JP2009247302A - バシルス・アミロリクエファシエンスの新菌株及びそれを用いた植物病害防除剤 - Google Patents

バシルス・アミロリクエファシエンスの新菌株及びそれを用いた植物病害防除剤 Download PDF

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Koichi Ozaki
剛一 尾崎
Satoru Watanabe
渡辺  哲
Kenichi Takada
健一 貴田
Naoya Hashimoto
尚也 橋本
Noboru Shiojiri
昇 塩尻
Katsumi Shigeta
勝美 茂田
Shintaro Kusano
新太郎 草野
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Abstract

【課題】各種作物の細菌性病害と糸状菌性病害の双方の防除に有効な新規な微生物農薬を提供する。
【解決手段】自然界から分離したバシルス・アミロリクエファシエンスの新菌株である3K−4株は、農園芸作物の細菌性及び糸状菌性のいずれの植物病害防除にも有効で、かつ各種の施用方法が可能であるため、優れた植物病害防除剤として利用できる。該3K−4株は、死菌体ではなく生菌体が植物病害防除に有効であり、また、生菌体の生産物ではなく生菌体自体が有効である点でも特徴的である。
【選択図】なし

Description

本発明は1種の微生物でイネ及び園芸作物の細菌性病害と糸状菌性病害の防除を可能にするバシルス・アミロリクエファシエンスの新菌株、及びそれを利用した病害防除剤に関する。
これまでの農業における病害防除は化学農薬を主体とした防除が主流であり、安定的な作物生産を可能としてきた。しかし、一方で化学農薬の長期、連続散布による環境への影響や耐性菌の出現、また既存の化学農薬では十分に防除できない細菌性病害等の難防除病害の問題が懸念されている。このような問題に対して、近年、化学農薬以外での防除方法として、自然界から採取された微生物を利用した生物的防除が注目されている。既にいくつかの微生物農薬が開発・製品化されているが、化学農薬と比べて効果の安定性が劣ったり、防除スペクトラムの幅が狭いという問題がある。また製品の数も十分ではない。そこで、新たなスペクトラムを有し、防除活性の高い新規な微生物農薬が切望されている。
微生物を用いた植物病害防除法としては、フザリウム(Fusarium)属菌、トリコデルマ(Trichoderma)属菌等の糸状菌を用いたもの、バシルス(Bacillus)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、エルビニア(Erwinia)属細菌、バークホルデリア(Burkholderia)属細菌などの細菌を用いたものが知られており、これらのいくつかは微生物農薬として登録され、使用されている。
このうち、バシルス・アミロリクエファシエンスに属する細菌を用いた植物病害防除剤としては、例えば特許文献1がある。しかし、その有効成分は細菌の生産物であって、細菌自体ではないし、更にまた、その防除対象は糸状菌による病害であり、細菌による病害の防除は記載されていない。更に、糸状菌性病害と細菌性病害を同時に防除できるバシルス・アミロリクエファシエンス菌株はこれまで知られていない。
特開平11−246324号公報
本発明は上記のような現状に鑑み、1種の微生物でイネ及び園芸作物の糸状菌性病害及び細菌性病害を防除できる新規な菌株を得ることを課題とする。本発明の更なる課題は、上記菌株を有効菌として含有し、微生物農薬として使用できる植物病害防除剤を提供することにある。
本発明者らは、自然界から多数の菌株を分離し、それらの菌株の病害防除効果を検定した結果、バシルス・アミロリクエファシエンスに属する1菌株が、植物体の成長に悪影響を及ぼすことなく、農園芸作物の糸状菌性病害及び細菌性病害に対して防除効果を有していることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、こうして得られた農園芸作物の糸状菌性病害及び細菌性病害の防除活性能力を有するバシルス・アミロリクエファシエンスの新菌株、その菌株を有効菌として含有する植物病害防除剤、及びそれを用いる病害防除方法に関するものである。
本発明の実施態様を例示すると、次のとおりである。
(1)バシルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)3K−4菌株。
(2)農園芸作物の細菌性病害と糸状菌性病害の双方の防除に有効で、且つ主要作物に病原性を示さないこと、を特徴とする上記(1)に記載の菌株。
(3)上記(1)又は(2)に記載の菌株を含有し、農園芸作物の細菌性病害と糸状菌性病害の防除に有効で、かつ主要作物に病原性を示さないこと、を特徴とする植物病害防除剤。
(4)該菌株が生菌体菌株であること、を特徴とする上記(3)に記載の植物病害防除剤。
(5)上記(3)又は(4)に記載の植物病害防除剤を植物の茎葉に処理すること、を特徴とする植物病害防除方法。
(6)上記(3)又は(4)に記載の植物病害防除剤を、植物の種子あるいは植物体に浸漬、噴霧、塗布、注入又は粉衣処理の少なくともひとつの処理をすること、を特徴とする植物病害防除方法。
(7)上記(3)又は(4)に記載の植物病害防除剤を、植物を栽培する土壌に灌注、噴霧又は混和処理の少なくともひとつの処理をすること、を特徴とする植物病害防除方法。
