JP2009257290A - 内燃機関の噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷間始動時において燃料の噴射開始時期と噴射期間との関係を最適化する。
【解決手段】ECU100は、始動時噴射制御を実行する過程で、冷却水温Twが閾値Twth未満の冷間始動時に該当する場合には、冷間時の始動処理を実行する。当該処理では、各気筒について、爆発順序並びに冷却水温Tw及び燃料性状Fpに基づいて、各々始動一サイクル目における排気行程回転速度Rex、吸気行程回転速度Rin及び圧縮行程回転速度Rcpがマップを参照して推定される。また、ECU100は、これら各回転速度に基づいて、燃料の噴射開始クランク位置Cxと噴射期間Tdとの対応関係を規定する関係式(1)Ts=a×Cx+bを構築し、当該式に基づいて、燃料消費量を最小化し得る噴射開始クランク位置Cs及びそれに対応する噴射期間Tdを算出してインジェクタ214を駆動制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、冷間始動時に適用可能な内燃機関の噴射制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、要求燃料噴射量に対する吸気同期噴射量の割合を算出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された内燃機関の燃料噴射制御装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、機関冷却水温度が低い程、吸気同期噴射量の割合を大きくすることにより、吸気同期噴射の効果を損ねることなく、且つバルブオーバラップに起因する排気ガスの逆流による気筒内への燃料供給の影響を回避することができ、良好な始動性を確保することが可能となるとされている。
尚、ポート噴射内燃機関において、始動時に機関の温度が所定値よりも低い場合に、吸気行程中に同期噴射を行わせる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)
また、吸気同期と吸気非同期の噴射量割合を一定に保つため、吸気バルブの開弁タイミングを補正する技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2007−239638号公報 特開昭62−210230号公報 特開2007−40262号公報
冷間始動時における、例えば始動初期等の過渡期間においては、機関回転速度が例えばクランキング回転速度から急激に上昇する。このため、燃料の噴射開始時期及び燃料の噴射期間(即ち、噴射開始時期が既知であれば一義的に燃料の噴射終了時期)を正確に算出することは難しい。従って、この種の過渡期間に対応する術を有さぬ従来の技術には、冷間始動時における、とりわけ始動初期等の過渡期間において、燃料の噴射開始時期及び噴射期間を最適化することが著しく困難である旨の技術的問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、冷間始動時において燃料の噴射開始時期及び噴射期間を最適化することが可能な内燃機関の噴射制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の噴射制御装置は、気筒に連通する吸気ポートに燃料を噴射可能な噴射手段を備えた内燃機関の噴射制御装置であって、冷間時において、前記気筒毎に、前記内燃機関における少なくとも冷却水温度を含む所定種類の始動条件に対応する、前記内燃機関の始動初期の排気行程における機関回転速度たる排気行程回転速度及び該排気行程と時系列上相前後する吸気行程における機関回転速度たる吸気行程回転速度を推定する推定手段と、前記気筒毎に、(i)前記推定された吸気行程回転速度に基づいて前記吸気行程回転速度の高低が夫々大小に対応する係数a(a<0)を設定し、且つ(ii)前記推定された排気行程回転速度に基づいて、前記排気行程内で任意に設定される前記燃料の噴射開始時期に相当するクランク位置たる噴射開始クランク位置Cxの代表点Cxdにおいて要求される前記噴射期間であり、前記排気行程回転速度の高低が夫々小大に対応する代表点噴射期間Mdを設定する設定手段と、前記気筒毎に、前記設定された係数a及び代表点噴射期間Mdにより構築される、前記噴射開始クランク位置Cxと該噴射開始クランク位置Cxにおいて要求される前記燃料の噴射期間たる噴射期間Tdとの対応関係を表す下記関係式(1)に基づいて、前記始動初期における一の前記噴射開始クランク位置Cx及び前記噴射期間Tdを決定する決定手段と、前記気筒毎に、前記始動初期における前記噴射開始クランク位置Cx及び噴射期間Tdが、夫々前記決定された噴射開始クランク位置Cx及び噴射期間Tdとなるように前記噴射手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
(1)Td=a×Cx+b
本発明に係る「冷間時」とは、例えば好適な一形態として、内燃機関が、燃料の噴射開始時期から実際に気筒内へ燃料が吸入され始める吸気行程の開始時期までの時間(この場合、燃料は排気行程で噴射されるとする)の増加に伴い、燃料の気化効率が実践上看過し得ない程度に減少する温度状態にある期間等を指す。内燃機関がこの種の温度状態にあるか否かは、例えば冷却水温度を基準値と比較する等の実践的態様の下に判別されてもよいし、他の方法で判別されてもよい。また、本発明に係る内燃機関の噴射制御装置に係る各手段の動作は、少なくとも冷間時の一部においてなされる限りにおいて、冷間時のみに限定してなされてもよいし、係る冷間時を含むより広範な温度範囲でなされてもよい。
本発明に係る内燃機関の噴射制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る推定手段によって、気筒毎に、始動条件に対応する、始動初期の排気行程における機関回転速度たる排気行程回転速度及び当該排気行程と時系列上相前後する(即ち、時間的に連続して訪れる)吸気行程における機関回転速度たる吸気行程回転速度が、例えば好適な一形態として、予め然るべき記憶手段に記憶された、これら各機関回転速度と内燃機関の始動条件とを対応付けてなるマップ等を参照する形で推定される。
尚、排気行程回転速度と吸気行程回転速度とが、各々個別に推定される点から明らかなように、推定手段は、気筒毎に、動作行程間における機関回転速度の変化(即ち、他気筒の膨張行程の影響等により機関回転速度は上昇し得る)を考慮して各機関回転速度を推定する。
尚、「気筒毎に」とは、推定対象の単位を規定する表現であって、内燃機関に備わる気筒が単数である場合を排除するものではない。また、気筒が複数備わる場合に、全ての気筒について係る推定がなされる旨を限定するものでもない(即ち、複数の気筒の少なくとも一部について、気筒毎に各機関回転速度が推定されてもよい)。
また、「始動条件」とは、少なくとも冷却水温を含む、少なくとも始動時における内燃機関の燃焼性能と相関する条件を包括する概念であり、冷却水温に加え、例えば燃料性状、外気温、湿度、大気圧或いは潤滑油温等を適宜に含み得る趣旨である。補足すると、推定手段は、排気行程回転速度及び吸気行程回転速度の推定に際して、例えば、これら各種始動条件を特定してもよい。尚「特定」とは、特定対象(ここでは、始動条件)を直接検出すること、特定対象を物理的、機械的、電気的又は化学的に検出可能な各種の検出手段を介して間接的に取得すること、特定対象と相関する各種の物理量や制御量等に基づいて、然るべきマップから選択する或いは然るべき演算処理を経て導出又は同定すること等を包括する広い概念である。
