JP2009261265A - 植裁基盤形成体用側地、植裁基盤形成体および植栽の形成方法 - Google Patents

植裁基盤形成体用側地、植裁基盤形成体および植栽の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量で厚みが薄く施工場所を限定されない植栽基盤を容易に形成できる植裁基盤形成体用側地と植裁基盤形成体それらを低コストで提供すること、さらにそれらを用いた植栽の形成方法を提供すること。
【解決手段】JIS L 1018に基づく編地の恒長式番手表示におけるカバーファクター値が5〜20であり、かつ破裂強度が300kpa以上の丸編地からなる植裁基盤形成体用側地であり、更に、該植裁基盤形成体用側地に培養物が充填された植裁基盤形成体、更に、植裁基盤形成体用側地に培養物を充填し、ビルの屋上、アスファルト路面脇、またはその他平面上に設置して、植物を育成させるための植裁基盤体を形成させ、該形成体の長さ方向の上部表面部の編目ループの間隙を通して所望する植物を植え付けることを特徴とする植裁の形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、緑化システム形成に係わる植裁基盤形成体用側地とそれからなる植裁基盤形成体、植栽の形成方法に関する。
更に詳しくは、ビルの屋上やアスファルト路面脇、またはその他適当な場所に植物を育成させるための植裁基盤形成体に用いる側地と、それによる植栽基盤形成体および該形成体を形成させる方法に関するものである。
近年、ヒートアイランド現象の深刻化に伴い、その対策の一環として敷地面積9,000m以上、または建築面積3,000m以上の特定工場には、敷地内または建造物屋上に緑化部分を作ることが義務化された。また、東京都などの都心部では工場以外の建物にも緑化の義務が課せられたことにより、緑化の需要が高まっている。
しかし、ビルの屋上やアスファルトの上などの直に植物が育つ環境でない場所には、植栽基盤を形成させる必要があり、建築以外に更なる手間とコストがかかることになる。
すなわち、建物の上に植栽基盤を作る場合、防根・防水シートを敷き、その上に培養土を敷き詰めれば植栽基盤として成り立つが、培養土のみの場合、植物が適正に育つためにはかなりの量が必要とされる。
例えば、一般に、芝生においては深さ約30cmの土壌が必要であり、一般的な培養土を使用した場合、重量が重く厚みのある植栽基盤となってしまう。このため、建物の耐久性を考えての建築設計や植栽基盤の軽量化設計が必要となる。更に、乾燥した培養土が風によって周囲に飛散することで環境上の問題も発生する。
最下部に形成された保水層と、該保水層の上面に敷設された不織布からなる透水層と、該透水層の上面に形成された客土層とを備え、該保水層は、多数の籾殻を有する植生培地構造及び緑化用マットが提案されている(特許文献1)。この提案のものは、保水層の保水量を大きくすることができ、植生の管理が容易となり、籾殻により形成される保水層は軽量であるため、植生培地構造全体を軽量化することができるものである。
また、保水層を使用し、該保水層を軽量化することで植栽基盤全体を軽量化する緑化システムが多く提案されている(特許文献2−4)。
しかし、いずれも、十分な軽量化ができていないか、あるいは軽量化できていても厚みがありすぎるのが現状である。しかも、施工できる場所が限定されることが多い。
また、グランドや公園などの土壌はあるが、そのままでは植物が育ちにくい土壌を緑化する場合、土を入れ替え植物の育つ土壌に改善する作業を必要とするため、かなりの労力を要していた。
