JP2010107958A - 輝度向上フィルム、複合積層体及び液晶表示装置 - Google Patents

輝度向上フィルム、複合積層体及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な操作により作成でき透過光の損失が少なく観察角度による色相との差が少ない輝度向上フィルム、及びそれを容易に液晶表示装置に組み込むことができる複合積層体、並びに製造が容易で輝度が高く且つ観察角度による色相の差が少ない液晶表示装置を提供する。
【解決手段】1/4λ板、及びコレステリック規則性を有する樹脂層を有する輝度向上フィルムであって、前記コレステリック規則性を有する樹脂層が、屈折率異方性Δnが0.2以上の液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化してなる樹脂層であり、前記コレステリック規則性を有する樹脂層が、樹脂層形成用基材上にコレステリック液晶組成物の塗膜を設け、前記塗膜を、樹脂層形成用基材から転写してなる転写樹脂層である輝度向上フィルム;前記輝度向上フィルムと偏光板とを有する複合積層体;並びに前記輝度向上フィルムを備える液晶表示装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、輝度向上フィルム、並びに当該輝度向上フィルムを含む複合積層体及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置等の表示装置において、その性能を向上させるために様々な光学部材を設けることが知られている。例えば、液晶表示装置において、バックライトからの光を有効に利用し、輝度を向上させ且つ発光効率を高めるための一方法として、輝度向上フィルムを設けることが知られている。かかる輝度向上フィルムとして提案されている種々のものの一つとして、所定の円偏光を透過しその他の偏光を反射する円偏光分離素子と、円偏光分離素子を透過した円偏光を直線偏光に変換する位相差フィルムとを含むものがある。
かかる円偏光分離素子としては、コレステリック規則性を持った樹脂層を有するフィルムが知られている。具体的には、コレステリック液晶性を示す重合性モノマーを含む液晶組成物を基材上に塗布し、配向させ、重合、硬化したフィルムなどが知られている。このような液晶組成物としては、従来より多くの具体例が知られている(例えば特許文献1〜3)。コレステリック規則性を持った樹脂層を有する円偏光分離シートは、いずれも液体の塗布及び硬化といった簡便な操作により作成できる等の多くの利点がある。
表示装置の輝度をより高いものとするために、かかる円偏光分離シートを有する輝度向上フィルムとして、より透過光の損失が少ないものが求められている。
また、輝度向上フィルムから正面方向(表示面の法線方向)に透過光が出射する場合に比べて、斜め方向(正面方向以外の角度)に透過光が出射する場合、出射光の色相が異なる場合がある。かかる色相の相違は、表示装置の視野角を広いものとすることが求められる場合に問題となる。
米国特許出願公開第2005/0045854号明細書 特許第3677632号公報 特開平8−3111号公報
本発明の目的は、簡便な操作により作成することができ、透過光の損失が少なく、且つ斜め方向の透過光の色相と正面方向の透過光の色相との差が少ない輝度向上フィルム、及びそのような輝度向上フィルムを容易に液晶表示装置に組み込むことができる複合積層体を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、製造が容易で、輝度が高く、且つ観察角度による色相の差が少ない液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、コレステリック規則性を有する樹脂層を構成する液晶性化合物の屈折率異方性を特定の範囲のものとし、さらにその形成方法を特定のものとすることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、下記〔1〕〜〔4〕が提供される。
〔1〕 1/4λ板、及びコレステリック規則性を有する樹脂層を有する輝度向上フィルムであって、
前記コレステリック規則性を有する樹脂層が、屈折率異方性Δnが0.2以上の液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化してなる樹脂層であり、
前記コレステリック規則性を有する樹脂層が、樹脂層形成用基材上にコレステリック液晶組成物の塗膜を設け、前記塗膜を、樹脂層形成用基材から転写してなる転写樹脂層であることを特徴とする、輝度向上フィルム。
〔2〕 前記1/4λ板が、延伸フィルムからなる前記輝度向上フィルム。
〔3〕 前記輝度向上フィルムと、偏光板とを有する複合積層体。
〔4〕 前記輝度向上フィルムを備える液晶表示装置。
本発明の輝度向上フィルムは、全光線透過率が高く、且つ斜め方向に透過する光の特性と正面方向に透過する光の特性との相違が少なく、斜め方向から観察した際の色相変化が小さいため、液晶表示装置等の表示装置の輝度向上フィルムとして有用である。
本発明の複合積層体は、上記本発明の輝度向上フィルムの効果を有するほか、従来の輝度向上フィルム及び偏光板の組み合わせに比べて、全光線透過率が高く、表示装置の組み立てを容易にしうるという効果を奏する。
本発明の液晶表示装置は、上記本発明の輝度向上フィルムを備えることにより、表示面の輝度が高く、且つ斜め方向から観察した際の色相変化が小さい。
図1は、本発明の輝度向上フィルムを含む本発明の複合積層体の一例の積層構造を概略的に示す断面図である。 図2は、本発明の輝度向上フィルムを含む本発明の複合積層体の一例の製造工程における積層体の構造を概略的に示す断面図である。 図3は、本発明の輝度向上フィルムを含む本発明の複合積層体の一例の別の製造工程における積層体の構造を概略的に示す断面図である。 図4は、本発明の輝度向上フィルムを含む本発明の複合積層体の一例のさらに別の製造工程における積層体の構造を概略的に示す断面図である。 図5は、本発明の輝度向上フィルムを含む本発明の複合積層体の一例のさらに別の製造工程における積層体の構造を概略的に示す断面図である。
1.本発明の輝度向上フィルム
本発明の輝度向上フィルムは、1/4λ板、及びコレステリック規則性を有する樹脂層(以下、「コレステリック樹脂層」ということがある。)を有する。
1−1.1/4λ板
本発明に用いる1/4λ板としては、フィルム状のポリマーを延伸してなる延伸フィルムを用いることができる。好ましい例として、スチレン系樹脂層を含む樹脂フィルムを延伸してなる1/4λ板を挙げることができ、より好ましくは、以下に述べる光学異方性素子を挙げることができる。
本発明において、1/4λ板は、その正面方向のリターデーションRe(以下、「Re」と略記することがある。)を透過光の波長の略1/4波長とすることができる。ここで、透過光の波長範囲は、本発明の光学部材に求められる所望の範囲とすることができ、具体的には例えば400nm〜700nmである。また、正面方向のリターデーションReが透過光の波長の略1/4波長であるとは、Re値が、透過光の波長範囲の中心値において、中心値の1/4の値から±65nm、好ましくは±30nm、より好ましくは±10nmの範囲であることをいう。このようなリターデーション値を有することにより、偏光変換機能、即ち円偏光を直線偏光に変換する機能を発現することができる。
また、1/4λ板は、厚み方向のリターデーションRth(以下、「Rth」と略記することがある。)が0nm未満であることが望ましい。厚み方向のリターデーションRthの値は、透過光の波長範囲の中心値において、好ましくは−30nm〜−1000nm、より好ましくは−50nm〜−300nmとすることができる。このようなRe値及びRthを有する光学異方性素子を採用することにより、輝度を向上させ輝度ムラを低減させながら、出射光の色ムラをも低減させることができる。
ここで、前記正面方向のリターデーションReは、式I:Re=(nx−ny)×d(式中、nxは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であってnxに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。)で表される値であり、厚み方向のリターデーションRthは、式II:Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(式中、nxは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは厚み方向に垂直な方向(面内方向)であってnxに直交する方向の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。)で表される値である。
なお、前記正面方向のリターデーションRe及び厚み方向のリターデーションRthは、市販の位相差測定装置を用いて、光学異方性素子を長手方向及び幅方向に100mm間隔(長手方向又は横方向の長さが200mmに満たない場合は、その方向へは等間隔に3点指定する)で、全面にわたり、格子点状に測定を行い、その平均値とする。
1/4λ板を構成する光学異方性素子の材質は、特に限定されないが、スチレン系樹脂からなる層を有するものを好ましく用いることができる。ここでスチレン系樹脂とは、スチレン構造を繰り返し単位の一部又は全部として有するポリマー樹脂であり、ポリスチレン、又は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェニルスチレンなどのスチレン系単量体と、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニルなどのその他の単量体との共重合体などを挙げることができる。これらの中で、ポリスチレン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体を好適に用いることができる。
光学異方性素子に用いるスチレン系樹脂の分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサンを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンの重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000である。
前記光学異方性素子は、好ましくは、前記スチレン系樹脂からなる層と、他の熱可塑性樹脂を含む層との積層構造を有する。当該積層構造を有することにより、スチレン系樹脂による光学的特性と、他の熱可塑性樹脂による機械的強度とを兼ね備えた素子とすることができる。他の熱可塑性樹脂としては、脂環式オレフィンポリマー、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、メタクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、ポリエーテルスルホンなどを挙げることができる。これらの中で、脂環式構造を有する樹脂やメタクリル樹脂を好適に用いることができる。
脂環式オレフィンポリマーは、主鎖及び/または側鎖にシクロアルカン構造又はシクロアルケン構造を有する非晶性のオレフィンポリマーである。具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。これらの脂環式構造を有する樹脂は、特開平05−310845号公報、特開平05−097978号公報、米国特許第6,511,756号公報に記載されているものが挙げられる。
ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素化物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。
メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主成分原料とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体や、メタクリル酸エステルとその他の単量体との共重合体が挙げられる、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。共重合体とする場合は、メタクリル酸エステルと共重合するその他の単量体としては、アクリル酸エステルや、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物などが用いられる。
