JP2009249489A - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Yoshifumi Araki
祥文 荒木
Kazuya Nagata
員也 永田
Shigeki Hikasa
茂樹 日笠
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Abstract

【課題】耐衝撃性、脆化温度、引張破断伸び、耐熱変形性、曲げ弾性、及び発色性の、いずれの特性についても、トータルとして良好な、バランスの良い熱可塑性樹脂組成物を得る。
【解決手段】成分(A):層状化合物、成分(B):変性重合体、成分(C):非変性熱可塑性樹脂、及び成分(D):少なくともビニル芳香族単位を有する共重合体であり、ビニル芳香族単位の含有量が30wt%未満であり、かつ、ビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロックSを1個以上有している非変性ブロック共重合体、を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、成分(A)の含有量が0.1wt%〜20wt%、成分(B)の含有量が1.0wt%〜20wt%、成分(C)の含有量が50.0wt%〜90.0wt%、成分(D)の含有量が2.0wt%〜30wt%である熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法に関する。本発明は、特に、高い耐衝撃性、脆化温度、引張破断伸び、耐熱変形性、曲げ弾性、及び優れた発色性のバランスを付与可能なポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、一般に耐薬品性、機械的特性に優れているため、機械部品、自動車部品等の広範な分野で使用されている。
近年、各種製品の機能性や経済性の追求から、製品の大型化や薄肉化が進み、これに伴い、耐衝撃性、脆化温度、曲げ弾性、耐熱変形性、引張破断伸びに優れ、かつ、これらの特性について良好なバランスを有するポリプロピレン系樹脂組成物の開発が要求されている。
上記各種特性のうち、引張破断伸びは、自動車材料として利用した場合に変形して衝撃吸収機能を発揮したり、衝撃破壊時の破片の飛び散りを防止したり、クリープ変形時の破断を防止したりするために要求度の高い物性の一つである。
耐熱変形性も、高温雰囲気下において成形材料が変形しないようにするために要求度の高い物性の一つである。
また、VOC削減やコスト削減の観点から、塗装工程を省略することが要求されてきており、顔料や染料をあらかじめ添加した、いわゆる無塗装の発色性組成物が要求されてきている。
しかしながら、脆化温度、引張破断伸び、耐衝撃性、曲げ弾性、耐熱変形性、発色性は、いずれかを改良すると、いずれかが悪化してしまうという、相反する性質を有しており、トータルとして良好な特性を有する組成物は、未だ開発されていなかった。
例えば、特許文献1には、有機化層状粘度鉱物、官能基を有するポリオレフィン系重合体、及びポリオレフィン樹脂を構成要素とする組成物が提案されている。この技術によればプロピレンの機械的強度の改善が図られる。
特許文献2には、有機化クレーと、二種類以上の互いに相容性を有するポリマーよりなる、機械的物性に優れた組成物が提案されている。
この組成物を構成する二種類のポリマーとしては、特許文献2の実施例中に、プロピレンと変性EPR、ブチルゴムと変性EPR、変性プロピレンとEPR、変性PPと変性EPR、ポリスチレンとスチレン−ビニルオキサゾリン共重合体、ポリフェニレンオキサイドとスチレン−ビニルオキサゾリン共重合体が挙げられている。
特許文献3には、有機化クレーと結晶性樹脂よりなる、靭性、耐衝撃性および透明性の改良が図られた組成物が提案されている。
特開平10−182892号公報 特開平11−092594号公報 特開2002−363419号公報
しかしながら、引用文献1〜3に開示された技術は、いずれも適用する樹脂の範囲が狭く、優れた発色性を有しながら同時に高い機械的特性を具備するための材料構成の検討が不十分であり、脆化温度、引張破断伸び、耐衝撃性、曲げ弾性、耐熱変形性、発色性について、トータルとしてバランスのとれた特性を具備する組成物は、未だ提案されていなかった。
上述した従来技術の問題に鑑みて、本発明においては、耐衝撃性、脆化温度、引張破断伸び、耐熱変形性、曲げ弾性、及び発色性の、いずれの特性についても、トータルとして良好な、バランスの良い熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
請求項1の発明においては、成分(A):層状化合物、成分(B):変性重合体、成分(C):非変性熱可塑性樹脂、及び成分(D):少なくともビニル芳香族単位を有する共重合体であり、ビニル芳香族単位の含有量が30wt%未満であり、かつ、ビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロックSを1個以上有している非変性ブロック共重合体、を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、成分(A)の含有量が0.1wt%〜20wt%、成分(B)の含有量が1.0wt%〜20wt%、成分(C)の含有量が50.0wt%〜90.0wt%、成分(D)の含有量が2.0wt%〜30wt%である熱可塑性樹脂組成物を提供する。
