1.本発明の光学部材
本発明の光学部材は、光学機能層、粘着層、及び透明層をこの順に備える。
1−1.光学機能層(円偏光分離シート)
光学機能層は、重合性液晶組成物の硬化物を含む層である。具体的には、光学機能層は、円偏光分離シートとすることができ、前記重合性液晶組成物は、重合性液晶性化合物を含み、コレステリック液晶相を呈しうる組成物(以下「コレステリック液晶組成物」ということがある。)とすることができ、その重合硬化物の層は、コレステリック規則性を有する樹脂層(以下、「コレステリック樹脂層」ということがある。)とすることができる。
本発明において、円偏光分離シート中のコレステリック樹脂層が有するコレステリック規則性とは、一平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるという具合に、分子が一定方向に配列している平面を進むに従って分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造である。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は光学的にカイラルな構造となる。
コレステリック樹脂層は、円偏光分離機能を有する。すなわち、ある特定波長域の左回転若しくは右回転の円偏光を透過し、それ以外の円偏光を反射する機能を有する。
本発明の光学部材を輝度向上フィルムとして用いる場合には、この円偏光分離機能を可視光の全波長領域にわたって発揮するコレステリック樹脂層を備えることが好ましい。例えば、青色(波長410〜470nm)、緑色(波長520〜580nm)、赤色(波長600〜660)nmのいずれの波長域の光についても円偏光分離機能を有するコレステリック樹脂層であることが好ましい。
円偏光分離機能を発揮する波長は、コレステリック樹脂におけるカイラル構造のピッチに依存する。カイラル構造のピッチとは、カイラル構造において分子軸の方向が平面を進むに従って少しずつ角度がずれていき、そして再びもとの分子軸方向に戻るまでの平面法線方向の距離のことである。このカイラル構造のピッチの大きさを変えることによって、円偏光分離機能を発揮する波長を変えることができる。
本発明に用いるコレステリック樹脂層は、重合性液晶性化合物を含むコレステリック液晶組成物を重合してなる層である。かかる層は、液晶性化合物の分子配向を呈したまま硬化した非液晶性の樹脂層となる。なお、ここで便宜上液晶組成物と称する材料は、2以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料をも包含する。
本発明に用いるコレステリック樹脂層としては、例えば、(i)カイラル構造のピッチの大きさを段階的に変化させたコレステリック樹脂層、(ii)カイラル構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂層等が挙げられる。
(i)カイラル構造のピッチを段階的に変化させたコレステリック樹脂層は、例えば、青色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層、緑色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層及び赤色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層を積層することによって得ることができる。また、反射される円偏光の中心波長が470nm、550nm、640nm、及び770nmであるコレステリック樹脂層をそれぞれ作製し、これらのコレステリック樹脂層を任意に選択し、反射光の中心波長の順序で3〜7層積層することによって得ることができる。カイラル構造のピッチの大きさが異なるコレステリック樹脂層を積層する場合には、各コレステリック樹脂層で反射する円偏光の回転方向が同じであることが好ましい。また、カイラル構造のピッチの大きさが異なるコレステリック樹脂層の積層順序は、カイラル構造のピッチの大きさで、昇順又は降順になるようにすることが、視野角の広い液晶表示装置を得るために好ましい。これらコレステリック樹脂層の積層は、単に重ね置いただけでもよいし、粘着剤や接着剤を介して固着させてもよい。
(ii)カイラル構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂層は、その製法によって特に制限されないが、このようなコレステリック樹脂層の製法の好ましい例としては、コレステリック樹脂層を形成するための重合性液晶性化合物を含有するコレステリック液晶組成物を、好ましくは配向膜等の他の層上に塗布して液晶層を得、次いで1回以上の、光照射及び/又は加温処理により当該液晶層を硬化する方法が挙げられる。当該コレステリック液晶組成物の好ましい態様としては、下記に詳述するコレステリック液晶組成物(X)を挙げることが出来る。
前記コレステリック液晶組成物(X)は、下記一般式(1)で表される化合物と、重合性液晶性化合物としての特定の棒状液晶性化合物とを含有する。これら各成分について順次説明する。
R1X−A1X−B−A2X−R2X (1)
一般式(1)において、R1X及びR2Xはそれぞれ独立して炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基からなる群より選択される基である。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの意味である。
前記アルキル基及びアルキレンオキサイド基は置換されていないか若しくはハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。前記ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基は炭素原子数1〜2個のアルキル基、アルキレンオキサイド基と結合していてもよい。
R1X及びR2Xとして好ましいものとしては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基が挙げられる。
また、R1X及びR2Xの少なくとも一方は反応性基であることが好ましい。R1X及び/又はR2Xとして反応性基を有することにより、前記一般式(1)で表される化合物が硬化時に液晶層中に固定され、より強固な膜を形成することができる。ここで反応性基とは、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、及びアミノ基を挙げることができる。
一般式(1)において、A1X及びA2Xはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基を表す。前記1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基は、置換されていないか若しくはハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜10個のアルキル基、ハロゲン化アルキル基で1つ以上置換されていてもよい。A1X及びA2Xのそれぞれにおいて、2以上の置換基が存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
A1X及びA2Xとして特に好ましいものとしては、1,4−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基が挙げられる。これらの芳香環骨格は脂環式骨格と比較して比較的剛直であり、後述する棒状液晶性化合物のメソゲンとの親和性が高く、配向均一能がより高くなる。
一般式(1)において、Bは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−C=N−N=C−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される。
Bとして特に好ましいものとしては、単結合、−OCO−及び−C=N−N=C−が挙げられる。
一般式(1)の化合物は、少なくとも一種が液晶性を有することが好ましく、また、キラリティを有することが好ましい。また、コレステリック液晶組成物(X)は、一般式(1)の化合物として、複数の光学異性体の混合物を含有することが好ましい。例えば、複数種類のエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物を含有することができる。一般式(1)の化合物の少なくとも一種は、その融点が、50℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
一般式(1)の化合物が液晶性を有する場合には、高Δnであることが好ましい。高Δn液晶を含有させることによって、コレステリック液晶組成物(X)としてのΔnを向上させることができ、広帯域の円偏光分離シートを作製することができる。一般式(1)の化合物の少なくとも一種のΔnは好ましくは0.18以上、より好ましくは0.22以上とすることができる。
一般式(1)の化合物として特に好ましい具体例としては、例えば下記の化合物(A1)〜(A3)及び(A5)〜(A10)が挙げられる:
上記化合物(A3)において、「*」はキラル中心を表す。
前記コレステリック液晶組成物(X)は、Δnが0.18以上であって、1分子中に少なくとも2つ以上の反応性基を有する棒状液晶性化合物を含有する。
前記棒状液晶性化合物としては、式(2)で表される化合物を挙げることができる。
R3X−C3X−D3X−C5X−M−C6X−D4X−C4X−R4X 式(2)
(式中、R3X及びR4Xは反応性基であり、それぞれ独立して(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表す。D3X及びD4Xは単結合、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。C3X〜C6Xは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−C=N−N=C−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される基を表す。Mはメソゲン基を表し、具体的には、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類の群から選択された2〜4個の骨格を、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−C=N−N=C−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−等の結合基によって結合されて形成される。または、R3X−C3X−D3X−C5X−及び−C6X−D4X−C4X−R4Xはそれぞれ、後述する式(I)におけるZ1−(Y1−G1)a−Y2−A1−Y3−及び−Y4−A2−Y5−(G2−Y6)b−Z2と同様のものとすることができる。)
前記、メソゲン基Mが有しうる置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R5X、−O−C(=O)−R5X、−C(=O)−O−R5X、−O−C(=O)−O−R5X、−NR5X−C(=O)−R5X、−C(=O)−NR5XR7X、または−O−C(=O)−NR5XR7Xを表す。ここで、R5X及びR7Xは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、アルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR6X−C(=O)−、−C(=O)−NR6X−、−NR6X−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R6Xは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。前記「置換基を有してもよい炭素数1〜10個のアルキル基」における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
