JP2010053710A - 燃料直噴エンジン - Google Patents

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Kenichiro Iketani
健一郎 池谷
Yoshimasa Kaneko
宜正 金子
Goichi Katayama
吾一 片山
Nobuhiko Sasaki
信彦 佐々木
Hiroshi Sono
比呂志 園
Yukihisa Yamatani
幸久 山谷
Akihiro Yamaguchi
晃弘 山口
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Abstract

【課題】燃料直噴エンジンの燃焼室に発生する吸気のタンブル流の影響を補償し、フュエルインジェクタから噴射した燃料および吸気を可及的に均一に混合できるようにする。
【解決手段】シリンダ内をピストンが下降する吸気行程において、吸気ポートから吸気バルブ孔を通して燃焼室に吸入される吸気によって、燃焼室内に、燃焼室の下方側で排気側象限Qeから吸気側象限Qiに向かう流動となるタンブル流が発生する。このタンブル流は圧縮上死点付近まで維持されるが、フュエルインジェクタから燃焼室の下部に向けて噴射される燃料を、排気側象限Qeにおける燃料噴射量が吸気側象限Qiにおける燃料噴射量よりも多くなるように設定したので、排気側象限Qeから吸気側象限Qiに向かって流れるタンブル流による燃料噴霧の偏りの影響を相殺し、燃焼室の全領域で燃料および吸気の混合状態を均一化して燃焼状態を改善することができる。
【選択図】図17

Description

本発明は、シリンダ内を摺動するピストンの上面とシリンダヘッドの下面との間に区画される燃焼室を備え、前記燃焼室に臨むシリンダヘッドの下面は稜線を挟んで斜め下向きに傾斜する二つの傾斜面を有するペントルーフ状に形成され、前記二つの傾斜面の一方に吸気バルブ孔が開口して他方に排気バルブ孔が開口し、前記シリンダヘッドに設けられたフュエルインジェクタが、前記吸気バルブ孔および前記排気バルブ孔の間であって前記稜線の近傍に開口する燃料噴射孔から、斜め下向きにコーン状に拡開する複数の燃料噴射軸に沿って前記燃焼室に燃料を噴射する燃料直噴エンジンに関する。
一般的に燃料直噴ディーゼルエンジンのピストンの頂面は平坦に形成されているが、ピストンの頂面をペントルーフ状に突出させた燃料直噴ディーゼルエンジンが、下記特許文献1により公知である。
ペントルーフ型のピストンの頂面にキャビティを凹設すると、キャビティの開口の高さが円周方向に変化する。従って、キャビティの底壁部の高さを円周方向に一定にすると、キャビティの周壁部の深さが円周方向に変化してしまい、フュエルインジェクタから噴射された燃料と空気との混合状態が円周方向に不均一になり、エンジンの出力が低下したり排気有害物質が増加したりする問題がある。
この問題を解決するために、下記特許文献1に記載されたものは、キャビティの底壁部の高さをキャビティの開口の高さの変化に追従するように変化させることで、キャビティの周壁部の深さを円周方向にほぼ一定にし、これによりキャビティにおける燃料と空気との混合状態が円周方向に均一になるようにしている。
しかしながら上記特許文献1に記載されたものは、キャビティの周壁部の深さは円周方向に一定になるが、各燃料噴射軸を通るキャビティの断面形状がキャビティの開口の高さに応じて変化してしまうため、燃料と空気との混合状態を必ずしもキャビティの円周方向に均一化することができなかった。
そこで本出願人は、下記特許文献2に開示されているように、ピストン中心軸上に配置したフュエルインジェクタの複数の燃料噴射軸を通るキャビティの各断面形状を基本的に同一形状にすることで、キャビティ内での燃料および空気の混合状態を均一化し、エンジンの出力向上および排気有害物質の低減を図った燃料直噴エンジンを提案した。
特公平5−17369号公報 特開2008−2443号公報
しかしながら、特許文献2の発明のように、キャビティの断面形状を工夫して燃料および空気の混合状態の均一化を図っても、キャビティに吸入される吸気に縦方向に回転するタンブル流が発生すると、フュエルインジェクタから円周方向に均一に噴射された燃料が、排気側から吸気側に向かうタンブル流や、吸気側から排気側に流れるタンブル流に押し流されてしまい、燃料および空気の混合状態が不均一化される虞があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、燃料直噴エンジンの燃焼室に発生する吸気のタンブル流の影響を補償し、フュエルインジェクタから噴射した燃料および吸気を可及的に均一に混合できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、シリンダ内を摺動するピストンの上面とシリンダヘッドの下面との間に区画される燃焼室を備え、前記燃焼室に臨むシリンダヘッドの下面は稜線を挟んで斜め下向きに傾斜する二つの傾斜面を有するペントルーフ状に形成され、前記二つの傾斜面の一方に吸気バルブ孔が開口して他方に排気バルブ孔が開口し、前記シリンダヘッドに設けられたフュエルインジェクタが、前記吸気バルブ孔および前記排気バルブ孔の間であって前記稜線の近傍に開口する燃料噴射孔から、斜め下向きにコーン状に拡開する複数の燃料噴射軸に沿って前記燃焼室に燃料を噴射する燃料直噴エンジンにおいて、前記燃焼室を前記シリンダヘッド側と前記ピストン側とに2分する第1仮想面によって、該燃焼室をシリンダヘッド側象限とピストン側象限とに区分し、かつピストン中心軸を含んで前記稜線と平行に延びる第2仮想面によって、前記燃焼室を吸気側象限と排気側象限とに区分し、前記シリンダヘッドに形成されて前記吸気バルブ孔に開口する吸気ポ−トを、前記シリンダヘッド側象限では前記吸気側象限から前記排気側象限に向かって吸気が流動し、かつ前記ピストン側象限では前記排気側象限から前記吸気側象限に向かって吸気が流動するタンブル流となるように形成し、前記ピストン側象限かつ前記排気側象限における燃料噴射量を、前記前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限における燃料噴射量よりも多くなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記ピストン側象限かつ前記排気側象限を通過する燃料噴射軸の数を、前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限を通過する燃料噴射軸の数よりも多くなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記ピストン側象限かつ前記排気側象限における燃料噴射軸の間隔を、前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限における燃料噴射軸の間隔よりも小さくなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記排気側象限を指向する燃料噴射孔の数を、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限を指向する燃料噴射孔の数よりも多くなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記排気側象限を指向する燃料噴射孔の径を、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限を指向する燃料噴射孔の径よりも大きくなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記排気側象限を指向する燃料噴射孔の断面積の総和を、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限を指向する燃料噴射孔の断面積の総和よりも大きくなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項7に記載された発明によれば、請求項1〜請求項6の何れか1項の構成に加えて、前記フュエルインジェクタの燃料噴射孔の中心となる仮想的な燃料噴射点を前記排気側象限に位置させたことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項8に記載された発明によれば、請求項7の構成に加えて、前記フュエルインジェクタを、その上部が前記排気側象限に向かって倒れるように前記ピストン中心軸に対して傾斜させたことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