また、先に本発明者らは、ビルの屋上、その他適当な場所に植物を植えて生育させるのに、ビルに大きな負担がかからず、施工も簡単な植栽地盤を形成する繊維構造体として、編物、織物、又は不織布で構成される筒状生地に培養土を充填して繊維構造体とし、これを渦巻き状に捲いたり、ジグザグ状として植栽地盤を形成し、その筒状生地の適宜箇所に穴を開けて、その穴に植物の苗を植付けるという、培養土を入れた繊維構造体や培養土を入れる方法を提案した(特許文献5)。しかし、この特許文献5の提案のように、穴の開いた編物、織物、または不織布の筒状の生地で、その中に培養土が充填されているものをビルの屋上等で用いることは、培養土の飛散や流出などの問題があり、実用化には適さないものであった。また、特に、芝生や背の低い草花等をある程度広い面積で全面にわたり植栽を形成したいときには、植付けのための穴を、部分、部分で必要とする特許文献5のものでは対応することができなかった。
このようなことから、いまだ十分に満足できる緑化システムができていないのが実状である。
特開2003−325037号公報 特開2002−125452号公報 特開2002−084889号公報 特開2003−210034号公報 特開2005−110590号公報
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、従来の植栽基盤形成体の問題を解決し、軽量で厚みが薄く施工場所を限定されない植栽基盤を容易に形成できる植裁基盤形成体用側地と植裁基盤形成体それらを低コストで提供すること、さらにそれらを用いた植栽の形成方法を提供することにある。
かかる課題を解決するために、本発明の植裁基盤形成体用側地およびそれよりなる植裁基盤形成体は、以下の(1)の構成からなるものである。
(1)JIS L 1018に基づく編地の恒長式番手表示におけるカバーファクター値が7〜20であり、かつ破裂強度が300kpa以上の丸編地からなることを特徴とする植裁基盤形成体用側地。
また、かかる本発明の植裁基盤形成体用側地において、より具体的に好ましくは、下記(2)〜(4)のいずれかの構成からなるものである。
(2)丸編地が公定水分率6%以下の繊維を主体に構成されることを特徴とする上記(1)に記載の植裁基盤形成体用側地。
(3)丸編地が合成繊維マルチフィラメント糸条を主体に構成されることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の植裁基盤形成体用側地。
(4)丸編地が合成繊維紡績糸を主体に構成されることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の植裁基盤形成体用側地。
また、上述した目的を達成する本発明の植裁基盤形成体は、以下の(5)の構成からなるものである。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の植裁基盤形成体用側地に培養物を充填したことを特徴とする植裁基盤形成体。
また、上述した目的を達成する本発明の植栽の形成方法は、以下の(6)の構成からなるものである。
(6)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の植裁基盤形成体用側地に培養物を充填し、ビルの屋上、アスファルト路面脇、またはその他平面上に設置して、植物を育成させるための植裁基盤体を形成し、該形成体の長さ方向の上部表面部の編目ループの間隙を通して所望する植物を植え付けることを特徴とする植裁の形成方法。
本発明の植裁基盤形成体用側地およびそれよりなる植裁基盤形成体を使用することで、培養物の使用量を抑えても正常に植物を育成する植栽基盤体が形成できるため、重量・厚みを減らすことができ、施工場所を限定されない植栽基盤体を低コストで容易に提供することができる。
以下、本発明の植裁基盤形成体用側地およびそれよりなる植裁基盤形成体を、図面も含め詳細に説明する。
本発明の植裁基盤形成体用側地およびそれよりなる植裁基盤形成体は、JIS L 1018に基づく編地の恒長式番手表示におけるカバーファクター値が7〜20であり、かつ破裂強度が300kpa以上の丸編地からなることが重要である。