本発明に用いる光学異方性素子の好ましい具体的態様として、ポリスチレン樹脂からなるフィルム(a層)の両面に、他の熱可塑性樹脂からなるフィルム(b層)を積層してなる複層フィルムを延伸してなる延伸複層フィルムを挙げることができる。以下、この具体的態様について説明する。
前記a層を構成するポリスチレン樹脂しては、上記「スチレン系樹脂」と同様のものを用いることができる。
a層を構成するポリスチレン樹脂は、ガラス転移温度が120℃以上であることが好ましく、120〜200℃であることがより好ましく、120〜140℃であることがさらに好ましい。
本発明において、前記ポリスチレン樹脂及び前記他の熱可塑性樹脂は、それらのガラス転移温度をそれぞれTg(a)(℃)及びTg(b)(℃)としたとき、Tg(a)>Tg(b)+20℃の関係を満たすことが好ましい。このような関係を満たすことにより、延伸した際にポリスチレン樹脂からなるa層に有効に光学的異方性を与え、良好な光学異方性素子を得ることができる。
a層の材料である前記ポリスチレン樹脂及びb層の材料である前記他の熱可塑性樹脂を積層して、複層フィルムに成形する方法は、特に限定されないが、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出による成形方法、ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形方法、及びコーティング成形方法などの公知の方法が適宜利用され得る。中でも、製造効率や、フィルム中に溶剤などの揮発性成分を残留させないという観点から、共押出による成形方法が好ましい。押出し温度は、使用する前記ポリスチレン樹脂、及び前記他の熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜選択され得る。
複層フィルムは、前記a層の両面に、前記b層を積層してなる。a層とb層の間には、接着層や粘着層を設けることができるが、a層とb層とを直接に積層させる(つまり、b層/a層/b層の3層構成の積層体とする)ことが好ましい。また、複層フィルムにおいて、前記a層及びその両面に積層されたb層の厚みは特に制限はないが、好ましくはそれぞれ10〜300μm及び10〜400μmとすることができる。
前記延伸複層フィルムは、前記複層フィルムを延伸してなる。前記延伸複層フィルムは、a層の延伸により設けられたA層、及びb層の延伸により設けられたB層を含むことができる。前記延伸複層フィルムは、前記複層フィルムのb層/a層/b層の3層構造の積層体を延伸してなり、B層/A層/B層の3層構造の延伸フィルムであることが好ましい。
当該延伸は、好ましくは一軸延伸又は斜め延伸により行うことができ、さらに好ましくはテンターによる一軸延伸又は斜め延伸により行うことができる。
光学異方性素子の正面方向リターデーションReや厚み方向のリターデーションRthは、延伸温度や延伸倍率等の延伸条件を適宜調整することにより製造することができる。延伸温度は、前記Tg(a)−10℃〜前記Tg(a)+20℃が好ましく、前記Tg(a)−5℃〜前記Tg(a)+15℃の範囲であることがより好ましい。延伸倍率は、1.05〜30倍が好ましく、1.1〜10倍であることがより好ましい。延伸温度や延伸倍率が、上記範囲を外れると、配向が不十分で屈折率異方性、ひいてはリターデーションの発現が不十分になったり、積層体が破断したりするおそれがある。
光学異方性素子の厚みは、好ましくは50〜1000μm、より好ましくは50〜600μmである。
本発明において、1/4λ板は、それ自体が光学補償層としての機能をも有するものであってもよいが、本発明の輝度向上フィルムは、1/4λ板に加え、別途光学補償層を有していてもよい。かかる光学補償層としては、上に述べた光学異方性素子と同様のものを用いることができるほか、垂直配向液晶を用いることができる。
1−2.コレステリック樹脂層
本発明において、コレステリック樹脂層は、樹脂層形成用基材上にコレステリック液晶組成物の塗膜を設け、前記塗膜を、樹脂層形成用基材から転写してなる転写樹脂層である。
なお、本明細書においては、説明の便宜上、配向処理及び硬化の処理の前後に関わらず、コレステリック液晶組成物の塗布直後から転写される直前までのコレステリック液晶組成物の層を単に「塗膜」と称し、それが転写されたものを「転写樹脂層」と称する。
本発明において、コレステリック樹脂層は、屈折率異方性Δnが0.2以上の液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化してなる樹脂層である。液晶性化合物のΔnは、好ましくは0.22以上である。Δn値が0.30以上の化合物を用いると、紫外線吸収スペクトルの長波長側の吸収端が可視域に及ぶ場合があるが、該スペクトルの吸収端が可視域に及んでも所望する光学的性能に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。このような高いΔn値を有することにより、高い輝度向上効果を得ながら、斜め方向から観察した際の色相変化を小さくすることができ、高い光学的性能(例えば、円偏光分離特性)を有する円偏光分離シートを与えることができる。このような高いΔn値を有する液晶性化合物としては、後述するコレステリック液晶組成物(X)に含まれる棒状液晶化合物を用いることができる。
本発明において用いるコレステリック液晶組成物とは、液晶性化合物を含有し、コレステリック液晶相を呈しうるものである。
本発明において、コレステリック樹脂層が有するコレステリック規則性とは、一平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるという具合に、分子が一定方向に配列している平面を進むに従って分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造である。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は光学的にカイラルな構造となる。
コレステリック樹脂層は、円偏光分離機能を有する。すなわち、ある特定波長域の左回転若しくは右回転の円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過する機能を有する。
本発明においては、この円偏光分離機能を可視光の全波長領域にわたって発揮するコレステリック樹脂層を備えることが好ましい。例えば、青色(波長410〜470nm)、緑色(波長520〜580nm)、赤色(波長600〜660)nmのいずれの波長域の光についても円偏光分離機能を有するコレステリック樹脂層であることが好ましい。
円偏光分離機能を発揮する波長は、コレステリック樹脂におけるらせん構造のピッチに依存する。らせん構造のピッチとは、らせん構造において分子軸の方向が平面を進むに従って少しずつ角度がずれていき、そして再びもとの分子軸方向に戻るまでの平面法線方向の距離のことである。このらせん構造のピッチの大きさを変えることによって、円偏光分離機能を発揮する波長を変えることができる。
本発明に用いるコレステリック樹脂層は、重合性液晶性化合物を含むコレステリック液晶組成物を、後述する硬化の処理において重合して得ることができる。かかる層は、液晶性化合物の分子配向を呈したまま硬化した非液晶性の樹脂層となる。なお、ここで説明の便宜上、液晶組成物と称する材料は、2以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料(即ち液晶性化合物のみからなる材料)をも包含する。
本発明に用いるコレステリック樹脂層としては、例えば、(i)らせん構造のピッチの大きさを段階的に変化させたコレステリック樹脂層、(ii)らせん構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂層等が挙げられる。
(i)らせん構造のピッチを段階的に変化させたコレステリック樹脂層は、例えば、青色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するらせん構造のピッチを有するコレステリック樹脂層、緑色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するらせん構造のピッチを有するコレステリック樹脂層及び赤色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するらせん構造のピッチを有するコレステリック樹脂層を積層することによって得ることができる。また、反射される円偏光の中心波長が470nm、550nm、640nm、及び770nmであるコレステリック樹脂層をそれぞれ作製し、これらのコレステリック樹脂層を任意に選択し、反射光の中心波長の順序で3〜7層積層することによって得ることができる。らせん構造のピッチの大きさが異なるコレステリック樹脂層を積層する場合には、各コレステリック樹脂層で反射する円偏光の回転方向が同じであることが好ましい。また、らせん構造のピッチの大きさが異なるコレステリック樹脂層の積層順序は、らせん構造のピッチの大きさで、昇順又は降順になるようにすることが、視野角の広い液晶表示装置を得るために好ましい。これらコレステリック樹脂層の積層は、単に重ね置いただけでもよいし、粘着剤や接着剤を介して固着させてもよい。
(ii)らせん構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂層は、その製法によって特に制限されないが、このようなコレステリック樹脂層の製法の好ましい例としては、コレステリック樹脂層を形成するための重合性液晶性化合物を含有するコレステリック液晶組成物を、好ましくは配向膜等の他の層上に塗布して液晶層を得、次いで1回以上の、光照射及び/又は加温処理により当該液晶層を硬化する方法が挙げられる。当該コレステリック液晶組成物の好ましい態様としては、下記に詳述するコレステリック液晶組成物(X)を挙げることが出来る。
前記コレステリック液晶組成物(X)は、下記一般式(1)で表される化合物と、重合性液晶性化合物としての特定の棒状液晶性化合物とを含有する。これら各成分について順次説明する。
1X−A1X−Z−A2X−R2X (1)
一般式(1)において、R1X及びR2Xはそれぞれ独立して炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基からなる群より選択される基である。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの意味である。
前記アルキル基及びアルキレンオキサイド基は置換されていないか若しくはハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。前記ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基は炭素原子数1〜2個のアルキル基、アルキレンオキサイド基と結合していてもよい。
1X及びR2Xとして好ましいものとしては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基が挙げられる。
また、R1X及びR2Xの少なくとも一方は反応性基であることが好ましい。R1X及び/又はR2Xとして反応性基を有することにより、前記一般式(1)で表される化合物が硬化時に液晶層中に固定され、より強固な膜を形成することができる。ここで反応性基とは、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、及びアミノ基を挙げることができる。
一般式(1)において、A1X及びA2Xはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基を表す。前記1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基は、置換されていないか若しくはハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜10個のアルキル基、ハロゲン化アルキル基で1つ以上置換されていてもよい。A1X及びA2Xのそれぞれにおいて、2以上の置換基が存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
1X及びA2Xとして特に好ましいものとしては、1,4−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基が挙げられる。これらの芳香環骨格は脂環式骨格と比較して比較的剛直であり、後述する棒状液晶性化合物のメソゲンとの親和性が高く、配向均一能がより高くなる。