項9に記載された発明によれば、請求項1〜請求項8の何れか1項の構成に加えて、前記吸気バルブ孔における前記吸気ポ−トの軸線下流側方向が前記排気側象限を指向することを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項10に記載された発明によれば、シリンダ内を摺動するピストンの上面とシリンダヘッドの下面との間に区画される燃焼室を備え、前記燃焼室に臨むシリンダヘッドの下面は稜線を挟んで斜め下向きに傾斜する二つの傾斜面を有するペントルーフ状に形成され、前記二つの傾斜面の一方に吸気バルブ孔が開口して他方に排気バルブ孔が開口し、前記シリンダヘッドに設けられたフュエルインジェクタが、前記吸気バルブ孔および前記排気バルブ孔の間であって前記稜線の近傍に開口する燃料噴射孔から、斜め下向きにコーン状に拡開する複数の燃料噴射軸に沿って前記燃焼室に燃料を噴射する燃料直噴エンジンにおいて、前記燃焼室を上下方向に2分する第1仮想面によって、該燃焼室をシリンダヘッド側象限とピストン側象限とに区分し、かつピストン中心軸を含んで前記稜線と平行に延びる第2仮想面によって、前記燃焼室を吸気側象限と排気側象限とに区分し、前記シリンダヘッドに形成されて前記吸気バルブ孔に開口する吸気ポ−トを、前記ピストン側象限では前記吸気側象限から前記排気側象限に向かって吸気が流動し、かつ前記シリンダヘッド側象限では前記排気側象限から前記吸気側象限に向かって吸気が流動するタンブル流となるように形成し、前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限における燃料噴射量を、前記前記ピストン側象限かつ前記排気側象限における燃料噴射量よりも多くなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項11に記載された発明によれば、請求項10の構成に加えて、前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限を通過する燃料噴射軸の数を、前記ピストン側象限かつ前記排気側象限を通過する燃料噴射軸の数よりも多くなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項12に記載された発明によれば、請求項10の構成に加えて、前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限における燃料噴射軸の間隔を、前記ピストン側象限かつ前記排気側象限における燃料噴射軸の間隔よりも小さくなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項13に記載された発明によれば、請求項10の構成に加えて、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限を指向する燃料噴射孔の数を、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記排気側象限を指向する燃料噴射孔の数よりも多くなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項14に記載された発明によれば、請求項10の構成に加えて、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限を指向する燃料噴射孔の径を、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記排気側象限を指向する燃料噴射孔の径よりも大きくなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項15に記載された発明によれば、請求項10の構成に加えて、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記吸気側象限を指向する燃料噴射孔の断面積の総和を、前記フュエルインジェクタの前記ピストン側象限かつ前記排気側象限を指向する燃料噴射孔の断面積の総和よりも大きくなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項16に記載された発明によれば、請求項10〜請求項15の何れか1項の構成に加えて、前記フュエルインジェクタの燃料噴射孔の中心となる仮想的な燃料噴射点を前記吸気側象限に位置させたことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項17に記載された発明によれば、請求項16の構成に加えて、前記フュエルインジェクタを、その上部が前記吸気側象限に向かって倒れるように前記ピストン中心軸に対して傾斜させたことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項18に記載された発明によれば、請求項10〜請求項17の何れか1項の構成に加えて、前記吸気バルブ孔における前記吸気ポ−トの軸線下流側方向が前記吸気側象限を指向することを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項19に記載された発明によれば、請求項1〜請求項6および請求項10〜請求項15の何れか1項の構成に加えて、前記燃焼室は前記ピストンの頂面に凹設したキャビティで構成され、Nを2以上の自然数とし、前記キャビティの内壁面と、ピストン中心軸から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するN個の半平面とで、前記キャビティをN個の仮想的なキャビティ区分に区画したとき、前記各々の仮想的なキャビティ区分の容積が略等しくなるように、前記キャビティの内壁面の形状を設定したことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
また請求項20に記載された発明によれば、請求項19の構成に加えて、n番目の燃料噴射軸を通る前記キャビティの断面を燃料噴射断面Snとし、前記燃料噴射断面Snと前記キャビティの開口周縁との交点を第1特定点Anとし、前記第1特定点Anを通りかつ前記燃料噴射断面Snにおけるシリンダヘッドの下面と平行な線上には第2特定点Bnが存在し、前記燃料噴射断面Snにおける前記キャビティの底壁部上には第3特定点Cnが存在し、前記第2特定点Bnは前記第1特定点Anよりもピストン中心軸に近い位置にあり、前記第3特定点Cnは前記キャビティの底壁部の最大外径位置よりもピストン中心軸に近い位置にあり、前記第1,2特定点An,Bnを前記燃料噴射断面Snにおける前記シリンダヘッドの下面に沿う線で結ぶ経路AnBnと、前記第1、第3特定点An,Cnを前記燃料噴射断面Snにおける前記キャビティの壁面に沿って結ぶ経路AnCnと、前記第2、第3特定点Bn,Cnを最短直線で結ぶ経路BnCnとで囲まれる断面形状が、各燃料噴射断面Snにおいて略等しくしたものを基準断面形状とし、前記ピストンの頂面のピストン中心軸方向の高さが低い方向に存在する燃料噴射軸を通る前記燃料噴射断面Snほど、前記基準断面形状が拡大するように前記キャビティの内壁面の形状を変化させることで、前記各々の仮想的なキャビティ区分の容積を略等しくしたことを特徴とする燃料直噴エンジンが提案される。
請求項1の構成によれば、シリンダ内をピストンが下降する吸気行程において、吸気ポートから吸気バルブ孔を通して燃焼室に吸気が吸入されるとき、燃焼室のシリンダヘッド側象限では吸気側象限から排気側象限に向かって吸気が流動し、かつピストン側象限では排気側象限から吸気側象限に向かって吸気が流動するタンブル流が発生しても、フュエルインジェクタからピストン側象限に噴射される燃料を、排気側象限における燃料噴射量が吸気側象限における燃料噴射量よりも多くなるように設定したので、ピストン側象限を排気側象限から吸気側象限に向かって流れるタンブル流による燃料噴霧の偏りの影響を相殺し、燃焼室の全領域で燃料および吸気の混合状態を均一化して燃焼状態を改善することができる。
また請求項2の構成によれば、吸気のタンブル流が排気側象限から吸気側象限に向かって流動するピストン側象限において、排気側象限における燃料噴射軸の数を吸気側象限における燃料噴射軸の数よりも多くなるように設定したので、タンブル流の影響を補償して燃焼室の全領域で燃料の密度を均一化することができる。
また請求項3の構成によれば、吸気のタンブル流が排気側象限から吸気側象限に向かって流動するピストン側象限において、排気側象限における燃料噴射軸の間隔を吸気側象限における燃料噴射軸の間隔よりも小さくなるように設定したので、タンブル流の影響を補償して燃焼室の全領域で燃料の密度を均一化することができる。