請求項2の発明においては、前記成分(D)が、ビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロックSを1個以上、共役ジエン単量体単位を主体とする水添重合体ブロックYを1個以上、有している非変性ブロック共重合体であり、前記共役ジエン単量体単位中の不飽和二重結合のうち60%以上が水素添加されており、前記ビニル芳香族単位の含有量が13wt%以上25wt%以下であり、水素添加前の共役ジエン単量体単位中のビニル結合量が、35モル%以上65モル%以下である請求項1の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
請求項3の発明においては、成分(A)が、有機化処理された層状粘土鉱物である請求項1又は2の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
請求項4の発明においては、成分(B)が、変性ポリプロピレンである請求項1乃至3のいずれか一項の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
請求項5の発明においては、成分(C)が、プロピレン系樹脂である請求項1乃至4のいずれかの熱可塑性樹脂組成物を提供する。
請求項6の発明においては、成分(E)として、顔料あるいは染料を含有している請求項1乃至5のいずれかの熱可塑性樹脂組成物を提供する。
請求項7の発明においては、請求項6の熱可塑性樹脂組成物を用いた無塗装組成物を提供する。
請求項8の発明においては、成分(A):層状化合物、成分(B):変性重合体、成分(C):非変性熱可塑性樹脂、及び成分(D):少なくともビニル芳香族単位を有する共重合体であり、ビニル芳香族単位の含有量が30wt%未満であり、かつ、ビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロックSを1個以上有している非変性ブロック共重合体を用いて、成分(A)を10wt%〜70wt%、成分(B)を10wt%〜60wt%、成分(D)を10wt%〜60wt%、かつ、成分(A)+成分(B)+成分(D)≧60wt%の条件に従うマスターバッチ組成物を調製する工程と、前記マスターバッチ組成物と、残った成分(A)〜(D)を混合する工程とを有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明によれば、耐衝撃性、脆化温度、引張破断伸び、耐熱変形性、曲げ弾性、及び発色性の、いずれの特性についても、トータルとして良好なバランスの良い熱可塑性樹脂組成物が得られた。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態における樹脂組成物は、下記の構成を有している。
成分(A):層状化合物、成分(B):変性重合体、成分(C):非変性熱可塑性樹脂、及び成分(D):少なくともビニル芳香族単位を有する共重合体でありビニル芳香族単位の含有量が30wt%未満であり、かつビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロック(S)を1個以上有している非変性ブロック共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物である。
成分(A)の含有量が0.1wt%〜20wt%、成分(B)の含有量が1.0wt%〜20wt%、成分(C)の含有量が50.0wt%〜90.0wt%、成分(D)の含有量が2.0wt%〜30wt%である。
〔成分(A)〕
成分(A)である層状化合物としては、グラファイト、金属カルコゲン化合物、金属酸化物、金属リン酸塩、粘土鉱物等の層状構造を有する化合物が挙げられる。特に、高い層剥離性を有している層状粘土鉱物が好適である。
層状粘土鉱物としては、モンモリナイト、サポタイト、ハイデライト、ノントライト、ヘクトライト、ステイブンサイト等のスメクタイト系の鉱物や、バーミキュサイト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。層状粘土鉱物は、天然物又は合成物のいずれであってもよい。
更に、タルクにフッ素処理を行って膨潤性マイカに合成した化合物、あるいは水熱合成によって層状構造としたものが挙げられる。
また更に、上記層状粘土鉱物の層間に担持されているカチオンを、ナトリウム、カリウム、リチウム等のイオンで置換したものが適用できる。また、チューブ状構造を有する粘土鉱物が積層されたイモゴライトも適用できる。
特に、層剥離性及び微分散性の観点から、層状粘土鉱物は有機化処理が施されていることが好ましい。
有機化処理について説明する。
有機化処理は、一般的に湿式法により行われる。具体的には、層状珪酸塩を水やアルコール等で十分溶媒和させた後、有機カチオンを加え、撹拌し、層状珪酸塩の層間の金属イオンを有機カチオンに置換させる。その後、未置換の有機カチオンを十分に洗浄し、ろ過し、乾燥処理を施す。これにより有機化が行われる。
その他の方法としては、有機溶剤中で層状珪酸塩と有機カチオンを直接反応させる方法や、所定の樹脂の存在下で層状珪酸塩と有機カチオンを押出機中で加熱混練し、反応させる方法も利用できる。
層状粘土鉱物の陽イオン交換容量は、有機処理時の有機カチオンの高いイオン交換性の点で、20ミリ当量/100g以上とすることが好ましく、高い層剥離性を得るために、300ミリ当量/100g以下とすることが好ましい。
層状粘土鉱物の有機化に用いる有機カチオンとしては、例えば、ステアリルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ジステアリルアンモニウムイオン、1−ヘキセニルアンモニウムイオン、1−ドデセニルアンモニウムイオン、9−オクタデセルアンモニウムイオン、9,12−オクタデセルアンモニウムイオン、12−アミノドデカン酸と塩酸からなるアンモニウム塩;アルキルプロピレンジアミンと塩酸からなるアンモニウム塩等のアンモニウムイオン;テトラエチルホスフォニウムイオン、トリエチルベンジルフォスホニウムイオン、テトラ−n−ブチルホスフォニウムイオン、トリ−n−ブチルヘキサデシルホスフォニウムイオン等のホスフォニウムイオンが挙げられる。
