JP2009255642A - 車両用走行状態推定装置及びその方法、並びに車両検出のヨーレートの補正方法 - Google Patents

車両用走行状態推定装置及びその方法、並びに車両検出のヨーレートの補正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自車両が加減速しても、ヨーレートセンサが出力するヨーレート値に基づいて高い精度で自車両の走行状態を推定する。
【解決手段】走行状態推定装置は、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ3と、ヨーレートセンサ3が検出したヨーレート値をフィルタ処理するフィルタ11と、フィルタ11が出力したヨーレート値を基に、車両の走行状態を推定する走行状態推定部14と、車両の直進走行状態を判定する直進状態判定部13と、車両の加速度又は減速度の何れかを検出する前後加速度センサ4と、直進状態判定部13が車両が直進走行していると判定すると、前後加速度センサ4が検出した車両の加速度又は減速度を基に、フィルタ11の時定数を設定する時定数設定部12と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、ヨーレートを基に、車両の走行状態を推定する車両用走行状態推定装置及びその方法、並びに車両で検出したヨーレートを補正する車両検出のヨーレートの補正方法に関する。
従来より、ヨーレートセンサが検出したヨーレート及び自車速センサが検出した自車速を基に、自車両がこれから進む進路を推定する装置がある(例えば特許文献1参照)。このような従来の装置では、ヨーレート検出値のふらつきに起因した進路の推定誤差を減少するために、ヨーレートセンサが出力するヨーレート検出値に対してフィルタ処理を施すことで、ヨーレート検出値の変化に対して進路推定の変化の応答性を低下させている。
特開2004−217178号公報
ところで、自車両が加速又は減速したときに、その加減速がヨーレートセンサに外乱として入力される場合がある。このような場合に、ヨーレートセンサが出力するヨーレート検出値を基に進路推定をしても、進路推定が正確なものではなくなる。例えば、前述のような従来の装置でも、ヨーレートセンサが出力するヨーレート検出値に対して通常のフィルタ処理をすることになるだけなので、そのフィルタ処理後のヨーレート値を基に進路推定をしても、進路推定が正確なものではなくなる。
本発明の課題は、自車両が加減速しても、ヨーレートセンサが出力するヨーレート値に基づいて高い精度で自車両の走行状態を推定することである。
前記課題を解決するために、本発明は、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、前記ヨーレート検出手段が検出したヨーレート値をフィルタ処理するフィルタ手段と、前記フィルタ手段が出力したヨーレート値を基に、車両の走行状態を推定する走行状態推定手段と、を備え、車両の直進走行状態を直進走行状態判定手段により判定し、車両の加速度又は減速度の何れかを加減速度検出手段により検出し、前記直進走行状態判定手段が車両が直進走行していると判定すると、前記加減速度検出手段が検出した車両の加速度又は減速度を基に、前記フィルタ手段の時定数を時定数設定手段により設定する。
ここで、車両の走行状態には、車両自体の走行状態や車両が走行する走行路形状が含まれる。
本発明によれば、車両が直進走行していると判定すると、車両の加速度又は減速度を基に、フィルタ手段の時定数を設定することで、車両の加速度又は減速度に応じて、ヨーレート検出手段が検出したヨーレート値を最適にフィルタ処理できる。これにより、自車両が加速や減速をしても、ヨーレート検出手段が検出したヨーレート値に基づいて高い精度で車両の走行状態を推定できる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
(構成)
本実施形態は、本発明を適用した走行状態推定装置である。
図1は、本実施形態の走行状態推定装置の構成を示す。走行状態推定装置は、自車両に搭載されて使用されるものである。走行状態推定装置は、車間距離センサ1、車速センサ2、ヨーレートセンサ3、前後加速度センサ4、スロットルアクチュエータ5、ブレーキアクチュエータ6及びコントローラ10を備える。
