JP2009255347A - 記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】PGを適正な間隔に維持しつつ、被記録材の記録面の傷や搬送負荷の増大による記録精度の低下を生じさせることなく、コックリング等による被記録材の浮き上がりに起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させる。
【解決手段】主走査方向Xにおける腰検出ポジションへキャリッジ61を移動させ、キャリッジ61をPG最小位置まで下降させる(ステップS15)。このときの検出レバー83の変位量からその記録紙Pの種類を特定する(同S16)。プラテンリブ531の頂面位置を基準として、自動PG調整機構により、特定した記録紙Pの種類に最適なPGを設定する(同S17)。記録ヘッド62のヘッド面と記録紙Pの記録面との間隔Dが、本来の理想的な間隔にコックリングによる記録紙Pの浮き上がりを考慮したマージンを加えたものとなるようにPGを設定する。
【選択図】図11

Description

本発明は、記録ヘッドのヘッド面と被記録材の支持面との間隔を調整する間隔調整装置を備えた記録装置に関する。
記録ヘッドにより被記録材の記録面にドットを形成して被記録材への記録を実行する記録装置においては、記録実行時における記録ヘッドのヘット面とプラテン等の支持部材に支持された被記録材の記録面との間隔を適正な一定の間隔に設定して維持することが、高精度な記録を実行する上で極めて重要である。また、記録ヘッドのヘット面と支持部材に支持された被記録材の記録面との間隔が適正な間隔より狭い状態で記録を実行すると、いわゆるコックリングによる被記録材の波打ち変形等により被記録材の一部が支持部材から浮き上がって記録ヘッドのヘッド面に接触する、いわゆるヘッド擦れが生ずる虞がある。このヘッド擦れが生ずると、被記録材の記録面に傷や汚れが付いてしまったり、記録ヘッドが損傷してしまったりすることがある。
そして、記録ヘッドのヘット面と支持部材に支持された被記録材の記録面との間隔が常に適正な一定の間隔となるようにするためには、記録ヘッドのヘッド面とプラテン等による被記録材の支持面との間隔(いわゆるプラテンギャップ、以下略して「PG」という。)を被記録材の厚みに応じて増減調整する必要がある。
ここで、被記録材の厚みに応じてPGを増減調整可能な記録装置の従来技術としては、記録実行対象の被記録材の厚みを検出し、検出した被記録材の厚みに応じて記録ヘッドの支持位置を変位させることでPGを自動調節可能な記録装置が公知である(例えば、特許文献1を参照)。また、前記のコックリングによる被記録材の浮き上がりに起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減可能な従来技術の一例としては、例えば、機械的又は電気的に記録実行対象の被記録材の腰を検出し、その検出した被記録材の腰が弱い場合に限り、プラテン上の被記録材を紙押さえ板でプラテンに押圧してコックリングによる被記録材の浮き上がりを抑制するようにした記録装置が公知である(例えば、特許文献2を参照)。
特開2004−50539号公報 特開2001−341918号公報
しかしながら、例えば、特許文献1に記載された従来技術は、インクリボンを介して多数の記録ワイヤをシートに打ち付けてドットを形成する、いわゆるドットインパクトプリンタに関する技術である。つまり、ドットインパクトプリンタは、コックリングによる被記録材の波打ち変形に起因したヘッド擦れは生じない。そのため、特許文献1には、コックリングによる被記録材の波打ち変形に起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させる技術は何ら開示されていない。
また、特許文献2に記載された従来技術は、プラテン上の被記録材を紙押さえ板でプラテンに押圧したときに、被記録材の記録面と紙押さえ板との摺接部分に傷が付いてしまう虞があった。さらに、特許文献2に記載された従来技術は、プラテン上の被記録材を紙押さえ板でプラテンに押圧したときに、被記録材を搬送する際の搬送負荷が大幅に増大し、搬送誤差が生じて記録精度が低下してしまう虞があった。
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、PGを適正な間隔に維持しつつ、被記録材の記録面の傷や搬送負荷の増大による記録精度の低下を生じさせることなく、コックリング等による被記録材の浮き上がりに起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させることにある。