ここで、冷間時においては、燃料の噴射開始時期が燃焼特性に大きく影響する。即ち、冷間時には、燃料が噴射されてから実際に気筒内に吸入されるまでに要する時間が長い程、例えば吸気ポート内壁を介した冷却効果等によって燃料の気化効率が低下する。従って、気筒内に所望の気化燃料を流入せしめるためには、噴射開始時期に応じて燃料の噴射期間(即ち、噴射量と一義的であり、また噴射開始時期が既決であれば噴射終了時期と一義的である)を変化させる必要が生じる(尚、これらは相対的な関係であり、所望の噴射量が存在する場合には、噴射量に応じて噴射開始時期を変化させてもよい)。別言すれば、燃料の噴射開始時期と燃料の噴射期間との対応関係を正確に推定する必要が生じる。
本発明に係る内燃機関の噴射制御装置によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る設定手段によって、係数a(a>0)及び代表点噴射期間Mdが設定される。
ここで、係数aは、吸気行程回転速度の高低が夫々大小(aが負値であることに鑑みれば、絶対値としては夫々小大である)に対応する値であり、推定された吸気行程回転速度に基づいて、例えば、予め然るべき記憶手段に記憶された、吸気行程回転速度と係数aとを対応付けてなるマップ等を参照する等の形態を経て設定される。
また、代表点噴射期間Mdは、排気行程内で任意に設定される、噴射開始時期に相当するクランク位置(好適な一形態として、クランク角等として表されてもよい)たる噴射開始クランク位置Cxの代表点Cxd(実際の噴射開始時期とは異なる)において要求される噴射期間であり、推定された排気行程回転速度に基づいて、排気行程回転速度の高低が夫々小大に対応する値として設定される。
尚、「要求される噴射期間」とは、好適な一形態として、例えば、燃焼状態を許容範囲に収め得る(或いは、失火を回避し得る)、理論的、実質的又は現実的に最小の(或いはそれに類する程度に小さい)噴射期間である。
このように係数a及び代表点噴射期間Mdが設定されることにより、噴射開始クランク位置Cxと当該噴射開始クランク位置Cxにおいて要求される噴射期間Tdとの対応関係を表す、上記関係式(1)を構築することができる。
この際、係数aが負値であることに鑑みれば、噴射期間Tdは、噴射開始クランク位置Cxに対し減少関数となる。即ち、定性的にみれば、噴射開始クランク位置Cxが排気行程から吸気行程へ向かう程、噴射期間Tdは小さく(即ち、短く)なる。
ここで、内燃機関の冷間時における実挙動を考慮すると、噴射された燃料が吸気ポート内を飛行する或いは滞留する時間が長い程、吸気ポートに付着する燃料の割合が増加する傾向があり、燃料噴射量の要求値を増加させる必要がある。また、吸気行程では、好適には吸気TDC後90°CAまでピストンの下降速度が上昇するから、噴射開始クランク位置Cxが遅角側に移動する程、燃料をより効率的に気筒内に導くことが可能となって、燃料噴射量を抑制することが可能となる。関係式(1)は、このような冷間時の挙動に整合しており、噴射開始時期Cxと噴射期間Tdとの対応関係を適切に表し得る関係式である。
また、関係式(1)に従えば、代表点噴射期間Mdが大きい程、一の噴射開始クランク位置Cxに対する噴射期間Tdは大きくなる。ここで、代表点噴射期間Mdは、排気行程回転速度の高低が夫々小大に対応するから、結局、排気行程回転速度の高低は、夫々噴射期間Tdの小大に対応する。一方、実際には、排気行程回転速度が高い程、排気行程に要する時間は短くなり、燃料の気化効率が阻害される度合いが減少するため、燃料の噴射量は相対的に少なくて済む。即ち、係る定性的な傾向は、関係式(1)と符合している。
また、関係式(1)に従えば、係数aが小さい(即ち、幾何学的に言えば負の傾きが大きい)程、一の噴射開始クランク位置Cxに対する噴射期間Tdは小さくなる。ここで、係数aは、吸気行程回転速度の高低が夫々大小に対応するから、結局、吸気行程回転速度の高低は、夫々噴射期間Tdの大小に対応する。一方、実際には、吸気行程回転速度が高い程、吸気行程に要する時間は短くなり、気筒内への燃料の流入が阻害された状態となるため、燃料の噴射量は相対的に大きく設定される必要がある。即ち、係る定性的な傾向は、関係式(1)と符合している。
尚、関係式(1)における「b」とは、噴射開始クランク位置Cxがゼロ(即ち、噴射開始クランク位置Cxの基準点であり、例えば、吸気行程の開始タイミング(以下、適宜「IVO」と称する))である場合の噴射期間Tdの値であり、幾何学的には、噴射開始クランク位置Cxを横軸に配し、噴射期間Tdを縦軸に配した座標系において、噴射期間Tdを表す減少関数(aが負値であるため)の縦軸側の切片に相当する。
本発明に係る内燃機関の噴射制御装置によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る決定手段により、係る関係式(1)に基づいて、始動初期における一の噴射開始クランク位置Cx及び噴射期間Tdが決定される。また、始動初期における噴射開始クランク位置Cx及び噴射期間Tdが決定されると、実際の噴射開始クランク位置Cx及び噴射期間Tdが、係る決定された噴射開始クランク位置Cx及び噴射期間Tdとなるように、噴射手段が制御される。
ここで、関係式(1)が満たされる限りにおいて、絶対的な噴射量の差はあるとしたところで、噴射開始時期と噴射期間とを最適な関係に維持することができる。従って、如何なる具体的要請の下に噴射開始時期及び噴射期間が決定されるにせよ、関係式(1)に基づいて、例えば、噴射量を最小とする、或いはエミッションを抑制する(噴射量が最小となる噴射開始時期と、エミッションを最も抑制し得る噴射開始時期とは必ずしも一致しない)等の各種目的に応じて、最適な噴射開始時期及び噴射期間を設定することができる。
即ち、本発明に係る内燃機関の噴射制御装置によれば、始動初期における排気行程回転速度及び吸気行程回転速度を推定することによって、冷間始動時において燃料を最適な噴射開始時期及び噴射期間で噴射することが可能となるのである。
本発明に係る内燃機関の噴射制御装置の一の態様では、前記設定手段は、前記推定された排気行程回転速度に基づいて、前記代表点Cxdから前記吸気行程の開始時期を規定するクランク位置までの期間に相当する時間値ΔT1を推定すると共に、該推定された時間値ΔT1と、前記始動条件に応じて決定される前記噴射期間Tdの基準を表す基本噴射期間Mbaseの基本値とに基づいて前記代表点噴射期間Mdを設定し、前記推定された吸気行程回転速度に基づいて、前記吸気行程の開始時期を規定するクランク位置から前記噴射された燃料の吸入を終了すべき限界時期を表す吸入限界時期を規定するクランク位置までの期間に相当する時間値ΔT2を推定すると共に、該推定された時間値ΔT2に応じて前記係数aを設定する。
この態様によれば、各機関回転速度に基づいて各種時間値を推定することにより、関係式(1)を規定する係数a及び代表点噴射期間Mdをより正確に設定することができる。従って、決定される噴射開始時期Cx及び噴射期間Tdがより最適化され得る。