本発明において、該棒状液晶性化合物は非対称構造であることが好ましい。ここで非対称構造とは、一般式(2)において、メソゲン基Mを中心として、R3X−C3X−D3X−C5X−と−C6X−D4X−C4X−R4Xが異なる構造のことをいう。該棒状液晶性化合物として、非対称構造のものを用いることにより、配向均一性をより高めることができる。
本発明において用いる棒状液晶性化合物のより具体的な好ましい例として、下記式(I)で示される重合性液晶化合物(i)が挙げられる。
前記式(I)において、Y1〜Y6はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR1−C(=O)−、−C(=O)−NR1−、−O−C(=O)−NR1−、−NR1−C(=O)−O−、−NR1−C(=O)−NR1−、−O−NR1−、または−NR1−O−を表す。ここで、R1は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Yの組み合わせとして特に好ましいのは、合成しやすさ及び、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点からY1とY3が−C(=O)−O−であり、Y4とY6が−O−C(=O)−であり、Y2とY5が−O−である組み合わせ、あるいは、Y1〜Y3が−C(=O)−O−であり、Y4〜Y6が−O−C(=O)−である組み合わせである。
G1及びG2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の2価の脂肪族基であり、好ましくは炭素数1〜12の2価の脂肪族基である。
G1及びG2の炭素数1〜20の2価の脂肪族基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基等の鎖状の脂肪族基が好ましい。
本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、エチレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等のアルキレン基が好ましい。
G1及びG2の脂肪族基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基;等が挙げられる。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
また、前記脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR2−C(=O)−、−C(=O)−NR2−、−NR2−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R2は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R2は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Z1及びZ2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
Z1及びZ2の炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、CH2=CH−、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−CH2−、CH3−CH=CH−、CH2=CH−CH2−CH2−、CH2=C(CH3)−CH2−CH2−、(CH3)2C=CH−CH2−、(CH3)2C=CH−CH2−CH2−、CH2=C(Cl)−、CH2=C(CH3)−CH2−、CH3−CH=CH−CH2−等が挙げられる。
該アルケニル基の炭素数としては、2〜6が好ましい。Z1及びZ2のアルケニル基の置換基であるハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
中でも、Z1及びZ2としては、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、CH2=CH2−、CH2=CH(CH3)−、CH2=C(Cl)−、CH2=CH−CH2−、CH2=C(CH3)−CH2−、又はCH2=C(CH3)−CH2−CH2−であることがより好ましい。
X1〜X8はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR3、−O−C(=O)−R3、−C(=O)−OR3、−O−C(=O)−OR3、−NR4−C(=O)−R3、−C(=O)−NR3R4、または−O−C(=O)−NR3R4を表す。X1〜X8が置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基を挙げることができる。ここで、R3及びR4は、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、アルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR5−C(=O)−、−C(=O)−NR5−、−NR5−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R5は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R3及びR4が置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基を挙げることができる。
原料の入手しやすさの観点から、(1)X1〜X8がいずれも水素原子であるか、(2)X1〜X5及びX7がいずれも水素原子であり、かつX6及びX8が−OCH3、−OCH2CH3、若しくは−CH3であるか、(3)X1〜X5、X7及びX8がいずれも水素原子であり、かつX6が−C(=O)−OR3、−OCH3、−OCH2CH3、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3若しくはフッ素原子であるか、又は(4)X1〜X4及びX6〜X8がいずれも水素原子であり、かつX5が−C(=O)−O−R3、−OCH3、−OCH2CH3、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3若しくはフッ素原子であることが好ましい。
また、前記式(I)において、A1及びA2にそれぞれ結合する、式:−Y2−(G1−Y1)a−Z1及び式:−Y5−(G2−Y6)b−Z2で表される基の具体例としては、以下のものが挙げられる。なお、前記a及びbはそれぞれ、(G1−Y1)単位及び(G2−Y6)単位の繰り返し数を表し、a及びbはそれぞれ独立して、0又は1である。a、bとして特に好ましい組み合わせとしては、合成しやすさ及び、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点からa及びbは共に1である。
a又はbが1の凡例、即ち下記式(C)で表される構造について以下に言及する。
式中、Y2又はY5は−C(=O)−O−、G1又はG2はヘキシレン基、Y1又はY6は−O−C(=O)−、Z1又はZ2はビニル基に相当する。
更に、その具体例を以下に示す。
a又はb=0の凡例、即ち下記式(D)で表される構造について以下に言及する。
式中、Y2又はY5は−C(=O)−O−、Z1又はZ2はビニル基に相当する。
更に、その具体例を以下に示す。
A1及びA2はそれぞれ独立して、炭素数1〜30の2価の有機基Aを表す。有機基Aの炭素数としては6〜20が好ましい。A1及びA2の有機基Aとしては、特に制限されないが、芳香族環を有するものが好ましい。
A1及びA2の具体例としては、下記のものが挙げられる。
A1及びA2の具体例として挙げた有機基は、置換基を有していてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、−C(=O)−OR基;等が挙げられる。ここでRは、炭素数1〜6のアルキル基である。これらの中でも、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基が好ましく、ハロゲン原子としてはフッ素原子が、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
前記A1及びA2としては、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、下記式(A11)、(A21)及び(A31)に置換基が結合してもよい、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基が好ましく、中でも、下記式(A11)に置換基が結合しても良い、置換基を有していてもよいフェニレン基がより好ましい。
本発明において、前記式(I)で示される重合性液晶化合物(i)において、以下の式で表される2つの基は同一であっても、異なっていてもよい。
前記式(I)で表される重合性液晶化合物(i)の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明における重合性液晶化合物(i)は下記の化合物に限定されるものではない。
本発明において、前記棒状液晶性化合物は、そのΔn値が0.18以上であることが好ましく、0.22以上であることがより好ましい。Δn値が0.30以上の化合物を用いると、紫外線吸収スペクトルの長波長側の吸収端が可視域に及ぶ場合があるが、該スペクトルの吸収端が可視域に及んでも所望する光学的性能に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。このような高いΔn値を有することにより、高い光学的性能(例えば、円偏光分離特性)を有する円偏光分離シートを与えることができる。
本発明において、前記棒状液晶性化合物は、1分子中に少なくとも2つ以上の反応性基を有するものとすることができる。前記反応性基としては、具体的にはエポキシ基、チオエポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、フマレート基、シンナモイル基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、オキサゾリン基、メルカプト基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、及びアクリル基が挙げられる。これらの反応性基を有することにより、コレステリック液晶組成物を硬化させた際に、安定した硬化物を得ることができる。1分子中に反応性基が1つ以下の化合物を用いると、コレステリック液晶組成物を硬化させた際に、架橋した硬化物が得られないため実用に耐えうる膜強度が得られない。後述する架橋剤を使用した場合でも、膜強度が不足してしまい実用は困難である。実用に耐えうる膜強度とは鉛筆硬度(JIS K5400)でHB以上、好ましくはH以上である。膜強度がHBより低いと傷がつきやすくハンドリング性に欠けてしまう。好ましい鉛筆硬度の上限は、光学的性能や耐久性試験に悪影響を及ぼさなければ特に限定されない。
前記コレステリック液晶組成物(X)において、(前記一般式(1)の化合物の合計重量)/(棒状液晶性化合物の合計重量)の重量比は0.05〜1であることが好ましく、0.1〜0.65であることがより好ましく、0.15〜0.45であることがさらに好ましい。前記重量比が0.05より少ないと配向均一性が不十分となる場合があり、また逆に1より多いと配向均一性が低下したり、液晶相の安定性が低下したり、液晶組成物としてのΔnが低下して所望する光学的性能(例えば、円偏光分離特性)が得られない場合があり好ましくない。なお、合計重量とは、1種を用いた場合にはその重量を、1種以上用いた場合には合計の重量を示す。
