JP2009262103A - セラミックスフィルタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のセラミックスフィルタの製造方法は、セラミックスからなる多孔質支持体の表面に、セラミックス多孔質膜が設けられたセラミックスフィルタの製造方法であって、前記多孔質支持体の気孔に揮発性溶媒を保持させた後、該揮発性溶媒を主たる分散媒とし、前記気孔の平均気孔径よりも小さくかつ耐熱性の高い微粒子を分散させたスラリーを用いて前記多孔質支持体の表面にコーティング層を形成した後、溶媒除去、熱処理することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
このようなフィルタの中でもセラミックスフィルタの場合、前記の多孔質膜は、セラミックス製の多孔質支持体の表面に、粒子径の小さいセラミックス粒子からなる積層体を形成した後、これを熱処理することにより形成される。
例えば、多孔質支持体を疎水化処理するとともに、粒子径の小さいセラミックス粒子を含むスラリー調製を水系とすることにより、この水系スラリーが多孔質支持体の気孔内に入らないようにする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、多孔質支持体の表面に水系スラリーを付着させるために、水系スラリーに、疎水化処理剤を除去またはその機能を低下させる物質を添加している。しかし、この方法は、多孔質膜を構成するセラミックス粒子の多孔質支持体への接着性が低いため、多孔質支持体の表面には、不均一な多孔質膜が形成されることが多いという問題があった。
二次粒子の製造方法としては、セラミックス粒子をあらかじめ仮焼する方法(例えば、特許文献2参照)や、スラリーに凝集剤を加えて、セラミックス粒子を凝集させる方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
しかし、これらの方法では、二次粒子の粒子径を所定の範囲内とすることが難しく、工程が複雑になるばかりでなく、均質な多孔質膜を形成し難いという問題があった。
気孔を塞ぐ方法としては、除去可能な物質として可燃性物質を用いて、後の焼成工程により、この可燃性物質を燃焼除去する方法(例えば、特許文献4参照)や、除去可能な物質として水やアルコールを用いて、塗布後に、この水やアルコールを乾燥させる方法(例えば、特許文献5、6参照)が開示されている。
しかし、可燃性物質を用いる方法では、気孔に可燃性物質を充填・固化させる工程や、焼成中に可燃性物質を除去する工程が必要となり、工程が複雑化するという問題があった。
また、水やアルコールを用いる方法では、多孔質支持体の塗布面と、これとは反対面との間に圧力差を設けて、多孔質支持体の表面にセラミックス粒子を付着させる必要がある上に、スラリーを連続的に供給する流動接触法を用いる必要があるとされているため、圧力差を設ける設備や、スラリー供給装置が必要となり、装置が大型化・複雑化するという問題があった。
一般的に、自動車用ディーゼルエンジンでは、粒子状物質を捕集するために、セラミックス製の目封じタイプのハニカム構造体であり、DPF(Diesel Particulate Filter)と称されるセラミックスフィルタが使用されている。このハニカム構造体は、セラミックス製のハニカム構造体のセル(ガス流路)の両端を市松模様に目封じしたものであり、このセルの隔壁の細孔を排ガスが通過する際、粒子状物質が捕集される(例えば、特許文献7参照)。
このように、DPFに対して最適な成膜条件により多孔質膜を成膜する技術は、まだ確立されていなかった。
前記有機溶媒は炭素数が1以上かつ3以下のアルコールおよび/またはアセトンであり、前記揮発性溶媒は水であることが好ましい。
前記耐熱性の高い粒子の平均一次粒子径は10nm以上かつ300nm以下であることが好ましい。
前記多孔質支持体は炭化ケイ素、コーディエライトあるいはチタン酸アルミニウムからなることが好ましい。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明のセラミックスフィルタの製造方法により製造されるセラミックスフィルタの一実施形態を一部断面にて示す概略斜視図である。図2は、図1に示すセラミックスフィルタの隔壁構造を示す概略断面図である。
この実施形態では、セラミックスフィルタとして、自動車用ディーゼルエンジンに用いられる排ガス浄化フィルタであるDPFを例示する。
このDPF10は、外形が円柱状をなし、多数の細孔を有する多孔質セラミックスからなる多孔質支持体11と、ガス流路12と、ガス流路12のうち、排気上流側端部が開放されたガス流路12A(排気流入ガス流路)内壁面12aに設けられた多孔質膜13とから概略構成されている。
なお、図1では、上記円柱の軸方向に対して垂直に交わる断面(図1中、符号αで示す面)、および、上記円柱の軸方向に平行な断面(図1中、符号βで示す面)が示されている。
流入口側から流入した粒子状物質30を含む排ガスは、ガス流路12A(排気流入ガス流路)を、図2中、符号α側からγ側へと流れる過程で、多孔質支持体11の隔壁14を通過する。この際、排ガス中に含まれる粒子状物質30は隔壁14により除去され、粒子状物質30が除去された浄化ガスは、ガス流路12B(流出ガス流路)を符号α側から符号γ側へと流れ、最終的に排出口から排出される。
