JP2009246113A - スリット付プリント配線板 - Google Patents

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宏之 荻原
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Abstract

【課題】本発明は、スリット部の直線部分を保ったまま、スリット部へのめっき密着性を向上させることにより、スリット部にランドや端子を有する場合でも小型化や高密度化の妨げにならず、信頼性が高いプリント配線板を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、貫通孔を有するプリント配線板であって、前記貫通孔が平面視で直線部分を有するスリット形状に形成され、前記プリント配線板の内層回路が前記貫通孔の直線部分の内壁に露出し、前記貫通孔に形成されるスルーホールめっきが、前記貫通孔の内壁に露出した内層回路と接合するように形成されるプリント配線板である。
【選択図】図1

Description

本発明は、スリット加工を施したプリント配線板に関し、より詳細には、スリット部にランドや端子を形成するためのプリント配線板に関する。
従来、プリント配線板のスリット部は、製品サイズへの分割等のために用いられてきたが、近年、プリント配線板は、半導体素子やLED素子を搭載するようになってきており、このような高密度化や高機能化の要求に対して、このスリット部の端面にランドや端子を形成することで対応するものがある(特許文献1、2)。
端面にランドや端子形成用のめっきを行う場合、通常の円形の貫通孔では、端面(貫通孔の内壁)は弧状にくぼんでいるため、端面への投影面積に対して、この部分に形成されるめっきと絶縁層との接触面積が大きく、めっき剥がれは生じにくい。一方、スリット部は、端面が平坦となるため、この部分に形成されるめっきと絶縁層との接触面積が、比較的小さく、めっき剥がれを生じやすい問題がある。
このため、スリット部の端面にランドや端子を形成するプリント配線板では、スリット部端面へのめっき密着性を得るため、スリット間のつなぎ部にドリル加工孔を形成して、分割時のめっき剥がれを抑制する方法(特許文献1)、スリット加工予定箇所に貫通導通穴を形成することで、絶縁層とめっきとの接触面積を大きくすることによりめっき密着力を向上する方法(特許文献2)が提案されている。
特開H05−37095号公報 特開2002−50714号公報
しかしながら、特許文献1、2では、スリット部よりも大きな貫通穴を要するため、製品側にこの貫通穴が張り出し、その分、製品サイズを大きくする必要があるため、高密度化への対応に不利となる。また、スリット部の端面は、貫通穴の内壁部分が弧状にくぼんだ状態となり平滑にできないため、側面端子等として利用する場合に設計上の制約がある。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、スリット部の直線部分を保ったまま、スリット部へのめっき密着性を向上させることにより、スリット部にランドや端子を有する場合でも小型化や高密度化の妨げにならず、信頼性が高いプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明は、以下のものに関する。
(1)貫通孔を有するプリント配線板であって、前記貫通孔が平面視で直線部分を有するスリット形状に形成され、前記プリント配線板の内層回路が前記貫通孔の直線部分の内壁に露出し、前記貫通孔に形成されるスルーホールめっきが、前記貫通孔の内壁に露出した内層回路と接合するように形成されるプリント配線板。
(2)項(1)において、平面視で直線部分を有するスリット形状に形成された貫通孔が、少なくとも1つ以上配されたプリント配線板。
(3)項(1)又は(2)において、スルーホールめっきと内層回路との接合部分の長さが、平面視で直線部分を有するスリット形状に形成された貫通孔の直線部分の長さの、1割以上9割以下であるプリント配線板。
(4)項(1)乃至(3)の何れかにおいて、貫通孔の内壁に露出した内層回路の、ダイシングブレードによる分断部に間隙を設けたプリント配線板。
本発明によれば、スリット部の直線部分を保ったまま、スリット部へのめっき密着性を向上させることにより、スリット部にランドや端子を有する場合でも小型化や高密度化の妨げにならず、信頼性が高いプリント配線板を提供することができる。
図1に示すように、本発明のプリント配線板1としては、貫通孔2を有するプリント配線板1であって、前記貫通孔2が平面視で直線部分3を有するスリット形状に形成され、前記プリント配線板1の内層回路4が前記貫通孔2の直線部分3の内壁5に露出し、前記貫通孔2に形成されるスルーホールめっき6が、前記貫通孔2の内壁5に露出した内層回路4と接合するように形成されるものが挙げられる。
