JP4826490B2 - 光学複合素子 - Google Patents

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本発明は、光学複合素子および液晶表示装置に関する。
従来、液晶セルの裏側サイドには、輝度向上フィルムが設けられている。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。
前記輝度向上フィルムとしては、反射型偏光分離素子が一般的に用いられており、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどが提案されている。
中でも、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。その位相差板としては1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。通常、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、コレステリック液晶層と1/4波長板とを、界面での輝度低下を防ぐために一体化させて用いられており、いろいろな提案がなされている。
例えば、特許文献1、2には、コレステリック液晶層からなる偏光分離フィルムと1/4波長板とを応力緩和性に優れる粘着層を介して接着した積層体からなる輝度向上フィルムが、開示されている。また、特許文献3には、鏡面反射性半透過反射体と位相差フィルムからなる広帯域1/4λ板が、光拡散性粘接着層を介して接着した輝度向上フィルムが、開示されている。さらに、特許文献4には、接着性を有する光拡散層を反射型偏光フィルムと吸収型偏光フィルムの間に設けた輝度向上フィルムが開示され、該光拡散層としては光拡散性感圧接着剤が好ましいことも開示されている。
特許第3373374号公報 特許第3376233号公報 特開2002−323610号公報 特開2004−354678号公報
前記輝度向上フィルムは、その表示品位の向上のために、光拡散性を備えていることが望ましい。その上で、光源や反射層からの自然光を効率的に直線偏光化する機能において、元の自然光の直線偏光への変換効率がより高いことが重要となる。
また、前記輝度向上フィルムが使用される液晶表示装置などの表示装置は、予期せぬ外力を受けたり、温度変化の激しい環境下で利用される。例えば、携帯電話は、使用者とともに様々な環境下を移動するので、その液晶装置には、様々な外力と温度変化がかかり続ける。またカーナビゲーション装置に用いられている液晶表示装置は、昼夜を通して温度が激しく変化する車中において使用される。そのため、外力や温度変化に対して十分な物理的耐久性を有することが重要となる。
また、前記輝度向上フィルムは、様々なサイズの表示装置に適用するために、それぞれの適用先の表示装置に合わせて、所望のサイズに打ち抜き加工されるが、プラスチックフィルムの積層体であるため、打ち抜き時の加工性が良好であることが重要となる。さらに、様々なサイズに対応するため、サイズに関わらず自己支持性を維持することも重要である。
さらに、液晶表示装置を始めとする表示装置は、近年、様々な用途に大量に使用される傾向にあり、製造コストの低減、特に使用材料面でのコスト低減が重要となる。
輝度向上フィルムという製品には、前述のように、高い透明性、光利用効率の向上、物理的耐久性の向上、打ち抜き加工性の向上、および製造コストの低減の諸条件が、それぞれ他の条件を犠牲にすることなく、同時に実現することが、重要な条件となる。
前述の諸特性を実現するとの観点から、前記従来の輝度向上フィルムを検討すると、特許文献1および2に開示の偏光素子は、粘着層を介して偏光分離フィルムと1/4波長板とを貼り合わせており、そのため、打ち抜き加工時に、打ち抜き刃に粘着成分が付着したり、粘着剤層の伸びが発生し、加工の効率が低下し、打ち抜き品の形状特性も不十分となる。また、大きなサイズになると粘着層では自己支持性が不足し、たわみなどの不具合が発生する。さらに、拡散板をさらに用意しているため製造工程が複雑になる。
また、特許文献3および4では、前記特許文献1と同様に加工性における問題点に加えて、粘接着層に必要な光拡散性を持たせるために、該層が厚くなる傾向がある。そのため、自己支持性がさらに不足しがちになる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その課題は、光拡散性の向上による表示品位の向上、打ち抜き加工性や自己支持性の向上、製品工程の簡略化を可能にした輝度向上フィルムに好適な光学複合素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の〔1〕〜〔6〕を提供するものである。
〔1〕 コレステリック規則性を有する樹脂層を有する反射型偏光素子と、正面方向のリターデーションReが略1/4波長である光学異方性層を備えた光学複合素子であって、
前記反射型偏光素子と前記光学異方性層は、接着層を介して一体化され、前記接着層は、温度23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaである組成物とフィラーを含む混合物であることを特徴とする、光学複合素子。
〔2〕 前記光学異方性層の厚み方向のリターデーションRthが、0nm未満である、〔1〕記載の光学複合素子。
〔3〕 前記接着層に含まれるフィラーの平均粒径dと、接着層の厚みlの比は、0.05≦d/l≦0.6である、〔1〕または〔2〕に記載の光学複合素子。
〔4〕 前記コレステリック規則性を有する樹脂層は、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を重合してなる非液晶性の樹脂層である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学複合素子。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光学複合素子の製造方法であって、前記反射型偏光素子と前記光学異方性層とを前記接着層を介して一体化する工程を含み、前記一体化する工程において、前記反射型偏光素子および前記光学異方性層を40℃〜110℃の範囲で加熱して一体化することを特徴とする、
光学複合素子の製造方法。
〔6〕 光源と、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光学複合素子を備えた液晶表示装置であって、さらに前記光学複合素子に対して、光源側にプリズムシートを備えることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の光学複合素子によれば、コレステリック規則性を有する樹脂層と光学異方性層とが、フィラーを含み、所定の組成物からなる接着剤を用いて一体化されているので、自己支持性が維持されると共に、光拡散性が向上し、さらなる部材の追加をしなくとも表示品位が向上している。
本発明の光学複層素子は、後述する反射型偏光素子と光学異方性層とを一体化する接着層が、温度23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaである組成物とフィラーを含む混合物であることを特徴とするものである。
(接着層)
本発明の光学複合素子を構成する接着層は、前記反射型偏光素子と前記光学異方性層とを接着しており、本発明の光学複合素子の打ち抜き加工性を良好に維持し、かつ光拡散性を向上させるために重要な役目を果たしている部材である。その特徴は、フィラーと温度23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaである組成物とを含む混合物から構成されている点にある。
前記フィラーの材料は特に限定されず、無機、および有機のフィラーを適宜選択して用いることができる。
