JP2014141057A - 識別用表示媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】真正性識別用の表示領域を有する表示媒体であって、前記表示領域において、下地部材、及び前記下地部材の面上に設けられたコレステリック規則性を有する樹脂層を有し、前記コレステリック規則性を有する樹脂層を、垂直方向から観察した際の、xy色度図におけるx座標の値x1が0.30以上0.40以下であり、y座標の値y1が0.30以上0.40以下であることを特徴とする表示媒体。
【選択図】図2
Description
このような、偏光層に特徴的な色彩及びその変化は、デザインの自由度を狭めるという問題点がある。例えば、かかる表示媒体は、物品の目立つ場所に設けられる場合が多く、その場合、表示媒体が特徴的な色彩を有すると、物品全体のデザインがかかる色彩により制約されてしまう。特に、従来の、特定の偏光のみを反射する表示媒体においては、黒色を良好に表示させることが困難である。
即ち、本発明によれば、下記〔1〕〜〔6〕が提供される。
前記表示領域において、下地部材、及び前記下地部材の面上に設けられたコレステリック規則性を有する樹脂層を有し、
前記コレステリック規則性を有する樹脂層を、垂直方向から観察した際の、xy色度図におけるx座標の値x1が0.30以上0.40以下であり、y座標の値y1が0.30以上0.40以下であることを特徴とする表示媒体。
〔2〕 前記表示領域内の前記下地部材の面を、垂直方向から観察した際の、xy色度図におけるx座標の値x2及びy座標の値y2が、下記式(A):
(|x2−0.33|−|x1−0.33|)+(|y2−0.33|−|y1−0.33|)≧0 式(A)
の条件を満たす、〔1〕に記載の表示媒体。
〔3〕 前記下地部材の一部又は全部が黒色である、〔1〕又は〔2〕に記載の表示媒体。
〔4〕 前記コレステリック規則性を有する樹脂層が、正面方向から観察した場合、及び斜め方向から観察した場合のいずれにおいても無色である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の表示媒体。
〔5〕 前記コレステリック規則性を有する樹脂層の、垂直方向の反射光の可視光平均反射率が、25%以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の表示媒体。
〔6〕 前記コレステリック規則性を有する樹脂層が、1層の、コレステリック液晶組成物の塗膜の硬化物からなる、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の表示媒体。
図1は、本発明の表示媒体の第1実施形態を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す表示媒体を、図1中の破線に沿って切断した断面を概略的に示す縦断面図である。図2及びその他の断面図では、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚さ方向の寸法の比率を、実際の表示媒体の比率より大きく示している。
図1及び図2に示される表示媒体20は、基材211と、基材211の上面に設けられた下地層221を有し、これらが下地部材を構成する。表示媒体20はさらに、コレステリック樹脂層241を有する。コレステリック樹脂層241は、粘着層231を介して、基材211及び/又は下地層221に粘着している。粘着層は、本発明に必須のものではなく、任意の構成要素である。
表示領域R1においては、文字L1に対応する領域内のみに下地層221が設けられ、これにより、文字F1に対応する形の模様が形成される。一方、表示領域R2においては、その全領域に下地層221が設けられている。
例えば、表示領域内において、基材の全面に、下地層が設けられている場合、かかる下地層のみが下地部材として機能する。また、基材として、所望の色、模様等の意匠的特徴を有するものを用いた場合、当該基材のみを、下地部材として用いることもできる。
さらに、下地部材は層状の構造を有するものに限られない。例えば、物品のある部材の表面に直接コレステリック樹脂層を設け、当該部材を下地部材として、本発明の表示媒体を、当該部材を含んだものとして構成することもできる。
さらに、たとえば、基材が視認できない程度に透明な部材であると、当該基材は下地部材として機能し得ないが、当該基材及びコレステリック樹脂層の積層物を、有色の物品のある部材上に貼合することにより、当該部材が下地部材として機能し、当該部材及びコレステリック樹脂層を有する表示媒体を構成し得る。