本発明に係る内燃機関の噴射制御装置の他の態様では、前記推定手段は、前記吸気行程と時系列上相前後する、前記始動初期の圧縮行程における前記機関回転速度たる圧縮行程回転速度を更に推定し、前記設定手段は、前記推定された圧縮行程回転速度の高低が夫々前記代表点噴射期間Mdの小大に対応するように前記代表点噴射期間Mdを設定する。
この態様によれば、内燃機関の冷却損失を規定する圧縮行程回転速度に基づいて代表点噴射期間Mdを補正することが可能となるため、噴射開始時期Cx及び噴射期間Tdをより正確に決定することが可能となる。
本発明に係る内燃機関の噴射制御装置の他の態様では、前記決定手段は、前記関係式(1)に基づいて、遅くとも前記噴射された燃料の吸入を終了すべき限界時期を表す吸入限界時期を規定するクランク位置において前記噴射された燃料の吸入が終了するように前記噴射開始時期Cx及び前記噴射期間Tdを決定する。
ここで、「吸入限界時期を規定するクランク位置」とは、吸気行程において、燃料(無論、形態は混合気であってよい)の吸入効率の変化特性が減少側に転じるクランク位置であり、好適な一形態として、ピストンの下降速度が最大となるクランク位置(即ち、好適には吸気TDC後90°CA)近傍を指す。係るクランク位置を超えた(即ち、遅角側の)領域では、燃料の吸入効率が低下して、噴射開始時期Cxと噴射期間Tdとの対応関係が、関係式(1)から乖離し、噴射開始時期Cxと噴射期間Tdとの対応関係が曖昧となって、失火の発生、エミッションの悪化、或いは燃費の悪化等として顕在化し易い。
この態様によれば、決定手段は、遅くとも係る吸入限界を規定するクランク位置において燃料の吸入が終了するように噴射開始時期Cx及び噴射期間Tdを決定する。従って、関係式(1)に従った噴射開始時期Cx及び噴射期間Tdの決定精度を、少なくとも実践上不足のない程度に担保することが可能となり、燃費の向上或いはエミッションの向上といった、各種の要請を好適に満たすことが可能となる。
尚、「燃料の吸入が終了するように」とあるように、この際、決定手段は、好適な一形態として、噴射された燃料が気筒内に到達するのに要する飛行時間を考慮して噴射開始時期Cxを決定してもよい。
尚、この態様では、前記決定手段は、前記関係式(1)に基づいて、前記吸入限界時期を規定するクランク位置において前記噴射された燃料の吸入が終了するように前記噴射開始時期Cx及び噴射期間Tdを決定してもよい。
この場合、関係式(1)に従って、噴射期間が最小化されるため、燃料の消費量が最小となって、燃費を可及的に向上させることが可能となる。
本発明に係る内燃機関の噴射制御装置の他の態様では、前記始動初期とは、前記燃料が最初に噴射される行程を含む前記内燃機関の一動作サイクルに相当する期間である。
最初に燃料が噴射される行程(好適には、排気行程及び吸気行程のうち少なくとも一方)を含む一動作サイクル(吸入、圧縮、膨張及び排気の各行程からなるサイクル)では、燃焼が最も不安定となり易いため、本発明に係る最適な噴射開始時期Cx及び噴射期間Tdの設定が顕著に効果的である。
本発明に係る内燃機関の噴射制御装置の他の態様では、前記始動条件は、前記燃料に係る燃料性状を含む。
燃料は、重質(即ち、燃料密度が高い)である程気化しにくく、軽質である(即ち、燃料密度が低い)程気化し易い。本発明に係る「燃料性状」とは、このような燃料の気化し易さを規定する定性的又は定量的な指標を包括する概念である。このような燃料性状を本発明に係る始動条件に加えることにより、始動初期の各機関回転速度或いは代表点噴射量等を、より正確に推定することが可能となる。
本発明に係る内燃機関の噴射制御装置の他の態様では、前記内燃機関は、前記気筒を複数備え、前記推定手段は、前記複数の気筒の各々について、前記複数の気筒間で設定される爆発順序に基づいて、前記吸気行程回転速度及び排気行程回転速度を推定する。
始動初期においては、上述した始動条件に加え、気筒間で規定される爆発順序に応じて、気筒毎に機関回転速度が顕著に変化する。この態様によれば、推定手段は、当該爆発順序に基づいて各機関回転速度を推定するため、噴射開始時期及び噴射期間をより正確に決定することができる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<実施形態>
以下、適宜図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るエンジンシステム10の構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の模式図である。
図1において、エンジンシステム10は、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジンシステム10の動作全体を制御する電子制御ユニットであり、本発明に係る「内燃機関の噴射制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する始動時噴射制御を実行することが可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「推定手段」、「設定手段」、「決定手段」及び「制御手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たる直列4気筒ガソリンエンジンである。エンジン200は、気筒201内にその一部たる点火プラグの一部が露出してなる点火装置202の点火動作により混合気を爆発させると共に、その際に生じる爆発力に応じたピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。また、クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、本発明に係る「クランク位置」の一例であり、クランク角として表される)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。クランクポジションセンサ206は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100は、クランクポジションセンサ206によって検出されたクランク位置に基づいて点火装置202の点火時期等を制御することが可能に構成されている。また、ECU100は、検出されたクランク位置を時間処理することにより、エンジン200の機関回転速度Neを算出することが可能に構成されている。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。
尚、エンジン200は、紙面と垂直な方向に4本の気筒201(以下、適宜「第1気筒」、「第2気筒」、「第3気筒」及び「第4気筒」と称する)が配列してなる直列4気筒エンジンであるが、説明の煩雑化を防ぐ目的から、図1では、一の気筒の説明をもって他の気筒の説明に代替することとする。
気筒201内における燃料の燃焼に際し、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート213において、インジェクタ214(本発明に係る「噴射手段」の一例)から噴射された燃料と混合されて前述の混合気となる。燃料は、燃料タンク215に貯留されており、不図示の低圧ポンプの作用により、デリバリパイプ216を介してインジェクタ214に圧送供給されている。インジェクタ214は、ECU100と電気的に接続されており、この供給される燃料を、ECU100の制御に従って、吸気ポート213に露出した噴射弁(不図示)を介して吸気ポート213に噴射することが可能に構成されている。