一般式(1)において、Zは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される。
Zとして特に好ましいものとしては、単結合、−OCO−及び−CH=N−N=CH−が挙げられる。
一般式(1)の化合物は、少なくとも一種が液晶性を有することが好ましく、また、キラリティを有することが好ましい。また、コレステリック液晶組成物(X)は、一般式(1)の化合物として、複数の光学異性体の混合物を含有することが好ましい。例えば、複数種類のエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物を含有することができる。一般式(1)の化合物の少なくとも一種は、その融点が、50℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
一般式(1)の化合物が液晶性を有する場合には、高Δnであることが好ましい。高Δnの材料を選択することによって、液晶性化合物の持つΔnの効果を阻害することを防止できる。一般式(1)の化合物の少なくとも一種のΔnは好ましくは0.20以上、より好ましくは0.22以上とすることが出来る。しかし、Δnが高くなると、必要とするコレステリック樹脂層の膜厚が著しく小さくなる傾向があるため、Δnが0.4を上回ると膜厚が1μmを下回る可能性がある。1μmを下回ると、膜厚のばらつきに光学特性が敏感に影響されるようになるため、製造が困難になる傾向がある。したがって、そのような場合は、Δnの上限は0.4とすることが好ましい。
一般式(1)の化合物として特に好ましい具体例としては、例えば下記の化合物(A1)〜(A3)及び(A5)〜(A10)が挙げられる:
Figure 2010107958
Figure 2010107958
上記化合物(A3)において、「*」はキラル中心を表す。
前記コレステリック液晶組成物(X)は、好ましくは、1分子中に少なくとも2つ以上の反応性基を有する棒状液晶性化合物を含有する。
前記棒状液晶性化合物としては、式(2)で表される化合物を挙げることができる。
3X−C3X−D3X−C5X−M−C6X−D4X−C4X−R4X 式(2)
(式中、R3X及びR4Xは反応性基であり、それぞれ独立して(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表す。D3X及びD4Xは単結合、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状の2価の飽和炭化水素基(メチレン基又はその他のアルキレン基等)、及び炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。C3X〜C6Xは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される基を表す。Mはメソゲン基を表し、具体的には、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類の群から選択された2〜4個の骨格を、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−等の結合基によって結合されて形成される。または、R3X−C3X−D3X−C5X−及び−C6X−D4X−C4X−R4Xはそれぞれ、後述する式(I)におけるZ−(Y−G−Y−A−Y−及び−Y−A−Y−(G−Y−Zと同様のものとすることができる。)
前記、メソゲン基Mが有しうる置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R5X、−O−C(=O)−R5X、−C(=O)−O−R5X、−O−C(=O)−O−R5X、−NR5X−C(=O)−R5X、−C(=O)−NR5X7X、または−O−C(=O)−NR5X7Xを表す。ここで、R5X及びR7Xは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、アルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR6X−C(=O)−、−C(=O)−NR6X−、−NR6X−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R6Xは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。前記「置換基を有してもよい炭素数1〜10個のアルキル基」における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
本発明において、該棒状液晶性化合物は非対称構造であることが好ましい。ここで非対称構造とは、一般式(2)において、メソゲン基Mを中心として、R3X−C3X−D3X−C5X−と−C6X−D4X−C4X−R4Xが異なる構造のことをいう。該棒状液晶性化合物として、非対称構造のものを用いることにより、配向均一性をより高めることができる。
本発明において用いる棒状液晶性化合物のより具体的な好ましい例として、下記式(I)で示される重合性液晶化合物(i)が挙げられる。
Figure 2010107958
前記式(I)において、Y〜Yはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、または−NR−O−を表す。ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。Rは、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Yの組み合わせとして特に好ましいのは、合成しやすさ及び、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点からYとYが−C(=O)−O−であり、YとYが−O−C(=O)−であり、YとYが−O−である組み合わせ、あるいは、Y〜Yが−C(=O)−O−であり、Y〜Yが−O−C(=O)−である組み合わせである。
及びGはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の2価の脂肪族基であり、好ましくは炭素数1〜12の2価の脂肪族基である。
及びGの炭素数1〜20の2価の脂肪族基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基等の鎖状の脂肪族基が好ましい。
本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、エチレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等のアルキレン基が好ましい。
及びGの脂肪族基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基;等が挙げられる。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
また、前記脂肪族基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。Rは、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
及びZはそれぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
及びZの炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=CH−CH−、CH−CH=CH−、CH=CH−CH−CH−、CH=C(CH)−CH−CH−、(CHC=CH−CH−、(CHC=CH−CH−CH−、CH=C(Cl)−、CH=C(CH)−CH−、CH−CH=CH−CH−等が挙げられる。
該アルケニル基の炭素数としては、2〜6が好ましい。Z及びZのアルケニル基の置換基であるハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
中でも、Z及びZとしては、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、CH=CH−、CH=CH(CH)−、CH=C(Cl)−、CH=CH−CH−、CH=C(CH)−CH−、又はCH=C(CH)−CH−CH−であることがより好ましい。
〜Xはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−OR、−O−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−O−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−R、−C(=O)−NR、または−O−C(=O)−NRを表す。X〜Xが置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基を挙げることができる。ここで、R及びRは、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、アルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R及びRが置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基を挙げることができる。
原料の入手しやすさの観点から、(1)X〜Xがいずれも水素原子であるか、(2)X〜X及びXがいずれも水素原子であり、かつX及びXが−OCH、−OCHCH、若しくは−CHであるか、(3)X〜X、X及びXがいずれも水素原子であり、かつXが−C(=O)−OR、−OCH、−OCHCH、−CH、−CHCH、−CHCHCH若しくはフッ素原子であるか、又は(4)X〜X及びX〜Xがいずれも水素原子であり、かつXが−C(=O)−O−R、−OCH、−OCHCH、−CH、−CHCH、−CHCHCH若しくはフッ素原子であることが好ましい。
また、前記式(I)において、A及びAにそれぞれ結合する、式:−Y−(G−Y)a−Z及び式:−Y−(G−Y)b−Zで表される基の具体例としては、以下のものが挙げられる。なお、前記a及びbはそれぞれ、(G−Y)単位及び(G−Y)単位の繰り返し数を表し、a及びbはそれぞれ独立して、0又は1である。a、bとして特に好ましい組み合わせとしては、合成しやすさ及び、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点からa及びbは共に1である。
a又はbが1の凡例、即ち下記式(C)で表される構造について以下に言及する。
Figure 2010107958
式中、Y又はYは−C(=O)−O−、G又はGはヘキシレン基、Y又はYは−O−C(=O)−、Z又はZはビニル基に相当する。
更に、その具体例を以下に示す。
Figure 2010107958
Figure 2010107958
Figure 2010107958
a又はb=0の凡例、即ち下記式(D)で表される構造について以下に言及する。
Figure 2010107958
式中、Y又はYは−C(=O)−O−、Z又はZはビニル基に相当する。
更に、その具体例を以下に示す。
Figure 2010107958
及びAはそれぞれ独立して、炭素数1〜30の2価の有機基Aを表す。有機基Aの炭素数としては6〜20が好ましい。A及びAの有機基Aとしては、特に制限されないが、芳香族環を有するものが好ましい。
及びAの具体例としては、下記のものが挙げられる。
及びAの具体例として挙げた有機基は、置換基を有していてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、−C(=O)−OR基;等が挙げられる。ここでRは、炭素数1〜6のアルキル基である。これらの中でも、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基が好ましく、ハロゲン原子としてはフッ素原子が、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
Figure 2010107958
Figure 2010107958
前記A及びAとしては、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、下記式(A11)、(A21)及び(A31)に置換基が結合してもよい、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、又は置換基を有していてもよいナフチレン基が好ましく、中でも、下記式(A11)に置換基が結合しても良い、置換基を有していてもよいフェニレン基がより好ましい。
