JP2009255484A - 無端丸ベルトとその製造方法、及び、無端丸ベルトを射出成形するための金型 - Google Patents

無端丸ベルトとその製造方法、及び、無端丸ベルトを射出成形するための金型 Download PDF

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Abstract

【課題】ウェルド部近傍の強度が良好なプーリ間に掛け渡して用いる断面略円形の無端丸ベルト、および該無端丸ベルトを射出成形するための金型を提供する。
【解決手段】無端丸ベルト1のウェルド部近傍における残留ひずみが内周側と外周側で略対称に分布する無端丸ベルト1であり、前記ウェルド部は、前記溶融樹脂を環状の前記キャビティの外周側へ抜けさせる第1の樹脂抜け部と、前記溶融樹脂を環状の前記キャビティの内周側へ抜けさせる第2の樹脂抜け部と、から構成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、無端丸ベルトとその製造方法、及び、無端丸ベルトを射出成形するための金型に係り、詳しくは、ウェルド部における強度向上を図る技術に関する。
この種の技術として特許文献1は、金型内に形成された環状のキャビティに合成樹脂などの材料を射出して丸ベルトを製造する、丸ベルトの製造方法を開示する。
特開平08−309877号公報
ところで、昨今、ローラコンベアで無端丸ベルトを使用した際に、無端丸ベルトが自転を起こし、ウェルド部で切断が発生するという問題が発生していた。
しかし、上記特許文献1は、ウェルド部に関する事項については開示していない。
本願発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ウェルド部近傍の強度が良好な無端丸ベルトを提供することにある。本願発明の他の目的は、この無端丸ベルトを製造する方法を提供することにある。更に、本願発明の他の目的は、この無端丸ベルトを製造するのに特に適した金型を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本願発明の第一の観点によれば、以下の特徴を有する無端丸ベルトが提供される。即ち、プーリ間に掛け渡して用いる断面略円形の無端丸ベルトであって、前記無端丸ベルトのウェルド部近傍における残留ひずみが内周側と外周側で略対称に分布する。
即ち、前記ウェルド部近傍において前記残留ひずみが内周側と外周側で略対称に分布する前記無端丸ベルトと、前記ウェルド部近傍において前記残留ひずみが内周側と外周側で非対称に分布する無端丸ベルトと、を比較すると、前者は後者と比較して、ウェルド部近傍における前記残留ひずみが少なくなる傾向にある(図3、4参照)。従って、前者に係る無端丸ベルトは、ウェルド部近傍における残留ひずみが比して少ないので、ウェルド部近傍の強度が良好である。
本願発明の第二の観点によれば、プーリ間に掛け渡して用いる断面略円形の無端丸ベルトを、環状のキャビティが形成された金型に溶融樹脂を射出して成形する、無端丸ベルトの製造は、以下のような方法で行われる。即ち、前記無端丸ベルトのウェルド部において、前記溶融樹脂を前記キャビティ内から内周方向と外周方向の両方向へ抜けさせる。以上の製造方法によれば、前記ウェルド部近傍における残留ひずみが内周側と外周側で略対称に分布する無端丸ベルトが得られる。前述の通り、この無端丸ベルトは、ウェルド部近傍における残留ひずみが比して少ないので、ウェルド部近傍の強度が良好である。
本願発明の第三の観点によれば、プーリ間に掛け渡して用いる断面略円形の無端丸ベルトを射出成形するための金型は、以下のように構成される。即ち、断面略円形であって環状のキャビティと、前記キャビティ内へ溶融樹脂を射出するためのゲート部と、前記ゲート部から前記キャビティ内へ射出されて前記ゲート部から離れた位置で合流する前記溶融樹脂を前記キャビティ内から外部へ流動させて排出するウェルド部と、が形成される。前記ウェルド部は、前記溶融樹脂を環状の前記キャビティの外周側へ抜けさせる第1の樹脂抜け部と、前記溶融樹脂を環状の前記キャビティの内周側へ抜けさせる第2の樹脂抜け部と、から構成される。以上の金型を用いれば、前記無端丸ベルトのウェルド部において、前記溶融樹脂が前記キャビティ内から内周方向と外周方向の両方向へ抜け出るので、前記ウェルド部近傍における残留ひずみが内周側と外周側で略対称に分布する無端丸ベルトが得られる。前述の通り、この無端丸ベルトは、ウェルド部近傍における残留ひずみが比して少ないので、ウェルド部近傍の強度が良好である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
