JP2009252871A - 半導体発光素子の製造方法および半導体発光素子の製造装置 - Google Patents

半導体発光素子の製造方法および半導体発光素子の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】大面積ウェハ(成長用基板および支持基板)の成長用基板除去プロセスの一環として、該ウェハの反りを低減することで、レーザ光の照射むらを低減し、成長用基板を分離するための分離層を全面均一に形成できる半導体発光素子の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】本発明は、成長用基板の表面に発光層を含む半導体層を積層し半導体積層体を形成する第1の工程と、成長用基板の半導体積層体側と支持基板の接合面側とを相互に向き合わせて配置し、かつ、成長用基板と支持基板とを接合するための接合層を成長用基板と支持基板との間に形成する第2の工程と、少なくとも成長用基板と支持基板とを加熱し、同時に、成長用基板の裏面からレーザ光を照射する第3の工程とを備える半導体発光素子の製造方法およびそのための製造装置に関する。
【選択図】図4

Description

本発明は半導体発光素子の製造方法と該半導体発光素子の製造装置に関する。
GaN等を含む窒化物系の半導体発光素子については、広く研究が進められている。たとえば、GaNを含む青色系発光ダイオード(以下、LED)と黄色の発光体とを組み合わせた白色LEDは、携帯電話等の液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトとして普及している。また、該白色LEDは、低消費電力および長寿命などの利点を持っているので、蛍光灯や白熱灯に代わる光源として期待されており、研究および開発が盛んに行われている。
しかし、LED自体の出力はまだまだ低く、更なる改善が必要とされている。改善の手段として、LEDの内部量子効率を向上させたり、活性層で発生した光を外部に取り出す光取り出し効率を向上させることなどが考えられる。特に光取り出し効率については、空気との屈折率差のため、外部に取り出されない光が多くあるため、改善の課題となっている。また、LEDチップ単体の価格下落の中、製造技術の改善が求められている。
そこで、たとえば、特許第3259811号公報(特許文献1)に示す窒化物半導体素子のように、厚み方向に上下の方向に、電極を形成し、光取り出し効率を向上させたものが提案されている。
図7は従来の製造方法で製造された半導体発光素子の模式的な断面図を示す。以下、図7に基づいて説明する。特許文献1の実施例においては、絶縁性基板としてサファイア基板(図示せず)を準備し、該サファイア基板上にn型層61、活性層62、p型層63およびGaN系LEDのp型層63の順で積層し、該p型層63上に、第1のオーミック電極64としてNiとAuとを含む電極を形成し、さらに該電極の上に接着性を良くするためにAuを0.1μm形成する。そして、支持基板として導電性のあるp型GaAs基板7を準備し、該p型GaAs基板7上に第2のオーミック電極65としてAu−Znを含む電極を形成し、さらに該電極の上に接着性を良くするためにAuを0.1μm形成する。そして、サファイア基板における第1のオーミック電極64とp型GaAs基板7における第2のオーミック電極65とを加熱圧着により接合させる。そして、サファイア基板をラッピングにより除去して、最後に正電極66および負電極67を形成し、導電性基板上に発光素子を作製する手法が開示されている。
しかし、この手法では、サファイア基板を除去する手間が煩雑であるとの問題があった。また、加熱圧着による接合の際に、成長用に用いたサファイア基板と、支持基板に用いたGaAs基板の熱膨張係数差により、ウェハに反りが生じてしまう。そのため、ラッピング面が一様に研磨されずに、それはそのままウェハの歩留まり低下につながってしまう。そのため、LLO(レーザ光リフトオフ)技術を用い、サファイア基板を分離するための分離層をレーザ光のデフォーカスポイントで形成することにより、歩留まりを向上させることを目指し検討を進められていた。しかし、このような検討においても、2inch、3inchの大口径ウェハになると反りが大きくなること、また、分離層を形成むらが生じることから、歩留まりは低下してしまうという問題があった。
特許第3259811号公報