本発明のバシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株は、農園芸作物の糸状菌性病害及び細菌性病害のいずれに対しても高い防除効果を有し、農園芸作物の数多くの植物病害を防除することができる。したがって本発明のバシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株を含有する植物病害防除剤は、環境に対して安全性が高く、幅広い植物病害の防除に利用できる点で、極めて優れている。
本発明者らは、非常に広い抗菌スペクトラムを有し、安全性が高いすぐれた微生物農薬、特に殺菌剤を新たに開発する目的で、各種植物、土壌等から各種微生物をスクリーニングした。その結果、キャベツ種子から分離した菌株が作物病害菌を防除する作用にすぐれていること、特にその抗菌スペクトルが広く、糸状菌及び細菌の双方に有効であるという新規にして有用な知見を得た。
このようにして新たに分離した菌株(3K−4菌株)は、後記する菌学的性質から明らかなように、芽胞を形成する好気性細菌であり、カタラーゼ陽性であり、更に16SrDNAの5’末端側500bpの塩基配列に基づく同定の結果、バシルス・アミロリクエファシエンスに属するものと認められたが、抗菌スペクトルが広く、農園芸作物の糸状菌性病害及び細菌性病害のいずれに対しても高い防除効果を示すという卓越した顕著な特徴を示すことから、この菌株(3K−4)を新規菌株と同定し、バシルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)3K−4と命名した。
本発明に係る新規菌株3K−4株は、受託機関、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305−8566 日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)にBacillus amyloliquefaciens 3K−4として寄託されている(受託日:2008年3月3日)。その受託番号は、FERM P−21519である。
バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)3K−4(FERM P−21519)の菌学的性質は、次のとおりである。
3K−4株の細菌学的性質
(1)形態学的性質
形態:桿菌
大きさ:幅0.7〜0.9μm 長さ3〜5μm
運動性:+
(2)培養的性質
肉汁寒天平板培養:白色〜クリーム色のコロニーを形成し、表面はしわ状
(3)生理学的性質
グラム染色性:+
カタラーゼ反応:+
生育温度
27℃:+
45℃:+
50℃:+
55℃:−
生育NaCl濃度
5%:+
7%:+
10%:+
Arabinoseからの酸生成:+
Glucoseからの酸生成:+
Lactoseからの酸生成:+
Mannitolからの酸生成:+
Melibioseからの酸生成:+
Sucroseからの酸生成:+
D−turanoseからの酸生成:+
Xyloseからの酸生成:+
DNAの加水分解:−
<参考文献>
Ruiz−Garcia C., Bejar V., Martinez−Checa F., Llamas I. and Quesada E., 2005, Bacillus velezensis sp. nov., a surfactant producing bacterium isolated from the river Velez in Malaga, southern Spain., International journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 55, 191〜195
Sneath, P. H. A., Mair, N. S., Sharpe M. E., Holt J.G. 1986 Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology, volume2, Williams & Wilkins
Welker, N. E. and L. L. Campbell, 1967, Unrelatedness of Bacillus amyloliquefaciens and Bacillus subtilis., Journal of Bacteriology, vol 94, 1124〜1130
本発明に係る3K−4株の5’末端側16SrDNAの塩基配列を配列表の配列番号1及び図1に示す。
本発明のバシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株は、ふすまなどの資材培養、固形培地上での静置培養、液体培養等の公知の手段で増殖させることができ、細菌が生存していれば、特に培地の種類、培養条件等に制限されることはなく利用できる。
本発明のバシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株は、細菌が生存していれば、栄養細胞の状態でも、芽胞の状態でも病害防除剤として利用できる。また、培養したまま培地成分が混在していても、蒸留水などで洗浄して細菌細胞以外の不純物を除去した状態でも利用できる。しかし、細菌が死滅した状態では、病害防除効果は得られない。生きた細菌自体が病害防除効果を奏するものである。本発明は、当該細菌の生産物を病害防除に利用するものではない。このように、本発明は、死菌体でもなく生産物でもなく、生きている菌体(生菌体)それ自体を有効成分としている点できわめて特徴的である。
