JP2009255068A - 水処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塩素ガスを混合して次亜塩素酸を生成せしめる気液混合機構6と、有隔膜電解槽5とを具備し、前記気液混合機構6で生成した次亜塩素酸を含有する水を被処理水に及ぼしてそのCODを低減すると共に、前記被処理水の少なくとも一部を有隔膜電解槽5に供給しその陽極側でガス化した塩素ガスを気液混合機構6に供給するようにした。生物処理ではなく次亜塩素酸によって化学的にCODを低減することができる。気液混合機構(塩素ガスの次亜塩素酸への変換)⇒被処理水のCODの低減(次亜塩素酸の酸化作用の発現)⇒有隔膜電解槽(塩素ガスのガス化の促進)⇒気液混合機構(塩素ガスの次亜塩素酸への変換)のように気液混合機構を介して塩素を循環し有効利用することができる。
【選択図】図1
Description
すなわち、地域のポンプ場から工業用水として地下水が液晶製造工場へと送水されてくる。このうち半分強が工場内の工水処理設備に供給され、シリカやカルシウム・マグネシウムなどの成分が除去される。そして、純水製造・供給設備へと送られ超純水が製造される。工場へ供給された用水のうち半分弱は空調用冷却塔へと供給され、大気への蒸発により、冷房用の冷水を作る装置で発生する熱を放散し、その残余分は活性炭濾過をし更に純水で希釈して川へと放流される。
前記超純水は液晶の製造工程でのガラス基板の洗浄、スクラバー排気の洗浄、冷却水製造装置などに使用される。超純水の排水は排水回収設備へと回収され、前記純水製造・供給設備との間で循環・再利用がなされる。
この液晶製造工場では大量の超純水が使用されており、その排水中には現像廃液その他の有機化合物が含有されている。これらの有機排水は生物処理により浄化しているが、凝集汚泥が多く発生するという問題があった。
このような水処理に関する問題は前記液晶製造工場のみならず、スイミング・プールの水質管理や食品加工場の排水その他における各種の水に共通する課題であり、あらゆる産業分野にわたった普遍的なものである。
(1)この発明の水処理システムは、塩素ガスを混合して次亜塩素酸を生成せしめる気液混合機構と、有隔膜電解槽とを具備し、前記気液混合機構で生成した次亜塩素酸を含有する水を被処理水に及ぼしてそのCODを低減すると共に、前記被処理水の少なくとも一部を有隔膜電解槽に供給しその陽極側でガス化した塩素ガスを気液混合機構に供給するようにしたことを特徴とする。
ここで、塩素ガス(Cl2)を混合して次亜塩素酸(HClO)を生成せしめる気液混合機構内では(Cl2 +H2 O→HClO+HCl)の反応が起こっているものと考えられる。こうして生成した次亜塩素酸は(HClO→HCl+(O))のように分解して活性酸素(O)を発生し、この活性酸素が被処理水のCODを低減していくものと考えられる。
この水処理システムは前記のように構成したので、生物処理ではなく次亜塩素酸によって化学的にCODを低減することができる。
また、塩素ガスを混合して次亜塩素酸を生成せしめる気液混合機構を用いることとし、前記気液混合機構で生成した次亜塩素酸を含有する水を被処理水に及ぼしてそのCODを低減すると共に、前記被処理水の少なくとも一部を有隔膜電解槽に供給しその陽極側でガス化した塩素ガスを気液混合機構に供給するようにしたので、気液混合機構(塩素ガスの次亜塩素酸への変換)⇒被処理水のCODの低減(次亜塩素酸の酸化作用の発現)⇒有隔膜電解槽(塩素ガスのガス化の促進)⇒気液混合機構(塩素ガスの次亜塩素酸への変換)のように気液混合機構を介して塩素を循環し有効利用することができる。
さらに、有隔膜電解槽で被処理水に電流を流すことにより陽極側が酸性に傾いて被処理水から塩素ガスがガス化し易い状況となり、このガス化した塩素ガスを気液混合機構に供給してより高濃度の次亜塩素酸含有水を生成させることができる。
前記被処理水として工場系排水、飲食店系排水、一般家庭系排水、PCBその他の汚染土壌系排水、塗装工場その他のVOCガスをスクラバー(scrubber、排ガス洗浄装置)により水中に置換した排水、プール水、浴場水などを例示することができ、何らかの浄化をする必要がある水は全て含まれるものであって、必ずしも捨てるものに限られるのではなく、工場系排水などのように浄化して再利用するものやプール水や浴場水のように浄化しつつ循環利用するものなども含まれる。
また、被処理水中の汚れ成分として通常の有機成分(ホルムアルデヒドなど)や、ベンゼン、トルエン、ダイオキシン類、PCBなどの難分解性有機化合物、人体の皮膚表面などから溶出した汚れ成分、またアンモニア性窒素その他の無機成分を例示することができる。前記有隔膜電流印加槽には、食塩のような塩化物や次亜塩素酸を共存させて電気分解することができる。前記汚れ評価指標として、COD(化学的酸素要求量)やTOCなどを例示することができる。
