JP2009257319A - エンジンバルブアクチュエータ及び内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関のエンジンバルブを駆動するエンジンバルブアクチュエータにおいて、エンジンバルブ側にロッド貫通穴が穿設された弁駆動シリンダと、ロッド貫通穴に挿通された弁ロッドと、弁ロッドの一端に取り付けられた弁駆動ピストンと、弁駆動シリンダの側面に隣接して取り付けられた3方切替制御弁と、弁駆動ピストンの上面側の弁駆動シリンダ上室と3方切替制御弁とを接続する開弁用油圧通路と、油圧ポンプからの作動油を3方切替制御弁に供給する油圧供給通路とを備え、弁駆動ピストンの下面側の弁駆動シリンダ下室を油圧供給通路に接続したことを特徴とするエンジンバルブアクチュエータ。これにより、エネルギー効率が向上する。
【選択図】図2
Description
例えば、弁を開動作(リフト)のみをアクチュエータにて行う、油圧式弁駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1、2。)。
また、弁を開動作(リフト)及び閉動作をアクチュエータにて行う、油圧式弁駆動装置も提案されている(例えば、特許文献3。)。
しかしながら、特許文献1〜3には変位計については何等記載されていない。
そして、特許文献1に開示されたものでは、変位計を設けることが困難であるという問題がある。
しかしながら、両ロッド式のものでは、変位計も含めたアクチュエータ全体の寸法(特に長さ)が増加するという問題がある。
更に、吸気弁、排気弁と反対側(外部)に油が洩れることは許されないが(吸気弁、排気弁側への作動油の若干の漏洩は許容される)、両ロッド式のものでは、構造上、吸気弁、排気弁と反対側のピストンロッドを完璧にシールすることができないという問題がある。
内燃機関のエンジンバルブを駆動するエンジンバルブアクチュエータにおいて、
前記エンジンバルブ側にロッド貫通穴が穿設された弁駆動シリンダと、
前記ロッド貫通穴に挿通された弁ロッドと、
前記弁ロッドの一端に取り付けられた弁駆動ピストンと、
前記弁駆動シリンダの側面に隣接して取り付けられた3方切替制御弁と、
前記弁駆動ピストンの上面側の弁駆動シリンダ上室と前記3方切替制御弁とを接続する開弁用油圧通路と、
油圧ポンプからの作動油を前記3方切替制御弁に供給する油圧供給通路とを備え、
前記弁駆動ピストンの下面側の弁駆動シリンダ下室を前記油圧供給通路に接続したことを特徴とする。
前記弁駆動ピストンの上面中央に穿設されたピストン中央凹部と、
前記ピストン中央凹部の内側面に取り付けられたターゲットと、
前記弁駆動シリンダの上部蓋から前記ターゲットと対峙するように挿入された変位計とを備えたことを特徴とする。
前記3方切替制御弁は、
マニホルドブロック内に固定されたスリーブ内を滑動するスプールを有し、
前記スプールの外周面に形成されたスプール孔連通室51への作動油の量を制御する孔は、先端側の周方向の幅が後端側の周方向の幅より小さく形成されていることを特徴とする。
シリンダブロックと、
前記シリンダブロック内を上下動する燃焼用ピストンと、
排気弁及び給気弁と、
前記排気弁及び前記給気弁を各々駆動する第1乃至3のいずれかの手段に記載のエンジンバルブアクチュエータとを備えたことを特徴とする。
また、変位計を弁駆動シリンダ内に納めているので、排気弁及び給気弁側と反対側にロッドを突き出す必要がなく、従来の両ロッドシリンダ式のものに比べて、弁駆動装置全体の寸法を小さくすることができるとともに、摺動シールが不要となる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るエンジンバルブアクチュエータの概要図、図2は、図1における片ロッドシリンダの詳細模式図である。
排気弁4a、給気弁4bは、各々、弁ロッド5の下端に固定されており、弁ロッド5に設けられたバルブスプリング6により閉弁方向に付勢されている。
弁駆動装置10は、弁駆動シリンダ11と、弁駆動シリンダ11内に移動可能に収納された弁駆動ピストン12と、弁駆動ピストン12を駆動するためのサーボ弁13と、弁駆動ピストン12の位置を計測する変位計15、及び弁駆動シリンダ11上部蓋を兼ねた変位計取付台14等を備えている。
次に、図2に基づき、各弁駆動装置10の詳細な構成につき説明する。
図2に示すように、弁駆動シリンダ11内には、上下に移動可能な弁駆動ピストン12が収納されている。