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、大面積ウェハ(成長用基板および支持基板)の成長用基板除去プロセスの一環として、該ウェハの反りを低減することで、レーザ光の照射むらを低減し、成長用基板を分離するための分離層を全面均一に形成できる半導体発光素子の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該製造方法を実現するための製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、成長用基板の表面に発光層を含む半導体層を積層し半導体積層体を形成する第1の工程と、成長用基板の半導体積層体側と支持基板の接合面側とを相互に向き合わせて配置し、かつ、成長用基板と支持基板とを接合するための接合層を成長用基板と支持基板との間に形成する第2の工程と、少なくとも成長用基板と支持基板とを加熱し、同時に、成長用基板の裏面からレーザ光を照射する第3の工程とを備える半導体発光素子の製造方法に関する。
また、本発明における半導体発光素子の製造方法において、半導体層は、窒化物半導体を含むことが好ましい。
また、本発明における半導体発光素子の製造方法において、第3の工程は、第3の工程後の発光素子形成工程における加熱の温度より高い温度で少なくとも成長用基板と支持基板とを加熱することが好ましい。
また、本発明における半導体発光素子の製造方法において、第3の工程は、成長用基板および支持基板内の少なくとも一部が100℃以上になるように少なくとも成長用基板と支持基板とを加熱することが好ましい。
また、本発明における半導体発光素子の製造方法において、接合層の材料は、第3の工程後の発光素子形成工程における加熱の温度より高い融点または共晶点を有することが好ましい。
また、本発明における半導体発光素子の製造方法において、接合層の材料は、少なくとも100℃以上の融点または共晶点を有することが好ましい。
また、本発明における半導体発光素子の製造方法において、レーザ光の波長は、半導体層のバンドギャップ波長よりも短波長であることが好ましい。
また、本発明における半導体発光素子の製造方法において、レーザ光の波長は、成長用基板を透過する波長であることが好ましい。
また、本発明における半導体発光素子の製造方法において、成長用基板は、レーザ光を透過する材料からなり、裏面が鏡面に研磨されていることが好ましい。
また、本発明における半導体発光素子の製造方法において、第3の工程は、さらに同時に、成長用基板と支持基板とをそれぞれ接合層に向かって半導体発光素子の厚み方向に加圧することが好ましい。
また、本発明は、発光層を含む半導体層が表面に積層されて半導体積層体が形成された成長用基板と、支持基板とを、接合層を介して、成長用基板の半導体積層体側と支持基板の接合面側とを相互に向き合うよう配置させる第1の機構と、少なくとも成長用基板と支持基板とを加熱し、かつ、成長用基板の裏面からレーザ光を照射する第2の機構とを備える半導体発光素子の製造装置に関する。
また、本発明における半導体発光素子の製造装置において、第1の機構は、加熱と同時に成長用基板と支持基板とをそれぞれ接合層に向かって半導体発光素子の厚み方向に加圧する機構を有することが好ましい。
また、本発明における半導体発光素子の製造装置において、第1の機構は、成長用基板を保持する土台を有し、土台は、レーザ光を透過する材料からなることが好ましい。
また、本発明における半導体発光素子の製造装置において、第1の機構は、成長用基板と支持基板とを半導体発光素子の厚み方向に加圧する機構としてピストン天板を有し、ピストン天板は、レーザ光を透過する材料からなることが好ましい。
本発明は、大面積ウェハ(成長用基板および支持基板)の成長用基板除去プロセスの一環として、該ウェハの反りを低減することで、レーザ光の照射むらを低減し、成長用基板を分離するための分離層を全面均一に形成できる半導体発光素子の製造方法を提供することができる。また、本発明は、該製造方法を実現するための製造装置を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。また、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法を表してはいない。
<半導体発光素子の製造方法>
