JP2009250111A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成にて異なる帯域の騒音をともに低減し、騒音を確実に抑制する。
【解決手段】マフラー31は、シャフト22を通過させる開口31d及び吐出ポートから吐出された冷媒が通過する2つの吐出孔を有しており、その2つの吐出孔は、開口31dを中心として互いに対向に配置される。また、フロントヘッド32及びシリンダ33には、ヘルムホルツ共鳴器となるヘルムホルツ吸音室1a及び空間の容積を調整するための容積調整室1bがそれぞれマフラー空間A1に連通するように形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、ヘッドの他端面と共にマフラー空間を形成するマフラーカバーを備えた圧縮機に関する。
従来、内側のマフラー及び外側のマフラーにより構成される2段マフラー構造とし、外側のマフラーにてマフラー空間の容積を左右対称とすることで、内側のマフラーにおいて圧縮された冷媒を整流した後、外側のマフラーの吐出孔から吐出される冷媒を対称音源として、所定の帯域の騒音を抑制している(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献1にて抑制する騒音とは異なる特定周波数の騒音を抑制する方法として、ヘルムホルツ共鳴器を利用する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−133377号公報 特開平4−370389号公報
しかしながら、上記した異なる帯域の騒音を低減するために、2段マフラー構造としたり、ヘルムホルツ共鳴器を設けるなど特別な構成を設けて、異なる帯域の騒音を各々独自の構成で低減していた。
そこで、この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成にて異なる帯域の騒音をともに低減し、騒音を確実に抑制することが可能な圧縮機を提供することを目的とする。
第1の発明にかかる圧縮機は、ヘッドの一端面に取り付けられ、シリンダ室を有するシリンダと、ヘッドの他端面に取り付けられ、ヘッドの他端面と共にマフラー空間を形成するマフラカバーとを備え、マフラーカバーには、軸部材を通過させる開口及び開口を中心として互いに対向に配置した2つの吐出孔を形成すると共に、ヘッド及びシリンダには、ヘルムホルツ共鳴器となる吸音室をマフラー空間に連通するように形成すると共に、マフラー空間に連通するように容積調整室を形成する。
この第1の発明にかかる圧縮機では、容積調整室を設けることで、空間容積の調整が可能となるので、2段マフラー構造を採用することなく、1段マフラー構造にて2つの吐出孔から吐出される冷媒を対称音源として所定の帯域の騒音を低減できるとともに、ヘルムホルツ吸音室を設けることで、別途ヘルムホルツ共鳴器を設けることなく、特定周波数の騒音も低減できる。従って、簡単な構成で異なる帯域の騒音を同時に低減することができる。
第2の発明にかかる圧縮機は、圧縮された冷媒が吐出される吐出ポートを有するヘッドと、ヘッドの一端面に取り付けられ、シリンダ室を有するシリンダと、ヘッドの他端面に取り付けられ、ヘッドの他端面と共にマフラー空間を形成するマフラカバーとを備え、マフラーカバーには、軸部材を通過させる開口及び開口を中心として互いに対向に配置した2つの吐出孔を形成すると共に、ヘッド及びシリンダには、ヘルムホルツ共鳴器となる吸音室をマフラー空間に連通するように形成する。
第3の発明にかかる圧縮機は、圧縮された冷媒が吐出される吐出ポートを有するヘッドと、ヘッドの一端面に取り付けられ、シリンダ室を有するシリンダと、ヘッドの他端面に取り付けられ、ヘッドの他端面と共にマフラー空間を形成するマフラカバーとを備え、マフラーカバーには、軸部材を通過させる開口及び開口を中心として互いに対向に配置した2つの吐出孔を形成すると共に、ヘッドには、ヘルムホルツ共鳴器となる吸音室をマフラー空間に連通するように形成する。
この第2及び第3の発明にかかる圧縮機では、ヘルムホルツ共鳴器となる吸音室を、マフラー空間に連通させることで、空間容積の調整が可能となるので、2段マフラー構造を採用することなく、1段マフラー構造にて2つの吐出孔から吐出される冷媒を対称音源として所定の帯域の騒音を低減できるとともに、別途ヘルムホルツ共鳴器を設けることなく、特定周波数の騒音も低減できる。従って、簡単な構成で異なる帯域の騒音をともに低減することができる。
第4の発明にかかる圧縮機は、第2又は第3の発明にかかる圧縮機において、ヘッド及びシリンダには、マフラー空間に連通するように容積調整室を形成する。
