JP2009256898A - 耐震補強体 - Google Patents

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【課題】本発明は柱と梁の隅部に装着して使用する耐震補強体に関する。
【解決手段】揺動変形可能な結合体で結合されている横枠体2と縦枠3体の間には弾性体10が装着されていて、弾性体10は軟質体と硬質体で構成され、硬質体は軟質体を複数に区分し、横枠体2と縦枠体3は軟質体で結合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、柱と梁の隅部に装着して使用する耐震補強体に関する。
従来、地震が多い我が国では、建築物等に地震対策が施してあり、柱と梁で組み立てた木造建物等の補強として、例えば、隅部と隅部に筋交いが取り付けてある。この筋交いで補強された建物は、小さな地震によって揺れたときには、元の状態に戻るが、大きな揺れになって、柱が傾斜したときでも復元する耐震補強体が、特開2002−294859号公報に開示してある。
この公報に開示の耐震補強体は、柱と梁の隅部に装着するものである。そして、この耐震補強体は、横枠体と縦枠体の間に軟質と硬質の弾性体が装着されていて、軟質の弾性体は複数の硬質の弾性体で区分されていて、横枠体と縦枠体は軟質体で結合されている。
この耐震補強体は、地震により揺れる柱の傾斜状態を元の状態にする作用がある。
特開2002−294859号公報
しかしながら、前記耐震補強体は、縦枠体と横枠体が揺れにより、直角より広く、或いは、直角より小さな角度になると、縦枠体と横枠体が剛結合であるため、一旦、縦枠体(又は横枠体)が変形すると、弾性体の復元力では元の状態に戻らないことがある。
そこで、発明者は、種々の実験を試み、弾性体の弾性力(復元力)と縦枠体及び横枠体の変形状態を考慮して、元の状態に復元可能な構造を提供するものである。
請求項1の耐震補強体は、隅部で接合の横枠体と縦枠体の間には弾性体が装着されていて、前記横枠体と縦枠体は揺動変形可能な結合体で結合されている。
そして、弾性体は軟質体と硬質体で構成され、前記硬質体は軟質体を複数に区分するために適宜の間隔で配列され、前記横枠体と縦枠体は軟質体で結合されている。
又、請求項2の耐震補強体における揺動変形可能な結合体で結合されている横枠体と縦枠体は僅かに隙間がある位置に配置され、横枠体の端部は中心を挟んで上下にR状に切削してある。又、縦枠体に横枠体と平行で、且つ、基礎板材の裏面部と横枠体の表面とを僅かな離間距離で基礎板材が設けられている。
そして、この基礎板材に穿設の基礎ボルト孔と横枠体に穿設の前記基礎ボルト孔に対応の横ボルト孔にボルトを装着してあるので、横枠体と縦枠体は揺動変形可能である。
本願発明の耐震補強体は、弾性体の伸縮がより有効であると共に、縦枠体又は横枠体が変形しても、弾性体の復元力で元の状態に戻ることができる。
本発明の耐震補強体の一実施の形態を、正面図(図1(A))、A〜A断面図(図1(B))を参照して説明する。
耐震補強体1は、柱と梁の交差部(隅部)等で使用するもので、横枠体2と縦枠体3は、柱や梁の幅より狭い金属板等であり、それぞれ別体の板材で結合してある。
この結合方式は、横枠体2より薄い横結合板2aをボルト等で固定すると共に、縦枠体3より薄い縦結合板3aをボルト14等で固定する。又、横枠体2の端部は、傾斜状に形成してある。そして、前記横結合板2aと縦結合板3aを蝶番15で結合することによって、直角より大きな角度、或いは、直角より狭い角度になる揺動変形可能な結合体である。
この様に、横結合板2aと縦結合板3aで構成の連結体で連結することによって、横枠体2と縦枠体3が蝶番15を介して揺動変形するので、横枠体2と縦枠体3を直接、剛結合した状態とは異なって、後述の弾性体10の復元力によって元の状態に戻ることができる。
又、前記の結合方式は、横結合板2aと縦結合板3aの2枚の板を蝶番15で連結して揺動可能に構成するものであるが、1枚の板をほぼ直角に曲折すると共に、その交点をR状に形成し、この1枚の結合板を横枠体2と縦枠体3に固定して、揺動変形(実際には、1枚の板による弾性変形)可能な結合体としてもよい。