本発明における半導体発光素子の製造方法においては、少なくとも第1の工程、第2の工程および第3の工程を備える。第1の工程とは、成長用基板の表面に発光層を含む半導体層を積層し半導体積層体を形成する工程であり、第2の工程とは、成長用基板の半導体積層体側と支持基板の接合面側とを相互に向き合わせて配置し、かつ、成長用基板と支持基板とを接合するための接合層を成長用基板と支持基板との間に形成する工程であり、第3の工程とは、少なくとも成長用基板と支持基板とを加熱し、同時に、成長用基板の裏面からレーザ光を照射する工程である。ここで、本発明においては、成長用基板の裏面とは、該半導体層が形成されていない面を示すものとする。
図1および図2は、本実施形態における第1の工程を示す模式的な断面図であり、図3は、本実施形態における第2の工程を示す模式的な断面図であり、図4は、本実施形態における第3の工程を示す模式的な断面図である。
以下、図1〜図4に基づいて第1の工程から第3の工程について詳述する。
≪第1の工程≫
まず、図1に示すように、成長用基板としてのサファイア基板1上に半導体層として複数の窒化物半導体層を積層し、半導体積層体2を形成する。
この半導体積層体2は、サファイア基板1側から順に、GaNバッファ層21、ドナー不純物がドープされたAlxGa1-xN(0≦x≦1)のn型層22、InyGa1-yN(0<y<1)の活性層23、およびアクセプター不純物がドープされたAlxGa1-xN(0≦x≦1)のp型層24から形成される。これらの半導体積層体2の結晶成長には、MOCVD法(有機金属気相成長法)が用いられ得る。ここで、本発明においては、半導体層は、窒化物半導体を含むことが好ましいため、本実施形態においては、半導体層は窒化物半導体からなるものとできる。
そして、図2に示すように、半導体積層体2の上に電流阻止層31として、SiO2をスパッタリング法等にて蒸着する。そして、該電流阻止層31は、レジストパターニングにて最終製品としての半導体発光素子のパッド電極の真下となるよう設定し形成する。そして、電流阻止層31と半導体積層体2とを覆うようにn型コンタクト電極32としてのAg−Nd合金層と、密着層33としてのNi−Ti合金層とをスパッタリング法にて形成する。その後、密着性向上のために、真空中にて500℃で該サファイア基板を加熱することでアロイ処理を行なう。そして、バリア層34としてのTi層および厚さ30nmのPt層を形成する。連続して、その上に接着層35としてのAu層を形成する。
そして、接着層35表面をレジストで保護した後に、サファイア基板1の裏面を研削し、さらに仕上げとして、10μm程度研磨を行なうことが好ましい。これは、後述するとおり、レーザ光を散乱することを防止するためである。
≪第2の工程≫
本工程では、図3に示すように、成長用基板としてのサファイア基板1の半導体積層体2側と支持基板5の接合面側とを相互に向き合わせて配置し、かつ、サファイア基板1と支持基板5とを接合するための接合層43をサファイア基板1と支持基板5との間に形成する。そこで、まず、サファイア基板1と同等の大きさを有する支持基板5としてのSi基板を準備する。そして、該Si基板の接合面側となる表面上には、p型コンタクト電極41として厚さ150nmのTi層をEB(エレクトロンビーム)法にて蒸着し、さらに密着層42として厚さ500nmのAu層を抵抗加熱法にて成膜することが好ましい。
本実施形態においては、接合層43として、厚さ3μmのAuSn(20%)層を、該支持基板5上に形成された密着層42の上に形成してから、サファイア基板1の半導体積層体2側と支持基板5の接合面側とを相互に向き合わせて配置する。ただし、接合層43は、接着層35の上に形成してから半導体積層体2と支持基板5の接合面とを相互に向き合わせて配置してもよい。つまり、半導体積層体2と該接合面との間に接合層43を形成されれば、特に手段は限定されない。
接合層43の材料は、結果として成長用基板と支持基板とを接着できれば特に制限はない。また、接合強度の点から共晶接合を用いるのであれば、AuSn、AuGe、AuSi、AuInなどの材料を加熱圧着させる手法を用いることができる。また、表面活性化法であれば、特に材料は限定されず、InやAgペーストなどの材料を使っても良い。