<無端丸ベルトの説明>
先ず、図1〜3に基づいて、本実施形態に係る無端丸ベルトについて説明する。図1は、本実施形態に係る無端丸ベルトの平面図である。図2は、図1の2−2’線矢視の部分図であって、直交ニコル法の観察結果を示す図である。図3は、図1の3−3’線矢視の部分図であって、直交ニコル法の観察結果を示す図である。
図1に示される本実施形態に係る無端丸ベルト1は、断面が略円形であって、主として、プーリ間に掛け渡され、例えば、ローラコンベアや送風機、攪拌機、軽工作機、洗濯機、ポンプ、遠心分離機などに用いられるものである。この本実施形態に係る無端丸ベルト1は、公知の直交ニコル法によって残留ひずみの分布を観察することにより、従来の他の無端丸ベルトと明確に区別することができる。以下、順を追って説明する。
断面略円形の環状のキャビティに溶融樹脂を射出して射出成形された無端丸ベルトについては、直交ニコル法で観察すれば、図2のように残留ひずみ(分子配向ひずみとも称される。以下同様)の分布が菱形のように現れる第一の部分と、無端丸ベルトの長手方向に沿って層流のような平行線を呈する第二の部分と、図3のように残留ひずみの分布が無端丸ベルトの長手方向に対して垂直な方向に延びる線を呈する第三の部分と、を特定できる。
このうち、上記第一の部分(図2参照)は、キャビティ内に溶融樹脂が射出され、この溶融樹脂が環状のキャビティ内で二股に分岐することにより形成されるものであって、この部分は所謂ゲート部であると認識できる。
上記第二の部分は、環状のキャビティ内で溶融樹脂が層流態様で流動することにより形成されるものであって、この部分は所謂通常部であると認識できる。
上記第三の部分(図3参照)は、キャビティ内に射出され分岐された溶融樹脂が再び合流することにより形成されるものであって、この部分は所謂ウェルド部であると認識できる。
次に、図3と図4に基づいて、本実施形態に係る無端丸ベルト1と、従来の他の無端丸ベルトと、の差異点について説明する。図4は、図3に類似する図であって、従来の無端丸ベルトの特徴を示す図である。
即ち、図3と図4に示すように無端丸ベルトの中心線を符号Cで観念すると、図3に示される残留ひずみの分布は、図4に示される残留ひずみの分布と比較して、中心線Cに対して略対称であると言及できる。換言すれば、本実施形態に係る無端丸ベルト1のウェルド部近傍における残留ひずみは、内周側と外周側で略対称に分布する。更に詳しく言えば、図4に示される残留ひずの分布は無端丸ベルトの外周側へ拡開するV字状模様を観念できるのに対し、図3に示される残留ひずみの分布は上記の通常部へ向かって開口すると共に、背中合わせに寄り沿った一対のU字状模様を観念できる。なお、上記の「略対称」とは厳密な意味での対称性は要せず、図3と図4とを比較して認識できる程度の対称性で足りる程度を意味する。
以上説明したように、本実施形態に係る無端丸ベルト1は、直交ニコル法による観察を介して、従来の他の無端丸ベルトと明瞭に区別できるものである。
なお、直交ニコル法とは、周知の通り、樹脂成形品の有する残留ひずみの分布を観察するのに好適な手段であって、上記の例では、観察対象たる無端丸ベルトを二枚の偏光板で挟み、光源と視点を二枚の偏光板を挟む位置関係として観察する手法である。もちろん、残留ひずみの分布を観察するに際しては、例示した直交ニコル法に限らず、例えば、平行ニコル法や円偏光法、鋭敏色法なども採用され得る。
<無端丸ベルトの射出成形に適した金型の説明>
次に、本実施形態に係る無端丸ベルト1の射出形成に適した金型の構造について、詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る金型の水平断面図である。図6は、従来の金型の水平断面図である。
先ず、図5を参照されたい。本実施形態に係る射出成形金型2は、断面略円形の環状のキャビティ3を含む面で分割できるように構成される。図5には、射出成形金型2を構成する一対の分割体のうち一方のみが描かれている。本図において太線矢印は、射出成形金型2内における溶融樹脂の流動方向を示すものである。