このR状に曲折した1枚板の結合体の変形は、弾性体の反力作用によって、横枠体2と縦枠体3を元の状態に戻すことができる。
以上の構成により、この耐震補強体は、特開2002−294859号公報に開示した剛結合の耐震補強体とは異なって、横結合板2aと縦結合板3aの結合体の変形は弾性体の反作用により、元の状態に戻すことができる。
又、前記横枠体2と縦枠体3の他の結合体について図2を参照して説明する。
横枠体2は、縦枠体3と僅かな隙間17を有しており、横枠体2は中心を挟んで上下においてR状の切削部18が形成してあり、横枠体2の揺動(上下動)が可能になっている。
又、縦枠体3には、横枠体2と平行に基礎板材20が、前記基礎板材20の裏面部が横枠体2の表面から2mm程度の隙間21を有する位置に熔接してあると共に、この基礎板材20には基礎ボルト孔22が穿設してある。
一方、横枠体2には、前記基礎ボルト孔22に対応して、ネジ切りの横ボルト孔23が穿設してある。
そして、前記横枠体2と縦枠体3の結合は、前記基礎ボルト孔22と横ボルト孔23にボルト25でネジ止めで結合すると、前記基礎板材20の裏面部と横枠体2の表面とが2mm程度の隙間21を有する位置で結合され、弾性変形可能な結合体である。
従って、前記横枠体2と縦枠体3が地震の振動によって変形し、即ち、直角より開いたとき、或いは、直角より狭まったとしても、基礎板材20の裏面部と横枠体2の表面との間の2mm程度の隙間21によって、揺動変形できると共に、後述の弾性体10の復元力の作用によって、元の状態に戻ることができる。
以上のように、本願の耐震補強体は、横枠体2と縦枠体3が直角より大きな角度に開いたり、或いは、直角より小さな角度になる揺動変形は、弾性体10の反力作用により、元の状態に戻すことができる。
次に、前記横枠体2と縦枠体3の間に装着の弾性体について説明する。
横枠体2と縦枠体3の間には、隅部7と後述の弾性体10との間に空間8を形成して、且つ、傾斜状に弾性体10が装着してある。又、この弾性体10は、軟質体6内に硬質体5を適宜の間隔に配置して形成してある。
尚、前記硬質体5の配置間隔は、硬質体5と硬質体5の間に装着する軟質体6の厚み(L1)がほぼ同じになるように、即ち、軟質体6の伸縮が均等配分可能に、隅部7に向かって配置するのが望ましいが、使用用途によって、その間隔、その方向、及び配置する本数を適宜選定し、更には、硬質体5の形状についても平板の他、曲面状、曲折状等を適宜選定する。
又、前記空間8の大きさは、横枠体2と縦枠体3が接近しても、弾性体10が円滑に縮むことが可能な大きさである。
尚、硬質体5としては、金属、セラミックス、プラスチックス、FRP、ポリウレタン、木材等を使用できる。
又、前記軟質体6に用いられる材料には、熱可塑性ゴム、ウレタンゴム、各種の加硫ゴム、未加流ゴム、微架橋ゴム、プラスチック等の有機材料、これらの混合材を用いる。
次に、前記耐震補強体1の製作方法について、図3を参照して説明する。
(1)金属製の板材(幅:55mm、厚さ:16mm)を用いて、ビス孔4を穿設すると共に、横枠体2(長さ:240mm)2と縦枠体3(長さ:240mm)3を作成する。
そして、これらの横枠体2と縦枠体3で構成の結合体を用いて結合する。
尚、横枠体2と縦枠体3の結合部(隅部)7は、直角に形成しても、R状に形成してもよい。
(2)硬質体5は、幅(L3):35mm、厚み:2.3mmの金属板を、両端の軟質体6の幅L2が6〜10mmになり、且つ、隅部方向に向けた長さに切断したものを、6本(5a〜5f)準備する。
(3)又、上金型100aと下金型100bは、2個の耐震補強体1が作成可能であり、上金型100aと下金型100bの底板には、外枠101内に、空間8に対応する空間体102、耐震補強体1、1を区分する仕切体103が一体で構成してある。
(4)そして、図3(C)に示すように、軟質体6は、硬質体5(5a〜5f)で区分形成のブロック体6a〜6gを作成しておく。尚、これらのブロック体6a〜6gの高さは、完成される軟質体6の高さより高く形成してある。
