JP2009263148A - プローブカード用素材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高熱伝導性、高強度であり、かつ精密加工性を有し、ダストフリーであるプローブカード用の素材を提供する。
【解決手段】 平均粒子径が1.5μm以下、最大粒子径が15μm以下の金属ホウ素2.5〜10質量%、窒化ホウ素97.5〜90質量%の組成の原料からなり、原料全体の30質量%以上がGI値3〜10である窒化ホウ素を、非酸化性雰囲気下1,900℃〜2,100℃、圧力10〜30MPaで金属ホウ素が0.5質量%以下になるまでホットプレス焼成することを特徴とするプローブカード用素材の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 平均粒子径が1.5μm以下、最大粒子径が15μm以下の金属ホウ素2.5〜10質量%、窒化ホウ素97.5〜90質量%の組成の原料からなり、原料全体の30質量%以上がGI値3〜10である窒化ホウ素を、非酸化性雰囲気下1,900℃〜2,100℃、圧力10〜30MPaで金属ホウ素が0.5質量%以下になるまでホットプレス焼成することを特徴とするプローブカード用素材の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、切削、研削、穴空け等、微細かつ精密な加工を乾式加工で比較的容易に施すことができるプローブカード用素材、およびその製造方法に関するものである。
LSIやVLSI等の半導体では、回路の高精度、微細化が進行しており、これらの素子の電気的特性を検査する装置にも対応する技術が要求されている。検査する素子に形成された電極は全て測定しなければならないが、測定時には触針(プローブ)は各々絶縁された状態で、案内部品を通して電極に接するので、プローブを案内するカード部品は、素子の電極に匹敵するレベルで、高精度、微細な加工が施される。
このような高精度加工を施した部品を得るために、当然ながら、素材は加工性が良好であること、すなわち快削性が必要であるが、それ以外にもいくつかの要求を満たさなければならない。先ず、半導体に触れる検査機器の部品であるため、重金属やアルカリ金属、ハロゲン等の不純物を含まず、絶縁性でダストフリーであることが前提であり、次に、加工工具の摩耗が少ない材料であることが必要である。工具刃先の摩耗が短時間で進むと加工精度が低下してしまうばかりではなく、工具コストがアップし、工具交換によって生産性が低下する。耐摩耗性は、使用方法や工具によって変わるが、工具刃先の摩耗量を低減するには低硬度の材料を必要とする。
低硬度で絶縁性の快削性セラミックスとしては、六方晶窒化ホウ素が良く知られているが、六方晶窒化ホウ素は代表的な難焼結性材料でもあり、高密度の焼結体を得ることが困難で、C軸方向に層間剥離する摺動性材料であるためダストフリー化が難しいという欠点があり、半導体製造プロセスにおいては致命的と言わざるを得ない。また、高強度品も得られ難く、通常市販されている高純度材の曲げ強度は10〜30MPa程度しかないので、薄い形状や大型形状には適用し難い。この問題を解決するために、他のセラミックスと組み合わせて使用する技術が多数提供されており、プローブ案内部品としてもジルコニアや窒化ケイ素との組み合わせが公知である。(特許文献1、特許文献2)
しかしながら、窒化ケイ素添加が、高強度、高靱性化するメカニズムは、柱状のβ晶を粒成長させて材料そのものが繊維強化材となるものであるため、多量に添加してダストの発生をなくすと、快削性そのものが損なわれてしまい、発達した柱状粒子を含む材料微構造は精密加工時に加工工具の刃先の逃げが生じ易い。すなわち、窒化ケイ素を多量に含む材料は、プローブカード部品には適切であるとは言えない。一方、ジルコニアの高強度高靱性化のメカニズムは、準安定相である正方晶微粒子を分散して含ませ、この正方晶が斜方晶に無拡散転移することで、破壊時に生じるクラック進行のエネルギーを吸収するものであるので、比較的多量の微粒子を緻密な焼結体中に分散させる必要がある。その結果、窒化ケイ素や窒化ホウ素の持つ軽さや高熱伝導性が損なわれてしまうと共に、乾式での加工が難しくなる。湿式の加工を行った場合、材料の洗浄や乾燥が必要になるが、相対密度が95%以下の焼結体には開気孔が残るため、乾燥工程では水分の完全除去等十分な注意が必要となる。
