JP2009243398A - 内燃機関の制御方法及び該方法を実行するプログラム - Google Patents

内燃機関の制御方法及び該方法を実行するプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】運転条件が変化する際に、吸気管圧力,点火時期,燃料供給量及び有効圧縮比を運転条件の変化に応じて制御し、負荷変化に対応しつつ内燃機関での弊害発生を防止する。
【解決手段】要求負荷が一定の際に、吸気管圧力(TVO),有効圧縮比(θVVT),燃料供給量(FP),点火時期(SA)の4つの制御パラメータを、第1制御パラメータ値に設定して運転する定常時運転工程と、4つの制御パラメータを要求負荷変化に応じた第2制御パラメータ値に設定して運転する過渡時運転工程とを備え、過渡時運転工程は、過渡期間中に、4つの制御パラメータの少なくとも1つを第1順序で順次に補正して第1制御パラメータ値から第2制御パラメータ値に異ならせる工程と、第1の制御パラメータ値から第2制御パラメータ値に異ならせた制御パラメータを、第2順序で順次に第1の制御パラメータ値に戻す工程とを備えた。
【選択図】図7

Description

本発明は、内燃機関の制御方法及び該方法を実行するプログラムに係り、特に車両運転条件に応じて吸気管圧力,点火時期,燃料供給量及び有効圧縮比を制御して、要求負荷に応じて内燃機関を制御する方法及び該方法を実行するプログラムに関する。
従来、内燃機関では、吸気管圧力,点火時期,燃料供給量,有効圧縮比の基本的な4つのパラメータを制御している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、具体的には、スロットル開度,点火時期,燃料供給量,吸気弁閉時期を制御している。そして、特許文献1では、これら4つのパラメータが内燃機関の運転条件、つまり機関負荷と速度に応じて設定された値となるように、各制御デバイスが制御される。
また、内燃機関の制御方法において、急加速時等の運転条件が急激に変化する過渡時に、定常状態に合わせて設定されたパラメータに補正を加えることが知られている。このように補正を加えることで、パラメータの応答遅れを補償して、意図した運転状態を実現することができる。
特開2007−247434号公報
しかしながら、上記4つのパラメータは、制御幅及び応答性が異なるので、運転条件が急激に変化する際に、これらのパラメータに同時に補正を加えると過補正となり、エミッションの増加や燃費悪化等の弊害を招くおそれがあるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、運転条件が変化する際に、吸気管圧力,点火時期,燃料供給量及び有効圧縮比を運転条件の変化に応じて適切に制御することで、負荷変化に対応しつつ、内燃機関での弊害発生を防止することができる内燃機関の制御方法及び該方法を実行するプログラムを提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、所定の運転条件において要求負荷が一定の際に、吸気管圧力,有効圧縮比,燃料供給量及び点火時期からなる4つの制御パラメータを、要求負荷に応じた第1制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する定常時運転工程と、所定の運転条件において要求負荷が変化する際に、4つの制御パラメータを、要求負荷変化に応じた第2制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する過渡時運転工程と、を備え、第2制御パラメータ値は、4つの制御パラメータの少なくとも1つが第1制御パラメータ値と異なるものであって、過渡時運転工程は、過渡期間中に、4つの制御パラメータの少なくとも1つを第1順序で順次に補正して第1制御パラメータ値から第2制御パラメータ値に異ならせる工程と、第1の制御パラメータ値から第2制御パラメータ値に異ならせた制御パラメータを、第1順序と異なる第2順序で順次に第1の制御パラメータ値に戻す工程と、を備えることを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、要求負荷変化に応じて、過渡期間中に4つの制御パラメータの補正開始時期及び補正終了時期を各制御パラメータに応じて変更することで、各制御パラメータを、各々の制御幅及び応答性の有利不利に応じて使い分けることができる。これにより、燃費低下,ノッキング発生及びエミッション増大等の弊害を発生させることなく負荷変化に対応することができる。