Figure 2010107958
本発明において、前記式(I)で示される重合性液晶化合物(i)において、以下の式で表される2つの基は同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 2010107958
Figure 2010107958
前記式(I)で表される重合性液晶化合物(i)の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明における重合性液晶化合物(i)は下記の化合物に限定されるものではない。
Figure 2010107958
本発明において、前記棒状液晶性化合物は、1分子中に少なくとも2つ以上の反応性基を有するものとすることができる。前記反応性基としては、具体的にはエポキシ基、チオエポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、フマレート基、シンナモイル基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、オキサゾリン基、メルカプト基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、及びアクリル基が挙げられる。これらの反応性基を有することにより、コレステリック液晶組成物を硬化させた際に、安定した硬化物を得ることができる。1分子中に反応性基が1つ以下の化合物を用いると、コレステリック液晶組成物を硬化させた際に、架橋した硬化物が得られないため実用に耐えうる膜強度が得られない。後述する架橋剤を使用した場合でも、膜強度が不足してしまい実用は困難である。実用に耐えうる膜強度とは鉛筆硬度(JIS K5400)でHB以上、好ましくはH以上である。膜強度がHBより低いと傷がつきやすくハンドリング性に欠けてしまう。好ましい鉛筆硬度の上限は、光学的性能や耐久性試験に悪影響を及ぼさなければ特に限定されない。
前記コレステリック液晶組成物(X)において、(前記一般式(1)の化合物の合計重量)/(棒状液晶性化合物の合計重量)の重量比は0.05〜1であることが好ましく、0.1〜0.65であることがより好ましく、0.15〜0.45であることがさらに好ましい。前記重量比が0.05より少ないと配向均一性が不十分となる場合があり、また逆に1より多いと配向均一性が低下したり、液晶相の安定性が低下したり、所望する光学的性能(例えば、円偏光分離特性)が得られない場合があり好ましくない。なお、合計重量とは、1種を用いた場合にはその重量を、1種以上用いた場合には合計の重量を示す。
前記コレステリック液晶組成物(X)において、前記一般式(1)の化合物の分子量が600未満、前記棒状液晶性化合物の分子量が600以上であることが好ましい。一般式(1)の化合物の分子量が600未満であることにより、それよりも分子量の大きい棒状液晶性化合物の隙間に入り込むことができ、配向均一性を向上させることができる。
本発明において、前記コレステリック液晶組成物(X)等のコレステリック液晶組成物は、硬化後の膜強度向上や耐久性向上のために、任意に架橋剤を含有することができる。当該架橋剤としては、液晶組成物を塗布した液晶層の硬化時に同時に反応したり、硬化後に熱処理を行って反応を促進したり、又は湿気により自然に反応が進行して液晶層の架橋密度を高めることができ、かつ配向均一性を悪化させないものを適宜選択し用いることができ、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。架橋剤の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート型イソシアネート、ビウレット型イソシアネート、アダクト型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のアルコキシシラン化合物;が挙げられる。また、該架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度や耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。
前記架橋剤の配合割合は、コレステリック液晶組成物を硬化して得られる硬化膜中に0.1〜15重量%となるようにすることが好ましい。該架橋剤の配合割合が0.1重量%より少ないと架橋密度向上の効果が得られず、逆に15重量%より多いと液晶層の安定性を低下させてしまうため好ましくない。
本発明において、コレステリック液晶組成物は、任意に光開始剤を含有することができる。当該光開始剤としては、紫外線又は可視光線によってラジカル又は酸を発生させる公知の化合物が使用できる。具体的には、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、ビアセチル、アセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンジルイソブチルエーテル、テトラメチルチウラムモノ(ジ)スルフィド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、β−アイオノン、β−ブロモスチレン、ジアゾアミノベンゼン、α−アミルシンナックアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp’−ジクロロベンゾフェノン、pp’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ジフェニルスルフィド、ビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、アントラセンベンゾフェノン、α−クロロアントラキノン、ジフェニルジスルフィド、ヘキサクロルブタジエン、ペンタクロルブタジエン、オクタクロロブテン、1−クロルメチルナフタリン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]や1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(o−アセチルオキシム)などのカルバゾールオキシム化合物、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、3−メチル−2−ブチニルテトラメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−(p−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。また、所望する物性に応じて2種以上の化合物を混合することができ、必要に応じて公知の光増感剤や重合促進剤としての三級アミン化合物を添加して硬化性をコントロールすることもできる。
該光開始剤の配合割合はコレステリック液晶組成物中0.03〜7重量%であることが好ましい。該光開始剤の配合量が0.03重量%より少ないと重合度が低くなってしまい膜強度が低下してしまう場合があるため好ましくない。逆に7重量%より多いと、液晶の配向を阻害してしまい液晶相が不安定になってしまう場合があるため好ましくない。
本発明において、コレステリック液晶組成物は、任意に界面活性剤を含有することができる。当該界面活性剤としては、配向を阻害しないものを適宜選択して使用することができる。当該界面活性剤としては、具体的には、疎水基部分にシロキサン、フッ化アルキル基を含有するノニオン系界面活性剤が好適に使用でき、1分子中に2個以上の疎水基部分を持つオリゴマーが特に好適である。これらの界面活性剤は、OMNOVA社PolyFoxのPF−151N、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520、PF−3320、PF−651、PF−652、ネオス社フタージェントのFTX−209F、FTX−208G、FTX−204D、セイミケミカル社サーフロンのKH−40等を用いることができる。界面活性剤の配合割合はコレステリック液晶組成物を硬化して得られる硬化膜中0.05重量%〜3重量%となるようにすることが好ましい。該界面活性剤の配合割合が0.05重量%より少ないと空気界面における配向規制力が低下して配向欠陥が生じる場合があるため好ましくない。逆に3重量%より多い場合には、過剰の界面活性剤が液晶分子間に入り込み、配向均一性を低下させる場合があるため好ましくない。
本発明において、コレステリック液晶組成物は、任意にカイラル剤を含有することができる。前記カイラル剤の具体例としては、下記(C1)〜(C5)を挙げることができる。下記(C1)〜(C5)において化合物を規定する式中の記号は、別に断らない限り、(C1)〜(C5)のそれぞれにおいて独立に定義され、従って同じ記号が別の意味を有する場合がある。
(C1) 式(C1):(Z−Y−A−O−CO−O−M−YX[式中、Aはスペーサー、Mはメソゲン基、YおよびYは化学結合または−O−、−S−,−CO−O−,−O−CO−,−O−CO−O−,−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−,Xはn価のカイラル基、Rは水素原子又はC1〜C4−アルキル基、nは2〜6、Zは、a1)これらの基の少なくとも1つは、重付加反応に関与することが出来る反応性基である、a2)これらの基の少なくとも2つは、重付加反応に関与することが出来る反応性基を持つ置換基である、b)条件a1)又はa2)が満足される限り、水素原子又は非反応性基である]で表される化合物。当該化合物としては例えば、特許第4054392号に開示されるものを挙げることができる。式(C1)におけるカイラル基Xの個々の例として有利なものとして、以下のものを挙げることができる。
Figure 2010107958
上記式(C1)においてLはC1〜C4−アルキル基、C1〜C4−アルコキシ基、ハロゲン原子、COOR,OCOR,CONHR又はNHCORである。ここでRは上記と同様である。
上記式(C1)においてスペーサーAは、一般に2〜30、有利には2〜12個の炭素原子を含有し、線状の脂肪族基からなる。これらは連鎖において例えばO,S,NH又はNCH3により中断されていてもよいが、後者の基は隣接すべきでない。また、線状の脂肪族基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基及びエチル基等の置換基で置換されていてもよい。
上記式(C1)においてメソゲン基Mとして好適な基は、式Ia:−(−T−Y3)r−T−[式中、Tは2価のイソ脂環式、ヘテロ脂環式、イソ芳香族又はヘテロ芳香族基であり、Y3はY1と同一の基又は−CH2−O−,−O−CH−,−CH=N−又は−N=CH−でありかつrは0〜3であり、T及びY3は、r>0又はr>1である場合には、同じか又は異なっていてもよい]で示されるものである。Tはまたフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ヒドロキシル基又はニトロ基により置換された環系であってもよい。有利な基Tは以下のものである:
Figure 2010107958
(C2) 式(C2):(Z−Y−A−Y−M−Y)nX[式中、Aは(C1)と同様のスペーサー、Mは(C1)と同様のメソゲン基、Y,Y及びYは化学結合又は基−O−,−S−,−CO−O−,−O−CO−,−O−CO−O−,−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−、Rは水素原子又はC1〜C4−アルキル基、Xはn価のカイラル基、nは2〜6、Zは、a)これらの基の少なくとも1つは、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チイラン、アジリジン、カルボキシル、ヒドロキシル又はアミノ基を含有する基、b)残余の基、水素原子又は非反応性基である]で示される化合物。当該化合物としては例えば、特開平9−31077号公報に開示されるものを挙げることができる。ここでカイラル基Xの個々の例として有利なものとして式(C1)と同様のものを挙げることができる。