本発明の表示媒体において、コレステリック樹脂層は、表示領域において、下地部材の面上に設けられる。但し、コレステリック樹脂層は、表示領域内の下地部材の全部でなく一部のみを覆っていてもよい。下地部材の上面が基材及び下地層により構成される場合、コレステリック樹脂層は、これらの両方にわたって設けられていてもよく、これらの一方の上面上のみに設けられていてもよい。表示媒体20の例について述べると、表示領域R1内のコレステリック樹脂層241は、表示領域R1の全部を覆って設けられている。一方、表示領域R2内のコレステリック樹脂層241は、文字L2に対応する領域内のみに設けられ、これにより、文字L2に対応する形の模様が形成される。
本発明の表示媒体においては、好ましくは、下地部材又はコレステリック樹脂層の一方又は両方により、模様が形成される。当該模様により、真正性の識別をより容易にすることができる。
図3は、図1に示す表示媒体20の、表示領域R1内の層、並びに、これらの層を透過し又はこれらの層において反射する光の経路を概略的に示す部分縦断面図である。図2において示した粘着層231は、簡略化のため図3においては図示していない。図3に示す例では、コレステリック樹脂層241として、右円偏光の大部分を反射させ、右円偏光の残りの一部及び左円偏光の全部を透過させる層を設けている。
一方、表示媒体20の上面に、左円偏光A1Lが入射した場合、その全部が、コレステリック樹脂層241の下側にある、下地部材の上面(ここでは下地層211の上面)に到達し、ここで一部が吸収され、残りの一部は反射される。反射された光は反射光A2Lとして出射する。
(I)入射光として、右円偏光及び左円偏光の両方を含む光を用い、
(I−R)表示媒体を、右円偏光のみを透過するフィルターを通して観察した場合と、
(I−L)表示媒体を、左円偏光のみを透過するフィルターを通して観察した場合と
での、観察される像を対比する。
(II)(II−R)入射光として右円偏光のみを含む光を用いて表示媒体を観察した場合と、
(II−L)入射光として左円偏光のみを含む光を用いて表示媒体を観察した場合と
での、観察される像とを対比する。
本願において、色度の測定は、測定対象面の法線に対して5°の方向から光を入射して、測定対象面の垂直方向(より具体的には、入射光の方向と、法線に対して対称な、法線に対して5°の方向)から測定しうる。入射する光は、人工光源D65を用いることができ、色度の数値の測定は、日本分光社製の分光光度計V−550を用いて行うことができる。
可視光平均反射率の測定は、色度の測定と同様に、測定対象面の法線に対して5°の方向から光を入射して、測定対象面の垂直方向から測定しうる。入射する光は、人工光源D65を用いることができ、反射率の数値の測定は、日本分光社製の分光光度計V−550を用いて行うことができる。
(|x2−0.33|−|x1−0.33|)+(|y2−0.33|−|y1−0.33|)≧0 式(A)
の条件を満たすことが好ましい。下地部材の色度(x2,y2)が、コレステリック樹脂層の色度(x1,y1)との関係において、式(A)を満たすことにより、表示媒体の色調を、下地部材の色調を良好に反映したものとしうる。
コレステリック樹脂層の観察方向において、「正面方向」とは、その面の法線方向から15°未満の角度を有する方向をいう。一方、「斜め方向」とは、その面の法線方向から15〜70°の角度を有する方向をいう。「正面方向から観察した場合に無色」とは、正面方向内のいずれかの方向から観察した場合に無色であることをいい、「斜め方向から観察した場合に無色」とは、斜め方向内のいずれかの方向から観察した場合に無色であることをいう。
次に、本発明の表示媒体における必須及び任意の構成要素の好ましい例をより具体的に説明する。
本発明の表示媒体におけるコレステリック樹脂層について説明する。
本発明において、コレステリック規則性を有する樹脂層が有するコレステリック規則性とは、一平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、それに重なる次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるというように、重なって配列している平面を順次透過して進むに従って当該平面中の分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造である。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は光学的にカイラルな構造となる。