上記有機カチオンは、分子内に、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、及び酸無水物基にうちの、少なくとも一種の極性官能基を含有していてもよい。
なお、層状化合物は、一種類のみ使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
上述した層状化合物は、目的とする熱可塑性樹脂組成物中で、層剥離した状態で微分散して存在していることが望ましい。これにより高い曲げ弾性率が得られる。
具体的には、層状化合物を構成する単位層、あるいは数枚層〜数十枚以下の層が、互いに十分な層間距離をもって分散した状態となっておりことが好ましく、さらには、層状化合物の20%以上が、50nm以下の厚みで分散した状態となっていることが好ましい。
本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物中の、成分(A)の含有量は、0.1wt%以上20wt%以下が好ましく、0.5wt%以上10wt%以下がより好ましく、1.0wt%以上4wt%以下が最も好ましい。
0.1wt%以上とすると、高い曲げ弾性、耐衝撃性及び耐熱変形性が得られることが確認され、20wt%以下とすることにより、成型性に優れ、高い耐衝撃性が得られ、透明性や経済性についても良好なものとなる。
〔成分(B)〕
成分(B)は変性重合体であり、少なくとも1個以上の官能基を有する重合体である。
官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、ボロン酸基、ホウ素含有基、ボロン酸塩基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等から選ばれる官能基を少なくとも1種含有する原子団が挙げられる。
この変性重合体としては、透明性や耐衝撃性の観点から、変性ポリオレフィン、あるいはビニル芳香族単量体単位および共役ジエン単量体単位を主体とする重合体を水素添加し、酸無水物をグラフトさせた重合体が好ましく、変性ポリオレフィンが最も好ましい。
変性ポリオレフィンに用いられるポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等の、α−オレフィンの単独重合体あるいは2種類以上からなるランダムまたはブロック共重合体が挙げられる。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリイソブテン、ポリ3−メチルペンテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−オクテン共重合体、プロピレン−4−メチルペンテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、デセン−1−4−メチルペンテン−1共重合体等が挙げられる。
変性ポリオレフィンとしては、機械的物性、耐熱性等に優れていることから、不飽和単量体変性ポリプロピレンが特に好適である。
また、ポリプロピレンに用いられるポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
変性ポリオレフィンは、従来公知の方法により合成することができ、特に限定されない。
前記不飽和単量体には、アクリル酸、メタクリル酸や、マレイン酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸およびその無水物である不飽和カルボン酸誘導体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルトリメトキシシランやγ−アクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のビニル基をもったアルコキシシラン等が含まれる。これらの中でも、層状化合物として層状珪酸塩を用いた場合に、優れた分散性を発揮することから、無水マレイン酸やメタクリル酸グリシジルが好ましい。
成分(B)の変性重合体は、高い透明性、耐衝撃性を確保する観点から、1分子中に平均1個以上の官能基を有する重合体であることが好ましく、また、高い曲げ弾性と耐衝撃性を確保する観点から、1分子中に平均20個以下の官能基を有している重合体であることが好ましい。
1分子中の官能基数は、1個以上10個以下がより好ましく、1個以上3個以下がさらに好ましい。
特に、分子末端部に、無水マレイン酸等の酸成分の官能基を有していることが好ましい。
成分(B)として用いる変性ポリプロピレンの重量平均分子量は、1万以上15万以下が好適である。これにより、目的とする熱可塑性樹脂組成物に、高い透明性や良好な曲げ弾性を確保することができ、また加工性も良好なものとなる。
変性ポリプロピレンの重量平均分子量は、2万以上7万以下がより好ましく、3万以上5万以下がさらに好ましい。
上記重量平均分子量は、後述する実施例において用いたGPCにより求められるポリスチレン換算分子量である。
熱可塑性樹脂組成物中の成分(B)の含有量は、高い透明性、耐衝撃性を得る観点から、1.0wt%以上が好ましく、高い曲げ弾性と耐衝撃性を得る観点から、20wt%以下とすることが好ましい。成分(B)の含有量は、1.5wt%以上10wt%以下がより好ましく、2.0wt%以上7.0wt%以下がさらに好ましい。
〔成分(C)〕
成分(C)は、非変性熱可塑性樹脂であり、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体、あるいは2種類以上からなるランダムまたはブロック共重合体である。