この多孔質膜13は、多孔質支持体11を形成する多孔質体の細孔内に入り込むことなく、ガス流路12の内壁面12a上にて独立した膜をなしている。すなわち、多孔質膜13を形成する耐熱性の高い粒子が、多孔質支持体11の隔壁14内部に侵入せず、隔壁14に含まれる気孔を塞ぐことなく、ガス流路12の内壁面12に、多孔質膜13が設けられている。
多孔質膜13の平均気孔径および平均気孔率は、例えば、平均気孔径は50nm以上かつ500nm以下、平均気孔率は50%以上かつ90%以下という値が選択される。平均気孔率や平均気孔径がこれらの範囲より小さい場合、粒子状物質30を含む排ガスをDPF10内に流入した際に圧力損失が高くなり、一方、平均気孔率や平均気孔径がこれらの範囲より大きい場合、粒子の捕集率やフィルタ再生時の効率が低下する。そして、多孔質膜13の平均気孔径および平均気孔率を上記の範囲とするためには、平均一次粒子径が10nm以上かつ300nm以下である耐熱性の高い粒子を用いることが好ましい。
DPFは、常時高温の排気ガスに曝されるほか、捕集した粒子状物質を燃焼除去する際にはより高温の状態、例えば1000℃程度に曝されることがある。セラミックス等の粒子は、粒子径が小さいほど加熱時に粒成長を起こしやすくなるため、DPFの多孔質膜を形成する微粒子も粒子径を小さくすれば粒成長を起こしやすくなる。ここで、DPFの多孔質膜を形成する粒子が粒成長を起こすと、多孔質膜の気孔径が小さくなることによる圧損の上昇や、逆に多孔質膜の気孔径が大きくなることによる微粒子の捕集効率低下という問題が生じる。さらに、DPFを長時間使用すると、最悪の場合、多孔質膜が溶解し、多孔質支持体の気孔を塞ぐおそれがある。
炭化物系セラミックスは、高温まで安定であるだけでなく、熱伝導性が高いため、例えば1000℃程度の高温まで加熱された場合でも、多孔質支持体11へ容易に熱を逃がすことができる。このため、耐熱性が高く、粒成長などによる気孔径の変化を起こしにくい多孔質膜13を得ることができる。
なお、使用条件、特に使用温度を選択すれば、必ずしも炭化物系セラミックスを用いることはなく、酸化物系セラミックスや窒化物系セラミックスも好適に用いることが可能である。
図3は、本発明のセラミックスフィルタの製造方法の典型的な一例を示すフローチャートである。
以下、図3を参照して、本発明のセラミックスフィルタの製造方法の具体的手順を説明する。
なお、ガス流路12の上流側端部もしくは下流側端部の閉塞工程は特に記していないが、多孔質支持体11のみの状態(多孔質膜13を形成する前の状態)で行なってもよく、あるいは多孔質膜13形成後に行なってもよい。
耐熱性の高い微粒子(以下、本発明のセラミックスフィルタの製造方法の説明並びに図3において、「耐熱性微粒子」と略記する。)31としては、炭化物系セラミックスであることが好ましく、特に炭化ケイ素(SiC)を主体とするものが好ましい。
炭化物系セラミックスは、高温まで安定であるため、酸化物系セラミックスに比べて高温状態でも粒成長を起こしにくい。また、炭化物系セラミックスは、熱伝導性が高いため、高温まで加熱された場合でも、多孔質支持体へ容易に熱を逃がすことができる。このため、例えば、粒子状物質を燃焼除去する際に1000℃程度まで加熱された場合でも、劣化や粒成長などによる気孔径の変化を起こしにくい多孔質膜を形成することができる。
酸化物系セラミックスとしては、例えば、酸化性触媒能を有しDPFにも使用される酸化セリウム(CeO2)や、酸化ジルコニウム(ZrO2)など、窒化物系セラミックスとしては、例えば、窒化ケイ素(Si3N4)や窒化アルミニウム(AlN)などを挙げることができ、本発明のセラミックスフィルタの製造方法は、これらのセラミックスなどからなる微粒子膜を形成する場合にも、好適に適用可能である。
多孔質膜の気孔径は、この膜を形成する粒子の平均一次粒子径により制御可能であるが、DPFに要求されている多孔質膜の気孔径は50nm以上かつ500nm以下であり、この程度の気孔径を有する多孔質膜を形成するためには、焼結条件にもよるが、耐熱性微粒子31の平均一次粒子径が10nm以上かつ300nm以下であることが好ましい。
なお、DPFに要求される多孔質膜の平均気孔径は、粒子状物質の捕集特性の点から100nm〜200nm程度が良いとされている。
ここで、分散剤33は、耐熱性微粒子31の平均二次粒子径を制御するために添加される。分散剤としては、有機高分子が好適に用いられ、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなどが用いられる。
また、混合・分散には、一般的な混合・分散機を使用することが可能であり、例えば、ボールミル、攪拌ミルなどが用いられる。
ボールミルとしては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミルなどが挙げられる。
攪拌ミルとしては、塔式ミル、攪拌槽型ミル、流通管式ミル、管状ミルなどが挙げられる。
耐熱性微粒子31として炭化ケイ素を主体とするセラミックスを選定し、多孔質支持体11の平均気孔径を5μm以上かつ30μm以下とする場合、耐熱性微粒子31の平均二次粒子径は0.5μm以上かつ10μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上かつ6μm以下であり、さらに好ましくは1.5μm以上かつ3μm以下である。