また請求項4の構成によれば、吸気のタンブル流が排気側象限から吸気側象限に向かって流動するピストン側象限において、フュエルインジェクタの排気側象限を指向する燃料噴射孔の数を吸気側象限を指向する燃料噴射孔の数よりも多くなるように設定したので、タンブル流の影響を補償して燃焼室の全領域で燃料の密度を均一化することができる。
また請求項5の構成によれば、吸気のタンブル流が排気側象限から吸気側象限に向かって流動するピストン側象限において、フュエルインジェクタの排気側象限を指向する燃料噴射孔の径を吸気側象限を指向する燃料噴射孔の径よりも大きくなるように設定したので、タンブル流の影響を補償して燃焼室の全領域で燃料の密度を均一化することができる。
また請求項6の構成によれば、吸気のタンブル流が排気側象限から吸気側象限に向かって流動するピストン側象限において、フュエルインジェクタの排気側象限を指向する燃料噴射孔の断面積の総和を吸気側象限を指向する燃料噴射孔の断面積の総和よりも大きくなるように設定したので、タンブル流の影響を補償して燃焼室の全領域で燃料の密度を均一化することができる。
また請求項7に記載された発明によれば、シリンダ内をピストンが下降する吸気行程において、吸気ポートから吸気バルブ孔を通して燃焼室に吸気が吸入されるとき、燃焼室のシリンダヘッド側象限では吸気側象限から排気側象限に向かって吸気が流動し、かつピストン側象限では排気側象限から吸気側象限に向かって吸気が流動するタンブル流が発生しても、フュエルインジェクタの燃料噴射孔の中心となる仮想的な燃料噴射点を排気側象限に位置させたので、ピストン側象限を排気側象限から吸気側象限に向かって流れるタンブル流による燃料噴霧の偏りの影響を相殺し、燃焼室の全領域で燃料および吸気の混合状態を均一化して燃焼状態を改善することができる。
また請求項8の構成によれば、フュエルインジェクタの上部をピストン中心軸に対して排気側象限に向かって倒れるように傾斜させたので、フュエルインジェクタの仮想的な燃料噴射点を排気側象限に位置させても、その燃料噴射孔の角度を排気側象限側および吸気側象限側で同一にし、加工を容易にしてコストの削減を図ることができる。
また請求項9の構成によれば、吸気バルブ孔における吸気ポ−トの軸線下流側方向が排気側象限を指向するので、フュエルインジェクタから燃料が噴射される燃焼室のピストン側象限において、排気側象限から吸気側象限に向かうタンブル流を発生させることができる。
また請求項10の構成によれば、シリンダ内をピストンが下降する吸気行程において、吸気ポートから吸気バルブ孔を通して燃焼室に吸気が吸入されるとき、燃焼室のシリンダヘッド側象限では排気側象限から吸気側象限に向かって吸気が流動し、かつピストン側象限では吸気側象限から排気側象限に向かって吸気が流動するタンブル流が発生しても、フュエルインジェクタからピストン側象限に噴射される燃料を、吸気側象限における燃料噴射量が排気側象限における燃料噴射量よりも多くなるように設定したので、ピストン側象限を吸気側象限から排気側象限に向かって流れるタンブル流による燃料噴霧の偏りの影響を相殺し、燃焼室の全領域で燃料および吸気の混合状態を均一化して燃焼状態を改善することができる。
また請求項11の構成によれば、吸気のタンブル流が吸気側象限から排気側象限に向かって流動するピストン側象限において、吸気側象限における燃料噴射軸の数を排気側象限における燃料噴射軸の数よりも多くなるように設定したので、タンブル流の影響を補償して燃焼室の全領域で燃料の密度を均一化することができる。
また請求項12の構成によれば、吸気のタンブル流が吸気側象限から排気側象限に向かって流動するピストン側象限において、吸気側象限における燃料噴射軸の間隔を排気側象限における燃料噴射軸の間隔よりも小さくなるように設定したので、タンブル流の影響を補償して燃焼室の全領域で燃料の密度を均一化することができる。
また請求項13の構成によれば、吸気のタンブル流が吸気側象限から排気側象限に向かって流動するピストン側象限において、フュエルインジェクタの吸気側象限を指向する燃料噴射孔の数を排気側象限を指向する燃料噴射孔の数よりも多くなるように設定したので、タンブル流の影響を補償して燃焼室の全領域で燃料の密度を均一化することができる。
また請求項14の構成によれば、吸気のタンブル流が吸気側象限から排気側象限に向かって流動するピストン側象限において、フュエルインジェクタの吸気側象限を指向する燃料噴射孔の径を排気側象限を指向する燃料噴射孔の径よりも大きくなるように設定したので、タンブル流の影響を補償して燃焼室の全領域で燃料の密度を均一化することができる。
また請求項15の構成によれば、吸気のタンブル流が吸気側象限から排気側象限に向かって流動するピストン側象限において、フュエルインジェクタの吸気側象限を指向する燃料噴射孔の断面積の総和を排気側象限を指向する燃料噴射孔の断面積の総和よりも大きくなるように設定したので、タンブル流の影響を補償して燃焼室の全領域で燃料の密度を均一化することができる。
また請求項16に記載された発明によれば、シリンダ内をピストンが下降する吸気行程において、吸気ポートから吸気バルブ孔を通して燃焼室に吸気が吸入されるとき、燃焼室のシリンダヘッド側象限では排気側象限から吸気側象限に向かって吸気が流動し、かつピストン側象限では吸気側象限から排気側象限に向かって吸気が流動するタンブル流が発生しても、フュエルインジェクタの燃料噴射孔の中心となる仮想的な燃料噴射点を吸気側象限に位置させたので、ピストン側象限を吸気側象限から排気側象限に向かって流れるタンブル流による燃料噴霧の偏りの影響を相殺し、燃焼室の全領域で燃料および吸気の混合状態を均一化して燃焼状態を改善することができる。
また請求項17の構成によれば、フュエルインジェクタの上部をピストン中心軸に対して吸気側象限に向かって倒れるように傾斜させたので、フュエルインジェクタの仮想的な燃料噴射点を吸気側象限に位置させても、その燃料噴射孔の角度を排気側象限側および吸気側象限側で同一にし、加工を容易にしてコストの削減を図ることができる。
また請求項18の構成によれば、吸気バルブ孔における吸気ポ−トの軸線が吸気側象限を指向するので、吸気ポ−トから吸気バルブ孔を通過して燃焼室に供給された吸気に、シリンダヘッド側象限では排気側象限から吸気側象限に向かって吸気が流動し、かつピストン側象限では吸気側象限から排気側象限に向かって吸気が流動するタンブル流を形成することができる。
また請求項19の構成によれば、ピストンの頂面の中央部に凹設したキャビティの内壁面と、ピストン中心軸から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するN個の半平面とで、キャビティをN個の仮想的なキャビティ区分に区画したとき、各々の仮想的なキャビティ区分の容積が略等しくなるようにキャビティの内壁面の形状を設定したので、上記請求項1〜請求項6および請求項10〜請求項15の構成によって、タンブル流を考慮した燃料噴射による燃料の均一化に加え、燃料噴射空間であるキャビティが均一化されることで、キャビティにおける燃料および空気の混合状態がより一層均一化されてエンジンの出力向上および排気有害物質の低減を図ることができる。
また請求項20の構成によれば、特許文献2の発明のキャビティの断面形状を基準断面形状とし、ピストンの頂面のピストン中心軸方向の高さが低い方向に存在する燃料噴射軸を通る燃料噴射断面Snほど、前記基準断面形状が拡大するようにキャビティの内壁面の形状を変化させることで、各々の仮想的なキャビティ区分の容積を略等しくしたので、特許文献2の発明に比べて各燃料噴射断面Snにおける燃料および空気の混合状態をより均一化することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図17は本発明の第1の実施の形態を示すもので、図1はディーゼルエンジンの要部縦断面図、図2は図1の2−2線矢視図、図3は図1の3−3線矢視図、図4はピストンの上部斜視図、図5は図3の5−5線断面図、図6は図3の6−6線断面図、図7は図3の7−7線断面図、図8は補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図5に対応する図、図9は補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図6に対応する図、図10は仮想的なキャビティ区分の説明図、図11は図1の11部拡大図、図12はキャビティ区分の方向を円周方向に変化させたときの、該キャビティ区分の容積の変化率を示すグラフ、図13はシリンダヘッド側象限Qh、ピストン側象限Qp、吸気側象限Qiおよび排気側象限Qeの定義を示す図、図14はタンブル流が生成する過程の説明図、図15はTDC付近のピストン側象限Qpにおけるタンブル流の方向を示す図、図16はキャビティにおける燃料の分布を示す図(従来例)、図17はキャビティにおける燃料の分布を示す図(第1の実施の形態)である。
