JP2009243473A - ロッカーアームの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アーム本体となる支持体4に、カムフォロアとなるローラ10を介在させる一対の対向壁部4aを設ける。ローラ10を支持する軸11の両端を、対向壁部4aに設けられた支持孔12にそれぞれ嵌合させる。軸11の両端部に、支持孔12の開口縁に設けられた座繰面12aに押し当てられるかしめ部13を設ける。かしめ部13は、軸端面に軸心と同心の環状切込溝15を形成してその外周の環状部を拡開させたものであって、全周に渡って均一な断面形状のものとする。軸11の端面は、センタ穴のない平坦な面とする。軸11のかしめ加工は、軸11を一端が一方の対向壁部4aの外面よりも引っ込むようにずらせておき、受け側と押し側のポンチ21,22で両端同時に行う。
【選択図】 図3
Description
かしめ作業では、図8(A)に示すように、ローラ52の支持用の軸51の両端部を、アーム本体53に設けられた一対の対向壁部53aの支持孔54に嵌合させ、軸端を受け側のポンチ55上に載せて、押し側のポンチ56を押し下げることにより、両端同時かしめを行う(同図(B))。アーム本体53は、かしめ作業を行うときに、治具57で水平に支持しておく。
前記軸の両端を前記支持体に前記かしめ固定する過程として、前記軸の両端部を前記支持体の一対の対向壁部の前記支持孔に嵌合させる嵌合過程と、この嵌合した軸の両端部をかしめる過程とを含む。
前記嵌合過程では、前記軸の一端が前記対向壁部の外面よりも引っ込むように、一対の対向壁部の幅中心に対してずらせた状態に嵌合させる。
前記かしめ過程では、前記支持体を水平に載せる受け台と、対向する受け側および押し側のポンチとを用い、前記受け側のポンチは上向きに固定設置され、押し側のポンチは受け側のポンチと同心位置でその上方に対向して進退自在に設置され、前記各ポンチは、前記軸の直径よりも若干小径の環状突起を先端にそれぞれ有し、前記受け側のポンチは、その環状突起が前記受け台よりも所定高さだけ突出するように設置する。
また、前記かしめ過程では、前記受け側のポンチ上に、前記軸の引っ込み側の端面が位置するように、前記軸の嵌合した前記支持体の前記受け台上への配置を行い、この状態で押し側のポンチを下降させて前記軸の上側の端面に押し付けて、両ポンチの前記環状突起を前記軸の各端面に食い込ませて軸端面に軸心と同心の環状切込溝を形成しかつこの環状切込溝よりも外周の環状部を拡開させてなるかしめ部を前記軸の両端に同時に形成し、前記支持体の幅中心に対してずらせて配置してあった軸は、受け側のポンチの環状突起が軸の端面に食い込むに従って下側へ移動し、かしめの完了状態では、前記支持体の幅中心と前記軸の長さの中心とを一致させる。
この構成によると、軸端のかしめ部が全周に渡って均一な断面形状のものであるため、アーム本体となる支持体に対して、軸の両端の固定が、堅固で信頼性の高いものとなる。軸の端面は平坦な面であるが、例えば、かしめ加工前に軸の位置をずらせておくことなどで、簡単な工程で上記の堅固なかしめ部の加工が行える。
この種のロッカーアームにおいて、所定の条件下においては、信頼性の確保のために必要な軸の抜け荷重が、400kgf以上であるとされる。試験によると、軸の抜け荷重を400kgf以上とするために必要な最低のかしめ後掛代は、0.1mm以上であった。つまり、かしめ後掛代が0.1mm以上であると、上記所定の条件下において、ロッカーアーム本体となる支持体に対して、軸の固定が信頼性のある堅固なものとできる。
この種のロッカーアームにおいて、適切なかしめ後掛代は、要求される抜け荷重によって定まる。エンジンの動弁機構におけるロッカーアームにおいて、通常に要求される抜け荷重に対して、最低限のかしめ後掛代は0.05〜0.2mmであることが、試験および考察により確認できた。また、かしめ後掛代が大き過ぎると、その大きなかしめ後掛代を得るための加圧により、軸の中央に膨れ部が生じてローラの支持に対する寿命低下等の影響を受けることがあり、かしめ後掛代の適切な上限は0.2mmである。
軸の端面が硬いと、環状切込溝を形成してその外周の環状部を拡開させてなるかしめ部を形成することが難しく、無理にかしめ部を形成することは、軸の中央に膨れ部が生じてローラの支持に対する寿命低下等の影響を受けることがある。軸の端面の硬度がHv600以下であると、無理なくかしめ加工が行え、また軸の中央に膨れ部が生じることが回避できる。