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、記録ヘッドのヘッド面と被記録材の支持面との間隔を調整する間隔調整装置と、前記支持面に支持される被記録材の腰を検出するための検出装置と、前記検出装置により検出した被記録材の腰に基づいて前記間隔調整装置を制御する制御装置と、を備えた記録装置である。
いわゆるコックリングにより被記録材に生ずる波打ち変形は、被記録材の種類(普通紙、専用紙、厚紙等)によって、その程度が異なってくる。そして、いわゆるコックリングにより被記録材に生ずる波打ち変形の程度は、その被記録材の腰に略反比例する傾向がある。例えば、普通紙等の腰の弱い被記録材は、コックリングにより大きな波打ち変形が生じやすい傾向があり、専用紙や厚紙等の腰の強い被記録材は、コックリングにより生ずる波打ち変形は小さくなる傾向がある。
本発明の第1の態様に記載の記録装置において、制御装置は、支持面に支持される被記録材の腰を検出装置で検出し、検出した被記録材の腰に基づいて間隔調整装置を制御してPGを設定する。このとき、支持面に支持される被記録材の腰を検出することによって、その検出した被記録材の腰からコックリングに起因した支持面からの被記録材の浮き上がりの大きさを推測することができる。したがって、その推測した浮き上がりの大きさに応じてPGを設定することによって、PGを適正な間隔に維持しつつ、コックリングによる被記録材の波打ち変形に起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させることができる。
これにより、本発明の第1の態様に記載の記録装置によれば、PGを適正な間隔に維持しつつ、被記録材の記録面の傷や搬送負荷の増大による記録精度の低下を生じさせることなく、コックリング等による被記録材の浮き上がりに起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させることができるという作用効果が得られる。
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様に記載の記録装置において、前記検出装置は、突き当て部材と、前記突き当て部材を所定荷重で付勢した状態で前記支持面と交差する方向へ変位可能に支持する突き当て部材支持装置と、前記突き当て部材支持装置に対する前記突き当て部材の相対的な変位量を検出する変位量検出装置と、前記突き当て部材支持装置を前記支持面と交差する方向へ変位させる変位手段と、を有している、ことを特徴とした記録装置である。
このような構成の検出装置によって、制御装置は、支持面に支持される被記録材を撓み変形させることが可能な部分を突き当て部材で撓み変形方向へ所定量押動し、そのときの突き当て部材支持装置に対する突き当て部材の相対的な変位量から当該被記録材の腰を検出することができる。尚、支持面に支持される被記録材を撓み変形させることが可能な部分とは、例えば、複数のプラテンリブの頂面で被記録材を支持する記録装置においては、そのプラテンリブ間に対応する部分である。或いは、被記録材の支持に影響が生じない範囲で、支持面の一部に、突き当て部材で被記録材を撓み変形させることが可能な専用の凹部を設けても良い。
本発明の第3の態様は、前述した第2の態様に記載の記録装置において、前記記録ヘッドを搭載し、所定の往復動方向へ往復動可能に支持されるキャリッジと、前記キャリッジを往復動させる駆動装置とを備え、前記検出装置は、前記キャリッジに配設されている、ことを特徴とした記録装置である。
検出装置は、キャリッジに配設されているので、被記録材の大きさにかかわらず、常に被記録材の一定位置で被記録材と係合して腰を検出することができる。それによって、被記録材の腰を検出する位置のばらつきによって腰の検出精度がばらついてしまうことを防止することができるので、被記録材の大きさにかかわらず、安定した検出精度で被記録材の腰を検出することができるという作用効果が得られる。
本発明の第4の態様は、前述した第3の態様に記載の記録装置において、前記間隔調整装置は、前記キャリッジを前記支持面と交差する方向へ変位させて前記記録ヘッドのヘッド面と前記支持面との間隔を調整するとともに、前記変位手段を兼ねている、ことを特徴とした記録装置である。
本発明の第4の態様に記載の記録装置は、間隔調整装置が検出装置の変位手段を兼ねているので、変位手段を別個に設ける必要がない。したがって、本発明に係る記録装置をより低コストに実現することができる、という作用効果が得られる。
