JP2009248189A - 半田コテ先チップ侵食防止剤 - Google Patents

半田コテ先チップ侵食防止剤 Download PDF

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昌夫 小島
Shigemi Yokoi
重己 横井
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Abstract

【課題】 鉛フリー半田を用いて半田付けをする際に、半田コテの銅製チップ先端部の浸食を防止することが可能な半田コテ先チップ侵食防止剤を提供する。
【解決手段】 半田付けに使用される半田コテの銅製チップのPbフリー半田による侵食防止剤であって、有機ニッケル塩及び有機コバルト塩のうち1種または2種以上を含有する。
【選択図】図3

Description

発明の詳細な説明
本発明は、半田コテ先チップ侵食防止剤に関し、さらに詳しくは、鉛フリー半田を適用する半田付け工程に使用される半田コテ先の銅製チップの侵食を防止するための半田コテ先チップ侵食防止剤に関する。
電子工業における半導体パッケージや電子素子等をプリント基板に半田接合する際に使用される半田は、従来スズ−鉛(Sn−Pb)系半田であったが、Pbの環境汚染ならびに人体への有害性からPbが使用禁止または使用が規制されるようになった。
したがって、最近では、特に電子部品分野では鉛を含有しない、所謂、「鉛フリー半田」が使用されるようになっている。
一方、半田コテ先チップとしては、熱伝導性が高く、半田濡れ性が良好な銅製チップを使用することが一般的である。従来のSn−Pb系半田では、Pbの働きにより銅製チップの侵食が防止されていた。しかしながら、鉛フリー半田の半田付けを実施すると、この銅製チップがPbフリー半田により侵食されて、チップ表面に凹凸が形成され、極端な場合には穴があくことによって、半田コテの耐久性が低下するという問題が生じる。
本発明は、上記の課題を解消するためになされ、Pbフリー半田を用いる半田付けの際に、半田コテ先の銅製チップの侵食を防止することができる半田コテ先チップ侵食防止剤を提供することを目的とする。
本発明は、半田付けに使用される半田コテ先の銅製チップのPbフリー半田による侵食を防止するためのものであって、有機ニッケル塩及び有機コバルト塩のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする半田コテ先チップ侵食防止剤が提供される。
本発明の半田コテ先チップ侵食防止剤を半田コテ先チップに塗布すれば、Pbフリー半田を適用する半田付けにおいて、銅製チップ表面にNi及び/又はCoを含む皮膜が形成され、その皮膜によりPbフリー半田による侵食が防止されるため、半田コテの耐久性が向上される。
本発明の半田コテ先チップ侵食防止剤に使用する有機ニッケル塩、有機コバルト塩として特に好ましいのは有機酸ニッケルまた有機酸コバルトであり、これらを構成する有機酸としてはパルミチン酸・ステアリン酸・オレイン酸などの脂肪族カルボン酸、フタール酸・ピロメリット酸などの芳香族カルボン酸などを使用することができる。このうち炭素原子数8〜20の有機脂肪酸のカルボニル基の水素原子をニッケルまたはコバルトのいずれかの金属原子に置換したものは、半田付け時の加熱温度下で銅製チップ表面に、Ni及び/又はCoを含む皮膜が形成され、Pbフリー半田による侵食が防止される。
具体例としては、例えば、炭素原子数16のパルミチン酸ニッケル CH(CH14COONi、パルミチン酸コバルト CH(CH14COOCo、炭素原子数18のステアリン酸ニッケル CH(CH16COONi、ステアリン酸コバルト CH(CH16COOCoなどが特に効果的であり、それぞれ単独で用いても良いが、これらのうち2種類以上を混合して用いてもよい。
この半田コテ先チップ侵食防止剤中の上記有機酸ニッケル、有機酸コバルトの含有総量は0.1〜20重量%であることが好ましい。
本発明に使用する半田コテ先チップ侵食防止剤の構成成分は、有機ニッケル塩または有機コバルト塩を1種類以上と、このほかにジエタノールアミン、ジフェニルグアニジン臭化水素酸、イソプロピル臭化水素酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の活性剤、ステアリン酸アミン、ひまし油などのチクソ剤、ワックスならびにセルロース等の粘度調整剤、ロジンなどを使用し、また、溶媒などを適切な割合に配合し均一に混合して使用してもよい。
さらに、Pbフリーのやに入り半田を使用する半田付け工程で実施する際には、あらかじめ本発明の半田コテ先チップ侵食防止剤をこのやに入りはんだに内蔵するフラックス中に適量を添加して使用してもよい。
さらに、本発明の半田コテ先チップ侵食防止剤とSn、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Bi、Sn−Ag−Cu系などのPbフリー半田粒子とを適切な割合に配合し均一に混合して使用してもよい。
1. 半田コテ先チップ侵食防止剤A〜Dの調製
活性剤にミスチリン酸、チクソ剤にひまし油、粘土調整剤にワックスおよび溶媒にジエチレングリコールを使用し、これに対してステアリン酸コバルトCo(C1735COO)をそれぞれ0重量%、0.5重量%、10重量%、20重量%の範囲で配合することにより、表1に示す半田コテ先チップ侵食防止剤A〜Dを調製した。
Figure 2009248189
2.銅侵食試験
以下の条件及び方法で半田付け工程における銅侵食率を測定した。
(条件)
試験片:銅板(24mm×24mm×0.3mm)
試験温度:300℃
試験時間:15min、60min
試料:上記半田コテ先チップ侵食防止剤A〜D
試験装置:ホットプレート(自動温度調節器付き)
Pbフリー半田:Sn96.5重量%−Ag3重量%−Cu0.5重量%
(評価方法及び評価結果)
試料A〜Dそれぞれ約0.1gを各試験片上に塗布した後、さらにPbフリー半田約0.3gを載せ、これをあらかじめ試験温度300℃に保持したホットプレート上でPbフリー半田を所定の時間加熱し溶解させた。Pbフリー半田と接触した中央部付近を切断研磨し、光学式金属顕微鏡を用いてこの断面部分の試験片厚さを測定して、(1)式から銅侵食率を算出する。
Figure 2009248189
ここに、T:試験片の元の厚さ(mm)
t:半田接触部分の試験片厚さ(mm)
また、この断面部分の試験片とPbフリー半田との接合界面に生じた金属間化合物(IMC)層厚さを測定して、銅侵食防止効果を評価する。その結果を表2に示した。
図1は、試験片とPbフリー半田との接合界面に生成するIMC層を模式的に示したものである。試験片1上にPbフリー半田2とIMC層3が形成される。
図2〜4はそれぞれ下記実施例1、2及び比較例1に対応するIMC層生成の様子を示す写真断面図であり、それぞれ、上の写真は15min経過後、下の写真は60min経過後の様子である。
Figure 2009248189
図2〜4及び表2に示した結果から明らかなように、ステアリン酸コバルトを含有しない半田コテ先チップ侵食防止剤を使用してPbフリー半田の半田付けを実施した場合は(比較例1)、経時的に試験片厚が減少するとともにIMC層厚が増大する、すなわち、銅の侵食が進行していることが分かった。それに対して、ステアリン酸コバルトを含有する半田コテ先チップ侵食防止剤を使用した場合は(実施例1,2,3)、経時的な試験片厚の減少と、IMC層厚の増大が抑制され、結果的に銅の侵食を抑制する効果が認められた。これは銅表面にコバルトを含む皮膜が形成されるためであると考えられる。
このように、本発明の半田コテ先チップ侵食防止剤を用いると、Pbフリー半田を使用した半田付け工程において、半田コテ先の銅製チップ表面に侵食防止剤に含まれる金属化合物の皮膜が生成するために、Pbフリー半田中の錫による銅の侵食が防止され、その結果半田コテの耐久性が向上し、その工業的価値は極めて大である。
本発明の実施例において、銅板と半田との接合界面に生成するIMC層を模式的に示したものである。 本発明の実施例1において、IMC層生成の様子を示す写真断面図である。 本発明の実施例2において、IMC層生成の様子を示す写真断面図である。 本発明の比較例1において、IMC層生成の様子を示す写真断面図である。
符号の説明
1 試験片
2 Pbフリー半田
3 IMC層