また、本発明において好ましくは、過渡時運転工程は、運転条件に応じて第1順序を変更する工程を更に有する。このように構成された本発明によれば、運転条件に応じて、4つの制御パラメータの補正開始時期を変更することで、各制御パラメータの制御幅及び応答性の有利不利をより有効に利用して負荷変化に対応することができる。
また、本発明において好ましくは、過渡時運転工程は、運転条件に応じて第2順序を変更する工程を更に有する。このように構成された本発明によれば、運転条件に応じて、4つの制御パラメータの補正終了時期を変更することで、各制御パラメータの制御幅及び応答性の有利不利をより有効に利用して燃費低下等の弊害の発生を抑制することができる。
また、上記の目的を達成するために、本発明は、所定の運転条件において要求負荷が一定の際に、吸気管圧力,有効圧縮比,燃料供給量及び点火時期からなる4つの制御パラメータを、要求負荷に応じた第1制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する定常時運転工程と、所定の運転条件において要求負荷が変化する際に、4つの制御パラメータを、要求負荷変化に応じた第2制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する過渡時運転工程と、を備え、第2制御パラメータ値は、4つの制御パラメータの少なくとも1つが第1制御パラメータ値と異なるものであって、過渡時運転工程は、過渡期間中に、4つの制御パラメータの少なくとも1つを第1順序で順次に補正して第1制御パラメータ値から第2制御パラメータ値に異ならせる工程と、第1の制御パラメータ値から第2制御パラメータ値に異ならせた制御パラメータを、第2順序で順次に第1の制御パラメータ値に戻す工程と、運転条件に応じて前記第1順序を変更する工程と、を備えることを特徴としている。
また、上記の目的を達成するために、本発明は、所定の運転条件において要求負荷が一定の際に、吸気管圧力,有効圧縮比,燃料供給量及び点火時期からなる4つの制御パラメータを、要求負荷に応じた第1制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する定常時運転工程と、所定の運転条件において要求負荷が変化する際に、4つの制御パラメータを、要求負荷変化に応じた第2制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する過渡時運転工程と、を備え、第2制御パラメータ値は、4つの制御パラメータの少なくとも1つが第1制御パラメータ値と異なるものであって、過渡時運転工程は、過渡期間中に、4つの制御パラメータの少なくとも1つを第1順序で順次に補正して第1制御パラメータ値から第2制御パラメータ値に異ならせる工程と、第1の制御パラメータ値から第2制御パラメータ値に異ならせた制御パラメータを、第2順序で順次に第1の制御パラメータ値に戻す工程と、運転条件に応じて第2順序を変更する工程と、を備えることを特徴としている。
また、上記の目的を達成するために、本発明のプログラムは、内燃機関を制御する制御器で実行されることによって、上記内燃機関の制御方法を実現することを特徴とする。
本発明の内燃機関の制御方法及び該方法を実行するプログラムによれば、運転条件が変化する際に、吸気管圧力,点火時期,燃料供給量及び有効圧縮比を運転条件の変化に応じて適切に制御することで、負荷変化に対応しつつ、内燃機関での弊害発生を防止することができる。
以下、添付図面図1乃至図9を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は車両パワートレインの説明図、図2はエンジンシステムの概略構成図、図3は通常運転状態におけるエンジン制御フローチャート、図4はエンジン制御器の機能ブロック図、図5はトルク余裕テーブルの説明図、図6は期間制限テーブルの説明図、図7は定常状態からの急加速シーンでの制御パラメータ切替え制御の説明図、図8は定常状態からの減速シーンでの制御パラメータ切替え制御の説明図、図9はアイドル状態における負荷要求シーンでの制御パラメータ切替え制御の説明図である。
本実施形態では、本発明の内燃機関の制御方法をFR車両のエンジンに適用した例を示す。