また、インジェクタ214は、不図示の駆動装置から供給される、Hi側とLo側で切り替わるパルス電圧としての駆動電圧Vdにより、その噴射弁が開閉する構成となっており、駆動電圧VdがHi側にある期間の長さ(以下、適宜「噴射期間Td」と称する)は、燃料の噴射量と比例する関係となっている。
一方、燃料タンク215には、燃料タンク内の燃料の燃料性状(例えば、燃料密度等、燃料が気化し易いか否かを表す指標値)Fpを検出可能な燃料性状センサ217が設置されている。燃料性状センサ217は、ECU100と電気的に接続されており、検出された燃料性状Fpは、ECU100により一定又は不定のタイミングで参照され、後述する始動時噴射制御に供される構成となっている。
気筒201内部と吸気管207とは、吸気バルブ218の開閉によって連通状態が制御されている。気筒201内部で燃焼した混合気は排気となり吸気バルブ218の開閉に連動して開閉する排気バルブ219の開弁時に排気ポート220を介して排気管221に導かれる。
吸気管207上には、クリーナ208が配設されており、外部から吸入される空気が浄化される構成となっている。また、クリーナ208の下流側(気筒側)には更に、エアフローメータ209が配設されている。エアフローメータ209は、ホットワイヤー式と称される形態を有しており、吸入された空気の質量流量を直接検出することが可能に構成されている。尚、エアフローメータ209は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気の質量流量は、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
吸気管207におけるエアフローメータ209の下流側には、気筒201内部へ吸入される空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ210が配設されている。このスロットルバルブ210には、スロットルポジションセンサ212が電気的に接続されており、その開度であるスロットル開度を検出することが可能に構成されている。
スロットバルブモータ211は、ECU100と電気的に接続され、スロットルバルブ210を駆動することが可能に構成されたモータである。ECU100は、不図示のアクセルポジションセンサによって検出されるアクセル開度に基づいてスロットルバルブモータ211の駆動状態を制御することが可能に構成されており、これによりスロットルバルブ210の開閉状態(即ち、スロットル開度)が制御される構成となっている。尚、スロットルバルブ210は、上述したように一種の電子制御式スロットルバルブであり、スロットル開度は、ECU100により運転者の意思(即ち、アクセル開度)とは無関係に制御され得る。
排気管221には、三元触媒223が設置されている。三元触媒223は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能な触媒である。また、排気管221における三元触媒223の上流側には、空燃比センサ222が配設されている。空燃比センサ222は、排気ポート220を介して排出される排気ガスから、エンジン200の空燃比を検出することが可能に構成されている。空燃比センサ222は、ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比は、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
また、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータージャケットには、エンジン200を冷却するための冷却水の温度(以下、適宜「冷却水温」と称する)Twを検出するための温度センサ224が配設されている。温度センサ224は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温Twは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
<1−2:実施形態の動作>
エンジン200において、冷間始動時、とりわけ始動後最初の動作サイクル(始動後一サイクル目)における、各気筒の燃料噴射量は、始動期間全体における、或いはその後の動作期間における、エンジン200のエミッション量及び燃費等の環境性能に大きく影響する。そこで、エンジン200では、ECU100により実行される始動時噴射制御によって、複数の気筒201の各々に対し、始動後最初の動作サイクルに最適な量の燃料を噴射することが可能となっている。
ここで、図2を参照して、始動時噴射制御の詳細について説明する。ここに、図2は、始動時噴射制御のフローチャートである。尚、係る処理は、キースイッチ及びスタータスイッチ(図1に不図示)等、エンジン200を始動するための各種操作手段に対し、エンジン200を始動させるべき旨の所定操作がなされた場合(即ち、エンジンの始動時であり、例えばイグニッションオン時)に実行される処理である。
図2において、ECU100は、温度センサ224により検出されるエンジン200の冷却水温Twが、所定の閾値Twth未満であるか否かを判別する(ステップS101)。
ここで、閾値Twthとは、少なくともエンジン200が冷間始動状態にあるか否かを規定する(ここでは、それ未満の場合に冷間始動状態にある旨を規定する)基準値である。補足すると、本実施形態に係る冷間始動状態とは、吸気ポート213の内壁面を介した冷却作用等の影響を受け、各種始動条件(本実施形態では、冷却水温度Tw及び燃料性状Fp)に応じて、吸気ポート213に燃料を噴射するに際しての、噴射開始クランク位置Cx(即ち、噴射開始時期を規定するクランク位置)と、最適な(即ち、例えば、少なくとも失火を生じさせない範囲で可及的にエミッションの悪化を抑制する、或いは可及的に燃料の消費量を抑制する)噴射期間Tdとの対応関係が変化する(好適には、何らかの不具合を顕在化させる程度に変化する)ものとして規定された状態を指す。
本実施形態に係る閾値Twthは、概ね25℃付近の値に設定されている。逆に言うと、噴射開始クランク位置Cxと噴射期間Tdとの間に存在するこの種の最適な対応関係を考慮することなく、これらが決定される場合には、失火の発生、エミッションの悪化、或いは燃費の悪化等何らかの不具合が不要に顕在化する可能性が高くなる。より実践的に見地から言えば、少なくとも失火を回避すべく、燃料噴射量はマージンを含む形で多めに設定せざるを得ず、顕著には、エミッションの悪化(但し、失火によってもエミッションは悪化する)及び燃費の悪化が顕在化し易い。
冷却水温Twが閾値Twth以上である場合(ステップS101:NO)、ECU100は、温間時の噴射処理を実行する(ステップS102)。温間時の噴射処理とは、即ち、上述した対応関係を考慮せずとも実践上問題の生じない温度範囲における処理である。この際、ECU100は、ROM等の記憶領域から、各気筒一律に、或いは各気筒について始動一サイクルにおける回転上昇を考慮して予め設定された適合値(噴射開始クランク位置Cx及び噴射期間Td)を取得し、インジェクタ214を係る取得された適合値に従って駆動制御する。温間時の噴射制御が終了すると、始動時噴射制御は終了する。