弁駆動シリンダ11の下部中央には、ロッド貫通穴18が穿設され、このロッド貫通穴18に弁ロッド5が上下動自在に液密に挿入されている。
ロッド貫通穴18を貫通した弁ロッド5の先端は、弁駆動ピストン12の下面に接続されている。
このとき、弁駆動ピストン12の横断面積から弁ロッド5の横断面積を除したものが、ピストン下面面積A2となっている。
このとき、弁駆動ピストン12の上面周囲及びピストン中央凹部17の底部と、弁駆動シリンダ11上部蓋を兼ねた変位計取付台14の下面との間の空間が、弁駆動シリンダ上室11aとなっている。
このピストン中央凹部17の側面には、弁駆動ピストン12の位置を計測するためのターゲット16が、弁駆動ピストン12の移動方向に数条取り付けられている。
変位計取付台14の中央には、変位計挿入孔19が穿設されている。
変位計15は、変位計取付台14に取り付けられている。
この変位計15の先端は、変位計挿入孔19に挿入され、弁駆動ピストン12のピストン中央凹部17の内部に延在し、ターゲット16と対峙するようになっている。
そして、変位計15によりターゲット16の位置を測定することにより、弁駆動ピストン12の位置を計測するようになっている。
したがって、駆動油圧が作用するピストン上面面積A1は、弁駆動ピストン12のピストン中央凹部17の周囲の面積A1aとピストン中央凹部17の底の面積A1bとを加算したものとなっている。
この場合、ピストン上面面積A1>ピストン下面面積A2となる。
一方、特許文献2のような両ロッドシリンダ式のものでは、ピストン上面面積≒ピストン下面面積となっている。
弁駆動シリンダ11の外部側面には、サーボ弁13が隣接して取り付けられている。
なお、図2では、3方切替制御弁22を模式的に図示しているが、実際は周知のようにスプール、油路、電磁コイル等により構成されている。
3方切替制御弁22の入口の一方は、油圧供給通路21を介して弁駆動シリンダ下室11bに接続されている。
また、油圧ポンプ24は、給油配管23を介して油圧供給通路21に接続されている。
また、3方切替制御弁22の入口の他方は、排油配管25が接続されている。
このとき、油圧供給通路21は弁駆動シリンダ下室11bにも通じており、弁駆動シリンダ下室11bから流れ出た作動油も、油圧供給通路21、3方切替制御弁22、開弁用油圧通路20介して弁駆動シリンダ上室11aに供給される。
また、弁駆動シリンダ上室11aから流れ出た作動油は、開弁用油圧通路20、3方切替制御弁22、排油配管25を介して外部に排出される。
本発明の実施の形態に係る片ロッドシリンダ式のエンジンバルブアクチュエータの作動原理につき、特許文献2に記載のような両ロッドシリンダと対比しながら、どちらが大きなパワーを発揮できるか、同じ推力を同じ速度で発生させた場合、どちらの供給エネルギーが大きいかにつき説明する。
Q=Qo√(ΔP/Po) (1)
なお、
Po:基準圧力、
Qo:基準流量、
ΔP:3方切替制御弁を通過したことにより降下した圧力、
Q:圧力ΔPのときの流量、である。
Q1=Qo√{(Ps−Pl)/Po} (2)
V=Q1/A1=Qo/A1・√(1/Po)・√(Ps−P1) (3)
なお、
Q1:シリンダ上室流入油量(押し出し時)、
Ps:油圧ポンプ吐出圧力、
Pl:シリンダ上室内圧力(押し出し時)、
Q1:シリンダ上室流入油量(押し出し時)、
A1:ピストン上面面積、
V:ピストン移動速度、である。
しかしながら、弁駆動シリンダ下室11bは、油圧ポンプ24に直結(3方切替制御弁22を介していない)しているため、外力Fが作用しているとき、F=P1・A1−P2・A2=P1・A1−Ps・A2となる。
したがって、次の式4により、シリンダ上室内圧力P1が得られる。
P1=(F+Ps・A2)/A1 (4)
なお、
F:外力、
A2:ピストン下面面積(引き時のピストン面積)、である。
ピストン上面面積A1=ピストン下面面積A2であるため、
F=A1(P1−P2) (5)
となる。
また、両ロッドシリンダにサーボ弁を使用した場合、シリンダ上室に入る作動油量とシリンダ下室から出る作動油量は同じであるから、式6〜式8により、シリンダ上室内圧力Pl(押し出し時)は式9のようになる。
Ps−P1=P2−0 (6)
P2=Ps−P1 (7)
F=A1(2・P1−Ps) (8)
P1=1/2・(F/A1+Ps) (9)
なお、P2:シリンダ下室内圧力(押し出し時)である。
P1=F/A1+Ps・α (10)
