JP5624538B2 - 水添ブロック共重合体の製造方法、該製造方法により得られた水添ブロック共重合体およびその組成物 - Google Patents
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Description
[1](a)式(I):
P−X (I)
(式中、Pは芳香族ビニル化合物重合体ブロック(A)を1個以上および共役ジエン重合体ブロック(B)を1個以上有するコポリマー鎖を示し、Xはリビングアニオン重合体の活性末端を示す)で表されるリビングポリマーと、式(II):
R1 mY3-mSi−A−SiY3-mR1 m (II)
(式中、R1はそれぞれ独立して6〜12個の炭素原子を有するアリール基、1〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、又は水素原子を示し、Yはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルコキシ基、カルボキシル基またはカルボン酸エステル基を示し、Aは単結合または1〜20個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基を示し、mは0または1である)で表されるカップリング剤とを反応させてブロック共重合体を形成する工程;
(b)上記ブロック共重合体を水素添加して水添ブロック共重合体を形成する工程;及び
(c)得られた水添ブロック共重合体を回収する工程
を含み、工程(c)において回収された水添ブロック共重合体中のカップリング剤に由来する官能基の数がブロック共重合体1分子につき1.5個以下である、水添ブロック共重合体の製造方法。
[2]上記Yが、OR2(R2はそれぞれ独立して1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を示す)で表されるアルコキシ基である、上記[1]に記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
[3]前記カップリング剤がビスジアルコキシアルキルシリルアルカンである、上記[2]に記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
[4]前記カップリング剤がビスジエトキシメチルシリルエタンである、上記[3]に記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
[5]前記の水添ブロック共重合体中のカップリング剤に由来する官能基が、Si原子に直結した水酸基である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
[6]さらに
(d)工程(c)の前において、前記のブロック共重合体もしくは水添ブロック共重合体中のカップリング剤残基に存在する未反応の官能基Yを不活性化する工程
を含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
[7]水添ブロック共重合体の分岐係数が2.3以上である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
[8]一般式P’及び/又は(P’)n−Zで表される共重合体を含む水添ブロック共重合体であって、分岐係数が2.3以上であり、遷移金属含有量が100ppm以下である、水添ブロック共重合体。
[式中、P’は芳香族ビニル化合物重合体ブロック(A)を1個以上および水添共役ジエン重合体ブロック(B)を1個以上有するコポリマー鎖を示し、Zは式(II):
R1 mY3-mSi−A−SiY3-mR1 m (II)
(式中、R1はそれぞれ独立して6〜12個の炭素原子を有するアリール基、1〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、又は水素原子を示し、Yはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルコキシ基、カルボキシル基またはカルボン酸エステル基を示し、Aは単結合または1〜20個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基を示し、mは0または1である)で表されるシランカップリング剤の部分を示し、nは1〜6の整数を示す。]
[9]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法により得られる、上記[8]に記載の水添ブロック共重合体。
[10]上記[8]又は[9]に記載の水添ブロック共重合体100質量部に対して、非芳香族ゴム軟化剤を1〜2000質量部の割合で含有する熱可塑性エラストマー組成物。
本発明の製造方法は、
(a)特定の構造を有するリビングポリマーと特定の構造を有するビスシランカップリング剤とを反応させてブロック共重合体を形成する工程;
(b)上記ブロック共重合体を水素添加して水添ブロック共重合体を形成する工程;及び
(c)得られた水添ブロック共重合体を回収する工程
を含み、工程(c)において回収された水素ブロック共重合体中のカップリング剤に由来する官能基の数がブロック共重合体1分子につき1.5個以下である、水添ブロック共重合体の製造方法である。
上記ブロック共重合体を形成する工程(a)に用いられるリビングポリマーは、式(I):
P−X (I)