図1〜図3に示すように、燃料直噴型のディーゼルエンジンは、シリンダブロック11に形成されたシリンダ12に摺動自在に嵌合するピストン13を備えており、ピストン13はピストンピン14およびコネクティングロッド15を介して図示せぬクランクシャフトに接続される。シリンダブロック11の上面に結合されるシリンダヘッド16の下面に、ピストン13の頂面に対向する2個の吸気バルブ孔17,17と、2個の排気バルブ孔18,18とが開口しており、吸気バルブ孔17,17に吸気ポ−ト19が連通し、排気バルブ孔18,18に排気ポート20が連通する。吸気バルブ孔17,17は吸気バルブ21,21で開閉され、排気バルブ孔18,18は排気バルブ22,22で開閉される。ピストン中心軸Lp上に位置するようにフュエルインジェクタ23が設けられるとともに、フュエルインジェクタ23に隣接するようにグロープラグ24が設けられる。
図1、図2および図4から明らかなように、ピストン13の頂面と、そこに対向するシリンダヘッド16の下面とは平坦ではなく断面三角形のペントルーフ状に傾斜しており、この形状により、吸気ポ−ト19および排気ポート20の湾曲度を小さくするとともに吸気バルブ孔17,17および排気バルブ孔18,18の直径を確保し、吸気効率および排気効率を高めることができる。
シリンダヘッド16のペントルーフ型の下面は、ピストンピン14と平行に直線状に延びる稜線16aと、その稜線16aから斜め下方に傾斜する一対の傾斜面16b,16aとを備える。厳密に言うと、稜線16aは幾何学的な「線」ではなく、吸排気方向に所定の幅を有する帯状の面である。またピストン13の頂面には、ピストン中心軸Lpを中心とするキャビティ25が凹設される。キャビティ25の径方向外側には、ピストンピン14と平行に直線状に延びる頂部13a,13aから吸気側および排気側に向かって下向きに傾斜する一対の傾斜面13b,13bと、傾斜面13b,13bの下端近傍に形成されてピストン中心軸Lpに直交する一対の平坦面13c,13cと、頂部13a,13aの両端を平坦に切り欠いた一対の切欠き部13d,13dとが形成される。
ピストン中心軸Lpに沿って配置されたフュエルインジェクタ23は、その先端に形成された6個の燃料噴射孔23a…(図11参照)を備えており、ピストン中心軸Lp上の仮想的な点である燃料噴射点Oinjを中心として円周方向に不等間隔で離間する6つの方向に燃料を噴射する。6本の燃料噴射軸のうちの2本の第1燃料噴射軸Li1は、ピストン中心軸Lp方向に見てピストンピン14の方向に対して小さい角度γ1で交差しており、他の4本の第2燃料噴射軸Li2は、ピストンピン14の方向に対して大きい角度γ2,γ3で交差している(図3参照)。またピストン中心軸Lpに直交する方向に見て、6本の第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2は斜め下向きに傾斜しており、その下向きの度合いは第1燃料噴射軸Li1については小さく、第2燃料噴射軸Li2については大きくなっている(図6および図7参照)。
尚、フュエルインジェクタ23が実際に燃料を噴射する噴射点はピストン中心軸Lpから径方向外側に僅かにずれているが、前記燃料噴射点Oinjは前記第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2がピストン中心軸Lpと交差する点として定義される。
次に、図5〜図7を参照して上記特許文献2の発明のキャビティ25の断面形状を詳述する。特許文献2の発明のキャビティ25の断面形状を説明する理由は、特許文献2の発明のキャビティ25の断面形状を補正して本願発明のキャビティ25の断面形状を得るからである。図5はピストンピン14に対して直交する方向の断面であり、図6はピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面(第2燃料噴射軸Li2に近い断面)であり、図7はピストンピン14に沿う方向の断面(第1燃料噴射軸Li1に近い断面)である。
上記特許文献2の発明は、ピストン中心軸Lpを通る任意の断面において、キャビティ25の形状を可及的に一致させることを狙ったものである。キャビティ25の断面形状はピストン中心軸Lpを挟んで左右二つの部分に分かれており、その二つの部分は図7のピストンピン14方向の断面では概ね直線状に繋がっているが、図5のピストンピン14直交方向の断面と、図6のピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面とでは、ピストン13のペントルーフ形状に応じて山型に繋がっている。但し、キャビティ25の断面形状の主要部、つまり図5〜図7に網かけをして示す部分の形状は完全に一致している。
図5〜図7から明らかなように、ピストン中心軸Lpを中心として形成されたキャビティ25は、ピストン13の頂面から下向きに直線状に延びる周壁部25aと、周壁部25aの下端からピストン中心軸Lpに向かってコンケーブ状に湾曲する曲壁部25bと、曲壁部25bの径方向内端からピストン中心軸Lpに向かって斜め上方に直線状に延びる底壁部25cと、ピストン中心軸Lp上で底壁部25cの径方向内端に連なる頂部25dとで構成される。
キャビティ25に対向するシリンダヘッド16の下面を示す線L−R1,L−R2から下方に距離Haだけ離れて平行に延びるラインをピストン頂面基本線L−a1,L−a2とする。同様にシリンダヘッド16の下面を示す線L−R1,L−R2から下方に距離Hbcだけ離れて平行に延びる線をキャビティ底面基本線L−bc1,L−bc2とし、シリンダヘッド16の下面を示す線L−R1,L−R2から下方に距離Hdだけ離れて平行に延びる線をキャビティ頂部基本線L−d1,L−d2とする。
燃料噴射点Oinjを中心とする半径Raの円弧と前記ピストン頂面基本線L−a1,L−a2との交点をa1,a2とする。同様に燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rbの円弧と前記キャビティ底面基本線L−bc1,L−bc2との交点をb1,b2とし、燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rcの円弧と前記キャビティ底面基本線L−bc1,L−bc2との交点をc1,c2とし、燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rdの円弧と前記キャビティ頂部基本線L−d1,L−d2との交点をd1,d2とする。交点e1,e2は、前記交点d1,d2からピストン頂面基本線L−a1,L−a2に下ろした垂線が該ピストン頂面基本線L−a1,L−a2に交差する点である。
キャビティ25の周壁部25aは直線a1b1,a2b2の上にあり、キャビティ25の底壁部25cは直線c1d1,c2d2に一致し、キャビティ25の曲壁部25bは直線a1b1,a2b2および直線c1d1,c2d2を滑らかに接続する。
しかして、交点a1,c1,d1,e1あるいは交点a2,c2,d2,e2によって決まる網かけした断面形状が,ピストン中心軸Lpを通る任意の断面において等しくなるように、キャビティ25の形状が設定される。
前記交点a1,a2は本発明の第1特定点Anに対応し、前記交点e1,e2は本発明の第2特定点Bnに対応し、前記交点d1,d2は本発明の第3特定点Cnに対応するものである。
図6および図7に示すキャビティ25の断面については、図7に示すピストンピン14方向の断面(第1断面S1)における網かけ部分と、図6に示すピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面(第2断面S2)における網かけ部分とは同形になる。第1燃料噴射軸Li1は、図7に示す第1断面S1から僅かに外れた位置にあるが、便宜上、第1燃料噴射軸Li1を図7の第1断面S1上に示してある。また第2燃料噴射軸Li2は、図6に示す第2断面S2から僅かに外れた位置にあるが、便宜上、第2燃料噴射軸Li2を図6の第2断面S2上に示してある。