Claims (8)

  1. 有機ニッケル塩及び有機コバルト塩のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする半田コテ先チップ侵食防止剤。
  2. 前記有機ニッケル塩が、有機脂肪酸ニッケルである請求項1記載の半田コテ先チップ侵食防止剤。
  3. 前記有機コバルト塩が、有機脂肪酸コバルトである請求項1記載の半田コテ先チップ侵食防止剤。
  4. 前記有機脂肪酸ニッケルが、パルミチン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケルである請求項2記載の半田コテ先チップ侵食防止剤。
  5. 前記有機脂肪酸コバルトが、パルミチン酸コバルト、ステアリン酸コバルトである請求項3の半田コテ先チップ侵食防止剤。
  6. 前期1種または2種以上の有機ニッケル塩及び有機コバルト塩のうち1種または2種以上の含有量の合計が0.1〜20重量%である半田コテ先チップ侵食防止剤。
  7. 前期1種または2種以上の有機ニッケル塩及び有機コバルト塩のうち1種または2種以上の含有量の合計が0.1〜20重量%を、やに入り半田のフラックスにあらかじめ添加してなることを特徴とする半田コテ先チップ侵食防止剤。
  8. 前期1種または2種以上の有機ニッケル塩及び有機コバルト塩のうち1種または2種以上の含有量の合計が0.1〜20重量%を、ペースト状半田のフラックスにあらかじめ添加してなることを特徴とする半田コテ先チップ侵食防止剤。
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