JP2009256704A - 横吊り治具および表面処理装置並びに長尺材の表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 横吊りされた複数の長尺材を処理槽に対して上下移動させるための横吊り治具であって、水平ビームと該水平ビームに取り付けた2本の治具柱を備え、前記2本の治具柱の一つには前記複数の長尺材の一端を揃えて保持するための保持治具を有し、また他方の治具柱には前記複数の長尺材の他端を前記の一端より高い位置に保持して傾斜させて横吊りに保持するための保持治具が取り付けられてなり、前記2本の治具柱のうち少なくとも他端よりも低い位置に保持具を有する治具柱を前記水平ビームの鉛直線に対して任意の角度傾斜させる手段を備えた長尺材の横吊り治具およびこの横吊り治具を使用した表面処理装置で液切りの際に処理液が下段に保持した長尺材の上に滴下しないようにする。
【選択図】図1
Description
これら一連の処理は多数の被処理長尺材を一度に処理することが生産性の点から極めて重要である。そこで、通常多数の被処理長尺材を上下に連ねて吊り下げて処理液に浸漬させる方法が行われている。この方法に依れば、被処理長尺材が処理液から出されて乾燥炉あるいは焼付炉等の加熱炉に入るまでに、被処理長尺材は液切りされて乾燥が始まるが、上位に吊り下げられた被処理長尺材の残液が、下位に吊り下げられた被処理長尺材の乾燥箇所に垂下することがある。すると、その部分が垂痕となって仕上がり不良個所となる。この垂痕は特に加熱炉を通過すると顕著となる。前記液切り時間は10〜15分程度予定されているが、この間に液切りを行って被処理長尺材の表面をほとんど乾燥状態にすることが重要である。
この方式によれば、左右の各昇降体はそれぞれ独立した電動機により個別に駆動されるので、左右の昇降体が浸漬位置にあるときは同レベルに、液切り位置にあるときは異なるレベルに位置するので、処理時には長尺材を処理槽内に無駄が生じないように浸漬することができ、また液切り時には長尺材を傾斜させて確実に液切りすることができるので、極めて効率よく処理できるとされている。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、構造が簡単で設備コストの安い長尺材の表面処理装置及び表面処理方法を提供することを目的とする。特に、被処理長尺材を横吊り状態に吊って処理液中で表面処理を行う際に使用する横吊り治具であって、複雑な移送装置を不要とし、処理液が下段に保持されている長尺材に落下して処理液の垂痕が付きことがない長尺材を得るための横吊り治具と、該横吊り治具を使用した表面処理装置並びに表面処理方法を提供することを目的とする。
このような長尺材の横吊り治具を使用して、2本の治具柱に複数の長尺材の一端を揃えて保持し、他端を前記一端より上方位置になるようにして水平ビームの鉛直方向に対して所定角度を保つように傾斜して保持して横吊りして、横吊り治具を処理槽に対し上下移動させれば、上記課題を解決することができる。
このような長尺材の横吊り治具を使用すれば、一方の治具柱を所定角度傾斜させることにより、対向する他の治具柱も複数の長尺材を支持しながら傾斜し、複数の長尺材の傾斜角度を大きくすることができるので、垂痕の発生を防いで液切り効果を高めることができる。
このような構成をした長尺材の横吊り治具を使用すれば、長さの長い長尺材や、太い長尺材等重量のある長尺材を一度に大量に処理することが可能となる
このような傾斜角度の範囲にしておけば垂痕の発生を防止し、液切り効果も充分高く、傾倒機構に掛かる荷重負担も軽くてすむからである。
このような表面処理装置とすれば、設備も簡単で単純な操作によって長尺材を処理液に浸漬・引き上げすることが可能で、しかも処理液が下位にある長尺材に垂れる範囲が狭くなり、処理液の垂痕が付かなくなるので製品歩留まりが向上する。
この方法によれば、簡単な操作で多量の長尺材を処理液に浸漬・引き上げることができ、所定角度に傾斜させた治具柱に複数の長尺材の一端を揃えて保持し、該長尺材の他端側の治具柱に長尺材の他端を一端より高い位置に保持して傾斜しているので処理液が長尺材の下端から滴り落ち、しかも長尺材の一端は取り付けた治具柱の傾斜角度分ずれて存在することになるので下位に取り付けられた長尺材に処理液が滴下する範囲が狭くなり、垂痕に依る製品の仕上がり不良を未然に防ぐことができるようになる。
この方法によっても、簡単な操作で多量の長尺材を処理液に浸漬・引き上げることができ、所定角度に傾斜させた治具柱に複数の長尺材の一端を揃えて保持し、該長尺材の他端側の治具柱に長尺材の他端を一端より高い位置に保持して傾斜しているので処理液が長尺材の下端から滴り落ち、しかも長尺材の一端は取り付けた治具柱の傾斜角度分ずれて存在することになるので下位に取り付けられた長尺材に処理液が滴下する範囲が狭くなり、垂痕に依る製品の仕上がり不良を未然に防ぐことができるようになる。さらに、電流密度が乱されずに均一な表面処理を施すことができる。