一方、冷却水温Twが閾値Twth未満である場合(ステップS101:YES)、ECU100は、冷間時の噴射処理を実行する(ステップS200)。冷間時の噴射処理が終了すると、始動時噴射制御は終了する。ここで、図3を参照し、冷間時の噴射処理の詳細について説明する。ここに、図3は、冷間時の噴射処理のフローチャートである。
図3において、ECU100は、始めにエンジン200の爆発順序を決定する(ステップS201)。ここで、エンジン200では、第1気筒の次に第3気筒が、第3気筒の次に第4気筒が、第4気筒の次に第2気筒が、そして第2気筒の次には再び第1気筒が、順次一の動作行程(例えば、吸気行程)を迎える構成を有している。即ち、厳密な意味での爆発順序は不変であり、ここで言う「爆発順序の決定」とは、始動一サイクル目において、最初に爆発行程を迎える(即ち、最初に燃料の噴射開始時期を迎える)気筒201の決定を指す。
ECU100は、ステップS201に係る処理において、クランクポジションセンサ206によって検出されるクランク位置、並びに図1において夫々不図示の吸気及び排気カムのカム角度(例えば、カム角度センサ等により検出される)に基づいて、始動後最初に爆発行程を迎える気筒201を特定し、爆発順序を決定する。尚、本実施形態における爆発順序は、第1気筒、第3気筒、第4気筒及び第2気筒の順であるとする。
爆発順序が決定されると、ECU100は、爆発順序がj(j=1,2,3,4で、順次設定される)番目にあたる気筒(以下、適宜「対象気筒」と称する)について、各々時系列上連続する、排気行程、吸気行程及び圧縮行程の機関回転速度たる、排気行程回転速度Rex(j)、Rin(j)及びRcp(j)を算出する(ステップS202)。
ここで、図4を参照し、各回転速度について補足する。ここに、図4は、始動時におけるエンジン200の機関回転速度Neの一変化特性を表す模式図である。図4において、上段には、機関回転速度Neの時間特性が、また下段には、係る時間特性と横軸(即ち、時刻)の同期を採った、各気筒(尚、図中、第n気筒が#nと表されている)における行程の種類が表されている。
図4において、時刻T1から時刻T4まで(或いは始動入力が生じた時刻(時刻T1以前であってもよい)以降、時刻T4まで)において、機関回転速度はクランキング回転速度Nekr(例えば、200rpm程度)であり、時刻T4において第1気筒が爆発行程を迎えた時点から上昇を開始する。機関回転速度Neは、同様に第3気筒が時刻T5において、第4気筒が時刻T6において、第2気筒が時刻T7において夫々爆発行程を迎えることにより、夫々Ne1、Ne2及びNe3と変化し、総体的には時間軸上連続して上昇する。
ここで、補足すると、時刻T4において第1気筒が爆発行程(即ち、始動一サイクル目の爆発行程)を迎えるためには、燃料をそれ以前の、且つ直近の排気行程及び吸気行程の少なくとも一方(両行程に跨っていてもよい)において噴射する必要がある。即ち、本実施形態において、第1気筒については時刻T1からT5に至る期間が、第3気筒については時刻T2からT6に至る期間が、第4気筒については時刻T3から時刻T7に至る期間が、また第2気筒については時刻T4から時刻T8に至る期間(各々、図中ハッチング表示されている)が、夫々本発明に係る「始動期間」の一例となる。
図3のステップS202に係る排気行程回転速度Rex(j)、吸気行程回転速度Rin(j)及び圧縮行程回転速度Rcp(j)とは、例えば、対象気筒が第1気筒(即ち、j=1である)である場合、夫々、時刻T1から時刻T2に至る期間、時刻T2から時刻T3に至る期間及び時刻T3から時刻T4に至る期間における、機関回転速度Neの平均値(即ち、この場合、いずれもクランキング回転速度Nekr)である。
図3に戻り、ステップS202において、ECU100は、各回転速度を、予めROMに格納された機関回転速度マップから取得する。機関回転速度マップには、予め冷却水温Tw及び燃料性状Fp(本発明に係る「始動条件」の一例)に対応付けられる形で、爆発順序毎に(即ち、爆発順序が後になる程、ベースとなる機関回転速度が上昇する)各回転速度が数値化されて格納されており、ECU100は、対象気筒の爆発順序、各センサから取得された冷却水温Tw及び燃料性状Fpに対応する一の値を選択的に取得することによって、各回転速度を算出する。
尚、本実施形態に係る「算出する」とは、このように予め設定された対応関係に従って一の値を選択的に取得する態様を好適に含む概念である。
各回転速度を算出すると、ECU100は、燃料の噴射開始時期を規定する噴射開始クランク位置Cx及び噴射期間Tdを算出するために必要となる時間値ΔT1、ΔT2及びΔT3を算出する(ステップS203)。ここで、図5を参照し、各時間値について説明する。ここに、図5は、エンジン200の一動作タイミングを例示するタイミングチャートである。
図5において、上段のタイミングチャート(以下、適宜「上段チャート」と称する)には、排気行程から圧縮行程に至るエンジン200における各部の一動作タイミングが例示されており、中段のタイミングチャート(以下、適宜「中段チャート」と称する)には、そのうち排気行程及び吸気行程の夫々一部が拡大されて表されている。また、下段のタイミングチャート(以下、適宜「下段チャート」と称する)は、インジェクタ214の動作タイミングを例示するタイミングチャートとなっている。
上段チャートにおいて、エンジン200の対象気筒が、時刻T10に排気バルブ219の開弁時期を迎え、時刻T13に排気バルブ219の閉弁時期を迎えるとする。即ち、この場合、時刻T10からT13に至る期間が当該気筒の排気行程に対応する期間となる。尚、これ以降の説明において、排気バルブ219の開弁時期を規定するクランク位置を、適宜EVO(Exhaust Valve Open)と表現し、排気バルブ219の閉弁時期を規定するクランク位置を、適宜EVC(Exhaust Valve Close)と表現することとする。尚、補足すると、機関回転速度が既知である限りにおいて、「時期」と「クランク位置」とは互換性を有する。
また、上段チャートにおいて、エンジン200の対象気筒が、時刻T13に吸気バルブ218の開弁時期を迎え、時刻T16に吸気バルブ218の閉弁時期を迎えるとする。即ち、この場合、時刻T13からT16に至る期間が当該気筒の吸気行程に対応する期間となる。尚、これ以降の説明において、吸気バルブ218の開弁時期を規定するクランク位置を、適宜IVO(Intake Valve Open)と表現し、吸気バルブ218の閉弁時期を規定するクランク位置を、適宜IVC(Intake Valve Close)と表現することとする。
ここで、排気行程内において、任意のクランク位置たる代表点Cxdを設定すると、上段チャートから明らかなように、対象気筒では、時刻T11において、そのクランク位置が代表点Cxdに一致する。時間値ΔT1とは、この代表点Cxdから上記IVOまでの期間に相当する時間値であり、即ち、上段チャートにおいて、時刻T11から時刻T13に至る期間に相当する。尚、時間値ΔT1は、排気行程内で規定される時間値であり、その算出に際しては、既に算出された排気行程回転速度Rex(j)が適用される。