(式中、Pは芳香族ビニル化合物重合体ブロック(A)を1個以上および共役ジエン重合体ブロック(B)を1個以上有するコポリマー鎖を示し、Xはリビングアニオン重合体の活性末端を示す)で表されるリビングポリマーである。
該重合体ブロック(A)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン等が挙げられる。
該重合体ブロック(A)は、前記した芳香族ビニル化合物の1種に由来する構造単位のみを含んでいてもよいし、2種以上に由来する構造単位を含んでいてもよい。その中でも、重合体ブロック(A)は、スチレン、α−メチルスチレンに由来する構造単位から主としてなっていることが好ましい。
他の共重合性単量体としては、例えば、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、1,3−ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテル等のアニオン重合の可能な単量体等が挙げられる。これらの他の共重合性単量体に基づく単位の結合形態は、ランダム、テーパード状等のいずれの形態になっていてもよい。
該重合体ブロック(B)を構成する共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。
該重合体ブロック(B)は、前記した共役ジエンの1種に由来する構造単位のみから構成されていてもよいし、2種以上に由来する構造単位から構成されていてもよい。その中でも、重合体ブロック(B)は、1,3−ブタジエン、イソプレン又は1,3−ブタジエンとイソプレンとの混合物に由来する構造単位から主として構成されているのが好ましく、1,3−ブタジエンとイソプレンとの混合物に由来する構造単位から主として構成されているのがより好ましい。重合体ブロック(B)が2種以上の共役ジエンに由来する構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、ブロック、テーパード状、又はそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
他の共重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ジフェニルエチレン、1−ビニルナフタレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等の芳香族ビニル化合物などのアニオン重合可能な単量体が挙げられる。これら他の共重合性単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。共役ジエンに由来する構造単位と芳香族ビニル化合物などの他の共重合性単量体に由来する構造単位とを共重合する場合、それらの結合形態はランダム、テーパード状のいずれでもよい。
上記リビングポリマーの重量平均分子量は、水素添加前の状態で、8,000〜500,000であることが好ましく、15,000〜300,000であることがより好ましい。リビングポリマーの重量平均分子量が前記の範囲よりも大きいと、分岐係数が小さくなり、未反応の官能基数が多くなる場合がある。なお、リビングポリマーの重量平均分子量はカップリング未反応のポリマー成分の重量平均分子量とほぼ同じ値と扱うことができる。
また、水添ブロック共重合体の全体の重量平均分子量は、16,000以上であることが好ましく、30,000以上であることがより好ましく、50,000以上であることが更に好ましく、60,000以上であることが最も好ましい。さらに、水添ブロック共重合体の全体の重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下であることがより好ましく、600,000以下であることが更に好ましい。水添ブロック共重合体の重量平均分子量が16,000未満であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性が十分でない場合があり、1,000,000を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物が加工性に劣る場合がある。
なお、本明細書でいう重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
上記のアルキルリチウム化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ペンチルリチウム等が挙げられる。
また、重合の際に共触媒としてルイス塩基を用いてもよく、ルイス塩基としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等のアミン類などが挙げられる。これらのルイス塩基は、1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。
R1 mY3-mSi−A−SiY3-mR1 m (II)
(式中、R1はそれぞれ独立して6〜12個の炭素原子を有するアリール基、1〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、又は水素原子を示し、Yはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルコキシ基、カルボキシル基またはカルボン酸エステル基を示し、Aは単結合または1〜20個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基を示し、mは0または1である)で表されるカップリング剤である。