そこで、片ロッドシリンダ式のものと両ロッドシリンダ式のものもとで同じ負荷条件で、同じシリンダ上室内圧力P1にすることができるかにつき検討する。
F/A1+Ps・α=1/2・F/A1+1/2・Ps
α=1/Ps(1/2・Ps−1/2・F/A1)
=1/(2・Ps)・(Ps−F/A1) (11)
もし、慣性負荷のように最大速度時にFが0となれば、α=1/2で片ロッドシリンダ式のものと両ロッドシリンダ式のものもとは同じになる。
更にαを小さくできれば、片ロッドシリンダ式のものの方が速度を速くすることができ、効率的となる。
V=Qo/A1・√(1/Po)・√P1 (12)
シリンダ上室内圧力P1が大きいほうが速度は大きくすることができる。
この場合、α=A2/A1を、式11により選べば同じ性能となる。
引き時は、片ロッドシリンダのものではピストン下面面積A2<ピストン上面面積A1であり、必要ポンプ吐出量Qpが小さいのは明らかである。
次に、図3〜図5に基づいて本発明の実施の形態に係るエンジンバルブアクチュエータに採用する3方切替制御弁22の構造につき説明する。
図3は、図2における3方切替制御弁の縦端面図及びスリーブの平面図である。
なお、図3中の上半部(a)は、3方切替制御弁の縦端面図であり、下半部(b)は、スリーブの平面図である。
図5は、図4のB−B断面図である。
なお、図5(a)は、スリーブの油圧供給孔45及びスリーブの排油孔46の第1の例、図5(b)は第2の例、図5(c)は第3の例、図5(d)は第4の例である。
しかしながら、大型の3方切替制御弁22を使用した場合、弁駆動装置10の流量ゲインが高くなるため、全体の制御ゲインを高くとることができない(制御の精度が低くなる)。
制御ゲインを高く取れないと、3方切替制御弁22の製作誤差、電気ノイズ、機械的ノイズ等の外乱を抑制することができず、位置決め制度が低下することになる。
マニホルドブロック30の一方側(図3の左側)には、図2に図示の油圧供給通路21に接続される油圧供給ポート32が形成されている。
マニホルドブロック30の中央には、開弁用油圧通路20に接続される開弁用油ポート31が形成されている。
マニホルドブロック30の他方側(図3の右側)には、排油配管25に接続される排油ポート33が形成されている。
供給用連通室42は、マニホルドブロック30の油圧供給ポート32と連通している。
更に、スリーブ40の一方側の内側には、供給用連通室42と連通する2個の油圧供給孔45が形成されている。
この開弁用連通室41は、マニホルドブロック30の開弁用油ポート31と連通している。
更に、スリーブ40の中央の内側には、開弁用連通室41と連通する3〜6個の開弁油孔44が形成されている。
この排油用連通室43は、マニホルドブロック30の排油ポート33と連通している。
更に、スリーブ40の他方側の内側には、排油用連通室43に連通する2個の排油孔46が形成されている。
逆に、スプール50を他方側に駆動することにより、図2に図示の弁駆動シリンダ上室11aから流れ出た作動油は、開弁用油圧通路20、開弁用油ポート31、開弁用連通室41、開弁油孔44、スプール孔連通室51、排油孔46、排油用連通室43、排油ポート33、排油配管25を流れて外部に排出される。
3方切替制御弁22を高精度且つ大容量のものとすべく、スリーブ40の油圧供給孔45及び排油孔46を次のような形状にしている。
漸増開度部45b(46b)は、図5(a)に図示の例では、周方向の幅が直線状に拡張している。
また、小開度部45a(46a)は、大開度部45c(46c)の周方向の中央に位置している。
また、小開度部45a(46a)、漸増開度部45b(46b)及び大開度部45c(46c)の孔の周方向の両側の側壁は、半径方向ではなく、図4に図示のように、半径方向に並行になっている。
前後幅比LL/LSが小さ過ぎると、制御の精度が低下し、前後幅比LL/LSが大き過ぎると、作動開始時の容量が小さくなる。
図5(b)に図示の油圧供給孔45(排油孔46)の第2の例では、漸増開度部45b(46b)は、直線状ではなく、大開度部45c(46c)に行くに従い開度率が大きくなるように曲線状に形成されている。
このような形状にすれば、制御開始時において小開度部45a(46a)からスプール孔連通室51内に流入した作動油は、スプール孔連通室51内においてスプール50に正面から衝突することなく周面に沿って流れ込む。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は上記の各実施の形態に限定されず、本発明の範囲内で種々の変更を加えてよいことは言うまでもない。