本発明の第5の態様に記載の記録装置は、前述した第1の態様又は第2の態様に記載の記録装置において、前記検出装置は、記録装置本体に配設されている、ことを特徴とした記録装置である。
このように、記録装置本体に検出装置を配設しても本発明の実施は可能である。そして、本発明の第5の態様に記載の記録装置によれば、キャリッジに検出装置を配設する態様と比較して、検出装置を設けることに伴うキャリッジの重量増が生じないという利点がある。また、キャリッジとキャリッジの支持機構との間のガタつき等により腰の検出精度が低下する虞が生じないという利点がある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<インクジェットプリンタの構成>
まず、「記録装置」の一例としてのインクジェットプリンタの基本的な構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1は、インクジェットプリンタの要部平面図であり、図2はその側面図である。図3は、インクジェットプリンタの概略のブロック図である。
インクジェットプリンタ50は、「被記録材」としての記録紙Pにインクを噴射して記録面にドットを形成する記録ヘッド62を備えている。記録ヘッド62は、主走査方向Xに移動可能にキャリッジガイド軸56に軸支されたキャリッジ61に搭載されている。キャリッジ61には、記録ヘッド62の他、後述するPWセンサ34や図示していないインクカートリッジ等が搭載されている。キャリッジ61は、図示していないベルト伝達機構によって、CRモータ63(図3)の回転駆動力が伝達されて主走査方向Xに往復動する(駆動装置)。
記録ヘッド62のヘッド面と対向する位置には、記録を実行する記録紙Pを裏面側から支持して、記録ヘッド62のヘッド面と記録紙Pとのギャップを規定するプラテン53が設けられている。キャリッジ61の主走査方向Xへの往復動領域の一端側の外側には、公知のキャッピング装置57が設けられている。記録を実行しない待機状態においては、キャリッジ61がキャッピング装置57の上まで移動して停止し、キャッピング装置57に配設されているキャップCPによって記録ヘッド62のヘッド面が封止される。このキャリッジ61の停止位置は、ホームポジションHPとして規定される。
また、インクジェットプリンタ50は、記録ヘッド62を記録紙Pに対して副走査方向Yへ走査させる手段として、記録紙Pを副走査方向Yに搬送する搬送駆動ローラ51と搬送従動ローラ52とを備えている。搬送駆動ローラ51は、外周面に高摩擦抵抗を有する皮膜が施されており、PFモータ58(図3)の回転駆動力で回転する。複数の搬送従動ローラ52は、個々に従動回転可能に軸支されているとともに、図示していないばね等の付勢手段により個々に搬送駆動ローラ51に付勢されている。記録紙Pは、搬送従動ローラ52で搬送駆動ローラ51の外周面に押しつけられ、搬送駆動ローラ51と搬送従動ローラ52とで挟持された状態で搬送駆動ローラ51が回転することによって、副走査方向Yへ搬送される。
搬送駆動ローラ51の副走査方向Yの上流側には、多数の記録紙Pを積重可能な給送トレイ71が配設されている。給送トレイ71には、記録紙Pの積重位置を規制するための記録紙ガイド71aが記録紙Pの幅に合わせて幅方向に摺動可能に設けられている。また、給送トレイ71の近傍には、給送ローラ72が配設されている。給送ローラ72は、PFモータ58(図3)の回転駆動力で回転する。給送トレイ71に積重された記録紙Pは、図示していないホッパ等の押圧手段で給送ローラ72の外周面に押圧され、給送ローラ72が回転することによって、搬送駆動ローラ51へ向けて1枚ずつ給送される。このとき、公知の分離パッド等の分離手段によって、最上位にある記録紙Pから他の記録紙Pが分離されて重送が防止される。給送ローラ72と搬送駆動ローラ51との間には、給送された記録紙Pの先端位置及び後端位置を検出可能な公知の紙検出器33が配設されている。
さらに、インクジェットプリンタ50は、記録実行後の記録紙Pを排出する手段として、排出駆動ローラ54と排出従動ローラ55とを備えている。排出駆動ローラ54は、PFモータ58(図3)の回転駆動力で回転する。複数の排出従動ローラ55は、個々に従動回転可能に軸支されているとともに、図示していないばね等の付勢手段により個々に排出駆動ローラ54に付勢されている。排出従動ローラ55は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖った歯付きローラになっている。記録紙Pは、排出従動ローラ55で排出駆動ローラ54の外周面に押しつけられ、排出駆動ローラ54と排出従動ローラ55とで挟持された状態で排出駆動ローラ54が回転することによって、副走査方向Yに搬送されて排出される。