(5)以上の準備の基に、下金型100bに、先ず、横枠体2、2と縦枠体3、3を挿入する。
(6)次に、ブロック体6aに接着剤9を塗布し、横枠体2に沿わせて挿入する。そして、その後、硬質体5(5a)の両面に接着剤9を塗布して、位置を合わせて挿入する。
その後、順次、ブロック体6b、両面に接着剤9を塗布した硬質体5(5b)、...のように、交互に挿入する。
(7)そして、上金型100aを被せて、上金型100aを押圧しながら加流処理を行う。この上金型100aで押圧することによって、完成される軟質体6の高さより高い軟質体6は、押し潰されて、横枠体2と縦枠体3と硬質体5に密着されると共に、硬質体5は軟質体6に埋もれた状態に形成される。
(8)加流処理が終了した後に、上金型100aを取り外して、製品の耐震補強体1、1を取り出す。
次に、前記工程で製作された耐震補強体1は、図4に示す木造建築物において、適宜選定された柱20と梁21の交差部(隅部)22で、横枠体2と縦枠体3をビスで固定して使用する。
地震等が生じると、柱20や梁21は揺れが生じるが、耐震補強体1は、その揺れに対応して弾性体10(軟質体6)が伸縮し、柱等が傾斜しても元の状態に戻すことができる。特に、横枠体2と縦枠体3が直角より大きな角度になったり、直角より小さな角度になっても、剛結合ではない結合体によって、その変形は弾性体10の反力によって、横枠体2と縦枠体3を元の直角状に戻すことができる。
尚、弾性体10は、硬質体5によって、ほぼ均等な幅の軟質体6のブロック体6a〜6gに形成してあるので、弾性体10の全体の伸縮は、各軟質体のブロック体6a〜6gに生ずる、ほぼ同じ伸縮量の総和となる。
即ち、弾性体10に生ずる伸縮量は、独立して、ほぼ均等にブロック体6a〜6gに配分されるので、軟質体6の伸縮を有効に利用できる。
又、横枠体2と縦枠体3の隅部に空間8が形成してあるので、弾性体10が圧縮されても、圧縮された弾性体10は、その空間8に逃げることができ、横枠体2と縦枠体3に押圧力として作用しない効果を奏する。
以上のように、前記構成の耐震補強体1は、軟質体2と硬質体3を交互に配置する簡便な構成で、地震等によって、梁や柱が傾斜しても、弾性体10の伸縮力によって、もとの状態に戻すことができる。
尚、横枠体2と縦枠体3の角度、幅、長さ等、軟質体6の材質や硬質体5の本数等は使用する箇所によって適宜選定し、前記実施例に限定されない。
(A)は耐震補強体の正面図、(B)はA〜A断面図である。 他の結合体による図1のA〜A断面図に相当する断面図である。 (A)は上金型と下金型の全体図、(B)は下金型の平面図、(C)は軟質体のブロックと硬質体の全体図、(D)は下金型に軟質体のブロックと硬質体を挿入した平面図である。 耐震補強体の使用例である。
符号の説明
1 耐震補強体
2 横枠体
3 縦枠体
5 硬質体
6 軟質体
7 隅部
8 空間
10 弾性体
15 蝶番
17 隙間
18 切削部
20 基礎板材
21 隙間
22 基礎ボルト孔
23 横ボルト孔
25 ボルト

Claims (2)

  1. 隅部で接合の横枠体と縦枠体の間には弾性体が装着され、
    前記横枠体と縦枠体は揺動変形可能な結合体で結合され、
    前記弾性体は軟質体と硬質体で構成され、前記硬質体は軟質体を複数に区分するために適宜の間隔で配列され、前記横枠体と縦枠体は軟質体で結合されていることを特徴とする耐震補強体。
  2. 請求項1の耐震補強体における揺動変形可能な結合体であって、
    横枠体と縦枠体とは僅かに隙間がある位置に配置し、横枠体の端部は中心を挟んで上下にR状に切削してあり、
    縦枠体に横枠体と平行で、且つ、基礎板材の裏面部と横枠体の表面とを僅かな離間距離で基礎板材を設け、
    この基礎板材に穿設の基礎ボルト孔と横枠体に穿設の前記基礎ボルト孔に対応の横ボルト孔にボルトを装着してなることを特徴とする耐震補強体。
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