一方、中段チャートには、上段チャートにおけるハッチング期間が拡大表示されている。ここで、時間値ΔT2は、IVOから吸入限界クランク位置Cxlim(即ち、本発明に係る「吸入限界時期を規定するクランク位置」の一例)までの期間に相当する時間値である。吸入限界クランク位置Cxlimとは、噴射開始クランク位置Cxの増加に対する燃料の気筒内吸入効率の変化傾向が変化するクランク位置であり、別言すれば、ピストン流速が増加から減少に転じるクランク位置である。本実施形態において、吸入限界クランク位置Cxlimは、吸気TDC(Top Death Center:上死点)後90deg.に設定されている。中段チャートでは、時刻T15において吸気TDC後90deg.を迎えるため、時間値ΔT2は、時刻T13から時刻T15に至る期間に相当する時間値となっている。時間値ΔT2は、吸気行程において規定される時間値であり、その算出に際しては、既に算出された吸気行程回転速度Rin(j)が用いられる。
上段チャートに戻り、時間値ΔT3は、圧縮行程(IVCから圧縮TDCに至る期間)に相当する時間値であり、図示時刻T16から時刻T17に至る期間に相当する時間値である。時間値ΔT3は、圧縮行程において規定される時間値であり、その算出に際しては、既に算出された圧縮行程回転速度Rcp(j)が用いられる。
一旦、図3に戻り、時間値ΔT1、ΔT2及びΔT3を算出すると、ECU100は、更に時間値ΔTendを算出する(ステップS204)。ここで、再び図5を参照すると、時間値ΔTendは、中段チャートにおいて、IVOから噴射限界クランク位置Cxeまでの期間に相当する時間値である。ここで、噴射限界クランク位置Cxeとは、吸入限界クランク位置Cxlimにおいて燃料の吸入を終了させるために必要となる噴射開始クランク位置Cxの限界値であり、吸入限界クランク位置Cxlimに相当する時刻から噴霧飛行時間ΔTfを差し引いた時刻に相当するクランク位置である。
ここで、噴霧飛行時間ΔTfは、エンジン200の物理構造(例えば、インジェクタ214の燃料噴射弁の位置から吸気バルブまでの距離や、吸気ポートの形状等)に応じて定まる値であり、本実施形態では、各気筒について共通の値として、予めROMに格納されている。但し、噴霧飛行時間ΔTfは、例えば気筒毎に可変な値であってもよい。いずれにせよECU100は、先に算出された時間値ΔT2から噴霧飛行時間ΔTfを差し引くことによって、時間値ΔTendを算出する。
再び図3に戻り、ECU100は、始動一サイクル目の基本噴射期間Mbaseを決定する(ステップS205)。始動一サイクル目の基本噴射期間Mbaseは、基本値Mbase’と蒸発期間係数keとにより既定される下記関係式(a)として表される。
Mbase=Mbase’×ke・・・(a)
ここで、基本値Mbase’は、機関回転速度Neがある基準値(基準回転速度)を採る場合において、冷却水温度Tw及び燃料性状Fpに応じて定まる可変値であり、係る基準回転速度において、少なくとも失火を招かない範囲で最小となる値に設定されている。基本値Mbase’は、予めROMに基本値マップとして格納されている。
ここで、図6を参照し、基本値マップの詳細について説明する。ここに、図6は、基本値Mbase’と冷却水温度Tw及び燃料性状Fpとの対応関係を例示する模式図である。
図6において、基本噴射期間Mbaseの基本値Mbase’は、冷却水温Twに対し、冷却水温Twの高低が夫々小大に対応する定性的傾向を有する一の特性線として表される。即ち、冷却水温Twが低い程、燃料の気化効率が低下するため、基本値は増加される。また、係る特性線は、燃料性状Fpに応じて複数規定され、図6では、Prf_fx(x=1,2,3)の三本の特性線が代表的に表されている(無論、実際には、より多くの特性線を描くことができる)。即ち、基本値Mbase’は、燃料性状Fpの高低が夫々大小に対応している。即ち、燃料性状Fpが大きい程、燃料が重質となり気化し難くなるため、基本値Mbase’は多く設定される。基本値マップには、予め図6に示される対応関係が数値化されて格納されている。
一方、蒸発期間係数keとは、吸気ポート213における蒸発期間の大小に応じて定まる係数であり、先に算出された時間値ΔT1が、代表点CxdからIVOまでの期間に相当する時間値、即ち蒸発期間を好適に表し得る指標値であることに鑑み、時間値ΔT1に応じて定まる可変値である。
ここで、図7を参照し、時間値ΔT1と蒸発期間係数keとの関係について説明する。ここに、図7は、時間値ΔT1に対する蒸発期間係数keの特性を例示する模式図である。
図7において、蒸発期間係数keは、時間値ΔT1の小大が、夫々小大にリニアに対応する指標値である。即ち、冷間始動時の特徴的傾向として、時間値ΔT1が大きい(即ち、排気行程回転速度Rexが低い)程、インジェクタ214から噴射された燃料が吸気ポート213に滞留する時間が長くなり、その蒸発が阻害され(例えば、吸気ポート213に付着する割合が増加する)ため、噴射量を増加させる必要が生じるのである。ECU100のROMには、予め図7に例示する特性を数値化してなる蒸発期間係数マップが格納されている。尚、蒸発期間係数keは、時間値ΔT1が基準値ΔT1thである場合に「1」となる。ここで、上記関係式(a)に鑑みれば、蒸発期間係数keが「1」である場合には、基本噴射期間Mbaseが基本値Mbase’に等しくなる。即ち、時間値ΔT1thは、排気行程回転速度Rexが任意の基準値を採る場合における時間値ΔT1である。
図3に戻り、ステップS205において、ECU100は、その時点の冷却水温Tw及び燃料性状Fpに対応する一の値を選択的に取得することにより、基本噴射期間Mbaseの基本値Mbase’を設定すると共に、時間値ΔT1に応じて蒸発期間係数マップから選択的に取得される蒸発期間係数keを用いて上記関係式(a)に相当する演算処理を実行することにより、基本噴射期間Mbaseを算出する。
次に、ECU100は、代表点噴射期間Mdを算出する(ステップS206)。ここで、代表点噴射期間Mdとは、先に述べた代表点Cxdにおいて要求される燃料の噴射期間であり、下記関係式(b)として表される。
Md=Mbase×kc・・・(b)
ここで、kcは、圧縮行程において生じるエンジン200の冷却損失の影響を補正する冷却損失係数である。エンジン200の冷却損失は、圧縮行程の長さに応じて変化するため、冷却損失係数kcは、先に算出された時間値ΔT3の関数となる。
ここで、図8を参照し、時間値ΔT3と冷却損失係数kcとの関係について説明する。ここに、図8は、時間値ΔT3に対する冷却損失係数kcの特性を例示する模式図である。
図8において、冷却損失係数kcは、時間値ΔT3の小大が、夫々小大にリニアに対応する指標値である。即ち、圧縮行程が長い(即ち、圧縮行程回転速度Rcpが低い)程、冷却損失が増大し、燃料の噴射期間を長く(即ち、噴射量を増大させる)必要が生じるのである。ECU100のROMには、予め図8に例示する特性を数値化してなる冷却損失係数マップが格納されている。
尚、冷却損失係数kcは、時間値ΔT3が基準値ΔT3thである場合に「1」となる。ここで、上記関係式(b)に鑑みれば、冷却損失係数kcが「1」である場合には、代表点噴射期間Mdは基本噴射期間Mbaseに等しくなる。即ち、時間値ΔT3thは、圧縮行程回転速度Rcpが、代表点噴射期間Mdを基本噴射期間Mbaseに設定すべき旨の値の基準値を採る場合における時間値ΔT3である。
図3に戻り、ステップS206においてECU100は、先に算出された基本噴射期間Mbaseに、時間値ΔT3に応じて冷却損失係数マップから選択的に取得される冷却損失係数kcを用いて上記関係式(b)に相当する演算処理を実行することにより、代表点噴射期間Mdを算出する。