このような構成のインクジェットプリンタ50において、給送ローラ72、搬送駆動ローラ51及び排出駆動ローラ54を回転させるPFモータ58(図3)並びにキャリッジ61を主走査方向に駆動するCRモータ63(図3)は、後述する記録制御部100により制御される。また、記録ヘッド62も同様に、記録制御部100により制御される。記録制御部100は、キャリッジ61を主走査方向Xへ往復動させながら記録ヘッド62から記録紙Pへインクを噴射する動作と、記録紙Pを副走査方向Yへ所定の搬送量で搬送する動作とを交互に繰り返しながら記録紙Pへの記録を行う制御を実行する。
記録制御部100は、ROM101、RAM102、ASIC(特定用途向け集積回路)103、CPU(中央処理装置)104、不揮発性メモリ105、PFモータドライバ106、CRモータドライバ107及びヘッドドライバ108を備えている。ROM101、RAM102、ASIC103、CPU104及び不揮発性メモリ105は、記録制御部100のシステムバスに接続されている。PFモータドライバ106、CRモータドライバ107及びヘッドドライバ108は、ASIC103に接続されている。
ROM101は、CPU104によるインクジェットプリンタ50の制御に必要な記録制御プログラム(ファームウェア)等が格納される。RAM102は、CPU104の作業領域や記録データ等の格納領域として用いられる。CPU104は、インクジェットプリンタ50の記録制御を実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行う。不揮発性メモリ105は、記録制御プログラムの処理に必要な各種データ等が記憶されている。
ASIC103は、DCモータであるPFモータ58及びCRモータ63の速度制御並びに記録ヘッド62のノズル駆動制御を行うための制御回路を有している。ASIC103は、PFモータ58及びCRモータ63の速度制御を行うための各種演算を行い、その演算結果に基づくモータ制御信号をPFモータドライバ106及びCRモータドライバ107へ送出する。また、ASIC103は、記録ヘッド62の制御信号を演算生成してヘッドドライバ108へ送出し、記録ヘッド62のインク噴射を制御する。さらに、ASIC103は、パーソナルコンピュータ301とのインタフェース機能も有している。
さらに、インクジェットプリンタ50は、搬送駆動ローラ51の回転量を検出するロータリエンコーダ31、キャリッジ61の移動量を検出するリニアエンコーダ32、搬送される記録紙Pの先端及び後端を検出する紙検出器33、主走査方向Xの記録紙Pの端部を検出するためのPWセンサ34、インクジェットプリンタ50の電源をON/OFFするための電源スイッチ35及び後述するレバーセンサ82を備えている。
公知のロータリエンコーダ31は、搬送駆動ローラ51の回転に連動して回転するロータリスケール311と、ロータリスケール311の外周に沿って等間隔に形成されているスリットを検出するロータリスケールセンサ312とを有している(図2)。ロータリスケールセンサ312の出力信号は、搬送駆動ローラ51の回転に伴い変化し、ASIC103を介してCPU104へ出力される。
公知のリニアエンコーダ32は、キャリッジ61の近傍に主走査方向Xと略平行に配置されたリニアスケール321と、リニアスケール321に等間隔に形成されているスリットを検出するキャリッジ61に搭載されたリニアスケールセンサ322とを有している(図2)。リニアスケールセンサ322の出力信号は、キャリッジ61の主走査方向Xの移動量に応じてパルスの周期が移動速度に伴い変化し、ASIC103を介してCPU104へ出力される。
公知の紙検出器33は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙Pの搬送方向(副走査方向Y)にのみ回動し得るよう記録紙Pの搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバーを有している。紙検出器33は、このレバーの先端が記録紙Pに押されることでレバーが回動し、それによって、給送ローラ72の回転により給送された記録紙Pの先端位置及び搬送中の記録紙Pの後端位置を検出する。PWセンサ34は、非接触の光学式センサであり、記録紙Pの主走査方向Xの端部位置(記録紙Pの側端位置)を検出する。紙検出器33及びPWセンサ34の検出信号は、ASIC103を介してCPU104へ出力される。
<自動PG調整機構の概略構成>