また、接合層43の材料は、後述する第3の工程後の発光素子形成工程における加熱の温度より高い融点または共晶点を有することが好ましく、少なくとも100℃以上の融点または共晶点を有することが特に好ましい。つまり、第3の工程の後に行なわれる半導体発光素子を完成するための工程で接合層43が加熱される温度よりも、高い融点または共晶点を有することが好ましい。該融点や、共晶点が第3の工程後の発光素子形成工程、たとえば、フォトレジストの硬化工程等の際の加熱温度よりも高くなければ、接合層43が遊離してしまい、半導体発光素子の歩留まりが落ちてしまう虞があるからである。なお、発光素子形成工程とは、本発明の半導体発光素子の製造方法にかかる第1の工程、第2の工程および第3の工程のほかの工程を示すものとする。
≪第3の工程≫
図4に示すように、本工程では、少なくともサファイア基板1および支持基板5を加熱し、同時に、サファイア基板1の裏面からレーザ光10を照射する。さらにレーザ光10をサファイア基板1の裏面側から照射することにより、サファイア基板1と支持基板5との反りを抑えながら、同時に分離層71を形成することができる。また、本工程において、接合層43を溶融することによって達成されるサファイア基板1と支持基板5との接合と、分離層71の剥離とを同時に行なうことも可能である。該加熱とレーザ光10の照射とを同時に行なうことによって、ウェハの反りが低減しウェハの中心と最外周部分との高低差が小さくなり、結果として、レーザ光10の照射にむらが生じにくくなり、分離層71を均一にけいせいすることができる。
ここで、本工程において、加熱とレーザ光10の照射とは、開始および終了するときが必ずしも同一である必要はなく、双方が同時に行われる時間が設けられていればよい。
また、本工程における加熱の方法は、たとえば、成長用基板であるサファイア基板1および支持基板5の双方を直接加熱してもよいし、サファイア基板1のみを直接加熱して、伝熱によって支持基板5を加熱することとなっても良い。
また、本実施形態における分離層71とは、半導体積層体2にレーザ光10を照射することにより、該半導体積層体2の元々の結晶組成を変化させ、容易にサファイア基板1が分離しやすいようにさせた変質層のことをさす。具体的には、該分離層71は半導体積層体2におけるバッファ層21およびn型層22の一部に設けられる。
また、本工程においては、本工程後の発光素子形成工程における加熱の温度より高い温度で少なくとも成長用基板としてのサファイア基板1と支持基板5とを加熱することが好ましく、該サファイア基板1および支持基板5内の少なくとも一部が100℃以上になるように少なくともサファイア基板1と支持基板5と接合層43とを加熱することが好ましい。本工程後の発光素子形成工程において加熱される温度よりも、本工程の加熱温度が低い場合、発光素子形成工程において、接合層43の遊離が発生する虞があるためである。たとえば、AuとAuSnとの接合の場合、AuSn20%の融点は280℃程度と比較的低温だが、Auと接合させることにより相互拡散させ、Auの組成を増やすことにより、より高温の融点を有するようにすることが可能であり、280℃で接着したあとのパッケージへの実装プロセスにて400℃に加熱しても遊離が発生することは無かった。
また、成長用基板や支持基板、さらには接合層に用いられる材料、もしくは成長用基板と支持基板とが事前に接合しているかどうかにもよるが、AuSnの共晶接合を利用する場合は、共晶点である280℃程度以上に該サファイア基板1および支持基板5を加熱することが特に好ましい。これは、サファイア基板1と支持基板5との接合と、分離層71の形成を同時に行なう場合に特に有効である。
また、該レーザ光10の波長は、半導体層のバンドギャップ波長よりも短波長であることが好ましい。これは、サファイア基板1を除去するために半導体積層体2における窒化物半導体層に分離層71を形成する必要があり、そのためには、半導体積層体2でレーザ光を吸収させる必要があるためである。
また、該レーザ光10の波長は、成長用基板としてのサファイア基板1を透過する波長であることが特に好ましい。これは、レーザ光10はサファイア基板1の裏面からサファイア基板1を通って半導体積層体2に到達するためである。そして、該サファイア基板1が無色透明に近ければ、レーザ光10の波長の選択幅が広がる。したがって、このような見地から成長用基板としてサファイア基板1以外の材料を選択することもできる。
また、本工程においては、さらに同時に、成長用基板としてのサファイア基板1と支持基板5とを半導体発光素子の厚み方向に接合層43に向かって加圧することが好ましい。