本発明のバシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株は不完全菌類(Deuteromycetes)に属する菌類に起因する植物の病害を防除することができる。バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株が防除することができる病気の原因菌として、具体的には、アルタナリア(Alternaria)属菌、例えばキャベツ黒すす病菌(Alternaria blassicicola)、ニンジン黒斑病菌(Alternaria radicina)、ダイコン黒斑病菌(Alternaria blassicicola)、ヒマワリ黒斑病菌(Alternaria zinniae)、フザリウム(Fusarium)属菌、例えばキュウリつる割病菌(Fusarium oxysporum)をあげることができるが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。
本発明のバシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株は、上記糸状菌のほか、細菌類に起因する植物の病害を防除することができる。バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株が防除することができる病気の原因菌として、具体的には、バークホルデリア(Burkholderia)属細菌、例えばイネ苗立枯細菌(Burkholderia plantarii)、イネもみ枯細菌(Burkholderia glumae)、キサントモナス(Xanthomonas)属細菌、例えばカンキツかいよう病菌(Xanthomonas campestris pv citri)、キャベツ黒腐病菌(Xanthomonas campestris pv campestris)をあげることができるが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。
本発明による植物病害防除剤においてバシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株は、芽胞の水懸濁液を単独で用いるほか、不活性な液体または固体の担体で希釈し、必要に応じて界面活性剤、分散剤、その他の補助剤を加えた製剤として用いてもよい。具体的な製剤例としては、粒剤、粉剤、水和剤、懸濁製剤、乳剤等の剤型があげられる。好ましい担体の例としては、タルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、消石灰、珪砂、硫安、尿素、多孔質な固体担体、水、イソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサノン、メチルナフタレン、アルキレングリコールなどの液体担体等があげられる。界面活性剤および分散剤としては、例えばジナフチルメタンスルホン酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等があげられる。補助剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アラビアゴム、キサンタンガム等、保護剤としてはスキムミルク、スクロース、グルタミン酸、pH緩衝剤等があげられる。
さらに、本発明の植物病害防除剤は、有効成分として必要に応じて他の殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調整剤、肥料などの成分を含むことができる。また、本発明の植物病害防除剤は、他の微生物農薬、弱毒ウィルス、フェロモン、天敵昆虫等と併用することもできる。また、遺伝子組み換え作物にも使用できる。
本発明の植物病害防除剤は、そのまま直接施用するか、あるいは水などで希釈して施用することができる。植物病害防除剤の施用方法は、特に限定されず、例えば、直接植物に散布する方法、種子や塊茎などに浸漬、噴霧、塗布、注入、粉衣する方法、植物を栽培する土壌に灌注、噴霧、混和する方法、植物や土壌に処理する水や肥料に添加する方法などがあげられる。その他、製剤の施用量は、対象病害、対象作物、施用方法、発生傾向、被害の程度、環境条件、使用する剤型などによって変動するので、適宜調整することが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(細菌の分離)
キャベツ黒すす病菌(Alternaria brassicicola)に汚染されたキャベツ種子(品種:早秋、タキイ種苗株式会社製)を細菌用培地(キングB培地)と糸状菌用培地(モルツアガー培地)に並べてアルタナリア属菌の発育適温に保った。その結果、ほとんどのキャベツ種子からアルタナリア属菌が両培地に発生したが、中にはアルタナリア属菌が発生せず、細菌または糸状菌が発生した種子が特にキングB培地において低率ながら見られた。そこでこれらの発生した菌からアルタナリア属菌に拮抗性のある菌をスクリーニングし、バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株を分離した。