前記コレステリック液晶組成物(X)において、前記一般式(1)の化合物の分子量が600未満、前記棒状液晶性化合物の分子量が600以上であることが好ましい。一般式(1)の化合物の分子量が600未満であることにより、それよりも分子量の大きい棒状液晶性化合物の隙間に入り込むことができ、配向均一性を向上させることができる。
本発明において、前記コレステリック液晶組成物(X)等のコレステリック液晶組成物は、硬化後の膜強度向上や耐久性向上のために、任意に架橋剤を含有することができる。当該架橋剤としては、液晶組成物を塗布した液晶層の硬化時に同時に反応したり、硬化後に熱処理を行って反応を促進したり、又は湿気により自然に反応が進行して液晶層の架橋密度を高めることができ、かつ配向均一性を悪化させないものを適宜選択し用いることができ、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。架橋剤の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート型イソシアネート、ビウレット型イソシアネート、アダクト型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のアルコキシシラン化合物;が挙げられる。また、該架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度や耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。
前記架橋剤の配合割合は、コレステリック液晶組成物を硬化して得られる硬化膜中に0.1〜15重量%となるようにすることが好ましい。該架橋剤の配合割合が0.1重量%より少ないと架橋密度向上の効果が得られず、逆に15重量%より多いと液晶層の安定性を低下させてしまうため好ましくない。
本発明において、コレステリック液晶組成物は、任意に光開始剤を含有することができる。当該光開始剤としては、紫外線又は可視光線によってラジカル又は酸を発生させる公知の化合物が使用できる。具体的には、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、ビアセチル、アセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンジルイソブチルエーテル、テトラメチルチウラムモノ(ジ)スルフィド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、β−アイオノン、β−ブロモスチレン、ジアゾアミノベンゼン、α−アミルシンナックアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp’−ジクロロベンゾフェノン、pp’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ジフェニルスルフィド、ビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、アントラセンベンゾフェノン、α−クロロアントラキノン、ジフェニルジスルフィド、ヘキサクロルブタジエン、ペンタクロルブタジエン、オクタクロロブテン、1−クロルメチルナフタリン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]や1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(o−アセチルオキシム)などのカルバゾールオキシム化合物、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、3−メチル−2−ブチニルテトラメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−(p−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。また、所望する物性に応じて2種以上の化合物を混合することができ、必要に応じて公知の光増感剤や重合促進剤としての三級アミン化合物を添加して硬化性をコントロールすることもできる。
該光開始剤の配合割合はコレステリック液晶組成物中0.03〜7重量%であることが好ましい。該光開始剤の配合量が0.03重量%より少ないと重合度が低くなってしまい膜強度が低下してしまう場合があるため好ましくない。逆に7重量%より多いと、液晶の配向を阻害してしまい液晶相が不安定になってしまう場合があるため好ましくない。
本発明において、コレステリック液晶組成物は、任意に界面活性剤を含有することができる。当該界面活性剤としては、配向を阻害しないものを適宜選択して使用することができる。当該界面活性剤としては、具体的には、疎水基部分にシロキサン、フッ化アルキル基を含有するノニオン系界面活性剤が好適に使用でき、1分子中に2個以上の疎水基部分を持つオリゴマーが特に好適である。これらの界面活性剤は、OMNOVA社PolyFoxのPF−151N、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520、PF−3320、PF−651、PF−652、ネオス社フタージェントのFTX−209F、FTX−208G、FTX−204D、セイミケミカル社サーフロンのKH−40等を用いることができる。界面活性剤の配合割合はコレステリック液晶組成物を硬化して得られる硬化膜中0.05重量%〜3重量%となるようにすることが好ましい。該界面活性剤の配合割合が0.05重量%より少ないと空気界面における配向規制力が低下して配向欠陥が生じる場合があるため好ましくない。逆に3重量%より多い場合には、過剰の界面活性剤が液晶分子間に入り込み、配向均一性を低下させる場合があるため好ましくない。
本発明において、コレステリック液晶組成物は、任意にカイラル剤を含有することができる。前記カイラル剤の具体例としては、下記(C1)〜(C5)を挙げることができる。下記(C1)〜(C5)において化合物を規定する式中の記号は、別に断らない限り、(C1)〜(C5)のそれぞれにおいて独立に定義され、従って同じ記号が別の意味を有する場合がある。
(C1) 式(C1):(Z−Y1−A−O−CO−O−M−Y2)nX[式中、Aはスペーサー、Mはメソゲン基、Y1およびY2は化学結合または−O−、−S−,−CO−O−,−O−CO−,−O−CO−O−,−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−,Xはn価のカイラル基、Rは水素原子又はC1〜C4−アルキル基、nは2〜6、Zは、a1)これらの基の少なくとも1つは、重付加反応に関与することが出来る反応性基である、a2)これらの基の少なくとも2つは、重付加反応に関与することが出来る反応性基を持つ置換基である、b)条件a1)又はa2)が満足される限り、水素原子又は非反応性基である]で表される化合物。当該化合物としては例えば、特許第4054392号に開示されるものを挙げることができる。式(C1)におけるカイラル基Xの個々の例として有利なものとして、以下のものを挙げることができる。
上記式(C1)においてLはC1〜C4−アルキル基、C1〜C4−アルコキシ基、ハロゲン原子、COOR,OCOR,CONHR又はNHCORである。ここでRは上記と同様である。
上記式(C1)においてスペーサーAは、一般に2〜30、有利には2〜12個の炭素原子を含有し、線状の脂肪族基からなる。これらは連鎖において例えばO,S,NH又はNCH3により中断されていてもよいが、後者の基は隣接すべきでない。また、線状の脂肪族基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基及びエチル基等の置換基で置換されていてもよい。
上記式(C1)においてメソゲン基Mとして好適な基は、式Ia:−(−T−Y3)r−T−[式中、Tは2価のイソ脂環式、ヘテロ脂環式、イソ芳香族又はヘテロ芳香族基であり、Y3はY1と同一の基又は−CH2−O−,−O−CH2−,−CH=N−又は−N=CH−でありかつrは0〜3であり、T及びY3は、r>0又はr>1である場合には、同じか又は異なっていてもよい]で示されるものである。Tはまたフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ヒドロキシル基又はニトロ基により置換された環系であってもよい。有利な基Tは以下のものである:
(C2) 式(C2):(Z−Y1−A−Y2−M−Y3)nX[式中、Aは(C1)と同様のスペーサー、Mは(C1)と同様のメソゲン基、Y1,Y2及びY3は化学結合又は基−O−,−S−,−CO−O−,−O−CO−,−O−CO−O−,−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−、Rは水素原子又はC1〜C4−アルキル基、Xはn価のカイラル基、nは2〜6、Zは、a)これらの基の少なくとも1つは、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チイラン、アジリジン、カルボキシル、ヒドロキシル又はアミノ基を含有する基、b)残余の基、水素原子又は非反応性基である]で示される化合物。当該化合物としては例えば、特開平9−31077号公報に開示されるものを挙げることができる。ここでカイラル基Xの個々の例として有利なものとして式(C1)と同様のものを挙げることができる。
(C3) 式(C3):Z1−Y1−(A1)m−Y2−M−Y3−X−Y4−(A2)n−Y5−Z2[式中、置換基および変数は互いに独立に次の意味を表す:A1およびA2は、1〜30個のC原子の鎖長のスペーサーであり、Y1〜Y5は化学結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−または−(R)N−C(=O)−、−CH2−O−、−O−CH2−、−CH=N−、−N=CH−または−N=N−であり、Mは(C1)と同様のメソゲン基であり、Rは水素、C1〜C4アルキルであり、Z1およびZ2は水素、C1〜C4アルキル、重合性基または重合性基を有する基であり、Xはジアンヒドロソルビット、ジアンヒドロマンニットおよびジアンヒドロイデットからなる群から選択されたジアンヒドロヘキシット基であり、mは0または1であり、nは0または1であり、その際基Z1、Z2、Y1〜Y5、A1およびA2は同じかまたは異なっていてもよく、少なくとも1つの基Z1またはZ2は重合性基または重合性基を含有する基を表す]で示されるカイラルドーパント。当該化合物としては例えば、特開2000−309589号公報に開示されるものを挙げることができる。
(C4) 下記式(C4)で示されるカイラル化合物。当該化合物としては例えば、特開2003−137887号公報に開示されるものを挙げることができる。
式(C4)中、R1およびR2は、互いに独立して、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF5、直鎖状または分枝状の炭素原子30以下で、未置換か、F、Cl、Br、IまたはCNでモノ−もしくはポリ−置換されており、隣接していない1または2以上のCH2基が、それぞれ互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR0−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−で、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されてもよいアルキル、またはP−Sp−Xであり、R0は、Hまたは炭素原子1〜4のアルキルであり、Pは、重合可能な基であり、Spは、スペーサー基または単結合であり、Xは、−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−または単結合であり、X1は、−CO−、−OCO−、−NR0−CO−、−CH=CH−CO−、−CH2−、−C2H4−、−CF2−または単結合であり、X2は、−CO−、−COO−、−CO−NR0−、−CO−CH=CH−、−CH2−、−C2H4−、−CF2−または単結合であり、Z1およびZ2は、互いに独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、A1およびA2は、互いに独立して、炭素原子16以下の脂肪族もしくは芳香族の炭素環式もしくは複素環式のヘテロ環を含んでもよく、未置換か、Lでモノ−またはポリ−置換されていてもよい基であり、Lは、ハロゲンまたはシアノ、ニトロ、または炭素原子1〜7のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基で、ここで1または2以上のH原子がFまたはClで置換されていてもよく、m1は、1、2または3であり、およびm2は、0、1、2または3であり、但し、基(Z1−A1)m1の縮合環または非縮合環の総数が基(A2−Z2)m2より大きい。