本発明の植裁基盤形成体用側地とは、植物を育成するための培養物が充填できたり、あるいは包み込むことができたりする織物や編物、あるいは不織布などの布帛のことであり、この布帛に培養物が充填されたり包み込まれたりして、一個の植裁基盤形成体となる。
本発明の植裁基盤形成体用側地は、丸編地からなることが必要である。丸編地は、筒状であり、織物に比べて伸縮性も有ることから取り扱いやすく、かつ、植裁した植物の根も張りやすい。また、生産工程が短く取り扱いやすい利点がある。経編地であるトリコットやラッシェルに比べても織物と同様なことがいえる。一方、不織布に比べても伸縮性があり、かつ強度的にも優れているといえる。
丸編地の中のシングル丸編地とダブル丸編地のいずれも使用することができる。また、各編組織も特に限定されることなく使用できるが、植裁基盤形成体用側地を作製するための縫製工程の簡略化や植裁現場での取り扱い性の良さ、生産性の高さからシングル丸編地を使用することが好ましい。特に、小寸丸編機で、編機の釜径が10インチ程度以下で作られる筒編地が好ましく、取り扱い性の点から釜径が5インチ程度以下で作られる筒編地がより好ましく使用できる。編組織は、特に限定されるものではないが、伸縮性のバランスや生産性の高さから天竺組織がより好ましく使用できる。
また、本発明の丸編地は、JIS L 1018に基づく編地の恒長式番手表示におけるカバーファクター値が7〜20であることが重要である。
JIS L 1018に基づく編地の恒長式番手表示におけるカバーファクター値とは、編地の一定面積の中で構成糸による編目ループが編地表面を占めている面積の大小を表している数値であり、この値が大きければ編目ループが小さくなることから編地表面密度が密となり、逆に値が小さければ編目ループが大きくなることから編地表面密度が粗になることを意味する。
このカバーファクター値が7以下になると自然な状態においても編目の隙間が大きくなりすぎるため、側地となる編地の中に充填した培養物が流出してしまい、かつ、編地強度も弱いものとなる。逆に20以上になると編目ループが十分に大きくなれず、植栽基盤上に載せた植物の根が編目ループの中に入れず、培養物の養分を吸収することができないことになる。
また、植物にとって大切な養分の一種である水分の保水性においても7以上にすることより培養物の保水性を程度に保持することができるが、20以上になると透水性が悪くなることから保水性が過度になり、根腐りを起こしてしまう。
更に、植物には水分と同様に、空気の出入りとなる通気性も大切であり、カバーファクター値が20以上になると通気性が劣る傾向となることから、発育不良や根腐りの原因となり、好ましくない。
このカバーファクター値は、7〜20であることが必要であるが、前記のことから8〜17が好ましく、9〜14であることがより好ましい。
カバーファクター値を最適化することにより、丸編地内部に充填された培養物を流出飛散させず、植物が正常に育つための水分を確保するための保水層の必要もなくなるため、重量と厚みをともに少なくさせることができる。
なお、JIS L 1018に基づく編地の恒長式番手表示におけるカバーファクター値は、以下によって求められる数値であり、本発明では、該カバーファクター値を求めるに際し、n数は5としてその平均値を採用した。
まず、編目長を求める。編地の適当な区間の糸を5本ほぐし、初荷重を加えて長さを測り、次の式によって編目長(cm)を求め、その平均値を算出する。
Sl=L/n
ここに、Sl:編目長(cm)
L :ほぐした糸の長さ(cm)
n :ほぐした編目数
恒長式番手表示におけるカバーファクターは、前記の編目長及び糸の繊度(テックス)から次の式によって算出する。
Fl=√NT/Sl
ここに、Fl:カバーファクター
Sl:編目長(cm)
NT:繊度(tex)
また、恒重式番手で表示される繊維・糸については、次の式によって繊度NT(テックス)に換算し、算出する。
綿番手は、
NT=590.5/Wc
メートル番手は、
NT=1000/Wm
ここに、Wc:綿番手
Wm:メートル番手