特開2001−354480号公報
特開2003−286076号公報
本願発明の目的は、高熱伝導性、高強度であり、かつ精密加工性を有し、ダストフリーとなる製造方法を提案し、プローブカード用の素材を提供することである。
平均粒子径が1.5μm以下、最大粒子径が15μm以下の金属ホウ素2.5〜10質量%、窒化ホウ素97.5〜90質量%の組成の原料からなり、原料全体の30質量%以上がGI値3〜10である窒化ホウ素を、非酸化性雰囲気下1,900℃〜2,100℃、圧力10〜30MPaで金属ホウ素が0.5質量%以下になるまでホットプレス焼成することを特徴とするプローブカード用素材の製造方法。
また、本願発明の窒化ホウ素系材料の製造方法によって得られた素材をプローブカードに用いる際の好ましい特性として以下の実施態様を示すものである。
(1)3N/cm以上のピール強度のテープチェックで確認される表面粒子の剥離量が0.01mg/cm2以下
(2)ショア硬度20〜35
(3)曲げ強度50〜130MPa
(4)熱伝導率40〜80W/mK
(1)3N/cm以上のピール強度のテープチェックで確認される表面粒子の剥離量が0.01mg/cm2以下
(2)ショア硬度20〜35
(3)曲げ強度50〜130MPa
(4)熱伝導率40〜80W/mK
本発明によれば、高強度、高熱伝導性で、十分な精密加工性を確保出来、かつダストの発生が少ないプローブカード用の素材を製造することが出来る。
本願発明の製造方法は、プローブカード用の素材として用いることが出来る窒化ホウ素単味系の材料の製造方法である。従来の技術は、基本的にBNの加工性だけを利用し、複合セラミックス化することで他の欠点に対処しようとしてきた。しかしながら、窒化ホウ素は、他のセラミックスと反応、結合、或いは取り込まれ難い材料であるため、結局は中間的な特性を得るに留まる。即ち、例えば、窒化ホウ素−窒化ケイ素系では、窒化ケイ素より強度、靱性に劣り、窒化ホウ素より加工性に劣る材料となる。これに対して、本願発明の製造方法で作製された窒化ホウ素は、本来持っている加工性、高熱伝導性などを活かしてプローブカード用素材とすることが出来る。
プローブカード部品にはプローブを案内する微細な穴を加工する。穴は、直径50〜150μmの場合が多く、一つの部品に500〜20,000個程度の穴加工が施される。この場合、精密加工性とは具体的に、(1)穴そのものの形状の精度、(2)穴位置の精度、で測られる。(1)は設定した穴径とのズレ及び真円度が目安となり、(2)は穴中心位置または穴間隔の設定値とのズレが目安となる。例えば、直径100μmの穴を50μm間隔で開ける場合、精密加工性に劣る材料では、直径115μmの穴となり、穴間隔は20μmになってしまうことがある。更に、穴間隔が狭い場合は、穴間の絶縁を保つことが出来なくなる。また、素子の電極位置とのズレが大きくなって検査が出来なくなることもある。
窒化ホウ素系材料は本来加工性に優れているが、複合材にした場合、このような不具合が発生し易いのは、窒化ホウ素がセラミックスとしては、非常に柔らかい材料であるため、複合化する相手材との硬さ(硬度)に差があることに起因している。つまり、窒化ケイ素のような硬い材料が多いと当然加工し難いが、逆に少なすぎても、柔らかい材料の中に硬い材料が点在している状態になって、硬い材料に当たった工具に逃げが生じ、穴形状や穴位置に設定値とのズレが生じる。つまり材料内に硬さの分布があると精密加工が出来なくなる。本願発明においては、窒化ホウ素単味系を用いることで、この様な問題を根本的に解決するものである。本願発明の製造方法は、多量に助剤を加えて複合材化した窒化ホウ素や炭素繊維等を加えて高強度化した窒化ホウ素の製造方法とは異なるものである。