第5の発明にかかる圧縮機は、第2又は第3の発明にかかる圧縮機において、ヘッドには、マフラー空間に連通するように容積調整室を形成する。
この第4及び第5の発明にかかる圧縮機では、ヘルムホルツ共鳴器となる吸音室とは別個に容積調整室を設けることによって、空間容積の調整が容易になり、1段マフラー構造にて2つの吐出孔から吐出される冷媒を対称音源とすることが容易になる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、容積調整室を設けることで、空間容積の調整が可能となるので、2段マフラー構造を採用することなく、1段マフラー構造にて2つの吐出孔から吐出される冷媒を対称音源として所定の帯域の騒音を低減できるとともに、ヘルムホルツ吸音室を設けることで、別途ヘルムホルツ共鳴器を設けることなく、特定周波数の騒音も低減できる。従って、簡単な構成で異なる帯域の騒音を同時に低減することができる。
第2及び第3の発明では、ヘルムホルツ共鳴器となる吸音室を、マフラー空間に連通させることで、空間容積の調整が可能となるので、2段マフラー構造を採用することなく、1段マフラー構造にて2つの吐出孔から吐出される冷媒を対称音源として所定の帯域の騒音を低減できるとともに、別途ヘルムホルツ共鳴器を設けることなく、特定周波数の騒音も低減できる。従って、簡単な構成で異なる帯域の騒音を同時に低減することができる。
また、第4及び第5の発明では、ヘルムホルツ共鳴器となる吸音室とは、別個に容積調整室を設けることによって、空間容積の調整を容易にすることができる。
以下、図面に基づいて、本発明に係る圧縮機の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るロータリー圧縮機の断面図である。図2は、図1に示した圧縮機の圧縮機構の平面図であり、図3は、図2のD1−D1線に沿った断面図である。図4は、図2に示した圧縮機構のフロントマフラーの平面図であり、図5は、図2に示した圧縮機構のフロントヘッドの平面図である。以下、図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態に係るロータリー圧縮機1について詳細に説明する。
ロータリー圧縮機1は、図1及び図3に示すように、1シリンダ型ロータリー圧縮機であって、密閉ケーシング10と、密閉ケーシング10内に配置される駆動機構20及び圧縮機構30とを備えている。このロータリー圧縮機1は、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機であって、密閉ケーシング10内において、圧縮機構30が駆動機構20の下側に配置される。また、密閉ケーシング10の下部には、圧縮機構30の各摺動部に供給される潤滑油40が貯留されている。
駆動機構20は、圧縮機構30を駆動するために設けられており、駆動源となるモータ21と、モータ21に取り付けられるシャフト22とを備えている。
モータ21は、ロータ21aと、このロータ21aの径方向外側にエアギャップを介して配置されるステータ21bとを有している。このロータ21aには、シャフト22が回転可能に取り付けられている。そして、ロータ21aは、積層された電磁鋼板からなるロータ本体と、このロータ本体に埋設された磁石とを有している。また、ステータ21bは、鉄からなるステータ本体と、このステータ本体に巻回されたコイルとを有している。モータ21は、コイルに電流を流すことによってステータ21bに発生する電磁力により、ロータ21aをシャフト22と共に回転させる。
シャフト22は、上記したロータ21aと共に回転することによって、圧縮機構30のローラ34を回転させる。このシャフト22には、後述するシリンダ33のシリンダ室B1内に位置するように偏心部22aが設けられている。この偏心部22aには、ローラ34が装着されている。これにより、シャフト22の回転に伴って、偏心部22aに装着されるローラ34がシリンダ室B1で回転する。
一方、圧縮機構30は、アキュムレータ(図示せず)から吸入した冷媒を圧縮して吐出するために設けられている。この圧縮機構30により吐出された冷媒は、駆動機構20のステータ21bとロータ21aとの間のエアギャップを通過して、駆動機構20を冷却した後、吐出管11から吐出される。この圧縮機構30は、図3に示すように、駆動機構20のシャフト22の回転軸に沿って上から下に向かって、マフラー31と、フロントヘッド32と、シリンダ33及びローラ34と、リアヘッド35とを有している。