カップリング剤として式(II)で表されるビスシリル化合物を用いることにより、立体障害の影響を抑え、カップリング反応に関与する官能基の数を向上させ、未反応の官能基の数を減らすことができる。
R1 m(OR2)3-mSi−A−Si(OR2)3-mR1 m (III)
(式中、R1はそれぞれ独立して6〜12個の炭素原子を有するアリール基、1〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、又は水素原子を示し、R2はそれぞれ独立して1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を示し、Aは単結合または1〜20個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基を示し、mは0または1である)で表されるカップリング剤が好ましい。
官能基Yがアルコキシ基であるカップリング剤(上記式(III)で表されるカップリング剤)としては、例えば、ビスジメトキシメチルシリルエタン、ビスジエトキシメチルシリルエタン、ビスジエトキシエチルシリルペンタン、ビスジブトキシメチルシリルエタン、ビストリメトキシシリルへキサン、ビストリエトキシシリルエタン、ビストリプロポキシシリルペンタン等のビスアルコキシシリルアルカン系化合物などが挙げられる。これらの中でも、ビスジエトキシメチルシリルエタン、ビストリエトキシシリルエタンが好ましい。
カップリング剤1分子あたりに含まれる官能基Yの数を好ましい範囲にする方法として、最初から所望の数の官能基を有する化合物を用いてもよいし、所望の数よりも多い官能基を有する化合物の官能基の一部を予め不活性化させてから用いることもできる。
これらの中でも、不活性化後のカップリング剤のカップリング反応における立体障害が小さいことから、メチルリチウム、メチルマグネシウム臭化物、ジメチル銅リチウムが好ましい。
また、カップリング反応は、通常、0〜100℃の温度範囲で、0.5〜50時間行う。カップリング剤は希釈して用いてもよく、希釈溶媒としては、活性末端に対して不活性で反応に悪影響を及ぼさなければ特に制限はなく、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の飽和脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素が挙げられる。また、カップリング反応の際に添加剤としてルイス塩基を加えてもよく、ルイス塩基としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等のアミン類などが挙げられる。これらのルイス塩基は、1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。
カップリング率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって得られた溶出曲線を使用し、カップリングによって生成したポリマーのピーク面積を、カップリングによって生成したポリマーのピーク面積とカップリング未反応ポリマーのピーク面積との和によって割ることにより求めることができる。すなわち、カップリング率は、以下の式により求めることができる。
カップリング率(%)=(カップリングによって生成したポリマーのピーク面積)/(カップリングによって生成したポリマーのピーク面積とカップリング未反応ポリマーのピーク面積との和)×100
カップリング率はカップリング剤の添加量を多くしたり、反応温度を高くしたり、反応時間を長くしたりすることによって高めることができる。
分岐係数=(カップリングによって生成したポリマーの重量平均分子量(Mw))/(カップリング未反応ポリマーの重量平均分子量(Mw))
分岐係数は、カップリング剤のリビングアニオン重合体の活性末端と反応しうる官能基数によってコントロールすることができる。通常リビングアニオン重合体の活性末端と反応しうる官能基が多いカップリング剤を用いることによって、分岐係数が高いブロック共重合体を得ることができ、3官能以上で反応しうるカップリング剤を使用することで分岐係数を2.3以上に高めることができる。官能基数が多いカップリング剤を用いることによって水添ブロック共重合体の分岐係数を高めると、通常カップリング反応後に未反応の官能基Yの数が多くなりやすいため、分岐係数が大きい水添ブロック共重合体を製造する場合に本発明の効果がより有効に発揮される。
カップリングと水素添加は引き続いて行ってもよいしブロック共重合体を一旦単離してから水素添加してもよい。
ブロック共重合体を単離する場合、上記した方法により重合を行った後、重合反応液をメタノールなどのブロック共重合体の貧溶媒に注いでブロック共重合体を凝固させるか、または重合反応液をスチームと共に熱水中に注いで溶媒を共沸によって除去(スチームストリッピング)した後、乾燥させることにより、ブロック共重合体を単離することができる。
カップリングと水素添加を引き続いて行う場合、水添ブロック共重合体の単離は、水素添加反応液を、メタノールなどの水添ブロック共重合体の貧溶媒に注いで凝固させるか、または水素添加反応液をスチームと共に熱水中に注いで溶媒を共沸によって除去(スチームストリッピング)した後、乾燥することにより単離することができる。