本願発明の製造方法で造られるプローブカード用素材は、不可避的な不純物等を除いて窒化ホウ素単味である。窒化ホウ素自体は、従来から公知の材料であり、軽くて、加工し易く、絶縁性、摺動性、耐熱性等を併せ持つ特異なセラミックスとして知られているが、同時に、セラミックスとしては低強度で、ダストを生じ易いため、他のセラミックスとの複合材として用いられてきた。本願発明においては、金属ホウ素を添加するのみであり、組成としては、不可避的な不純物等を除くとホウ素と窒素からなるので、窒化ホウ素単味系の焼結体と考えられる。
ホウ素単体は厳密には半金属に分類されるが、金属光沢と、1.0×106/mΩ程度の導電率を持つことから、一般には金属ホウ素と呼び習わされている。α型、β型の結晶相があるが、高純度の微粉として利用されているのは非晶質を主体としている場合が多い。本願発明においては、非晶質を主体とした高純度の微粉を原料に用いる。具体的には、少なくとも純度90質量%、好ましくは95質量%、更に好ましくは98質量%以上である。金属ホウ素の不純物には、マグネシウム等アルカリ土類金属と酸素が含まれている場合が多く、酸素は不可避的な不純物であるが、アルカリ土類金属は、焼結時にホウ酸との化合物を形成し、高温で揮発、飛散するが、多量に残留すると吸湿性を示すなどプローブカード用素材としては好ましくない。
金属ホウ素を添加して高強度の窒化ホウ素を得る方法自体は既に公知である(特開2004−250264号)。本願発明においてもこの方法を利用するが、金属ホウ素が窒化ホウ素の中に多量に残留すると絶縁性や加工性が低下するので添加量は10質量%を上限とし、残留金属ホウ素が加工性や絶縁性に影響しなくなるまで、1,900〜2,100℃の高温で、十分な時間焼成する必要がある。金属ホウ素は、焼成中に一部は窒化してBNとなり、残りはBN1−x(x=0〜1)に変わっていく。添加量が10質量%より多いと金属ホウ素の残留量が多くなり易く、2.5質量%より少ないと効果が十分ではない。尚、金属ホウ素は焼成中に結晶化するため、残留量は粉末X線回折の主回折線強度比から容易に定量することが出来る。簡便法としては、次式を用いることが出来る。
金属ホウ素残留量=2×IBM/IBN(002)×100(%)
ここにIBMは、窒化ホウ素以外の結晶相の主回折線の積分強度、IBN(002)は窒化ホウ素(002)面の回折線強度である。本願発明では、本法により金属ホウ素が0.5%以下に低減されるまで、加熱焼成を行う。適切な焼成時間は、温度、圧力及び金属ホウ素の粒径や焼結体の大きさ、形状等によって異なるが、1〜12時間である。
金属ホウ素残留量=2×IBM/IBN(002)×100(%)
ここにIBMは、窒化ホウ素以外の結晶相の主回折線の積分強度、IBN(002)は窒化ホウ素(002)面の回折線強度である。本願発明では、本法により金属ホウ素が0.5%以下に低減されるまで、加熱焼成を行う。適切な焼成時間は、温度、圧力及び金属ホウ素の粒径や焼結体の大きさ、形状等によって異なるが、1〜12時間である。
金属ホウ素の粒度は、細かいほど焼成後の残留が少なくなり易いので好ましいが、粉砕し過ぎると媒体等から不純物が混入する、酸素が増加する等の問題があるため、平均径1.5μm以下、最大径15μm以下であればよい。粒径の測定方法には各種の方法があるが、このレベルの粒径ではレーザー回折・散乱法がもっとも安定しており、本願発明でも採用する。具体的にはJIS R 1629に準拠して行えばよい。懸濁液の調整方法を例示すると、ヘキサメタリン酸0.2質量%溶液中に、ホモジナイザーで3〜5分間分散する。測定は日機装社のマイクロトラックSPA−MODEL−7997及び相当品で行う。