無機フィラーとしては、ガラス、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、マグネシウムシリケート等からなるもの;
有機フィラーとしては、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリシロキサン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、またはこれらの架橋物等からなるものが挙げられる。
フィラーの形状としては、特に限定されず、球状、楕円体状、立方体状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられるが、中でも光の拡散方向を等方的にできる点で球状、もしくは球状に近い楕円体状が好ましい。
フィラーの大きさは、好ましくは直径0.2μm〜50μm、より好ましくは0.5μm〜10μmである。尚、ここでいう直径は、完全な球状ではない場合は、同一体積の球の直径で代用される。針状のような一方向に著しく寸法の異なるフィラーの場合は、その方向に垂直な断面の断面積と同一面積の円の直径で代用する。
フィラーの屈折率は、後述する接着剤の基材として用いる主ポリマーの屈折率と異なることが好ましく、屈折率差が0.05以上であることがより好ましい。
フィラーは、単独の素材、大きさ、屈折率等の性質ものを用いてもよく、また、2種類以上のフィラーを混合して用いても良い。また、フィラーとして2種類以上の素材からなるものを用いてもよい。
接着層におけるフィラーの含有量は、接着層を構成するポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
接着層に含まれるフィラーの平均粒径dと、接着層の厚みlの比は、好ましくは0.05≦d/l≦0.6、特に好ましくは、0.07≦d/l≦0.3である。0.05未満であると、フィラーの粒径が小さすぎるか、接着の膜厚が厚すぎるため、前者であれば必要な散乱特性が得られないおそれが、後者では接着層が不要な位相差を発生させるおそれがあり、0.6を超えると、必要な接着面積が得られず、接着力が不足し接着層が剥離するおそれがある。
(温度23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaである組成物)
本発明の光学複合素子に用いる接着層を構成する組成物は、温度23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaを示すものである。
前記組成物は、少なくとも接着剤を構成する主ポリマーを含有する。該主ポリマーとしては、アクリル系重合体およびアクリル系共重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、熱可塑性エラストマー、エポキシ系、天然ゴム系、合成ゴム系などが挙げられる。これらの中でも、透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集力を示し、耐候性に優れる点で、熱可塑性エラストマー、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エステル共重合体が好ましい。熱可塑性エラストマーとは、加硫処理をしなくても、室温でゴム弾性を有する樹脂であり、具体的には、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体およびエチレン−プロピレンターポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらにカルボキシル基、スルホニル基を導入したものが挙げられる。また、これらの主ポリマーの分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンの重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜500,000であり、好ましくは20,000〜400,000である。
前記組成物には、主ポリマーの種類に応じて、他の配合剤を配合することができる。他の配合剤としては、粘着付与剤、架橋剤又は硬化剤、酸化防止剤、光拡散剤、消泡剤、安定剤が挙げられる。
上記粘着付与剤は、軟らかくなりかつ固体表面が濡れやすくなった主ポリマーに、粘着力を付与するものである。このような粘着付与剤としては、ロジンおよびロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油樹脂、水素化石油樹脂などが挙げられる。これらの中でも、透明性や主ポリマーとの相溶性に優れる点で、石油樹脂、水素化石油樹脂、テルペンフェノール樹脂が好ましい。粘着付与剤の配合量は、主ポリマー100重量部に対して、好ましくは2〜50重量部であり、より好ましくは5〜20重量部である。粘着付与剤の添加量が2重量部より少ないと、粘着付与剤の効果が発現せず、逆に添加量が50重量部を超えると、接着剤の凝集力の低下による接着力の低下が見られる傾向がある。
上記架橋剤又は硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネートなどの多官能イソシアネート架橋剤又は硬化剤;エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、などのエポキシ系架橋剤又は硬化剤;ビニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン系架橋剤又は硬化剤;メラミン樹脂系架橋剤;金属キレート系架橋剤;アミン系架橋剤が用いられる。架橋剤又は硬化剤の配合量は、主ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.001〜10重量部であり、より好ましくは0.01〜3重量部である。架橋剤又は硬化剤の添加量が0.001重量部より少ないと、架橋剤の効果が発現せず、耐候性試験などで発泡や剥離が目立つ。逆に架橋剤又は硬化剤の添加量が10重量部より多くなると、接着剤の応力緩和性が低下し、ソリなどが目立つようになる。
上記酸化防止剤としては、テトラキス(メチレン−3−(3,5ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の配合量は、接着層の透明性や接着力が低下しない範囲である。
本発明に用いる接着層を構成する組成物の剪断貯蔵弾性率は、主ポリマー組成および粘着付与剤の添加量、架橋剤の添加量などにより変化する。
主ポリマー組成については、共重合体において、ソフトセグメントとなるモノマーの比率をアップすることで、常温における剪断貯蔵弾性率が低下する傾向がある。逆にハードセグメントとなるモノマーの比率をアップすることで、常温における剪断貯蔵弾性率は上昇する傾向にある。また、同組成物においても、重合体の分子量を低下させることでゴム状平坦領域を示す温度幅が狭くなることにより、常温における剪断貯蔵弾性率が低下する傾向にある。逆に、重合体の分子量を上昇させることでゴム状平坦領域を示す温度幅が広くなり、常温における剪断貯蔵弾性率が上昇する傾向にある。粘着付与剤は一般に、軟化点が60度以上と高く、分子量が数千程度と低い。粘着付与剤を添加することで、接着剤組成物の凝集力が低下し、室温における剪断貯蔵弾性率の低下が見られる。また、架橋剤を混合することで、接着剤組成物の凝集力が上昇し、室温における剪断貯蔵弾性率の上昇が見られる。
