JP2009257320A - エンジン - Google Patents

Abstract

【課題】点火装置の耐用期間を長くし、ひいては保守整備間隔を長くすることが可能なエンジンを提供する。
【解決手段】本発明に係るエンジンでは、予燃焼室（４）は少なくとも１つの開口部（５）を介して主燃焼室（２）と連通されており、予燃焼室（４）には少なくとも１つの燃料ガスノズル（７）の噴射方向が向けられている。燃料ガスは予燃焼室（４）内に存在する希薄な燃料ガス・空気混合気と混合され、少なくとも１つの点火装置（６）によって、濃度が増大した燃料ガス・空気混合気に点火を行う。主燃焼室（２）と予燃焼室（４）とを連通させる単独のまたは各開口部（５）は、予燃焼室（４）の接線方向に概ね延在しており、それによって主燃焼室（２）から予燃焼室（４）へ流入する希薄な燃料ガス・空気混合気は、予燃焼室（４）内で渦流の作用を受ける。
【選択図】図１

Description

本発明は請求項１もしくは請求項６のおいて書き部分に記載のエンジンに関する。

特許文献１からは、ガス状燃料のためのエンジンで、主燃焼室と当該主燃焼室から分離された予燃焼室とを含むエンジンが知られている。予燃焼室は、少なくとも１つの開口部を介して、主燃焼室と連通されている。燃料ガスを高圧下で予燃焼室内に噴射するために、予燃焼室には圧力−燃料ガス導管に接続された燃料ガスノズルの噴射方向が向けられている。このとき前記燃料ガスは、予燃焼室内に存在する希薄な燃料ガス・空気混合気と混合され、当該燃料ガス・空気混合気の濃度を増大させる。予燃焼室内には点火装置が突出しており、当該点火装置は、濃度が増大した前記燃料ガス・空気混合気を点火し、最終的には主燃焼室内の燃料ガス・空気混合気の点火を行う。

独国特許出願公開第１０２１７９９６号明細書

予燃焼室の圧力が高い場合に、電気的火花点火で予燃焼室内の燃料ガス・空気混合気に点火するためには、高い電気的負荷を印加しなければならないが、当該電気的高負荷は、点火装置に高い熱と電気とを負荷することになる。したがって、予燃焼室の圧力が増大すると、点火装置には多大な摩耗が生じることになり、当該摩耗によって、点火装置の耐用期間は明らかに短縮され、最終的には、エンジンの保守整備間隔の短縮に帰着する。それゆえ、保守整備間隔を長くとることが可能なエンジンが必要とされている。

上記の点に鑑み、本発明の課題は新式のエンジンを提供することにある。

本発明の第一の態様によれば、本課題は請求項１に記載のエンジンによって解決される。当該エンジンでは、主燃焼室を予燃焼室と連通させる前記単独のまたは各開口部は、予燃焼室の接線方向に概ね延在しており、それによって、主燃焼室から予燃焼室へ流入する希薄な燃料ガス・空気混合気は、予燃焼室の渦流の作用を受ける。
ここで、「予燃焼室の接線方向」とは、予燃焼室から主燃焼室への移行部分に関して斜めの方向、すなわち予燃焼室の軸に関して斜めの方向を意味している。

本発明の第一の態様によれば、チャンバ内では渦流によって、渦の中心における静圧を低下させることが可能であり、それゆえ、より少量の電気的負荷で前記単独のまたは各点火装置に点火することが可能となる。予燃焼室内の点火箇所における圧力レベルを低下させることによって、前記単独のまたは各点火装置の耐用期間は明らかに延長され、最終的には保守整備間隔の延長に帰着する。

本発明の第二の態様によれば、本課題は請求項６に記載のエンジンによって解決される。当該エンジンでは、予燃焼室内へは複数の点火装置が突出している。

本発明の第二の態様によれば、エンジンは、予燃焼室内に突出し交互に作動する点火装置を備えている。したがって、点火の度に点火装置の一部のみが常に交互に使用されるため、これによっても保守整備間隔が延長可能となる。例えば、Ｎ個の点火装置を備えた点火装置で、点火の度に常に一つの点火装置のみが使用される場合、点火装置ごとの点火回数は１／Ｎに減少し、保守整備間隔はＮ倍に延長される。

本発明の上記二つの態様は、単独で、または両者を組み合わせて活用することができる。

本発明の好適なさらなる構成は、個々の従属請求項と後続の詳細な説明に記載されている。本発明の実施例については、以下に図を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。

本発明に係るエンジンの部分概略図である。 図１に示された予燃焼室４の第一予燃焼室８で、第一予燃焼室８内に突出する４つの点火装置６を有する第一予燃焼室８の概略図である。 図１に示された予燃焼室４の第一予燃焼室８で、第一予燃焼室８内に突出する４つの点火装置６を有する第一予燃焼室８の概略図である。