マフラー31は、フロントヘッド32の上面に取り付けられており、フロントヘッド32の上面と共にマフラー空間A1を形成して、冷媒の吐出に伴う騒音の低減を図っている。このマフラー31は、図2及び図4に示すように、上記したマフラー空間A1の一部分の輪郭を形成するために上方に突出した突出部31aと、フロントヘッド32の本体部32b(図5参照)の外縁部分の上面に当接する水平部31bと、フロントヘッド32の本体部32bの外周面に当接する垂直部31cとを有している。突出部31aの中央部分には、上記したシャフト22を通過させる開口31dが形成されている。また、突出部31aには、後述するフロントヘッド32に形成される吐出ポート32eから吐出された冷媒が通過する2つの吐出孔31e及び31fが、前述した開口31dに連結して形成されている。この2つの吐出孔31e及び31fは、開口31dの中心として互いに対向に配置されている。
また、水平部31bには、マフラー31をフロントヘッド32に固定するための3つのボルト41が嵌挿されるボルト孔31gがそれぞれ形成された3つのボルト受け面31h,31i,31jが設けられている。ボルト受け面31hは、吐出ポート32eから一方の吐出孔31eに至るまでの第1冷媒経路R1に面する部分に設けられおり、且つ、ボルト受け面31iは、吐出ポート32eから他方の吐出孔31fに至るまでの第2冷媒経路R2に面する部分に設けられている。また、ボルト受け面31jは、第1冷媒経路R1及び第2冷媒経路R2に面しない部分に設けられている。これらのボルト受け面31h,31i,31jは、ボルト41を設置するのに必要な大きさが確保されている。第1冷媒経路R1に面するボルト受け面31h及び第2冷媒経路R2に面するボルト受け面31iは、その各経路R1及びR2の一部を狭めており、吐出ポート32eから吐出された冷媒は、当該ボルト受け面31h及び31iで狭められた絞り部分で一旦圧縮された後、再び膨張されることによって、そのエネルギーが減衰し、騒音が低減する。なお、ボルト41は、マフラー31に形成されるボルト孔31g及びフロントヘッド32に形成されるボルト孔32f(図5参照)を介して、シリンダ33のネジ孔(図示せず)に締め付けられる。
フロントヘッド32は、シリンダ33の上側に配置され、シリンダ33のシリンダ室B1の上方の開口を閉塞する。このフロントヘッド32は、図5に示すように、シャフト22が挿入される軸受け孔32aを有する円板状の本体部32bと、軸受け孔32aを囲むように当該本体部32bから上方に突出する環状のボス部32cとを有している。そして、本体部32bには、上方が開口した凹状の弁収容室32dと、当該弁収容室32dに連通する吐出ポート32eとが形成されている。これにより、シリンダ33のシリンダ室B1におけるローラ34の回転駆動によって圧縮された冷媒は、吐出ポート32eを介して当該弁収容室32dに導かれる。そして、弁収容室32d内の冷媒は、上記したマフラー空間A1の第1冷媒経路R1と第2冷媒経路R2との二手に分かれて、吐出孔31e及び31fから密閉ケーシング10内に吐出される。また、弁収容室32d内には、吐出ポート32eの出口を開閉する吐出弁(図示せず)と、当該吐出弁の開放を規制する押え部材(図示せず)とが設けられている。また、本体部32bの外縁部分には、上記したマフラー31に形成される3つのボルト孔31gに対応するそれぞれの位置に、ボルト41を嵌挿するための3つのボルト孔32fが設けられている。
ここで、本実施形態では、本体部32bの直線L1(開口31dの中心及び吐出ポート32eの中心を通る直線)に対して吐出孔31e(図4参照)が設けられる側には、後述するヘルムホルツ吸音室1aを構成するネック部32gが形成されている。また、本体部32bの直線L1に対して吐出孔31f(図4参照)が設けられる側には、後述する容積調整室1bを構成する上側容積調整部32hが形成されている。このネック部32g及び上側容積調整部32hは、共にフロントヘッド32を貫通するように形成されている。
シリンダ33には、図3に示すように、シャフト22の回転に伴って偏心運動するローラ34が配置されるシリンダ室B1が設けられる。このシリンダ室B1とマフラー空間A1とは、吐出ポート32eを介して連通される。したがって、シャフト22の偏心部22aに装着されるローラ34の偏心運動によって圧縮された冷媒は、シリンダ室B1から上記した吐出ポート32eを介してマフラー空間A1に導かれる。また、本実施形態では、シリンダ33の直線L1に対して吐出孔31eが設けられる側には、後述するヘルムホルツ吸音室1aを構成する空洞部33aが形成されている。この空洞部33aは、フロントヘッド32に形成されるネック部32gに連通するように形成されている。また、シリンダ33の直線L1に対して吐出孔31fが設けられる側には、後述する容積調整室1bを構成する下側容積調整部33bが形成されている。この下側容積調整部33bは、フロントヘッド32に形成される上側容積調整部32hに連通するように形成されている。