たとえば、成長用基板としてのサファイア基板1と支持基板5とを接合されていない状態で配置し、該サファイア基板1と支持基板5とに対する加熱だけで、双方の接合を行なった後、該サファイア基板1の裏面からレーザ光を照射すると、接合層43の微小な凹凸等が密着性が低減し、結果としてサファイア基板1と支持基板5との接着強度を弱くする場合があるためである。しかし、サファイア基板1と支持基板5とを厚み方向に加圧することで、第3の工程における該接着強度が増し、より歩留まりが向上させることができる。また、サファイア基板1と支持基板5が接着した状態であるとき、および接合層43の材料の共晶点や融点まで加熱していないときであっても、加圧することによって、サファイア基板1および支持基板5の反りを矯正し、歩留まりを向上させることができる。
また、成長用基板にサファイア基板1を用いる他に、GaNバルク基板、GaAs、Siなどを用いることができる。これらの材料は、成長用基板の表面に成長させる半導体の結晶性が良いことからも好ましい。そして、第3の工程において、成長用基板はレーザ光10の少なくとも一部を透過する必要がある。これは、レーザ光10が半導体積層体2に到達するまでに成長用基板に吸収されてしまっては、分離層72を形成できないためである。したがって、成長用基板の裏面は研磨されて、レーザ光10が散乱しないような状態が形成されていることが好ましい。また、成長用基板中にレーザ光10を散乱させるような不純物が無いような状態が好ましい。
また、支持基板5においては、Siのほか、導電性や入手のしやすさから考えて、Ge、GaAs、SiC等を用いることができる。
また、本発明においては、半導体層は、窒化物半導体を含むことが好ましい。したがって、半導体層は、たとえば、GaN、AlGaN、AlGaInNおよびInN等であることが好ましい。これは、半導体層が窒化物半導体であれば、分離層71が形成されやすく、その後のプロセスにおいてサファイア基板1を分離されやすい。たとえばGaN系半導体で構成されている場合、ある条件のレーザ光を照射すると、GaNがGaとNに分離され分離層が形成される。そして、60℃程度のお湯に漬けると簡単に成長用基板を除去することが可能である。本実施形態においては、GaとNに結晶が分解され分離層71となっており、60℃は、Gaを溶かすために十分な温度である。また、お湯に漬けるとGaが溶けていって、水が基板と半導体結晶の間に侵入する様子が分かり、サファイア基板1が除去できるタイミングを確認することができる。
また、レーザ光10は、サファイア基板1の全面に一度に照射できない場合は、レーザ光10を走査させて照射させることが好ましい。
本発明の方法において、照射するレーザ光10は発光素子の発光波長よりも短波長であることが好ましい。材料により異なるので例を挙げて説明すると、GaN系半導体であれば、約370nmのエネルギーバンドギャップを有するため、レーザ光10には、355nmのTHG−YAGレーザ光を用いることが好ましい。その半導体積層体2の吸収係数が大きい波長領域を用いることにより、あまりレーザ光10の強さを上げる必要が無いので、レーザ光10寿命を考慮したコスト面や、安全面でも有利である。
本発明における半導体発光装置の製造方法によると、大面積ウェハの成長用基板除去プロセスの一環として、レーザ光の照射むらを低減し、サファイア基板を分離するための分離層を全面均一に形成でき、該ウェハの反りを低減することができる。
なお、図4においては、n型コンタクト電極32、密着層33、バリア層34および接着層35を積層部3として表している。
≪発光素子形成工程≫
第3の工程の後、周知の発光素子形成工程を適宜選択し、半導体発光素子が形成される。
図5は、本実施形態の製造方法で製造された半導体発光素子の模式的な斜視図である。
以下、図5に基づいて説明する。第3工程の後に、支持基板5に対して、チップ分割溝をICP(inductively couple plasma etching)にて形成し、半導体積層体2を溝部分において除去する。そして、該支持基板5における光取り出し面である、半導体積層体2表面を粗面にする。
さらに、n型用オーミックの負電極25として、Ti−Al層をパッド状に形成し、他方、支持基板5の全表面上に、p型用オーミックの正電極55として、Ti−Al層を形成する。
最後に支持基板5をダイシング装置にて所望の大きさに切断する。
<半導体発光素子の製造装置>