本願の製造方法では、水添ブロック共重合体の残存官能基数を小さくするための手段として、
(d)工程(c)の前において、前記のブロック共重合体もしくは水添ブロック共重合体中のカップリング剤残基に存在する未反応の官能基Yを不活性化する工程
を含むことが有効であり、好ましい。
水添ブロック共重合体中のカップリング剤残基に存在する未反応の官能基Yが、回収工程(c)で加えられる水や酸により反応して水酸基を生成し、生成した水酸基が金属触媒と相互作用を起こすと考えられるため、不活性化工程(d)は、回収工程(c)よりも前に行うことが好ましい。
すなわち、本発明の製造方法においては、回収工程(c)で回収された水添ブロック共重合体中のカップリング剤残基に存在する未反応の官能基Y(残存官能基)の数が1.5個以下になるのであれば工程(d)を行わなくてもよい。工程(d)を含む場合には、工程(a)→工程(d)→工程(b)→工程(c)の順で行ってもよいし、工程(a)→工程(b)→工程(d)→工程(c)の順で行ってもよい。
これらの中でも、不活性化反応を速やかに進行させるには立体障害が小さいことが望ましいため、メチルリチウム、メチルマグネシウム臭化物、ジメチル銅リチウムが好ましい。
官能基Yの不活性化反応は、通常、0〜100℃の温度範囲で、0.1〜50時間行う。不活性化試薬は希釈して用いてもよく、希釈溶媒としては、不活性化試薬に対して不活性で反応に悪影響を及ぼさなければ特に制限はなく、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の飽和脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素が挙げられる。また、官能基Yの不活性化反応の際に添加剤としてルイス塩基を加えてもよく、ルイス塩基としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等のアミン類などが挙げられる。これらのルイス塩基は、1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。
本発明の製造方法により得られる水添ブロック共重合体は、一般式P’及び/又は(P’)n−Zで表される共重合体を含む水添ブロック共重合体であって、分岐係数が2.3以上であり、遷移金属含有量が100ppm以下である。ここで、P’は芳香族ビニル化合物重合体ブロック(A)を1個以上および水添共役ジエン重合体ブロック(B)を1個以上有するコポリマー鎖を示し、Zは前記式(II)で表されるシランカップリング剤の部分を示し、nは1〜6の整数を示す。
すなわち、本発明の水添ブロック共重合体は、
(1)一般式(P’)6−Zで表される、アーム数が6つのラジアル型水添ブロック共重合体、
(2)一般式(P’)5−Zで表される、アーム数が5つのラジアル型水添ブロック共重合体、
(3)一般式(P’)4−Zで表される、アーム数が4つのラジアル型水添ブロック共重合体、
(4)一般式(P’)3−Zで表される、アーム数が3つのラジアル型水添ブロック共重合体、
(5)一般式(P’)2−Zで表される、アーム数が2つの線状水添ブロック共重合体、
(6)一般式P’−Zで表される、アーム数が1つの線状水添ブロック共重合体、及び
(7)一般式P’で表される線状水添ブロック共重合体
の混合物である。なお、本発明の水添ブロック共重合体における共重合体(1)〜(7)の成分比率は、原料のリビングポリマー及びシランカップリング剤の種類や反応条件によって適宜決定される。
本発明の製造方法では、得られた水添ブロック共重合体中のカップリング剤に由来する官能基(残存官能基)の数がブロック共重合体1分子につき1.5個以下であることが重要であり、1.3個以下であることが好ましい。ここでいう「カップリング剤に由来する官能基」には、カップリング剤中の官能基がそのまま残存しているものと、カップリング剤中の官能基が加水分解により水酸基になったものとを含む。残存官能基の数が1.5個以下であると、残存官能基と水素添加反応等に用いられる金属触媒との相互作用を抑えることができ、遷移金属含有量の少ない水添ブロック共重合体を得ることができる。残存官能基数は、官能基数の小さいカップリング剤を用いたり、カップリング反応の後に未反応の官能基を不活性化させたりすることによって小さくすることができる。また、残存官能基の数は、リビングポリマーに対するカップリング剤の量を少なくすることによっても調整できる。リビングポリマーに対するカップリング剤の量が少ない場合、官能基数に対するリビングポリマーの比が大きくなり、分岐係数の大きな水添ブロック共重合体を得ることができ、即ちカップリング剤に由来する残存官能基数を小さくすることができる。この場合、カップリング効率は低くなる傾向にある。さらに重量平均分子量の小さなリビングポリマーをカップリングさせる場合は、カップリング反応における立体障害が小さくなるため、分岐係数の大きなブロック共重合体が得られ、即ちカップリング剤に由来する残存官能基数を小さくすることができる。カップリング反応により分岐係数の大きなブロック共重合体が得られた場合、カップリング剤に由来する残存官能基数が1.5以下であれば、本発明の効果により不活性化工程を用いなくても遷移金属含有量の低いラジアル型水添ブロック共重合体が得られる。
残存官能基のうちでも、官能基Yが加水分解されることによって生じるSi原子に直結した水酸基(シラノール基)が遷移金属と相互作用した場合、特に立体的に遷移金属を拘束するため、最終的に得られた水添ブロック共重合体の遷移金属含有量に影響を与える。したがって、得られた水添ブロック共重合体中のシラノール基の数がブロック共重合体1分子につき1.5個以下であることが重要であり、1.3個以下であることが好ましい。