本図に示されるように射出成形金型2には、断面略円形であって環状のキャビティ3と、前記キャビティ3内へ溶融樹脂を射出するためのゲート部4と、前記ゲート部4から前記キャビティ3内へ射出されて前記ゲート部4から離れた位置で合流する前記溶融樹脂を前記キャビティ3内から外部へ流動させて排出するウェルド部5と、が形成される。ゲート部4とウェルド部5は、環状のキャビティ3の中心に対して対称な位置関係とされる。
ゲート部4は、樹脂を加熱して溶融状態とする加熱装置(不図示)と、この加熱装置によって溶融された溶融樹脂をキャビティ3に対して圧入するためのスクリュー(不図示)と、へ接続される。ゲート部4は、断面略円形であって、キャビティ3に対して開口する吐出孔6を含んで構成される。
ウェルド部5は、前記溶融樹脂を環状の前記キャビティ3の外周側へ抜けさせる第1の樹脂抜け部7と、前記溶融樹脂を環状の前記キャビティ3の内周側へ抜けさせる第2の樹脂抜け部8と、から構成される。第1の樹脂抜け部7は断面略円形であって、キャビティ3に対して開口する吐出孔9と、この吐出孔9と外部を接続するための連通路9aと、から構成される。第2の樹脂抜け部8も同様に断面略円形であって、キャビティ3に対して開口する吐出孔10と、この吐出孔10と外部を接続するための連通路10aと、から構成される。吐出孔9の孔径と吐出孔10の孔径は略同値とされ、吐出孔9と吐出孔10は同軸状に整列する。吐出孔9の中心線とキャビティ3の中心線は直角に交差し、同様に、吐出孔10の中心線とキャビティ3の中心線も直角に交差する。吐出孔10はキャビティ3の延在方向に対して垂直な方向に延びる。吐出孔10はキャビティ3から、環状のキャビティ3の中心に向かって延在する。吐出孔10はウェルド部5に向かって延在する。吐出孔9と吐出孔10はキャビティ3を挟むように配設される。
次に、図6を参照されたい。本図に示されるように従来の金型には、前述の第2の樹脂抜け部8が形成されていない。換言すれば、ウェルド部5は、第1の樹脂抜け部7のみから成る。
<無端丸ベルトの製造方法の説明>
次に、上記の無端丸ベルト1の製造方法を説明する。再度、図5を参照されたい。本実施形態に係る無端丸ベルト1は、例えば、ポリアミド系やフッ素系、シリコーン系、オレフィン系、ポリエステル系、ニトリル系、ウレタン系、スチレン系、塩ビ系などの熱可塑性エラストマーや、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素添加ニトリルゴム、アルキル化クロロスルフォン化ニトリルゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムなどの合成ゴムなどから成る。本願明細書において、「溶融樹脂」又は単に「樹脂」と記載する場合は、原則として、上記の熱可塑性エラストマーのみならず、合成ゴムも含むものとする。以下、上記の「樹脂」が熱可塑性エラストマーであるとして説明する。
先ず、チップ状の樹脂片を前述の加熱装置において加熱して溶融状態とし、この状態で、前述のスクリューによって溶融状態にある樹脂をゲート部4の吐出孔6を介してキャビティ3内へ射出する。すると、溶融樹脂は、キャビティ3内ですぐさま二股に分岐すると共に、環状のキャビティ3に沿って流動する。そして、ゲート部4で分岐した溶融樹脂は、ウェルド部5で再び合流すると共に、このウェルド部5において、溶融樹脂は前記キャビティ3内から内周方向と外周方向の両方向へ抜け出る。即ち、ウェルド部5において溶融樹脂は、第1の樹脂抜け部7のみならず、第2の樹脂抜け部8からも外部へオーバーフローする。更に換言すれば、ウェルド部5において合流する溶融樹脂の流れを、第1の樹脂抜け部7及び第2の樹脂抜け部8へ更に二股に分岐させる。この分岐が内周側や外周側へ偏ることのないよう、第1の樹脂抜け部7と第2の樹脂抜け部8内の流動抵抗(溶融樹脂と内壁面との間に発生する剪断力)は適宜に調整される。こうして、ゲート部4やキャビティ3、ウェルド部5が溶融樹脂によって充填されたら、溶融状態にある樹脂を固化させるために射出成形金型2を適宜の冷却手段によって冷却し、その後、射出成形金型2を分割することによって無端丸ベルトを露出させ、離型させる。最後に、無端丸ベルトのゲート部(図2)やウェルド部(図3)のバリを切削し、完成とする。なお、上記の「樹脂」が合成ゴムとする場合は、射出後に加硫のための加熱工程が導入されよう。