上記の中でも、曲げ弾性や耐熱変形性に優れているという観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。ここでポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンを主体とし、必要に応じエチレン、炭素数4〜12のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−オクテン、イソブチレン、4−メチル−1−ペンテン等から1種以上選ばれる単量体と重合して得られる樹脂であるものとし、プロピレンの単独重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体、又はこれらの混合物が挙げられる。なお、分子量や組成の異なる物を組み合わせてもよい。特に、高い耐熱変形性が得られる観点から、ホモプロピレンが好ましい。
なお、「主体とする」とは、50wt%以上であることを意味するものとし、80wt%以上が好ましく、90wt%以上がより好ましい。
成分(C)としてのポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JISK7210(230℃、2.16kg))は、0.1〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、25g/10分以上100g/10分以下であることが好ましい。これにより最終的に目的とする熱可塑性樹脂組成物の曲げ弾性の向上効果が得られ、かつ良好な成形性が得られる。
成分(C)が、2種類以上のポリプロピレン系樹脂の混合物である場合は、少なくとも1つのポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートが30g/10分以上であることが、高い曲げ弾性を得、良好な成形性を得るためには好ましい。
上述した成分(C)の、最終的に目的とする熱可塑性樹脂中における含有量は、高い曲げ弾性、耐熱変形性を得、かつ良好な経済性を確保する観点から、50wt%以上とすることが好ましく、高い耐衝撃性を得る観点から90wt%以下が好ましい。
また、60wt%以上85wt%以下がより好ましく、70wt%以上82wt%以下がさらに好ましい。
〔成分(D)〕
成分(D)は、少なくともビニル芳香族単位を有する共重合体であり、ビニル芳香族単位の含有量が30wt%未満であり、かつビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロックSを1個以上有している非変性ブロック共重合体である。
なお、「主体とする」とは、50wt%以上であることを意味するものとし、80wt%以上が好ましく、90wt%以上がより好ましい。
成分(D)の重合方法としては、特に限定されないが、配位重合、アニオン重合またはカチオン重合などの重合方法が挙げられる。
重合体の原料である単量体としては、ビニル芳香族化合物、共役ジエン、アルキレン等が挙げられる。
ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
共役ジエンは、一対の共役二重結合を有するジオレフィンであるものとし、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、1,3−ブタジエン、イソプレンが好適である。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記1,3−ブタジエンとイソプレンとを比較すると、機械強度の観点からは、1,3−ブタジエンを主体とするのが好ましい。共役ジエン中の1,3−ブタジエン含有量は、80wt%以上が好ましく、90wt%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましい。
アルキレンとしては、エチレン単位、プロピレン単位、ブチレン単位、ヘキシレン単位あるいはオクチレン単位等のモノオレフィン単位が挙げられる。これらの中でも、エチレン単位、プロピレン単位及びブチレン単位が経済性の観点から好適である。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
成分(D)の非変性ブロック共重合体の重量平均分子量は、上述した層状化合物の剥離性を確保し、かつ目的とする熱可塑性樹脂組成物が高い耐衝撃性を得るために、5万以上であることが好ましく、一方において、良好な成形性を得るために40万以下であることが好ましい。上記重量平均分子量は、5万〜20万の範囲がより好ましく、6万〜15万の範囲がさらに好ましい。
上記重量平均分子量は、後述する実施例において用いたGPCにより求められるポリスチレン換算分子量である。
成分(D)の非変性ブロック共重合体の好ましい構造としては、下記一般式(1)〜(5)に示すものが挙げられる。
(S−Y)n ・・・(1)
S−(Y−S)n ・・・(2)
S−(Y−S)n−X ・・・(3)
[(S−Y)km−X ・・・(4)
[(S−Y)k−S]m−X ・・・(5)
但し、上記式(1)〜(5)中の、Sはビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックを示す。Yはアルキレンを主体とする重合体ブロックあるいは共役ジエンを主体とする水素添加ブロックを示す。
なお、「主体とする」とは、重合体ブロックSにおいてはビニル芳香族単量体単位が50wt%以上、重合体ブロックYにおいてはアルキレンあるいは共役ジエンが50wt%以上であることを意味するものとし、これらはそれぞれ、80wt%以上が好ましく、90wt%以上がより好ましい。
共重合体中に複数存在している重合体ブロックSとYは、それぞれにおいて分子量や組成等の構造が同一であっても異なっていてもよい。