つづいて、記録ヘッド62のヘッド面と記録紙Pを支持するプラテン53の支持面との間隔を調整する「間隔調整装置」としての自動PG調整機構について、図4を参照しながら説明する。
図4は、インクジェットプリンタ50の自動PG調整機構の要部を図示した斜視図である。
インクジェットプリンタ50は、両側部にサイドフレーム11が設けられている。キャリッジ61を軸支するキャリッジガイド軸56の両端は、サイドフレーム11に設けられたZ方向に長尺な案内溝12に挿通された状態でZ方向へ変位可能に支持される。尚、Z方向は、主走査方向X及び副走査方向Yと略直交する方向であり、プラテン53による記録紙Pの支持面と交差する方向であり、以下同様とする。
キャリッジガイド軸56の端部には、PG調整カム14及びガイド軸ギヤ15が一体に設けられている。また、サイドフレーム11には、円柱体形状の凸部13が一体に設けられている。歯車16は、回転自在に軸支された歯車であり、記録制御部100により制御されるモータ(図示せず)の回転駆動力が伝達されて回転する。尚、ガイド軸ギヤ15は、図面をより観やすくするために、キャリッジガイド軸56から外した状態で図示されている。
このような構成の自動PG調整機構において、キャリッジガイド軸56は、PG調整カム14を介して凸部13の外周面に、自重で当接した状態で支持される。そして、キャリッジガイド軸56は、PFモータ58の回転駆動力が伝達されて歯車13が回転することによって回転し、それによって、偏心カムであるPG調整カム14の外周面形状(カムプロフィール)に応じてZ方向へ上下動する。つまり、インクジェットプリンタ50は、キャリッジガイド軸56の回転位置を記録制御部100が制御することによって、PGを自動調整することができる。尚、キャリッジガイド軸56の回転位置は、例えば、前記のロータリエンコーダ31をキャリッジガイド軸56にも設けることによって正確に検出することが可能になる。
<「検出装置」の構成>
つづいて、検出装置80の構成について、図5及び図6を参照しながら説明する。
図5は、インクジェットプリンタ50のキャリッジ61が配設された部分を拡大図示した側断面図である。図6は、キャリッジ61の検出装置80が配設されている部分を拡大図示した斜視図である。
プラテン53には、複数のプラテンリブ531が設けられている。このプラテンリブ531の頂面は、記録紙Pの「支持面」となる。検出装置80は、プラテンリブ531の頂面に支持される記録紙Pの腰を検出するためのものであり、リニアスケール81、レバーセンサ82、検出レバー83及びコイルばね84を有している。
リニアスケール81及びレバーセンサ82は、「変位量検出装置」としてのリニアエンコーダを構成する。リニアスケール81は、多数のスリットが等間隔に形成されており、検出レバー83のスケール取付部831に配設されている。レバーセンサ82は、リニアスケール81のスリットを検出するセンサであり、取付孔821でキャリッジ61にネジ止め固定されている(ネジは図示省略)。
「突き当て部材」としての検出レバー83は、キャリッジ61の外側面に設けられた「突き当て部材支持装置」としてのガイド壁部611及びガイド爪部612によって、Z方向へ変位可能にキャリッジ61に支持されている。より具体的には、検出レバー83は、検出レバー83の被ガイド部833がガイド壁部611に摺接係合して変位可能な方向がZ方向に規制された状態で、ガイド爪部612にガイドされている。また、検出レバー83は、検出レバー83の係止部832がガイド壁部611の上端面613に自重で当接した状態で支持されている。さらに、検出レバー83は、検出レバー83の上端部835とキャリッジ61のばね止め部614との間に縮設されたコイルばね84によって、所定荷重でプラテン53側へ付勢されている。
このような構成の検出装置80は、前述した自動PG調整機構(図4)によりキャリッジ61をZ方向へ変位させることによって、キャリッジ61と一体的にZ方向へ変位する(変位手段)。例えば、検出レバー83の先端部834とプラテンリブ531の頂面とが対向している状態で、キャリッジ61を自動PG調整機構により下方向ZDへ変位させていくと、検出レバー83の先端部834がプラテンリブ531の頂面に当接する。その状態から、さらにキャリッジ61を下方向ZDへ変位させると、検出レバー83がキャリッジ61に対して相対的に上方向ZUへ変位する。また、その状態からキャリッジ61を上方向ZUへ変位させると、コイルばね84のばね力によって、検出レバー83がキャリッジ61に対して相対的に下方向ZDへ変位する。そして、記録制御部100は、レバーセンサ82が出力するパルス信号から、そのキャリッジ61に対する検出レバー83の相対的な変位量(以下、単に「検出レバー83の変位量」という。)を特定することができる。