前記組成物、すなわち、ホットメルト型接着剤の23℃における剪断貯蔵弾性率を、1〜500MPaに調製することが必須要件である。23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa未満であると、常温において粘着性が発現し、積層フィルムの打ち抜きなどの後加工の際に、打ち抜き刃やタブ剤に糊残りが生じてしまう。逆に、23℃における剪断貯蔵弾性率が500MPaを超えると、フィルムをラミネートするために必要な粘着性を発現させるために、例えば110℃を超えるような高温になるまで加熱しなければならない。110℃を超える温度では、フィルムへの熱負荷が大き過ぎて、フィルムに変形が生じるおそれがある。また、接着剤のフィルムとの接着力も低下する。前記組成物の23℃における剪断貯蔵弾性率は、好ましくは2〜300MPaであり、より好ましくは5〜250MPaである。
接着剤を構成する組成物の23℃における剪断貯蔵弾性率は、以下の方法により測定することができる。接着剤液を計量カップにとり、80℃で10時間、100℃で30分乾燥機に入れて、水分を除去し、厚み約1.5mmのサンプルを作製する。このサンプルを直径8mmにカットし、粘弾性測定装置(例えば英弘精機製、RheoStress RS600)を使用して温度23℃、周波数1Hz、歪み量0.5%の条件にて測定する。
前記接着層は常温(20±15℃:JIS規格)で粘着性を示さないことが好ましい。本発明でいう、粘着性を示さないとは、JIS Z0237の傾斜式ボールタック測定による測定で、ボールナンバーで2未満の粘着性を示すことをいう。なお、本発明において、接着剤は、前記したように、常温において粘着性を示さない接着性物質を意味し、粘着剤とは、常温において粘着性を示す接着性物質を意味する。
接着層における、温度23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaである組成物とフィラーを含む混合物の調製は、水に分散したエマルジョン状態の前記組成物に、フィラーを添加して撹拌混合することによることができる。
本発明において、光学異方性層と、反射型偏光分離素子を接着剤により積層することによって、積層体である本発明の光学複合素子の打ち抜き加工時において、本発明の光学複合素子の打ち抜き刃への接着剤のこびり付きを防止することができるとともに、自己支持性を向上させ、光拡散性を向上させることができる。
前記接着層の厚みは2μm〜50μmであることが好ましい。本発明に用いる接着剤は、常温において粘着性を示さない、いわゆるホットメルト型の接着剤であるので、厚みが2μm未満となると、常温下における接着性が不十分になり、接着剤の介装による積層フィルム間の応力緩和性が不十分になるおそれがある。逆に、50μmを超えると、接着剤の塗工が困難になり、積層体の外観不良も誘発されやすくなる。
本発明における反射型偏光素子は、コレステリック規則性を有する樹脂層を有する。当該コレステリック規則性を持った樹脂層は、非液晶性の層であることが好ましい。より具体的には、重合性液晶化合物を重合してなるもの等、コレステリック規則性を持った分子配向が固定された樹脂層であることが好ましい。
まず、重合性液晶性化合物は、そのΔn値が0.18以上、好ましくは0.22以上であることが好ましい。Δn値が0.30以上の化合物を用いると、紫外線吸収スペクトルの長波長側の吸収端が可視域に及ぶ場合があるが、該スペクトルの吸収端が可視域に及んでも所望する光学的性能に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。このような高いΔn値を有することにより、高い光学的性能(例えば、円偏光分離特性)を有する円偏光分離シートを与えることができる。
本発明において、前記重合性液晶化合物は、1分子中に1つまたは少なくとも2つ以上の反応性基を有する。前記反応性基としては、具体的にはエポキシ基、チオエポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、フマレート基、シンナモイル基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、メルカプト基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、及びアクリル基が挙げられる。これらの反応性基を有することにより、コレステリック規則性を有する樹脂層を構成する組成物を硬化させた際に、安定した硬化物を得ることができる。1分子中に反応性基が2つ以上の化合物を用いると、コレステリック規則性を有する樹脂層を構成する組成物を硬化させた際に、架橋により実用性の高い、好ましい膜強度が得られる。ここでいう好ましい膜強度とは鉛筆硬度(JIS K5400)でB以上、好ましくはH以上である。膜強度がBより低いと傷がつきやすくハンドリング性に欠けてしまうため好ましくない。好ましい鉛筆硬度の上限は、光学的性能や耐久性試験に悪影響を及ぼさなければ特に限定されない。
上記のような重合性液晶化合物としては、(式1)で表される化合物を挙げることができる。
3−C3−D3−C5−M−C6−D4−C4−R4 (式1)
(式中、R3及びR4は反応性基であり、それぞれ独立して(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表す。D3及びD4は単結合、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。C3〜C6は単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO− 、−CH2−、−OCH2−、−C=N−N=C−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される基を表す。Mはメソゲン基を表し、具体的には、非置換又はハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜10個の直鎖状又は分岐状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基で1つ以上置換されていてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類の群から選択された2〜4個の骨格を、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO− 、−CH2−、−OCH2−、−C=N−N=C−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−等の結合基によって結合されて形成される。)
本発明において、上記重合性液晶化合物は非対称構造であることが好ましい。ここで非対称構造とは、一般式(1)において、メソゲン基Mを中心としてR3−C3−D3−C5−と−C6−D4−C4−R4が異なる構造のことをいう。該棒状液晶性化合物として、非対称構造のものを用いることにより、配向均一性をより高めることができる。
前記重合性液晶化合物を重合して、コレステリック規則性を持った樹脂層とする方法は、特に限定されないが、例えば、前記重合性液晶化合物を含む組成物を、基材上に塗布し、重合させる方法をとることができる。また、必要に応じて塗布−重合の工程を複数回繰り返し複数の樹脂層を形成したり、樹脂層及び支持基材を有する積層体を複数貼り合せたりして、複数の樹脂層を設けてもよい。反射帯域の異なる複数の樹脂層を設けることにより、より広い反射帯域を有する反射型偏光素子を得ることができる。
前記重合性液晶化合物を含む組成物としては、前記重合性液晶化合物に加え、硬化後の膜強度向上や耐久性向上のために、任意に架橋剤を含有することができる。当該架橋剤としては、液晶組成物を塗布した液晶層の硬化時に同時に反応したり、硬化後に熱処理を行って反応を促進したり、又は湿気により自然に反応が進行して液晶層の架橋密度を高めることができ、かつ配向均一性を悪化させないものを適宜選択し用いることができ、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。架橋剤の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;イソシアヌレート型イソシアネート、ビウレット型イソシアネート、アダクト型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;が挙げられる。また、該架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度や耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。