本発明の製造方法により遷移金属含有量の少ない水添ブロック共重合体を得ることができる。具体的には、原子吸光法により測定した遷移金属含有量が、好ましくは100ppm以下、より好ましくは80ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。遷移金属含有量が上記範囲よりも大きいと、水添ブロック共重合体を他の成分と共に混練して熱可塑性エラストマー組成物を調製した場合に、得られる熱可塑性エラストマー組成物が黄変することがあり好ましくない。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記水添ブロック共重合体と非芳香族ゴム軟化剤とを含む。本発明でいう非芳香族ゴム軟化剤とは芳香族環の炭素数が分子全体の炭素数の35%未満のゴム軟化剤をいう。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する水添ブロック共重合体は1種類のものを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
1H−NMRスペクトルから算出した。
装置:AVANCE400Nanobay(商品名、BRUKER(株)製)
溶媒:重クロロホルム
測定温度:320K
(2)重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、カップリングしたポリマー成分とカップリング未反応ポリマー成分との合計の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)をポリスチレン換算で求めた。
装置:GPC−8020(商品名、東ソー(株)製)
検出器:RI
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃、流速:1ml/分
注入量:150μl
濃度:5mg/10cc(水添ブロック共重合体/THF)
上記GPCで得られた、カップリングしたポリマー成分のピーク面積とカップリング未反応のポリマー成分のピーク面積とから求めた。
(4)分岐係数
上記GPCで得られた、カップリングしたポリマー成分の重量平均分子量をカップリング未反応のポリマー成分の重量平均分子量で割って算出した。
得られた水添ブロック共重合体の29Si−NMRを測定し、水酸基が結合したケイ素のシグナルと水酸基が結合していないケイ素のシグナルの積分値の比から計算した。
(6)遷移金属含有量
以下の実施例および比較例で得られた水添ブロック共重合体を秤量し、600℃で3時間加熱して有機物を分解し、残渣を塩酸水溶液に溶解した後に、原子吸光光度計を用いて測定した。
装置:Z−6100(商品名、日立(株)製)
混練して得られた熱可塑性エラストマー組成物が黄変しているかどうかを目視で確認した。
○:黄変なし
×:黄変あり
(8)圧縮永久ひずみ
JIS K 6262に準拠して測定した。小型試験片を25%圧縮し、40℃で22時間加温した。圧縮を開放した後に室温で30分間静置し、サンプルの厚さを測定して算出した。
(9)MFR
JIS K 7210に準拠して測定した。以下の実施例および比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物を160℃で4分間保持した後、21.2Nの荷重をかけてサンプルを押し出し、10分間に押し出される量を測定した。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン3400ml、開始剤として濃度10.5wt%のsec−ブチルリチウム6.2mlを仕込み、50℃に昇温した後、イソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を107.6ml加えて2時間重合した。引き続いてスチレンを177ml加えて1時間重合を行い、さらにイソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を260ml加えて2時間重合を行い、その後70℃に昇温させた後、ビスジエトキシメチルシリルエタン(BEMSE)の5wt%THF溶液を8.5g添加して5時間カップリング反応をさせた後、メタノール0.30mlを添加し重合を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。この反応混合液に水素添加触媒としてネオデカン酸コバルト−トリエチルアルミニウム(0.0962mol/Lシクロヘキサン溶液)を60ml添加し、水素圧力2MPa、150℃で10時間水素添加反応を行った。放冷、放圧後、空気下でリン酸水溶液を添加し、水で洗浄した。さらに真空乾燥することにより水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(R−1)と称する)を得た。