本発明の植裁基盤形成体用側地となる丸編地は、JIS L 1018に基づく編地の破裂強度を300kpa以上にすることが重要である。
この破裂強度が300kpa未満であると、側地となる丸編地に培養物を充填するときや培養物の充填された丸編地を設置するとき、更には、設置された植裁基盤形成体の上を人が歩くときなどに、丸編地が破けるおそれがある。この破裂強度は、500kpa以上が好ましく、700kpa以上がより好ましい。なお、該破裂強度の測定は、JIS L 1018 8.17.1 A法(ミューレン形法)で行った。また、該破裂強度の上限値は、1000kpa程度までである。それを超えるレベルの破裂強度値は、一般には必要でないと考えられるからである。
本発明の植裁基盤形成体用側地となる丸編地は、公定水分率6%以下の繊維を主体に構成されることが好ましい。
繊維に含まれる水分は、その日の気温、湿度等によって異なるが、最も通常に近い水分率を公定水分率として定められている。この公定水分率は、JIS L 0105 4.1の表1(繊維の公定水分率)で示される。
例えば、綿の公定水分率は8.5%、毛が15.0%、レーヨンが11%、ナイロンが4.5%、ポリエステルが0.4%、アクリルが2.0%、金属繊維が0%等である。
本発明の丸編地に使用される繊維の公定水分率が6%を超える場合は、散水や雨、雪等で濡れた場合に重くなり、また乾きが遅くなるため腐りやすく、側地の自然劣化が速くなったり、カビが生えたりすることから好ましくない。5%以下がより好ましく、3%以下が更に好ましい。
そのような意味で、ポリエステル系合成繊維、ポリアクリル系合成繊維、ポリプロピレン系合成繊維、ポリ塩化ビニル系合成繊維、ポリ塩化ビニリデン系合成繊維等が好ましく使用することができる。
また、公定水分率6%以下の繊維の単独使いのみならず、該繊維と混繊、混紡、交編、引き揃え等と複合してもよいが、公定水分率6%以下の疎水性繊維を70%以上使用することが好ましく、80%以上使用することがより好ましく、90%以上で使用することが更に好ましい。
本発明の植裁基盤形成体用側地となる丸編地は、合成繊維マルチフィラメント糸条を主体に構成されることが好ましい。合成繊維マルチフィラメント糸条は、強度が高く、疎水性繊維が多く、かつ、取り扱いやすいからである。「主体に」とは、「50重量%以上であること」をいう。
合成繊維マルチフィラメント糸条の形態としては、捲縮を持たないストレートの延伸糸や、ストレートな状態で合成繊維マルチフィラメント糸条を形成した後、熱と撚りにより捲縮が付与されることにより捲縮による嵩高性とストレッチ性を有する仮撚加工糸、更には、空気の乱流の利用で糸側面の長手方向にループ状毛羽を有する嵩高加工糸、また、異素材のフィラメントを混繊した加工糸等を使用することができ、特に限定されるものではないが、取り扱い性と植物の根の張りやさ等から、捲縮による嵩高性とストレッチ性を有する仮撚加工糸(仮撚捲縮加工糸)を使用することが好ましい。
合成繊維マルチフィラメント糸条の総繊度としては、70〜1000デシテックス程度まで幅広く使用できる。この糸の太さは、使用する編機のゲージ、目的とする編地の種類等により適宜選定すればよいが、70デシテックス未満を使用すると丸編地の強度が弱くなり好ましくない。また、1000デシテックスよりも大きいものを使用すると製編しずらく、編地品位が劣り、かつ、丸編地が粗硬傾向となり、後の植裁基盤形成体工事での取り扱い性が劣り好ましくない。このようなことから、150〜600デシテックス程度が好ましく使用できる。
合成繊維マルチフィラメント糸条の単繊維繊度としては、1〜10デシテックス程度まで幅広く使用できる。1デシテックス未満のものを使用すると、取り扱い時や植裁基盤形成体としての使用時に毛羽立ちの発生等から丸編地の強度が弱くなり好ましくない。また、10デシテックスよりも大きいものを使用すると、前記で述べたと同様に丸編地が粗硬傾向となり、後からの植裁基盤形成体工事での取り扱い性にも劣り好ましくない。このようなことから、3〜5デシテックス程度が好ましく使用できる。
