴射軸が対応することになり、燃料の混合状態を円周方向により均一化することができる。
また実施の形態では、仮想的なキャビティ区分25A〜25Fの容積には、上死点にあるピストン13の頂面とシリンダヘッド16の下面とに挟まれた部分の容積を含めず、キャビティ25の開口端縁までの容積(即ち、ピストン頂面基本線L−a1,L−a2より下の容積)としたが、それを含めたものを仮想的なキャビティ区分25A〜25Fの容積として定義しても、同様の作用効果を奏することができる。
また実施の形態ではディーゼルエンジンについて説明したが、本願発明はディーゼルエンジンに限定されず、燃焼室内に燃料を直接噴射する任意の形式のエンジンに対して適用することができ、ペントルーフ型のピストン13を持たないエンジンに対しても適用することができる。
また実施の形態では、フュエルインジェクタ23の第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2の仮想的な延長線が燃料噴射点Oinjで交差しているが、2本の第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2が捩じれの位置にあって相互に交差しない場合には、厳密にいうと燃料噴射傘角γや第1噴射軸間角δが存在しないことになる。この場合には、2本の第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2の間に該第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2から当距離にある仮想的な平面を設定し、この仮想的な平面上に第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2を垂直に投影した2本の直線の成す角度として、燃料噴射傘角γや第1噴射軸間角δを定義することができる。
また燃料噴射点Oinjがピストン中心軸Lpから偏心した位置に配置されている場合には、燃料噴射傘半角γ/2を、燃料噴射点Oinjを通ってピストン中心軸Lpと平行な軸線と第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2とが成す角度として定義することができる。
ディーゼルエンジンの要部縦断面図 図1の2−2線矢視図 図1の3−3線矢視図 ピストンの上部斜視図 図3の5−5線断面図 図3の6−6線断面図 図3の7−7線断面図 補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図5に対応する図 補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図6に対応する図 仮想的なキャビティ区分の説明図 キャビティ区分の方向を円周方向に変化させたときの、該キャビティ区分の容積の変化率を示すグラフ 実施の形態の第1噴射軸間角δ、第2噴射軸間角δ′および燃料噴射傘半角γ/2の関係を示す図 従来例の第1噴射軸間角δ、第2噴射軸間角δ′および燃料噴射傘半角γ/2の関係を示す図
符号の説明
13 ピストン
14 ピストンピン
16 シリンダヘッド
23 フュエルインジェクタ
25 キャビティ
25c 底壁部
25A〜25F キャビティ区分
Li1 燃料噴射軸
Li2 燃料噴射軸
Lp ピストン中心軸
X1〜X6 半平面
γ/2 燃料噴射傘半角
δ 第1噴射軸間角(噴射軸間角)
δ′ 第2噴射軸間角

Claims (10)

  1. 少なくとも三つの燃料噴射軸(Li1,Li2)を備えるフュエルインジェクタ(23)から燃焼室に直接燃料を噴射する燃料直噴エンジンにおいて、
    ピストン中心軸(Lp)に平行な軸線と前記燃料噴射軸(Li1,Li2)とが成す角度を燃料噴射傘半角(γ/2)としたとき、前記少なくとも三つの燃料噴射軸(Li1,Li2)は少なくとも二つの燃料噴射傘半角(γ/2)を備え、
    隣接する二つの燃料噴射軸(Li1,Li2)を通る平面において該二つの燃料噴射軸(Li1,Li2)が成す噴射軸間角(δ)が、各噴射軸間角(δ)間で略均一となるように前記燃料噴射軸(Li1,Li2)の方向を設定したことを特徴とする燃料直噴エンジン。
  2. Nを3以上の自然数としたとき、N個の燃料噴射軸(Li1,Li2)を備えるフュエルインジェクタ(23)から燃焼室に直接燃料を噴射する燃料直噴エンジンにおいて、
    ピストン中心軸(Lp)に平行な軸線と前記燃料噴射軸(Li1,Li2)とが成す角度を燃料噴射傘半角(γ/2)としたとき、前記N個の燃料噴射軸(Li1,Li2)は少なくとも二つの燃料噴射傘半角(γ/2)を備え、
    隣接する二つの燃料噴射軸(Li1,Li2)を通る平面において該二つの燃料噴射軸(Li1,Li2)が成す挟み角を第1噴射軸間角(δ)とし、ピストン中心軸(Lp)と直交する平面に投影した隣接する二つの燃料噴射軸(Li1,Li2)が成す挟み角を第2噴射軸間角(δ′)としたとき、N個の前記第1噴射軸間角(δ)間の最大差異角がN個の前記第2噴射軸間角(δ′)間の最大差異角よりも小さくなるように前記燃料噴射軸(Li1,Li2)の方向を設定したことを特徴とする燃料直噴エンジン。
  3. 各燃料噴射軸(Li1,Li2)の仮想延長線が一点で交差するように前記燃料噴射軸(Li1,Li2)の方向を設定したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の燃料直噴エンジン。