重合可能な基Pは、好ましくは、
フェニルまたは1〜5のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCH3であり、W2およびW3は、互いに独立してHまたは1〜5のC原子を有するアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、W4、W5およびW6は、互いに独立してCl、オキサアルキルまたは1〜5のC原子を有するオキサカルボニルアルキルであり、Pheは、1,4−フェニレンであり、そしてk1およびk2は、互いに独立して0または1である。とりわけ好ましくは、Pは、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、プロペニルエーテル基またはエポキシ基、とりわけ好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート基である。
スペーサー基Spは、好ましくは、1〜20のC原子、特に1〜12のC原子を有する直鎖状アルキレン基、これはさらに、隣接していない1または2以上のCH2基が、−O−、−S−、−NH−、−NR0−、−SiR0R00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−で、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されてもよく、R0およびR00は、互いに独立してHまたは1〜4のC原子を有するアルキルである。典型的なスペーサー基は、例えば、−(CH2)p−、−(SiR0R00−O)p−、−(CH2CH2O)r−CH2CH2−、−CH2CH2−S−CH2CH2−または−CH2CH2−NH−CH2CH2−であり、ここで、pは2〜12の整数であり、rは1〜3の整数である。好ましいスペーサー基は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
特に好ましいA1およびA2は、1または2以上のCH基がさらにNで置換されていてもよい1,4−フェニレン、隣接していない1または2のCH2基がさらにOおよび/またはSで置換されていてもよい1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキソラン−4,5−ジイル、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−ビシクロ−(2,2,2)−オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルおよびインダン−2,5−ジイルであり、ここでこれらすべての基は、上記定義のように未置換か、Lでモノ−またはポリ−置換されていてもよい。
(C5) 式(C5):A1−Y−Z1−X−Z2−Y−B−A2〔式中、A1およびA2はそれぞれ独立にCH2=CH−COO−又はCH2=C(CH3)−COO−であり、Yは置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環であり、Z1およびZ2はそれぞれ独立に−COO−又は−OCO−であり、Bは、ポリメチレン基又はポリオキシメチレン基であり、Xは下記式(a)〜式(f)で表されるキラル基である〔ただし、*は結合手を表し、式(f)中のLはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン、−COOR、−OCOR、−OCOOR、−CONHR、又は−NHCORであり、かつRは(C1)におけるものと同様のものを表す。〕〕で表される化合物。当該化合物としては、特開2007−176870号公報に開示されるものを挙げることができる。かかる化合物として、さらに具体的には、下記式(C5−1)の化合物を挙げることができる。
これらの中で好ましくは、カイラル基が2価であるイソソルビド骨格を有する下記(C6)及び(C7)で示される化合物を使用することができる。また、市販のカイラル剤として、例えばBASF社パリオカラーのLC756を入手できる。
前記カイラル剤は、所望する光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。前記カイラル剤の含有割合は、前記コレステリック液晶組成物中、通常1〜60重量%である。
本発明において、コレステリック液晶組成物は、必要に応じてさらに他の任意成分を含有することができる。当該他の任意成分としては、溶媒、ポットライフ向上のための重合禁止剤、耐久性向上のための酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等を挙げることができる。これらの任意成分は、所望する光学的性能を低下させない範囲で添加できる。
本発明におけるコレステリック液晶組成物の製造方法は、特に限定されず、上記各成分を混合することにより製造することができる。
前記コレステリック液晶組成物(X)等のコレステリック液晶組成物を、基材上に設けた配向膜等の他の層上に塗布して液晶層を得、次いで1回以上の、光照射及び/又は加温処理により当該液晶層を硬化することにより、コレステリック樹脂層を得ることができる。塗布は、公知の方法、例えば押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法等により実施することができる。
前記塗布により得られた液晶層を硬化する前に、必要に応じて、配向処理を施すことができる。配向処理は、例えば液晶層を50〜150℃で0.5〜10分間加温することにより行うことができる。当該配向処理を施すことにより、コレステリック液晶層を良好に配向させることができる。
前記硬化の工程は、1回以上の光照射と加温処理との組み合わせにより行うことができる。加温条件は、具体的には例えば、温度40〜200℃、好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは50〜140℃、時間は1秒〜3分、好ましくは5〜120秒とすることができる。本発明において光照射に用いる光とは、可視光のみならず紫外線及びその他の電磁波をも含む。光照射は、具体的には例えば波長200〜500nmの光を0.01秒〜3分照射することにより行うことができる。また、例えば0.01〜50mJ/cm2の微弱な紫外線照射と加温とを複数回交互に繰り返し、反射帯域の広い円偏光分離シートとすることもできる。上記の微弱な紫外線照射等による反射帯域の拡張を行った後に、50〜10,000mJ/cm2といった比較的強い紫外線を照射し、液晶性化合物を完全に重合させ、コレステリック樹脂層とすることができる。上記の反射帯域の拡張及び強い紫外線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)中で行うこともできる。
本発明において、配向膜等の他の層上へのコレステリック液晶組成物の塗布及び硬化の工程は、1回に限られず、塗布及び硬化を複数回繰り返し2層以上のコレステリック樹脂層を形成することもできる。ただし本発明においては、1回のみのコレステリック液晶組成物の塗布及び硬化によっても、良好に配向したΔnが0.18以上の棒状液晶性化合物を含み、かつ5μm以上といった厚みのコレステリック樹脂層を容易に形成することができる。
本発明において、コレステリック樹脂層の乾燥膜厚は好ましくは3.0μm〜10.0μm、より好ましくは3.5〜8μmとすることができる。前記コレステリック樹脂層の乾燥膜厚が3.0μmより薄いと反射率が低下してしまい、逆に10.0μmより厚いと、コレステリック樹脂層に対して斜め方向から観察した時に着色してしまうため、それぞれ好ましくない。なお、前記乾燥膜厚は、コレステリック樹脂層が2以上の層である場合は、各層の膜厚の合計を、コレステリック樹脂層が1層である場合にはその膜厚をさす。
本発明に用いる円偏光分離シートの任意の構成要素である、前記基材及び配向膜について説明する。
前記基材層は、透明樹脂基材により構成することができる(なお、ここで円偏光分離シートの任意の構成要素として説明する「透明樹脂基材」は、後述する本発明の構成要素である「透明層」とは別の層を構成するものである。)。前記透明樹脂基材は、特に限定されず1mm厚で全光透過率80%以上の基材を使用することができる。具体的には、脂環式オレフィンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンなどの鎖状オレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、変性アクリルポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂などの合成樹脂からなる単層又は積層のフィルムが挙げられる。これらの中でも、脂環式オレフィンポリマー又は鎖状オレフィンポリマーが好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、脂環式オレフィンポリマーが特に好ましい。
前記基材層の上に、前記配向膜を設けることができる。配向膜を設けることにより、その上に塗布されたコレステリック液晶組成物を所望の方向に配向させることができる。配向膜は、基材表面上に、必要に応じてコロナ放電処理等を施した後、配向膜の材料を水又は溶剤に溶解させた溶液等を、リバースグラビアコーティング、ダイレクトグラビアコーティング、ダイコーティング、バーコーティング等の公知の方法を用いて塗布し、乾燥させ、その後乾燥塗膜にラビング処理を施すことにより形成することができる。前記配向膜の材料としては、セルロース、シランカップリング剤、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エポキシアクリレート、シラノールオリゴマー、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ポリオキサゾール、環化ポリイソプレンなどを用いることができるが、変性ポリアミドが特に好ましい。
前記変性ポリアミドとしては、芳香族ポリアミド又は脂肪族ポリアミドに変性を加えたものを挙げることができ、脂肪族ポリアミドに変性を加えたものが好ましい。具体的には例えば、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、3元ないし4元共重合ナイロン、脂肪酸系ポリアミド、又は脂肪酸系ブロック共重合体(例えばポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミド)に変性を加えたものを挙げることができる。当該変性としては、末端アミノ変性、カルボキシル変性、ヒドロキシル変性などの変性、並びにアミド基の一部をアルキルアミノ化又はN−アルコキシアルキル化する変性を挙げることができる。N−アルコキシアルキル化変性ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、又はナイロン−12等の共重合ナイロンのアミド基の一部をN−メトキシメチル化したものが挙げられる。前記変性ポリアミドの重量平均分子量は、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜200,000とすることができる。