水添ブロック共重合体(R−1)のスチレン含有量は39質量%、水添率は97.3%、ビニル結合量は5.1%、重量平均分子量は289,000、カップリング率は70%、分岐係数は2.50、遷移金属含有量は10ppmであり、含有水酸基の数は1.2であった。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン3400ml、開始剤として濃度10.5wt%のsec−ブチルリチウム6.2mlを仕込み、50℃に昇温した後、イソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を80ml加えて2時間重合した。引き続いてスチレンを233ml加えて1時間重合を行い、さらにイソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を402ml加えて2時間重合を行い、その後70℃に昇温させた後、ビストリエトキシシリルエタン(BESE)の5wt%THF溶液を13.5g添加して2時間カップリング反応をさせた後、上と同濃度のsec−ブチルリチウム7.0mlを添加し6時間反応させた。メタノール0.35mlを添加し重合を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。この反応混合液に水素添加触媒としてネオデカン酸コバルト−トリエチルアルミニウム(0.0962mol/Lシクロヘキサン溶液)を60ml添加し、水素圧力2MPa、150℃で10時間水素添加反応を行った。放冷、放圧後、空気下でリン酸水溶液を添加し、水で洗浄した。さらに真空乾燥することにより水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(R−2)と称する)を得た。
水添ブロック共重合体(R−2)のスチレン含有量は40質量%、水添率は97.8%、ビニル結合量は4.1%、重量平均分子量は346,000、カップリング率は83%、分岐係数は3.14、遷移金属含有量は20ppmであり、含有水酸基の数は0.7であった。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン3400ml、開始剤として濃度10.5wt%のsec−ブチルリチウム7.3mlを仕込み、50℃に昇温した後、イソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を156ml加えて2時間重合した。引き続いてスチレンを257ml加えて1時間重合を行い、さらにイソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を378ml加えて2時間重合を行い、その後70℃に昇温させた後、ビストリエトキシシリルエタン(BESE)の5wt%THF溶液を15.0g添加して2時間カップリング反応をさせた後、濃度1mol/Lのt−ブチルマグネシウム臭化物(THF溶液)6.6mlを添加し4時間反応させた。メタノール0.35mlを添加し重合を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。この反応混合液に水素添加触媒としてネオデカン酸コバルト−トリエチルアルミニウム(0.0962mol/Lシクロヘキサン溶液)を100ml添加し、水素圧力2MPa、150℃で10時間水素添加反応を行った。放冷、放圧後、空気下でリン酸水溶液を添加し、水で洗浄した。さらに真空乾燥することにより水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(R−3)と称する)を得た。
水添ブロック共重合体(R−3)のスチレン含有量は44質量%、水添率は97.0%、ビニル結合量は3.8%、重量平均分子量は339,000、カップリング率は85%、分岐係数は2.76、遷移金属含有量は88ppmであり、含有水酸基の数は0.8であった。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン3400ml、開始剤として濃度10.5wt%のsec−ブチルリチウム6.2mlを仕込み、50℃に昇温した後、イソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を104ml加えて2時間重合した。引き続いてスチレンを184ml加えて1時間重合を行い、さらにイソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を271ml加えて2時間重合を行い、その後70℃に昇温させた後、ビストリエトキシシリルエタン(BESE)の5wt%THF溶液を10.5g添加して2時間カップリング反応をさせた後、メタノール0.20mlを添加し重合を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。この反応混合液に水素添加触媒としてネオデカン酸コバルト−トリエチルアルミニウム(0.0962mol/Lシクロヘキサン溶液)を60ml添加し、水素圧力2MPa、150℃で10時間水素添加反応を行った。さらに濃度1mol/Lのt−ブチルマグネシウム臭化物(THF溶液)6.6mlを添加し2時間反応させた。放冷、放圧後、空気下でリン酸水溶液を添加し、水で洗浄した。さらに真空乾燥することにより水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(R−4)と称する)を得た。