または、得られた層を粉砕しフレーク状にし、これを透明樹脂等の適切な媒体中に分散し、この分散物を層状の形状にしたものを、コレステリック樹脂層として用いることもできる。この場合、分散物を層状の形状に形成する方法の例としては、押出成形法及び溶剤キャスト法等の、分散物をフィルム状に成形する方法、並びに、前記分散物を、フレーク状の粉砕物を顔料としたインキとして調製し、これを文字、模様等の形状またはべた状の形状に印刷し、当該形状のコレステリック樹脂層を得る方法を挙げることができる。フレーク状の粉砕物を用いる場合には、その粒径は、装飾性を得る上で1μm以上であることが好ましく、また、フィルムの成形性や印刷適性を得る上で500μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
R1−A1−B−A2−R2 (1)
前記棒状液晶性化合物としては、式(2)で表される化合物を挙げることができる。
R3−C3−D3−C5−M−C6−D4−C4−R4 式(2)
(式中、R3及びR4は反応性基であり、それぞれ独立して(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表す。D3及びD4は単結合、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。C3〜C6は単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される基を表す。Mはメソゲン基を表し、具体的には、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類の群から選択された2〜4個の骨格を、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−等の結合基によって結合されて形成される。)
前記、メソゲン基Mが有しうる置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R5、−O−C(=O)−R5、−C(=O)−O−R5、−O−C(=O)−O−R5、−NR5−C(=O)−R5、−C(=O)−NR5R7、または−O−C(=O)−NR5R7を表す。ここで、R5及びR7は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、アルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR6−C(=O)−、−C(=O)−NR6−、−NR6−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R6は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。前記「置換基を有してもよい炭素数1〜10個のアルキル基」における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
本発明において、該棒状液晶性化合物は非対称構造であることが好ましい。ここで非対称構造とは、一般式(2)において、メソゲン基Mを中心としてR3−C3−D3−C5−と−C6−D4−C4−R4が異なる構造のことをいう。該棒状液晶性化合物として、非対称構造のものを用いることにより、配向均一性をより高めることができる。
前記架橋剤の配合割合は、コレステリック液晶組成物を硬化して得られる硬化膜中に0.1〜15重量%となるようにすることが好ましい。該架橋剤の配合割合が0.1重量%より少ないと架橋密度向上の効果が得られず、逆に15重量%より多いと液晶層の安定性を低下させてしまうため好ましくない。
該光開始剤の配合割合はコレステリック液晶組成物中0.03〜7重量%であることが好ましい。該光開始剤の配合量が0.03重量%より少ないと重合度が低くなってしまい膜強度が低下してしまう場合があるため好ましくない。逆に7重量%より多いと、液晶材料の配向を阻害してしまい液晶相が不安定になってしまう場合があるため好ましくない。