ここで、フロントヘッド32及びシリンダ33に形成されるヘルムホルツ吸音室1a及び容積調整室1bについて詳細に説明する。
本実施形態では、ヘルムホルツ吸音室1aと容積調整室1bとは、直線L1に対して互いに反対側に配置されており、ヘルムホルツ吸音室1aは吐出孔31eが設けられる側に設けられ、且つ、容積調整室1bは吐出孔31fが設けられる側に設けられている。
ヘルムホルツ吸音室1aは、マフラー空間A1に連通しており、フロントヘッド32に設けられるネック部32gと、シリンダ33に設けられる空洞部33aとから構成されている。このヘルムホルツ吸音室1aは、ヘルムホルツ共鳴器として機能し、ネック部32gと空洞部33aとから構成される空間で、ヘルムホルツ共鳴を生じさせることにより、マフラー空間A1で生じる騒音のうちの特定の周波数成分を吸収している。このヘルムホルツ吸音室1aで吸収される特定の周波数は、ネック部32gの断面積や長さ及び空洞部33aの容積に応じて定まるため、ネック部32gの断面積や長さ及び空洞部33aの容積を変更することによって、任意の周波数成分を吸収することが可能となる。
また、容積調整室1bも、マフラー空間A1に連通しており、フロントヘッド32に設けられる上側容積調整部32hと、シリンダ33に設けられる下側容積調整部33bとから構成されている。この容積調整室1bは、空間容積を調整するために設けられている。具体的には、ヘルムホルツ吸音室1aを設けることによって崩れた空間の容積バランスを同じ容積になるように補正し、2つの吐出孔31e及び31fから吐出される冷媒が対称音源となるように、吐出孔31e及び31fから吐出される冷媒の音圧及び位相に基づいて、その容積が調整される。
リアヘッド35は、シリンダ33の下側に配置され、シリンダ33のシリンダ室B1の下方の開口を閉塞する。このリアヘッド35は、フロントヘッド32と同様に、シャフト22が嵌挿される軸受け孔35aを有する円板状の本体部35bと、軸受け孔35aを囲むように当該本体部35bから下方に突出する環状のボス部35cとを有している。
[本実施形態のロータリー圧縮機の特徴]
本実施形態のロータリー圧縮機1には、以下のような特徴がある。
本実施形態のロータリー圧縮機1では、容積調整室1bをマフラー空間A1に連通させることで、空間容積の調整が可能となるので、2段マフラー構造を採用することなく、1段マフラー構造にて2つの吐出孔31e及び31fから吐出される冷媒を対称音源として約800Hzの周波数帯の騒音を低減し、且つ、ヘルムホルツ吸音室1aを設けることで、別途ヘルムホルツ共鳴器を設けることなく、特定周波数の騒音も低減できる。従って、簡単な構成で異なる帯域の騒音を同時に低減することができる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、ヘルムホルツ吸音室1a及び容積調整室1bの両方を設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、マフラー空間に連通するようにヘルムホルツ吸音室を設ければ、容積調整室を省略することができる。つまり、ヘルムホルツ吸音室が、ヘルムホルツ吸音器としての機能を有するだけでなく、空間容積を調整する機能をも有することにより、当該ヘルムホルツ吸音室で、特定の周波数の音が吸収されるとともに、2つの吐出孔から吐出される冷媒が対称音源となることでマフラーとステータの間の空間に発生する約800Hz帯の音が吸収される。その結果、簡単な構成にて異なる帯域の騒音をともに低減し、騒音を確実に抑制することができる。
また、上記実施形態では、1シリンダ型の圧縮機にヘルムホルツ吸音室及び容積調整室を設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、図6〜図9に示す2シリンダ型の圧縮機200にも適用可能である。この第1変形例に係る2シリンダ型の圧縮機200は、図6に示すように、密閉ケーシング210と、駆動機構220と、圧縮機構230とを備えている。そして、圧縮機構230は、シャフト222の回転軸に沿って上から下に向かって、フロントマフラー231と、フロントヘッド232と、フロントシリンダ233及びローラ234と、ミドルプレート235と、リアシリンダ236及びローラ237と、リアヘッド238と、リアマフラー239とを有している。