ステップS206において代表点噴射期間Mdを算出すると、ECU100は、噴射開始クランク位置Cxと噴射期間Tdとの対応関係(後述する)を規定する比例係数a(a<0)を設定する(ステップS207)。ここで、比例係数aは、先に算出された時間値ΔT2と相関する指標値である。ここで、図9を参照し、時間値ΔT2と比例係数aとの関係について説明する。ここに、図9は、時間値ΔT2に対する比例係数aの特性を例示する模式図である。
図9において、比例係数aは負値を採り、且つ時間値ΔT2の小大が、夫々大小にリニアに対応する指標値である。ECU100のROMには、予め図9に例示する特性を数値化してなる比例定数マップが格納されている。
図3に戻り、ステップS207において、ECU100は、先に算出された時間値ΔT2に応じて比例定数マップから比例係数aを選択的に取得する。比例係数aの設定が終了すると、ECU100は、係る比例係数aと、先に算出された代表点噴射期間Mdとに基づいて、噴射開始クランク位置Cxと噴射期間Tdとの対応関係を規定する下記関係式(1)を構築する(ステップS208)。
Td=a×Cx+b・・・(1)
ここで、関係式(1)を補足すると、比例係数aは負値をとるため、噴射期間Tdは噴射開始クランク位置Cxに対し減少関数となる(より具体的には、EVOから先に述べた噴射限界クランク位置Cxeまでの期間について減少関数となる)。この際、吸気行程に要する時間が長い(即ち、吸気行程回転速度Rinが低い)程、気筒内に効率的に燃料を吸入することができるため、必要とされる燃料量は減少する。従って、時間値ΔT2が大きい程、比例係数aは小さく設定されるのである。
ここで、図10を参照し、係る関係式(1)を視覚的に説明する。ここに、図10は、噴射開始クランク位置Cxと噴射期間Tdとの対応関係を例示する模式図である。
図10において、縦軸及び横軸に夫々噴射期間Td及び噴射開始クランク位置Cxが表されており、噴射開始クランク位置Cxの原点(Cx=0)がIVOに設定されている。このような座標平面において、上記関係式(1)により規定される噴射期間Tdの特性は、噴射開始クランク位置Cxに対し減少関数(傾きが、即ち比例係数aである)となる図示PRF_Td1として表される。また、上記関係式(1)における定数bは、係るPRF_Td1の縦軸側の切片に相当する。図示の通り、EVOから噴射限界クランク位置Cxe(不図示)までの期間については、噴射開始クランク位置Cxが遅角側に移動する程、噴射量は少なくて済むことになる。
関係式(1)が構築されることによって、冷間始動時において、EVOから噴射限界クランク位置Cxeの間で設定される任意の噴射開始クランク位置Cxに対し、PRF_Td1上で噴射期間Tdが設定される限り(逆であってもよい)、最適量の燃料を噴射することが可能となる。例えば、燃料の噴射量を可及的に抑制する、或いはエミッションの悪化を可及的に抑制する(必ずしも、燃料の噴射量が少ない程エミッションが向上するとは限らない)等、エンジン200毎に、仕様、仕向け又は要求性能等に応じて定まる要求に適合するように、或いはその都度個別具体的に定まる要求に適合するように、燃料の噴射特性を最適化することが可能となるのである。
尚、本実施形態では、係る関係式(1)を用いて、燃料の消費量を最小化し得る噴射開始クランク位置Csと、それに対応する噴射量Tdが設定されるものとする。
図3に戻り、ECU100は、ステップS208において構築された関係式(1)を時間値ΔTsと噴射量Tdとの関係式(2)に変換する(ステップS209)。
Td=a’×ΔTs+b・・・(2)
ここで、時間値ΔTsとは、噴射開始クランク位置Cxの目標値(即ち、ここではCsである)からIVOに至る期間に相当する時間値である。
ここで、図11を参照し、関係式(2)を視覚的に説明する。ここに、図11は、時間値ΔTsと噴射期間Tdとの対応関係を例示する模式図である。尚、同図において、図10と重複する箇所には、同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図11において、縦軸及び横軸に夫々噴射期間Td及び時間値ΔTsが表されており、時間値ΔTsの原点(ΔTs=0)は、時間値ΔTsの定義に鑑みれば必然的にIVOである。このような座標平面において、上記関係式(2)により規定される噴射期間Tdの特性は、時間値ΔTsに対し増加関数となる図示PRF_Td2として表される。また、図10において、噴射開始クランク位置Cxの原点がIVOであるため、図11に係るPRF_Td2の縦軸側の切片は、図10と同様にbである。
図3に戻り、ECU100は、下記関係式(3)を満たす時間値ΔTsを算出する(ステップS210)。即ち、ECU100は、上記関係式(2)及び下記関係式(3)から導出される下記関係式(4)を満たす時間値ΔTsを算出する。
Td−ΔTs=Tend・・・(3)
ΔTs=(Tend−b)/(a’+1)・・・(4)
次に、ECU100は、ステップS210で算出された時間値ΔTsを噴射開始クランク位置Csに変換する(ステップS211)。
ここで、図5を再び参照すると、噴射開始クランク位置Cs、時間値ΔTs及び時間値ΔTend相互間の関係は、図示の通りとなる。噴射開始クランク位置Csに相当する時刻をT12とすれば、時間値ΔTsは時刻T12から時刻T13に至る期間に相当する時間である。
図3に戻り、噴射開始クランク位置Csが算出されると、ECU100は、算出された噴射開始クランク位置Csを上記関係式(1)に代入し、噴射開始クランク位置Csに対応する噴射期間Td(尚、便宜的にTdsとする)を算出する(ステップS212)。ステップS211及びステップS212により、燃料噴射量を最小化し得る噴射開始クランク位置Cs及び噴射期間Tdsが定まると、ECU100は、噴射開始クランク位置Cs及び噴射期間Tdsとして、インジェクタ214を駆動制御し、対象気筒について燃料の噴射制御を実行する(ステップS213)。
尚、ステップS202からステップS213に至るステップは、爆発順序に従って、エンジン200に備わる全気筒について一回ずつ(即ち、始動後一サイクルの噴射特性を決定する処理であるため)ループ処理として実行される。全ての気筒201に対し、始動初期の噴射制御が実行されると、冷間時の噴射処理は終了する。
以上、説明したように、本実施形態に係る冷間時の始動処理によれば、各気筒について、始動初期の排気行程回転速度Rex、吸気行程回転速度Rin及び圧縮行程回転速度Rcpが、爆発順序(即ち、過去の機関回転速度の変化態様を規定する)並びに冷却水温Tw及び燃料性状Fpを含む始動条件から推定され、このように精細に推定される各回転速度に基づいて算出される各種時間値ΔT1、ΔT2及びΔT3に基づいて、噴射開始クランク位置Cxと噴射期間Tdとの対応関係を表す関係式(1)が構築される。
この際、この構築された関係式(1)を満たすように噴射開始クランク位置Cx又は噴射期間Tdを設定することにより、他方の要素は一義的に定まり、始動一サイクル目における燃料の噴射特性を最適化することが可能となる。即ち、冷間始動時において燃料の噴射開始時期及び噴射期間を最適化することが可能となるのである。
尚、本実施形態では、時間値ΔTendを用いて、噴射限界クランク位置Cxeにおいて燃料の噴射が終了するように噴射開始クランク位置Csを算出することにより、燃料消費量の最小化が図られているが、このような制御態様は一例に過ぎず、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、始動初期のエミッション量を可及的に抑制し得る噴射開始クランク位置Cx又は噴射期間Tdを特定可能である場合等において、係るエミッション量を勘案した噴射開始クランク位置及び噴射期間に基づいた噴射制御がなされてもよい。