図１は、本発明に係るエンジンで、好適にはオットーサイクルエンジンとして実施されるエンジンにおける、主燃焼室２を画定するシリンダヘッド１の領域の部分概略図である。図１によれば、当該エンジンのシリンダヘッド１にはインサート部３が係合し、インサート３部は好適にはシリンダヘッド１内に螺入している。このとき、インサート部３は予燃焼室４を画定し、当該予燃焼室４は主燃焼室２から分離され、少なくとも１つの開口部５を介して主燃焼室２と連通する。

予燃焼室４内には少なくとも１つの点火装置６が突出しており、当該点火装置６は好適にはシールド被覆されている。高圧燃料ガス導管に接続された燃料ガスノズル７を介して、予燃焼室４内に燃料ガスが高圧下で噴射される。このとき、燃料ガスノズル７を介して予燃焼室４内に高圧下で噴射された燃料ガスは、予燃焼室４内に存在する希薄な燃料ガス・空気混合気と混合され、当該燃料ガス・空気混合気の濃度を増大させる。濃度が増大した当該燃料ガス・空気混合気は次に、前記単独のまたは各点火装置６によって点火されうる。前記単独のまたは各点火装置６として、グロープラグまたは点火プラグが使用可能である。

図１に示された本発明に係るエンジンでは、予燃焼室４は複数の開口部５を介して主燃焼室２と連通されており、開口部５は予燃焼室４の接線方向に概ね延在している。このとき、開口部５は径方向に延在することも可能であるが、本発明の第一の態様からすると、予燃焼室４内に主燃焼室２から流入する燃料ガス・空気混合気に対して予燃焼室４内において確実に渦流の作用を受けさせるためには、接線方向に延在することが重要である。当該渦流の効果を十分に活用することによって、予燃焼室４内部、すなわち予燃焼室４の中央部分において静圧が低下し、最終的には前記単独のまたは各点火装置６に対して調達しなければならない点火エネルギーは減少し、前記単独のまたは各点火装置６の耐用期間は延長される。
ここで、「予燃焼室の接線方向」とは、予燃焼室から主燃焼室への移行部分に関して斜めの方向、すなわち予燃焼室の軸に関して斜めの方向を意味し、「予燃焼室の径方向」とは、予燃焼室の外部境界に向かう方向を意味している。

図１の実施例では、予燃焼室４は第一予燃焼室８と第二予燃焼室９とに区分されており、両者は管１０によって互いに連通されている。このとき、図１によれば、予燃焼室４と主燃焼室２とを連通させる開口部５は、第二予燃焼室９に合流している。これに対して、第一予燃焼室８内へは点火装置６が突出している。さらに、ガスノズル７の噴射方向は、第一予燃焼室８内および／または第二予燃焼室９にも向けられている。それにともない、主燃焼室２から予燃焼室４内に流入する燃料ガス・空気混合気は、予燃焼室４の第二予燃焼室９において、渦流の作用を受けている。おおよそ第一予燃焼室８および第二予燃焼室９の軸対称な中心部分に係合する管１０を介して、予燃焼室９内のほぼ渦流の軸対称な中心において支配的な低圧は、第一予燃焼室８に誘導可能であり、その結果、第一予燃焼室８内では、明らかに低下した圧力レベルが支配的となる。点火プロセスにおいて点火装置６が実現する出力を低くできる限りは、点火装置６の耐用期間は最終的に延長される。

したがって、本発明の第一の態様によると、本発明に係るエンジンの点火装置の領域では、開口部５および場合によっては予燃焼室４の特殊なジオメトリによって、前記単独のまたは各点火装置の領域における圧力レベルは明らかに低下する。それによって、前記単独のまたは各点火装置６の領域で点火プロセスごとに必要となる点火エネルギーは減少し、前記単独のまたは各点火装置６の耐用期間は、必要な点火出力が減少するとともに過度に延長される。

上述のように、予燃焼室を第一予燃焼室８と第二予燃焼室９とを有する縦列式渦流室として設定することのさらなる利点は、点火装置６の領域で、燃料ガス・空気混合気の処理が改善されうることにある。ガスノズル７がほぼ第一予燃焼室８の軸対称な中心に位置することによって、点火装置６の領域では燃料ガス・空気混合気が制御され、安定するように調整が行われる。また、混合気の調整が改善すると、必要な点火出力を低下させ、それによって点火装置の耐用期間を延長することも可能となる。

本発明の第二の態様は、単独で、または本発明の第一の態様と組み合わせて活用することができるが、当該第二の態様によると、予燃焼室４、すなわち図１に示された実施例では予燃焼室４の第一予燃焼室８内には複数の点火装置６が突出しており、当該点火装置６は図示されていない制御装置によって交互に作動可能である。

したがって、点火の度に前記制御装置は点火装置の一部のみを作動させるため、点火の度に全ての点火装置６が起動するのではなく、点火装置６の一部の点火装置のみが起動するのである。このとき、一部の点火装置は１つでもよい。

Ｎ個の点火装置が予燃焼室４内に突出しており、点火の度に常に１つの点火装置のみが作動され、使用される場合、作動時間単位での各点火装置６の点火回数は１／Ｎにまで減少可能であり、それによって作動時間中の当該点火装置の摩耗は減少し、最終的には保守整備間隔は明らかに延長されうる。