本発明の半導体発光素子の製造装置においては、少なくとも第1の機構および第2の機構を備える。第1の機構とは、発光層を含む半導体層が表面に積層されて半導体積層体が形成された成長用基板と、支持基板とを、接合層を介して、該半導体積層体と該支持基板の接合面とが相互に向き合うよう配置させる機構であり、第2の機構とは、該成長用基板と支持基板とを加熱し、かつ、該成長用基板の裏面からレーザ光を照射する機構である。第1の機構および第2の機構を備えることで、上述した半導体発光素子の製造方法を達成することができる。
図6は、本実施形態における半導体発光素子の製造装置を示す模式的な断面図である。以下、図6に基づいて説明する。
≪第1の機構≫
第1の機構は、たとえば発光層を含む半導体層が表面に積層されて半導体積層体が形成された成長用基板を固定するための土台82を備え、同時にたとえば支持基板を固定するための台を少なくとも備える。そして、第1の機構は、接合層を介して、該半導体積層体と該支持基板の接合面とが相互に向き合うよう配置させる。本実施形態においては、さらに成長用基板と支持基板とをそれぞれ接合層に向かって半導体発光素子の厚み方向に加圧する機構としてピストン天板83を有する。該ピストン天板83は、上述した支持基板を固定するための台としての役割も果たしている。また、加圧する際、配置する順番が、土台、成長用基板、支持基板の場合は、たとえばピストン天板83は、レーザ光を透過する材料で構成されていることが好ましい。
≪第2の機構≫
第2の機構は、成長用基板と支持基板とを加熱する機構と、レーザ光を照射する可動式レーザ照射機構とを備える。たとえば、土台、成長用基板、支持基板の順に配置した場合、土台82の下に可動式レーザ光照射機構81が配置されており、土台82をレーザ光は透過し、成長用基板にレーザ光照射を行なうことができる。また、土台82、支持基板および成長用基板の順に配置した場合、製造装置の上方向からレーザ光が成長用基板に照射されることとしても良い。たとえば、レーザ光出射口はピストン可動部側に設置しても良いし、支持部に設置しても良いのは言うまでも無い。
本実施形態においては、第1の機構および第2の機構を備えることによって、加熱と同時に加圧しつつレーザ光を照射することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
≪第1の工程≫
図1および図2に基づいて本実施例の第1の工程を説明する。まず、図1に示すように、成長用基板としてのサファイア基板1上にサファイア基板1側から順に、GaNバッファ層21、ドナー不純物がドープされたAlxGa1-xN(0≦x≦1)のn型層22、InyGa1-yN(0<y<1)の活性層23、およびアクセプター不純物がドープされたAlxGa1-xN(0≦x≦1)のp型層24を積層し、半導体積層体2を形成した。半導体積層体2の結晶成長は、MOCVD法(有機金属気相成長法)にて行なった。
そして、図2に示すように、半導体積層体2の上に電流阻止層31として、SiO2をスパッタリング法にて1μm蒸着した。この際該電流阻止層31は、レジストパターニングにて最終製品としての半導体発光素子のパッド電極の真下となるよう設定し形成した。そして、電流阻止層31と半導体積層体2とを覆うようにn型コンタクト電極32として厚さ100nmのAg−Nd合金層と、密着層33として厚さ10nmのNi−Ti合金層とをスパッタリング法にて形成した。その後、密着性向上のために、真空中にて500℃で該サファイア基板を加熱することでアロイ処理を行なった。そして、バリア層34として、厚さ100nmのTi層および厚さ30nmのPt層を形成し、連続して、その上に接着層35として厚さ3μmのAu層を形成した。
そして、接着層35表面をレジストで保護した後に、サファイア基板1の裏面を20μm研削し、さらに仕上げとして、10μm研磨を行なった。
≪第2の工程≫
次に、サファイア基板1と同等の大きさを有する支持基板5としてのSi基板を準備する(図3参照)。そして、該Si基板5上には、p型コンタクト電極41として厚さ150nmのTi層をEB(エレクトロンビーム)法にて蒸着し、さらに密着層42として厚さ500nmのAu層を抵抗加熱法にて成膜した。
そして、図6に示す構成を有する製造装置に上述のサファイア基板1と支持基板5とを搬送し、サファイア基板1と支持基板5とを、サファイア基板1の半導体積層体側と支持基板5の接合面側とを相互に向き合わせて配置し、Au層からなる接着層35および密着層42との間に厚さ3μmのAuSn(20%)層からなる接合層43を形成した。
