JP2009244784A - カラーフィルターの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)基板に赤色顔料を含有するネガ型レジスト組成物を塗布する工程、(B)プレベークする工程、(C)露光・現像する工程、及び(D)ポストベークする工程を有するカラーフィルターの製造方法であって、(D)ポストベークを減圧下で行うことを特徴とするカラーフィルターの製造方法である。
【選択図】なし
Description
顔料としては、通常、R(レッド)、G(緑)及びB(青)の3原色が用いられ、このうち、R(レッド)用の赤色顔料として、ジケトピロピロール系顔料が、結晶の安定性、耐溶剤性、堅牢度などの点で好適であることが知られており、特にカラーインデックス(C.I.)名ピグメントレッド254(以下「PR254」と記載する場合がある。)は輝度が高く好適である。
さらには、レジスト組成物中の樹脂として、ジシクロ環及びトリシクロ環を有するモノマー、水酸基を有するモノマー及びN−置換マレイミド基を有するモノマーを含有するモノマー成分の重合体を用いた着色組成物が提案されている(特許文献3参照)。
これら特許文献2及び3に開示される顔料分散液及び着色組成物は、異物の発生に対してそれぞれ効果を示しているが、特定の化合物を用いることから、材料が制限されるという点に問題がある。
すなわち、本発明は、
(A)基板に赤色顔料を含有するネガ型レジスト組成物を塗布する工程、(B)プレベークする工程、(C)露光・現像する工程、及び(D)ポストベークする工程を有するカラーフィルターの製造方法であって、(D)ポストベークを減圧下で行うことを特徴とするカラーフィルターの製造方法を提供するものである。
減圧ポストベーク工程における減圧度については、本発明の効果を奏する範囲で制限はないが、真空度がゲージ圧で、−0.20〜−0.01MPaの範囲であることが好ましい。−0.01MPa以下であると、異物が生じないなどの本発明の効果がより十分に、かつ短時間で発揮される。一方、真空度の下限値については、真空ポンプ等の能力に応じて適宜決定されるものであるが、極端に低い真空度を作り出すのは、製造上の制約やコスト上の制約があるため好ましくない。従って−0.20MPa以上であることが好ましい。
また、減圧ポストベークの時間については、特に制限はないが、10〜60分の範囲が好ましく、10〜30分の範囲がさらに好ましい。
また、ベーク時間についても1〜60分の範囲が好ましく、10〜30分の範囲がさらに好ましい。
(A)工程は、基板に赤色顔料を含有するネガ型レジスト組成物を塗布する工程である。基板としては、通常、透明基板が用いられる。透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルターに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルターの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
また、基板は(A)工程に先立って洗浄処理を行ってもよいし、基板表面を表面処理してもよい。表面処理としては、シランカップリング剤などによる化学的処理、プラズマ処理などの物理的処理などが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177等のレッド系ピグメントのカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
これらのうち、高輝度、高コントラストであることから、C.I.ピグメントレッド254(以下「PR254」と記載する。)が特に好ましく、また、PR254が200℃以上の加熱によって異物を生じる顔料であることから、本発明が好ましく適用できる顔料である。
また、無機顔料として、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤などを用いることもできる。
本発明の赤色顔料としては、上記顔料を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができるが、少なくともC.I.ピグメントレッド254を含有することが好ましく、より具体的には10〜100%含有することが好ましい。
なお、上記平均粒径は、レーザ散乱法により測定した値である。具体的には、顔料粒子を溶媒中に分散し、その分散溶媒にレーザ光線を当てて得られた散乱光を捕捉し、演算することにより、平均粒径を測定する。
赤色顔料の含有量は、カラーフィルターの着色層とした場合に、所望の発色が可能であればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、ネガ型レジスト組成物中の当該顔料以外の固形分100質量部に対して、20〜100質量部の範囲内であることが好ましく、30〜80質量部の範囲内であることがより好ましい。当該顔料の含有量が上記範囲であることにより、所望の発色が可能な着色層が形成可能なネガ型レジスト組成物とすることができ、さらに上記ネガ型レジスト組成物中において、赤色顔料を均一に分散することができる。
なお、上記固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含む。
高分子分散剤は、立体反発によって分散性を維持する長鎖部と顔料表面に吸着する吸着部を有する。長鎖部を構成する樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系などが用いられ、吸着部を構成する極性基としては、アミノ基、各種酸基、又はそれらの塩が挙げられる。
このような高分子分散剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を有するポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
中でも、本発明に用いられる溶剤としては、MBA(酢酸3−メトキシブチル)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)又はこれらを混合したものが、顔料分散剤の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
当該ネガ型レジスト組成物の調製方法としては、例えば
(1)溶剤中に、上記の顔料分散剤及び赤色顔料を添加し、分散機を用いて分散させることによって、顔料分散液を作製した後、これにアルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマー、光開始剤、及び所望により用いられる各種添加成分を添加し、混合する方法、
(2)溶剤中に、上記の顔料分散剤、赤色顔料、アルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマー、光開始剤、及び所望により用いられる各種添加成分を同時に投入し、混合する方法、及び
(3)溶剤中に、上記の顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマー、光開始剤、及び所望により用いられる各種添加成分を添加し、混合した後、これに顔料を加えて混合する方法などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)の方法が、顔料の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。この場合、顔料分散液中の溶剤の含有量としては、該顔料の分散性や顔料分散経時安定性、得られるカラーフィルターの色度などの観点から、60〜90質量%の範囲が好ましい。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するネガ型レジスト組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、ネガ型レジスト組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。その後のポストベークについては前述のとおりである。
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルターに関し、以下の方法にて異物の評価を行った。また、各実施例及び比較例のポストベーク条件の比較のために、以下に記載する方法で、ポストベーク前後におけるコントラストの評価を行った。