また、この合成繊維マルチフィラメント糸条の単独糸使いのみならず、該フィラメント糸条と半合成繊維や再生繊維、無機繊維、更には、天然繊維等と混繊、交編、引き揃え等と複合してもよいが、合成繊維マルチフィラメント糸条を70重量%以上使用することが好ましく、80%以上使用することがより好ましく、90重量%以上で使用することが更に好ましい。
また、一方で、本発明の植裁基盤形成体用側地となる丸編地は、合成繊維紡績糸を主体に構成されるものであることも好ましい。該合成繊維紡績糸は毛羽を有するものであるが、植物の種類によっては、該毛羽の存在が育成の上で好ましいものとなるからである。
かかる合成繊維紡績糸の形態としては、一般に繊維長76mmを境として分類される長繊維紡績糸と短繊維紡績糸のいずれも、あるいは紡績法から分類されるリング紡績糸や空気精紡紡績糸等、特に限定されることなく使用できる。
合成繊維紡績糸の番手としては、綿番手換算で80S〜10S程度まで幅広く使用できる。この糸の太さは、使用する編機のゲージ、目的とする編地の種類等により適宜選定すればよいが、80S以上を使用すると丸編地の強度が弱くなり好ましくない。また、10S未満を使用すると製編がしずらく、編地品位が劣り、かつ、丸編地が粗硬傾向となり、後からの植裁基盤形成体工事での取り扱い性にも劣り好ましくない。このようなことから、60〜20S程度が好ましく使用できる。
また、この合成繊維紡績糸の単独糸使いのみならず、該紡績糸と半合成繊維や再生繊維、無機繊維、更には、天然繊維等と、混紡、交編、引き揃え等と複合してもよいが、合成繊維紡績糸を70重量%以上使用することが好ましく、80重量%以上使用することがより好ましく、90重量%以上で使用することが更に好ましい。
本発明の植裁基盤形成体は、前述の植裁基盤形成体用側地に培養物が充填されて形成されることが必要である。
すなわち、植栽基盤形成体用側地である筒編状丸編地に培養物を充填し植裁基盤形成体を形成させるものである。それをモデル図で示すと、図1の植裁基盤形成体用側地2に培養物1を充填して、図2のような円筒状の植裁基盤形成体とする。ここで筒編状丸編地に培養物を充填させる方法は、簡易にできるものであればよく、特に限定されるものではない。
また、図2の植裁基盤形成体の長さLと外径Dは、特に限定されるものではないが、施工現場での取り扱い性の面から、長さLが80m以下程度、外径Dが20cm以下程度にするのが好ましい。
充填する培養物は、養分保持率、保水性に優れたものが好ましく、赤玉土、黒土、鹿沼土等の自然土や、腐葉土、パーク堆肥、バーミキュライト、ピートモス等の人工土や、その他、オガクズ、炭、石炭の燃えカス等を場所や植物によって混合を含めて適宜使い分けて使用すればよい。
本発明の植裁基盤形成体は、前述の植裁基盤形成体用側地に培養物を充填し、ビルの屋上やアスファルト路面脇、またはその他の適当な場所へ任意な平面上に設置して、植物を育成させるための植裁基盤体を形成させ、該形成体の長さ方向の上部表面部の編目ループの間隙を通して目的とする植物を植え付けることが好ましい。
植栽基盤は、前述の培養物を充填した植裁基盤形成体4を、目的とするビルの屋上やアスファルト路面脇、またはその他の適当な場所へ任意な平面上に敷き詰めることのみで容易に形成することができる。
また、敷き詰め方は、植裁基盤形成体4を、図3のようにジグザグに屈曲させ四角形の植栽基盤にしたり、図4のように渦巻状に敷き円形の植栽基盤にしたりと任意な形にできるため、どのような場所にも形成できる。
本発明の植裁基盤形成体を使用した植栽基盤で植物を育てる方法は、図5のように培養物を充填した該構造体の長さ方向の上部に植物を載せて育てることが最も好ましい。