図1に示すように、本実施形態の車両1は、左右の後輪2a,2bが駆動輪,左右の前輪が従動輪であるFR車両であり、この車両1のパワートレイン3は、エンジン4と、このエンジンに接続された自動変速機5等を備えて構成されている。
自動変速機5は、ロックアップクラッチ5bを有するトルクコンバータ(流体継手)5aと変速歯車機構5cとからなり、エンジン4からの駆動力はドライブシャフト6,差動装置7,左右の車軸8a,8bを介して左右の後輪2a,2bに伝達される。
エンジンシステムは、エンジン4と、エンジン4を制御するエンジン制御器100とを備えている。また、エンジン4には、オルタネータやエアコン(空調機)等のエンジン補機9が設けられている。
エンジン制御器100は、種々のセンサからの信号に基づき、エンジン4に付随するアクチュエータに制御信号を出力してエンジン4を制御する。また、エンジン制御器100は、自動変速機5の変速段を変速マップに基づいて自動制御する変速制御や、ロックアップクラッチ5bに対する締結制御等を行う。
図2に示すように、エンジン4は、火花点火式内燃機関であって、第1〜第4の4つのシリンダ11を有する。ただし、エンジン4は、いかなる数のシリンダを有するものであってもよい。エンジン4は、図示しない出力軸が自動変速機5を介して駆動輪2a,2bに連結されている。エンジン4の出力が駆動輪2a,2bに伝達されることによって車両が推進する。
エンジン4は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えており、ブロック12の内部にシリンダ11が形成されている。シリンダブロック12には、ジャーナル、ベアリング等によりクランクシャフト14が回転自在に支持されており、このクランクシャフト14が、コネクティングロッド16を介してピストン15に連結されている。
ピストン15は、各シリンダ11内に摺動自在に嵌挿されており、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画している。図には1つのみ示すが、各シリンダ11に対して2つの吸気ポート18がシリンダヘッド13に形成され、それぞれが燃焼室17に連通している。同様に、各シリンダ11に対して2つの排気ポート19がシリンダヘッド13に形成され、それぞれが燃焼室17に連通している。
図2に示すように、吸気弁21及び排気弁22は、それぞれ吸気ポート18及び排気ポート19を燃焼室17から遮断(閉)することができるように配設されている。吸気弁21は吸気弁駆動機構30により、排気弁22は排気弁駆動機構40により、それぞれ駆動され、それによって所定のタイミングで往復動して、吸気ポート18及び排気ポート19を開閉する。
吸気弁駆動機構30及び排気弁駆動機構40は、それぞれ吸気カムシャフト31及び排気カムシャフト41を有する。カムシャフト31,41は、カムシャフト/スプロケット機構等の動力伝達機構を介してクランクシャフト14に連結されている。動力伝達機構は、クランクシャフト14が二回転する間に、カムシャフト31,41を一回転させる。
吸気弁駆動機構30は、吸気カムシャフト31の位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な位相可変機構(Variable Valve Timing:VVT)32を含んで構成されている。VVT32は、動力伝達機構と吸気カムシャフト31との間に設けられている。このVVT32は、クランクシャフト14により直接駆動され且つ吸気カムシャフト31と同軸に配置された被駆動軸(図示省略)と吸気カムシャフト31との間に、エンジン制御器100からの制御信号(バルブ位相角)θVVT_Dに応じた位相差を設けるように構成されている。これにより、空気量(有効圧縮比)の調整が行われる。
VVT32は、例えば液圧式や電磁式等の位相可変機構とすることができる。液圧式の場合、被駆動軸と吸気カムシャフト31との間に周方向に並ぶ複数の液室を設け、それらの液室間に圧力差を設けることによって、前記位相差を作り出すことができる。電磁式の場合、被駆動軸と吸気カムシャフト31との間に電磁石と一方向に位相差を設けるような付勢力を生じるスプリングとを有する構成とし、その電磁石に電力を付与することによって前記位相差を作り出すことができる。
吸気カムシャフト31の位相角は、カム位相センサ35により検出され、その出力信号θVVT_Aがエンジン制御器100に入力される。