なお、いずれの場合とも、耐熱性微粒子31の平均二次粒子径は、多孔質支持体11の平均気孔径よりも小さいことが好ましい。
ここで、バインダー35は、耐熱性微粒子スラリーの粘度を制御するために添加される。また、バインダー35は、耐熱性微粒子分散液中で形成している耐熱性微粒子の二次粒子の状態を維持し、以後の工程で二次粒子径が変化することを防ぐ効果も有している。バインダーとしては、樹脂が好適に用いられ、例えば、水溶性セルロース、ニトロセルロース、ゼラチン、ウエランガム、寒天、アクリル樹脂などが用いられる。これらの樹脂はそのまま加えてもよいが、あらかじめ水に溶解させてから加える方が、攪拌に要する力が弱く、また均一に混合されるのに要する時間も短くなるので好ましい。
また、混合には、一般的な混合・攪拌機を使用することが可能であるが、すでに形成されている耐熱性微粒子の二次粒子が崩れない程度の弱い力で混合することが好ましく、例えば、通常の攪拌機などが用いられる。
耐熱性微粒子31として炭化ケイ素を主体とするセラミックスを選定し、多孔質支持体11の平均気孔径を5μm以上かつ30μm以下とする場合、耐熱性微粒子スラリーの粘度は0.5mPa・s以上かつ35mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは3mPa・s以上かつ20mPa・s以下であり、さらに好ましくは5mPa・s以上かつ15mPa・s以下である。
また、耐熱性微粒子31の種類が変わった場合、良好な多孔質膜13を形成するために必要な耐熱性微粒子スラリーの最適条件も変化する。これは、耐熱性微粒子31の種類が変われば粒子表面の電荷状態が変化し、二次粒子の状態、分散状態、粘度などが変化するためと考えられる。
多孔質支持体11としては、炭化ケイ素、コーディエライトあるいはチタン酸アルミニウムからなるハニカム構造体が好適に用いられる。
これらの多孔質支持体11は、従来DPFとして用いられているセラミックスフィルタ自体である。
また、多孔質支持体11が炭化ケイ素からなる場合、平均気孔径が10μmのものが用いられる。多孔質支持体11がコーディエライトからなる場合、平均気孔径が20μmのものが用いられる。
ここで用いられる有機溶媒としては、次工程において、多孔質支持体11を浸漬させる揮発性溶媒である水と相溶性が高くかつ水よりも浸透性が高い有機溶媒が選定される。有機溶媒と、揮発性溶媒である水との相溶性は99%以上であることが好ましく、100%(任意の割合で溶解する)であればより好ましい。具体的には、炭素数が1以上かつ3以下のアルコールまたはアセトンのいずれか一方、あるいは、炭素数が1以上かつ3以下のアルコールおよびアセトンの両方が好適に用いられる。炭素数が1以上かつ3以下のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いることもでき、2種以上を混合して用いることもできる。
ここで、多孔質支持体11の気孔内の空気と有機溶媒との置換が不十分で、気孔内に空気が少しでも残留していた場合、以後の耐熱性微粒子コート工程23において、残留した空気が多孔質支持体11の内部より気泡となって飛び出し、多孔質膜13に部分的に大きな穴を形成してしまう。また、空気の量が多いと、飛び出してくる気泡のため、多孔質膜を形成することができない場合がある。したがって、多孔質支持体11の気孔内の空気と有機溶媒との置換は出来るだけ完全に行なっておくことが好ましい。
次いで、耐熱性微粒子コート工程23において、多孔質支持体11の排気上流側端部が開放されたガス流路12Aの内壁面12aに耐熱性微粒子スラリーをコートすることにより、多孔質支持体11に耐熱性微粒子31をコートする。ここで、下流側端部が開放されたガス流路12Bにはコートを行なわない理由は、ガス流路12Bの内壁面に多孔質膜を形成しても、粒子状物質30の捕集効率は変わらずに圧力損失が高くなってしまい、セラミックスフィルタとしての特性が悪化するからである。
多孔質支持体11に耐熱性微粒子スラリーをコートする方法としては、ディップコート法、鋳込み法、排泥鋳込み法などのように、塗布液を被処理物の表面に塗布する通常のウェットコート法などが用いられ、特に、工程が簡易であるディップコート法が好適に用いられる。
なお、コートの際には、ガス流路12Aの内壁面12aのみに耐熱性微粒子スラリーがコートされるように、必要に応じてガス流路12Bの開孔端部に栓をしておくなどの処理を行なっておく。特に、ガス流路12の端部の閉塞を多孔質膜13形成後に行なう場合には、そのままではガス流路12B中にもスラリーが流れ込むため、何らかの対策が必要となる。
この場合における乾燥工程とは、必ずしも次工程の乾燥工程24でなくてもよく、多孔質支持体11の気孔内には水が残留し、かつ既にコートされた耐熱性微粒子31からなる膜がスラリーに再流出しない程度に乾燥する工程であってもよい。
乾燥条件としては、大気中、温度100℃以上かつ150℃以下にて1時間以上かつ5時間以下程度、乾燥することが好ましい。
なお、乾燥が不十分なまま次工程の焼成工程25を行なうと、多孔質膜13の割れや破損、場合によっては多孔質支持体11の破損を引き起こすため、乾燥は十分に行なう必要がある。
熱処理は、多孔質支持体11または耐熱性微粒子31のいずれか一方、あるいは、多孔質支持体11および耐熱性微粒子31の両方が、炭化ケイ素などの非酸化物系セラミックスの場合、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気中で行なう必要があるが、両者とも酸化物系セラミックスの場合、大気中で行なってもよい。