(実施例1:培養方法)
バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株をNB培地で振とう培養し(27℃、7日間、125rpm)、遠心集菌して蒸留水で洗浄し、再度遠心集菌したものを滅菌水に懸濁した。懸濁液は、4℃で一晩放置し、溶菌(lysis)させて、芽胞懸濁液とした。
(実施例2:水和剤)
バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4菌株をNB液体培地中で培養し、得られた芽胞を蒸留水に懸濁して作成した芽胞懸濁液8重量部、珪藻土40重量部、クレー50重量部、ジナフタレンジスルホン酸ナトリウム1重量部及びリグニンスルホン酸ナトリウム1重量部を混合乾燥後、粉砕して水和剤とした。
(実施例3:粒剤)
バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4菌株の芽胞懸濁液6重量部、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩1重量部、リグニンスルホン酸ナトリウム1重量部、カルボキシメチルセルロース2重量部及びクレー90重量部を均一に混合粉砕する。この混合物を、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工した後、乾燥して粒剤とした。
(実施例4:キャベツ黒すす病防除効果試験)
園芸培土を充填した9cm×9cmのプラスチック製角鉢にキャベツ種子(品種:早秋)を5粒播種し、ガラス温室内で育苗した。第2葉が完全展開したキャベツに、実施例1および2で得られた芽胞懸濁液或いは水和剤を1000倍に希釈した菌液を300L/10aの割合で噴霧した。風乾後、キャベツ黒すす病菌の分生胞子懸濁液(1E+05個/ml)を噴霧接種し、24時間湿室(RH100%、25℃、暗条件)に置き、その後は調査までガラス温室内で底面給水により管理した。接種4日後に各ポットの第1葉及び第2葉について表1の基準で調査し、数1より発病度を求めた。試験規模は1区1ポットの3反復で実施し、結果を表2に示した。なお、1E+05は1×105を表わす。
Figure 2009247302
Figure 2009247302
Figure 2009247302
結果は表2に示す通り、バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株の芽胞液及び水和剤は無処理区と比較して明らかにキャベツ黒すす病の発病を抑制しており、その程度は化学農薬のTPN(クロロタロニル:商品名ダコニール)水和剤と同等の高い効果であった。
(実施例5:ヒマワリ黒斑病防除効果試験)
畑土を充填した9cm×9cmのプラスチック製角鉢にヒマワリ種子(品種:グッドスマイル)を5粒播種し、ガラス温室内で育苗した。本葉が完全展開したヒマワリに、実施例1で得られた芽胞懸濁液を300L/10aの割合で噴霧した。風乾後、ヒマワリ黒斑病菌の分生胞子懸濁液(1E+05個/ml)を噴霧接種し、24時間湿室(RH100%、25℃、暗条件)に置き、その後は調査までガラス温室内で底面給水により管理した。接種4日後に各ポットの第1葉及び第2葉について表1の基準で調査し、数1より発病度を求めた。試験規模は1区1ポットの3反復で実施し、結果を表3に示した。
Figure 2009247302
結果は表3に示す通り、バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株の芽胞液は無処理区と比較して明らかにヒマワリ黒斑病の発病を抑制していた。
(実施例5:ニンジン黒斑病防除効果試験)
畑土を充填した9cm×9cmのプラスチック製角鉢にニンジン種子(品種:向陽二号)を5粒播種し、ガラス温室内で育苗した。第4複葉が完全展開したニンジンに、実施例1で得られた芽胞懸濁液を300L/10aの割合で噴霧した。風乾後、ニンジン黒斑病菌の分生胞子懸濁液(1E+05個/ml)を噴霧接種し、24時間湿室(RH100%、25℃、暗条件)に置き、その後は調査までガラス温室内で底面給水により管理した。接種4日後に各ポットの全複葉について表1の基準で調査し、数1より発病度を求めた。試験規模は1区1ポットの3反復で実施し、結果を表4に示した。
Figure 2009247302
結果は、表4に示す通り、バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株の芽胞液は無処理区と比較して明らかにニンジン黒斑病に対して発病抑制効果を示していた。
(実施例6:ダイコン黒斑病防除効果試験)
園芸培土を充填した128穴トレーにダイコン種子(品種:YRくらま)を80粒(8穴×10列)播種し、ガラス温室内で育苗した。第2葉が完全展開したダイコンに、実施例1で得られた芽胞懸濁液を300L/10aの割合で噴霧した。風乾後、ダイコン黒斑病菌の分生胞子懸濁液(1E+05個/ml)を噴霧接種し、24時間湿室(RH100%、25℃、暗条件)に置き、その後は調査までガラス温室内で底面給水により管理した。接種4日後に各トレーの第1葉及び第2葉について表1の基準で調査し、数1より発病度を求めた。試験規模は1区16株の3反復で実施し、結果を表5に示した。
Figure 2009247302