Xは、例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、ポリハロゲン化炭化水素化合物、カルボン酸エステル化合物、ポリビニル化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、アルコキシシラン化合物、ハロゲン化シラン化合物、エステル系化合物等のカップリング剤の残基、又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
n、k、mは、1以上の整数であり、一般的には1〜5である。
上記Sにおけるビニル芳香族単量体単位の分布、あるいはSとYとの界面部におけるビニル芳香族単量体単位の分布は、特に限定されるものではなく、均一に分布していても、テーパー状あるいは階段状に分布していてもよい。
また、成分(D)である非変性ブロック共重合体中における各ブロック中のビニル芳香族化合物の分布状態は、上述したビニル芳香族化合物含有量の範囲であれば、特に限定されるものではなく、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。また、ブロックSには、ビニル芳香族化合物含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
成分(D)は、重合の容易さや機械強度の観点から、ビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロックSを1個以上、共役ジエン単量体単位を主体とする水添重合体ブロックYを1個以上有する非変性ブロック共重合体であることが好ましい。
これらの中でも、高い耐衝撃性、耐熱変形性の観点から、ビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロック(S)を2つ含有するブロック共重合体が好ましい。
成分(D)中のビニル芳香族単位の含有量は、高い耐衝撃性、曲げ弾性および発色性の観点からは13wt%以上が好ましく、高い耐衝撃性の観点からは30wt%未満とすることが必要である。13wt%以上25wt%以下がさらに好ましく、15wt%以上20wt%以下がより好ましい。
水素添加前における共役ジエン単位中のビニル単位量は、高い耐衝撃性を得る観点から、35mol%以上が好ましく、高い耐衝撃性、耐熱変形性を得る観点から、60mol%以下とすることが好ましい。また、40mol%以上60mol%以下がより好ましく、45mol%以上55mol%以下がさらに好ましい。
ここで、ビニル結合量とは、水添前の共役ジエンの1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれているもののうち、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれているものの割合とする。
共役ジエン単位の不飽和基の水素添加率は、高い耐熱性、耐老化性を得る観点から、60mol%以上が好ましく、80mol%以上がより好ましく、90mol%以上がさらに好ましく、95mol%以上が最も好ましい。
水素添加方法としては、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてリビングアニオン重合により、共役ジエンとビニル芳香族化合物を主体とするブロック共重合体を得、その後に水素添加する方法が挙げられる。
前記式(1)〜(5)において、アルキレンを主体とするブロックビニル芳香族化合物とのブロック共重合体を製造する方法としては、例えば、遷移重合、ラジカル重合、イオン重合等が挙げられる。
本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物中の、成分(D)の含有量は、高い耐衝撃と良好な発色性を得る観点から、2wt%以上とすることが好ましく、高い曲げ弾性率、耐熱変形性、良好な経済性を得る観点から、30wt%以下とすることが好ましい。
5wt%以上25wt%以下の範囲がより好ましく、10wt%以上25wt%以下の範囲がさらに好ましい。
〔その他〕
本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物の諸性能の改良を図り、かつ良好な経済性を確保するという観点から、必要に応じて、熱可塑性樹脂中の35wt%未満であれば、上述した成分(C)に、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム等の共重合体を併用してもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合ゴムとは、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、イソブチレン、オクテン等を共重合したものであればいずれでもよいが、脆化温度、曲げ弾性の点からエチレン−オクテン共重合体が好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合ゴム中のα−オレフィンの量は、15wt%以上であることが好ましく、特にオクテン含量が15wt%以上であるエチレン−オクテン共重合体は脆化温度、曲げ弾性に優れているので好ましい。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体の比重は、0.880g/cc以下であることが、優れた脆化温度、曲げ弾性を得る観点から好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体の重合方法については、特に限定されるものではないが、比重の小さいものが得られる観点から、活性点が均一のメタロセン触媒により重合する方法が好適である。
重合系としては、溶液均一系、スラリー系のいずれであってもよい。