  4. 頂面のピストン中心軸(Lp)方向の高さが円周方向に変化するピストン(13)を備え、前記インジェクタ(23)は、前記ピストン(13)の前記頂面の中央部に凹設された前記燃焼室としてのキャビティ(25)内に燃料を噴射するものであり、
    Mを2以上の自然数とし、前記キャビティ(25)の内壁面と、ピストン中心軸(Lp)から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するM個の半平面(X1〜X6)とで、前記キャビティ(25)をM個の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)に区画したとき、前記各々の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)の容積が略等しくなるように、前記キャビティ(25)の内壁面の形状を設定したことを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の燃料直噴エンジン。
  5. 前記フュエルインジェクタ(23)のn番目の燃料噴射軸(Li1,Li2)を通る前記キャビティ(25)の断面を燃料噴射断面Snとし、
    前記燃料噴射断面Snと前記キャビティ(25)の開口周縁との交点を第1特定点Anとし、
    前記第1特定点Anを通りかつ前記燃料噴射断面Snにおけるシリンダヘッド(16)の下面と平行な線上には第2特定点Bnが存在し、
    前記燃料噴射断面Snにおける前記キャビティ(25)の底壁部(25c)上には第3特定点Cnが存在し、
    前記第2特定点Bnは前記第1特定点Anよりもピストン中心軸(Lp)に近い位置にあり、
    前記第3特定点Cnは前記キャビティ(25)の底壁部(25c)の最大外径位置よりもピストン中心軸(Lp)に近い位置にあり、
    前記第1、2特定点An,Bnを前記燃料噴射断面Snにおける前記シリンダヘッド(16)の下面に沿う線で結ぶ経路AnBnと、前記第1、第3特定点An,Cnを前記燃料噴射断面Snにおける前記キャビティ(25)の壁面に沿って結ぶ経路AnCnと、前記第2、第3特定点Bn,Cnを最短直線で結ぶ経路BnCnとで囲まれる断面形状が、各燃料噴射断面Snにおいて略等しくしたものを基準断面形状とし、
    前記ピストン(13)の頂面のピストン中心軸(Lp)方向の高さが低い方向に存在する燃料噴射軸(Li1,Li2)を通る前記燃料噴射断面Snほど、前記基準断面形状が拡大するように前記キャビティ(25)の内壁面の形状を変化させることで、前記各々の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)の容積を略等しくしたことを特徴とする、請求項4に記載の燃料直噴エンジン。
  6. 前記経路AnCnのうち、該経路AnCnの最下部から前記第3特定点Cnまでの区間の形状が拡大するように変化させたことを特徴とする、請求項5に記載の燃料直噴エンジン。
  7. 前記仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)の数Mが前記燃料噴射軸(Li1,Li2)の数Nに等しいことを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の燃料直噴エンジン。
  8. 前記ピストン(13)の頂面の形状は、ピストンピン(14)の軸線と平行な稜線を挟んで傾斜する二つの傾斜面を有するペントルーフ形状であることを特徴とする、請求項4〜請求項7の何れか1項に記載の燃料直噴エンジン。
  9. 前記ピストンピン(14)の軸線に近い燃料噴射軸(Li1,Li2)ほど、その燃料噴射傘半角(γ/2)を大きくしたことを特徴とする、請求項8に記載の燃料直噴エンジン。
  10. 頂面のピストン中心軸(Lp)方向の高さが円周方向に変化するピストン(13)を備え、前記インジェクタ(23)は、前記ピストン(13)の前記頂面の中央部に凹設された前記燃焼室としてのキャビティ(25)内に燃料を噴射するものであり、
    Mを2以上の自然数とし、前記キャビティ(25)の内壁面と、ピストン中心軸(Lp)から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するM個の半平面(X1〜X6)とで、前記キャビティ(25)をM個の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)に区画したとき、前記各々の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)の容積のばらつきが、前記キャビティ(25)の深さを円周方向に均一にした場合の前記M個の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)の容積のばらつきよりも小さくなるように、前記キャビティ(25)の内壁面の形状を設定したことを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の燃料直噴エンジン。
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