本願発明において焼成温度は1,900℃〜2.100℃である。1,900℃未満では金属ホウ素の減少速度が遅く、非常に長時間の焼成が必要となり、2,100℃超では、窒化ホウ素の分解蒸気圧が高くなって、やはり金属ホウ素が残留し易くなる。保持時間は、金属ホウ素の粒度や成形体の大きさによって異なるが、1〜20時間程度である。焼成は、加熱と加圧を同時に行うホットプレス(HP)で行う。熱間等方圧加圧焼成(HIP)でも実施出来るが、コストの点からHP焼成を採用する。圧力は、10〜30MPaである。高圧の方が緻密な焼結体を得られやすいが、30MPaを超えると大型品を製造する際に設備が大きくなって、コスト的に不利となり、10MPa未満では十分緻密な焼結体が得られない。
本願発明においては、少なくとも30質量%はGI値3〜10の窒化ホウ素でなければならない。窒化ホウ素のGI値の設定については、焼結性に関わる。GI値とは、黒鉛化指数とも言い、Graphitization Indexの略称で、結晶性を表す指数である。粉末X線回折で(100)、(101)及び(102)面の回折線の積分強度を各々I100、I101、I102としたときに、次式で表される(J.Thomas,etal,J.Am.Chem. Soc.84,P.4619 (1962))。
GI=(I100+I101)/I102
GI値が小さくなるほど、結晶性が高いことを示しており、理論値では1.6が最小値であるが、実際には配向その他によって1位の値を取ることもある。窒化ホウ素は非常に焼結し難い材料で、昇温によって、酸素を含む低結晶性の粒子から放出されたホウ酸系の液相中で高結晶性の粒子が成長して絡み合い、接することで保形し、これを焼結と称しているため、酸化物のような焼結収縮は殆ど生じない。低結晶性の粉末ほど酸素含有量が多く、焼結し易く、一次粒子は微細であるが、強固な凝集粒子を形成し易い特徴がある。すなわち、焼結性は保持しながら、高熱熱伝導性で凝集粒子の少ない焼結体を得るためには、適切なGI値を有する窒化ホウ素原料を選択する必要があり、具体的にはGI値3〜10の窒化ホウ素である。
GI=(I100+I101)/I102
GI値が小さくなるほど、結晶性が高いことを示しており、理論値では1.6が最小値であるが、実際には配向その他によって1位の値を取ることもある。窒化ホウ素は非常に焼結し難い材料で、昇温によって、酸素を含む低結晶性の粒子から放出されたホウ酸系の液相中で高結晶性の粒子が成長して絡み合い、接することで保形し、これを焼結と称しているため、酸化物のような焼結収縮は殆ど生じない。低結晶性の粉末ほど酸素含有量が多く、焼結し易く、一次粒子は微細であるが、強固な凝集粒子を形成し易い特徴がある。すなわち、焼結性は保持しながら、高熱熱伝導性で凝集粒子の少ない焼結体を得るためには、適切なGI値を有する窒化ホウ素原料を選択する必要があり、具体的にはGI値3〜10の窒化ホウ素である。
次に、本願発明の窒化ホウ素系材料の製造方法によって得られた素材をプローブカードに用いる際の好ましい特性として以下の実施態様を示す。先ず、窒化ホウ素の純度として99質量%以上である。これは、ホウ素と窒素以外の不純物が1質量%未満であることをしめすものである。主な不純物として、原料に起因する酸素やアルカリ土類金属、プロセスに起因するカーボンなどが考えられるが、1質量%未満であれば、窒化ホウ素が本来持つ特性に影響を及ぼさないためである。但し、半導体素子に接する検査装置に用いることから、金属不純物は少ない方が好ましく、例示すれば、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の重金属やナトリウム等のアルカリ金属不純物の合計が、0.1質量%以下、特に好ましくは、0.01質量%以下である。