≪第3の工程≫
図4および図6に基づいて説明する。製造装置内において、サファイア基板1と支持基板5と接合層43とを300℃で加熱し、ピストン天板83によって厚み方向に3500Nの圧力をかけ、接合させる。その状態で1分保持し、接合が完了した時点で、サファイア基板1の裏面から355nmTHG−YAGのレーザ光10を照射し、分離層71を形成した。
その後、冷却を開始し、サファイア基板1が150℃になったら加圧を終了する。次に、接合された該サファイア基板1と支持基板5とを、60℃のお湯に浸漬することで、30秒後に、サファイア基板1は分離層71から解離した。そして、サファイア基板1を除去した後の支持基板5等、HCl水溶液に浸してダメージ層や、残留している分離層71を除去した。
≪発光素子形成工程≫
図5に基づいて説明する。
次に、支持基板5に対して、チップ分割溝をICP(inductively couple plasma etching)にて形成し、半導体積層体2を溝部分において除去した。そして、該支持基板5をKOH溶液に浸漬させて、光取り出し面である、半導体積層体2表面を粗面にした。
さらに、n型用オーミックの負電極25として、Ti−Alからなる厚さ20nmの層をパッド状に形成した。他方、支持基板5の全表面上に、p型用オーミックの負電極55として、Ti−Alからなる750nmの膜厚の層を形成した。
最後に支持基板5をダイシング装置にて350μm角に分割して図5に図示する窒化物半導体発光素子が完成させた。
<比較例>
実施例1における第3の工程において、サファイア基板1と支持基板5とを3500Nの圧力をかけて接合した後に、室温中に取り出し空冷した後にサファイア基板1にレーザ光を照射した。それ以外の工程では、実施例1と同様に行なった。
<検討>
比較例においては、レーザ光の照射前に、すでにウェハ(サファイア基板1および支持基板5)の反りが生じ、2inchのウェハで中心と最外周部分との高低差が200〜300μmもあった。したがって、レーザ光の照射の際に、ウェハの中心と最外周部分との焦点位置が大きく変わってしまうため、分離層の形成にむらが発生し、歩留まりが低かった。
一方、しかし、実施例1によると、分離層71の形成むらが50%以上改善された。
また、この実施例によると、サファイア基板1と支持基板5との接合、分離層71の剥離が同時に行なえるだけでなく、接合時に生じる反りが加熱と加圧により緩和されているため、レーザ光照射歩留まりが向上し、従来方法よりも不良素子の割合が30%低減されることが分かった。
<実施例2>
本実施例においては、実施例1における第2工程の前に、すでにサファイア基板1および支持基板5を接合する工程を別途設け、その後に製造装置に搬送し、第2の工程としてサファイア基板1および支持基板5を300℃に加熱し、かつ、サファイア基板1の裏面からレーザ光10を照射し、分離層71を形成した。それ以外の工程においては、実施例1と同様に行なった。
本実施例においては、第3の工程は、分離層71を形成するための工程である。実施例1と比較して接合を別途行なうために、プロセス手順は増えた。しかし、該接合をあらかじめ行なっておくことによって、本実施例の製造装置においては、加圧する機構を省くことができたため、本実施例を行なうための製造装置は、より簡易的な構造とすることができた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の一実施形態における第1の工程を示す模式的な断面図である。 本発明の一実施形態における第1の工程を示す模式的な断面図である。 本発明の一実施形態における第2の工程を示す模式的な断面図である。 本発明の一実施形態における第3の工程を示す模式的な断面図である。 本発明の一実施形態の製造方法で製造された半導体発光素子の模式的な斜視図である。 本発明の一実施形態における半導体発光素子の製造装置を示す模式的な断面図である。 従来の製造方法で製造された半導体発光素子の模式的な断面図を示す。
符号の説明
1 サファイア基板、2 半導体積層体、3 積層部、5 支持基板、7 p型GaAs基板、10 レーザ光、21 バッファ層、22 n型層、23 活性層、24 p型層、25,67 負電極、31 電流阻止層、32 n型コンタクト電極、33,42 密着層、34 バリア層、35 接着層、41 p型コンタクト電極、43 接合層、55,66 正電極、61 n型層、62 活性層、63 p型層、64 第1のオーミック電極、65 第2のオーミック電極、71 分離層、81 可動式レーザ照射装置、82 土台、83 ピストン天板。