本発明のプリント配線板1は、スリット部2を有するプリント配線板1として使用できるものであり、特に用途は限定されるものでないが、スリット部2のめっき密着性が要求される用途に使用されるのが望ましい。特には、スリット部2にランドや端子を形成して、半導体やLED素子を搭載するプリント配線板1、または、側面端子付きの電子部品として使用されるのが望ましい。
本発明のプリント配線板1は、最外層の外層回路8と、層間を電気的に絶縁する絶縁層9と、この絶縁層9の内部に設けられた内層回路4と、これらを貫通して設けられるスリット部2を有する。
絶縁層9は、外層回路8、内層回路4、スリット部2を設ける基体となるものであり、一般のプリント配線板1に用いられる材料を使用することができる。例えば、ガラスクロスにエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を含浸させた、いわゆるガラスエポキシ基板やガラスポリイミド基板等が挙げられる。
外層回路8、内層回路4は、一般のプリント配線板で用いられる金属箔やめっき等で構成され、サブトラクト法等で回路形成される。
本発明においてスリット部2とは、貫通孔2であって、平面視で直線部分3を有するスリット形状に形成されたものを言う。一般のスリット付きプリント配線板におけるように、ルータ等によって形成することができる。
本発明の貫通孔2は、プリント配線板1を厚さ方向に貫通する孔であり、この貫通孔2にスルーホルめっき6を行うことにより、表裏の外層回路8同士、外層回路8と内層回路4、内層回路4と他の内層回路4とを電気的に接続することができる。
スルーホールめっき6は、一般のプリント配線板で用いられる無電解銅めっきや電気銅めっき、またはこれらの組み合わせにより形成することができる。
無電解銅めっき単独でスルーホールめっきする場合は、めっき液をコントロールすることで、10μm以上の厚みまでめっき可能な、いわゆる厚付け用の無電解銅めっきを使用するのが望ましい。これにより、スルーホールめっき6に必要な厚みをすべて無電解めっきで形成できるので、プリント配線板1の表層とスリット部2の端面の全体に均一な厚みのめっきを形成することができ、微細配線形成に有利となる。このような無電解銅めっきとしては、硫酸銅、錯化剤、ホルマリン、水酸化ナトリウムを主成分とする、厚付け用の一般的な無電解銅めっき液を用いることができる。
無電解銅めっきと電気銅めっきを組み合わせる場合は、無電解銅めっきとして、いわゆる薄付け用の無電解銅めっきを用い、電気銅めっきとして、一般のプリント配線板で用いられる硫酸銅めっきを使用することができる。無電解銅めっきとして、厚付け無電解銅めっきを用いてもよく、電気銅めっきとして、いわゆるフィルドビアめっきを用いてもよい。
本発明においては、プリント配線板1の内層回路4が貫通孔2の直線部分3の内壁5に露出し、貫通孔2に形成されるスルーホールめっき6が、前記貫通孔2の内壁5に露出した内層回路4と接合するように形成される。貫通孔2の直線部分3の内壁5は、端面が平坦となるため、この部分に形成されるスルーホールめっき6と内壁5との接触面積が小さく、めっき剥がれを生じやすい問題がある。しかしながら、この構成によって、スルーホールめっき6と貫通孔2の内壁5に露出した内層回路4と金属結合を形成するので、強固な密着が得られる。
内層回路4は、貫通孔2であるスリット部2の内壁5の全周に亘って露出していてもよいが、貫通孔2の直線部分3の内壁5のみに露出するようにするのが望ましい。貫通孔2であるスリット部2の両端は、通常の円形の貫通孔2と同様に、端面(貫通孔2の内壁5)は弧状にくぼんでいるため、端面(スリット部2の内壁5)への投影面積に対して、この部分に形成されるめっきと絶縁層9との接触面積が大きく、めっき剥がれは生じにくい。一方、スリット部2は、端面が平坦となるため、この部分に形成されるスルーホールめっき6と絶縁層9との接触面積が、比較的小さく、めっき剥がれを生じやすい。このため、貫通孔2の内壁5の直線部分3のみでスルーホールめっき6との接合が形成されれば、十分なスルーホールめっき6の密着を得ることができる(図1)。また、貫通孔2の内壁5の直線部分3の全体に亘って、内層を露出させる必要はなく、必要な密着が得られる程度の接合面積が得られる程度に、部分的に露出させるようにすることもできる(図2)。これは、例えば、所定間隔で、所定長さの内層回路4の露出部を貫通孔2の内壁5の直線部分3に設ける等が挙げられる。
本発明において、平面視で直線部分3を有するスリット形状に形成された貫通孔2が、少なくとも1つ以上配される。これにより、同時に複数の側面端子を有する構造を得ることができる。
本発明において、スルーホールめっき6と内層回路4との接合部分7の長さが、平面視で直線部分3を有するスリット形状に形成された貫通孔2の直線部分3の長さの、1割以上9割以下であるのが望ましい。これにより、スリット形状に形成された貫通孔2の加工時の、切削抵抗を小さくすることができ、壁面のバリの発生を抑制することができる。