車間距離センサ1は、レーダ装置を備え、所定周期ごとに自車両前方の所定範囲にレーザ光を送出し、先行車に反射して戻ってくる反射光を受光することにより、自車両と先行車両との車間距離を検出する。車間距離センサ1は、検出結果をコントローラ10に出力する。車速センサ2は、自車両の速度を検出する。車速センサ2は、検出結果をコントローラ10に出力する。ヨーレートセンサ3は、ヨーレート、すなわち自車両が旋回する速度を検出する。ヨーレートセンサ3は、検出結果をコントローラ10に出力する。前後加速度センサ4は、自車両の加減速度を検出する。前後加速度センサ4は、検出結果を前後加速度センサ4に出力する。
コントローラ10は、各種処理、制御等を行う。例えばソフトウェアの形態としてコントローラ10を実現する。具体的には、コントローラ10は、その処理として、車間距離センサ1が送出及び受光したレーザ光を基に、先行車両を検出するとともに、検出した先行車両に自車両が追従して自動走行するための先行車追従制御を行う。すなわち、コントローラ10は、車間距離センサ1が検出した車間距離、及び車速センサ2が検出した自車速を基に、自車両と先行車両との車間距離を一定距離に保つように、スロットルアクチュエータ5及びブレーキアクチュエータ6を制御する。コントローラ10は、スロットルアクチュエータ5の制御により、車両駆動力を制御している。また、コントローラ10は、ブレーキアクチュエータ6の制御により、車両制動力を制御する。また、コントローラ10は、ヨーレートセンサ3が検出したヨーレート、及び前後加速度センサ4が検出した加減速度を基に、自車両の走行状態を推定する。
図2は、自車両の走行状態を推定するための構成を示す。同図に示すように、コントローラ10は、そのための構成として、フィルタ11、時定数設定部12、直進状態判定部13及び走行状態推定部14を備える。
直進状態判定部13は、自車両が直進しているか否かを判定する。直進状態判定部13は、その判定結果を時定数設定部12に出力する。時定数設定部12は、直進状態判定部13の判定結果を基に、フィルタ11の時定数Tを設定する。
ここで、図3及び図4は、時定数設定部12及び直進状態判定部13の処理手順を示す。例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって演算処理を実行する。なお、演算処理によって得た情報を随時記憶装置に更新記憶すると共に、必要な情報を随時記憶装置から読み出す。以下に、この処理手順を沿って、時定数設定部12及び直進状態判定部13の処理手順をさらに詳しく説明する。
図3に示すように、先ず処理を開始すると、ステップS1において、直進状態判定部13は、自車両の直進状態を判定する。図4は、その処理手順を示す。
先ず、ステップS11において、直進状態判定部13は、ヨーレートセンサ3の出力(ヨーレート)の極性が同一極性である継続時間Tdを検出する。ヨーレートセンサ3は、右方向への旋回及び左方向への旋回に応じて、極性出力をしている。例えば、自車両が右方向に旋回している場合、正値のヨーレート値を出力し、自車両が左方向に旋回している場合、負値のヨーレート値を出力する。このようなことから、このステップS11では、ヨーレートセンサの極性(正値及び負値)を常に監視し、同一極性の継続時間(正値及び負値の何れか一方を連続して検出した時間)Tdを検出する。また、ここでいう継続時間Tdは、ヨーレートの極性の変化との関係で、自車両が直進状態であることを判定するのに適した値である。
続いてステップS12において、直進状態判定部13は、前記ステップS11で検出した継続時間Tdが所定時間T3未満であるか否かを判定する。ここで、実験値、経験値又は理論値等により所定時間T3を決定する。直進状態判定部13は、継続時間Tdが所定時間T3未満の場合(Td<T3)、ステップS13に進む。また、直進状態判定部13は、継続時間Tdが所定時間T3以上の場合(Td≧T3)、ステップS14に進む。
ステップS13では、直進状態判定部13は、自車両が直進状態であると判定し、該図4(ステップS1)の処理を終了する。また、ステップS14では、直進状態判定部13は、自車両が非直進状態(旋回状態)であると判定し、該図4(ステップS1)の処理を終了する。
図3に戻り、続いてステップS2において、直進状態判定部13又は時定数設定部12は、前記ステップS1の判定結果が直進状態を示す(前記ステップS13の結果)か否かを判定する。直進状態判定部13又は時定数設定部12は、直進状態を示す場合、ステップS3に進み、そうでない場合(非直進状態の結果の場合(前記ステップS14の結果の場合))、ステップS6に進む。