図7に示すピストンピン14方向の第1断面S1において、第1燃料噴射軸Li1がキャビティ25と交差する点を燃料衝突点P1とし、図6に示すピストンピン14に対して60°で交差する方向の第2断面S2において、第2燃料噴射軸Li2がキャビティ25と交差する点を燃料衝突点P2とする。二つの燃料衝突点P1,P2は、網かけした同一形状の断面上の同じ位置に存在している。従って、燃料衝突点P2の位置は燃料衝突点P1の位置よりも低くなり、燃料噴射点Oinjから延びる第2燃料噴射軸Li2は第1燃料噴射軸Li1よりも更に下向きに燃料を噴射することになる。
燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P1までの距離D1は、燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P2までの距離D2に略一致する。また燃料衝突点P1におけるキャビティ25の接線と第1燃料噴射軸Li1とが成す燃料衝突角α1は、燃料衝突点P2におけるキャビティ25の接線と第2燃料噴射軸Li2とが成す燃料衝突角α2に略一致する。
以上のように特許文献2の発明によれば、ピストン中心軸Lpを通る任意の断面において、燃料噴射点Oinjの近傍のごく一部(交点e1,d1,d2,e2で囲まれた領域)を除いて、キャビティ25の断面形状が同一に形成されている。特に、第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2に近接する二つの断面(図6および図7参照)においてもキャビティ25の断面形状が同一に形成されており、しかも前記二つの断面において燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P1,P2までの距離D1,D2が略等しく設定され、かつ燃料衝突点P1,P2における燃料衝突角α1,α2が略等しく設定されるので、キャビティ25の各部における空気および燃料の混合状態を円周方向に均一化し、混合気の燃焼状態を改善してエンジン出力の増加および排気有害物質の低減を図ることができる。
尚、燃料衝突点P1,P2は、キャビティ25からの燃料の吹き零れを抑制する意味で、キャビティ25内の低い位置(即ち、後述するピストン側象限Qp)に設定することが望ましい。
また図5および図6に示すピストン13の頂面が傾斜する断面においても、キャビティ25の開口のエッジ(交点a2の部分)が成す角度が、図7に示すピストン13の頂面が平坦な場合に比べて鋭角化することがないため、その部分の熱負荷を軽減して耐熱性を高めることができる。
ところで特許文献2の発明は、図5〜図7におけるキャビティ25の断面形状が、網かけをして示す部分では完全に一致しているものの、燃料噴射点Oinjの近傍の交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域で不一致になっている。その理由は、キャビティ25の断面形状のピストン中心軸Lpを挟む二つの部分が、図7のピストンピン14方向の断面では概ね直線状に繋がっているが、図5のピストンピン14直交方向の断面と、図6のピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面とでは、ピストン13のペントルーフ形状に応じて山型に繋がっているため、交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積が、図7のピストンピン14方向の断面で最も大きく、図6のピストンピン14に対して60°で交差する方向の断面で減少し、図5のピストンピン14直交方向の断面で更に減少するためである。
本実施の形態は、交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積が最大になるピストンピン14方向のキャビティ25の断面形状(図7参照)を基準とし、その他の方向の断面形状を拡大する方向(つまり、キャビティ25の深さを増加させる方向)に補正することで、前記交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積の差異を補償し、キャビティ25の全ての方向の断面で空気および燃料の混合状態の一層の均一化を図るものである。
図8は、図5のピストンピン14直交方向におけるキャビティ25の断面形状の補正手法を説明するものであり、鎖線の形状は特許文献2の発明のものを示し、実線の形状は本実施の形態のものを示している。
本実施の形態によるキャビティ25の断面形状の補正は、交点b1および交点c1の位置を、それぞれ交点b1′および交点c1′となるように下方に移動させることで、網かけ部分の面積を増加させることにより行われる。
先ずキャビティ底面基本線L−bc1と、直線e1d1の下方への延長線との交点をf1として決定する。続いて交点f1を通るキャビティ底面基本線L−bc1を、交点f1を中心として所定角度βだけ下方に回転させ、新たなキャビティ底面基本線L−bc1′を設定する。続いて燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rbの円弧と新たなキャビティ底面基本線L−bc1′との交点を前記b1′として決定し、燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rcの円弧と新たなキャビティ底面基本線L−bc1′との交点を前記c1′として決定する。
しかして、補正後のキャビティ25の断面形状では、キャビティ25の周壁部25aは直線a1b1′の上にあり、キャビティ25の底壁部25cは直線c1′d1に一致し、キャビティ25の曲壁部25bは直線a1b1′および直線c1′d1を滑らかに接続している。
尚、キャビティ底面基本線L−bc1とピストン中心軸Lpとの交点をfとし、この交点fを中心としてキャビティ底面基本線L−bc1を所定角度βだけ下方に回転させることで、新たなキャビティ底面基本線L−bc1′を設定しても良い。
このように、キャビティ25の内壁面における経路AnCnのうち、経路AnCnの最下部から第3特定点Cnまでの区間は第2燃料噴射軸Li2と近接するが、その区間の形状を変化させることでキャビティ25の内壁面への燃料の付着を抑制して燃焼悪化を防止することができる。
本実施の形態では、正味平均有効圧力NMEPが、煤が発生しない状態で、上記特許文献2に記載された発明に対して2%程度向上した。
図9は、図6のピストンピン14に対して60°で交差する方向におけるキャビティ25の断面形状の補正手法を説明するものであり、鎖線の形状は特許文献2の発明のものを示し、実線の形状は本実施の形態のものを示している。
図7(ピストンピン14方向)および図5(ピストンピン14直交方向)における交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積の差異に比べ、図7(ピストンピン14方向)および図6(ピストンピン14に対して60°で交差する方向)の前記面積の差異は小さいため、図9(ピストンピン14に対して60°で交差する方向)におけるキャビティ25の断面形状の拡大量は、図8(ピストンピン14直交方向)におけるキャビティ25の断面形状の拡大量よりも小さなものとなる。
以上、ピストン中心軸Lpの一側のキャビティ25の断面形状の補正について説明したが、ピストン中心軸Lpの他側のキャビティ25の断面形状の補正も全く同様にして行われる。
以上のように、本実施の形態によれば、特許文献2の発明が有する問題点、つまり燃料噴射点Oinjの近傍の交点e1,d1,d2,e2で囲まれた領域におけるキャビティ25の各断面形状の不一致が補償されるので、キャビティ25の各部における空気および燃料の混合状態を円周方向に一層均一化し、混合気の燃焼状態を改善してエンジン出力の更なる増加および排気有害物質の更なる低減を図ることができる。
図10は、本実施の形態によるキャビティ25の断面形状の補正を、別の視点で捕らえる説明図である。
同図において、キャビティ25の中心を通るピストン中心軸Lpから、6個の半平面X1〜X6が放射状に延びている。隣接する2個の半平面X1〜X6が成す角度(挟み角)は全て60°であり、各半平面X1〜X6の間を2等分する6本の2等分線は、ピストン中心軸Lpの方向に見て第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2と重なっている。キャビティ25は6個の半平面X1〜X6によって6個の仮想的なキャビティ区分25A〜26Fに分割されており、本実施の形態によれば、上述したキャビティ25の断面形状の補正により、6個のキャビティ区分25A〜26Fの容積を理論的には同一に設定することが可能である。