(C3) 式(C3):Z−Y−(A)m−Y−M−Y−X−Y−(A)n−Y−Z[式中、置換基および変数は互いに独立に次の意味を表す:AおよびAは、1〜30個のC原子の鎖長のスペーサーであり、Y〜Yは化学結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−または−(R)N−C(=O)−、−CH−O−、−O−CH−、−CH=N−、−N=CH−または−N=N−であり、Mは(C1)と同様のメソゲン基であり、Rは水素、C1〜C4アルキルであり、ZおよびZは水素、C1〜C4アルキル、重合性基または重合性基を有する基であり、Xはジアンヒドロソルビット、ジアンヒドロマンニットおよびジアンヒドロイデットからなる群から選択されたジアンヒドロヘキシット基であり、mは0または1であり、nは0または1であり、その際基Z、Z、Y〜Y、AおよびAは同じかまたは異なっていてもよく、少なくとも1つの基ZまたはZは重合性基または重合性基を含有する基を表す]で示されるカイラルドーパント。当該化合物としては例えば、特開2000−309589号公報に開示されるものを挙げることができる。
(C4) 下記式(C4)で示されるカイラル化合物。当該化合物としては例えば、特開2003−137887号公報に開示されるものを挙げることができる。
Figure 2010107958
式(C4)中、RおよびRは、互いに独立して、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF、直鎖状または分枝状の炭素原子30以下で、未置換か、F、Cl、Br、IまたはCNでモノ−もしくはポリ−置換されており、隣接していない1または2以上のCH基が、それぞれ互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−で、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されてもよいアルキル、またはP−Sp−Xであり、Rは、Hまたは炭素原子1〜4のアルキルであり、Pは、重合可能な基であり、Spは、スペーサー基または単結合であり、Xは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−または単結合であり、Xは、−CO−、−OCO−、−NR−CO−、−CH=CH−CO−、−CH−、−C−、−CF−または単結合であり、Xは、−CO−、−COO−、−CO−NR−、−CO−CH=CH−、−CH−、−C−、−CF−または単結合であり、ZおよびZは、互いに独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、AおよびAは、互いに独立して、炭素原子16以下の脂肪族もしくは芳香族の炭素環式もしくは複素環式のヘテロ環を含んでもよく、未置換か、Lでモノ−またはポリ−置換されていてもよい基であり、Lは、ハロゲンまたはシアノ、ニトロ、または炭素原子1〜7のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基で、ここで1または2以上のH原子がFまたはClで置換されていてもよく、m1は、1、2または3であり、およびm2は、0、1、2または3であり、但し、基(Z−A)m1の縮合環または非縮合環の総数が基(A−Z)m2より大きい。
重合可能な基Pは、好ましくは、CH=CW−COO−、
Figure 2010107958
CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CHW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−から選択される。ここでWは、H,Cl、CN、フェニルまたは1〜5のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは、互いに独立してHまたは1〜5のC原子を有するアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、互いに独立してCl、オキサアルキルまたは1〜5のC原子を有するオキサカルボニルアルキルであり、Pheは、1,4−フェニレンであり、そしてk1およびk2は、互いに独立して0または1である。とりわけ好ましくは、Pは、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、プロペニルエーテル基またはエポキシ基、とりわけ好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート基である。
スペーサー基Spは、好ましくは、1〜20のC原子、特に1〜12のC原子を有する直鎖状アルキレン基、これはさらに、隣接していない1または2以上のCH基が、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−で、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されてもよく、RおよびR00は、互いに独立してHまたは1〜4のC原子を有するアルキルである。典型的なスペーサー基は、例えば、−(CH2)p−、−(SiR00−O)p−、−(CHCHO)r−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−であり、ここで、pは2〜12の整数であり、rは1〜3の整数である。好ましいスペーサー基は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
特に好ましいAおよびAは、1または2以上のCH基がさらにNで置換されていてもよい1,4−フェニレン、隣接していない1または2のCH基がさらにOおよび/またはSで置換されていてもよい1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキソラン−4,5−ジイル、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−ビシクロ−(2,2,2)−オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルおよびインダン−2,5−ジイルであり、ここでこれらすべての基は、上記定義のように未置換か、Lでモノ−またはポリ−置換されていてもよい。
(C5) 式(C5):A−Y−Z−X−Z−Y−Z−A〔式中、AおよびAはそれぞれ独立にCH=CH−COO−又はCH=C(CH)−COO−であり、Yは置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環であり、ZおよびZはそれぞれ独立に−COO−又は−OCO−であり、Zは、ポリメチレン基又はポリオキシメチレン基であり、Xは下記式(a)〜式(f)で表されるキラル基である〔ただし、*は結合手を表し、式(f)中のLはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン、−COOR、−OCOR、−OCOOR、−CONHR、又は−NHCORであり、かつRは(C1)におけるものと同様のものを表す。〕〕で表される化合物。当該化合物としては、特開2007−176870号公報に開示されるものを挙げることができる。かかる化合物として、さらに具体的には、下記式(C5−1)の化合物を挙げることができる。
Figure 2010107958
Figure 2010107958
これらの中で好ましくは、カイラル基が2価であるイソソルビド骨格を有する下記(C6)及び(C7)で示される化合物を使用することができる。また、市販のカイラル剤として、例えばBASF社パリオカラーのLC756を入手できる。
Figure 2010107958
Figure 2010107958
前記カイラル剤は、所望する光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。前記カイラル剤の含有割合は、前記コレステリック液晶組成物中、通常1〜60重量%である。
本発明において、コレステリック液晶組成物は、必要に応じてさらに他の任意成分を含有することができる。当該他の任意成分としては、溶媒、ポットライフ向上のための重合禁止剤、耐久性向上のための酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等を挙げることができる。これらの任意成分は、所望する光学的性能を低下させない範囲で添加できる。
本発明におけるコレステリック液晶組成物の製造方法は、特に限定されず、上記各成分を混合することにより製造することができる。
1−3.コレステリック樹脂層の形成方法
1−3−1.塗膜の形成
樹脂層形成用基材上にコレステリック液晶組成物の塗膜を設けることの具体例について以下において説明する。
樹脂層形成用基材は、所望の形状のコレステリック樹脂層を形成しうる面を有するいかなる基板をも用いることができるが、後述する紫外線照射の自由度の高さ等の観点から、透明樹脂基材により構成することが好ましい(なお、ここでの「透明樹脂基材」は、後述する偏光板を構成する基板とは別の構成要素である。)。前記透明樹脂基材は、特に限定されず1mm厚で全光透過率80%以上の基材を使用することができる。具体的には、脂環式オレフィンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンなどの鎖状オレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、変性アクリルポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂などの合成樹脂からなる単層又は積層のフィルムが挙げられる。これらの中でも、脂環式オレフィンポリマー又は鎖状オレフィンポリマーが好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、脂環式オレフィンポリマーが特に好ましい。
前記樹脂層形成用基材の上には、必要に応じて配向膜を設けることができる。配向膜を設けることにより、その上に塗布されたコレステリック液晶組成物を所望の方向に配向させることができる。配向膜は、基材表面上に、必要に応じてコロナ放電処理等を施した後、配向膜の材料を水又は溶剤に溶解させた溶液等を、リバースグラビアコーティング、ダイレクトグラビアコーティング、ダイコーティング、バーコーティング等の公知の方法を用いて塗布し、乾燥させ、その後乾燥塗膜にラビング処理を施すことにより形成することができる。前記配向膜の材料としては、セルロース、シランカップリング剤、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エポキシアクリレート、シラノールオリゴマー、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ポリオキサゾール、環化ポリイソプレンなどを用いることができるが、配向能の高さ、コスト、転写の容易さ等の観点から、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
前記ポリビニルアルコールは、そのケン化度によって制限されないが、ケン化度が85〜95%のものが好ましい。ケン化度が低いと溶液粘度が低くなり、塗布性や塗膜強度が低下する。逆に高いと水やアルコール系溶剤への溶解性が悪くなる。また、重合度は50〜3000であり、好ましくは80〜2000、さらに好ましくは100〜1000である。重合度が50未満では、液晶分子の配向統制力が弱く、逆に3000を超えると、水やアルコール系溶剤への溶解性が悪くなり、塗布性が不十分となる。クラレポバールPVA200シリーズ((株)クラレ製)が挙げられる。
配向膜の厚さは、所望するコレステリック液晶組成物の配向均一性が得られる任意の膜厚とすることができ、0.001〜5μmであることが好ましく、0.01〜2μmであることがさらに好ましい。
一方、上に述べた配向膜を用いずに、ラビング処理した基材表面に直接コレステリック樹脂組成物の塗膜を設ける場合、製造工程が簡略になり好ましい。この場合の基材としては、透明高分子フィルムであれば限定されないが、特に厚さは50〜200μm、ヘイズは1%以下、全光線透過率は80%以上、より好ましくは90%以上のものを用いることが、光学性能向上、剥離の容易性、配向の良好さ等の観点から好ましい。
前記配向膜上へ、コレステリック樹脂組成物の塗膜を設け、さらに必要に応じて配向処理及び/又は硬化の処理を行うことにより、樹脂層形成用基材/配向膜/塗膜の層構成を有する積層体を得ることができる。または、樹脂層形成用基材の表面に直接、必要に応じてコロナ放電処理、ラビング処理等の処理を施した後塗膜を設け、さらに必要に応じて配向処理及び/又は硬化の処理を行うことにより、樹脂層形成用基材/塗膜の層構成を有する積層体を得ることができる。このような積層体上の塗膜を、接着層又は粘着層を介して1/4λ板等の他の層に貼り合わせ、さらに樹脂層形成用基材を剥離することにより、塗膜の転写を達成し、本発明の輝度向上フィルムの構成要素としてのコレステリック樹脂層を転写樹脂層として設けることができる。