ステップS6では、時定数設定部12は、フィルタ11の時定数Tを値T1に設定する(T=T1)。ここで、値T1は、ヨーレートセンサ3が出力するヨーレートを通常のフィルタ処理をするための時定数相当である。例えば、値T1は、前記特許文献1のように、ヨーレートセンサが検出したヨーレート値のふらつきに起因した進路の推定誤差を減少するのに適した値である。そして、時定数設定部12は、該図3に示す処理を終了する。
ステップS3では、時定数設定部12は、前後加速度センサ4が検出した加減速度αが所定値A未満であり、かつ所定値−Aよりも大きいか否かを判定する。すなわち、時定数設定部12は、加減速度α(m/s2)の絶対値|α|が所定の絶対値|A|未満か否を判定する。時定数設定部12は、加減速度αの絶対値|α|が所定の絶対値|A|未満の場合(|α|<|A|)、ステップS4に進む。また、時定数設定部12は、加減速度αの絶対値|α|が所定の絶対値|A|以上の場合(|α|≧|A|)、ステップS5に進む。
ステップS5では、時定数設定部12は、フィルタ11の時定数Tを値T2に設定する(T=T2)。ここで設定する時定数Tに設定する値T2は、前記ステップS6で時定数Tに設定した値T1よりも大きい値である(T2>T1)。そして、時定数設定部12は、該図3に示す処理を終了する。
ステップS4では、時定数設定部12は、加減速度αを用いて、下記(1)式により、時定数Tを設定する。
T=T1+(T2−T1)・|α|/A ・・・(1)
そして、時定数設定部12は、該図3に示す処理を終了する。
図5は、前記図3の処理により直進状態と判定した場合に設定する時定数を示す。図5に示すように、自車両が直進状態であると判定した場合において、自車両の加減速度αの絶対値|α|が所定の絶対値|A|未満のとき、該加減速度αの絶対値|α|が0から該所定の絶対値|A|まで増加するのに応じて、時定数Tは、値T1から値T2まで線形的に増加する。ここで、値T1は、自車両が非直進状態であると判定した場合に時定数Tに設定する値である。そして、時定数Tは、自車両の加減速度αの絶対値|α|が所定の絶対値|A|以上になると、値T2となる(値T2の一定値となる)。
フィルタ11は、前述の処理により時定数設定部12が設定した時定数Tにより、ヨーレートセンサ3からのヨーレートをフィルタ処理する。フィルタ11は、フィルタ処理したヨーレートを走行状態推定部14に出力する。
走行状態推定部14は、フィルタ11がフィルタ処理を施したヨーレートを用いて、自車両の走行状態として、自車両の走行路の車線形状(走行路形状)を推定する。この場合、走行状態推定部14は、フィルタ11がフィルタ処理を施したヨーレート及び車速センサ2が検出した自車速を基に、走行車線の曲り度合を推定する。より詳しくは、走行状態推定部14は、フィルタ処理が施されたヨーレートと自車速とから走行車線の曲率半径を推定する。例えば、ヨーレートY(rad/sec)及び自車両V(m/sec)を用いて、下記(2)式により、自車両の旋回半径R(m)を推定値として算出する。
R=V/Y ・・・(2)
なお、走行状態推定部14は、フィルタ11でフィルタ処理が施されたヨーレートを用いて、公知の方法により走行車線の曲り度合を推定することもできる。そして、走行状態推定部14は、以上のように推定した走行車線の曲り度合を基に、走行車線幅等の走行車線情報を考慮して自車両の進行方向前方における、自車両が走行している走行車線の形状を推定する。走行車線情報として、たとえば図示しないナビゲーション装置、又は車両の進行方向前方を撮像するカメラから得られる情報等を用いることができる。
また、走行状態推定部14は、自車両の走行状態として、自車両自体の走行状態を判定することもできる。自車両自体の走行状態とは、具体的には、自車両の旋回状態である。この場合、走行状態推定部14は、既知の方法を用いて自車両が旋回状態にあるか否かを判定する。例えば、走行状態推定部14は、フィルタ11がフィルタ処理を施したヨーレートが所定のしきい値を上回ったとき、自車両が旋回状態にあると判定する。
(動作及び作用)
動作及び作用は次のようになる。ここでは、自車両に走行状態の推定に係る動作及び作用を説明する。