点火プラグ51は、例えばねじ等の周知の構造によって、シリンダヘッド13に取り付けられている。点火システム52は、エンジン制御器100からの制御信号(点火時期)SADを受けて、点火プラグ51が所望の点火タイミングで火花を発生するよう、それに通電する。これにより、点火時期の調整が行われる。
燃料噴射弁53は、例えばブラケットを使用する等、周知の構造でシリンダヘッド13の一側(図例では吸気側)に取り付けられている。燃料噴射弁53の先端は、上下方向については2つの吸気ポート18の下方に、また、水平方向については2つの吸気ポート18の中間に位置して、燃焼室17内に臨んでいる。
燃料供給システム54は、燃料噴射弁53に燃料を昇圧して供給する高圧ポンプ(図示せず)と、この高圧ポンプに対して燃料タンクからの燃料を送る配管やホース等と、燃料噴射弁53を駆動する電気回路と、を備えている。この電気回路は、エンジン制御器100からの制御パルス信号(燃料噴射量)FPDを受けて燃料噴射弁53のソレノイドを作動させ、所定のタイミングで所望量の燃料を、燃焼室17内に噴射させる。これにより、燃料供給量の調整が行われる。
吸気ポート18は、吸気マニホルド55内の吸気通路55bによってサージタンク55aに連通している。図示しないエアクリーナからの吸気流は、スロットルボデー56を通過してサージタンク55aに供給される。スロットルボデー56にはスロットル弁57が配置されており、このスロットル弁57は、サージタンク55aに向かう吸気流を絞って、その流量を調整する。スロットル・アクチュエータ58が、エンジン制御器100からの制御信号(スロットル開度)TVODを受けて、スロットル弁57の開度を調整する。これにより、空気量(吸気管圧力)の調整が行われる。
排気ポート19は、排気マニホルド60内の排気通路を介して排気管内の通路に連通している。排気マニホルド60内よりも下流の排気通路には、1つ以上の触媒コンバータ61を有する排気ガス浄化システムが配置されている。触媒コンバータ61は、三元触媒、リーンNOX触媒、酸化触媒等とすることができ、それ以外にも、特定の燃料制御手法による排気ガス浄化の目的にかなうものであれば、いかなるタイプの触媒としてもよい。
また、排気ガスの一部を吸気系に循環させる(以下、EGRともいう)ために、吸気マニホルド55(スロットル弁57よりも下流側)と排気マニホルド60との間がEGRパイプ62によって接続されている。排気側の圧力は吸入側よりも高いので、排気ガスの一部は吸気マニホルド55に流れ込むようになり(EGRガスと呼ぶ)、この吸気マニホルド55から燃焼室17に吸入される新気と混ざることになる。EGRパイプ62にはEGRバルブ63が配設され、このバルブ63によってEGRガスの流量を調整する。EGRバルブ・アクチュエータ64は、エンジン制御器100からの制御信号EGROPENを受けて、EGRバルブ63の開度を調整する。
エンジン制御器100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、車両パワートレインの制御方法を記憶したプログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。
エンジン制御器100は、アクセル・ペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ75からのアクセル開度信号α,自動変速機5の出力軸の回転速度を検出する車速センサ76からの車速信号VSP,勾配センサ77からの路面勾配(車両傾斜)θ,大気圧センサ78からの大気圧P,温度センサ79からのエンジンルーム温度TE,空調機80からの操作信号AC,エアフローセンサ71からの吸気流量AF,吸気圧センサ72からの吸気マニホルド圧MAP,クランク角センサ73からのクランク角パルス信号,酸素濃度センサ74からの排気ガスの酸素濃度EGO等の種々の入力を受ける。エンジン制御器100は、クランク角パルス信号に基づいて、エンジン回転数NENGを計算する。
また、エンジン制御器100は、上述の種々の入力に基づいて、例えば、所望のスロットル開度TVOD、燃料噴射FPD、点火時期SAD、バルブ位相角θVVT_D等のエンジン4の制御パラメータを計算し、それらの信号を、スロットル・アクチュエータ58,燃料供給システム54,点火システム52,VVT32等に出力する。
図3は、エンジン制御器100が実行する制御フローの概略を示している。この制御フローは、エンジン4の始動後の通常(定常)運転状態において、エンジン制御器100が実行するフローである。