塗膜を設けるための塗布は、公知の方法、例えば押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法等により実施することができる。
前記塗布により得られた塗膜には、必要に応じて、配向処理を施すことができる。配向処理は、例えば塗膜を50〜150℃で0.5〜10分間加温することにより行うことができる。当該配向処理を施すことにより、塗膜中のコレステリック液晶組成物を良好に配向させることができる。
必要に応じて配向処理された塗膜には、転写に先立ち、さらに必要に応じて硬化の処理を行うことができる。前記硬化の工程は、1回以上の光照射と加温処理との組み合わせにより行うことができる。加温条件は、具体的には例えば、温度40〜200℃、好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは50〜140℃、時間は1秒〜3分、好ましくは5〜120秒とすることができる。本発明において光照射に用いる光とは、可視光のみならず紫外線及びその他の電磁波をも含む。光照射は、具体的には例えば波長200〜500nmの光を0.01秒〜3分照射することにより行うことができる。また、例えば0.01〜50mJ/cm2の微弱な紫外線照射と加温とを複数回交互に繰り返し、反射帯域の広い円偏光分離シートとすることもできる。上記の微弱な紫外線照射等による反射帯域の拡張を行った後に、50〜10,000mJ/cm2といった比較的強い紫外線を照射し、液晶性化合物を完全に重合させ、コレステリック樹脂層とすることができる。上記の反射帯域の拡張及び強い紫外線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)中で行うこともできる。
本発明において、配向膜等へのコレステリック液晶組成物の塗布及び硬化の工程は、1回に限られず、塗布及び硬化を複数回繰り返し2層以上のコレステリック樹脂層を形成することもできる。ただし、視野角特性の向上の観点からは、1層のみで、選択反射をすることが望まれる波長帯域全体をカバーしうる選択反射能力を有するコレステリック樹脂層であることが好ましい。本発明においては、コレステリック液晶組成物として上記コレステリック液晶組成物(X)を採用することで、1回のみのコレステリック液晶組成物の塗布及び硬化によっても、所望の選択反射能力を有し、かつ厚さ5μm程度といった厚みのコレステリック樹脂層を容易に形成することができる。
本発明において、コレステリック樹脂層の乾燥膜厚は10μm以下であることが好ましく、より好ましくは2.0〜7.0μm、さらにより好ましくは3.0〜5.0μmとすることが出来る。膜厚を10μm以下とすることにより、斜め方向から観察した際の色相の変化を低減することができ、一方2.0μm以上とすることにより、十分な反射率を得ることができる。なお、前記乾燥膜厚は、コレステリック樹脂層が2以上の層である場合は、各層の膜厚の合計を、コレステリック樹脂層が1層である場合にはその膜厚をさす。
1−3−2.塗膜の転写
樹脂層形成用基材又は配向膜上に形成した前記塗膜を、転写対象の層上に転写することにより、コレステリック樹脂層を転写樹脂層として設けることができる。かかる転写は、転写対象の層と塗膜とが、粘着層を介して貼付されるように行なうことができる。
ここで転写対象の層は、好ましくは1/4λ板であるが、これに限定されず、必要に応じて1/4λ板及びコレステリック樹脂層の間に設けられる(粘着層とはまたさらに他の)任意の他の層であってもよい。
粘着層は、転写に先立ち、転写対象の層及び塗膜両側の向き合う面のうち、どちらか一方又は両方に予め設けることができる。
塗膜を、樹脂層形成用基材上の配向膜上に形成した場合、塗膜のみを転写してもよいが、塗膜および配向膜を共に転写してもよい。剥離の容易さ及び塗膜の配向不良発生防止の観点からは、塗膜及び配向膜を共に転写することが好ましい。
かかる転写のより具体的な態様を、図面を参照して説明する。まず、図2に示す通り、偏光板110(ガラス基板111、偏光子112及び保護フィルム113を有する)上に、粘着層121を介して、1/4λ板131を貼付した積層体101を調製する。
一方、図3に示す通り、樹脂層形成用基材143上に、配向膜142を設け、さらにその上にコレステリック液晶組成物を塗布し硬化させることにより塗膜141を形成し、積層体140を調製する。
次に、積層体101の1/4λ板131側の面、及び/又は積層体140のコレステリック樹脂層141側の面に粘着層を設け、これらの面を合わせることにより積層体101及び140を貼り合わせる、図4に示す積層体102を調製する。
さらに、図5に示す通り、配向膜142と基材143との界面で、基材143を積層体102から剥離し、図1に示す構成を有する複合積層体100を得ることができる。
1−4.粘着層
本発明の輝度向上フィルムは、任意の構成要件として、前記1/4λ板とコレステリック樹脂層とを粘着させるための粘着層を有することができる。
粘着層は、粘着性を発現するポリマー(以下において単に「主ポリマー」という場合がある。)を含む粘着性組成物を積層させ、必要に応じて硬化させてなる層とすることができる。
前記主ポリマーとしては、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレン−酢酸ビニル系、エチレン−アクリル酸エステル系、エチレン−塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン−スチレン等の合成ゴム系、エポキシ系、シリコーン系のポリマーを使用することができる。特に、アクリル系、ウレタン系、エチレン−酢酸ビニル系が好ましく用いられる。
アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリジコール又はポリプロピレングリコールとのモノエステルなどのヒドロキシル基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリアミド、メトキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニル単量体;メタクリロキシプロピルメトキシシランなどのケイ素含有ビニル単量体;(メタ)アクリロイルアジリジンなどのアジリジン基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、メチルスチレンなどの芳香族基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの脂環式アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル;エチレングリコールジ(メタ)アクリリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体;その他酢酸ビニル、塩化ビニル、マクロモノマー、ジビニルベンゼンなどの単一重合体ないし複数の単量体の共重合体を挙げることができる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を意味する。
ウレタン系ポリマーとしては、一般的なポリオールとイソシアネート化合物の反応物を挙げることができる。
ポリオールとしては、メチレンオキサイド鎖、エチレオキサイド鎖、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖、ブチレンオキサイド鎖などのアルキレンオキサイド鎖の繰り返し構造を単独で、あるいは2種類以上有するポリエーテルポリオール;テレフタル酸、アジピン酸、アジピン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメット酸などの酸化合物とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオールなどのグリコール成分とのエステル化反応により得られるポリエステルポリオール;上記酸化合物とグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオールとの反応で得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトンなどのラクトン類の開環重合で得られるポリエステルポリオールなどを挙げることができる。
イソシアネート化合物としては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカンメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシナネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族脂肪族ポリイソシアネート;3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネートメチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4’−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ポリイソシアネートなどを挙げることができる。
エチレン−酢酸ビニル系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−酢酸ビニル−カルボン酸共重合体が挙げられ、好ましくは酢酸ビニルの共重合率が10−46重量%のものを挙げることができる。
主ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、10,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜500,000であることがより好ましい。重量平均分子量が10,000より低いと、粘着層の白化が起こりやすいため好ましくない。また、重量平均分子量が1,000,000より大きいとゲル化しやすく、かつ粘着層液粘度が高く取り扱いにくいため好ましくない。
前記粘着性組成物は、前記主ポリマーに加えて、アセトフェノン含有化合物をさらに含有することができる、これらの化合物は、前記主ポリマー100重量部に対して0.5〜10重量部含有することが好ましい。前記アセトフェノン含有化合物とは、アセトフェノン及びアセトフェノンの水素原子の1以上が任意の基で置換された化合物であり、具体的には例えば、アセトフェノンの−CH基が脂環式化合物又はその誘導体で置換された化合物(1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン等)、及びベンゾインエーテル含有化合物(ベンゾインの−OH基の水素原子が他の有機基で置換された構造を有するエーテル、及び当該エーテルの水素原子の1以上が任意の基で置換された化合物)を挙げることができる。
アセトフェノン含有化合物としては、具体的には、アセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(IRG651 チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン(DAROCURE1173 チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(IRG184 チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1−オン(IRG907 チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRG2959チバスペシャリティケイミカルズ(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン(IRG369 チバスペシャリティケミカルズ(株)製)などを挙げることができる。
ベンゾインエーテル含有化合物としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルブチルエーテルなどを挙げることができる。
これらアセトフェノン含有化合物を含有することにより、粘着層としての性能をより良好にすることができる。
前記粘着性組成物は、必要に応じて、拡散剤を含有することができる。当該拡散剤としての材料は特に限定されず、無機、および有機の拡散剤を適宜選択して用いることができる。