配向膜の厚さは、所望する液晶層の配向均一性が得られる膜厚であればよく、0.001〜5μmであることが好ましく、0.01〜2μmであることがさらに好ましい。
前記配向膜上へ、上に既に述べた方法でコレステリック樹脂層を設けることにより、基材層/配向膜/コレステリック樹脂層の層構成を有する円偏光分離シートを得ることができる。このような3つの層からなる円偏光分離シートを、接着層又は粘着層を介して貼り合わせることにより、第1の基材層、第1の配向膜、第1のコレステリック樹脂層、第2の基材層、第2の配向膜、及び第2のコレステリック樹脂層をこの順に有する円偏光分離シートを得ることができる。
1−2.透明層(位相差フィルム)
本発明において、透明層は、光学部材を構成しうる任意の透明な(例えば1mm厚で全光透過率80%以上の樹脂等からなる)フィルムを使用することができる。
本発明における透明層は、光学的に等方性のものでも異方性のものでもよく、光学部材に入射する光を透過させる以外の光学的機能を有していても有さなくてもよいが、透明層の好ましい例として、後述する位相差フィルムを挙げることができる。
1−2−1.位相差フィルム
本発明に用いる位相差フィルムとしては、(i)フィルム状のポリマーを延伸したもの、又は(ii)液晶性の材料を透明樹脂基材上に塗布し、配向させ、硬化させたものを用いることができる。(ii)の位相差フィルムを用いる場合は、適当な基材上に液晶性の材料を塗布し、配向させ、硬化させて得た当該位相差フィルムを光学機能層と一体化させて光学部材とすることができる。
本発明に用いる位相差フィルムの好ましい例として、スチレン系樹脂層を含む樹脂フィルムを延伸してなる位相差フィルムを挙げることができ、より好ましくは、以下に述べる光学異方性素子を挙げることができる。
本発明において、光学異方性素子は、その正面方向のリターデーションRe(以下、「Re」と略記することがある。)を透過光の略1/4波長とすることができる。ここで、透過光の波長範囲は、本発明の光学部材に求められる所望の範囲とすることができ、具体的には例えば400nm〜700nmである。また、正面方向のリターデーションReが透過光の略1/4波長であるとは、Re値が、透過光の波長範囲の中心値において、中心値の1/4の値から±65nm、好ましくは±30nm、より好ましくは±10nmの範囲であることをいう。
また、光学異方性素子は、厚み方向のリターデーションRth(以下、「Rth」と略記することがある。)が0nm未満であることが望ましい。厚み方向のリターデーションRthの値は、透過光の波長範囲の中心値において、好ましくは−30nm〜−1000nm、より好ましくは−50nm〜−300nmとすることができる。このようなRe値及びRthを有する光学異方性素子を採用することにより、輝度を向上させ輝度ムラを低減させながら、出射光の色ムラをも低減させることができる。
ここで、前記正面方向のリターデーションReは、式I:Re=(nx−ny)×d(式中、nxは厚み方向に垂直な方向(正面方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であってnxに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。)で表される値であり、厚み方向のリターデーションRthは、式II:Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(式中、nxは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であってnxに直交する方向の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。)で表される値である。
なお、前記正面方向のリターデーションRe及び厚み方向のリターデーションRthは、市販の位相差測定装置を用いて、光学異方性素子を長手方向及び幅方向に100mm間隔(長手方向又は横方向の長さが200mmに満たない場合は、その方向へは等間隔に3点指定する)で、全面にわたり、格子点状に測定を行い、その平均値とする。
前記光学異方性素子を構成する材質は、特に限定されないが、スチレン系樹脂からなる層を有するものを好ましく用いることができる。ここでスチレン系樹脂とは、スチレン構造を繰り返し単位の一部又は全部として有するポリマー樹脂であり、ポリスチレン、又は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェニルスチレンなどのスチレン系単量体と、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニルなどのその他の単量体との共重合体などを挙げることができる。これらの中で、ポリスチレン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体を好適に用いることができる。
光学異方性素子に用いるスチレン系樹脂の分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサンを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンの重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000である。
前記光学異方性素子は、好ましくは、前記スチレン系樹脂からなる層と、他の熱可塑性樹脂を含む層との積層構造を有する。当該積層構造を有することにより、スチレン系樹脂による光学的特性と、他の熱可塑性樹脂による機械的強度とを兼ね備えた素子とすることができる。他の熱可塑性樹脂としては、脂環式オレフィンポリマー、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、メタクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、ポリエーテルスルホンなどを挙げることができる。これらの中で、脂環式構造を有する樹脂やメタクリル樹脂を好適に用いることができる。
脂環式オレフィンポリマーは、主鎖及び/または側鎖にシクロアルカン構造又はシクロアルケン構造を有する非晶性のオレフィンポリマーである。具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。これらの脂環式構造を有する樹脂は、特開平05−310845号公報、特開平05−097978号公報、米国特許第6,511,756号公報に記載されているものが挙げられる。
ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素化物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。
メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主成分とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体や、メタクリル酸エステルとその他の単量体との共重合体が挙げられる、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。共重合体とする場合は、メタクリル酸エステルと共重合するその他の単量体としては、アクリル酸エステルや、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物などが用いられる。
本発明に用いる光学異方性素子の好ましい具体的態様として、ポリスチレン樹脂からなるフィルム(a層)の両面に、他の熱可塑性樹脂からなるフィルム(b層)を積層してなる複層フィルムを延伸してなる延伸複層フィルムを挙げることができる。以下、この具体的態様について説明する。
前記a層を構成するポリスチレン樹脂しては、上記「スチレン系樹脂」と同様のものを用いることができる。
a層を構成するポリスチレン樹脂は、ガラス転移温度が120℃以上であることが好ましく、120〜200℃であることがより好ましく、120〜140℃であることがさらに好ましい。
本発明において、前記ポリスチレン樹脂及び前記他の熱可塑性樹脂は、それらのガラス転移温度をそれぞれTg(a)(℃)及びTg(b)(℃)としたとき、Tg(a)>Tg(b)+20℃の関係を満たすことが好ましい。このような関係を満たすことにより、延伸した際にポリスチレン樹脂からなるa層に有効に光学的異方性を与え、良好な光学異方性素子を得ることができる。
a層の材料である前記ポリスチレン樹脂及びb層の材料である前記他の熱可塑性樹脂を積層して、複層フィルムに成形する方法は、特に限定されないが、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出による成形方法、ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形方法、及びコーティング成形方法などの公知の方法が適宜利用され得る。中でも、製造効率や、フィルム中に溶剤などの揮発性成分を残留させないという観点から、共押出による成形方法が好ましい。押出し温度は、使用する前記ポリスチレン樹脂、及び前記他の熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜選択され得る。
複層フィルムは、前記a層の両面に、前記b層を積層してなる。a層とb層の間には、接着層や粘着層を設けることができるが、a層とb層とを直接に積層させる(つまり、b層/a層/b層の3層構成の積層体とする)ことが好ましい。また、複層フィルムにおいて、前記a層及びその両面に積層されたb層の厚みは特に制限はないが、好ましくはそれぞれ10〜300μm及び10〜400μmとすることができる。
前記延伸複層フィルムは、前記複層フィルムを延伸してなる。前記延伸複層フィルムは、a層の延伸により設けられたA層、及びb層の延伸により設けられたB層を含むことができる。前記延伸複層フィルムは、前記複層フィルムのb層/a層/b層の3層構造の積層体を延伸してなり、B層/A層/B層の3層構造の延伸フィルムであることが好ましい。
当該延伸は、好ましくは一軸延伸又は斜め延伸により行うことができ、さらに好ましくはテンターによる一軸延伸又は斜め延伸により行うことができる。
光学異方性素子の正面方向リターデーションReや厚み方向のリターデーションRthは、延伸温度や延伸倍率等の延伸条件を適宜調整することにより製造することができる。延伸温度は、前記Tg(a)−10℃〜前記Tg(a)+20℃が好ましく、前記Tg(a)−5℃〜前記Tg(a)+15℃の範囲であることがより好ましい。延伸倍率は、1.05〜30倍が好ましく、1.1〜10倍であることがより好ましい。延伸温度や延伸倍率が、上記範囲を外れると、配向が不十分で屈折率異方性、ひいてはリターデーションの発現が不十分になったり、積層体が破断したりするおそれがある。
光学異方性素子の厚みは、好ましくは50〜1000μm、より好ましくは50〜600μmである。
1−2−2.その他の透明層
本発明の透明層としては、上記の位相差フィルムの他に、正面方向リターデーションReが10nm以下、好ましくは5nm以下の等方性樹脂フィルムを用いることができる。かかる樹脂フィルムの材料としては、脂環式構造含有重合体樹脂、オレフィン系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアリーレンサルファイド系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリアリレート系重合体、セルロースエステル系重合体、ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリアリルスルホン系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、あるいはこれらの多元(二元、三元等)共重合体等が挙げられる。これら等方性樹脂フィルムを貼り合せることで、偏光板保護フィルムとして機能し、直接偏光子と貼り合せることが可能となる。