また、処理液槽の幅を狭くできるので、設備投資を抑制し使用する処理液の量も少なくて済む利点がある。
本発明の長尺材の表面処理装置20は、処理槽5の向かい合う側壁5a、5bの上面に軌条21a,21bを敷設し、該軌条21a,21b上を走行可能な門型架台22を備え、該門型架台22の横梁24に本発明の長尺材の横吊り治具1の水平ビーム3の両端3a,3bをワイヤー25a,25bで吊り下げ、該ワイヤー25a,25bを専用の巻き取り支持部26a、26bを介して専用の電動機27により上下させて被処理長尺材2を処理槽5内の処理液8中に浸漬・引き上げするように構成されている。また、電動機27を正逆回転させることにより横吊り治具1ごと被処理長尺材2を処理槽5内の処理液8中に浸漬・引き上げできるようになっている。尚、図中9,10は保持具、23a,23bは門型架台22を構成する門柱、28a,28bは給電用軌条である。
図2は、本発明の横吊り治具の主要部構造を示す側面図である。図は横吊り治具を処理液から吊り上げて、液切りする状態を示している。
本発明の長尺材の横吊り治具1は、主として図1の水平ビーム3と該水平ビーム3に取り付けた相対向する一対の治具柱4a,4bからなっている。
長尺材2を取り付けた時に、長尺材2の右側一端部左側端部よりも低い位置関係になるように保持具10を有する一方の治具柱4bは、水平ビーム3の鉛直線に対して所定角度を保って傾斜可能に取り付けてある。図2の状態では長尺材2は保持具10に押されて保持具9に沿ってせり上がるが、図右側が図左側より低くなるように傾斜している。
図2の例では、片方の治具柱(図2の例では右側の治具柱4b)のみを動力で傾倒させ、もう一方の治具柱(図2の例では左側の治具柱)4aは、水平ビーム3に対して直角方向に向いている。
細い長尺材や比較的長さの短い長尺材等、小規模な表面処理装置とする場合は、この方式で充分実用に耐えるものとなる。
あるいは大規模な装置に対しては、もう一方の治具柱4aを連結桿18や動力によって傾斜させる構造とすることができる。
処理後の液切りを効率よく行い、垂痕の発生を防ぐには、治具柱4a、4bの傾倒角度は、6度以上で充分である。
左右の保持具9,10は、治具柱4a,4bが傾斜するときには長尺材2が斜めにずれるので、長尺材2が落下しないように、例えば保持具9は長尺材2の他端(図では左端)に挿入し、一端(図では右端)は長尺材2を挟むようにして保持する構造のものが好ましい。
また、一方の保持具(図2の例では右側の保持具10)は電解処理用の電流を供給する給電端子を兼ねた構造としておく。
治具柱4a,4bの間には、それぞれ多段の保持具9,10が取り付けてある。保持具9,10の取り付け位置は、図の左側の保持具9が他方の保持具10よりも高い位置に取り付けてあり、長尺材2を保持した際に左上がりに若干傾斜するようにしてある。傾斜角度は水平位置から3〜5度程度である。
この状態では各長尺材2の一端2aは、垂直方向にほぼ一直線に揃えて並んでいる。
この例では、片側の治具柱4bに傾倒装置7が取り付けてあり、治具柱4bを長尺材2の方向に傾けるようになっている。治具柱4bを長尺材2の方向に傾けると、長尺材2は押されて保持具9に沿ってせり上がり、治具柱4a方向に近づいて、図2に示した状態になる。
この方式は大型の表面処理装置に適する。
図5の例では片方の治具柱4b側に駆動装置7を取り付け、両方の治具柱4a,4bの上端をピン19を使用して連結桿18で連結しておく。
傾倒装置7を作動させて治具柱4bを他方の治具柱4a側に傾けると、治具柱4aも傾倒して傾斜させることができる。
図6に示すように、本発明で使用する傾倒装置6,7は、水平ビーム3に巻きつけるように箱形のフレーム11があり、該箱形のフレーム11の上には電動機又は油圧装置等からなる押出装置14が固定されている。
また、箱形のフレーム11の下端中央部11aには、回転軸12が回転可能に貫通して挿入してあり、回転軸12は治具柱4aに固定して取り付けてある。
さらに、傾倒装置6はコネクティングロッド17を介して治具柱4a上端に取り付けられたピン13に連結されている。押出装置14のコネクティングロッド17が伸びると、ピン13を介して治具柱4aが回転軸12を中心として図の矢印の方向に傾倒する。
箱形のフレーム11内に貫通している水平ビーム3は上面が円弧状をなしており、押さえねじ16により摺動可能に箱形のフレーム11の側壁に固定してある。一方、水平ビーム3の下面は、止めねじ15により箱形構造とすることにより、長尺材2のフレーム11の底板に固定してある。このような長さに合わせて治具柱4a,4bの傾きを任意に調整できるようにしてある。
図7、図9は横吊り持具に長尺材をセットした状態を横から見た図であり、図8,図10はそれぞれ 図7の線A−A’又は図9の線B−B’に沿った断面を示す。図7、図9は横吊り持具1を上に引き上げて、傾倒装置6,7により持具柱4a,4bを傾斜させた状態を示している。