熱処理の温度や時間が上記の範囲未満では、生成した多孔質膜13の強度や、多孔質膜13の多孔質支持体11への付着強度が不足し、良好な膜体が得られない。一方、熱処理の温度や時間が上記の範囲を超えると、耐熱性微粒子31の粒成長が起こり、多孔質膜13の気孔径拡大が起こるだけでなく、場合によっては多孔質膜13自体が消滅することがある。なお、この値は用いられる耐熱性微粒子31の種類により異なり、酸化物系セラミックスの場合は若干低温となることが多い。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
炭化ケイ素粒子(平均一次粒子径30nm、住友大阪セメント社製)20gと、純水178gと、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(商品名:セルナD305、中京油脂社製)2.0gとを混合し、ボールミルによりこの混合液の分散処理を行い、炭化ケイ素粒子分散液を調製した。
この炭化ケイ素粒子分散液80gに、予め水に溶かしておいた水溶性セルロースエーテル(商品名:メトローズ60SH6、固形分:10質量%、信越化学社製)20gを加え、攪拌機により、30分間、分散処理を行うことにより、耐熱性微粒子スラリーAを調製した。
この耐熱性微粒子スラリーAの粘度を、振動式粘度計(商品名:SV−10、エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した結果、粘度は8mPa・sであった。
また、この耐熱性微粒子スラリーAに含まれる炭化ケイ素粒子の平均二次粒子径を、粒度分布測定装置(商品名:Microtrack UPA、日機装社製)を用いて測定した結果、平均二次粒子径は1.8μmであった。
エタノール中に炭化ケイ素製多孔質支持体(内壁平均気孔径:10μm、気孔率:42%)を浸漬し、この状態で超音波を印加しながら20分間保持した後、さらに、超音波を印加せずに12時間保持した。
次いで、エタノール中から多孔質支持体を取り出した後、続いて、純水中に多孔質支持体を12時間浸漬した。
その後、純水中から取り出した多孔質支持体を、成膜用基材Xとした。
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーA中に、上記の成膜用基材Xを3分間浸漬した後、成膜用基材Xを引き上げ、ディップコートにより、この成膜用基材Xの隔壁の内壁面に耐熱性微粒子スラリーAからなる塗膜を形成した。
次いで、成膜済みの多孔質支持体を、150℃にて3時間乾燥し、水分を完全に蒸発させてから、アルゴン雰囲気中、1500℃にて2時間焼成し、多孔質支持体の隔壁の内壁面に多孔質膜が形成された実施例1のセラミックスフィルタを得た。
得られたセラミックスフィルタの多孔質薄膜の平均気孔径を、水銀ポロシメータ装置(AutoPoreIV9500、島津製作所社製)を用いて測定した結果、平均気孔径は100nmであった。
また、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:S−4000、日立ハイテクノロジー社製)を用いて観察・評価した。その結果、炭化ケイ素粒子は多孔質支持体の表面に均一な膜状態で存在しており、多孔質支持体の気孔内には浸入していなかった。
また、セラミックスフィルタを、大気中、1000℃にて32時間保持した後、多孔質膜の平均気孔径を測定し、加熱前後の平均気孔径の変化量を調べた結果、その変化量は±20%以内と良好であった。したがって、実施例1のセラミックスフィルタは耐熱性が良好であることが確認された。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
炭化ケイ素粒子(平均一次粒子径200nm、住友大阪セメント社製)20gと、純水178gと、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(商品名:セルナD305、中京油脂社製)2.0gとを混合し、ボールミルによりこの混合液の分散処理を行い、炭化ケイ素粒子分散液を調製した。
この炭化ケイ素粒子分散液80gに、予め水に溶かしておいた水溶性セルロースエーテル(商品名:メトローズ60SH15、固形分:10質量%、信越化学社製)20gを加え、攪拌機により、30分間、分散処理を行うことにより、耐熱性微粒子スラリーBを調製した。
この耐熱性微粒子スラリーBの粘度を、振動式粘度計(商品名:SV−10、エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した結果、粘度は25mPa・sであった。
また、この耐熱性微粒子スラリーBに含まれる炭化ケイ素粒子の平均二次粒子径を、粒度分布測定装置(商品名:Microtrack UPA、日機装社製)を用いて測定した結果、平均二次粒子径は4.0μmであった。
実施例1と同様にして、成膜用基材Xを用意した。
(多孔質膜の形成)
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーBと成膜用基材Xを使用し、実施例1と同様にして、実施例2のセラミックスフィルタを得た。