前記架橋剤の配合割合は、前記重合性液晶化合物を含む組成物を硬化して得られる硬化膜中に0.1〜15重量%となるようにすることが好ましい。該架橋剤の配合割合が0.1重量%より少ないと架橋密度向上の効果が得られず、逆に15重量%より多いと液晶層
の安定性を低下させてしまうため好ましくない。
前記重合性液晶化合物を含む組成物としては、前記重合性液晶化合物に加え光重合開始剤を含有することができる。光重合開始剤としては、紫外線又は可視光線によってラジカル又は酸を発生させる公知の化合物が使用できる。具体的には、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、ビアセチル、アセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンジルイソブチルエーテル、テトラメチルチウラムモノ( ジ) スルフィド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1− オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、β−アイオノン、β−ブロモスチレン、ジアゾアミノベンゼン、α−アミルシンナックアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp′−ジクロロベンゾフェノン、pp′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ジフェニルスルフィド、ビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1 、アントラセンベンゾフェノン、α−クロロアントラキノン、ジフェニルジスルフィド、ヘキサクロルブタジエン、ペンタクロルブタジエン、オクタクロロブテン、1−クロルメチルナフタリン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(o−アセチルオキシム)、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、3−メチル−2−ブチニルテトラメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−(p−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。また、所望する物性に応じて2種以上の化合物を混合することができ、必要に応じて公知の光増感剤や重合促進剤としての三級アミン化合物を添加して硬化性をコントロールすることもできる。
該光重合開始剤の配合割合は前記重合性液晶化合物を含む組成物中0.03〜7重量%であることが好ましい。該光重合開始剤の配合量が0.03重量%より少ないと重合度が低くなってしまい膜強度が低下してしまう場合があるため好ましくない。逆に7重量%より多いと、液晶の配向を阻害してしまい液晶相が不安定になってしまう場合があるため好ましくない。
前記重合性液晶化合物を含む組成物としては、前記重合性液晶化合物に加え界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、配向を阻害しないものを適宜選択して使用することができる。当該界面活性剤としては、具体的には、疎水基部分にシロキサン、フッ化アルキル基を含有するノニオン系界面活性剤が好適に使用でき、1分子中に2個以上の疎水基部分を持つオリゴマーが特に好適である。これらの界面活性剤は、OMNOVA社PolyFoxのPF−151N、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520、PF−3320、PF−651、PF−652、ネオス社フタージェントのFTX−209F、FTX−208G、FTX−204D、セイミケミカル社サーフロンのKH−40等を用いることができる。界面活性剤の配合割合はコレステリック液晶組成物を硬化して得られる硬化膜中0.05重量%〜3重量%となるようにすることが好ましい。該界面活性剤の配合割合が0.05重量%より少ないと空気界面における配向規制力が低下して配向欠陥が生じる場合があるため好ましくない。逆に3重量%より多い場合には、過剰の界面活性剤が液晶分子間に入り込み、配向均一性を低下させる場合があるため好ましくない。
前記重合性液晶化合物を含む組成物としては、必要に応じてさらに他の任意成分を含有することができる。当該他の任意成分としては、カイラル剤、溶媒、ポットライフ向上のための重合禁止剤、耐久性向上のための酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等を挙げることができる。これらの任意成分は、所望する光学的性能を低下させない範囲で添加できる。
前記基材は、特に限定されず、透明樹脂基材、例えば1mm厚で全光透過率80%以上の基材を使用することができる。具体的には、脂環式オレフィンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンなどの鎖状オレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、変性アクリルポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂などの合成樹脂からなる単層又は積層のフィルムが挙げられる。これらの中でも、脂環式オレフィンポリマー又は鎖状オレフィンポリマーが好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、脂環式オレフィンポリマーが特に好ましい。また積層フィルムの場合にはポリスチレンとアクリル樹脂の積層フィルムが好ましい。
基材の厚みは、通常20〜300μm、好ましくは20〜200μm、より好ましくは30〜100μmである。
前記基材は、必要に応じて、配向膜を有することができる。配向膜を有することにより、その上に塗布された前記重合性液晶化合物を含む組成物を所望の方向に配向させることができる。配向膜は、基材表面上に、必要に応じてコロナ放電処理等を施した後、セルロース、シランカップリング剤、ポリイミド、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリビニルアルコール、エポキシアクリレート、シラノールオリゴマー、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ポリオキサゾール、環化ポリイソプレンなどのポリマーを水又は溶剤に溶解させ、またポリマーが変性ポリアミドの場合は架橋剤を更に添加した溶液等を、リバースグラビアコーティング、ダイレクトグラビアコーティング、ダイコーティング、バーコーティング等の公知の方法を用いて塗布し、乾燥させ、その後乾燥塗膜にラビング処理を施すことにより形成することができる。配向膜の厚さは、所望する液晶層の配向均一性が得られる膜厚であればよく、0.001〜5μmであることが好ましく、0.01〜2μmであることがさらに好ましい。ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、変性ポリアミドが好ましく、特に変性ポリアミドが好ましい。尚、変性ポリアミドとは芳香族ポリアミドや脂肪族ポリアミド等のポリアミドの構造中の少なくとも一部を変性してなるものであり、本発明において好ましい変性ポリアミドの例としては脂肪族ポリアミドの末端基の少なくとも一部をアミノ変性、カルボキシル変性、ヒドロキシル変性したものを挙げることができる。