本発明において、貫通孔2の内壁5に露出した内層回路4の、ダイシングブレードによる分断部11に間隙10を設けるのが望ましい。これにより、分断部11のバリの発生を抑制することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は本実施例に限定されない。
(実施例1)
MCL−E−679FG(日立化成工業株式会社製 商品名)の銅箔厚18μm銅張板を、サブトラクティブ法により内層配線銅をパターン形成し、コア基板を作成する。
次に、GEA−679FG(日立化成工業株式会社製 商品名)プリプレグ及び18μmGP箔(日本電解株式会社製 商品名)銅箔を、コア基板の表裏両面に重ね、180℃、2MPaの条件で120分間積層プレスを行い、多層板を得る。
次に、多層板に、直径1.0mmのエンドミルを用いて、幅1.1mm、長さ18mmのスリット状の貫通孔2をルータ加工する。その際、内層配線銅が、スリット状の貫通孔2の直線部分3の壁面に露出した状態になる(図1)。
次に、スルーホールめっき6として、薄付け無電解銅めっきで約1μm、電気銅めっきで約15μmの銅めっきを施し、スリット状のスルーホールを形成する。
次に、サブトラクティブ法により、表層配線銅をパターン形成する。
次に、PSR4000−AUS303(太陽インキ製造株式会社製 商品名)ソルダレジストを約30μmロール塗布し、仮硬化、パターン露光及び現像を行い、表裏面にソルダレジストを形成する。
次に、表層配線銅の、ソルダレジストから露出している部分に、電解ニッケルめっきを5μm施し、後に、電解金めっきを0.3μm施し、プリント配線板1を得る。
得られたプリント配線板1を、熱風リフロー炉で、240℃、20秒間加熱した後に、スリット部2の内壁4を観察した結果、スルーホールめっき6のふくれは全く見られなかった。
(実施例2)
実施例1と同様に、コア基板を作成する。その際、内層パターンは、所定間隔で、所定長さの内層回路4の露出部が、スリット部2の内壁5の直線部分3にかかるように形成する。
実施例1と同様に多層板を形成し、スリット状の貫通孔2をルータ加工する。その際、内層配線銅が、スリット状の貫通孔2の直線部分3の内壁5に、所定間隔で、所定長さの内層回路4の露出部を形成する状態にする(図2)。スルーホールめっき6と内層回路4との接合部分7の長さは、平面視で直線部分3を有するスリット形状に形成された貫通孔2の直線部分3の長さの、1割以上9割以下となるようにする。また、貫通孔2の内壁5に露出した内層回路4のダイシングブレードによる分断部11に間隙10を設ける。これ以降は、実施例1と同様にしてプリント配線板1を製造した。
得られたプリント配線板1を、熱風リフロー炉で、240℃、20秒間加熱した後に、スリット部2の内壁5を観察した結果、スルーホールめっき6のふくれは全く見られなかった。
(比較例)
多層板に、直径1.0mmのエンドミルを用いて、幅1.1mm、長さ18mmのスリット状の貫通孔2をルータ加工する。その際、内層配線銅が、スリット状の貫通孔2の壁面にはまったく露出しない状態にした。それ以外は、実施例と同様にプリント配線板1を作製した。
得られたプリント配線板1を、熱風リフロー炉で、240℃、20秒間加熱した後に、スリット部2の内壁5を観察した結果、スリット部2の直線部分3でスルーホール6のふくれが観察された。
本発明のプリント配線板の実施例1の断面図である。 本発明のプリント配線板の実施例2の断面図である。
符号の説明
1…プリント配線板、2…貫通孔(スリット部)、3…直線部分、4…内層回路、5…内壁、6…スルーホールめっき、7…接合部分、8…外層回路、9…絶縁層、10…間隙、11…分断部

Claims (4)

  1. 貫通孔を有するプリント配線板であって、前記貫通孔が平面視で直線部分を有するスリット形状に形成され、前記プリント配線板の内層回路が前記貫通孔の直線部分の内壁に露出し、前記貫通孔に形成されるスルーホールめっきが、前記貫通孔の内壁に露出した内層回路と接合するように形成されるプリント配線板。
  2. 請求項1において、平面視で直線部分を有するスリット形状に形成された貫通孔が、少なくとも1つ以上配されたプリント配線板。
  3. 請求項1又は2において、スルーホールめっきと内層回路との接合部分の長さが、平面視で直線部分を有するスリット形状に形成された貫通孔の直線部分の長さの、1割以上9割以下であるプリント配線板。
  4. 請求項1乃至3において、貫通孔の内壁に露出した内層回路の、ダイシングブレードによる分断部に間隙を設けたプリント配線板。
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