また、本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、10wt%未満の割合で、所定の添加剤を含有させてもよい。
例えば、安定剤、滑剤、着色剤(顔料や染料等)、シリコンオイル、その他のオイル、無機充填剤やフィラー(炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、シリカ、硫酸バリウム、ガラスフィラー等)、結晶核剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
また、本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物は、高い発色性を確保する観点から、着色剤等(染料、顔料、紫外線吸収剤等の成分)を含有させていない状態の厚さ2mmのサンプル成形体において、全光線透過率 (Tt)が60%以上であり、平行線透過率(Tp)との関係が、Tp≧(Tt/5)である条件を満たしているものであることが好ましい。
なお、全光線透過率(Tt)、および平行線透過率(Tp)は、可視光ヘーズメーター(ヘーズメーターNDH−1001(日本電色工業株製、商品名))により測定できる。
次に、本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物の好適な製造方法について説明する。
成分(A)を10wt%〜70wt%、成分(B)を10wt%〜60wt%、成分(D)を10wt%〜60wt%となるように適用するものとし、成分(A)+成分(B)+成分(D)≧60wt%(好ましくは、70wt%以上)からなるマスターバッチ組成物を調製し、その後に、このマスターバッチ組成物と残りの組成物を混合する。
この工程により、高い透明性を有し、実用上十分な曲げ弾性、耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂組成物が作製できる。
なお、上記マスターバッチ組成物は、成分(A)10wt%〜50wt%、成分(B)20wt%〜60wt%、成分(D)20wt%〜60wt%の割合で含有するものとし、かつ、成分(A)+成分(B)+成分(D)≧70wt%以上になるようにすることがより好ましい。
また、成分(A)15wt%〜40wt%、成分(B)30wt%〜50wt%、成分(D)30wt%〜50wt%の割合で含有するものとし、かつ成分(A)+成分(B)+成分(D)≧80wt%以上になるようにすることがより好ましい。
上述したマスターバッチ組成物、及び本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物の製造手段については、特に制限されるものではなく、公知の手段を利用できる。
例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の、一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が適用できる。特に押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好適である。
本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物は、曲げ弾性、耐衝撃性、耐熱変性透明性、及び発色性に優れていることから、自動車外装材料、自動車内装材料、家電のハウジング、チューブ、各種容器、シート、コードや電線の被覆材料等として好適である。
特に、無塗装での利用が可能となることから、製造工程の簡略化や省略化も可能となり、コスト的にも有利である。
以下、具体的な実施例と比較例のサンプル熱可塑性樹脂組成物を作製し、特性評価を行った。
〔熱可塑性樹脂組成物の成分(A)〜(D)の準備〕
成分(A):層状化合物
ジメチルジアルキルアンモニウム・合成マイカ(有機修飾フッ素化マイカ、ソマシフMAE、コープケミカル(株)製、商品名、有機物量:37wt%)を用いた。
成分(B):変性重合体
下記の三種類を用意した。
(B1)無水マレイン酸変性ポリプロピレン
無水マレイン酸変性ポリプロピレン(ユーメックス1001、三洋化成製、商品名、重量平均分子量:Mw=40,000、酸価:26(JIS K 0017)を用いた。
(B2)分子鎖無水マレイン酸グラフト変性したSEBS
M1913(旭化成ケミカルズ製、商品名、重量平均分子量:Mw=60,000、スチレン含有量30wt%)を用いた。
(B3)末端酸変性SEBS
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。はじめに、シクロヘキサン6.4L、スチレン150g、テトラヒドロフラン1gを加え、予めテトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAとも略記される)をn−ブチルリチウムのLiモル数の0.3倍モルになるように添加し、n−ブチルリチウム開始剤のLiのモル数として21.8ミリモルとなるように添加して初期温度60℃で重合した。重合終了後、ブタジエン700gを加えて重合し、重合終了後、さらにスチレン150gを添加して重合した。重合終了後、トリイソブチルアルミニウムを添加してから、マレイン酸ジ−t−ブチルを添加し反応させることで末端にコハク酸ジ−t−ブチルエステル基を有する共重合体を得て、Ni/Al系Ziegler系触媒を用いて水素添加を施した後、熱処理を行い、末端部に酸無水物基を有する変性水添スチレン系エラストマーを得た。
得られた変性水添スチレン系エラストマーは、後述する(組成構造の評価(a)、(b))に示す測定方法により、スチレン含有量30質量%、ポリブタジエンブロック部のビニル結合量33質量%、重量平均分子量6.4万、分子量分布1.1、分子中の末端官能基の平均個数は0.85個、水素添加率はブタジエンの二重結合中の95mol%であることが確かめられた。