こうして完成した無端丸ベルトは、図3に示されるようにウェルド部近傍における残留ひずみが無端丸ベルトの中心線Cに関して略対称に現れる。更に特筆すべきは、物件提出書によって追って提出する図3と図4のカラー図面を参照いただければ判る通り、図4に示されるウェルド部近傍は白い領域が大きく占めるのに対し、図3に示されるウェルド部近傍は青い領域が大きく占めていることである。即ち、直交ニコル法では、残留ひずみが多くなると、その部分の色は青、緑、赤、白へと色が変化していく。このことから、本実施形態に係る無端丸ベルトのウェルド部近傍と、従来の無端丸ベルトのウェルド部近傍と、を比較すると、前者は後者よりもウェルド部近傍において残留ひずみが少ないと言及できる。即ち、前者は後者よりもウェルド部近傍における残留ひずみ(分子配向ひずみ)が緩和されており、この残留ひずみ(分子配向ひずみ)が要因である強度低下が改善されている。
さて、実際に、実機ローラコンベアにて上記無端丸ベルトの走行試験(目標走行時間=2500時間)を行った。この結果、総走行時間=750時間の時点では、従来の無端丸ベルトでは既に摩耗が視認できたが、上記実施形態に係る無端丸ベルトでは摩耗は一切確認できなかった。
以上説明したように本実施形態において無端丸ベルト1は、前記無端丸ベルト1のウェルド部近傍における残留ひずみが内周側と外周側で略対称に分布する(図3)。即ち、前記ウェルド部近傍において前記残留ひずみが内周側と外周側で略対称に分布する前記無端丸ベルト1と、前記ウェルド部近傍において前記残留ひずみが内周側と外周側で非対称に分布する無端丸ベルトと、を比較すると、前者は後者と比較して、ウェルド部近傍における前記残留ひずみが少なくなる傾向にある(図3、4参照)。従って、前者に係る無端丸ベルト1は、ウェルド部近傍における残留ひずみが比して少ないので、ウェルド部近傍の強度が良好である。
また、上記の無端丸ベルト1を環状のキャビティが形成された射出成形金型2に溶融樹脂を射出して成形する、無端丸ベルト1の製造は以下のような方法で行われる。即ち、前記無端丸ベルト1のウェルド部において、前記溶融樹脂を前記キャビティ3内から内周方向と外周方向の両方向へ抜けさせる。以上の製造方法によれば、前記ウェルド部近傍における残留ひずみが内周側と外周側で略対称に分布する無端丸ベルト1が得られる。前述の通り、この無端丸ベルト1は、ウェルド部近傍における残留ひずみが比して少ないので、ウェルド部近傍の強度が良好である。
また、プーリ間に掛け渡して用いる断面略円形の無端丸ベルト1を射出成形するための射出成形金型2は、以下のように構成される。即ち、断面略円形であって環状のキャビティ3と、前記キャビティ3内へ溶融樹脂を射出するためのゲート部4と、前記ゲート部4から前記キャビティ3内へ射出されて前記ゲート部4から離れた位置で合流する前記溶融樹脂を前記キャビティ3内から外部へ流動させて排出するウェルド部5と、が形成される。前記ウェルド部5は、前記溶融樹脂を環状の前記キャビティ3の外周側へ抜けさせる第1の樹脂抜け部7と、前記溶融樹脂を環状の前記キャビティ3の内周側へ抜けさせる第2の樹脂抜け部8と、から構成される。以上の射出成形金型2を用いれば、前記無端丸ベルト1のウェルド部において、前記溶融樹脂が前記キャビティ3内から内周方向と外周方向の両方向へ抜け出るので、前記ウェルド部近傍における残留ひずみが内周側と外周側で略対称に分布する無端丸ベルト1が得られる。前述の通り、この無端丸ベルト1は、ウェルド部近傍における残留ひずみが比して少ないので、ウェルド部近傍の強度が良好である。
最後に、図5に示される上記実施形態の射出成形金型2と、図6に示される従来の金型と、における溶融樹脂の流動解析を行ったので、その結果を報告する。
流動解析を行うに際し、市販の流動解析アプリケーション(ソフト名:Moldex3D)を用いた。流動解析条件は以下の通りである。即ち、環状のキャビティ3の直径は300mmとし、キャビティ3の断面の直径は10mmとし、溶融樹脂の粘度は3×10[Pa・s]〜3×10[Pa・s]とした。また、ゲート部4における溶融樹脂の温度は205℃とし、圧入速度は40cc/secとした。