実施例1と同様にして、得られたセラミックスフィルタの多孔質薄膜の平均気孔径を測定した結果、平均気孔径は280nmであった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察・評価した結果、炭化ケイ素粒子は多孔質支持体の表面に均一な膜状態で存在しており、多孔質支持体の気孔内には浸入していなかった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質膜について、加熱前後の平均気孔径の変化量により耐熱性を評価した結果、耐熱性は良好であった。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
実施例1と同様にして、耐熱性微粒子スラリーAを調製した。
(多孔質支持体の準備)
エタノール中にコーディエライト製多孔質支持体(内壁平均気孔径:20μm、気孔率:60%)を浸漬し、この状態で超音波を印加しながら20分間保持した後、さらに、超音波を印加せずに12時間保持した。
次いで、エタノール中から多孔質支持体を取り出した後、続いて、純水中に多孔質支持体を12時間浸漬した。
その後、純水中から取り出した多孔質支持体を、成膜用基材Yとした。
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーAと成膜用基材Yを使用し、実施例1と同様にして、実施例3のセラミックスフィルタを得た。
実施例1と同様にして、得られたセラミックスフィルタの多孔質薄膜の平均気孔径を測定した結果、平均気孔径は100nmであった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察・評価した結果、炭化ケイ素粒子は多孔質支持体の表面に均一な膜状態で存在しており、多孔質支持体の気孔内には浸入していなかった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質膜について、加熱前後の平均気孔径の変化量により耐熱性を評価した結果、耐熱性は良好であった。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
炭化ケイ素粒子(平均一次粒子径30nm、住友大阪セメント社製)20gと、純水178gと、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(商品名:セルナD305、中京油脂社製)2.0gとを混合し、ボールミルによりこの混合液の分散処理を行い、炭化ケイ素粒子分散液を調製した。
この炭化ケイ素粒子分散液80gに、予め水に溶かしておいたゼラチン(商品名:KC、固形分:10質量%、新田ゼラチン社製)20gを加え、攪拌機により、30分間、分散処理を行うことにより、耐熱性微粒子スラリーCを調製した。
この耐熱性微粒子スラリーCの粘度を、振動式粘度計(商品名:SV−10、エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した結果、粘度は10mPa・sであった。
また、この耐熱性微粒子スラリーCに含まれる炭化ケイ素粒子の平均二次粒子径を、粒度分布測定装置(商品名:Microtrack UPA、日機装社製)を用いて測定した結果、平均二次粒子径は1.1μmであった。
実施例1と同様にして、成膜用基材Xを用意した。
(多孔質膜の形成)
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーCと成膜用基材Xを使用し、実施例1と同様にして、実施例4のセラミックスフィルタを得た。
実施例1と同様にして、得られたセラミックスフィルタの多孔質薄膜の平均気孔径を測定した結果、平均気孔径は75nmであった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察・評価した結果、炭化ケイ素粒子は多孔質支持体の表面に均一な膜状態で存在しており、多孔質支持体の気孔内には浸入していなかった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質膜について、加熱前後の平均気孔径の変化量により耐熱性を評価した結果、耐熱性は良好であった。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
酸化ジルコニウム粒子(平均一次粒子径100nm、住友大阪セメント社製)20gと、純水178gと、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(商品名:セルナD305、中京油脂社製)2.0gとを混合し、ボールミルによりこの混合液の分散処理を行い、酸化ジルコニウム粒子分散液を調製した。
この酸化ジルコニウム粒子分散液80gに、予め水に溶かしておいた水溶性セルロースエーテル(商品名:メトローズ60SH06、固形分:10質量%、信越化学社製)20gを加え、攪拌機により、30分間、分散処理を行うことにより、耐熱性微粒子スラリーDを調製した。
この耐熱性微粒子スラリーDの粘度を、振動式粘度計(商品名:SV−10、エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した結果、粘度は9mPa・sであった。
また、この耐熱性微粒子スラリーDに含まれる酸化ジルコニウム粒子の平均二次粒子径を、粒度分布測定装置(商品名:Microtrack UPA、日機装社製)を用いて測定した結果、平均二次粒子径は2.2μmであった。