本願発明においては、プローブカード部品としてダストの発生が抑制された窒化ホウ素を用いる。その目安となるのが、テープチェックである。洗浄、乾燥した試料に粘着テープを貼り付けて剥がす試験であり、テープは、平坦な硬い表面に対して3N/cm以上のピール強度があれば、市販の粘着テープで構わない。テープチェック前後のテープ重量と、試料テープチェックした面積を測定して単位面積当たりのダストの量を求める方法である。0.01mg/cm2以下とは、目視では、ダストが付着していないようなレベルである。
本願発明の製造方法で造られたプローブカード用素材の好ましいショア硬度は20〜35の範囲である。ショア硬度は、JIS B 7727に測定方法が示されているが、小型の測定器、サンプルで、簡便に測定することが出来る。窒化ホウ素やその複合材焼結体においては、ショア硬度が低いほど加工容易で、35以下であれば、従来材料に比べて十分差があると言えるが、ショア硬度20未満では、爪で傷付くレベルで取扱上の問題もある。
更に、好ましい曲げ強度は50〜130MPaである。JIS R 1606に準じて測定する。従来の窒化ホウ素単味系の素材は10〜30MPa程度であり、大型のカードを比較的薄く造るとハンドリングやセット、測定によって破損する恐れがあった。また、近接して細孔加工を行うと孔間の壁が加工時に崩れて絶縁が取れなくなる不良が発生することがあった。50MPa以上の曲げ強度であれば、薄型のカード部品にも適用できる。一方、曲げ強度を高くするためには、金属ホウ素の添加量を増やして高圧で焼成することが考えられるが、これらはコスト的に好ましくないばかりか、金属ホウ素が残留し易くなるため、130MPa以下の強度が好ましい。
最後に、好ましい熱伝導率は40〜80W/mKである。熱伝導率は、試料をレーザーで加熱して熱拡散率を測定し、熱容量と試料形状から熱伝導率を算出するレーザーフラッシュ法が最も一般的に用いられており、キセノン光源を使うキセノンフラッシュ法も同様な測定が出来る。従来用いられてきた素材は、20W/mK程度であり、窒化ホウ素の高熱伝導性が活かされているとは言い難いものである。この程度の熱伝導では、素子の発熱や、加熱下で素子を測定する際に、温度分布が生じて電極の位置ズレ即ち測定誤差の発生となり易い。8インチや12インチなどの大きなウェハーを測定する際には特に敏感であり、プローブ案内用部品としては高熱伝導性素材が好ましい。従来素材に対して十分優位な熱伝導性を持つためには40W/mK以上である。一方、熱伝導率の高い素材を得るための条件は、高温、高圧で長時間の焼成であり、コスト的に好ましくない方向であるため、80W/mK以下が好ましい。高熱伝導性は、薄板形状と組み合わせることによって効果が大きくなる。
以下実施例により、更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
原料粉末は以下の方法で調整した。六方晶窒化ホウ素粉末として市販のA〜D、アモルファス金属ホウ素粉末として市販のE〜Hを準備し、表2に示す所定の割合に混合した。混合は特級エタノール試薬を溶媒としてアルミナ製のボールを混合媒体とするボールミルで24時間行って、濾過、真空乾燥した。出発原料の特性を表1に示す。
原料粉末は以下の方法で調整した。六方晶窒化ホウ素粉末として市販のA〜D、アモルファス金属ホウ素粉末として市販のE〜Hを準備し、表2に示す所定の割合に混合した。混合は特級エタノール試薬を溶媒としてアルミナ製のボールを混合媒体とするボールミルで24時間行って、濾過、真空乾燥した。出発原料の特性を表1に示す。