本発明の実施の形態に係る片ロッドシリンダ式のエンジンバルブアクチュエータによれば、ピストン上面面積A1とピストン下面面積A2との面積比αを最適に選ぶことにより、従来の両ロッドシリンダ式のものと同じ性能が得られるにも係わらず、油圧ポンプ24からの供給エネルギを小さくできる。
勿論、片ロッドシリンダ式のものは、変位計が弁駆動シリンダ11内に納めているので、排気弁4a及び給気弁4b側と反対側にロッドを突き出す必要がなく、従来の両ロッドシリンダ式のものに比べて、弁駆動装置10全体の寸法を小さくすることができ機能的なメリットもある。
また、押し、引きの必要エネルギーを負荷に応じて最適に設定できるとともに、従来の両ロッドシリンダ式のものでは絶対に不可能な押した場合のエネルギーの一部を回収できる。
また、吸排気バルブ制御側からの作動油洩れはない(なお、排気弁4a及び給気弁4b側は、作動油が多少漏れたとしても、エンジンの燃料と共に燃焼するため問題無い)。
2 シリンダブロック
3 燃焼用ピストン
4a 排気弁
4b 給気弁
5 弁ロッド
6 バルブスプリング
10 弁駆動装置
11 弁駆動シリンダ
11a 弁駆動シリンダ上室
11b 弁駆動シリンダ下室
12 弁駆動ピストン
13 サーボ弁
14 変位計取付台
15 変位計
16 ターゲット
17 ピストン中央凹部
18 ロッド貫通穴
19 変位計挿入孔
20 開弁用油圧通路
21 油圧供給通路
22 3方切替制御弁
23 給油配管
24 油圧ポンプ
25 排油配管
30 マニホルドブロック
31 開弁用油ポート
32 油圧供給ポート
33 排油ポート
40 スリーブ
41 開弁用連通室
42 供給用連通室
43 排油用連通室
44 スリーブの開弁油孔
45 スリーブの油圧供給孔
45a 小開度部
45b 漸増開度部
45c 大開度部
46 スリーブの排油孔
46a 小開度部
46b 漸増開度部
46c 大開度部
50 スプール
51 スプール孔連通室
Qo 基準流量
Q 弁降下圧力ΔPのときの流量
Q1 シリンダ上室流入油量
Q2 シリンダ下室流出油量
Qs 油圧ポンプ吐出油量
Qp ポンプ吐出量
Po 基準圧力
Pl シリンダ上室内圧力
P2 シリンダ下室内圧力
Ps 油圧ポンプ吐出圧力
A1 ピストン上面面積
A2 ピストン下面面積
F 外力
V ピストン移動速度
LS 小開度部の周方向の幅
LL 大開度部の周方向の幅
Claims (4)
- 内燃機関のエンジンバルブを駆動するエンジンバルブアクチュエータにおいて、
前記エンジンバルブ側にロッド貫通穴が穿設された弁駆動シリンダと、
前記ロッド貫通穴に挿通された弁ロッドと、
前記弁ロッドの一端に取り付けられた弁駆動ピストンと、
前記弁駆動シリンダの側面に隣接して取り付けられた3方切替制御弁と、
前記弁駆動ピストンの上面側の弁駆動シリンダ上室と前記3方切替制御弁とを接続する開弁用油圧通路と、
油圧ポンプからの作動油を前記3方切替制御弁に供給する油圧供給通路とを備え、
前記弁駆動ピストンの下面側の弁駆動シリンダ下室を前記油圧供給通路に接続したことを特徴とするエンジンバルブアクチュエータ。 - 前記弁駆動ピストンの上面中央に穿設されたピストン中央凹部と、
前記ピストン中央凹部の内側面に取り付けられたターゲットと、
前記弁駆動シリンダの上部蓋から前記ターゲットと対峙するように挿入された変位計とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンバルブアクチュエータ。 - 前記3方切替制御弁は、
マニホルドブロック内に固定されたスリーブと、
前記スリーブ内を滑動するスプールとを有し、
前記スプールの外周面に形成されたスプール孔連通室への作動油の量を制御する孔は、先端側の周方向の幅が後端側の周方向の幅より小さく形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンバルブアクチュエータ。 - シリンダブロックと、
前記シリンダブロック内を上下動する燃焼用ピストンと、
排気弁及び給気弁と、
前記排気弁及び前記給気弁を各々駆動する請求項1乃至3のいずれかに記載のエンジンバルブアクチュエータとを備えたことを特徴とする内燃機関。
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