しかしながら、6個のキャビティ区分25A〜26Fの容積を完全に同一に設定する必要はなく、それを略同一に設定するだけでも、特許文献1の発明あるいは特許文献2の発明に比べて燃料の混合状態を円周方向により均一化することができる。具体的には、6個のキャビティ区分25A〜26Fの容積のばらつき、つまり最大容積のキャビティ区分と最小容積のキャビティ区分の容積との差分を特許文献1の発明あるいは特許文献2の発明に比べて小さくすれば、燃料の混合状態を円周方向により均一化することができる。
図12は、キャビティ区分の方向(つまり、キャビティ区分の挟み角の2等分線の方向)をピストンピン14の方向を基準(0°)としてピストン中心軸Lpまわりに左右に各60°の範囲で移動させたとき、そのキャビティ区分の容積の変化率を示すものである。破線は従来例(特許文献1の発明)に対応し、実線は本実施の形態に対応する。
何れのものも、キャビティ区分の挟み角の2等分線の方向がピストンピン14の方向に対して60°で交差するとき(図10のキャビティ区分25B,25C,25E,25F参照)を基準とし、そのときの変化率を0%としている。破線で示す従来例では、キャビティ区分の挟み角の2等分線の方向がピストンピン14の方向に一致するとき(図10のキャビティ区分25A,25D参照)、変化率は最大になって7%程度であるが、実線で示す実施の形態では、同じ位置で変化率は最大になるが、その値は大幅に減少して僅か0.5%に抑えられている。
従って、本願発明の一つの定義は、「各キャビティ区分25A〜26Fの容積のばらつきが、キャビティの深さを円周方向に均一にした従来例(特許文献1の発明)の各キャビティ区分25A〜26Fの容積のばらつきよりも小さいもの」とすることができる。
次に、フュエルインジェクタ23がキャビティ25の内部に燃料を噴射する燃料噴射軸Li1,Li2の方向について詳述する。
図13(A)において、キャビティ25を紙面上下に2分する面を第1仮想面IP1としたとき、第1仮想面IP1の上側(シリンダヘッド16側)の領域がシリンダヘッド側象限Qhとして定義され、第1仮想面IP1の下側(ピストン13側)の領域がピストン側象限Qpとして定義される。また図13(B)において、キャビティ25を吸排気側に2分するようにピストン中心軸Lpを通ってシリンダヘッド16の稜線16aと平行に延びる面を第2仮想面IP2としたとき、第2仮想面IP2の吸気側の領域が吸気側象限Qiとして定義され、第2仮想面IP2の排気側の領域が排気側象限Qeとして定義される。
図14(A)に示すように、吸気行程で吸気バルブ21が開弁してピストン13が下降すると、吸気ポート19からシリンダ12内に吸気が吸入されるが、吸気バルブ孔17における吸気ポート19の軸線の下流側方向が排気側象限Qeを指向するため、シリンダ12内に吸入される吸気は排気側に向かって流れる成分が支配的になる。よって、図14(B)に示すように、吸気下死点では、シリンダ12内に図中反時計まわりのタンブル流が生成され、図14(C)に示す圧縮行程から、図14(D)に示す燃料噴射が行われる圧縮上死点にかけても、図中反時計まわりのタンブル流が維持される。
図13、図14(D)および図15を併せて参照すると明らかなように、圧縮上死点でピストン13のキャビティ25内に維持されるタンブル流は、第1仮想面IP1の上側のシリンダヘッド側象限Qhでは吸気側から排気側を指向しているが、第1仮想面IP1の下側のピストン側象限Qpでは排気側から吸気側を指向している。フュエルインジェクタ23の第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2は第1仮想面IP1よりも下側のピストン側象限Qpに存在するため、第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2に沿って噴射された燃料は、図15に示すピストン側象限Qpの排気側から吸気側を指向するタンブル流の影響を受けて吸気側に偏向することになる。
仮に、図16(A)に示すように、第1、第2燃料噴射軸Li,Li2を円周方向に等間隔に設定すると、第1、第2燃料噴射軸Li,Li2に沿って噴射された燃料は、図16(B)に示すように、ピストン側象限Qpにおいて排気側象限Qeから吸気側象限Qiに向かうタンブル流に流されて吸気側象限Qiに偏向し、吸気側象限Qiの燃料の密度が排気側象限Qeの燃料の密度よりも濃くなり、キャビティ25内の燃料および吸気の混合状態が不均一になってしまう。
しかしながら、本実施の形態では、図17(A)に示すように、排気側象限Qeに向けて噴射される燃料量を吸気側象限Qiに向けて噴射される燃料量よりも多くすることで、具体的には、第1、第2燃料噴射軸Li,Li2の方向を円周方向に不等間隔にし、隣接する第1、第2燃料噴射軸Li,Li2が成す角度δ1〜δ4を排気側のものほど小さくして吸気側のものほど大きくすることで、排気側象限Qeに4本の燃料噴射軸Li1,Li2を指向させ、吸気側象限Qiに2本の燃料噴射軸Li2を指向させ、図17(B)に示すように、排気側象限Qeから吸気側象限Qiに向かうタンブル流に流されて吸気側象限Qiに偏向した後の燃料の濃度をキャビティ25内の全域で均一化することを可能にし、これによりエンジン出力の増加および排気有害物質の低減を図ることができる。
次に、図18に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態では、6本の燃料噴射軸Li1,Li2の方向を不等間隔にしてタンブル流の影響を補償しているが、第2の実施の形態では、6本の燃料噴射軸Li1,Li2の方向を等間隔にしながら、インジェクタ23の6個の燃料噴射孔23a…(図11参照)の径を不均一にしてタンブル流の影響を補償している。
即ち、図18(A)に示すように、排気側象限Qeに燃料を噴射する2個の燃料噴射孔23a,23aの径φaを大きくし、排気側象限Qeおよび吸気側象限Qiの境界に燃料を噴射する2個の燃料噴射孔23a,23aの径φbを中程度にし、吸気側象限Qiに燃料を噴射する2個の燃料噴射孔23a,23aの径φcを小さくすることで、排気側象限Qeに噴射される燃料量を吸気側象限Qiに噴射さる燃料量よりも多くする。その結果、図18(B)に示すように、排気側象限Qeから吸気側象限Qiに向かうタンブル流に流されて吸気側象限Qiに偏向した後の燃料の濃度を、キャビティ25内の全域で均一化することができる。
尚、第1の実施の形態の燃料噴射軸Li1,Li2の円周位方向の間隔の設定と、第2の実施の形態の燃料噴射孔23a…の径の設定とを併用することで、排気側象限Qeに噴射される燃料量を吸気側象限Qiに噴射される燃料量よりも多くしても良い。これは、排気側象限Qeを指向する燃料噴射孔23a…の断面積の総和を、吸気側象限Qiを指向する燃料噴射孔23a…の断面積の総和よりも大きくなるように設定することで達成可能である。
次に、図19に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
第1、第2の実施の形態では、フュエルインジェクタ23をピストン中心軸Lp上に配置しているが、第3の実施の形態では、フュエルインジェクタ23の燃料噴射点Oinjをピストン中心軸Lpに対して距離εだけ排気側象限Qeに偏倚させることで、排気側象限Qeに噴射される燃料量を吸気側象限Qiに噴射さる燃料量よりも多くしている。これにより、排気側象限Qeに多く噴射された燃料が、指向排気側象限Qeから吸気側象限Qiに向かうタンブル流に流されて吸気側象限Qiに偏向することで、燃料の濃度をキャビティ25内の全域で均一化することができる。
次に、図20に基づいて本発明の第4の実施の形態を説明する。
第4の実施の形態は、上述した第3の実施の形態の変形であって、フュエルインジェクタ23の軸線を傾斜させたものである。具体的には、フュエルインジェクタ23の上部がピストン中心軸Lpから遠ざかるように、つまり排気側象限Qeに向かって倒れるように角度θだけ傾斜している。
フュエルインジェクタ23をピストン中心軸Lpに対して排気側象限Qe側に距離εだけ偏倚させると、キャビティ25の形状が排気側象限Qeと吸気側象限Qiとで異なってしまうため、上述した第3の実施の形態では、第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2の下向きの角度が排気側象限Qeと吸気側象限Qiとで異なってしまい、フュエルインジェクタ23の燃料噴射孔23a…の加工が面倒になる問題がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、フュエルインジェクタ23の軸線を傾斜させることにより、フュエルインジェクタ23の燃料噴射孔23a…の下向きの角度を排気側象限Qeと吸気側象限Qiとで同一にすることができ、フュエルインジェクタ23の燃料噴射孔23a…の加工を容易にしてコストダウンを図ることができる。