長尺材2,2,2,・・・を固定具9,9,9,・・・、及び10,10,10,・・・に取り付ける場合、図8に示すように長尺材2,2,2,・・・が縦一列になるように配置しても良い。長尺材2,2,2,・・・の間隔は2cm程度あればよい。
このように長尺材を配置すれば、電解表面処理をする際に電流密度が乱されずに、均一な表面処理を施すことが出来るようになる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
このように前記中空押出形材5本を横吊りした横吊り治具1を図1に示した処理装置20に装填し、専用の巻き取り支持部で処理槽5中に浸漬して表面処理を施した。
なお、図7中矢印は処理液がしたたり落ちる方向を示している。
図10中矢印は処理液がしたたり落ちる方向を示している。
実施例1と同様の条件で表面処理及び液切り・乾燥を施した後、最上位の形材を除く各形材の垂痕を測定した。測定結果を表2に示す。
また、複雑な装置を設けなくても操作上なんら支障なく、モーター一つで能率良く作業ができることが判る。
2 長尺材、
3 水平ビーム、
4a、4b 治具柱、
5 処理槽、
6、7 傾倒装置
8 処理液、
9、10 保持具、
11 フレーム
12 回転軸
13 ピン
14 押出装置
15 止めねじ
16 押さえねじ
17 コネクティングロッド
18 連結桿
20 表面処理装置、
21a、21b 軌条、
22 門型架台、
23a、23b 門柱、
24 横梁、
25a、25b ワイヤー、
26a、26b 巻き取り支持部、
27 電動機、
28a、28b 給電用軌条、
30 液滴
Claims (7)
- 横吊された複数の長尺材を処理槽に対して上下移動させるための横吊り治具であって、水平ビームと該水平ビームに取り付けた2本の治具柱を備え、前記2本の治具柱のうち一方の治具柱には前記複数の長尺材の一端を揃えて保持するための保持治具を有し、また他方の治具柱には前記複数の長尺材の他端を前記の一端より高い位置に保持して傾斜させて横吊りに保持するための保持治具が取り付けられてなり、前記2本の治具柱のうち少なくとも一方の治具柱を、前記他方の治具柱側に任意の角度傾斜させる手段を備えてなることを特徴とする長尺材の横吊り治具。
- 前記一方の治具柱には該治具柱を前記他方の治具柱の方向に傾斜させる傾倒機構を備え、他方の治具柱は連結桿を介して前記一方の治具柱の動きに追随して同じ方向に傾斜する構造を備えたことを特徴とする請求項1記載の長尺材の横吊り治具。
- 前記2本の治具柱にそれぞれ2本の治具柱を同じ方法に傾斜させるための傾倒機構を備え、該双方の傾倒機構が長尺材を保持しながら所定の間隔を保って、互いに連動して治具柱を傾斜させるように構成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の長尺材の横吊り治具。
- 前記一方の治具柱の傾斜角度が少なくとも6度以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の長尺材の横吊り治具。
- 処理槽の向かい合う側壁の上面に軌道を敷設し、該軌道上を走行可能な門型架台を備え、該門型架台の横梁に前記請求項1から4のいずれか1項に記載の長尺材の横吊り治具の両端を門型架台に備えた上下動手段で上下させて、長尺材を処理槽内の処理液中に浸漬・引き上げするように構成してなることを特徴とする長尺材の表面処理装置。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の長尺材の横吊り治具に、複数の長尺材を縦一列に配置して取り付けて斜め横吊に保持し、次いで該長尺材を横吊り保持した横吊治具を前記請求項5に記載の長尺材の表面処理装置を使用して、処理槽の処理液内に浸漬して長尺材に表面処理を施した後、該横吊り治具を前記処理液から引き上げ、次いで請求項1から4のいずれか1項に記載の横吊り治具の傾倒機構を作動させて治具柱を傾斜させ、長尺材に付着していた処理液を液切りすることを特徴とする長尺材の表面処理方法。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の長尺材の横吊り治具に、複数の長尺材をその側面からの投影が重ならないように、かつ他端または一端からの投影が千鳥状になるように複数列配置して取り付けて斜め横吊に保持し、次いで該長尺材を横吊り保持した長尺材の横吊治具を前記請求項5に記載の長尺材の表面処理装置を使用して、処理槽の処理液内に浸漬して長尺材に表面処理を施した後、該長尺材の横吊り治具を前記処理液から引き上げ、次いで請求項1から4のいずれか1項に記載の横吊り治具の傾倒機構を作動させ、治具柱を傾斜させて長尺材に付着していた処理液を液切りすることを特徴とする長尺材の表面処理方法。
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