(3)前記被処理水を電気分解する電解機構を具備し、前記電解機構での処理後の被処理水を有隔膜電解槽に供給してガス化した塩素ガスを気液混合機構に供給するようにしてもよい。このように構成すると、上記の通り次亜塩素酸の酸化作用によって被処理水のCODを低減するうえに、電解機構での被処理液に対する陽極酸化(陽極で生成したOHラジカル等による酸化)によりCODが低減されると共に、前記陽極で生成した塩素ガス(2Cl−→Cl2+2e−)を有隔膜電解槽でガス化せしめ気液混合機構で有効に次亜塩素酸に変換することができる。電解機構では食塩を添加し電気伝導度を高めて電解するとよい。
(4)前記被処理水は、プロトン性の両親媒性溶媒又は/及び非プロトン性の両親媒性溶媒を含有するようにしたこととしてもよい。
このように構成すると、汚れ成分が疎水性有機成分であって水に溶解し難い場合であっても水中に相溶させて浄化処理を行うことができる。すなわち、両親媒性溶媒としてプロトン性のものと非プロトン性のものを共に相溶させるようにすると、プロトン性の両親媒性溶媒(IPAなど)は疎水性有機成分(ベンゼンなど)側に疎水基が配位し水側にプロトン性の親水基(水酸基など)が配位することとなり、非プロトン性の両親媒性溶媒(DMSOなど)は疎水性有機成分(ベンゼンなど)側に疎水基が配位し水側に非プロトン性の親水基(カルボニル酸素など)が配位することとなり、水側に配位する親水基はプロトン性か非プロトン性かのどちらかだけに偏ることはないので相互間の親和性が増大することとなり、疎水性有機成分と水との相溶性を向上させることができる。
具体的には、水とプロトン性の両親媒性溶媒(IPAなど)のみで(非プロトン性は配合せず)疎水性有機成分(ベンゼンなど)を相溶させようとするとある程度の量の溶媒が必要となり、水と非プロトン性の両親媒性溶媒(DMSOなど)のみで(プロトン性は配合せず)疎水性有機成分(ベンゼンなど)を相溶させようとするとある程度の量の溶媒が必要となったが、両親媒性溶媒としてプロトン性のものと非プロトン性のものを共に相溶させることにより、これら溶媒の量が単独の場合より相対的に少ない場合でも疎水性有機成分を相溶させることができるようになった。この両親媒性溶媒は、疎水性有機成分を水中に導入するという積極的な意義の他に浄化されるべき有機成分としての消極的な一面を有しており、その量を少なくできると最終的な浄化度(例えばCOD量など)の向上に寄与することができる。
また、分子間力などにより会合していた疎水性有機成分(ベンゼンなど)相互間に両親媒性溶媒(IPA、DMSOなど)と水が介在し相溶させた状態で処理(例えば次亜塩素酸などの酸化剤の付与や電気分解)することとなり、会合していた疎水性有機成分の分子の相互間は分離・離反され元々の集合が細分化されていることとなり、疎水性有機成分の分子は酸化作用を周囲からダイレクトに受けて分子内の結合が分断されていくこととなる。両親媒性溶媒は処理時に水と疎水性有機成分との間に介在する助剤として作用し、疎水性有機成分は酸化作用を有効に及ぼしめられる。
前記プロトン性の両親媒性溶媒としてIPA(イソプロピルアルコール)、エタノール、メタノール、MEA(モノエタノールアミン)、非プロトン性の両親媒性溶媒としてDMSO(ジメチルスルホキシド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)などを例示することができ、これらプロトン性と非プロトン性とを組み合わせて使用することができる。
ここで、両親媒性溶媒としてプロトン性のものと非プロトン性のものを共に相溶させるようにすると、プロトン性の両親媒性溶媒(IPAなど)は疎水性有機成分(ベンゼンなど)側に疎水基が配位し水側にプロトン性の親水基(水酸基など)が配位することとなり、非プロトン性の両親媒性溶媒(DMSOなど)は疎水性有機成分(ベンゼンなど)側に疎水基が配位し水側に非プロトン性の親水基(カルボニル酸素など)が配位することとなり、水側に配位する親水基はプロトン性か非プロトン性かのどちらかだけに偏ることはないので相互間の親和性が増大することとなり、疎水性有機成分と水との相溶性を向上させることができる。
前記疎水性有機成分としてベンゼン、トルエン、キシレン、スチレンなどを例示することができる。また、土壌汚染が問題となっているダイオキシン類、PCBなどの難分解性有機化合物、人体の皮膚表面などから溶出した汚れ成分などを例示することができる。前記汚染された土壌を水とプロトン性の両親媒性溶媒と非プロトン性の両親媒性溶媒で洗浄し、この洗浄水を前記のようにして浄化することができる。