前記変性ポリアミドとしては、芳香族ポリアミド又は脂肪族ポリアミドに変性を加えたものを挙げることができ、脂肪族ポリアミドに変性を加えたものが好ましい。具体的には例えば、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、3元ないし4元共重合ナイロン、脂肪酸系ポリアミド、又は脂肪酸系ブロック共重合体(例えばポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミド)に変性を加えたものを挙げることができる。当該変性としては、末端アミノ変性、カルボキシル変性、ヒドロキシル変性などの変性、並びにアミド基の一部をアルキルアミノ化又はN−アルコキシアルキル化する変性を挙げることができる。N−アルコキシアルキル化変性ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、又はナイロン−12等の共重合ナイロンのアミド基の一部をN−メトキシメチル化したものが挙げられる。前記変性ポリアミドの重量平均分子量は、好ましくは5000〜500000、より好ましくは10000〜200000とすることができる。
配向膜の厚さは、所望する液晶層の配向均一性が得られる膜厚であればよく、0.001〜5μmであることが好ましく、0.01〜2μmであることがさらに好ましい。
本発明の表示媒体において、下地部材は、典型的には、基材及びその上面に設けられた下地層から構成されたものとしうる。下地部材はまた、下地層のみ、又は基材のみから構成されうる。さらに、物品のある部材の表面に直接コレステリック樹脂層を設けて本発明の表示媒体を構成した場合、表示媒体は、当該部材を下地部材として有しうる。
当該面の色は黒あるいは有色のものが好適に使用でき、また、これに設けられる下地表示部は文字、図形等の模様を有する領域でも、模様がなく単に色彩のみを有する領域でもよい。そのような外観の下地部材を得るための手段としては、インキを用いるグラビア印刷、スクリーン印刷、およびオフセット印刷等の方法やトナーを用いる電子印刷等が挙げられる。
本発明の表示媒体において、コレステリック樹脂層は、粘着層を介して他の層に粘着し一体化したものとしうる。また、表示媒体がコレステリック樹脂層として複数の層を有する場合、必要に応じて、当該複数のコレステリック樹脂層を、介在する粘着層により一体化したものとしうる。
本発明の表示媒体には、上に述べた各層に加えて、必要に応じてその他の任意の層を設けることができる。かかる任意の層としては、具体的には例えば、保護層、易接着層、易滑層、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、エンボス層などの機能性層を設けることができる。
上で説明した第1実施形態においては、表示媒体は、コレステリック樹脂層として1層のみからなるものを有していたが、本発明はこれに限られず、コレステリック樹脂層の説明において既に述べた通り、コレステリック樹脂層として2以上の層を有していてもよい。
本発明の表示媒体は、上に述べた各層に加えて、必要に応じて、上に述べた任意の層を有することができる。例えば、表示媒体の傷つき、汚れ、紫外線による劣化等を防ぐために、コレステリック樹脂層よりも上側の最外層としてさらに保護層を設けることができる。
本発明の表示媒体は、真正性を識別する必要がある任意の物品に適用しうる。例えば、医薬品、化粧品、香水およびトナーなどの容器、開封シール、包装物、紙幣、証券、金券、旅券、電子機器、バッグ、衣服、布地、クレジットカード、セキュリティカード、情報を図形化したコード(例えばバーコード等の1次元のコード、並びにQRコード(登録商標)等の2次元のコード)を付した物品、並びに各種証明等に施す偽造防止のための表示媒体として使用できる。
以下の操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
(P1−1:配向膜を有する透明樹脂基材)
脂環式オレフィンポリマーからなるフィルム(株式会社オプテス製、商品名「ゼオノアフィルムZF14−100」)の両面をコロナ放電処理した。5%のポリビニルアルコールの水溶液を当該フィルムの片面に♯2のワイヤーバーを使用して塗布し、塗膜を乾燥し、膜厚0.1μmの配向膜を形成した。次いで当該配向膜をラビング処理し、配向膜を有する透明樹脂基材を調製した。
表1に示す配合割合で各成分を混合して、コレステリック液晶組成物を調製した。表1中の化合物(1)及び(2)は、それぞれ下記の構造を有する化合物である。
表1に示す配合割合で各成分を混合して、コレステリック液晶組成物を調製した。
製造例1の(P1−1)で調製した、配向膜を有する透明樹脂基材の配向膜を有する面に、コレステリック液晶組成物を♯10のワイヤーバーを使用して塗布した。塗膜を100℃で5分間配向処理し、当該塗膜に対して窒素雰囲気下で1000mJ/cm2の紫外線を照射して、厚さ5.1μmのコレステリック樹脂層2を形成し、(コレステリック樹脂層2)/(配向膜)/(透明樹脂基材)の層構成を有する複層物を得た。