上部表面に植物を乗せることで丸編地を傷つけることなく、丸編地の内部や表面に根を広げ、根付くことができる。敷き詰められた植裁基盤形成体4には、図5で示すように空気層6があるため、培養物に新しい空気が取り入れられる。また、空気層6は排水層の役割も果たすため、培養物に余分な水分が溜まらないこと、更には、丸編地の表面に広がった根は、直接空気層6に触れることになり、植物の根腐りを防ぐことができる。
植裁基盤形成体用側地は、丸編地からなるため、図6に示すようにその編目ループが略立体的な構造から、植物の根は通すが土はもらさないという特徴をもっている。更に、ループで繋がった糸が動くことができ、編目の大きさが変化することができる。
このことから自然な状態では、図7の7のように編目はしまっているが、植物の根hが入り込もうとすると、図8の7のように編目が大きくなることができ、根8が中に入ることができる。このとき、編目は自然な状態である図7の7に近づこうとするため、根8が入った状態で編目を締め付けるため、中の培養物が流出することはない。
植裁させる植物の種類としては、特に限定されるものではなく、コウライシバ、ノシバなどの芝類、メキシコマンネングサ、モリムラマンネングサ、サカサマンネングサ、コーラルカーペットなどのセダム類、ラベンダー、サントリナ、ローズマリーなどのハーブ類、ヘデラ類など、背丈の低いさまざまな草花を育成することができ、特に、植栽させる土地の全面に敷き詰めるように植栽を形成したい芝類や背丈の低い草花などに有効なものである。また、湖沼の水面に浮かぶ筏などの上に設置して、水性植物の植栽の形成などにも使用することができるものである。
以下、実施例に基づいてさらにくわしく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
ポリエステル167デシテックス、48フィラメントの仮撚加工糸を使用し、釜径3.5インチ、22ゲージの筒編機でカバーファクター値10.2、破裂強度774kpaの筒編地を作製し、更に、この筒編地に市販の培養土を充填して植裁基盤形成体を作製した。
ビルの屋上に防根シートを敷き、その上に該形成体を、図3に示すようにジグザグ状に屈曲して配置し、ローラーにて踏み固めた後、芝生を敷き詰めた。このとき該形成体は、図5における厚さ4が5cm、芝生高さ3が2cmの合計7cmと薄く、また基盤形成体と芝生を合わせた重量は53.8g/mと軽かった。施工後、月4回程度の散水で芝生は枯れることなく成長し、筒編地から培養土がもれて飛散することもなかった。
実施例2
ポリエステル110デシテックス、24フィラメントの仮撚加工糸を使用し、実施例1と同一の筒編機でカバーファクター値7.3、破裂強度324kpaの筒編地を作製し、更に、この筒編地に市販の培養土を充填して植裁基盤形成体を作製した。
実施例1と同様に、ビルの屋上に防根シートを敷き、その上に該形成体を図3に示すようにジグザグ状に屈曲して配置し、ローラーにて踏み固めた後、芝生を敷き詰めた。このとき該形成体は、図5における厚さ4が4cm、芝生高さ3が2cmの合計6cmと薄く、また基盤形成体と芝生を合わせた重量は49.7g/mと軽かった。施工後、月4回程度の散水で芝生は枯れることなく成長し、筒編地から培養土がもれて飛散することもなかった。
実施例3
アクリル短繊維使いで綿番手換算30Sの紡績糸を使用し、実施例1と同一の筒編機でカバーファクター値18.6、破裂強度881kpaの筒編地を作製し、更に、この筒編地に市販の培養土を充填して植裁基盤形成体を作製した。
幼稚園のグランドに、該形成体を図4に示すように円形状に配置し、ローラーで踏み固めた後、芝生を敷き詰めた。このとき該形成体は、図5における厚さ4が6cm、芝生高さcが2cmの合計8cmと薄く、また基盤形成体と芝生を合わせた重量は60.1g/mと軽かった。
176mの植栽基盤を施工経験のない大人8人が4時間で容易に完成させることができた。施工後、月4回程度の散水で芝生は枯れることなく成長し、筒編地から培養土がもれて飛散することもなかった。
比較例1