得られたエラストマーに、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。
成分(C):非変性熱可塑性樹脂
ホモポリプロピレンMA04A(日本ポリプロピレン製、商品名、MFR:40g/10分)を用いた。
成分(D):非変性ブロック共重合体
成分(D)である非変性ブロック共重合体を下記のようにして合成した。
(水素添加触媒の調製)
まず、ビニル芳香族単量体単位、及び共役ジエン単量体単位を主体とする共重合体の水素添加反応に用いる水素添加触媒を、下記の方法により調製した。
窒素置換した反応容器に、乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビスシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加し、室温で約3日間反応させた。
(成分Dの非変性ブロック重合体の作製)
内容積が10Lの攪拌装置、及びジャケット付き槽型の反応器を用いて、バッチ重合を行った。
先ず、反応器中に、シクロヘキサン6.4L、スチレン90gを加え、予めTMEDAをn−ブチルリチウムのLiモル数の0.50倍モルになるように添加し、n−ブチルリチウム開始剤のLiのモル数として19.2ミリモルとなるように添加し、初期温度65℃で重合する。この重合が終了した後、ブタジエン820gを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22wt%)を、60分間かけて一定速度で、連続的に反応器に供給し、重合を行う。この重合が終了した後、スチレン90gを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22wt%)を10分間かけて、一定速度で連続的に反応器に供給し、重合を行う。この重合が終了すると、共重合体が得られる。
上記工程により得られた共重合体のスチレン含有量は18wt%であり、ブタジエン中の1,2−結合単位は50%であった。
上記のようにして得られた共重合体に、上記により作製した水素添加触媒をポリマー100重量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度75℃で水素添加反応を行った。
得られたポリマー溶液に、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。
上記工程により、目的とする成分(D)である水添共重合体が得られた。
この水添共重合体の重量平均分子量(Mw)は7.1万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.05で、水添共重合体中に含まれるブタジエンの二重結合(共役ジエン単量体単位中の不飽和二重結合に相当)中の水素添加率は99%であった。
〔実施例1、3、4〕、〔比較例1〕
下記表1に示す組成量に従い、上記各成分(A)〜(D)を配合し、190℃、回転数200rpmにて溶融混合して、熱可塑性樹脂組成物を作製した。
〔実施例2〕
マスターバッチ組成物を用いて、熱可塑性樹脂組成物を作製した。
成分(A)/成分(B1)/成分(D)=20/40/40wt%の割合とし、30mmφ2軸押出機を用いて混練温度230℃、回転数200rpmにて溶融混合して、熱可塑性樹脂のペレットを作製した。
続いて、成分(A)、成分(B1)、成分(C)、成分(D)の残量を、下記表1に示す割合となるように配合し、190℃、回転数200rpmにて溶融混合して、熱可塑性樹脂組成物を作製した。
〔比較例2〕
成分(D)に変えて、オレフィン系エラストマー(エチレンオクテン共重合体)を適用した。その他の条件は、実施例1と同様として、熱可塑性樹脂組成物を作製した。
実施例1〜4、比較例1、2の熱可塑性樹脂組成物に対して、組成構造および特性の評価を行った。
(組成構造の評価)
(a)スチレン含有量、ブタジエンの1,4−結合/1,2−結合単位、エチレン単位あるいはブチレン単位量の評価を行った。
スチレン、ブタジエンの1,4−結合単位および1,2−結合単位、エチレン単位あるいはブチレン単位量は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により測定した。
測定機器としてJNM−LA400(JEOL製、商品名)を用い、溶媒として重水素化クロロホルムを用いた。サンプル濃度50mg/mlとし、観測周波数は400MHzとし、化学シフト基準に、TMS(テトラメチルシラン)、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、および測定温度26℃で評価を行った。
(b)重量平均分子量及び分子量分布の評価を行った。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置を用い、LC−10(島津製作所製、商品名)、カラムに、TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm)2本を使用し、オーブン温度40℃、溶媒にはテトラヒドロフラン(1.0ml/min)で測定を行った。
ポリスチレン換算分子量として重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
上記(a)、(b)の測定・評価を行うことにより、成分(D)の解析がなされる。
上述のようにして作製した実施例1〜4、比較例1および2の熱可塑性樹脂組成物の特性について、下記の測定と評価を行った。
(1)メルトフローレート(MFR)
ISO 1133:1997 単位:g/10分、230℃、2.16kgf
(2)曲げ弾性率試験 ISO 178:1993