図２および図３は、図１に示された予燃焼室４の第一予燃焼室８で、第一予燃焼室８内に突出する４つの点火装置６を有する第一予燃焼室８の概略図である。図２の実施例では、点火の度に、常に交互に１つの点火装置６のみが作動もしくは起動される。これに対し、図３の実施例では、点火の度に２つの点火装置６が起動され、作動される。

特に有利なのは、本発明の２つの態様を互いに組み合わせたエンジンである。そのようなエンジンは、第一予燃焼室８と第二予燃焼室９とに区分された予燃焼室は、予燃焼室４の第二予燃焼室９と主燃焼室２との間に接線方向に概ね延在する開口部５を有する一方で、予燃焼室４の第一予燃焼室８内には、中央にその噴射方向が第一予燃焼室８に向けられているガスノズル７、および複数の点火装置６が突出している。

１ シリンダヘッド
２ 主燃焼室
３ インサート部
４ 予燃焼室
５ 開口部
６ 点火装置
７ 燃料ガスノズル
８ 第一予燃焼室
９ 第二予燃焼室
１０ 管

Claims (9)

1. 主燃焼室（２）と当該主燃焼室（２）から分離された予燃焼室（４）とを有する、燃料ガスのためのエンジン、特にオットーサイクルエンジンであって、
   前記予燃焼室（４）は少なくとも１つの開口部（５）を介して前記主燃焼室（２）と連通されており、
   前記予燃焼室（４）には高圧燃料ガス導管に接続された少なくとも１つの燃料ガスノズル（７）の噴射方向が向けられており、それによって燃料ガスが前記予燃焼室内に運搬されて前記予燃焼室内に存在する希薄な燃料ガス・空気混合気と混合され、
   前記エンジンは前記予燃焼室内に突出する少なくとも１つの点火装置（６）を有し、それによって、濃度が増大した前記燃料ガス・空気混合気に点火を行うエンジンにおいて、
   前記主燃焼室（２）と前記予燃焼室（４）とを連通させている前記少なくとも１つの開口部（５）は、前記予燃焼室から前記主燃焼室への移行部分に関して斜めの方向であって、前記予燃焼室の軸に関して斜めの方向である、前記予燃焼室（４）の接線方向に概ね延在しており、それによって前記主燃焼室（２）から前記予燃焼室（４）へ流入する希薄な燃料ガス・空気混合気は、前記予燃焼室（４）内で渦流の作用を受けることを特徴とするエンジン。
2. 前記予燃焼室（４）が第一予燃焼室（８）と第二予燃焼室（９）とに区分されており、前記第一予燃焼室（８）と前記第二予燃焼室（９）とは、中央の管（１０）を介して相互に連通されており、前記単独のまたは各燃料ガスノズル（７）および前記単独のまたは各点火装置（６）は、前記予燃焼室（４）の前記第一予燃焼室および／または前記第二予燃焼室（８，９）内に向けられもしくは突出しており、前記単独のまたは各開口部（５）は前記主燃焼室（２）と前記予燃焼室（４）の前記第二予燃焼室（９）とを連通させることを特徴とする請求項１に記載のエンジン。
3. 前記主燃焼室（２）から前記予燃焼室（４）内に流入する希薄な燃料ガス・空気混合気は、前記予燃焼室（４）の前記第二予燃焼室（９）において渦流の作用を受けることを特徴とする請求項２に記載のエンジン。
4. ほぼ第一予燃焼室（８）および第二予燃焼室（９）の軸対称な中心部分において、前記管（１０）が両予燃焼室に係合し、それによって前記第一予燃焼室（８）内では、希薄な燃料ガス・空気混合気の圧力レベルが可能な限り低く調整されることを特徴とする請求項２または３に記載のエンジン。
5. 請求項６から８のいずれか一項または複数項に記載の特徴を有する請求項１から４のいずれか一項に記載のエンジン。
6. 主燃焼室と当該主燃焼室から分離された予燃焼室とを有する、燃料ガスのためのエンジン、特にオットーサイクルエンジンであって、前記予燃焼室は少なくとも１つの開口部を介して前記主燃焼室と連通されており、前記予燃焼室には高圧燃料ガス導管に接続された少なくとも１つの燃料ガスノズルの噴射方向が向けられており、それによって燃料ガスが前記予燃焼室内に運搬されて前記予燃焼室内に存在する希薄な燃料ガス・空気混合気と混合され、前記エンジンは前記予燃焼室内に突出する少なくとも１つの点火装置を有し、それによって、濃度が増大した前記燃料ガス・空気混合気に点火を行うエンジンにおいて、
   前記予燃焼室（４）内に複数の点火装置（６）が突出していることを特徴とするエンジン。
7. 制御装置が前記点火装置（６）を交互に作動させることを特徴とする請求項６に記載のエンジン。
8. 前記制御装置が点火の度に前記点火装置（６）の一部を作動させることを特徴とする請求項７に記載のエンジン。
9. 請求項１から４のいずれか一項または複数項に記載の特徴を有する請求項６から８のいずれか一項に記載のエンジン。

Images