1−3.粘着層
本発明の光学部材は、前記光学機能層と透明層との間に介在する粘着層を備える。
本発明においては、前記粘着層は、粘着性を発現するポリマー(以下において単に「主ポリマー」という場合がある。)を含む主剤及び芳香族ケトンからなる粘着性組成物からなり、かかる粘着性組成物で前記光学機能層及び透明層を粘着させることにより、粘着層を設けることができる。
前記主剤が含有しうる主ポリマーとしては、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレン−酢酸ビニル系、エチレン−アクリル酸エステル系、エチレン−塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン−スチレン等の合成ゴム系、エポキシ系、シリコーン系のポリマーを使用することができる。特に、芳香族ケトン化合物との相溶性の観点で、アクリル系、ウレタン系、エチレン−酢酸ビニル系が好ましく用いられる。
アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリジコール又はポリプロピレングリコールとのモノエステルなどのヒドロキシル基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリアミド、メトキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニル単量体;メタクリロキシプロピルメトキシシランなどのケイ素含有ビニル単量体;(メタ)アクリロイルアジリジンなどのアジリジン基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、メチルスチレンなどの芳香族基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの脂環式アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル;エチレングリコールジ(メタ)アクリリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体;その他酢酸ビニル、塩化ビニル、マクロモノマー、ジビニルベンゼンなどの単一重合体ないし複数の単量体の共重合体を挙げることができる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を意味する。
ウレタン系ポリマーとしては、一般的なポリオールとイソシアネート化合物の反応物を挙げることができる。
ポリオールとしては、メチレンオキサイド鎖、エチレオキサイド鎖、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖、ブチレンオキサイド鎖などのアルキレンオキサイド鎖の繰り返し構造を単独で、あるいは2種類以上有するポリエーテルポリオール;テレフタル酸、アジピン酸、アジピン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメット酸などの酸化合物とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオールなどのグリコール成分とのエステル化反応により得られるポリエステルポリオール;上記酸化合物とグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオールとの反応で得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトンなどのラクトン類の開環重合で得られるポリエステルポリオールなどを挙げることができる。
イソシアネート化合物としては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカンメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシナネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族脂肪族ポリイソシアネート;3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネートメチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4’−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ポリイソシアネートなどを挙げることができる。
エチレン−酢酸ビニル系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−酢酸ビニル−カルボン酸共重合体が挙げられ、好ましくは酢酸ビニルの共重合率が10−46重量%のものを挙げることができる。
主ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、10,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜500,000であることがより好ましい。重量平均分子量が10,000より低いと、混合した芳香族ケトン化合物の結晶化が起こりやすく、粘着層の白化が起こりやすいため好ましくない。また、重量平均分子量が1,000,000より大きいとゲル化しやすく、かつ粘着層液粘度が高く取り扱いにくいため好ましくない。
本発明に用いるカルボニル基(−CO−)の2つの価標の両側に芳香族基を有する芳香族ケトン化合物としては、ベンゾフェノン類、フルオレノン類、チオキサントン類、及びこれらの混合物からなる群より選択されるものを用いることができる。より具体的には、下記式(K1)〜(K3)で表される化合物を挙げることができる:
式(K1)〜(K3)中、R2は、水素原子、ニトロ基、または無置換若しくは1以上のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を示す。
R3は、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状のアルキレンオキシド基、フェニル基、メチルフェニル基、ビフェニル基、水素原子、−S−C6H4−CH3、−S−C6H4−CO−C(CH3)2−SO2−C6H4−CH3、−O−C2H4−O−CO−CH=CH2、−O−C2H4−O−CO−C(CH3)=CH2、又は−O−CO−C(CH3)=CH2を示し、アルキレンオキシド基は無置換もしくは1以上のハロゲン原子で置換されていても良く、フェニル基、メチルフェニル基、及びビフェニル基は無置換若しくは1以上のメタ位がハロゲン原子で置換されていてもよい。
R5は、水素原子、カルボキシル基、又は無置換若しくは1以上のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3の直鎖状または分岐鎖状のアルキレンオキシド基を示す。
R6は、ヒドロキシル基、ニトロ基、又は水素原子を示す。
R7は、水素原子、カルボキシル基、又は無置換若しくは1以上のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状のアルキレンオキシド基を示す。
R8は、ニトロ基、カルボキシル基、臭素原子、又は水素原子を示す。
R9及びR10はそれぞれニトロ基又は水素原子を示す。
R11はニトロ基、臭素原子、又は水素原子を示す。
R13はエチル基、イソプロピル基、塩素原子、又は水素原子を示す。
R14は、水素原子、又は無置換若しくは1以上のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3の直鎖状または分岐鎖状のアルキレンオキシド基、エチル基、若しくはイソプロピル基を示す。
これらの中で、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3−ニトロベンゾフェノン、3,3’−ジニトロベンゾフェノン、フルオレン、2−ニトロフルオレン、4−ニトロフルオレン、2,4,7−トリニトロフルオレン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン,4−イソプロピルチオキサントンを好ましく用いることができる。
前記粘着性組成物における芳香族ケトン化合物の添加量は、主ポリマー100重量部に対して5〜20重量部であり、好ましくは、8〜15重量部である。芳香族ケトン化合物の含有割合が5重量部より少なくなると、光学機能層の帯域幅のシフト抑制効果が弱くなる。芳香族ケトン化合物の含有割合が20重量部より多くなると、粘着層内で芳香族ケトン化合物の結晶化が起こりやすくなり、白化しやすくなる。なお、前記芳香族ケトン化合物の添加量は、これが複数種類ある場合はその合計量のことをさす。
前記粘着性組成物を構成する主剤は、前記主ポリマーに加えて、アセトフェノン含有化合物をさらに含有することができる、これらの化合物は、前記ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部含有することが好ましい。前記アセトフェノン含有化合物とは、アセトフェノン及びアセトフェノンの水素原子の1以上が任意の基で置換された化合物であり、具体的には例えば、アセトフェノンの−CH3基が脂環式化合物又はその誘導体で置換された化合物(1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン等)、及びベンゾインエーテル含有化合物(ベンゾインの−OH基の水素原子が他の有機基で置換された構造を有するエーテル、及び当該エーテルの水素原子の1以上が任意の基で置換された化合物)を挙げることができる。
アセトフェノン含有化合物としては、具体的には、アセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(IRG651 チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン(DAROCURE1173 チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(IRG184 チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1−オン(IRG907 チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRG2959チバスペシャリティケイミカルズ(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン(IRG369 チバスペシャリティケミカルズ(株)製)などを挙げることができる。
ベンゾインエーテル含有化合物としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルブチルエーテルなどを挙げることができる。
これらアセトフェノン含有化合物を含有することにより、粘着層としての性能をより良好にすることができる。
前記粘着性組成物を構成する主剤は、必要に応じて、拡散剤を含有することができる。当該拡散剤としての材料は特に限定されず、無機、および有機の拡散剤を適宜選択して用いることができる。
無機拡散剤としては、ガラス、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、マグネシウムシリケート等からなるもの;有機拡散剤としては、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリシロキサン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、またはこれらの架橋物等からなるものが挙げられる。
拡散剤の形状としては、特に限定されず、球状、楕円体状、立方体状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられるが、中でも光の拡散方向を等方的にできる点で球状、もしくは球状に近い楕円体状が好ましい。