尚、コイルばね84のばね力による荷重は、検出レバー83の先端部834で記録紙Pを撓み変形させた際に、記録紙Pの腰の相違によって検出レバー83の変位量が異なる程度の強さに設定すれば良い。さらに、コイルばね84のばね力による荷重は、検出レバー83の先端部834が記録紙Pに食い込んで記録紙Pを変形させてしまう虞がない程度の強さに設定するのが好ましい。これらの条件を満たすばね荷重は、検出レバー83の先端部834の接触面形状等も考慮した上で、例えば実験等により適宜決定することができる。さらに、例えば、キャリッジ61ばね止め部614の位置を変位させる機構等により、コイルばね84のばね力による荷重を調整可能な機構を設けるのがより好ましい。
<自動PG調整機構の制御手順>
つづいて、「制御装置」としての記録制御部100による自動PG調整機構の制御手順について、図7〜図11を参照しながら説明する。
図7〜図9は、インクジェットプリンタ50のキャリッジ61が配設された部分を模式的に図示した正面図である。図7は、Z方向におけるキャリッジ61の位置が定位位置にある状態を図示したものである。図8は、検出レバー83の先端部834をプラテンリブ531の頂面に当接させた状態、図9は、検出レバー83の先端部834を記録紙Pの記録面に当接させた状態を、それぞれ図示したものである。
図10は、検出装置80で記録紙Pの腰を記録紙Pの種類ごとに予め測定する手順を図示したフローチャートである。図11は、記録実行時に検出装置80で記録紙Pの腰を検出してPGを自動設定する手順を図示したフローチャートである。
まず、インクジェットプリンタ50の製造工程等において、検出装置80で記録紙Pの腰を記録紙Pの種類ごとに予め測定する手順(図10)について説明する。
まず、記録紙Pをプラテン53上へ給送する(ステップS1)。つづいて、主走査方向Xにおける腰検出ポジションへキャリッジ61を移動させ、キャリッジ61をPG定位位置からPG最小位置まで下方向ZDへ変位させる(ステップS2)。
ここで、腰検出ポジションとは、検出装置80の検出レバー83の先端部834で、記録紙Pのプラテンリブ531間の略中間部分を押動可能なキャリッジ61の主走査方向Xにおける位置である。(図9)。つまり、腰検出ポジションは、検出レバー83の先端部834で記録紙Pを押動して撓み変形させることが可能な位置である。また、PG定位位置とは、PGが既定の標準的なPGとなるキャリッジ61のZ方向における位置である(図7)。PG最小位置とは、設定可能な範囲でPGが最小となるキャリッジ61のZ方向における位置である(図8、図9)。
つづいて、このときの検出レバー83の上方向ZUへの変位量をその記録紙Pの種類に対応づけて記憶する(ステップS3)。より具体的には、例えば、このときの検出レバー83の変位量を数値化して、その記録紙Pの腰データとして不揮発性メモリ105(図3)に記憶する。そして、上記手順(ステップS1〜S3)を種類の異なる記録紙Pごとに繰り返し実行し、記録紙Pの種類ごとの腰データを取得して不揮発性メモリ105に記憶しておく。尚、不揮発性メモリ105には、記録紙Pの厚みdに関するデータ(以下、「厚みデータ」という。)も記録紙Pの種類ごとに記憶しておくのが好ましい。
次に、記録実行時に検出装置80で記録紙Pの腰を検出してPGを自動設定する手順(図11)について説明する。当該手順は、記録紙Pへの記録を行う度に実行される手順である。
まず、記録紙Pを給送する前に、主走査方向Xにおけるリブ頂面検出ポジションへキャリッジ61を移動させ、キャリッジ61をPG定位位置からPG最小位置まで下方向ZDへ変位させる(ステップS11)。ここで、リブ頂面検出ポジションとは、検出装置80の検出レバー83の先端部834でプラテンリブ531の頂面を押動可能なキャリッジ61の主走査方向Xにおける位置である(図8)。つづいて、このときの検出レバー83の上方向ZUへの変位量から、Z方向のプラテンリブ531の頂面位置を演算する(ステップS12)。より具体的には、例えば、このときのキャリッジ61の変位量と検出レバー83の変位量との差から、Z方向のプラテンリブ531の頂面位置を特定することができる。
このZ方向のプラテンリブ531の頂面位置は、自動PG調整機構におけるPG設定の基準位置とすることができる。尚、Z方向のプラテンリブ531の頂面位置を検出する手順(ステップS11、S12の手順)は、記録紙Pへの記録を行う度に実行しても良いが、例えば、インクジェットプリンタ50の電源をONした後の最初の記録実行時だけ実行するようにしても良い。また、本発明においては、Z方向のプラテンリブ531の頂面位置を既定の固定値として、Z方向のプラテンリブ531の頂面位置を検出する上記手順を省略することも可能であるが、より高精度にPGを設定する上では、当該実施例のように検出装置80で実測するのが好ましい。