図3,図4に拡大して示すように、支持孔12は、対向壁部4aの外面側の開口縁にテーパ状の座繰面12aを有するものとする。テーパ状とされた座繰面12aの傾き角度θは、例えば45°程度とされる。
軸11は、ローラ10に接する周面が熱処理により硬化処理されたものであることが好ましいが、軸端面の硬度は、Hv600以下とすることが好ましい。軸11の外周面の硬度を高く得ながら、軸端面の硬度をHv600以下とするには、軸11に両端を残して熱処理を行うこと等で可能である。
受け側のポンチ21は、その環状突起21が受け台23よりも所定高さA(これを「ポンチセット量」と称す)だけ突出するように設置される。
(1) 軸11の両側を、仮止めなどの前工程無しで同時かしめ加工でき、加工工数が低減する。そのため、製作コストが低減できる。
(2) センタ穴を設けて支持に利用するものと異なり、軸11の位置決めが容易であるにもかかわらず、簡易な装置でかしめ加工が行える。
(3) かしめ加工を行う際に、先にアーム本体である支持体4と軸11とを仮止めで位置決めする必要がなく、かしめ加工機に設置するのみで軸11の位置決めが可能になる。ただし、かしめ時の軸11の移動量をセット時に考慮する必要がある。この移動量の考慮により、受け台23に載せられた支持体4の下面に対して、ポンチ21が突出するポンチセット量Aを設定する。
この関係式によると、軸11の抜け荷重が400kgf以上必要である場合、かしめ部13のかしめ後掛代hは、0.1mm以上であることが好ましい。また、かしめ後掛代が大き過ぎると、その大きなかしめ後掛代を得るための加圧により、軸の中央に膨れ部が生じてローラの支持に対する寿命低下等の影響を受けることがあり、かしめ後掛代の適切な上限は0.2mmである。要求される抜け荷重によっては、かしめ後掛代hは、0.05〜0.2mmの範囲が好ましい。
(6) 両端に同時かしめ加工を行うため、軸11の軌道面となる中央部の膨れが回避される。このため、転動寿命の確保に有利である。
さらに、上記各実施形態では、中実の軸11を用いた場合につき説明したが、軸11が中空軸の場合にも、この発明のロッカーアームを適用することができる。
2…カム
4…支持体
4a…対向壁部
10…ローラ
11…軸
12…支持孔
12a…座繰面
13…かしめ部
15…環状切込溝
21…受け側のポンチ
22…押し側のポンチ
23…受け台
h…かしめ後掛代
Claims (1)
- アーム本体となる支持体に、カムフォロアとなるローラを介在させる一対の対向壁部を有し、前記ローラを支持する軸の両端が、前記一対の対向壁部に設けられた支持孔にそれぞれ嵌合し、この軸の両端部に、前記支持孔の対向壁部外面側の開口縁に設けられた座繰面に押し当てられて前記支持体にかしめ固定するかしめ部を有し、カムにより揺動駆動されて内燃機関のバルブを動作させるロッカーアームを製造する方法であって、
前記軸の両端を前記支持体に前記かしめ固定する過程として、前記軸の両端部を前記支持体の一対の対向壁部の前記支持孔に嵌合させる嵌合過程と、この嵌合した軸の両端部をかしめる過程とを含み、
前記嵌合過程では、前記軸の一端が前記対向壁部の外面よりも引っ込むように、一対の対向壁部の幅中心に対してずらせた状態に嵌合させ、
前記かしめ過程では、前記支持体を水平に載せる受け台と、対向する受け側および押し側のポンチとを用い、前記受け側のポンチは上向きに固定設置され、押し側のポンチは受け側のポンチと同心位置でその上方に対向して進退自在に設置され、前記各ポンチは、前記軸の直径よりも若干小径の環状突起を先端にそれぞれ有し、前記受け側のポンチは、その環状突起が前記受け台よりも所定高さだけ突出するように設置し、
前記かしめ過程では、前記受け側のポンチ上に、前記軸の引っ込み側の端面が位置するように、前記軸の嵌合した前記支持体の前記受け台上への配置を行い、この状態で押し側のポンチを下降させて前記軸の上側の端面に押し付けて、両ポンチの前記環状突起を前記軸の各端面に食い込ませて軸端面に軸心と同心の環状切込溝を形成しかつこの環状切込溝よりも外周の環状部を拡開させてなるかしめ部を前記軸の両端に同時に形成し、前記支持体の幅中心に対してずらせて配置してあった軸は、受け側のポンチの環状突起が軸の端面に食い込むに従って下側へ移動し、かしめの完了状態では、前記支持体の幅中心と前記軸の長さの中心とを一致させる、
ことを特徴とするロッカーアームの製造方法。
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