実施例1と同様にして、成膜用基材Xを用意した。
(多孔質膜の形成)
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーDと成膜用基材Xを使用し、実施例1と同様にして、実施例5のセラミックスフィルタを得た。
実施例1と同様にして、得られたセラミックスフィルタの多孔質薄膜の平均気孔径を測定した結果、平均気孔径は120nmであった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察・評価した結果、酸化ジルコニウム粒子は多孔質支持体の表面に均一な膜状態で存在しており、多孔質支持体の気孔内には浸入していなかった。
また、セラミックスフィルタを、大気中、800℃にて32時間保持した後、多孔質膜の平均気孔径を測定し、加熱前後の平均気孔径の変化量を調べた結果、その変化量は±20%以内と良好であった。一方、実施例1と同様にして、1000℃加熱前後の平均気孔径の変化量により耐熱性を評価した結果は、粒成長が発生し、気孔径が拡大してしまい、耐熱性は不良であった。すなわち、酸化ジルコニウムを用いた場合でも充分な耐熱性は有するものの、炭化ケイ素ほどの耐熱性は無いことが判った。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
酸化セリウム/酸化ジルコニウム複合粒子(平均一次粒子径200nm、住友大阪セメント社製)20gと、純水178gと、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(商品名:セルナD305、中京油脂社製)2.0gとを混合し、ボールミルによりこの混合液の分散処理を行い、酸化セリウム/酸化ジルコニウム複合粒子分散液を調製した。
この酸化セリウム/酸化ジルコニウム複合粒子分散液80gに、予め水に溶かしておいた水溶性セルロースエーテル(商品名:メトローズ60SH06、固形分:10質量%、信越化学社製)20gを加え、攪拌機により、30分間、分散処理を行うことにより、耐熱性微粒子スラリーEを調製した。
この耐熱性微粒子スラリーEの粘度を、振動式粘度計(商品名:SV−10、エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した結果、粘度は12mPa・sであった。
また、この耐熱性微粒子スラリーEに含まれる酸化セリウム/酸化ジルコニウム複合粒子の平均二次粒子径を、粒度分布測定装置(商品名:Microtrack UPA、日機装社製)を用いて測定した結果、平均二次粒子径は3.3μmであった。
実施例3と同様にして、成膜用基材Yを用意した。
(多孔質膜の形成)
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーE中に、上記の成膜用基材Yを3分間浸漬した後、成膜用基材Yを引き上げ、ディップコートにより、この成膜用基材Yの隔壁の内壁面に耐熱性微粒子スラリーEからなる塗膜を形成した。
次いで、成膜済みの多孔質支持体を、150℃にて3時間乾燥し、水分を完全に蒸発させてから、空気雰囲気中、1200℃にて2時間焼成し、多孔質支持体の隔壁の内壁面に多孔質膜が形成された実施例6のセラミックスフィルタを得た。
実施例1と同様にして、得られたセラミックスフィルタの多孔質薄膜の平均気孔径を測定した結果、平均気孔径は120nmであった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察・評価した結果、酸化セリウム/酸化ジルコニウム複合粒子は多孔質支持体の表面に均一な膜状態で存在しており、多孔質支持体の気孔内には浸入していなかった。
また、セラミックスフィルタを、大気中、1000℃にて32時間保持した後、多孔質膜の平均気孔径を測定し、加熱前後の平均気孔径の変化量を調べた結果、その変化量は±20%以内と良好であった。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
窒化ケイ素粒子(平均一次粒子径300nm、住友大阪セメント社製)20gと、純水178gと、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(商品名:セルナD305、中京油脂社製)2.0gとを混合し、ボールミルによりこの混合液の分散処理を行い、窒化ケイ素粒子分散液を調製した。
この窒化ケイ素粒子分散液80gに、予め水に溶かしておいた水溶性セルロースエーテル(商品名:メトローズ60SH6、固形分:10質量%、信越化学社製)20gを加え、攪拌機により、30分間、分散処理を行うことにより、耐熱性微粒子スラリーFを調製した。
この耐熱性微粒子スラリーFの粘度を、振動式粘度計(商品名:SV−10、エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した結果、粘度は30mPa・sであった。
また、この耐熱性微粒子スラリーAに含まれる窒化ケイ素粒子の平均二次粒子径を、粒度分布測定装置(商品名:Microtrack UPA、日機装社製)を用いて測定した結果、平均二次粒子径は8.0μmであった。
実施例1と同様にして、成膜用基材Xを用意した。
(多孔質膜の形成)