車両走行中、直進状態判定部13は、自車両が直進状態か否かを判定する。時定数設定部12は、直進状態判定部13の判定結果を基に、フィルタ11の時定数Tを設定する。そして、フィルタ11は、時定数設定部12が設定した時定数Tにより、ヨーレートセンサ3からのヨーレートをフィルタ処理する。走行状態推定部14は、そのフィルタ処理が施されたヨーレートを基に、自車両の走行状態(走行路形状等)を推定する。
ここで、時定数設定部12は、直進状態判定部13が自車両が非直進状態であると判定している場合、時定数Tを値T1(<T2)に設定している。一方、時定数設定部12は、直進状態判定部13が自車両が直進状態であると判定している場合において、自車両の加減速度αの絶対値|α|が所定の絶対値|A|未満のときには、該加減速度αに応じて、時定数Tしている。具体的には、時定数設定部12は、加減速度αの絶対値|α|が0から該所定の絶対値|A|まで増加するのに応じて、時定数Tを値T1から値T2まで線形的に増加させる設定をしている。そして、時定数設定部12は、直進状態判定部13が自車両が直進状態であると判定している場合において、自車両の加減速度αの絶対値|α|が所定の絶対値|A|以上になると、時定数Tを値T2に設定している。
このようなことから、フィルタ11では、直進状態判定部13が自車両が直進状態であると判定している場合には、時定数Tが通常値(値T1)よりも大きい値に設定されるため、立ち上がりを抑え又は振動(振れ)を抑える等して、ノイズを除去したヨーレートを出力する。このとき、加減速度|α|が大きくなるほど時定数Tが大きくなるので(|α|≧|A|で最大値T2を限度に設定)、フィルタ11は、加減速度|α|が大きくなるほど、より強くノイズ除去したヨーレートを出力する。そして、走行状態推定部14では、そのように自車両が加減速している場合には、該加減速度に応じてノイズ除去されたヨーレートを基に、車線形状や自車両の旋回状態を推定している。
ここで、自車両が加減速したときに、その加減速度がヨーレートセンサに外乱として入力される場合がある。よって、そのまま、ヨーレートセンサが出力したヨーレートを基に、自車両の走行状態(走行路形状等)を推定してしまうと、推定した自車両の走行状態は精度が低いものとなる。例えば、自車両の加減速に起因して走行路形状がカーブ路であると誤推定してしまうと、隣接車線を走行していた車両が、そのような誤推定による走行路形状の変化との関係から、自車両の前方に割り込んできたと誤検出してしまうことになる。この場合、走行制御として、不用意に制動制御等を行ってしまうことになる。
これに対して、本実施形態では、ヨーレートセンサ3と走行状態推定部14との間にフィルタ11を備えている。さらに、そのフィルタ11の時定数を自車両の加減速度に応じて設定(加減速度が大きくなるほど時定数を大きく設定)している。これにより、フィルタ11は、加減速度に応じてヨーレートセンサ3の出力の振れ幅が大きくなっても、それに適合してそのノイズの振れを抑制できる。これにより、走行状態推定部14では、自車両が加減速している場合に載ってしまうノイズが除去されたヨーレートを基に、自車両の走行状態を推定することができる。よって、前述のように、隣接車線を走行していた車両が、自車両の前方に割り込んできたと誤検出してしまうことも防止でき、不用意に制動制御等を行ってしまうことを防止できる。
一方、直進状態判定部13が自車両が非直進状態(旋回状態)であると判定している場合には、時定数Tを通常値としての値T1に設定している。これにより、走行状態推定部14に入力されるヨーレートは、自車両が非直進状態であると判定した場合の応答性が、遅い状態から早い状態に戻る(通常の応答特性となる)。これにより、走行状態推定部14では、ヨーレートセンサ3の出力特性により近いヨーレートを基に、自車両の走行状態を推定することができる。このとき、フィルタ11の時定数Tをヨーレートセンサ3が検出したヨーレートのふらつきに起因した進路の推定誤差を減少するのに適した値に設定しているのであれば、走行状態推定部14は、実際に走行しているカーブ路の形状を高い精度で推定できる。