即ち、関係式(1)が構築され、関係式(1)に基づいて(即ち、関係式(1)より導出され得る各種の形態を伴う関係式に従って)噴射開始クランク位置及び噴射期間が決定される限りにおいて、少なくとも噴射開始クランク位置と噴射期間との関係は最適化されるのである。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の噴射制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の一実施形態に係るエンジンシステムの模式図である。 図1のエンジンシステムにおいてECUが実行する始動時噴射制御のフローチャートである。 図2の始動時噴射制御において選択的に実行される冷間時の始動処理のフローチャートである。 始動時におけるエンジンの機関回転速度Neの一変化特性を表す模式図である。 エンジンの一動作タイミングを例示するタイミングチャートである。 図3の処理に係り、燃料の基本噴射期間Mbaseの基本値Mbase’と冷却水温度Tw及び燃料性状Fpとの対応関係を例示する模式図である。 図3の処理に係り、時間値ΔT1に対する蒸発期間係数keの特性を例示する模式図である。 図3の処理に係り、時間値ΔT3に対する冷却損失係数kcの特性を例示する模式図である。 図3の処理に係り、時間値ΔT2に対する比例係数aの特性を例示する模式図である。 噴射開始クランク位置Cxと噴射期間Tdとの対応関係を例示する模式図である。 時間値ΔTsと噴射期間Tdとの対応関係を例示する模式図である。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、202…点火装置、213…吸気ポート、214…インジェクタ、218…吸気バルブ、217…燃料性状センサ、224…水温センサ。

Claims (8)

  1. 気筒に連通する吸気ポートに燃料を噴射可能な噴射手段を備えた内燃機関の噴射制御装置であって、
    冷間時において、前記気筒毎に、前記内燃機関における少なくとも冷却水温度を含む所定種類の始動条件に対応する、前記内燃機関の始動初期の排気行程における機関回転速度たる排気行程回転速度及び該排気行程と時系列上相前後する吸気行程における機関回転速度たる吸気行程回転速度を推定する推定手段と、
    前記気筒毎に、(i)前記推定された吸気行程回転速度に基づいて前記吸気行程回転速度の高低が夫々大小に対応する係数a(a<0)を設定し、且つ(ii)前記推定された排気行程回転速度に基づいて、前記排気行程内で任意に設定される前記燃料の噴射開始時期に相当するクランク位置たる噴射開始クランク位置Cxの代表点Cxdにおいて要求される前記噴射期間であり、前記排気行程回転速度の高低が夫々小大に対応する代表点噴射期間Mdを設定する設定手段と、
    前記気筒毎に、前記設定された係数a及び代表点噴射期間Mdにより構築される、前記噴射開始クランク位置Cxと該噴射開始クランク位置Cxにおいて要求される前記燃料の噴射期間たる噴射期間Tdとの対応関係を表す下記関係式(1)に基づいて、前記始動初期における一の前記噴射開始クランク位置Cx及び前記噴射期間Tdを決定する決定手段と、
    (1)Td=a×Cx+b
    前記気筒毎に、前記始動初期における前記噴射開始クランク位置Cx及び噴射期間Tdが、夫々前記決定された噴射開始クランク位置Cx及び噴射期間Tdとなるように前記噴射手段を制御する制御手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関の噴射制御装置。
  2. 前記設定手段は、
    前記推定された排気行程回転速度に基づいて、前記代表点Cxdから前記吸気行程の開始時期を規定するクランク位置までの期間に相当する時間値ΔT1を推定すると共に、該推定された時間値ΔT1と、前記始動条件に応じて決定される前記噴射期間Tdの基準を表す基本噴射期間Mbaseの基本値とに基づいて前記代表点噴射期間Mdを設定し、
    前記推定された吸気行程回転速度に基づいて、前記吸気行程の開始時期を規定するクランク位置から前記噴射された燃料の吸入を終了すべき限界時期を表す吸入限界時期を規定するクランク位置までの期間に相当する時間値ΔT2を推定すると共に、該推定された時間値ΔT2に応じて前記係数aを設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の噴射制御装置。
  3. 前記推定手段は、前記吸気行程と時系列上相前後する、前記始動初期の圧縮行程における前記機関回転速度たる圧縮行程回転速度を更に推定し、
    前記設定手段は、前記推定された圧縮行程回転速度の高低が夫々前記代表点噴射期間Mdの小大に対応するように前記代表点噴射期間Mdを設定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の噴射制御装置。
  4. 前記決定手段は、前記関係式(1)に基づいて、遅くとも前記噴射された燃料の吸入を終了すべき限界時期を表す吸入限界時期を規定するクランク位置において前記噴射された燃料の吸入が終了するように前記噴射開始時期Cx及び前記噴射期間Tdを決定する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関の噴射制御装置。
  5. 前記決定手段は、前記関係式(1)に基づいて、前記吸入限界時期を規定するクランク位置において前記噴射された燃料の吸入が終了するように前記噴射開始時期Cx及び噴射期間Tdを決定する。
    ことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の噴射制御装置。
  6. 前記始動初期とは、前記燃料が最初に噴射される行程を含む前記内燃機関の一動作サイクルに相当する期間である
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関の噴射制御装置。
  7. 前記始動条件は、前記燃料に係る燃料性状を含む
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関の噴射制御装置。
  8. 前記内燃機関は、前記気筒を複数備え、
    前記推定手段は、前記複数の気筒の各々について、前記複数の気筒間で設定される爆発順序に基づいて、前記吸気行程回転速度及び排気行程回転速度を推定する
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の内燃機関の噴射制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018204556A (ja) * 2017-06-06 2018-12-27 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
CN114704401A (zh) * 2022-03-17 2022-07-05 潍柴动力股份有限公司 发动机油量控制方法、装置、电子设备、程序及车辆

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