無機拡散剤としては、ガラス、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、マグネシウムシリケート等からなるもの;有機拡散剤としては、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリシロキサン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、またはこれらの架橋物等からなるものが挙げられる。
拡散剤の形状としては、特に限定されず、球状、楕円体状、立方体状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられるが、中でも光の拡散方向を等方的にできる点で球状、もしくは球状に近い楕円体状が好ましい。
拡散剤の大きさは、好ましくは直径0.2μm〜50μm、より好ましくは0.5μm〜10μmである。尚、ここでいう直径は、完全な球状ではない場合は、同一体積の球の直径で代用される。針状のような一方向に著しく寸法の異なるフィラーの場合は、その方向に垂直な断面の断面積と同一面積の円の直径で代用する。
拡散剤の屈折率は、粘着性組成物の基材として用いる主ポリマーの屈折率と異なることが好ましく、屈折率差が0.05以上0.15以下であることが好ましい。屈折率差が0.05未満の場合、光拡散効果が不十分となり、また屈折率差が0.15を超えると、光拡散効果は向上するが、斜め入射光の拡散粘着層への透過率が低下し、全体として暗くなるため好ましくない。
拡散剤は、単独の素材、大きさ、屈折率等の性質ものを用いてもよく、また、2種類以上の拡散剤を混合して用いても良い。また、拡散剤として2種類以上の素材からなるものを用いてもよい。
粘着性組成物におけるフィラーの含有量は、主ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
粘着性組成物に含まれる拡散剤の平均粒径dと、粘着層の厚みlの比は、好ましくは0.05≦d/l≦0.6、特に好ましくは、0.07≦d/l≦0.3である。0.05未満であると、拡散剤の粒径が小さすぎるか、粘着層の膜厚が厚すぎるため、前者であれば必要な散乱特性が得られないおそれが、後者では粘着層が偏光解消性を発生させるおそれがあり、0.6を超えると、必要な粘着面積が得られず、粘着力が不足し粘着層が剥離するおそれがある。
前記粘着性組成物には、主ポリマーの種類に応じて、さらに他の配合剤を配合することができる。他の配合剤としては、粘着付与剤、架橋剤又は硬化剤、酸化防止剤、消泡剤、安定剤が挙げられる。
上記粘着付与剤は、軟らかくなりかつ固体表面が濡れやすくなった主ポリマーに、粘着力を付与するものである。このような粘着付与剤としては、ロジンおよびロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油樹脂、水素化石油樹脂などが挙げられる。これらの中でも、透明性や主ポリマーとの相溶性に優れる点で、石油樹脂、水素化石油樹脂、テルペンフェノール樹脂が好ましい。粘着付与剤の配合量は、主ポリマー100重量部に対して、好ましくは2〜50重量部であり、より好ましくは5〜20重量部である。粘着付与剤の添加量が2重量部より少ないと、粘着付与剤の効果が発現せず、逆に添加量が50重量部を超えると、粘着剤の凝集力の低下による粘着力の低下が見られる傾向がある。
上記架橋剤又は硬化剤としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート等の多官能アクリレート化合物;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネートなどの多官能イソシアネート架橋剤又は硬化剤;エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、などのエポキシ系架橋剤又は硬化剤;ビニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン系架橋剤又は硬化剤;メラミン樹脂系架橋剤;金属キレート系架橋剤;アミン系架橋剤が用いられる。架橋剤又は硬化剤の配合量は、主ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.001〜10重量部であり、より好ましくは0.01〜3重量部である。架橋剤又は硬化剤の添加量が0.001重量部より少ないと、架橋剤の効果が発現せず、耐候性試験などで発泡や剥離が目立つ。逆に架橋剤又は硬化剤の添加量が10重量部より多くなると、粘着剤の応力緩和性が低下し、ソリなどが目立つようになる。
上記酸化防止剤としては、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の配合量は、粘着層の透明性や粘着力が低下しない範囲である。
前記粘着性組成物は、温度23℃におけるせん断貯蔵弾性率が0.1〜10MPaであることが好ましい。かかる範囲のせん断貯蔵弾性率とすることにより、粘着性組成物が適度な粘着性を有し得る。ただし、これに限らずより高いせん断貯蔵弾性率を有する、いわゆるホットメルト型接着剤をも本発明において粘着性組成物として用いることができる。
前記粘着性組成物の屈折率は、1.40〜1.55の範囲内であることが好ましい。かかる範囲の屈折率とすることにより、容易に界面反射を防止でき、光学性能を高めることができる。
前記粘着性組成物の調製方法は、均一な混合および分散状態が得られる方法であれば限定されず、例えば上記各成分を加熱、攪拌、超音波処理等で混合することにより行うことができる。
本発明において、粘着層の膜厚は5〜30μmであり、好ましくは10〜25μmである。膜厚が5μm以上とすることにより接着強度を確保することができ、一方膜厚が30μm以下とすることにより、透過率などの光学性能を維持することができる。
本発明において、1/4λ板とコレステリック樹脂層との間に粘着層を設ける方法は特に限定されないが、好ましくは、上に述べた塗膜の転写方法のとおり、貼付界面に粘着層を設けることが好ましい。
2.本発明の複合積層体
本発明の複合積層体は、前記本発明の輝度向上フィルムと、偏光板とを有する。
本発明の複合積層体において、輝度向上フィルムは、その1/4λ板及びコレステリック樹脂層のうち1/4λ板側の面が偏光板側に面していることが好ましい。即ち、直接又は必要に応じて任意の他の層を介し、偏光板−1/4λ板−コレステリック樹脂層の順に層が構成されていることが好ましい。かかる層構成とすることにより、輝度向上の効果を得ることができる。
本発明において、偏光板は、特に限定されず既知の液晶表示装置において用いられるものを適宜選択することができる。具体的には例えば、偏光子、及び必要に応じて偏光子を保護するために設けられる基板及び/又は保護フィルムを有するものとすることができる。
偏光子としては、通常直線偏光子、即ちある直線偏光を透過させ、その他の光を吸収若しくは反射するものを用いることができる。本発明に用いる偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の平均厚みは好ましくは5〜80μmである。
前記偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるもの、またはポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるものなどが挙げられる。
基板及び保護フィルムは、偏光子を損傷又は水分等から保護するために、偏光子の片面若しくは両面に設けることができる。具体的には例えば、図1に示す複合積層体100中の偏光板110のように、ガラス基板111、偏光子112及び保護フィルム113をこの順に備える偏光板とすることができる。
前記基板としては特に限定されずガラス基板等の任意の光を透過しうる基板を用いることができる。前記偏光子を被覆する保護フィルムとしては、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、脂環式オレフィンポリマー、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレンメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂を含むフィルムを用いることができる。
本発明の複合積層体の製造方法は特に限定されず、各層を適切な方法及び順序で積層することにより容易に得ることができる。好ましくは、上において輝度向上フィルムにおける転写工程において述べた通りの工程で、輝度向上フィルムを有する複合積層体を製造することができる。
本発明の複合積層体においては、偏光板と輝度向上フィルムとは、図1に示す態様の如く粘着層のみを介して設けられることが、その製造の容易さ及び輝度向上性能等の観点から好ましい。かかる粘着層としては、上に述べたコレステリック樹脂層と1/4λ板との間に設けられる粘着層と同様のものを用いることができる。
図1に示す態様の如く、本発明の複合積層体において粘着層が2層以上ある場合、そのうちの1層以上のみが拡散剤を含有し、残りの層が拡散剤を含有しない態様とすることができる。即ち、例えば図1に示す態様において、粘着層122は拡散剤を含有する拡散粘着層とし、粘着層121は別段拡散剤を含有しない粘着層とすることができる。このような態様とすることにより、適切な拡散を得て、高い輝度、観察角度による色相変化の減少などの効果をより高めることができる。
3.本発明の液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、前記本発明の輝度向上フィルムを備える。好ましい態様として、本発明の液晶表示装置は、前記本発明の輝度向上フィルムを含む前記本発明の複合積層体を有する。
本発明の液晶表示装置の好ましい態様においては、前記複合積層体に含まれる偏光板が、液晶セル及びもう一層の偏光板と組み合わされることにより、偏光板−液晶セル−偏光板という積層構造を構成し、これにより画像の表示が制御される。
具体的には例えば、前記複合体に含まれる偏光板を第1の偏光板とし、かかる第1の偏光板ともう一層の第2の偏光板とで液晶セルを挟む構成とし、第1の偏光板を光源側、第2の偏光板を表示面側として、表示装置に組み込むことができる。
かかる第2の偏光子の材質は、特に限定されず、第1の偏光子と同様のものを用いることができる。液晶セルは、特に限定されず既知の液晶表示装置において用いられるものを適宜選択することができる。具体的には、第1の偏光子を透過した偏光が、第2の偏光子を透過し表示面から出射するか若しくは出射されないよう液晶セルにより制御され、その結果表示面に画像が表示される各種の方式の液晶セル及び偏光子を用いることができる。液晶セルの駆動方式としては、例えば、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、MVA(Multiple Vertical Alignment型、OCB(Optical Compensated Bend)型などが挙げられる。
本発明の液晶表示装置は、さらにバックライトを含むことができ、バックライトと液晶セルとの間に輝度向上フィルムが配置された構成とすることができる。より具体的には、液晶表示装置のバックライトと液晶セルとの間において、円偏光分離シートの層が1/4λ板よりもバックライト側になるように本発明の輝度向上フィルムを配置し、輝度向上を達成することができる。
本発明の液晶表示装置の用途は、特に限定されず、テレビ、コンピュータ用表示装置、及びその他の電子機器用表示装置等として用いることができる。特に、広い視野角において高い表示品質が求められる用途において好適に用いることができる。
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。以下において、成分の量比に関する「部」及び「%」は、別に断らない限り重量部を表す。
<実施例1>
図1に示す積層構造を有する、複合積層体100を製造した。以下、各層を、図1〜図5において用いた符号を付して説明する。
(1−1:基材−円偏光分離素子積層体140の作製)
シート状基材143(ゼオノアフィルム(日本ゼオン社製ZF14−100))の片面に、濡れ指数が56mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理面に、ポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバールMP203)の5重量%水溶液をワイヤーバー#2にて塗布し、120℃で5分間乾燥し、膜厚0.2μmの乾膜を作製した。該乾膜を一方向にラビング処理することで、配向膜142を有する基材を得た。