この第1変形例では、図7及び図8に示すように、ヘルムホルツ吸音室200aと容積調整室200bとは、開口231dの中心を通過する直線L2に対して互いに反対側に配置されており、ヘルムホルツ吸音室200aは、吐出孔231eが設けられる側に設けられ、且つ、容積調整室200bは、吐出孔231fが設けられる側に設けられている。そして、ヘルムホルツ吸音室200aは、フロントヘッド232に設けられるネック部232gと、フロントシリンダ233に設けられる空洞部233aとから構成されている。また、容積調整室200bは、フロントヘッド232に設けられる上側容積調整部232hと、フロントシリンダ233に設けられる下側容積調整部233bとから構成されている。
なお、この2シリンダ型の圧縮機200では、リア側から吐出される冷媒は、図9に示す矢印に従って、圧縮機構230の各要素に形成される連通穴Hを介して、フロントマフラー231により形成されるマフラー空間A201に吐出される。即ち、上記したヘルムホルツ吸音室200aは、吐出ポート232e及び連通穴Hから吐出される冷媒が導入されるマフラー空間A201で生じる騒音のうちの特定の周波数成分を吸収している。そして、容積調整室200bは、このヘルムホルツ吸音室200aを設けることによって崩れた空間の容積バランスを補正し、2つの吐出孔231e及び231fから吐出される冷媒が対称音源となるように、その容積が調整される。
この図6〜図9に示した第1変形例では、ヘルムホルツ吸音室及び容積調整室をフロント側に設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、ヘルムホルツ吸音室及び容積調整室をリア側のみに設けてもよいし、フロント側及びリア側の両方に設けてもよい。
また、上記実施形態では、1つのヘルムホルツ吸音室及び1つの容積調整室を設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、直線L1に対して互いに反対側に複数のヘルムホルツ吸音室及び複数の容積調整室をそれぞれ設けてもよい。
また、上記実施形態では、ヘルムホルツ吸音室1aを設けることによって崩れた空間の容積バランスを補正し、2つの吐出孔31e及び31fから吐出される冷媒を対称音源とする機能を有する容積調整室1bを設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、図10に示す第2変形例のように、容積調整室300bを、ヘルムホルツ共鳴を生じさせるヘルムホルツ吸音室としてもよい。具体的には、フロントヘッド332に、ヘルムホルツ吸音室300aを構成するネック部332gと、容積調整室(ヘルムホルツ吸音室)300bを構成するネック部332hとを形成する。また、フロントシリンダ333に、ヘルムホルツ吸音室300aを構成する空洞部333aと、容積調整室(ヘルムホルツ吸音室)300bを構成する空洞部333bとを形成する。これにより、2つの吐出孔から吐出される冷媒が対称音源となるのを維持しつつ、さらに任意の周波数帯の音を低減できる。
また、上記実施形態では、ヘルムホルツ吸音室及び容積調整室をフロントヘッドからシリンダに至るまで貫通するように設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、図11に示す第3変形例のように、フロントヘッド432のみにヘルムホルツ吸音室400a及び容積調整室400bを設けてもよい。この場合、シリンダ433には、空洞部などの加工が不要になる。
また、図11に示した第3変形例では、フロントヘッド432にヘルムホルツ吸音室400a及び容積調整室400bの両方を設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、マフラー空間に連通するようにフロントヘッドのみにヘルムホルツ吸音室を設ければ、容積調整室を省略することも可能である。つまり、ヘルムホルツ吸音室が、ヘルムホルツ吸音器としての機能を有するだけでなく、空間容積を調整する機能をも有することにより、当該ヘルムホルツ吸音室で、特定の周波数の音が吸収されるとともに、2つの吐出孔から吐出される冷媒が対称音源となることで約800Hz帯の音が吸収される。その結果、簡単な構成にて異なる帯域の騒音をともに低減し、騒音を確実に抑制することができる。
また、上記実施形態では、マフラーの2つの吐出孔がフロントヘッドのボス部を通過させる開口に連結している例について説明したが、本発明はこれに限らず、図12に示す第4変形例に係るマフラー531のように、2つの吐出孔531e及び531fが開口531dと分離していてもよい。