水添ブロック共重合体(R−4)のスチレン含有量は40質量%、水添率は97.8%、ビニル結合量は4.5%、重量平均分子量は267,700、カップリング率は80%、分岐係数は2.62、遷移金属含有量は49ppmであり、含有水酸基の数は1.3であった。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン3400ml、開始剤として濃度10.5wt%のsec−ブチルリチウム6.2mlを仕込み、50℃に昇温した後、イソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を130ml加えて2時間重合した。引き続いてスチレンを221ml加えて1時間重合を行い、さらにイソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を326ml加えて2時間重合を行い、その後70℃に昇温させた後、ビストリエトキシシリルエタン(BESE)の5wt%THF溶液を12.9g添加して2時間カップリング反応をさせた後、メタノール0.3mlを添加し重合を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。この反応混合液に水素添加触媒としてネオデカン酸コバルト−トリエチルアルミニウム(0.0962mol/Lシクロヘキサン溶液)を101ml添加し、水素圧力2MPa、150℃で10時間水素添加反応を行った。放冷、放圧後、空気下でリン酸水溶液を添加し、水で洗浄した。さらに真空乾燥することにより水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(H−1)と称する)を得た。
水添ブロック共重合体(H−1)のスチレン含有量は40質量%、水添率は96.5%、ビニル結合量は5.4%、重量平均分子量は339,000、カップリング率は85%、分岐係数は2.70、遷移金属含有量は466ppmであり、含有水酸基の数は3.4であった。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン3400ml、開始剤として濃度10.5wt%のsec−ブチルリチウム6.2mlを仕込み、50℃に昇温した後、イソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を80ml加えて2時間重合した。引き続いてスチレンを233ml加えて1時間重合を行い、さらにイソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を402ml加えて2時間重合を行い、その後70℃に昇温させた後、ビストリエトキシシリルエタン(BESE)の5wt%THF溶液を13.5g添加して2時間カップリング反応をさせた後、濃度10.5wt%のsec−ブチルリチウム1.8mlを添加し6時間反応させた。メタノール0.35mlを添加し重合を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。この反応混合液に水素添加触媒としてネオデカン酸コバルト−トリエチルアルミニウム(0.0962mol/Lシクロヘキサン溶液)を60ml添加し、水素圧力2MPa、150℃で10時間水素添加反応を行った。放冷、放圧後、空気下でリン酸水溶液を添加し、水で洗浄した。さらに真空乾燥することにより水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(H−2)と称する)を得た。
水添ブロック共重合体(H−2)のスチレン含有量は40質量%、水添率は97.8%、ビニル結合量は4.1%、重量平均分子量は346,000、カップリング率は83%、分岐係数は3.14、遷移金属含有量は586ppmであり、含有水酸基の数は1.7であった。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン3400ml、開始剤として濃度10.5wt%のsec−ブチルリチウム7.2mlを仕込み、50℃に昇温した後、イソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を151ml加えて2時間重合した。引き続いてスチレンを249ml加えて1時間重合を行い、さらにイソプレンとブタジエンの質量比=50/50の混合物を366ml加えて2時間重合を行い、その後70℃に昇温させた後、テトラエトキシシラン(TEOS)の5wt%THF溶液を16.6g添加して2時間カップリング反応をさせた後、メタノール0.35mlを添加し重合を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。この反応混合液に水素添加触媒としてネオデカン酸コバルト−トリエチルアルミニウム(0.0962mol/Lシクロヘキサン溶液)を60ml添加し、水素圧力2MPa、150℃で10時間水素添加反応を行った。放冷、放圧後、空気下でリン酸水溶液を添加し、水で洗浄した。さらに真空乾燥することにより水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(H−3)と称する)を得た。
水添ブロック共重合体(H−3)のスチレン含有量は41質量%、水添率は97.4%、ビニル結合量は5.1%、重量平均分子量は252,700、カップリング率は77%、分岐係数は2.38、遷移金属含有量は518ppmであり、含有水酸基の数は1.6であった。
上記実施例1〜4および比較例1〜3で得られた水添ブロック共重合体(R−1)〜(R−4)および(H−1)〜(H−3)、非芳香族ゴム軟化剤並びに酸化防止剤を、水添ブロック共重合体100質量部に対して、非芳香族ゴム軟化剤500質量部および酸化防止剤を表2に示す質量割合で配合し、予め予備混合し、その後ブラベンダーミキサーを用いて170℃で5分間溶融混練した。その後、プレス成形機を用いて圧縮永久ひずみ測定用試験片を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物を前述した(7)〜(9)の方法に従って性能評価を行った。結果を表2に示す。なお、非芳香族ゴム軟化剤および酸化防止剤には以下のものを用いた。