ここで、図6は、フィルタ処理後のヨーレートを用いて推定した自車線を示す図であり、異なるフィルタ特性に応じて、2つの自車線を示している。車線102は、フィルタ処理の特性を高めた場合(時定数が大きい場合)の推定車線を示しており、車線101は、フィルタ処理の特性を低くした場合(時定数が小さい場合)の推定車線を示している。同図に示すように、フィルタ処理の特性を高めると、ヨーレートの変化に対して、推定する自車線がさらに緩やかに変化する。すなわち、フィルタ処理の特性を高めることは、ヨーレートセンサ3が出力するヨーレートの変化に対する推定車線の変化の応答性を低くすることを意味し、フィルタ処理の特性を低くすることは、ヨーレートセンサ3が出力するヨーレートの変化に対する推定車線の変化の応答性を高くすることを意味する。よって、自車両がカーブ路(旋回路)を走行している場合に、ヨーレートセンサ3が出力するヨーレートの変化に対する推定車線の変化の応答性を低くすると、カーブの形状の推定誤差が大きくなる。このようなことから、ヨーレートセンサ3が出力するヨーレートの変化に対する推定車線の変化の応答性を高く(フィルタ特性を低く)することで、実際に走行しているカーブ路の形状を高い精度で推定できるようになる。
なお、この実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、この実施形態では、ヨーレートセンサ3の出力(ヨーレート)の極性を基に、自車両の直進状態を判定している。しかし、これに限定されるものではない。
図7は、自車両の直進状態を判定する他の処理例を示す。同図に示すように、先ずステップS21において、直進状態判定部13は、左右の車輪速差を常に監視し、その左右の車輪速差が所定値以下となる継続時間Tdを検出する。この場合、自車両は、前後の少なくとも一方の左右輪に車輪速センサを搭載し、その左右輪の車輪速センサの検出値の差を検出する。続いてステップS22において、直進状態判定部13は、前記ステップS21で検出した継続時間Tdが所定時間T4よりも長いか否かを判定する。ここで、実験値、経験値又は理論値等により所定時間T4を決定する。直進状態判定部13は、継続時間Tdが所定時間T4よりも長い場合(Td>T4)、ステップS23に進む。また、直進状態判定部13は、継続時間Tdが所定時間T4以下の場合(Td≦T4)、ステップS24に進む。ステップS23では、直進状態判定部13は、自車両が直進状態であると判定し、該図7(前記ステップS1に相当)の処理を終了する。また、ステップS24では、直進状態判定部13は、自車両が非直進状態であると判定し、該図7(前記ステップS1に相当)の処理を終了する。以上のようにして、左右の車輪速差を基に、自車両の直進状態を判定することもできる。なお、このようなことから、ここでいう継続時間Tdや左右の車輪速差との比較に用いる所定値は、左右の車輪速差から自車両が直進状態であることを判定するのに適した値である。
図8は、自車両の直進状態を判定するさらに他の処理例を示す。同図に示すように、先ずステップS31において、直進状態判定部13は、操舵角を常に監視し、その操舵角が所定値以下となる継続時間Tdを検出する。この場合、自車両は、ステアリングホイールに操作角センサを搭載し、操作角センサから操舵角を検出する。続いてステップS32において、直進状態判定部13は、前記ステップS31で検出した継続時間Tdが所定時間T5よりも長いか否かを判定する。ここで、実験値、経験値又は理論値等により所定時間T5を決定する。直進状態判定部13は、継続時間Tdが所定時間T5よりも長い場合(Td>T5)、ステップS33に進む。また、直進状態判定部13は、継続時間Tdが所定時間T5以下の場合(Td≦T5)、ステップS34に進む。ステップS33では、直進状態判定部13は、自車両が直進状態であると判定し、該図8(前記ステップS1に相当)の処理を終了する。また、ステップS34では、直進状態判定部13は、自車両が非直進状態であると判定し、該図8(前記ステップS1に相当)の処理を終了する。以上のようにして、操舵角を基に、自車両の直進状態を判定することもできる。なお、このようなことから、ここでいう継続時間Tdや操舵角との比較に用いる所定値は、操舵角から自車両が直進状態であることを判定するのに適した値である。
また、前述のような、ヨーレート値の極性を基に行う判定、左右の車輪速差を基に行う判定及び操舵角を基に行う判定を組み合わせて、最終的に自車両の直進状態を判定することもできる。この場合、例えば、各判定結果に重み付けをして、最終的に自車両の直進状態を判定することもできる。