次に、図21に基づいて本発明の第5の実施の形態を説明する。
上述した第1〜第4の実施の形態のタンブル流は、図13〜図15で説明したように、第1仮想面IP1の下側のピストン側象限Qpで排気側から吸気側を指向しているが、第5の実施の形態のタンブル流は、図21に示すように、第1仮想面IP1の下側のピストン側象限Qpで吸気側から排気側を指向している。
その理由は、第5の実施の形態では、吸気バルブ孔17における吸気ポート19の軸線の下流側方向が吸気側象限Qiを指向しているので、図中時計まわりのタンブル流が発生するためである。
このように第1〜第4の実施の形態とは逆向きのタンブル流、つまりピストン側象限Qpで吸気側から排気側を指向するタンブル流が発生すると、吸気側象限Qiに噴射された燃料がタンブル流に流されて排気側象限Qeに偏向するため、吸気側象限Qiに噴射される燃料量を排気側象限Qeに噴射される燃料量よりも多くすることで、燃料の濃度をキャビティ25内の全域で均一化してエンジン出力の増加および排気有害物質の低減を図ることができる。
従って、第5の実施の形態では、第1の実施の形態における燃料噴射軸Li1,Li2の間隔、第2の実施の形態における燃料噴射孔23a…の径、第3の実施の形態におけるフュエルインジェクタ23の偏倚方向、第4の実施の形態におけるフュエルインジェクタ23の傾斜方向が逆になる。
しかして、この第5の実施の形態によっても、第1〜第4の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明はペントルーフ型でないピストン13を備えるエンジンに対しても適用することができる。
また実施の形態のフュエルインジェクタ23は6個の燃料噴射孔23a…を備えているが、燃料噴射孔23a…の数は6個に限定されるものではない。
また実施の形態ではディーゼルエンジンについて説明したが、本願発明はディーゼルエンジンに限定されず、燃焼室内に燃料を直接噴射する任意の形式のエンジンに対して適用することができる。
また実施の形態では燃料衝突点P1,P2をピストン側象限Qpに設定しているが、それをシリンダヘッド側象限Qhに設定しても良い。この場合、燃料噴射に対するタンブル流の関係が逆になるので、燃料噴射量を実施の形態と逆の関係とすることで(即ち、第1の実施の形態であれば吸気側象限Qiに向けて噴射される燃料量を、排気側象限Qeに向けて噴射される燃料量よりも多くすることで)、実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
第1の実施の形態に係るディーゼルエンジンの要部縦断面図 図1の2−2線矢視図 図1の3−3線矢視図 ピストンの上部斜視図 図3の5−5線断面図 図3の6−6線断面図 図3の7−7線断面図 補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図5に対応する図 補正後のキャビティの断面形状を示す、前記図6に対応する図 仮想的なキャビティ区分の説明図 図1の11部拡大図 キャビティ区分の方向を円周方向に変化させたときの、該キャビティ区分の容積の変化率を示すグラフ シリンダヘッド側象限Qh、ピストン側象限Qp、吸気側象限Qiおよび排気側象限Qeの定義を示す図 タンブル流が生成する過程の説明図 TDC付近のピストン側象限Qpにおけるタンブル流の方向を示す図 キャビティにおける燃料の分布を示す図(従来例) キャビティにおける燃料の分布を示す図(第1の実施の形態) 第2の実施の形態に係る、前記図17に対応する図 第3の実施の形態に係る、前記図17に対応する図 第4の実施の形態に係る、前記図17(A)に対応する図 第5の実施の形態に係る、タンブル流の方向の説明図
符号の説明
12 シリンダ
13 ピストン
16 シリンダヘッド
16a 稜線
16b 傾斜面
17 吸気バルブ孔
18 排気バルブ孔
19 吸気ポート
23 フュエルインジェクタ
23a 燃料噴射孔
25 キャビティ(燃焼室)
25c 底壁部
25A〜25F キャビティ区分
IP1 第1仮想面
IP2 第2仮想面
Li1 第1燃料噴射軸(燃料噴射軸)
Li2 第2燃料噴射軸(燃料噴射軸)
Lp ピストン中心軸
Oinj 燃料噴射点
Qh シリンダヘッド側象限
Qp ピストン側象限
Qi 吸気側象限
Qe 排気側象限
X1〜X6 半平面

Claims (20)

  1. シリンダ(12)内を摺動するピストン(13)の上面とシリンダヘッド(16)の下面との間に区画される燃焼室(25)を備え、前記燃焼室(25)に臨むシリンダヘッド(16)の下面は稜線(16a)を挟んで斜め下向きに傾斜する二つの傾斜面(16b)を有するペントルーフ状に形成され、前記二つの傾斜面(16b)の一方に吸気バルブ孔(17)が開口して他方に排気バルブ孔(18)が開口し、前記シリンダヘッド(16)に設けられたフュエルインジェクタ(23)が、前記吸気バルブ孔(17)および前記排気バルブ孔(18)の間であって前記稜線(16a)の近傍に開口する燃料噴射孔(23a)から、斜め下向きにコーン状に拡開する複数の燃料噴射軸(Li1,Li2)に沿って前記燃焼室(25)に燃料を噴射する燃料直噴エンジンにおいて、
    前記燃焼室(25)を前記シリンダヘッド(16)側と前記ピストン(13)側とに2分する第1仮想面(IP1)によって、該燃焼室(25)をシリンダヘッド側象限(Qh)とピストン側象限(Qp)とに区分し、
    かつピストン中心軸(Lp)を含んで前記稜線(16a)と平行に延びる第2仮想面(IP2)によって、前記燃焼室(25)を吸気側象限(Qi)と排気側象限(Qe)とに区分し、
    前記シリンダヘッド(16)に形成されて前記吸気バルブ孔(17)に開口する吸気ポ−ト(19)を、前記シリンダヘッド側象限(Qh)では前記吸気側象限(Qi)から前記排気側象限(Qe)に向かって吸気が流動し、かつ前記ピストン側象限(Qp)では前記排気側象限(Qe)から前記吸気側象限(Qi)に向かって吸気が流動するタンブル流となるように形成し、
    前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)における燃料噴射量を、前記前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)における燃料噴射量よりも多くなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジン。
  2. 前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)を通過する燃料噴射軸(Li1,Li2)の数を、前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)を通過する燃料噴射軸(Li1,Li2)の数よりも多くなるように設定したことを特徴とする、請求項1に記載の燃料直噴エンジン。
  3. 前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)における燃料噴射軸(Li1,Li2)の間隔を、前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)における燃料噴射軸(Li1,Li2)の間隔よりも小さくなるように設定したことを特徴とする、請求項1に記載の燃料直噴エンジン。
  4. 前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)を指向する燃料噴射孔(23a)の数を、前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)を指向する燃料噴射孔(23a)の数よりも多くなるように設定したことを特徴とする、請求項1に記載の燃料直噴エンジン。
  5. 前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)を指向する燃料噴射孔(23a)の径を、前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)を指向する燃料噴射孔(23a)の径よりも大きくなるように設定したことを特徴とする、請求項1に記載の燃料直噴エンジン。
  6. 前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)を指向する燃料噴射孔(23a)の断面積の総和を、前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)を指向する燃料噴射孔(23a)の断面積の総和よりも大きくなるように設定したことを特徴とする、請求項1に記載の燃料直噴エンジン。