前記基材への前記重合性液晶化合物を含む組成物の塗布は、リバースグラビアコーティング、ダイレクトグラビアコーティング、ダイコーティング、バーコーティング等の公知の方法により行うことができる。液晶組成物の塗布層の厚さは、後述する所望の液晶層乾燥膜厚が得られるよう、適宜調整することができる。
前記重合性液晶化合物を含む組成物を、基材上に塗布し、重合させる前に、必要に応じて、配向処理を施すことができる。配向処理は、例えば塗布層を50〜150℃で0.5〜10分間加温することにより行うことができる。当該配向処理を施すことにより、コレステリック規則性を有する樹脂層を良好に配向させることができる。
基材上に塗膜を形成した後、液晶性を示す重合性組成物を重合することによりコレステリック規則性を有する樹脂層を形成する。塗膜の硬化は、液晶性を示す重合性組成物を重合することにより進行し、硬化の工程は1回以上の加温および/または光照射により行うことができる。硬化は、好ましくは以下のような工程により行うことができる。
まず、必要に応じて前記液晶性を示す重合性組成物の塗膜を加熱する乾燥工程(例えば50〜150℃)を行った後、該塗膜に、20〜30℃の温度下で、0.1mW/cm2以上10mW/cm2未満の照度の選択紫外線を、0.1〜10秒間、照射する(選択紫外線照射工程)。照度は、基材面において、選択紫外線の波長にピーク感度を持つ(具体的には、例えば360nmにピーク感度を持つ)照度計を使用して測定する。
本発明において、選択紫外線(広帯域化用紫外線ともいう)とは、先に説明した液晶性を示す重合性組成物の塗膜の中の液晶の架橋度を膜の深さ方向に異ならせることが可能な波長範囲もしくは照射強度を選択的に制御した紫外線を意味している。
本発明においては、前記選択紫外線照射工程に用いる紫外線としては、波長範囲の幅が100nm以内とした紫外線を用いることが好ましい。具体的には、300nm以上400nm未満の波長に最大の照射強度を有する紫外線が好ましい。光源としては、例えば水銀ランプ光源、メタルハライドランプ光源等を用いることができる。このように、紫外線を、照度0.1mW/cm2以上10mW/cm2未満および/またはバンドパスフィルターを用いる等により波長範囲の幅を100nm以内に制御し、照射時間0.1〜6秒間の照射条件にて、選択紫外線照射工程において用いることが好ましい。
なお、前記波長範囲の制御は、具体的には、例えば中心波長365nmのバンドパスフィルターを用いる方法、塗膜に含まれる重合開始剤が最大の吸収を示す波長を中心とした、波長範囲の幅を100nm以内とする方法等が挙げられる。また、選択紫外線は、塗膜側から照射しても、基材側から照射しても、あるいは塗膜側、基材側の両面側から照射して良いが、酸素による重合阻害を小さくする点で、基材側から照射することが好ましい。また、塗膜側から照射する場合は、照度・照射時間安定度をよりシビアに制御する必要がある(具体的には±3%以下)ので生産性の面からも、基材側から照射するのが好ましい。
本発明においては、前記選択紫外線照射工程の前に、基材上の液晶性を示す重合性組成物の塗膜を冷却する工程を有することが好ましい。20℃〜30℃に維持された液晶性を示す重合性組成物の塗膜に上述の選択紫外線を照射することにより、塗膜の深さ方向に光の強度分布が生じ、その結果、膜の深さ方向に架橋度が異なるコレステリック液晶層を形成することができる。冷却する方法としては、冷風給気による冷却、冷却ロールによる冷却等を挙げることができる。
次に、前記塗膜のコレステリック規則性の周期を変化させる(コレステリック規則性調整工程)。
塗膜のコレステリック規則性の周期を変化させるとは、コレステリック規則性を有する樹脂層のピッチを深さ方向に変化させるということである。
コレステリック規則性の周期を変化させる方法としては、(I)液晶相を示す温度以上で加熱処理を行う工程、(II)前記塗膜にさらに液晶化合物を塗布する工程、(III)前記塗膜に、さらに非液晶化合物を塗布する工程などを挙げることができる。この工程では1種類であってもよいし、その繰り返し操作、又は2種以上の工程の組み合わせであってもよい。これらの中で、操作が簡単で、かつ効果の点から、前記(I)の液晶相を示す温度以上にて加熱処理することが好ましい。
加熱処理条件としては、広帯域化の効果と共に生産性を考慮すると、通常50〜115℃の温度で0.001〜20分間程度、好ましくは65〜115℃の温度で0.001〜10分間、より好ましくは65〜115℃の温度で0.01〜5分間である。ただし、液晶性を示す重合性組成物の塗膜を形成する液晶性化合物の種類により、液晶相を発現する温度領域が変わるので、それに伴い処理温度・処理時間も異なる。
本発明では上記選択紫外線照射工程(1)及びコレステリック規則性調整工程(2)を複数回繰り返すことが好ましい。複数回繰り返すことにより、コレステリック規則性を有する樹脂層のピッチをより大きく変化させることが可能である。紫外線照射、規則性調整の条件は反射帯域を調整するために、回数毎にそれぞれ適宜調整される。繰り返しの回数に制限はないが、生産性、設備上の観点から2回であることが好ましい。また、1回で長時間照射する方法では重合度が大きくなり分子が動きにくくなるため、コレステリック規則性を有する樹脂層のピッチが変化しにくくなる。
本発明では、続いて前記塗膜を硬化させることが好ましい(塗膜硬化工程)。
硬化方法としては、前記塗膜が硬化してコレステリック規則性を有するものとなれば特に制限されないが、本硬化紫外線を積算光量が10mJ/cm2以上となるように照射することが好ましい。ここで、本硬化紫外線とは、塗膜を完全に硬化させることのできる波長範囲もしくは照度に設定した紫外線を意味する。
本硬化紫外線の積算光量は、好ましくは10〜1000mJ/cm2、より好ましくは50〜800mJ/cm2の範囲で選定される。積算光量は基材面において、紫外線光量計を使用して測定、または照度計を使用して照度を測定し、積算光量=照度×時間で算出することにより選定する。照射方向は、塗膜側と基材側のどちらからでも良いが、紫外線の照射効率が良い点から、塗膜側から照射することが好ましい。
また、本発明においては、上記本硬化紫外線照射を、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。窒素雰囲気下で行うことにより、酸素による重合阻害の影響を低減することが可能である。本硬化紫外線照射時の酸素濃度は、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下、特に好ましくは500ppm以下である。
本発明においては、前記塗膜硬化工程の前に、基材上の液晶性を示す重合性組成物の塗膜を冷却する工程を有することが好ましい。20℃〜30℃に維持された液晶性を示す重合性組成物の塗膜に上述の本紫外線を照射することにより、コレステリック規則性調整工程後のコレステリック規則性を有する樹脂層のピッチの状態を維持することができる。
この塗膜硬化工程により、コレステリック規則性を有する樹脂層の機械的特性を、その広帯域化を維持しつつ、向上させることができる。
本発明における反射型偏光素子において、コレステリック規則性を有する樹脂層(液晶層)の厚み(乾燥膜厚)は、配向の乱れや透過率低下の防止、選択反射の波長範囲(反射波長域)の広さなどの観点から、通常、1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1〜20μmである。特にコレステリック規則性を有する樹脂層の乾燥膜厚は、通常、3.0〜9.0μm、好ましくは3.0μm〜7.0μm、より好ましくは3.5〜6.5μmとすることができる。前記液晶層の乾燥膜厚が3.0μmより薄いと反射率が低下してしまい、逆に9.0μmより厚いと、液晶層に対して斜め方向から観察した時に着色してしまうため、それぞれ好ましくない。