なお、この実施形態では、ヨーレートセンサ3は、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を実現している。また、フィルタ11は、前記ヨーレート検出手段が検出したヨーレート値をフィルタ処理するフィルタ手段を実現している。また、走行状態推定部10は、前記フィルタ手段が出力したヨーレート値を基に、車両の走行状態を推定する走行状態推定手段を実現している。また、直進状態判定部13は、車両の直進走行状態を判定する直進走行状態判定手段を実現している。また、前後加速度センサ4は、車両の加速度又は減速度の何れかを検出する加減速度検出手段を実現している。また、時定数設定部12は、前記直進走行状態判定手段が車両が直進走行していると判定すると、前記加減速度検出手段が検出した車両の加速度又は減速度を基に、前記フィルタ手段の時定数を設定する時定数設定手段を実現している。
また、この実施形態では、車両が直進走行している場合に、該車両の加速度又は減速度を基に、フィルタ手段の時定数を設定するとともに、ヨーレート検出手段が検出したヨーレートを前記フィルタ手段でフィルタ処理し、フィルタ処理を施したヨーレートを基に、該車両の走行状態を推定する車両走行状態推定方法を実現している。
また、この実施形態では、車両で検出したヨーレートを補正する車両検出のヨーレートの補正方法において、車両が直進走行している場合に、車両の加速度又は減速度を基に、フィルタ手段の時定数を設定するとともに、ヨーレート検出手段が検出したヨーレートを前記フィルタ手段でフィルタ処理し、フィルタ処理を施したヨーレートを出力する車両検出のヨーレートの補正方法を実現している。すなわち、本実施形態では、フィルタ処理をしたヨーレートを車両の走行状態を推定するために用いているが、他の処理、制御等のために使用することもできる。
(効果)
本実施形態における効果は次のようになる。
(1)自車両が直進走行していると判定すると、自車両の加速度又は減速度を基に、フィルタ11の時定数を設定している。これにより、自車両の加速度又は減速度に応じて、ヨーレートセンサ3が検出したヨーレートを最適にフィルタ処理でき、自車両が加速や減速をしても、ヨーレートセンサ3が検出したヨーレートに乗ったノイズを適切に除去できる。この結果、自車両の加速又は減速しても、ヨーレートセンサ3が検出したヨーレートに基づいて高い精度で自車両の走行状態(走行路形状等)を推定できる。
(2)車両の加速度又は減速度の絶対値|α|が大きくなるほど、フィルタ11の時定数を大きい値に設定している。これにより、車両の加速度や減速度が大きくなることで、大きくなるノイズを適切に除去できる。
(3)車両の加速度又は減速度の絶対値|α|が大きくなっていく場合でも、フィルタ11の時定数を最大で値T2に設定している。すなわち、フィルタ11の時定数の設定値として上限値を設けている。これにより、不必要な時定数の増加を抑えて、ヨーレートの極性が偏る(正値又は負値の何れかに一方に偏る)のを防止して、適切に自車両の走行状態を推定することができるようになる。よって、値T2は、ヨーレートの極性が偏るのを防止しつつ、適切に自車両の走行状態を推定するのに適した値となる。
(4)自車両が非直進走行していることを検出すると、車両の加速度又は減速度を基に設定するときの値T2以下の値T1にフィルタ11の時定数を設定している。これにより、例えば、車線変更をするときなどに、ヨーレートセンサ3が出力したヨーレートの応答性が遅い状態から早い状態へ戻るようになる。この結果、そのような車線変更を検出しなければならないシーンで必要以上にフィルタを強くすることによって生じる応答遅れを防止することも両立でき、車線変更にかかる自車両の進行方向を正確に推定できるようになる。
(5)自車両のヨーレートの極性が同一極性である継続時間Tdが所定時間T3よりも短い場合、自車両が直進走行していると判定している。これにより、簡単にその判定をすることができる。例えば、ソフトウェアの変更のみで、コストや部品点数を増加させることなく、その判定をすることができる。
(6)左右の車輪速差が所定値以下である継続時間Tdが所定時間T4よりも長い場合、自車両が直進走行していると判定している。これにより、簡単にその判定をすることができる。例えば、自車両が既に搭載する車輪速センサを利用して、その判定をすることができる。
(7)操舵角が所定値以下である継続時間Tdが所定時間T5よりも長い場合、自車両が直進走行していると判定している。これにより、簡単にその判定をすることができる。例えば、自車両が既に搭載する操舵角センサを利用して、その判定をすることができる。