コレステリック液晶組成物の配合割合を表1に示す通り変更した他は、製造例2と同様にして、厚さ4.9μmのコレステリック樹脂層3を有する複層物(製造例3)および厚さ5.0μmコレステリック樹脂層4を有する複層物(製造例4)を得た。
図1及び図2に概略的に示す構造を有する表示媒体を作製し評価した。
基材211として、厚さ100μmの無色透明のPET製のシート状を用意した。当該基材211上に、図1に示す矩形の枠F1及びF2で示す形状の、表示領域R1及び表示領域R2を設定した。
下地層用のインキとして、青色のインキを用意した。当該インキを用い、表示領域R1内の文字形状L1内の部分及び表示領域R2の全面に、スクリーン印刷法によりインキの層を設け、基材211及び下地層221を有する下地部材(1−1)を得た。得られた下地部材(1−1)の下地層221を有する領域を肉眼で観察し、色を特定した。
粘着剤として、無色透明の粘着剤からなるインキ(SKダイン2094(綜研化学(株)製、アクリル酸エステル共重合体、固形分率25%、溶媒:酢酸エチル/2−ブタノン=93/7)400部とE−AX(綜研化学(株)製、多官能エポキシ架橋剤)1.1部との混合物)を用意した。当該インキを用い、下地部材(1−1)の表示領域R1及びR2内に、スクリーン印刷、及び100℃2分間の乾燥により粘着層231を形成した。表示領域R1においては、粘着層231は下地層221を含む領域内全面を覆って設けた。一方、表示領域R2においては、粘着層231は下地層221上の文字形状L2内のみに設けた。これにより、基材211、下地層221及び厚さ15μmの粘着層231を有する複層物(1−2)を得た。
得られた複層物(1−2)の、粘着層231を有する側の面に、製造例1で作製した複層物を、コレステリック樹脂層1側の面が粘着層231に接するように貼付し、その後配向膜及び透明樹脂基材を剥離することにより、コレステリック樹脂層1を転写し、基材211、下地層221、粘着層231及びコレステリック樹脂層1(241)を有し、図1及び図2に示す形状を有する表示媒体20を得た。
基材として、厚さ100μmの黒色のPET製のシートを用意した。工程(1−2:粘着層の形成)で用いたものと同じインキを用い、当該黒色の基材の片面全体に、スクリーン印刷により粘着層を形成し、黒色の基材及び粘着層を有する複合物(1−4A)を得た。粘着層の厚さは、工程(1−2)と同じとした。
得られた複層物(1−4A)に、製造例1で作製した複層物を、コレステリック樹脂層1側の面が粘着層に接するように貼付し、配向膜及び透明樹脂基材を剥離することにより、コレステリック樹脂層1を転写し、(黒色の基材)/(粘着層)/(コレステリック樹脂層1)の層構成を有する、評価用の複層物(1−4B)を得た。
基材として、工程(1−4:コレステリック樹脂層の評価)で用いたものと同様の黒色の基材を用いた他は、工程(1−1:下地層の形成)と同様にして、黒色の基材及び下地層を有する複層物(1−5)を得た。得られた複層物(1−5)の下地層側の面の、色度(x2,y2)を測定した。また、法線方向から、この試料を肉眼で観察して色を特定した。結果を表2に示す。
工程(1−3)で得られた表示媒体20の、表示領域内の、下地層及びコレステリック樹脂層を有する領域を肉眼で観察し、色を特定し、工程(1−1:下地層の形成)で特定した下地層の色から変化しているか否かを評価した。結果を表2に示す。
図4に概略的に示す構造を有する表示媒体を作製し評価した。
下地層用のインキとして、青色のインキに代えて、赤色のインキを用いた他は、実施例1の工程(1−1:下地層の形成)と同様にして、基材211及び下地層221を有する下地部材(2−1)を得た。得られた下地部材(2−1)の下地層221を有する領域を肉眼で観察し、色を特定した。
下地部材(2−1)の、下地層221を有する側の面上に、粘着層431、432及び433を介して、コレステリック樹脂層3(441)、コレステリック樹脂層4(442)及びコレステリック樹脂層2(443)を設け、図4に示す断面構造を有する表示媒体40を得た。その具体的な手順は、下記の通りである。
まず、下地部材(1−1)に代えて下地部材(2−1)を用いた他は、実施例1の工程(1−2:粘着層の形成)と同様にして、第1の粘着層431を形成し、基材211、下地層221及び第1の粘着層431を有する複層物(2−2A)を得た。