本発明において、光学異方性層は、その正面方向のリターデーションRe(以下、「Re」と略記することがある。)が透過光の略1/4波長である。ここで、透過光の波長範囲は、本発明の光学複合素子の好適な用途である輝度向上フィルムに求められる所望の範囲とすることができ、具体的には例えば400nm〜700nmである。また、正面方向のリターデーションReが透過光の略1/4波長であるとは、Re値が、透過光の波長範囲の中心値において、中心値の1/4の値から±65nm、好ましくは±30nm、より好ましくは±10nmの範囲であることをいう。
また、光学異方性層は、厚み方向のリターデーションRth(以下、「Rth」と略記することがある。)が0nm未満であることが望ましい。厚み方向のリターデーションRthの値は、透過光の波長範囲の中心値において、好ましくは−30nm〜−1000nm、より好ましくは−50nm〜−300nmとすることができる。このようなRe値及びRthを有する光学異方性素子を採用することにより、輝度を向上させ輝度ムラを低減させながら、出射光の色ムラをも低減させることができる。
ここで、前記正面方向のリターデーションReは、式I:Re=(nx−ny)×d(式中、nxは厚み方向に垂直な方向(正面方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であってnxに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。)で表される値であり、厚み方向のリターデーションRthは、式II:Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(式中、nxは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であってnxに直交する方向の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。)で表される値である。
なお、前記正面方向のリターデーションRe及び厚み方向のリターデーションRthは、市販の位相差測定装置を用いて、光学異方性層を長手方向及び幅方向に100mm間隔(長手方向又は横方向の長さが200mmに満たない場合は、その方向へは等間隔に3点指定する)で、全面にわたり、格子点状に測定を行い、その平均値とする。
前記光学異方性層を構成する材質は、特に限定されないが、スチレン系樹脂からなる層を有するものを好ましく用いることができる。ここでスチレン系樹脂とは、スチレン構造を繰り返し単位の一部又は全部として有するポリマー樹脂であり、ポリスチレン、又は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェニルスチレンなどのスチレン系単量体と、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニルなどのその他の単量体との共重合体などを挙げることができる。これらの中で、ポリスチレン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体を好適に用いることができる。
光学異方性層に用いるスチレン系樹脂の分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサンを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンの重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000である。
前記光学異方性層は、好ましくは、前記スチレン系樹脂からなる層と、他の熱可塑性樹脂を含む層との積層構造を有する。当該積層構造を有することにより、スチレン系樹脂による光学的特性と、他の熱可塑性樹脂による機械的強度とを兼ね備えた素子とすることができる。他の熱可塑性樹脂としては、脂環式構造を有する樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、メタクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、ポリエーテルスルホンなどを挙げることができる。これらの中で、脂環式構造を有する樹脂やメタクリル樹脂を好適に用いることができる。
脂環式構造を有する樹脂は、主鎖及び/または側鎖にシクロアルカン構造を有する非晶性のオレフィンポリマーである。具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。これらの脂環式構造を有する樹脂は、特開平05−310845号公報、特開平05−097978号公報、米国特許第6,511,756号公報に記載されているものが挙げられる。
ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素化物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。
メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主成分とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体や、メタクリル酸エステルとその他の単量体との共重合体が挙げられる、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。共重合体とする場合は、メタクリル酸エステルと共重合するその他の単量体としては、アクリル酸エステルや、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物などが用いられる。
本発明に用いる光学異方性層の好ましい具体的態様として、ポリスチレン樹脂からなるフィルム(a層)の両面に、メタクリル樹脂からなるフィルム(b層)を積層してなる複層フィルムを延伸してなる延伸複層フィルムを挙げることができる。以下、この具体的態様について説明する。
前記a層を構成するポリスチレン樹脂しては、上記「スチレン系樹脂」と同様のものを用いることができる。
a層を構成するポリスチレン樹脂は、ガラス転移温度が120℃以上であることが好ましく、120〜200℃であることがより好ましく、120〜140℃であることがさらに好ましい。
本発明において、前記ポリスチレン樹脂及び前記メタクリル樹脂は、それらのガラス転移温度をそれぞれTg(a)(℃)及びTg(b)(℃)としたとき、Tg(a)>Tg(b)+20℃の関係を満たすことが好ましい。このような関係を満たすことにより、延伸した際にポリスチレン樹脂からなるa層に有効に光学的異方性を与え、良好な光学異方性層を得ることができる。
a層の材料である前記ポリスチレン樹脂及びb層の材料である前記メタクリル樹脂を積層して、複層フィルムに成形する方法は、特に限定されないが、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出による成形方法、ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形方法、及びコーティング成形方法などの公知の方法が適宜利用され得る。中でも、製造効率や、フィルム中に溶剤などの揮発性成分を残留させないという観点から、共押出による成形方法が好ましい。押出し温度は、使用する前記ポリスチレン樹脂、及び前記メタクリル樹脂の種類に応じて適宜選択され得る。
複層フィルムは、前記a層の両面に、前記b層を積層してなる。a層とb層の間には、接着層や粘着層を設けることができるが、a層とb層とを直接に積層させる(つまり、b層/a層/b層の3層構成の積層体とする)ことが好ましい。また、複層フィルムにおいて、前記a層及びその両面に積層されたb層の厚みは特に制限はないが、好ましくはそれぞれ10〜300μm及び10〜400μmとすることができる。