曲げ弾性率は高い方が良いものとし、1600MPa以上が◎とし、1600MPa未満1400MPa以上が○、1400MPa未満1200MPa以上が△、1200MPa未満を×として評価した。
(3)耐衝撃性(シャルピー衝撃強さ)
ISO 179:1993 23℃、タイプAノッチ ISO179/1eA
シャルビー衝撃強さは大きい方が良いものとし、23℃の条件下で、35KJ/m2以上が最も良く◎とし、35未満32KJ/m2以上が次に良く○とし、32未満25KJ/m2以上がその次に良く△とし、25KJ/m2未満を×として、4段階で評価した。
なお、23℃の条件下における耐衝撃性が高いものは、−30℃の耐衝撃性も高いことが確かめられた。
(4)荷重たわみ温度
ISO 75:1993、0.45MPa、アニーリングなし、フラットワイズ法
温度が高い方が良く、103℃以上を◎とし、103℃未満97℃以上を○とし、97℃未満93℃以上を△とし、93℃未満を×とした。
(5)発色性
カーボンブラックを100ppm添加したときの発色性を目視で評価した。
発色性が高い順から、◎>○>△>×の、4段階で評価した。
(6)全光線透過率 (Tt)および平行線透過率(Tp)
可視光ヘーズメーター(ヘーズメーターNDH−1001(日本電色工業株製、商品名))を用いて測定した。
上記(1)〜(6)の評価結果を下記表1に示す。
Figure 2009249489
実施例1〜4、比較例1、2の熱可塑性樹脂組成物は、いずれも比重が0.91〜0.94の範囲であることが確かめられた。
本発明の構成比率を具備する実施例1〜4の熱可塑性樹脂組成物は、上記(1)〜(6)の全ての項目につき、実用上十分に良好な評価が得られた。これにより、耐衝撃性、脆化温度、引張破断伸び、耐熱変形性、曲げ弾性、及び発色性の、いずれの特性についてもトータルとして良好なバランスの良い熱可塑性樹脂組成物を作製するという目的を達成できたことが確かめられた。
特に変性重合体(B)に、変性プロピレンを用いると性能が向上した。
比較例1においては、成分(B):変性重合体を含有しなかったため、発色性と曲げ弾性率において良好な評価が得られなかった。
比較例2においては、成分(D)を含有しなかったため、耐衝撃性と透明性において良好な評価が得られなかった。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、複合材料組成物等の分野で好適に利用することができる。特に、無塗装の着色材料組成物としての実用性が優れている。

Claims (8)

  1. 成分(A):層状化合物、
    成分(B):変性重合体、
    成分(C):非変性熱可塑性樹脂、及び
    成分(D):少なくともビニル芳香族単位を有する共重合体であり、ビニル芳香族単位の含有量が30wt%未満であり、かつ、ビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロックSを1個以上有している非変性ブロック共重合体、を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    成分(A)の含有量が、0.1wt%〜20wt%、
    成分(B)の含有量が、1.0wt%〜20wt%、
    成分(C)の含有量が、50.0wt%〜90.0wt%、
    成分(D)の含有量が、2.0wt%〜30wt%、
    である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 成分(D)が、ビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロックSを1個以上、共役ジエン単量体単位を主体とする水添重合体ブロックYを1個以上、有している非変性ブロック共重合体であり、
    前記共役ジエン単量体単位中の不飽和二重結合のうち60%以上が水素添加されており、
    前記ビニル芳香族単位の含有量が13wt%以上25wt%以下であり、
    水素添加前の共役ジエン単量体単位中のビニル結合量が、35モル%以上65モル%以下である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 成分(A)が、有機化処理された層状粘土鉱物である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 成分(B)が、変性ポリプロピレンである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 成分(C)が、プロピレン系樹脂である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 成分(E)として、顔料あるいは染料を含有している請求項1乃至5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いた無塗装組成物。
  8. 成分(A):層状化合物、
    成分(B):変性重合体、
    成分(C):非変性熱可塑性樹脂、及び、
    成分(D):少なくともビニル芳香族単位を有する共重合体であり、ビニル芳香族単位の含有量が30wt%未満であり、かつ、ビニル芳香族単位を主体とする重合体ブロックSを1個以上有している非変性ブロック共重合体を用い、
    成分(A)を10wt%〜70wt%、成分(B)を10wt%〜60wt%、成分(D)を10wt%〜60wt%、かつ、成分(A)+成分(B)+成分(D)≧60wt%の条件に従うマスターバッチ組成物を調製する工程と、
    前記マスターバッチ組成物と、残った成分(A)〜(D)を混合する工程とを有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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