また、上記実施形態では、3本のボルトによってマフラーを固定する例について説明したが、本発明はこれに限らず、図13に示す第5変形例に示すように、2本のボルト41でマフラー631を固定してもよいし、図14に示す第6変形例に示すように、4本のボルト41でマフラー731を固定してもよい。この場合、図13に示す第5変形例に係るマフラー631には、各ボルト41が嵌挿されるボルト孔がそれぞれ形成された2つのボルト受け面631h,631iが設けられる。また、図14に示す第6変形例に係るマフラー731には、各ボルト41が嵌挿されるボルト孔がそれぞれ形成された4つのボルト受け面731h,731i,731j,731kが設けられている。
本発明を利用すれば、簡単な構成にて異なる帯域の騒音をともに低減し、騒音を確実に抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るロータリー圧縮機の断面図である。 図1に示した圧縮機の圧縮機構の平面図である。 図2のD1−D1線に沿った断面図である。 図2に示した圧縮機構のマフラーの平面図である。 図2に示した圧縮機構のフロントヘッドの平面図である。 図1に示した圧縮機の第1変形例の2シリンダ型の圧縮機の断面図である。 図6に示した圧縮機の圧縮機構の平面図である。 図7のD2−D2線に沿った断面図である。 図7のD3−D3線に沿った断面図である。 図1に示した圧縮機の第2変形例に係る圧縮機構の拡大図である。 図1に示した圧縮機の第3変形例に係る圧縮機構の拡大図である。 図1に示した圧縮機の第4変形例に係るマフラーの平面図である。 図1に示した圧縮機の第5変形例に係る圧縮機構の平面図である。 図1に示した圧縮機の第6変形例に係る圧縮機構の平面図である。
符号の説明
1,200 ロータリー圧縮機
22 シャフト
31,231,531,631,731 マフラー(フロントマフラー)
31d,231d,531d 開口
31e,31f,231e,231f,531e,531f 吐出孔
32,232,332,432 フロントヘッド
32e,232e 吐出ポート
33,233,333,433 シリンダ(フロントシリンダ)
1a,200a,300a,300b,400a ヘルムホルツ吸音室
1b,200b,400b 容積調整室
A1,A201 マフラー空間
B1 シリンダ室
L1,L2 直線

Claims (5)

  1. 圧縮された冷媒が吐出される吐出ポートを有するヘッドと、
    前記ヘッドの一端面に取り付けられ、シリンダ室を有するシリンダと、
    前記ヘッドの他端面に取り付けられ、前記ヘッドの他端面と共にマフラー空間を形成するマフラカバーとを備え、
    前記マフラーカバーには、軸部材を通過させる開口及び前記開口を中心として互いに対向に配置した2つの吐出孔を形成すると共に、
    前記ヘッド及び前記シリンダには、ヘルムホルツ共鳴器となる吸音室を前記マフラー空間に連通するように形成すると共に、前記マフラー空間に連通するように容積調整室を形成することを特徴とする圧縮機。
  2. 圧縮された冷媒が吐出される吐出ポートを有するヘッドと、
    前記ヘッドの一端面に取り付けられ、シリンダ室を有するシリンダと、
    前記ヘッドの他端面に取り付けられ、前記ヘッドの他端面と共にマフラー空間を形成するマフラカバーとを備え、
    前記マフラーカバーには、軸部材を通過させる開口及び前記開口を中心として互いに対向に配置した2つの吐出孔を形成すると共に、
    前記ヘッド及び前記シリンダには、ヘルムホルツ共鳴器となる吸音室を前記マフラー空間に連通するように形成することを特徴とする圧縮機。
  3. 圧縮された冷媒が吐出される吐出ポートを有するヘッドと、
    前記ヘッドの一端面に取り付けられ、シリンダ室を有するシリンダと、
    前記ヘッドの他端面に取り付けられ、前記ヘッドの他端面と共にマフラー空間を形成するマフラカバーとを備え、
    前記マフラーカバーには、軸部材を通過させる開口及び前記開口を中心として互いに対向に配置した2つの吐出孔を形成すると共に、
    前記ヘッドには、ヘルムホルツ共鳴器となる吸音室を前記マフラー空間に連通するように形成することを特徴とする圧縮機。
  4. 前記ヘッド及び前記シリンダには、前記マフラー空間に連通するように容積調整室を形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の圧縮機。
  5. 前記ヘッドには、前記マフラー空間に連通するように容積調整室を形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の圧縮機。
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