複層物(1−2)に代えて複層物(2−2A)を用いた点、及び製造例1で作製した複層物に代えて製造例3で作製した複層物を用いた点以外は、実施例1の工程(1−3:コレステリック樹脂層の転写)と同様にして、コレステリック樹脂層3を転写し、基材211、下地層221、第1の粘着層431及びコレステリック樹脂層3(441)を有する複層物(2−2B)を得た。
下地部材(1−1)に代えて複層物(2−2B)を用いた他は、実施例1の工程(1−2:粘着層の形成)と同様にして、第2の粘着層432を形成し、基材211、下地層221、第1の粘着層431、コレステリック樹脂層3(441)、及び第2の粘着層432を有する複層物(2−2C)を得た。
複層物(1−2)に代えて複層物(2−2C)を用いた点、及び製造例1で作製した複層物に代えて製造例4で作製した複層物を用いた点以外は、実施例1の工程(1−3:コレステリック樹脂層の転写)と同様にして、コレステリック樹脂層4を転写し、基材211、下地層221、第1の粘着層431、コレステリック樹脂層3(441)、第2の粘着層432及びコレステリック樹脂層4(442)を有する複層物(2−2D)を得た。
下地部材(1−1)に代えて複層物(2−2D)を用いた他は、実施例1の工程(1−2:粘着層の形成)と同様にして、第3の粘着層433を形成し、基材211、下地層221、第1の粘着層431、コレステリック樹脂層3(441)、第2の粘着層432、コレステリック樹脂層4(442)、及び第3の粘着層433を有する複層物(2−2E)を得た。
複層物(1−2)に代えて複層物(2−2E)を用いた点、及び製造例1で作製した複層物に代えて製造例2で作製した複層物を用いた点以外は、実施例1の工程(1−3:コレステリック樹脂層の転写)と同様にして、コレステリック樹脂層2を転写し、基材211、下地層221、第1の粘着層431、コレステリック樹脂層3(441)、第2の粘着層432、コレステリック樹脂層4(442)、第3の粘着層433、及びコレステリック樹脂層2(443)を有し、図4に示す断面構造を有する表示媒体40を得た。
基材として、厚さ100μmの黒色のPET製のシートを用意した。下地部材として当該黒色の基材を用い、当該基材の片面全面に粘着層及びコレステリック樹脂層を設けた他は、工程(2−2:粘着層及びコレステリック樹脂層の形成)と同様にして、(黒色の基材)/(第1の粘着層)/(コレステリック樹脂層3)/(第2の粘着層)/(コレステリック樹脂層4)/(第3の粘着層)/(コレステリック樹脂層2)の層構成を有する、評価用の複層物(2−3)を得た。
基材として、工程(2−3:コレステリック樹脂層の評価)で用いたものと同様の黒色の基材を用いた他は、工程(2−1:下地層の形成)と同様にして、黒色の基材及び下地層を有する複層物(2−4)を得た。得られた複層物(2−4)の下地層側の面の、色度(x2,y2)を測定した。また、法線方向から、この試料を肉眼で観察して色を特定した。結果を表2に示す。
工程(2−2)で得られた表示媒体の、表示領域内の下地層及びコレステリック樹脂層を有する領域を肉眼で観察し、色を特定し、工程(2−1:下地層の形成)で特定した下地層の色から変化しているか否かを評価した。結果を表2に示す。
工程(1−1:下地層の形成)及び工程(1−5:下地層の評価)において、下地層用のインキとして、青色のインキに代えて、黒色のインキを用いた他は、実施例1と同様に操作し、表示媒体、並びにコレステリック樹脂層評価用の複層物及び下地層評価用の複層物を作製し評価した。結果を表2に示す。
表示媒体の評価においては、フィルター1を通して表示媒体を観察した場合には、表示領域R1の下地層221により規定される文字L1ははっきりと視認された一方、表示領域R2のコレステリック樹脂層241により規定される文字L2は全く視認されなかった。これに対し、フィルター2を通して表示媒体を観察した場合には、表示領域R1の下地層221により規定される文字L1は全く視認されなかった一方、表示領域R2のコレステリック樹脂層241により規定される文字L2ははっきりと視認された。
工程(1−3:コレステリック樹脂層の転写)及び工程(1−4:コレステリック樹脂層の評価)において、製造例1で作製した複層物に代えて製造例2で作製した複層物を用い、コレステリック樹脂層1に代えてコレステリック樹脂層2を転写した他は、実施例1と同様に操作し、表示媒体、並びにコレステリック樹脂層評価用の複層物及び下地層評価用の複層物を作製し評価した。結果を表2に示す。