つづいて、キャリッジ61を上方向ZUへ変位させてPG定位位置に戻した状態で、記録紙Pを給送する(ステップS13)。つづいて、紙検出器33で記録紙Pの副走査方向Yの先端位置を検出するとともに、キャリッジ61を主走査方向Xへ往復動させながらPWセンサ34で記録紙Pの主走査方向Xの両端位置を検出する(ステップS14)。この記録紙Pの主走査方向Xの両端位置からは、その記録紙Pの大きさを特定することができる。
つづいて、主走査方向Xにおける腰検出ポジションへキャリッジ61を移動させ、キャリッジ61をPG定位位置からPG最小位置まで下方向ZDへ変位させる(ステップS15)。つづいて、このときの検出レバー83の上方向ZUへの変位量からその記録紙Pの種類を特定する(ステップS16)。より具体的には、不揮発性メモリ105に予め記憶されている記録紙Pの種類ごとの腰データを参照し、このときの検出レバー83の変位量と一致する又は最も近似する腰データから記録紙Pの種類を特定する。
そして、プラテンリブ531の頂面位置を基準として、自動PG調整機構により、特定した記録紙Pの種類に最適なPGを設定する(ステップS17)。より具体的には、記録ヘッド62のヘッド面と記録紙Pの記録面との間隔Dが、本来の理想的な間隔にコックリングによる記録紙Pの浮き上がりを考慮したマージンを加えたものとなるように、その記録紙Pの厚みdも考慮してPGを設定する。
例えば、普通紙等の腰の弱い記録紙Pは、コックリングにより大きな波打ち変形が生じる傾向にあるので、記録紙Pの浮き上がりを考慮したマージンを大きくしてPGを設定すれば良い。他方、専用紙や厚紙等の腰の強い記録紙Pは、コックリングにより生ずる波打ち変形は小さくなる傾向にあるので、記録紙Pの浮き上がりを考慮したマージンを小さくしてPGを設定すれば良い。すなわち、検出した記録紙Pの腰から推測した浮き上がりの大きさに応じてPGを設定することによって、PGを適正な間隔に維持しつつ、コックリングによる記録紙Pの波打ち変形に起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させることができる。
尚、コックリングによる波打ち変形がどの程度生じるかは、例えば、記録紙Pの種類ごとに、最もコックリングが生じやすい条件で記録を実行する実験を行い、そのコックリングの大きさ等を実測すれば良い。また、いわゆるコックリングにより被記録材に生ずる波打ち変形の程度は、その記録紙Pの腰に略反比例する傾向があることから、記録紙Pの浮き上がりを考慮したマージンを記録紙Pの腰に相当する検出レバー83の変位量から直接に計算式で演算するようにしても良い。
以上説明したように、本発明に係るインクジェットプリンタ50によれば、PGを適正な間隔に維持しつつ、記録紙Pの記録面の傷や搬送負荷の増大による記録精度の低下を生じさせることなく、コックリング等による記録紙Pの浮き上がりに起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させることができる。
また、検出装置80は、上記実施例のようにキャリッジ61に配設されているのがより好ましい。それによって、記録紙Pの大きさにかかわらず、常に記録紙Pの一定位置で記録紙Pと係合して腰を検出することができる。それによって、記録紙Pの腰を検出する位置のばらつきによって腰の検出精度がばらついてしまうことを防止することができるので、記録紙Pの大きさにかかわらず、安定した検出精度で記録紙Pの腰を検出することができる。より具体的には、例えば、記録紙Pの大きさにかかわらず、常に主走査方向Xにおける記録紙Pの中心位置を検出レバー83の先端部834で押動して腰を検出するのが好ましい。この記録紙Pの中心位置は、記録紙Pの反りによる浮き上がりが最も生じにくい部分であることから、より高精度に記録紙Pの腰を検出することができる。
さらに、本発明に係るインクジェットプリンタ50は、キャリッジ61の往復動範囲において、プラテンリブ531の頂面に支持されている記録紙Pの腰を複数の異なる検出位置で複数回検出するのがより好ましい。複数回検出した記録紙Pの腰の平均値を採用する等によって、検出誤差等によるばらつきを低減させることができるので、より高精度に記録紙Pの腰を検出してPGを設定することが可能になる。さらに、本発明に係るインクジェットプリンタ50は、上記実施例のように、自動PG調整機構が検出装置80の「変位手段」を兼ねている構成とするのが好ましい。それによって、「変位手段」を別個に設ける必要がなくなるので、本発明に係るインクジェットプリンタ50をより低コストに実現できる。