Claims (13)

  1. 成長用基板の表面に発光層を含む半導体層を積層し半導体積層体を形成する第1の工程と、
    前記成長用基板と前記支持基板とを、前記成長用基板の前記半導体積層体側と支持基板の接合面側とを相互に向き合わせて配置し、かつ、前記成長用基板と前記支持基板とを接合するための接合層を前記成長用基板と前記支持基板との間に形成する第2の工程と、
    少なくとも前記成長用基板と前記支持基板とを加熱し、同時に、前記成長用基板の裏面からレーザ光を照射する第3の工程と、
    を備える半導体発光素子の製造方法。
  2. 前記半導体層は、窒化物半導体を含む請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
  3. 前記第3の工程は、前記成長用基板および前記支持基板内の少なくとも一部が100℃以上になるように少なくとも前記成長用基板と前記支持基板とを加熱する請求項1または2に記載の半導体発光素子の製造方法。
  4. 前記接合層の材料は、前記第3の工程後の発光素子形成工程における加熱の温度より高い融点または共晶点を有する請求項1〜3のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記接合層の材料は、少なくとも100℃以上の融点または共晶点を有する請求項1〜4のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  6. 前記レーザ光の波長は、前記半導体層のバンドギャップ波長よりも短波長である請求項1〜5のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  7. 前記レーザ光の波長は、前記成長用基板を透過する波長である請求項6に記載の半導体発光素子の製造方法。
  8. 前記成長用基板は、前記レーザ光を透過する材料からなり、裏面が鏡面に研磨されている請求項1〜7のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  9. 前記第3の工程は、さらに同時に、前記成長用基板と前記支持基板とをそれぞれ前記接合層に向かって前記半導体発光素子の厚み方向に加圧する請求項1〜8のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
  10. 発光層を含む半導体層が表面に積層されて半導体積層体が形成された成長用基板と、支持基板とを、接合層を介して、前記成長用基板の前記半導体積層体側と前記支持基板の接合面側とを相互に向き合うよう配置させる第1の機構と、
    少なくとも前記成長用基板と前記支持基板とを加熱し、かつ、前記成長用基板の裏面からレーザ光を照射する第2の機構と、
    を備える半導体発光素子の製造装置。
  11. 前記第1の機構は、加熱と同時に前記成長用基板と前記支持基板とをそれぞれ前記接合層に向かって前記半導体発光素子の厚み方向に加圧する機構を有する請求項10に記載の半導体発光素子の製造装置。
  12. 前記第1の機構は、前記成長用基板を保持する土台を有し、
    前記土台は、前記レーザ光を透過する材料からなる請求項10または11に記載の半導体発光素子の製造装置。
  13. 前記第1の機構は、前記成長用基板と前記支持基板とを前記半導体発光素子の厚み方向に加圧する機構としてピストン天板を有し、
    前記ピストン天板は、前記レーザ光を透過する材料からなる請求項10〜12のいずれかに記載の半導体発光素子の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011049518A (ja) * 2009-08-26 2011-03-10 Seoul Opto Devices Co Ltd レーザリフトオフ技術を用いて発光ダイオードを製造する方法及びヒータを有するレーザリフトオフ装置
JP2012079824A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Stanley Electric Co Ltd 積層半導体および積層半導体の製造方法
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