表示媒体の評価においては、フィルター1を通して表示媒体を観察した場合には、表示領域R1の下地層221により規定される文字L1ははっきりと視認された一方、表示領域R2のコレステリック樹脂層241により規定される文字L2は全く視認されなかった。これに対し、フィルター2を通して表示媒体を観察した場合には、表示領域R1の下地層221により規定される文字L1は視認された一方、表示領域R2のコレステリック樹脂層241により規定される文字L2も視認された。
工程(1−3:コレステリック樹脂層の転写)及び工程(1−4:コレステリック樹脂層の評価)において、製造例1で作製した複層物に代えて製造例3で作製した複層物を用い、コレステリック樹脂層1に代えてコレステリック樹脂層3を転写した他は、実施例1と同様に(比較例1)、又は実施例3と同様に(比較例2)操作し、表示媒体、並びにコレステリック樹脂層評価用の複層物及び下地層評価用の複層物を作製し評価した。結果を表2に示す。
比較例1、比較例2とも、表示媒体の評価においては、フィルター1を通して表示媒体を観察した場合には、表示領域R1の下地層221により規定される文字L1ははっきりと視認された一方、表示領域R2のコレステリック樹脂層241により規定される文字L2は全く視認されなかった。これに対し、フィルター2を通して表示媒体を観察した場合には、表示領域R1の下地層221により規定される文字L1は視認された一方、表示領域R2のコレステリック樹脂層241により規定される文字L2も視認された。
工程(1−3:コレステリック樹脂層の転写)及び工程(1−4:コレステリック樹脂層の評価)において、製造例1で作製した複層物に代えて製造例4で作製した複層物を用い、コレステリック樹脂層1に代えてコレステリック樹脂層4を転写した他は、実施例1と同様に(比較例3)、又は実施例3と同様に(比較例4)操作し、表示媒体、並びにコレステリック樹脂層評価用の複層物及び下地層評価用の複層物を作製し評価した。結果を表2に示す。
比較例3、比較例4とも、表示媒体の評価においては、フィルター1を通して表示媒体を観察した場合には、表示領域R1の下地層221により規定される文字L1ははっきりと視認された一方、表示領域R2のコレステリック樹脂層241により規定される文字L2は全く視認されなかった。これに対し、フィルター2を通して表示媒体を観察した場合には、表示領域R1の下地層221により規定される文字L1は視認された一方、表示領域R2のコレステリック樹脂層241により規定される文字L2も視認された。
40:表示媒体
211:基材
221:下地層
231:粘着層
241:コレステリック樹脂層
431:粘着層
441:コレステリック樹脂層
432:粘着層
442:コレステリック樹脂層
433:粘着層
443:コレステリック樹脂層
R1:表示領域
R2:表示領域
Claims (6)
- 真正性識別用の表示領域を有する表示媒体であって、
前記表示領域において、下地部材、及び前記下地部材の面上に設けられたコレステリック規則性を有する樹脂層を有し、
前記コレステリック規則性を有する樹脂層を、垂直方向から観察した際の、xy色度図におけるx座標の値x1が0.30以上0.40以下であり、y座標の値y1が0.30以上0.40以下であることを特徴とする表示媒体。 - 前記表示領域内の前記下地部材の面を、垂直方向から観察した際の、xy色度図におけるx座標の値x2及びy座標の値y2が、下記式(A):
(|x2−0.33|−|x1−0.33|)+(|y2−0.33|−|y1−0.33|)≧0 式(A)
の条件を満たす、請求項1に記載の表示媒体。 - 前記下地部材の一部又は全部が黒色である、請求項1又は2に記載の表示媒体。
- 前記コレステリック規則性を有する樹脂層が、正面方向から観察した場合、及び斜め方向から観察した場合のいずれにおいても無色である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示媒体。
- 前記コレステリック規則性を有する樹脂層の、垂直方向の反射光の可視光平均反射率が、25%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示媒体。
- 前記コレステリック規則性を有する樹脂層が、1層の、コレステリック液晶組成物の塗膜の硬化物からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示媒体。
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