次に各原料を内直径50mmの黒鉛製のダイスにセットしてホットプレス焼結した。一部は予め100MPaでCIP成型後、N2中、常圧で焼成した。条件を表1に示す。焼結体は取り出した後、直径25mm、厚さ1mmに加工して、カーボンスプレーで黒色化したサンプルをNETZSH社のFlash Apparatus LFA 447 Nanoflashを用いてフラッシュ法にて熱拡散率を測定し、比熱、密度から、「熱伝導率=熱拡散率×比熱×密度」より熱伝導率を算出した。また、幅20mm×長さ20mm×厚さ2mmのサンプルを加工して今井精機社製ショア硬度計D型を用いてショア硬度を測定した。JIS R 1606に従って、厚さ3mm×幅4mm×長さ40mmの加工試片を3本作製して3点曲げ強度を測定し、平均値を曲げ強度とした。また、曲げ強度測定後の試料を粉砕して粉末X線回折で金属ホウ素の残留量を調べた。更に、幅10mm×長さ40mm×厚さ1mmのサンプルを加工してマシニングセンターで直径100μmのマイクロエンドミルの穴加工を乾式で行った。穴センターで150μmピッチ(穴−穴の隔壁設定値50μm)の穴を連続30穴開けて、表面の最大穴径と裏面のセンター位置の最大ズレを、CNC光学測定器を用いて測定した。加工条件は、回転数8,000rpm、加工速度10mm/min.である。結果を表2に示す。最後に、焼結体を輪切りにしたφ50mmのサンプルを水洗後、150℃で2hrs乾燥し、8cm2の面積でテープチェックを行った。テープチェック時の重量変化の値も表2に示す。0.01mg/cm2未満の値は、ダストフリーとして判定した。
表から明らかなように、本発明の実施例では、いずれもテープチェックでダストフリーが確認でき、熱伝導率は41W/mK以上、曲げ強度は52MPa以上を示し、適切なショア硬度であったため、加工性も良好でプローブカード部品のような精密加工部品に好適であった。これに対して、原料組成にGI値9.5の窒化ホウ素が少ない比較例1では、高硬度、低強度であり、GI値が15.0と大き過ぎる低結晶性の原料を多量に用いた比較例11では、共に加工性に劣った。原料組成に金属ホウ素の添加量が多い比較例2では、加工性が低下して、工具折れが生じ、ホウ素が多量に残留していた。また、焼成条件が適切な範囲に入っていない比較例3、5、6、7でも加工性は劣っていた。特に比較例3、6では穴と穴の間の壁部が破損して穴が繋がる穴壁抜けが発生して精密加工には全く適さないことが判る。比較例5、7では、残留ホウ素も多く、絶縁性の低下が懸念され、プローブカード部品用素材としては、信頼性の低いものであった。更にホウ素添加量が不足している比較例4は低強度、低熱伝導率で穴径や穴ズレが大きくなった。粗粒ホウ素を添加した比較例8は、残留ホウ素が多く、大きな穴ズレが目立った。これは、大きな残留ホウ素が異物となって加工性を低下させたためである。比較例7〜10が精密加工性に劣るのも同じ原因である。比較例7は焼成時間が不足しており、比較例8、9は原料ホウ素の平均径と最大粒子径が大き過ぎ、比較例10は平均径が大きすぎるため、ホウ素が多量に残留したものである。
本発明のプローブカード用素材は、精密加工性に優れ、高熱伝導率を有しているため、従来材料に比べて安価に作製することが出来、正確に半導体素子の検査を行うことが出来る。特に今後、更に大型のシリコンウェハーを使って更に微細な電極構造を持った素子が普及することが予想されるため、本発明のプローブカード素材の必要性が益々高まって行く。
Claims (2)
- 平均粒子径が1.5μm以下、最大粒子径が15μm以下の金属ホウ素2.5〜10質量%、窒化ホウ素97.5〜90質量%の組成の原料からなり、原料全体の30質量%以上がGI値3〜10である窒化ホウ素を、非酸化性雰囲気下1,900℃〜2,100℃、圧力10〜30MPaで金属ホウ素が0.5質量%以下になるまでホットプレス焼成することを特徴とするプローブカード用素材の製造方法。
- 3N/cm以上のピール強度のテープチェックで確認される表面粒子の剥離量が0.01mg/cm2以下、ショア硬度20〜35、曲げ強度50〜130MPa、且つ熱伝導率40〜80W/mKであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法で製造されたプローブカード用素材。
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