流動解析の結果、図5の射出成形金型2を採用すると、図6の金型を採用する場合と比較して、剪断率が1.5×10[1/sec]から2.5×10[1/sec]へと上昇した。ここで、剪断率とは以下の通り定義される物理量である。
即ち、スクリューから溶融樹脂に与えられるエネルギーはそのほとんどが剪断によるものである。即ち、樹脂は、二つの相互運動(相対運動)する表面間に存在することによって剪断力が付与されてエネルギーを受ける。ここで二つの表面とは、スクリューの谷の外周面と、このスクリューを収容する筒状の押し出し機の内周面(バレル内径という。)のことである。この剪断力が大きければ、より大きなエネルギーが溶融樹脂に付与され、樹脂は過剰に加熱され、メルト温度が上昇する。一方、この剪断力が小さく、小さなエネルギーしか溶融樹脂に付与されないと、混練り不足やアンメルト状態となってしまう。こういった意味で、剪断力の程度は、射出成形の成否を左右する重要な技術事項であり、この程度の指標として一般的に剪断率が採用される。剪断率は、下記式(1)により与えられる。
上記式(1)において、Sは剪断率[1/sec]、Dはスクリューの直径[inch]、Nはスクリューの回転数[rpm]、hはスクリューチャンネル(谷)の深さ[inch]である。
話を戻すと、上記実施形態に係る射出成形金型2を採用すると、従来の金型を採用する場合と比較して剪断率が上昇し、これに伴って溶融樹脂に付与されるエネルギーも上昇する。従って、溶融樹脂の温度やメルト状態を適切な範囲内とすべく、この剪断率を適宜に調整することが好ましい。
上記の流動解析に引き続いて、この剪断率を調整するシミュレーションも行った。即ち、上記実施形態に係る射出成形金型2に対する溶融樹脂の充填時間を2倍にしてみた。すると、剪断率は2.5×10[1/sec]から2.5×10[1/sec]へと低下した。このことから、剪断率は充填時間(換言すれば溶融樹脂の圧入速度)を増減させることにより容易に調整できることがわかった。
本実施形態に係る無端丸ベルトの平面図 図1の2−2’線矢視の部分図であって、直交ニコル法の観察結果を示す図 図1の3−3’線矢視の部分図であって、直交ニコル法の観察結果を示す図 図3に類似する図であって、従来の無端丸ベルトの特徴を示す図 本実施形態に係る金型の水平断面図 従来の金型の水平断面図
符号の説明
1 無端丸ベルト
2 射出成形金型
3 キャビティ
4 ゲート部
5 ウェルド部

Claims (3)

  1. プーリ間に掛け渡して用いる断面略円形の無端丸ベルトであって、
    前記無端丸ベルトのウェルド部近傍における残留ひずみが内周側と外周側で略対称に分布する、
    ことを特徴とする無端丸ベルト。
  2. プーリ間に掛け渡して用いる断面略円形の無端丸ベルトを、環状のキャビティが形成された金型に溶融樹脂を射出して成形する、無端丸ベルトの製造方法であって、
    前記無端丸ベルトのウェルド部において、前記溶融樹脂を前記キャビティ内から内周方向と外周方向の両方向へ抜けさせる、
    ことを特徴とする無端丸ベルトの製造方法。
  3. プーリ間に掛け渡して用いる断面略円形の無端丸ベルトを射出成形するための金型であって、
    断面略円形であって環状のキャビティと、
    前記キャビティ内へ溶融樹脂を射出するためのゲート部と、
    前記ゲート部から前記キャビティ内へ射出されて前記ゲート部から離れた位置で合流する前記溶融樹脂を前記キャビティ内から外部へ流動させて排出するウェルド部と、
    が形成され、
    前記ウェルド部は、前記溶融樹脂を環状の前記キャビティの外周側へ抜けさせる第1の樹脂抜け部と、前記溶融樹脂を環状の前記キャビティの内周側へ抜けさせる第2の樹脂抜け部と、から構成される、
    ことを特徴とする無端丸ベルトを射出成形するための金型。
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JP2016196989A (ja) * 2015-04-06 2016-11-24 株式会社デンソー 熱交換器のタンク、及び熱交換器のタンクの製造方法

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