拡散剤の大きさは、好ましくは直径0.2μm〜50μm、より好ましくは0.5μm〜10μmである。尚、ここでいう直径は、完全な球状ではない場合は、同一体積の球の直径で代用される。針状のような一方向に著しく寸法の異なるフィラーの場合は、その方向に垂直な断面の断面積と同一面積の円の直径で代用する。
拡散剤の屈折率は、粘着性組成物の基材として用いる主ポリマーの屈折率と異なることが好ましく、屈折率差が0.05以上0.15以下であることが好ましい。屈折率差が0.05未満の場合、光拡散効果が不十分となり、また屈折率差が0.15を超えると、光拡散効果は向上するが、斜め入射光の拡散粘着層への透過率が低下し、全体として暗くなるため好ましくない。
拡散剤は、単独の素材、大きさ、屈折率等の性質ものを用いてもよく、また、2種類以上の拡散剤を混合して用いても良い。また、拡散剤として2種類以上の素材からなるものを用いてもよい。
主剤におけるフィラーの含有量は、主ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
主剤に含まれる拡散剤の平均粒径dと、粘着層の厚みlの比は、好ましくは0.05≦d/l≦0.6、特に好ましくは、0.07≦d/l≦0.3である。0.05未満であると、拡散剤の粒径が小さすぎるか、粘着層の膜厚が厚すぎるため、前者であれば必要な散乱特性が得られないおそれが、後者では粘着層が偏光解消性を発生させるおそれがあり、0.6を超えると、必要な粘着面積が得られず、粘着力が不足し粘着層が剥離するおそれがある。
前記主剤には、主ポリマーの種類に応じて、さらに他の配合剤を配合することができる。他の配合剤としては、粘着付与剤、架橋剤又は硬化剤、酸化防止剤、消泡剤、安定剤が挙げられる。
上記粘着付与剤は、軟らかくなりかつ固体表面が濡れやすくなった主ポリマーに、粘着力を付与するものである。このような粘着付与剤としては、ロジンおよびロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油樹脂、水素化石油樹脂などが挙げられる。これらの中でも、透明性や主ポリマーとの相溶性に優れる点で、石油樹脂、水素化石油樹脂、テルペンフェノール樹脂が好ましい。粘着付与剤の配合量は、主ポリマー100重量部に対して、好ましくは2〜50重量部であり、より好ましくは5〜20重量部である。粘着付与剤の添加量が2重量部より少ないと、粘着付与剤の効果が発現せず、逆に添加量が50重量部を超えると、粘着剤の凝集力の低下による粘着力の低下が見られる傾向がある。
上記架橋剤又は硬化剤としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート等の多官能アクリレート化合物;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネートなどの多官能イソシアネート架橋剤又は硬化剤;エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、などのエポキシ系架橋剤又は硬化剤;ビニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン系架橋剤又は硬化剤;メラミン樹脂系架橋剤;金属キレート系架橋剤;アミン系架橋剤が用いられる。架橋剤又は硬化剤の配合量は、主ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.001〜10重量部であり、より好ましくは0.01〜3重量部である。架橋剤又は硬化剤の添加量が0.001重量部より少ないと、架橋剤の効果が発現せず、耐候性試験などで発泡や剥離が目立つ。逆に架橋剤又は硬化剤の添加量が10重量部より多くなると、粘着剤の応力緩和性が低下し、ソリなどが目立つようになる。
上記酸化防止剤としては、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の配合量は、粘着層の透明性や粘着力が低下しない範囲である。
前記粘着性組成物は、温度23℃におけるせん断貯蔵弾性率が0.1〜10MPaであることが好ましい。かかる範囲のせん断貯蔵弾性率とすることにより、粘着性組成物が適度な粘着性を有し得る。ただし、これに限らずより高いせん断貯蔵弾性率を有する、いわゆるホットメルト型接着剤をも本発明において粘着性組成物として用いることができる。
前記粘着性組成物の屈折率は、1.40〜1.55の範囲内であることが好ましい。かかる範囲の屈折率とすることにより、光学機能層/粘着層/透明層の構成において容易に界面反射を防止できる。
前記粘着性組成物の調製方法は、均一な混合および分散状態が得られる方法であれば限定されず、例えば上記各成分を加熱、攪拌、超音波処理等で混合することにより行うことができる。
本発明において、粘着層の膜厚は5〜30μmであり、好ましくは10〜25μmである。膜厚が5μmより薄いと、接着強度が弱くなる。一方膜厚が30μmより厚くなると、芳香族ケトン化合物添加による光学機能層の帯域幅のシフト抑制効果が弱くなる。
1−4.その他の層
本発明の光学部材は、光学機能層/粘着層/透明層の層構成を有する積層体のみからなってもよいが、必要に応じてさらにその他の層を有していてもよい。例えば、光学機能層としてのコレステリック樹脂層を形成するための基材層及び配向膜をさらに有し、基材層/配向膜/光学機能層(コレステリック樹脂層)/粘着層/透明層の層構成を有していてもよい。さらに、光学部材の耐久性や剛性を向上させることを目的として、基材層上及び/又は透明層上に、さらに接着剤又は粘着剤を介して、追加の透明樹脂基材を貼付して設けることもできる。
2.製造方法
本発明の光学部材の製造方法においては、まず前記光学機能層及び前記透明層のいずれか一方又は両方の面上に前記粘着層を形成する。
例えば、まず前記光学機能層の面上に前記粘着層を形成する場合、光学機能層の面上に直接粘着性組成物を展開して粘着層を形成することもできるが、剥離性を有するシート状の基材に粘着性組成物を展開して粘着層を形成した後当該粘着層を光学機能層上に転写することにより、光学機能層の面上に粘着層を形成することもできる。
本発明の光学部材の製造方法においては、続いて、前記光学機能層及び前記透明層を、前記粘着層を介して貼付する。これにより、光学機能層/粘着層/透明層の層構成を得ることができる。必要に応じて、かかる貼付の工程の前若しくは後に、粘着層を加熱、乾燥、または紫外線照射等により硬化させることもできる。得られた積層体はそのまま、又は必要に応じてさらに任意の層を貼付して、本発明の光学部材とすることができる。
3.光学部材の用途
本発明の光学部材の用途は、特に限定されないが、前記光学機能層として上に説明した円偏光分離シートを備え、前記透明層として上に説明した位相差フィルムを有する場合、輝度向上フィルムとして好ましく用いることができる。また、輝度向上フィルムとしての用途のほかに、光学機能層の角度依存的な特性(透過光と、光学部材の主面法線とがなす角度に応じて透過波長帯域が変化する特性)を利用して、色味調整用等の目的を有する選択反射素子とすることもできる。
4.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、前記本発明の輝度向上フィルムを備える。
本発明の液晶表示装置は、前記本発明の輝度向上フィルムと組み合わせて、液晶パネルを備えることができる。かかる液晶パネルは、特に限定されず液晶表示装置に用いられているものを適宜用いることができる。例えば、TN(Twisted Nematic)型液晶パネル、STN(Super Twisted Nematic)型液晶パネル、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型液晶パネル、IPS(In Plane Switching)型液晶パネル、VA(Vertical Alignment)型液晶パネル、MVA(Multiple Vertical Alignment型液晶パネル、OCB(Optical Compensated Bend)型液晶パネルなどが挙げられる。
本発明の液晶表示装置は、さらにバックライトを含むことができ、バックライトと液晶パネルとの間に輝度向上フィルムが配置された構成とすることができる。より具体的には、液晶表示装置のバックライトと液晶セルとの間において、円偏光分離シートの層が位相差フィルムの層よりもバックライト側になるように本発明の輝度向上フィルムを配置し、輝度向上を達成することができる。
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。以下において、成分の量比に関する「部」及び「%」は、別に断らない限り重量部を表す。
<実施例1>
(1−1:円偏光分離素子の作製)
シート状基材(ゼオノアフィルムZF14−100、株式会社オプテス製)の片面に、濡れ指数が56mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理面に、3%の変性ポリアミド(FR105/CM4000の70/30混合物、FR105:株式会社鉛市製 メトキシメチル化ナイロン CM4000:東レ株式会社製 共重合ポリアミド)1−プロパノール溶液を#4バーにて塗布し、120℃で5分間乾燥し、膜厚0.2μmの乾膜を作製した。該乾膜を一方向にラビング処理することで、配向膜を有する基材を得た。
化合物(1)(非液晶性化合物,分子量293.1) 7.28部、液晶性化合物(2)(液晶性化合物,Δn0.18,分子量846.9)29.13部、カイラル剤LC756(BASF社製)2.35部、光重合開始剤イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ社製)1.20部、界面活性剤KH40(セイミケミカル製)0.04部、及び2−ブタノン(溶媒)60.00部を混合し、コレステリック液晶組成物を調製した。このコレステリック液晶組成物を、上記で調製した配向膜を有する透明樹脂基材の配向膜を有する面に♯10バーにて塗布した。塗膜を100℃で5分間配向処理し、当該塗膜に対して0.1〜45mJ/cm2の微弱な紫外線の照射処理と、それに続く100℃で1分間の加温処理からなるプロセスを2回繰り返した後、窒素雰囲気下で800mJ/cm2の紫外線を照射して、乾燥膜厚5μmのコレステリック樹脂層を形成し、基材/配向膜/コレステリック樹脂層の層構成を有する円偏光分離素子を得た。
(1−2:位相差補償素子(兼λ/4板)の作製)
メタクリル酸メチル97.8%とアクリル酸メチル2.2%とからなるモノマー組成物を、バルク重合法により重合させ、樹脂ペレットを得た。
特公昭55−27576号公報の実施例3に準じて、ゴム粒子を製造した。このゴム粒子は、球形3層構造を有し、芯内層が、メタクリル酸メチル及び少量のメタクリル酸アリルの架橋重合体であり、内層が、主成分としてのアクリル酸ブチルとスチレン及び少量のアクリル酸アリルとを架橋共重合させた軟質の弾性共重合体であり、外層が、メタクリル酸メチル及び少量のアクリル酸エチルの硬質重合体である。また、内層の平均粒子径は0.19μmであり、外層をも含めた粒径は0.22μmであった。
上記樹脂ペレット70部と、上記ゴム粒子30部とを混合し、二軸押出機で溶融混練して、メタクリル酸エステル重合体組成物A(ガラス転移温度105℃)を得た。
上記メタクリル酸エステル重合体組成物A(b層)、及びスチレン無水マレイン酸共重合体(ガラス転移温度130℃)(a層)を温度280℃で共押出成形することにより、b層/a層/b層の三層構造で、各層が45/70/45(μm)の平均厚みを有する複層フィルムを得た。この複層フィルムを、延伸温度128℃、延伸倍率1.4倍、延伸速度10m/分でテンター一軸延伸し、延伸複層フィルム(位相差補償素子)を得た。さらにこの位相差補償素子の両面を、濡れ指数が56dyne/cmになるようにコロナ放電処理を施した。
得られた位相差補償素子の波長550nmにおけるレターデーション値は、厚み方向のレターデーションRthは−118nm、面内方向のレターデーションReは140nmであった。