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーFと成膜用基材Xを使用し、実施例1と同様にして、実施例7のセラミックスフィルタを得た。
実施例1と同様にして、得られたセラミックスフィルタの多孔質薄膜の平均気孔径を測定した結果、平均気孔径は450nmであった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察・評価した結果、窒化ケイ素粒子は多孔質支持体の表面に均一な膜状態で存在しており、多孔質支持体の気孔内には浸入していなかった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質膜について、加熱前後の平均気孔径の変化量により耐熱性を評価した結果、耐熱性は良好であった。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
実施例1と同様にして、耐熱性微粒子スラリーAを調製した。
(多孔質支持体の準備)
エタノール中に炭化ケイ素製多孔質支持体(内壁平均気孔径:10μm、気孔率:42%)を浸漬し、この状態で超音波を印加しながら20分間保持した後、さらに、超音波を印加せずに12時間保持した。
その後、エタノール中から取り出した多孔質支持体を、成膜用基材Z1とした。
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーAと成膜用基材Z1を使用し、実施例1と同様にして、比較例1のセラミックスフィルタを得た。
実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察・評価した結果、炭化ケイ素粒子は多孔質支持体の気孔内に浸入しており、良好な成膜結果は得られなかった。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
実施例1と同様にして、耐熱性微粒子スラリーAを調製した。
(多孔質支持体の準備)
純水中に炭化ケイ素製多孔質支持体(内壁平均気孔径:10μm、気孔率:42%)を浸漬し、この状態で超音波を印加しながら20分間保持した後、さらに、超音波を印加せずに12時間保持した。
その後、純水中から取り出した多孔質支持体を、成膜用基材Z2とした。
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーAと成膜用基材Z2を使用し、実施例1と同様にして、比較例2のセラミックスフィルタを得た。
実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察・評価した結果、炭化ケイ素粒子は多孔質支持体の気孔内に浸入しており、良好な成膜結果は得られなかった。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
炭化ケイ素粒子(平均一次粒子径30nm、住友大阪セメント社製)20gと、純水178gと、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(商品名:セルナD305、中京油脂社製)2.0gとを混合し、ボールミルによりこの混合液の分散処理を行い、炭化ケイ素粒子分散液を調製した。
この炭化ケイ素粒子分散液80gに、予め水に溶かしておいた水溶性セルロースエーテル(商品名:メトローズ60SH03、固形分:10質量%、信越化学社製)20gを加え、攪拌機により、30分間、分散処理を行うことにより、耐熱性微粒子スラリーGを調製した。
この耐熱性微粒子スラリーGの粘度を、振動式粘度計(商品名:SV−10、エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した結果、粘度は3mPa・sであった。
また、この耐熱性微粒子スラリーGに含まれる炭化ケイ素粒子の平均二次粒子径を、粒度分布測定装置(商品名:Microtrack UPA、日機装社製)を用いて測定した結果、平均二次粒子径は0.7μmであった。
実施例1と同様にして、成膜用基材Xを用意した。
(多孔質膜の形成)
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーGと成膜用基材Xを使用し、実施例1と同様にして、比較例3のセラミックスフィルタを得た。
実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察・評価した結果、多孔質薄膜は多孔質支持体の表面に形成されたものの、均一な層状の膜を得ることができなかった。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
炭化ケイ素粒子(平均一次粒子径30nm、住友大阪セメント社製)20gと、純水178gと、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(商品名:セルナD305、中京油脂社製)2.0gとを混合し、ボールミルによりこの混合液の分散処理を行い、炭化ケイ素粒子分散液を調製した。
この炭化ケイ素粒子分散液80gに、予め水に溶かしておいた水溶性セルロースエーテル(商品名:メトローズ60SH50、固形分:10質量%、信越化学社製)20gを加え、攪拌機により、30分間、分散処理を行うことにより、耐熱性微粒子スラリーHを調製した。