  7. 前記フュエルインジェクタ(23)の燃料噴射孔(23a)の中心となる仮想的な燃料噴射点(Oinj)を前記排気側象限(Qe)に位置させたことを特徴とする、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の燃料直噴エンジン。
  8. 前記フュエルインジェクタ(23)を、その上部が前記排気側象限(Qe)に向かって倒れるように前記ピストン中心軸(Lp)に対して傾斜させたことを特徴とする、請求項7に記載の燃料直噴エンジン。
  9. 前記吸気バルブ孔(17)における前記吸気ポ−ト(19)の軸線下流側方向が前記排気側象限(Qe)を指向することを特徴とする、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の燃料直噴エンジン。
  10. シリンダ(12)内を摺動するピストン(13)の上面とシリンダヘッド(16)の下面との間に区画される燃焼室(25)を備え、前記燃焼室(25)に臨むシリンダヘッド(16)の下面は稜線(16a)を挟んで斜め下向きに傾斜する二つの傾斜面(16b)を有するペントルーフ状に形成され、前記二つの傾斜面(16b)の一方に吸気バルブ孔(17)が開口して他方に排気バルブ孔(18)が開口し、前記シリンダヘッド(16)に設けられたフュエルインジェクタ(23)が、前記吸気バルブ孔(17)および前記排気バルブ孔(18)の間であって前記稜線(16a)の近傍に開口する燃料噴射孔(23a)から、斜め下向きにコーン状に拡開する複数の燃料噴射軸(Li1,Li2)に沿って前記燃焼室(25)に燃料を噴射する燃料直噴エンジンにおいて、
    前記燃焼室(25)を上下方向に2分する第1仮想面(IP1)によって、該燃焼室(25)をシリンダヘッド側象限(Qh)とピストン側象限(Qp)とに区分し、
    かつピストン中心軸(Lp)を含んで前記稜線(16a)と平行に延びる第2仮想面(IP2)によって、前記燃焼室(25)を吸気側象限(Qi)と排気側象限(Qe)とに区分し、
    前記シリンダヘッド(16)に形成されて前記吸気バルブ孔(17)に開口する吸気ポ−ト(19)を、前記ピストン側象限(Qp)では前記吸気側象限(Qi)から前記排気側象限(Qe)に向かって吸気が流動し、かつ前記シリンダヘッド側象限(Qh)では前記排気側象限(Qe)から前記吸気側象限(Qi)に向かって吸気が流動するタンブル流となるように形成し、
    前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)における燃料噴射量を、前記前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)における燃料噴射量よりも多くなるように設定したことを特徴とする燃料直噴エンジン。
  11. 前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)を通過する燃料噴射軸(Li1,Li2)の数を、前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)を通過する燃料噴射軸(Li1,Li2)の数よりも多くなるように設定したことを特徴とする、請求項10に記載の燃料直噴エンジン。
  12. 前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)における燃料噴射軸(Li1,Li2)の間隔を、前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)における燃料噴射軸(Li1,Li2)の間隔よりも小さくなるように設定したことを特徴とする、請求項10に記載の燃料直噴エンジン。
  13. 前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)を指向する燃料噴射孔(23a)の数を、前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)を指向する燃料噴射孔(23a)の数よりも多くなるように設定したことを特徴とする、請求項10に記載の燃料直噴エンジン。
  14. 前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)を指向する燃料噴射孔(23a)の径を、前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)を指向する燃料噴射孔(23a)の径よりも大きくなるように設定したことを特徴とする、請求項10に記載の燃料直噴エンジン。
  15. 前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記吸気側象限(Qi)を指向する燃料噴射孔(23a)の断面積の総和を、前記フュエルインジェクタ(23)の前記ピストン側象限(Qp)かつ前記排気側象限(Qe)を指向する燃料噴射孔(23a)の断面積の総和よりも大きくなるように設定したことを特徴とする、請求項10に記載の燃料直噴エンジン。
  16. 前記フュエルインジェクタ(23)の燃料噴射孔(23a)の中心となる仮想的な燃料噴射点(Oinj)を前記吸気側象限(Qi)に位置させたことを特徴とする、請求項10〜請求項15の何れか1項に記載の燃料直噴エンジン。
  17. 前記フュエルインジェクタ(23)を、その上部が前記吸気側象限(Qi)に向かって倒れるように前記ピストン中心軸(Lp)に対して傾斜させたことを特徴とする、請求項16に記載の燃料直噴エンジン。
  18. 前記吸気バルブ孔(17)における前記吸気ポ−ト(17)の軸線下流側方向が前記吸気側象限(Qi)を指向することを特徴とする、請求項10〜請求項17の何れか1項に記載の燃料直噴エンジン。
  19. 前記燃焼室は前記ピストン(13)の頂面に凹設したキャビティ(25)で構成され、Nを2以上の自然数とし、前記キャビティ(25)の内壁面と、ピストン中心軸(Lp)から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するN個の半平面(X1〜X6)とで、前記キャビティ(25)をN個の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)に区画したとき、前記各々の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)の容積が略等しくなるように、前記キャビティ(25)の内壁面の形状を設定したことを特徴とする、請求項1〜請求項6および請求項10〜請求項15の何れか1項に記載の燃料直噴エンジン。
  20. n番目の燃料噴射軸(Li1,Li2)を通る前記キャビティ(25)の断面を燃料噴射断面Snとし、
    前記燃料噴射断面Snと前記キャビティ(25)の開口周縁との交点を第1特定点Anとし、
    前記第1特定点Anを通りかつ前記燃料噴射断面Snにおけるシリンダヘッド(16)の下面と平行な線上には第2特定点Bnが存在し、
    前記燃料噴射断面Snにおける前記キャビティ(25)の底壁部(25c)上には第3特定点Cnが存在し、
    前記第2特定点Bnは前記第1特定点Anよりもピストン中心軸(Lp)に近い位置にあり、
    前記第3特定点Cnは前記キャビティ(25)の底壁部(25c)の最大外径位置よりもピストン中心軸(Lp)に近い位置にあり、
    前記第1、2特定点An,Bnを前記燃料噴射断面Snにおける前記シリンダヘッド(16)の下面に沿う線で結ぶ経路AnBnと、前記第1、第3特定点An,Cnを前記燃料噴射断面Snにおける前記キャビティ(25)の壁面に沿って結ぶ経路AnCnと、前記第2、第3特定点Bn,Cnを最短直線で結ぶ経路BnCnとで囲まれる断面形状が、各燃料噴射断面Snにおいて略等しくしたものを基準断面形状とし、
    前記ピストン(13)の頂面のピストン中心軸(Lp)方向の高さが低い方向に存在する燃料噴射軸(Li1,Li2)を通る前記燃料噴射断面Snほど、前記基準断面形状が拡大するように前記キャビティ(25)の内壁面の形状を変化させることで、前記各々の仮想的なキャビティ区分(25A〜25F)の容積を略等しくしたことを特徴とする、請求項19に記載の燃料直噴エンジン。
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