前記延伸複層フィルムは、前記複層フィルムを延伸してなる。前記延伸複層フィルムは、a層の延伸により設けられたA層、及びb層の延伸により設けられたB層を含むことができる。前記延伸複層フィルムは、前記複層フィルムのb層/a層/b層の3層構造の積層体を延伸してなり、B層/A層/B層の3層構造の延伸フィルムであることが好ましい。
当該延伸は、好ましくは一軸延伸又は斜め延伸により行うことができ、さらに好ましくはテンターによる一軸延伸又は斜め延伸により行うことができる。
光学異方性層の正面方向リターデーションReや厚み方向のリターデーションRthは、延伸温度や延伸倍率等の延伸条件を適宜調整することにより製造することができる。延伸温度は、前記Tg(a)−10℃〜前記Tg(a)+20℃が好ましく、前記Tg(a)−5℃〜前記Tg(a)+15℃の範囲であることがより好ましい。延伸倍率は、1.05〜30倍が好ましく、1.1〜10倍であることがより好ましい。延伸温度や延伸倍率が、上記範囲を外れると、配向が不十分で屈折率異方性、ひいてはリターデーションの発現が不十分になったり、積層体が破断したりするおそれがある。
光学異方性層の厚みは、好ましくは100〜1000μm、より好ましくは200〜600μmである。
本発明の光学複合素子は、そのヘイズが、好ましくは10%〜90%、特に好ましくは30%〜80%である。10%未満であると、プリズムシートによって発生する、出射光の観察角度の変化に伴う急峻な輝度変化、いわゆるギラツキが光学複層素子を通して視認されるおそれがあり、90%を超えると、過剰な散乱によって期待する輝度が得られないおそれがある。なお、ヘイズの測定は、ヘイズメータ(例えば、ヘイズガードII(東洋精機社製))を用いて行う。
本発明の光学複合素子は、光拡散性に優れ、例えば大画面にも対応するものであり、その対角長が750mm以上であっても表示品位を維持することができる。
本発明の光学複合素子の製造方法は、前記反射型偏光素子と前記光学異方性層とを、前記接着層を介して一体化する工程を含み、前記一体化する工程において、前記反射型偏光素子および前記光学異方性層を40℃〜110℃の範囲で加熱して一体化することを特徴とする。
接着層を形成する方法としては、接着層を構成する組成物およびフィラーを、反射型偏光素子又は光学異方性層に直接、塗工し、乾燥する方法;ポリエチレンテレフタレートフィルムや表面にシリコーン系もしくはフッ素系離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、接着層を構成する組成物およびフィラーを塗工、乾燥し、これを反射型偏光素子又は光学異方性層に転写する方法が挙げられる。
接着剤の塗工方法は特に制限されず、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、バーコート法などが挙げられる。また、反射型偏光素子又は光学異方性層に接着層を構成する組成物およびフィラーを直接塗工する場合には、濡れ性および密着性を高めるために、塗工面を、適宜プラズマ放電処理、コロナ放電処理、紫外線処理、又は火炎処理してもよい。
本発明において、接着層を、反射型偏光素子に形成させる場合には、液晶表示装置に搭載した時の輝度向上率および外観を鑑みて形成させることが好ましい。ここで輝度向上率とは、液晶表示装置に本発明の光学複合素子を輝度向上フィルムとして搭載した時の輝度値と搭載していない時の輝度値の比で表される値である。
次いで、接着層と、接着層が形成されていない反射型偏光素子または光学異方性層とを、40℃〜110℃の範囲で加熱して一体化する。反射型偏光素子または光学異方性層の接着層に接する面は接着性を高めるために、プラズマ放電処理、コロナ放電処理、紫外線処理、火炎処理を施すことが好ましい。一体化温度が、40℃未満であると反射型偏光素子と光学異方性層の接着が不十分となり、逆に110℃を超えるとフィルムの変形、ソリなどが発生しやすくなる。一体化温度の好ましい範囲は、60℃〜100℃である。
本発明の光学複合素子は、液晶ディスプレイ装置等の液晶表示装置の構成要素として用いることができる。具体的には例えば、光源と、前記本発明の光学複合素子を備えた、さらに前記光学複合素子に対して、光源側にプリズムシートを備える液晶表示装置とすることができる。より具体的には、本発明の光学複合素子を前記反射型偏光素子側の面が光源側、光学異方性層側の面が液晶セル側に面するように配置し、さらに光源と光学複合素子の間にプリズムシートを配置して、光学異方性層から出射した直線偏光が液晶セルに入射するよう構成することができる。光学異方性層と液晶セルとの間に偏光板が配置される場合、本発明の光学複合素子から出射する直線偏光の偏光面と、偏光板の透過軸とが平行になるよう配置される。
プリズムシートは、光源から発せられた光を集光するものであり、例えば、プラスチックシート上に微細な多数のプリズムを形成したものが挙げられる。プリズムの配列パターンは、規則的でも不規則的でもよい。さらにプリズムの規則的/不規則的な周期は、面内の一方方向のみにあってもよく、複数方向にあってもよい。周期の大きさは、通常1μm〜1000μmである。プリズムの断面形状としては、鋸波状、波状、半円状等が挙げられ、さらに稜部分がR処理されていても良い。プリズムシートを液晶表示装置に配置する場合は、通常、プリズムが液晶セル側に向くように配置する。プリズムシートの厚みは、通常1mm以下、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜200μmである。
以下に、本発明を実施例により説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
実施例1〜3および比較例1〜4
反射型偏光素子と光学異方性層を、それぞれ以下のようにして作製した。
(反射型偏光素子)
厚さ100μm、幅50mm、長さ200mmのゼオノアフィルム(株式会社オプテス製)の片面を、表面の濡れ指数が56dyne/cmになるように、コロナ放電処理を施した。これを基材フィルムとして用いた。
以下の組成からなる変性ポリアミド(重量平均分子量45,000)、架橋剤および溶剤(溶剤組成100重量%)からなる配向膜用組成物を、前記基材フィルムのコロナ放電処理を施した面に、ワイヤーバー#4を用いて塗布した。塗布後120℃にて5分間乾燥し、膜厚0.2μmの乾膜を作製した。
〔配向膜用組成物〕
変性ポリアミド:
・FR105(株式会社鉛市製、ファインレジン、部分メトキシメチル化ポリアミド)
90重量部
・A90(東レ株式会社製、AQ−ナイロン、部分アルキルアミノ化ポリアミド)
10重量部
溶剤:
・1−プロパノール(溶解度パラメータ11.8) 3233重量部
架橋剤:
・エラストロン BN04 1.0重量部
該乾膜を一方向にラビング処理することで、配向膜を得た。作製した配向膜上に、下記組成の塗布液をワイヤーバー#6を用いて塗布し、100℃にて5分間乾燥および配向熟成した。
〔コレステリック樹脂層形成用塗布液組成〕
固形分率:40重量%
液晶性化合物(Δn(=ne−no)=0.18を有する棒状液晶) 93.0重量部
光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 IRG907) 3.1重量部
界面活性剤(セイミケミカル(株)製 KH−40) 0.11重量部
カイラル剤(BASF社製 LC756) 6.7重量部
メチルエチルケトン(SP値:9.3) 154.8重量部
塗布膜に紫外線を70mJ/cm2(UV−A)を照射し、100℃にて1〜5分間保持し、次いで紫外線を照射して塗布膜を硬化させて、膜厚3μmのコレステリック樹脂層(光学機能層)を有する円偏光分離シート1を得た。このコレステリック樹脂層は、400nm〜570nmまでの光線透過率の平均値がおよそ55%であり、界面反射も含めて、残るおよそ45%が反射していることが分かった。