・非芳香族ゴム軟化剤:パラフィン系プロセスオイル、商品名:ダイアナプロセスオイルPW−32、出光興産(株)製、40℃動粘度:30.98mm2/s
・酸化防止剤:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、商品名:IRGANOX1010、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製
Claims (10)
- (a)式(I):
P−X (I)
(式中、Pは芳香族ビニル化合物重合体ブロック(A)を1個以上および共役ジエン重合体ブロック(B)を1個以上有するコポリマー鎖を示し、Xはリビングアニオン重合体の活性末端を示す)で表されるリビングポリマーと、式(II):
R1 mY3-mSi−A−SiY3-mR1 m (II)
(式中、R1はそれぞれ独立して6〜12個の炭素原子を有するアリール基、1〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、又は水素原子を示し、Yはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルコキシ基、カルボキシル基またはカルボン酸エステル基を示し、Aは単結合または1〜20個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基を示し、mは0または1である)で表されるカップリング剤とを反応させてブロック共重合体を形成する工程;
(b)上記ブロック共重合体を水素添加して水添ブロック共重合体を形成する工程;及び
(c)得られた水添ブロック共重合体を回収する工程
を含み、工程(c)において回収された水添ブロック共重合体中のカップリング剤に由来する官能基の数がブロック共重合体1分子につき1.5個以下である、水添ブロック共重合体の製造方法。 - 上記Yが、OR2(R2はそれぞれ独立して1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を示す)で表されるアルコキシ基である、請求項1に記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
- 前記カップリング剤がビスジアルコキシアルキルシリルアルカンである、請求項2に記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
- 前記カップリング剤がビスジエトキシメチルシリルエタンである、請求項3に記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
- 前記の水添ブロック共重合体中のカップリング剤に由来する官能基が、Si原子に直結した水酸基である、請求項1〜4のいずれかに記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
- さらに
(d)工程(c)の前において、前記のブロック共重合体もしくは水添ブロック共重合体中のカップリング剤残基に存在する未反応の官能基Yを不活性化する工程
を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の水添ブロック共重合体の製造方法。 - 水添ブロック共重合体の分岐係数が2.3以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の水添ブロック共重合体の製造方法。
- 一般式P’及び/又は(P’)n−Zで表される共重合体を含む水添ブロック共重合体であって、分岐係数が2.3以上であり、遷移金属含有量が100ppm以下である、水添ブロック共重合体。
[式中、P’は芳香族ビニル化合物重合体ブロック(A)を1個以上および水添共役ジエン重合体ブロック(B)を1個以上有するコポリマー鎖を示し、Zは式(II):
R1 mY3-mSi−A−SiY3-mR1 m (II)
(式中、R1はそれぞれ独立して6〜12個の炭素原子を有するアリール基、1〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、又は水素原子を示し、Yはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルコキシ基、カルボキシル基またはカルボン酸エステル基を示し、Aは単結合または1〜20個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基を示し、mは0または1である)で表されるシランカップリング剤の残基を示し、nは1〜6の整数を示す。] - 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られる、請求項8に記載の水添ブロック共重合体。
- 請求項8又は9に記載の水添ブロック共重合体100質量部に対して、非芳香族ゴム軟化剤を1〜2000質量部の割合で含有する熱可塑性エラストマー組成物。
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