生物処理ではなく次亜塩素酸によって化学的にCODを低減することができるので、従来のようには汚泥が発生しない水処理システムを提供することができる。
図1に示すように、この実施形態の水処理システムは、有機排水1が貯留される原水槽2と、被処理水(有機排水)を電気分解する電解機構3と、これに続く反応槽(1)4と、有隔膜電解槽5と、塩素ガスを混合して次亜塩素酸を生成せしめる気液混合機構6(最初に水酸化ナトリウムを貯留しておく)、反応槽(2)7と、活性炭槽8と、処理水水槽9等を具備する。
処理の流れは概略次の通りである。原水槽2に貯留された有機排水1(CODは780ppmであった)は、ポンプP1により電解機構3へと供給される。この際に食塩水10がポンプP6により同時に注入・添加され電気伝導度が高められる。有機排水1は電解機構3で電気分解処理を受け、陽極酸化によってCODが低減した後に反応槽(1)4に送られ、ここで反応のために一定時間を貯めおかれる(前記電解機構3での電気分解により残留塩素が生成しこの塩素によりCODが漸次低減されていく)。その後、有隔膜電解槽5へとポンプP4により送られる。有隔膜電解槽5の陽極側は酸性となり、ガス化し発生した塩素ガスを気液混合機構6へ供給する。有隔膜電解槽5の陰極側の処理水は残留塩素が低減されており、還元剤11(重亜硫酸ソーダ)をポンプP7で注入して更に残留塩素を低減した後に反応槽(2)7へと送る。ここで一定時間貯めおかれ、活性炭槽8へとポンプP2により送られる。次いで処理水水槽9に送られ一定時間を貯めおかれ、ポンプP3で最終的に河川放流される。この放流の時点ではCODが最終的に5ppm以下であった。
塩素ガス(Cl2)を混合して次亜塩素酸(HClO)を生成せしめる気液混合機構6内では(Cl2 +H2 O→HClO+HCl)の反応が起こっているものと考えられる。こうして生成した次亜塩素酸は(HClO→HCl+(O))のように分解して活性酸素(O)を発生し、この活性酸素が被処理水のCODを低減していくものと考えられる。
この水処理システムは前記のように構成したので、生物処理ではなく次亜塩素酸によって化学的にCODを低減することができ、従来のようには汚泥が発生しないという利点がある。また、塩素ガスを混合して次亜塩素酸を生成せしめる気液混合機構6を用いることとし、前記気液混合機構6で生成した次亜塩素酸を含有する水を被処理水に及ぼしてそのCODを低減すると共に、前記被処理水の少なくとも一部を有隔膜電解槽5に供給しその陽極側でガス化した塩素ガスを気液混合機構に供給するようにしたので、気液混合機構6(塩素ガスの次亜塩素酸への変換)⇒被処理水のCODの低減(次亜塩素酸の酸化作用の発現)⇒有隔膜電解槽5(塩素ガスのガス化の促進)⇒気液混合機構6(塩素ガスの次亜塩素酸への変換)のように気液混合機構6を介して塩素を循環し有効利用することができる。さらに、有隔膜電解槽5で被処理水に電流を流すことにより陽極側が酸性に傾いて被処理水から塩素ガスがガス化し易い状況となり、このガス化した塩素ガスを気液混合機構に供給してより高濃度の次亜塩素酸含有水を生成させることができる。
さらに、前記気液混合機構6で生成した次亜塩素酸を含有する水を電気分解してから被処理水に及ぼしてそのCODを低減すると、気液混合機構6で生成した次亜塩素酸が電気分解されることにより活性化された状態となって被処理水に及ぼされるので、CODの低減効果が向上したものとすることができるという利点がある。
5 有隔膜電解槽
6 気液混合機構
Claims (4)
- 塩素ガスを混合して次亜塩素酸を生成せしめる気液混合機構と、有隔膜電解槽とを具備し、前記気液混合機構で生成した次亜塩素酸を含有する水を被処理水に及ぼしてそのCODを低減すると共に、前記被処理水の少なくとも一部を有隔膜電解槽に供給しその陽極側でガス化した塩素ガスを気液混合機構に供給するようにしたことを特徴とする水処理システム。
- 前記気液混合機構で生成した次亜塩素酸を含有する水を電気分解してから被処理水に及ぼしてそのCODを低減するようにした請求項1記載の水処理システム。
- 前記被処理水を電気分解する電解機構を具備し、前記電解機構での処理後の被処理水を有隔膜電解槽に供給してガス化した塩素ガスを気液混合機構に供給するようにした請求項1又は2記載の水処理システム。
- 前記被処理水は、プロトン性の両親媒性溶媒又は/及び非プロトン性の両親媒性溶媒を含有するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の水処理システム。
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