1.異物の確認
各実施例及び比較例で得られたカラーフィルターに関し、異物の有無を、光学顕微鏡(オリンパス(株)製「BX51」)を用いて観察した。評価基準は以下の通りである。
○;異物は全く観察されない。
△;異物が観察される。
×;異物が顕著に観察される。
ガラス基板(NHテクノグラス(株)製「NA35」)上に、実施例1で製造したレジスト組成物をスピンコートし、ホットプレートで80℃にて3分加熱乾燥し、厚さ2.5μmの赤色着色層を得た。この塗膜にフォトマスクを介さず超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm2の紫外線を全面照射した。上記着色層が形成されたガラス板の紫外線照射後(ポストベーク前、第1表中では「UV露光後」と表記する。)とポストベーク後におけるコントラストを、壷坂電気(株)製コントラスト測定装置「CT−01」を用いて測定した。ポストベーク前後でのコントラストが保持される率を保持率として評価した。保持率が高いほど良好な結果である。
(1)顔料分散剤溶液の調製
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコに、テトラヒドロフラン(THF)250質量部及び開始剤のジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール5.81質量部を、添加用ロートを介して加え、充分に窒素置換を行った。触媒のテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1モル/Lアセトニトリル溶液0.5質量部を、シリンジを用いて注入し、第1モノマーのメタクリル酸メチル100質量部を、添加用ロートを用い、60分かけて滴下した。反応フラスコを氷浴で冷却することにより、温度を40℃未満に保った。1時間後、第2モノマーであるメタクリル酸ジメチルアミノエチル33.3質量部を20分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール1質量部を加えて反応を停止させた。得られたブロック共重合体THF溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、ブロック共重合体を得た。このようにして得られたブロック共重合体を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、メタクリル酸メチル(MMA)およびメタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)の構成割合MMA/DMAEMA質量比が、5/3であり、重量平均分子量Mw:8120、数平均分子量Mn:6840、分子量分布Mw/Mnは1.19であった。
100mL丸底フラスコ中で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)50.4質量部に、上記ブロック共重合体10質量部を溶解させ、ライトエステルP−2M(共栄社化学株式会社製)を6.3質量部(ブロック共重合体のDMAEMAユニットと等モル量)加え、室温で2時間攪拌させることで、固形分20質量%の塩型ブロック共重合体を調製した。得られた顔料分散剤溶液の酸価は140mgKOH/gであった。
顔料分散剤として、上記(1)で調製した顔料分散剤溶液を6.0質量部(固形分量1.2質量部)、アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル共重合体(モル比:10/30/50、重量平均分子量:9000、酸価70mgKOH/g、有効成分含量40質量%)3.0質量部、ジケトピロロピロール系顔料(PR254:平均一次粒径30nm)3.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18質量部、2mmジルコニアビーズ60重量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いでその分散液30質量部と粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部とをマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、顔料分散液を調製した。
上記(2)で得られた顔料分散液(顔料2.3質量部、分散剤1.84質量部)23質量部に、アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル共重合体(モル比:10/30/50、重量平均分子量:9000、酸価:70mgKOH/g、有効成分含量40質量%)3質量部、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)社製、「KAYARAD DPHA」)3.5質量部、光開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製、「IRGACURE907」)1.2質量部、及び溶媒としてPGMEA19.3質量部を添加したのち、均一になるまで混合し、さらにメッシュサイズ0.2μmである加圧ろ過装置を用いてろ過することにより、カラーフィルター用ネガ型レジスト組成物を得た。
ガラス基板(NHテクノグラス(株)製「NA35」)上に、上記(3)で製造したレジスト組成物をスピンコートし、ホットプレートで80℃にて3分間、加熱乾燥し、厚さ2.5μmの赤色着色層を得た。この塗膜にフォトマスクを介して超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm2の紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液(0.05質量%水酸化カリウム水溶液)でシャワー現像し、さらに60秒間超純水で洗浄することで所定のパターンを得た。次に上記着色層が形成されたガラス板を真空ポンプによって減圧し、真空度を−0.12MPa(ゲージ圧)とした260℃のクリーンオーブン中で30分間ポストベークを行い、カラーフィルターを製造した。
実施例1において、減圧ポストベークの真空度を、−0.10MPa、−0.05MPa、−0.02MPaにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルターを製造した。
実施例1において、減圧ポストベークに代えて、常圧でのポストベークを260℃で30分間行ったこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルターを製造した。
Claims (7)
- (A)基板に赤色顔料を含有するネガ型レジスト組成物を塗布する工程、(B)プレベークする工程、(C)露光・現像する工程、及び(D)ポストベークする工程を有するカラーフィルターの製造方法であって、(D)ポストベークを減圧下で行うことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- (D)ポストベークの温度が180〜280℃である請求項1に記載のカラーフィルターの製造方法。
- (D)ポストベークにおける真空度が、ケージ圧で−0.20〜−0.01MPaである請求項1又は2に記載のカラーフィルターの製造方法。
- (C)工程と(D)工程の間に(D’)常圧でのポストベーク工程をさらに有する請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記赤色顔料として、平均粒子径10〜100nmであるC.I.ピグメントレッド254を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記ネガ型レジスト組成物が、赤色顔料、(a)顔料分散剤、(b)アルカリ可溶性樹脂、(c)多官能性モノマー、(d)光開始剤、及び(e)溶剤を含有してなる請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
- (B)プレベークの温度が60〜110℃である請求項1〜6のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
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