この耐熱性微粒子スラリーHの粘度を、振動式粘度計(商品名:SV−10、エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した結果、粘度は40mPa・sであった。
また、この耐熱性微粒子スラリーHに含まれる炭化ケイ素粒子の平均二次粒子径を、粒度分布測定装置(商品名:Microtrack UPA、日機装社製)を用いて測定した結果、平均二次粒子径は4.1μmであった。
実施例1と同様にして、成膜用基材Xを用意した。
(多孔質膜の形成)
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーHと成膜用基材Xを使用し、実施例1と同様にして、比較例4のセラミックスフィルタを得た。
この比較例4では、耐熱性微粒子スラリーHのコート時には、多孔質支持体の表面に炭化ケイ素粒子からなる膜が形成されたものの、焼成時にクラックが発生し、良好な多孔質膜を得ることができなかった。
(耐熱性微粒子スラリーの調製)
炭化ケイ素粒子(平均一次粒子径700nm、屋久島電工社製)20gと、純水178gと、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤(商品名:セルナD305、中京油脂社製)2.0gとを混合し、ボールミルによりこの混合液の分散処理を行い、炭化ケイ素粒子分散液を調製した。
この炭化ケイ素粒子分散液80gに、予め水に溶かしておいた水溶性セルロースエーテル(商品名:メトローズ60SH06、固形分:10質量%、信越化学社製)20gを加え、攪拌機により、30分間、分散処理を行うことにより、耐熱性微粒子スラリーIを調製した。
この耐熱性微粒子スラリーIの粘度を、振動式粘度計(商品名:SV−10、エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した結果、粘度は10mPa・sであった。
また、この耐熱性微粒子スラリーIに含まれる炭化ケイ素粒子の平均二次粒子径を、粒度分布測定装置(商品名:Microtrack UPA、日機装社製)を用いて測定した結果、平均二次粒子径は12.2μmであった。
実施例1と同様にして、成膜用基材Xを用意した。
(多孔質膜の形成)
次いで、上記の耐熱性微粒子スラリーIと成膜用基材Xを使用し、実施例1と同様にして、比較例5のセラミックスフィルタを得た。
実施例1と同様にして、得られたセラミックスフィルタの多孔質薄膜の平均気孔径を測定した結果、平均気孔径は800nmであった。
また、実施例1と同様にして、セラミックスフィルタの多孔質薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察・評価した結果、多孔質膜の膜厚は不均一であり、良好な多孔質膜を得ることができなかった。
11 フィルタ基体
12 ガス流路
12A 流入ガス流路
12a 流入ガス流路内壁
12B 流出ガス流路
12b 流出ガス流路壁面
13 多孔質膜
14 隔壁
21 有機溶媒浸漬工程
22 水浸漬工程
23 耐熱性微粒子コート工程
24 乾燥工程
25 焼成工程
26 DPFフィルタ
30 粒子状物質
31 耐熱性微粒子
32 水
33 分散剤
34 分散液形成工程
35 バインダー
36 スラリー形成工程
Claims (7)
- セラミックスからなる多孔質支持体の表面に、セラミックス多孔質膜が設けられたセラミックスフィルタの製造方法であって、
前記多孔質支持体の気孔に揮発性溶媒を保持させた後、該揮発性溶媒を主たる分散媒とし、前記気孔の平均気孔径よりも小さくかつ耐熱性の高い微粒子を分散させたスラリーを用いて前記多孔質支持体の表面にコーティング層を形成した後、溶媒除去、熱処理することを特徴とするセラミックスフィルタの製造方法。 - 前記多孔質支持体の気孔に揮発性溶媒を保持させる方法として、前記揮発性溶媒と相溶性が高くかつ前記揮発性溶媒よりも浸透性が高い有機溶媒中に前記多孔質支持体を浸漬し、次いで、前記揮発性溶媒中に前記多孔質支持体を浸漬することを特徴とする請求項1に記載のセラミックスフィルタの製造方法。
- 前記有機溶媒は炭素数が1以上かつ3以下のアルコールおよび/またはアセトンであり、前記揮発性溶媒は水であることを特徴とする請求項2に記載のセラミックスフィルタの製造方法。
- 前記多孔質支持体の平均気孔径は5μm以上かつ30μm以下、前記スラリーの粘度は0.5mPa・s以上かつ35mPa・s以下、前記耐熱性の高い粒子の平均二次粒子径は0.5μm以上かつ10μm以下でありかつ前記多孔質支持体の平均気孔径より小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のセラミックスフィルタの製造方法。
- 前記耐熱性の高い粒子の平均一次粒子径は10nm以上かつ300nm以下であることを特徴とした請求項1ないし4のいずれか1項に記載のセラミックスフィルタの製造方法。
- 前記耐熱性の高い粒子は炭化物系セラミックスであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のセラミックスフィルタの製造方法。
- 前記多孔質支持体は炭化ケイ素、コーディエライトあるいはチタン酸アルミニウムからなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセラミックスフィルタの製造方法。
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