前記円偏光分離シート1の作製において、重合性液晶性化合物93.0重量部を95.2重量部に、カイラル剤6.7重量部を4.8重量部に変更した以外は、同様にして、円偏光分離シート2を得た。このコレステリック樹脂層は560〜730nmまでの光線透過率の平均値はおよそ55%であり、界面反射も含めて、残るおよそ45%が反射していることが分かった。
作製した円偏光分離シート2のコレステリック樹脂層側を、円偏光分離シート1の基材フィルム側と貼り合せ固着し、円偏光分離素子を得た。
(光学異方性層)
メタクリル酸メチル97.8重量%とアクリル酸メチル2.2重量%とからなるモノマー組成物を、バルク重合法により重合させ、樹脂ペレットを得た。
特公昭55−27576号公報の実施例3に準じて、ゴム粒子を製造した。このゴム粒子は、球形3層構造を有し、芯内層が、メタクリル酸メチル及び少量のメタクリル酸アリルの架橋重合体であり、内層が、主成分としてのアクリル酸ブチルとスチレン及び少量のアクリル酸アリルとを架橋共重合させた軟質の弾性共重合体であり、外層が、メタクリル酸メチル及び少量のアクリル酸エチルの硬質重合体である。また、内層の平均粒子径は0.19μmであり、外層をも含めた粒径は0.22μmであった。
上記樹脂ペレット70重量部と、上記ゴム粒子30重量部とを混合し、二軸押出機で溶融混練して、メタクリル酸エステル重合体組成物A(ガラス転移温度105℃)を得た。
上記メタクリル酸エステル重合体組成物A(b層)、及びスチレン無水マレイン酸共重合体(ガラス転移温度130℃)(a層)を温度280℃で共押出成形することにより、b層/a層/b層の三層構造で、各層が45/70/45(μm)の平均厚みを有する複層フィルムを得た。この積層フィルムを、テンター延伸機で、遅相軸がMD方向に対して45度傾いた方向になるように、延伸温度134℃、延伸倍率1.8倍で斜め延伸し、光学異方性層を得た。
光学異方性層の正面方向のリターデーションは、140nm、厚み方向のリターデーションは−85nm(各数値は斜め延伸後の測定値である。)であった。さらにこの光学異方性層の片面を、濡れ指数が56dyne/cmになるようにコロナ放電処理を施した。
次に、反射型偏光素子と光学異方性層を接着剤(実施例)または粘着剤(粘着剤)にて貼り合わせて一体化して、光学複合素子を作製した。
接着剤(実施例)については、まずエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(不揮発分40重量%、酢酸ビニル含有率40重量%)40重量部、石油樹脂エマルジョン(不揮発分40重量%、樹脂軟化点85℃)35重量部、及びパラフィンワックスエマルジョン(不揮発分40重量%、樹脂軟化点64℃)10重量部からなる、23℃における剪断貯蔵弾性率が10MPaである組成物を調製した。これに、直径4μmの微粒子(形状:球状、材料:ポリスチレン、屈折率:1.59)を混合し、前記反射型偏光素子のコレステリック樹脂層上に平均厚みが表1に示す各数値となるように積層し、前記光学異方性層のコロナ処理面とをラミネーターを用いて、80℃、2kgf/50mmのニップ圧にて貼り合わせを行い、光学複合素子を得た。
一方、粘着剤(比較例)については、まずアクリル酸エステル共重合体をベースポリマーとし、23℃における剪断貯蔵弾性率が0.1MPaである組成物(大同化成工業製 E−5301)を調製した。これに、直径4μmの微粒子(形状:球状、材料:ポリスチレン、屈折率:1.59)を混合し、接着層を、前記反射型偏光素子のコレステリック樹脂層上に平均厚みが表1に示す各数値となるように積層し、前記光学異方性層のコロナ処理面とをラミネーターを用いて、25℃、2kgf/50mmのニップ圧にて貼り合わせを行い、光学複合素子を得た。
得られた各光学複合素子のヘイズを、ヘイズガードII(東洋精機社製)を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。光拡散性の有無は、以下の基準で評価した。
・光拡散性有:ヘイズが5%を超える。
・光拡散性無:ヘイズが5%以下である。
市販の液晶表示装置(Sharp製、AQUOS、LC−37BE1W)を分解し、輝度向上フィルムとして、実施例、および比較例の光学複合素子を用いて組み立て直した。液晶表示装置は、光源、拡散板、拡散シート、プリズムシート、光学複合素子、液晶パネルの順で構成されている。フィルムの把持には、装置の部品をそのまま利用した。組み立て直した液晶表示装置を立てた状態で白表示させ、光学複合素子のたわみ、プリズムシートのプリズム形状から発生するギラツキを目視評価した。
(自己支持性および表示品位の評価観点)
・はがれ:積層時に両手で把持した際、端部よりのはがれが発生するかどうか。
・たわみ:観察した際、光学複合素子のたわみがシワとして観察されるかどうか。
・ギラツキ:プリズムシートのプリズム形状からギラツキが観察されるかどうか。
(自己支持性および表示品位の評価基準)
○:はがれは発生しなかった。たわみ、ギラツキは、観察されなかった。
△:たわみ、ギラツキが観察された。
×:はがれが発生した。たわみ、ギラツキが観察され、表示品位を著しく悪化させた。
(接着剤を構成する組成物の23℃における剪断貯蔵弾性率の測定方法)
各接着剤液を計量カップにとり、80℃で10時間、100℃で30分乾燥機に入れて、水分を除去し、厚み約1.5mmのサンプルを作製した。このサンプルを直径8mmにカットし、粘弾性測定装置(英弘精機製、RheoStress RS600)を使用して温度23℃、周波数1Hz、歪み量0.5%の条件にて測定した。
Figure 0004826490

Claims (6)

  1. コレステリック規則性を有する樹脂層を有する反射型偏光素子と、正面方向のリターデーションReが略1/4波長である光学異方性層を備えた光学複合素子であって、
    前記反射型偏光素子と前記光学異方性層は、接着層を介して一体化され、
    前記接着層は、常温において粘着性を示さないホットメルト型であって、温度23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaである組成物とフィラーを含む混合物であることを特徴とする、
    光学複合素子。
  2. 前記光学異方性層の厚み方向のリターデーションRthが、0nm未満である、請求項1記載の光学複合素子。
  3. 前記接着層に含まれるフィラーの平均粒径dと、接着層の厚みlの比は、0.05≦d/l≦0.6である、請求項1または2に記載の光学複合素子。
  4. 前記コレステリック規則性を有する樹脂層は、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を重合してなる非液晶性の樹脂層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学複合素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学複合素子の製造方法であって、
    前記反射型偏光素子と前記光学異方性層とを前記接着層を介して一体化する工程を含み、
    前記一体化する工程において、前記反射型偏光素子および前記光学異方性層を40℃〜110℃の範囲で加熱して一体化することを特徴とする、
    光学複合素子の製造方法。
  6. 光源と、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学複合素子を備えた液晶表示装置であって、
    さらに前記光学複合素子に対して、光源側にプリズムシートを備えることを特徴とする、
    液晶表示装置。
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