ポリエステル84デシテックス、36フィラメントの仮撚加工糸を3.5インチ、18ゲージの筒編機でカバーファクター値5.2、破裂強度254kpaの筒編地を作製し、実施例1と同じように市販の培養土を充填しようとしたが、筒編地から培養土がもれたり破れたりするため、作業が困難だった。
更に、実施例1と同じようにビルの屋上に防根シートを敷き、その上に該形成体をジグザグ状に配置しローラーにて踏み固めた後、芝生を敷き詰めた。
施工後、月4回程度の散水をしたが芝生が枯れてしまい、培養土は筒編地から流れだしていた。
比較例2
ポリエステル84デシテックス、72フィラメントの仮撚加工糸を実施例1と同一の筒編機でカバーファクター8.5、破裂強度274kpaの筒編地を作製し、実施例1と同じように市販の培養土を充填しようとしたが、筒編地が破れたりするため、作業が困難だった。
更に、実施例3と同じように幼稚園のグランドに、該形成体を図4に示すように円形状に配置し、ローラーにて踏み固めた後、芝生を敷き詰めた。
施工後、月4回程度の散水で芝生は枯れることはなかったが、所々筒編地が破れ培養土がもれていた。
比較例3
ナイロン短繊維使いで綿番手換算40Sの紡績糸を使用し、比較例1と同一の筒編機でカバーファクター5.8、破裂強度557kpaの筒編地を作製し、実施例1と同じように市販の培養土を充填しようとしたが、筒編地から培養土がもれるため、作業が困難だった。
更に、実施例1と同じようにビルに屋上に防根シートを敷き、その上に該形成体をジグザグ状に配置しローラーにて踏み固めた後、芝生を敷き詰めた。
施工後、月4回程度の散水をしたが、芝生は枯れてしまい、培養土は筒編地から流れ出していた。
図1は、本発明にかかる植裁基盤形成体用側地に培養物を充填する一例である。 図2は、本発明にかかる植裁基盤形成体の一例である。 図3は、本発明にかかる植裁基盤形成体をジグザグ状に設置した植栽基盤の一例である。 図4は、本発明にかかる植裁基盤形成体を渦巻状に設置した植栽基盤の一例である。 図5は、植裁基盤形成体に植物を植えた断面図の一例である。 図6は、筒編地表面の拡大図の一例である。 図7は、筒編地の自然な状態の編目の拡大図の一例である。 図8は、筒編地の編目に根が入り込んだときの編目の拡大図の一例である。
符号の説明
1 培養物
2 植裁基盤形成体用側地
3 植物層
4 植裁基盤形成体
5 植裁基盤形成体の施工用地面
6 植裁基盤形成体間の空気層
7 筒編地を構成するループ糸
8 植物の根
D 植裁基盤形成体の外径
L 植裁基盤形成体の長さ

Claims (6)

  1. JIS L 1018に基づく編地の恒長式番手表示におけるカバーファクター値が7〜20であり、かつ破裂強度が300kpa以上の丸編地からなることを特徴とする植裁基盤形成体用側地。
  2. 丸編地が、公定水分率6%以下の繊維を主体に構成されることを特徴とする請求項1に記載の植裁基盤形成体用側地。
  3. 丸編地が、合成繊維マルチフィラメント糸条を主体に構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の植裁基盤形成体用側地。
  4. 丸編地が、合成繊維紡績糸を主体に構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の植裁基盤形成体用側地。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植裁基盤形成体用側地に培養物が充填されたことを特徴とする植裁基盤形成体。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植裁基盤形成体用側地に培養物を充填し、ビルの屋上、アスファルト路面脇、またはその他平面上に設置して、植物を育成させるための植裁基盤体を形成し、該形成体の長さ方向の上部表面部の編目ループの間隙を通して所望する植物を植え付けることを特徴とする植裁の形成方法。
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