結果は、表5に示す通り、バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株の芽胞液は無処理区と比較して明らかにダイコン黒斑病に対して発病抑制効果を示していた。
(実施例7:キュウリつる割病防除効果)
キュウリつる割病汚染畑土壌を充填したプラスチック製角鉢にキュウリ種子(品種:相模斑白)を9粒播種し、実施例1で得られた芽胞液を3L/m2の割合で灌注処理した。覆土後、ガラス温室内で発芽・生育させた。播種14日後に発病苗数を調査し、発病率を求めた。試験規模は1区1ポットの3反復で実施し、結果を表6に示した。
Figure 2009247302
結果は、表6に示す通り、バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株の芽胞液は無処理区と比較して明らかにキュウリつる割病に対して発病抑制効果を示していた。
(実施例8:キャベツ黒腐病防除効果試験)
畑土を充填した直径12cmの素焼鉢にキャベツ種子(品種:四季穫)を播種し、ガラス温室内で育苗した。本葉3葉期に、実施例1で得られた芽胞懸濁液を300L/10aの割合で噴霧した。風乾後、キャベツ黒腐病菌(1E+05個/ml)を噴霧接種し、24時間湿室(RH100%、25℃、暗条件)におき、その後は調査までガラス温室内で底面給水により管理した。接種7日後に各ポットの第1、2葉及び第3葉について表1の基準で調査し、数1より発病度を求めた。試験規模は1区1ポットの3反復で実施し、結果を表7に示した。
Figure 2009247302
結果は、表7に示す通り、バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株の芽胞液は無処理区と比較して明らかにキャベツ黒腐病に対して発病抑制効果を示していた。
(実施例9:カンキツかいよう病防除効果試験)
直径12cmの素焼鉢に生育させたカンキツ(夏ミカン)を剪定し、新しく展開した葉に、実施例1で得られた芽胞懸濁液を300L/10aの割合で噴霧した。風乾後、カンキツかいよう病菌(1E+05個/ml)を噴霧接種し、24時間湿室(RH100%、25℃、暗条件)におき、その後は調査までガラス温室内で底面給水により管理した。接種21日後に各ポットの全葉について病斑数を調査し、平均病斑数を求めた。試験規模は1区1ポットの3反復で実施し、結果を表8に示した。
Figure 2009247302
結果は表8に示す通り、バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株の芽胞液は無処理区と比較して明らかにカンキツかいよう病に対して発病抑制効果を示していた。
(実施例10:イネ苗立枯細菌病防除効果試験)
PD液体培地で27℃、52時間振とう培養して得られたイネ苗立枯細菌病菌(Burkholderia plantarii)懸濁液(1E+08cfu/ml)にイネ種籾(品種:黄金晴)を減圧条件下で1時間浸漬接種し、イネ苗立枯細菌病感染籾を作成した。実施例1で得られた芽胞懸濁液に、上記のイネ苗立枯細菌病感染籾を24時間浸漬した後、浸漬処理液を捨て、32℃の湿室内に1日保って催芽させた。育苗培土を充填させた径6cmのプラスチックカップに催芽種子を播種し、播種3日後、30℃の育苗庫内に保ち、更に25℃の湿室内で15日間管理した後に、全苗について発病の有無を調査し、発病苗率を求めた。1カップ当たりの播種量は乾籾3g(90〜110粒)、試験は3反復で実施し、結果を表9に示した。
Figure 2009247302
結果は、表9に示す通り、バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株の芽胞液は無処理区と比較して明らかにイネ苗立枯細菌病に対して発病抑制効果を示していた。
本発明は、自然界から分離した微生物を利用しているため環境への影響が小さい上、幅広い植物病害に優れた防除効果を発揮するため、農園芸において広く利用できる。
バシルス・アミロリクエファシエンス3K−4株(FERM P−21519)の5’末端側16SrDNAの塩基配列(配列番号1)を示す。

Claims (7)

  1. バシルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)3K−4菌株(FERM P−21519)。
  2. 農園芸作物の細菌性病害と糸状菌性病害の防除に有効で、且つ主要作物に病原性を示さないこと、を特徴とする請求項1に記載の菌株。
  3. 請求項1又は2に記載の菌株を含有し、農園芸作物の細菌性病害と糸状菌性病害の防除に有効で、かつ主要作物に病原性を示さないこと、を特徴とする植物病害防除剤。
  4. 該菌株が生菌体菌株であること、を特徴とする請求項3に記載の植物病害防除剤。
  5. 請求項3又は4に記載の植物病害防除剤を植物の茎葉に処理すること、を特徴とする植物病害防除方法。
  6. 請求項3又は4に記載の植物病害防除剤を、植物の種子あるいは植物体に浸漬、噴霧、塗布、注入又は粉衣処理の少なくともひとつの処理をすることを特徴とする植物病害防除方法。
  7. 請求項3又は4に記載の植物病害防除剤を、植物を栽培する土壌に灌注、噴霧又は混和処理することを特徴とする植物病害防除方法。
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