<他の実施例>
本発明に係るインクジェットプリンタ50は、プラテン53に支持される記録紙Pの腰を検出可能な状態でZ方向へ変位可能に検出装置80が配設されていれば、本発明の実施は可能であり、その配設位置は特にキャリッジ61に限定されるものではない。
例えば、プラテン53の内部に空間を設け、そのプラテン53の内部空間に、検出装置80をZ方向へ変位可能に配設することもできる。この場合は、専用の「変位手段」を別個に設ければ、検出装置80自体をZ方向へ変位させることができる。そして、検出装置80をZ方向へ所定幅(例えば、上記実施例のPG定位位置とPG最小位置との間隔に相当する幅)で変位させて、プラテン53の支持面に検出レバー83の先端部834を進退させれば良い。プラテン53に支持されている記録紙Pは、少なくとも副走査方向Yの上流側が搬送駆動ローラ51と搬送従動ローラ52とで挟持されているので、検出レバー83の先端部834で押動すれば、撓み変形させることができる。それによって、プラテン53の支持面にある記録紙Pの腰を検出装置80で検出することができる。
このような態様でも本発明の実施は可能であり、上記実施例の場合と同様に本発明による作用効果が得られる。また、上記実施例と比較して、検出装置80をキャリッジ61に設けることに伴うキャリッジ61の重量増が生じないという利点がある。さらに、キャリッジ61とキャリッジガイド軸56との間のガタつき等により腰の検出精度が低下する虞が生じないという利点がある。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
インクジェットプリンタの概略の平面図。 インクジェットプリンタの概略の側面図。 インクジェットプリンタの概略のブロック図。 インクジェットプリンタの自動PG調整機構の要部を図示した斜視図。 キャリッジが配設されている部分を拡大図示した側断面図。 検出装置が配設されている部分を拡大図示した斜視図。 キャリッジがZ方向の定位位置にある状態を図示した正面図。 検出レバー先端をプラテンリブに当接させた状態を図示した正面図。 検出レバー先端を記録紙の記録面に当接させた状態を図示した正面図。 記録紙の腰を記録紙の種類ごとに予め測定する手順のフローチャート。 記録紙の腰を検出してPGを自動設定する手順のフローチャート。
符号の説明
14 PG調整カム、33 紙検出器、34 PWセンサ、50 インクジェットプリンタ、51 搬送駆動ローラ、52 搬送従動ローラ、53 プラテン、54 排出駆動ローラ、55 排出従動ローラ、56 キャリッジガイド軸、61 キャリッジ、62 記録ヘッド、63 CRモータ、80 検出装置、81 リニアスケール、82 レバーセンサ、83 検出レバー、84 コイルばね、100 記録制御部、P 記録紙、X 主走査方向、Y 副走査方向

Claims (5)

  1. 記録ヘッドのヘッド面と被記録材の支持面との間隔を調整する間隔調整装置と、
    前記支持面に支持される被記録材の腰を検出するための検出装置と、
    前記検出装置により検出した被記録材の腰に基づいて前記間隔調整装置を制御する制御装置と、を備えた記録装置。
  2. 請求項1に記載の記録装置において、前記検出装置は、
    突き当て部材と、
    前記突き当て部材を所定荷重で付勢した状態で前記支持面と交差する方向へ変位可能に支持する突き当て部材支持装置と、
    前記突き当て部材支持装置に対する前記突き当て部材の相対的な変位量を検出する変位量検出装置と、
    前記突き当て部材支持装置を前記支持面と交差する方向へ変位させる変位手段と、を有している、ことを特徴とした記録装置。
  3. 請求項2に記載の記録装置において、前記記録ヘッドを搭載し、所定の往復動方向へ往復動可能に支持されるキャリッジと、
    前記キャリッジを往復動させる駆動装置とを備え、
    前記検出装置は、前記キャリッジに配設されている、ことを特徴とした記録装置。
  4. 請求項3に記載の記録装置において、前記間隔調整装置は、前記キャリッジを前記支持面と交差する方向へ変位させて前記記録ヘッドのヘッド面と前記支持面との間隔を調整するとともに、前記変位手段を兼ねている、ことを特徴とした記録装置。
  5. 請求項1又は2に記載の記録装置において、前記検出装置は、記録装置本体に配設されている、ことを特徴とした記録装置。
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