下記の棒状液晶化合物29.23部、一般式(1)の化合物としての上記化合物(A2)7.31部、光重合開始剤チバスペシャリティ・ケミカルズ社製IRG907、1.20部、カイラル剤BASF社製LC756、2.22部、界面活性剤KH40(セイミケミカル製)0.04部、及び2−ブタノン(溶媒)60.00部を混合し、コレステリック液晶組成物を調製した。このコレステリック液晶組成物を、上記で調製した配向膜を有する透明樹脂基材の配向膜を有する面に♯10バーにて塗布した。塗膜を100℃で5分間配向処理し、当該塗膜に対して0.1〜45mJ/cmの微弱な紫外線の照射処理と、それに続く100℃で1分間の加温処理からなるプロセスを2回繰り返した後、窒素雰囲気下で800mJ/cmの紫外線を照射して、乾燥膜厚5.3μmのコレステリック樹脂層141を形成し、基材143−配向膜142−コレステリック樹脂層141の層構成を有する、基材−円偏光分離素子積層体140(図3参照)を得た。用いた棒状液晶化合物の屈折率異方性Δnは、0.21であった。
Figure 2010107958
(1−2:1/4λ板131の作製)
メタクリル酸メチル97.8%とアクリル酸メチル2.2%とからなるモノマー組成物を、バルク重合法により重合させ、樹脂ペレットを得た。
特公昭55−27576号公報の実施例3に準じて、ゴム粒子を製造した。このゴム粒子は、球形3層構造を有し、芯内層が、メタクリル酸メチル及び少量のメタクリル酸アリルの架橋重合体であり、内層が、主成分としてのアクリル酸ブチルとスチレン及び少量のアクリル酸アリルとを架橋共重合させた軟質の弾性共重合体であり、外層が、メタクリル酸メチル及び少量のアクリル酸エチルの硬質重合体である。また、内層の平均粒子径は0.19μmであり、外層をも含めた粒径は0.22μmであった。
上記樹脂ペレット70部と、上記ゴム粒子30部とを混合し、二軸押出機で溶融混練して、メタクリル酸エステル重合体組成物A(ガラス転移温度105℃)を得た。
上記メタクリル酸エステル重合体組成物A(b層)、及びスチレン無水マレイン酸共重合体(ガラス転移温度130℃)(a層)を温度280℃で共押出成形することにより、b層−a層−b層の三層構造で、各層が45−70−45(μm)の平均厚みを有する複層フィルムを得た。この複層フィルムを、延伸温度128℃、延伸倍率1.4倍、延伸速度10m/分でテンター一軸延伸し、延伸複層フィルムである1/4λ板131を得た。さらにこの1/4λ板の両面を、濡れ指数が56dyne/cmになるようにコロナ放電処理を施した。
得られた1/4λ板131の波長550nmにおけるレターデーション値は、厚み方向のレターデーションRthは−118nm、面内方向のレターデーションReは140nmであった。
(1−3:拡散粘着層の作製)
ポリエチレンテレフタレートセパレータ(商品名「PET50AL」、リンテック(株)社製)に、SKダイン2094(綜研化学(株)製、アクリル酸エステル共重合体、固形分率25%、溶媒:酢酸エチル/2−ブタノン=93/7)とケミスノーMX300(総研化学(株)製、架橋アクリル粉体)からなる組成を有する粘着性組成物を、ギャップ200μmのブレードを用いて塗布し、100℃にて2分乾燥し、膜厚20μmの粘着層を形成し、セパレータ−粘着層の層構成を有する積層体(L3)を得た。
(1−4:粘着層の作製)
一方、上記(1−3)で用いたものと同一のセパレータに、SKダイン2094(綜研化学(株)製、アクリル酸エステル共重合体、固形分率25%、溶媒:酢酸エチル/2−ブタノン=93/7)400部とE−AX(綜研化学(株)製、多官能エポキシ架橋剤)1.1部との混合物を、ギャップ200μmのブレードを用いて塗布し、100℃にて2分乾燥し、セパレータ/膜厚20μmの粘着層の層構成を有する積層体(L4)を得た。
(1−5:偏光板110の作製)
保護フィルム113と偏光子112とガラス基板111とを有する偏光板110を、下記の通り調製した。
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを2.5倍に一軸延伸し、ヨウ素0.2g/L及びヨウ化カリウム60g/Lを含む30℃の水溶液中に240秒間浸漬し、次いでホウ酸70g/L及びヨウ化カリウム30g/Lを含む水溶液中に浸漬すると同時に6.0倍に一軸延伸して5分間保持した。最後に、室温で24時間乾燥し、平均厚さ30μm、偏光度99.95%の偏光子112を得た。
得られた偏光子112の両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、一方の面に三酢酸セルロース保護フィルム(富士写真フィルム社製;TF80UL)113を、他方の面にガラス基板111を貼り合せて、保護フィルム113−ポリビニルアルコール系接着剤層(不図示;以下記載を省略)−偏光子112−ポリビニルアルコール系接着剤層(不図示;以下記載を省略)−ガラス基板111の層構成を有する、偏光板110を調製した。
(1−6:偏光板−1/4λ板積層体101の作製)
上記(1−5)で得た偏光板110の保護フィルム113側の表面に、濡れ指数60mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理を施した保護フィルム面と、上記(1−4)で得た積層体(L4)の粘着層側の面とを貼り合わせ、ガラス基板111−偏光子112−保護フィルム113−粘着層121−セパレータの層構成を有する積層体(L6)を得た。
積層体(L6)のセパレータを粘着層121から剥離し、露出した粘着層121と、上記(1−2)で得た1/4λ板表面とを貼り合わせ、ガラス基板111−偏光子112−保護フィルム113−粘着層121−1/4λ板131の層構成を有する積層体101(図2参照)を得た。
(1−7:複合積層体100の作製)
上記(1−6)で得た積層体101の、1/4λ板131側の表面と、上記(1−3)で得た積層体(L3)の拡散粘着層側の面とを貼り合わせ、ガラス基板111−偏光子112−保護フィルム113−粘着層121−1/4λ板131−拡散粘着層122−セパレータの層構成を有する積層体(L7)を得た。
上記(1−1)で得た基材−円偏光分離素子積層体140のコレステリック樹脂層141の表面に、濡れ指数60mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。積層体(L7)のセパレータを拡散粘着層122から剥離し、露出した拡散粘着層122と、上記積層体140のコロナ放電処理面とを貼り合わせ、ガラス基板111−偏光子112−保護フィルム113−粘着層121−1/4λ板131−拡散粘着層122−コレステリック樹脂層141−配向膜142−基材143の層構成を有する積層体102(図4参照)を得た。
続いて、図5に示すように、積層体102から、基材143を剥離し、ガラス基板111−偏光子112−保護フィルム113−粘着層121−1/4λ板131−拡散粘着層122−コレステリック樹脂層141−配向膜142の層構成を有する積層体100を得た。積層体100の厚さは、915μmとなった。
(1−8:複合積層体100の評価)
光学性能評価用標準バックライトと呼ばれる照明装置を測定すべてのための光源として使用した。光学性能評価用標準バックライトは、白色の反射板から構成されるボックス内に冷陰極管を配置し、また、出光側に向かって適宜配置された拡散板、拡散シート、プリズムシートを用いた配光調整を受けた光にて、サンプルを照明するものである。光学性能評価用バックライトの出光面上に、得られた複合積層体100を、配向膜142が下側(バックライト側)、ガラス基板111が上側となるよう載置した。バックライトを点灯し、下記の点について評価した。
(評価1)正面輝度向上率
正面輝度向上率の測定は、ドイツ、カールスルーエのオートロニク−メルチャーズ・ゲーエムベーハー(autronic−MELCHERS GmbH, Karlsruhe, Germany)から入手可能なコノスコープ(Conoscope)光学測定システムを用い行なった。その結果、結果を表1に示す。
(評価2)色相
偏光板出光面の正面方向および斜め方向(極角60度)の色相を正面輝度向上率の測定と同様にコノスコープを用いて測定した。結果を表1に示す。なお、正面方向の色相については、測定したxy値を表1に記載した。また斜め方向(極角60度)の色相については、各方位角における斜め方向(極角60度)の色相の、正面方向の色相に対する差Δx、Δyの平均値を記載した。結果を表1に示す。
さらに、得られた複合積層体のガラス基板を構成要素として含む液晶セルを定法にて構成し、さらにその表示面側の面上に定法にてもう一層の偏光子を設け、さらに光源及び反射板を有するバックライト装置上に設置し、液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置を駆動させ、表示面を観察したところ、良好な輝度が得られ、観察角度の極角の増大に伴う画面の赤色化が少なかった。
<実施例2>配向膜を省いた例
配向膜を省き、シート状基材に直接ラビング処理を施した他は実施例1と同様にして複合積層体を得た。
得られた複合積層体について、実施例1と同様に、輝度及び色相を評価した。結果を表1に示す。
さらに、得られた複合積層体のガラス基板を構成要素として含む液晶セルを定法にて構成し、さらにその表示面側の面上に定法にてもう一層の偏光子を設け、さらに光源及び反射板を有するバックライト装置上に設置し、液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置を駆動させ、表示面を観察したところ、良好な輝度が得られ、観察角度の極角の増大に伴う画面の赤色化が少なかった。
<実施例3>配合比を変更した例
液晶組成物の配合比が異なる複合積層体を作製した。即ち、工程(1-1)において、コレステリック液晶組成物の配合を棒状液晶化合物32.89部、一般式(1)の化合物としての上記化合物(A2)3.65部、光重合開始剤チバスペシャリティ・ケミカルズ社製IRG907、1.20部、カイラル剤BASF社製LC756、2.22部に変更した他は実施例1と同様に操作し、複合積層体を作成した。
得られた複合積層体について、実施例1と同様に、輝度及び色相について評価した。結果を表1に示す。
さらに、得られた複合積層体のガラス基板を構成要素として含む液晶セルを定法にて構成し、さらにその表示面側の面上に定法にてもう一層の偏光子を設け、さらに光源及び反射板を有するバックライト装置上に設置し、液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置を駆動させ、表示面を観察したところ、良好な輝度が得られ、観察角度の極角の増大に伴う画面の赤色化が少なかった。
<比較例1>
工程(1−1)において、コレステリック液晶組成物の配合を棒状液晶化合物BASF社製LC1057、37.45部、光重合開始剤チバスペシャリティ・ケミカルズ社製IRG907、1.20部、カイラル剤BASF社製LC756、1.30部に変更した他は実施例1と同様に操作し、複合積層体を作成した。棒状液晶化合物LC1057の屈折率異方性Δnは、0.18であった。
得られた複合積層体について、実施例1と同様に、輝度及び色相を評価した。結果を表1に示す。
<比較例2>
工程(1−7)において、基材143の剥離を行なわない状態の積層体102をそのまま、実施例1における積層体100の評価と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2010107958
100 複合積層体
101 積層体
102 積層体
110 偏光板
111 ガラス基板
112 偏光子
113 保護フィルム
121 粘着層
122 拡散粘着層
131 1/4λ板
141 コレステリック樹脂層
142 配向膜
143 基材
190 輝度向上フィルム

Claims (4)

  1. 1/4λ板、及びコレステリック規則性を有する樹脂層を有する輝度向上フィルムであって、
    前記コレステリック規則性を有する樹脂層が、屈折率異方性Δnが0.2以上の液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化してなる樹脂層であり、
    前記コレステリック規則性を有する樹脂層が、樹脂層形成用基材上にコレステリック液晶組成物の塗膜を設け、前記塗膜を、樹脂層形成用基材から転写してなる転写樹脂層であることを特徴とする、輝度向上フィルム。
  2. 前記1/4λ板が、延伸フィルムからなる請求項1に記載の輝度向上フィルム。
  3. 請求項1もしくは2に記載の輝度向上フィルムと、偏光板とを有する複合積層体。
  4. 請求項1もしくは2に記載の輝度向上フィルム、又は請求項3に記載の複合積層体を備える液晶表示装置。
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