本発明の実施形態の走行状態推定装置の構成を示すブロック図である。 走行状態推定装置のコントローラの構成を示すブロック図である。 走行状態推定装置の時定数設定部及び直進状態判定部の処理手順を示すフローチャートである。 ヨーレートの出力の極性を基に行う直線状態判定の処理手順を示すフローチャートである。 直進状態と判定した場合に設定する時定数の説明に使用した特性図である。 フィルタ処理後のヨーレートを用いて推定した自車線を示す図である。 左右の車輪速差を基に行う直線状態判定の処理手順を示すフローチャートである。 操舵角を基に行う直線状態判定の処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
3 ヨーレートセンサ、4 前後加速度センサ、10 コントローラ、11 フィルタ、12 時定数設定部、13 直進状態判定部

Claims (9)

  1. 車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
    前記ヨーレート検出手段が検出したヨーレート値をフィルタ処理するフィルタ手段と、
    前記フィルタ手段が出力したヨーレート値を基に、車両の走行状態を推定する走行状態推定手段と、
    車両の直進走行状態を判定する直進走行状態判定手段と、
    車両の加速度又は減速度の何れかを検出する加減速度検出手段と、
    前記直進走行状態判定手段が車両が直進走行していると判定すると、前記加減速度検出手段が検出した車両の加速度又は減速度を基に、前記フィルタ手段の時定数を設定する時定数設定手段と、
    を備えることを特徴とする車両用走行状態推定装置。
  2. 前記時定数設定手段は、前記車両の加速度又は減速度の絶対値が大きくなるほど、前記フィルタ手段の時定数を大きい値に設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用走行状態推定装置。
  3. 前記時定数設定手段は、前記フィルタ手段の時定数の設定値として上限値を設けることを特徴とする請求項2に記載の車両用走行状態推定装置。
  4. 前記時定数設定手段は、前記直進走行状態判定手段が車両が非直進走行していることを検出すると、前記加減速度が検出した車両の加速度又は減速度を基に設定するときの値以下の値に前記フィルタ手段の時定数を設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用走行状態推定装置。
  5. 前記直進走行状態判定手段は、車両のヨーレート値の極性が同一極性である継続時間が所定時間よりも短い場合、車両が直進走行していると判定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用走行状態推定装置。
  6. 前記直進走行状態判定手段は、左右の車輪速差が所定値以下である継続時間が所定時間よりも長い場合、車両が直進走行していると判定することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用走行状態推定装置。
  7. 前記直進走行状態判定手段は、操舵角が所定値以下である継続時間が所定時間よりも長い場合、車両が直進走行していると判定することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車両用走行状態推定装置。
  8. 車両が直進走行している場合に、該車両の加速度又は減速度を基に、フィルタ手段の時定数を設定するとともに、ヨーレート検出手段が検出したヨーレートを前記フィルタ手段でフィルタ処理し、フィルタ処理を施したヨーレートを基に、該車両の走行状態を推定することを特徴とする車両走行状態推定方法。
  9. 車両で検出したヨーレートを補正する車両検出のヨーレートの補正方法において、
    車両が直進走行している場合に、該車両の加速度又は減速度を基に、フィルタ手段の時定数を設定するとともに、ヨーレート検出手段が検出したヨーレートを前記フィルタ手段でフィルタ処理し、フィルタ処理を施したヨーレートを出力することを特徴とする車両検出のヨーレートの補正方法。
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