(1−3:粘着層の作製)
ポリエチレンテレフタレートセパレータ(商品名「PET50AL」、リンテック(株)社製)に下記表1に示された組成を有する粘着性組成物を、ギャップ200μmのブレードを用いて塗布し、100℃にて2分乾燥し、膜厚20μmの粘着層を形成し、セパレータ/粘着層の層構成を有する積層物(イ)を得た。
(1−4:輝度向上フィルムの作製)
上記(1−1)で得た円偏光分離素子のコレステリック規則性を有する樹脂層表面に、濡れ指数60mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理を施した樹脂層表面と、上記(1−3)で得た積層物(イ)の粘着層側の面とを貼り合わせ、基材/配向膜/コレステリック樹脂層/粘着層/セパレータの層構成を有する積層物(ロ)を得た。
積層物(ロ)のセパレータを粘着層から剥離し、露出した粘着層と、上記(1−2)で得た位相差補償素子表面とを貼り合わせ、基材/配向膜/コレステリック樹脂層/粘着層/位相差補償素子の層構成を有する積層物(ハ)を得た。
一方、上記(1−3)で用いたものと同一のセパレータに、SKダイン2094(綜研化学(株)製、アクリル酸エステル共重合体、固形分率25%、溶媒:酢酸エチル/2−ブタノン=93/7)400部とE−AX(綜研化学(株)製、多官能エポキシ架橋剤)1.1部との混合物を、ギャップ200μmのブレードを用いて塗布し、100℃にて2分乾燥し、セパレータ/膜厚20μmの粘着層の層構成を有する積層物(ニ)を得た。
積層物(ハ)の位相差補償素子側の面と、積層物(ニ)の粘着層側の面とを貼り合わせ、基材/配向膜/コレステリック樹脂層/粘着層/位相差補償素子/粘着層/セパレータの層構成を有する積層物(ホ)を得た。
上記(1−1)で用いたものと同一の基材(ゼオノアフィルムZF14−100)の片面に、濡れ指数が56mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。積層物(ホ)のセパレータを粘着層から剥離し、露出した粘着層と、上記基材のコロナ放電処理面とを貼り合わせ、基材/配向膜/コレステリック樹脂層/粘着層/位相差補償素子/粘着層/基材の層構成を有する輝度向上フィルムを得た。
(1−5:輝度向上フィルムの評価)
上記1−4で得た輝度向上フィルムを、オーブンにて110℃にて180分間加温し、加温前後での輝度向上フィルムの特性を下記の通り評価した。結果を表1に示す。
(E1)輝度向上フィルムの反射帯域幅のシフト量の測定
紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製:JASCO−V550、積分球使用)にて透過スペクトルを測定した。透過スペクトルの長波長側エッジの透過率60%の波長の、110℃加温前後での変化を算出した。
(E2)輝度向上フィルムの色差変化(ΔE*)
分光式色差計(日本電色工業株式会社製 SE−2000)にて、色差L*a*b*を測定した。110℃加温前後のL*a*b*の変位からΔE*を算出した。
<実施例2〜12及び比較例1〜7>
粘着性組成物の成分の配合割合を表1〜3に示す通りとした他は、実施例1と同様に操作し、輝度向上フィルムを作製し評価した。結果を表1〜3に示す。
<実施例13>
粘着性組成物の成分の配合割合を表2に示す通りとし、積層物(ハ)を作製した段階で位相差補償素子側から、紫外線を空気中で積算光量800mJ/cm2照射した他は、実施例1と同様に操作し、輝度向上フィルムを作製し評価した。結果を表2に示す。
1):芳香族ケトン化合物の結晶化が多数見られた。
2):貼り合わせ時に巻き込んだ気泡が多数見られた。
表1〜表3において商品名にて記載した各成分の詳細は下記の通りである:
・SKダイン2094:綜研化学(株)製 アクリル酸エステル共重合体 固形分率25%、溶媒は酢酸エチル/2−ブタノン=93/7。
・E−AX:綜研化学(株)製 多官能エポキシ架橋剤。
・SP210:東洋インキ(株)製、無黄変タイプ ポリウレタン 固形分率53%、溶媒は酢酸エチル/トルエン混合溶媒
・T501B:東洋インキ(株)製、イソシアネート架橋剤 固形分率75%、溶媒は酢酸エチル
・EV−40Y:三井・デュポンポリケミカル(株)製、エバフレックス エチレン−酢酸ビニル共重合体 固形分100%
・ケミスノーMX300:綜研化学(株)製、架橋アクリル単分散粒子、平均粒子径3.0μm、屈折率1.49
表1〜表3に示す結果から明らかな通り、本願実施例の輝度向上フィルムは、芳香族ケトン化合物を含有しない粘着層を有する比較例(比較例1)、芳香族ケトン化合物の含有割合が本発明の規定の範囲外である比較例(比較例2及び比較例3)、粘着層の厚みが本発明の規定の範囲外である比較例(比較例4及び比較例5)に比べて、加温前後の反射帯域のシフトの少なさ、及び色度変化の少なさの両方において優れていた。
<実施例14>
市販の液晶テレビ(シャープ(株)製 AQUOS 37インチ)を解体し、液晶セルとバックライトの間の輝度向上フィルムを取り出し、代わりに実施例1で得た輝度向上フィルム(110℃にて180分間加温した後のもの)を、円偏光分離シート側をバックライト側として組み込み、液晶表示装置を得た。この液晶表示装置を白表示モードとして、出光面側から観察したところ、表示面全面にわたって着色がなく、明るく良好な白表示が確認できた。
<比較例10>
実施例1で得た輝度向上フィルムの代わりに比較例1で得た輝度向上フィルム(110℃にて180分間加温した後のもの)を用いた他は実施例13と同様に操作し、液晶表示装置を得て観察したところ、斜め方向で赤色の着色が見られた。
<実施例15>
(15−1:円偏光分離素子の作製)
シート状基材(ゼオノアフィルムZF14−100、株式会社オプテス製)の片面に、濡れ指数が56mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理面に、3%の変性ポリアミド(FR105/CM4000の70/30混合物、FR105:株式会社鉛市製 メトキシメチル化ナイロン CM4000:東レ株式会社製 共重合ポリアミド)1−プロパノール溶液を#4バーにて塗布し、120℃で5分間乾燥し、膜厚0.2μmの乾膜を作製した。該乾膜を一方向にラビング処理することで、配向膜を有する基材を得た。
液晶性化合物(Δn(ne−no)=0.18を有する棒状液晶化合物、分子量848.8)94.93部、光重合開始剤イルガキュア907(チバ・スペシャリティケミカルズ社製)3.1部、界面活性剤(セイミケミカル社製 KH−40)0.11部、カイラル剤(BASF社製 LC756)5.07部、及びメチルエチルケトン(溶媒)154.82部を混合し、コレステリック液晶組成物を調製した。このコレステリック液晶組成物を、上記で調製した配向膜を有する透明樹脂基材の配向膜を有する面に♯8バーにて塗布した。塗膜を100℃で5分間配向処理し、当該塗膜に対して1.0mJ/cm2の紫外線(UV−A:365nm±5nm)を照射し、100℃で1分間保持し、ついで紫外線を500mJ/cm2照射して塗膜を硬化させて、膜厚4μmのコレステリック樹脂層を形成し、基材/配向膜/コレステリック樹脂層の層構成を有する円偏光分離素子を得た。
得られた円偏光分離シートの反射スペクトルを、分光光度計(日本分光社製JASCO V−550)を用いて測定したところ、600nm以上750nm以下の波長帯における反射率が50%以上であることが分かった。また、400nm以上600nm未満の波長帯における反射率は平均して10%であり、反射率が20%を超える波長域は400nm以上600nm未満の帯域には存在しなかった。
(15−2:粘着層の作製)
ポリエチレンテレフタレートセパレータ(商品名「PET50AL」、リンテック(株)社製)に下記表4に示された組成を有する粘着性組成物を、ギャップ200μmのブレードを用いて塗布し、100℃にて2分乾燥し、膜厚22μmの粘着層を形成し、セパレータ/粘着層の層構成を有する積層物(ヘ)を得た。
(15−3:色味調整用選択反射素子の作製)
上記(15−1)で得た円偏光分離素子のコレステリック規則性を有する樹脂層表面に、濡れ指数60mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理を施した樹脂層表面と、上記(15−2)で得た積層物(ヘ)の粘着層側の面とを貼り合わせ、基材/配向膜/コレステリック樹脂層/粘着層/セパレータの層構成を有する積層物(ト)を得た。
積層物(ト)のセパレータを粘着層から剥離し、露出した粘着層と、実施例1の(1−2)で得た位相差補償素子表面とを貼り合わせ、基材/配向膜/コレステリック樹脂層/粘着層/位相差補償素子の層構成を有する積層物(チ)を得た。
積層物(チ)の位相差補償素子側の面と、実施例1の(1−4)において得た積層物(ニ)の粘着層側の面とを貼り合わせ、基材/配向膜/コレステリック樹脂層/粘着層/位相差補償素子/粘着層/セパレータの層構成を有する積層物(リ)を得た。
上記(15−1)で用いたものと同一の基材(ゼオノアフィルムZF14−100)の片面に、濡れ指数が56mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。積層物(リ)のセパレータを粘着層から剥離し、露出した粘着層と、上記基材のコロナ放電処理面とを貼り合わせ、基材/配向膜/コレステリック樹脂層/粘着層/位相差補償素子/粘着層/基材の層構成を有する、色味調整用選択反射素子を得た。
(15−4:選択反射素子の評価 選択反射素子帯域幅のシフト量の測定)
上記15−3で得た選択反射素子を、オーブンにて110℃にて180分間加温し、加温前後での選択反射素子について、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製:JASCO−V550、積分球使用)にて反射スペクトルを測定した。反射スペクトルの長波長側エッジの透過率50%の波長の、110℃加温前後での変化を算出した。結果を表4に示す。
(15−5:赤色正面輝度及び白色正面輝度の測定用の液晶表示装置の作製と評価)
光源として4CCFL(4本の輝線を有する冷陰極管)を搭載する市販の液晶表示装置(シャープ(株)製 AQUOS 37インチ)を分解し、上記(15−3)で得た選択反射素子(110℃にて180分間加温処理したもの)を、円偏光分離シート側をバックライト側として、バックライトの出射面上に装着し、組み立てなおし、液晶表示装置を得た。液晶表示装置は、主要な構成部材として、バックライト装置(4CCFL、反射板、光拡散板、拡散シート、および上で装着した選択反射素子を含む)、下偏光板、液晶パネルおよび上偏光板をこの順で有していた。
得られた液晶表示装置を青、緑、赤の各画素における光の透過率を100%となるように電圧調整した後、赤画面表示時の正面輝度、および白画面表示時の正面輝度と色度座標(x、y)を視野角測定装置(Autronic Melchers社製 ERGOSCOPE)により測定した。結果を表4に示す。
(15−6:ホワイトバランス測定用の液晶表示装置の作製と評価)
光源として4CCFLを搭載する市販の液晶表示装置(15−5で分解する前のものと同一のもの)を白画面表示し色度座標(x、y)を測定した。この液晶表示装置において、青、緑、赤の各画素における光の透過率を100%となるように電圧調整した後分解し、この液晶表示装置に上記(15−5)と同様に上記(15−3)で得た選択反射素子(110℃にて180分間加温処理したもの)を装着して組み立てなおし、白画面表示し、色度座標(x、y)を測定した。分解前後の色度座標の差が、±0.002以下の場合を○、±0.002を超える場合を×とした。結果を表4に示す。
<比較例11>
上記(15−2)において、粘着性組成物の配合割合を表4に示す通りとした他は、実施例15と同様に操作し、選択反射素子を作製し、さらに液晶表示装置を作製し評価した。結果を表4に示す。
表4に示す結果から明らかな通り、本願実施例の光学部材を選択反射素子として備える本発明の液晶表示装置は、比較例の液晶表示装置に比べて、輝度が高く、ホワイトバランスも良好であった。