この処理フローでは、エンジン制御器100は、まず各種信号を読み込み(ステップS1)、引き続いてアクセル開度α,エンジン回転数NENG,車速VSPに基づいて、予め設定されたマップ(図示省略)に従い、目標トルクTQDを算出する(ステップS2)。
次いで、エンジン制御器100は、算出した目標トルクTQD,エンジン回転数NENGに基づいて、予め設定されたマップ(図示省略)に従い、燃料噴射FPD,要求気筒空気充填量CED,点火時期SADを算出する(ステップS3)。
そして、エンジン制御器100は、要求気筒空気充填量CED,エンジン回転数NENGに基づいて、予め設定されたマップ(図示省略)に従い、目標バルブ位相角θVVT_Dを算出する(ステップS4)。このマップは、要求気筒空気充填量CEDとエンジン回転数NENGの組合せに対して、目標バルブ位相角θVVT_Dが対応付けられたものである。
次いで、エンジン制御器100は、要求気筒空気充填量CED,エンジン回転数NENGに基づいて、予め設定されたマップ(図示省略)に従い、目標スロットル開度TVODを算出する(ステップS5)。このマップは、要求気筒空気充填量CEDとエンジン回転数NENGの組合せに対して、目標スロットル開度TVODが対応付けられたものである。
そして、エンジン制御器100は、算出したスロットル開度TVOD,点火時期SAD,バルブ位相角θVVT_D,燃料噴射FPDに基づいて、それぞれスロットル・アクチュエータ58,点火システム52,VVT32,燃料供給システム54を制御する(ステップS6)。
次に、エンジン制御器100が実行する要求負荷変化時の制御について説明する。この制御は、車両加減速時,駆動負荷の変化時等に行われる制御である。
図4は、この制御を行うためのエンジン制御器100の機能ブロック図である。本実施形態では、要求負荷変化制御を行うために、エンジン制御器100は、加速度目標設定部110と、加速度目標制御部120と、トルク目標制御部130と、回転数目標設定部140と、回転数目標制御部150とを備えている。
加速度目標設定部110は、要求負荷の変化のうち、車両加速度の変化を伴う要求負荷の変化(例えば、走行中のアクセル操作,ブレーキ操作等)に基づいて、目標出力である目標加速度GDを算出し、目標加速度GD(目標出力)を加速度目標制御部120に出力するように構成されている。加速度目標制御部120は、目標加速度GDから目標トルクTQDを算出し、これをトルク目標制御部130に出力するように構成されている。
詳しくは、加速度目標設定部110は、理想的な加速度波形をあらわすマップデータを記憶しており、ドライバからの運転操作信号やセンサ出力等(アクセル開度α,エンジン回転数NENG,車速VSP,ブレーキスイッチ信号,変速段状態等の信号)を受け取り、マップデータに基づいて最適な加速度波形を出力するように構成されている。なお、「加速度」は、負の加速度(すなわち減速)を含む。
一方、回転数目標設定部140は、要求負荷の変化(例えば、アイドル中の空調機オン,パワーステアリングオン等)に伴って、エンジン(機関)の目標回転数NGを算出し、目標回転数NG(目標出力)を回転数目標制御部150に出力するように構成されている。回転数目標制御部150は、目標回転数NDから目標トルクTQDを算出し、これをトルク目標制御部130に出力するように構成されている。
詳しくは、回転数目標設定部140は、各種シーンに応じた目標回転数をあらわすマップデータを記憶しており、ドライバからの操作信号やセンサ出力等(エンジン回転数NENG,空調機操作信号AC,パワーステアリングシステムの操作信号,変速段状態等の信号)を受け取り、マップデータに基づいて最適な目標回転数を出力するように構成されている。
このように、本実施形態では、加速度目標設定部110及び加速度目標制御部120の組合せと、回転数目標設定部140及び回転数目標制御部150の組合せは、いずれもエンジン4が達成すべき目標トルクTQDを出力するように構成されている。そして、エンジン制御器100は、負荷要求が入力されたときに、運転条件に応じて、これらの組合せのいずれかを適切に選択するように構成されている。例えば、エンジン制御器100は、走行中に加速度目標制御し、停車中に回転数目標制御するように構成することができる。
加速度目標制御部120は、目標加速度GDに基づいて車両パワートレインモデルからなる仮想空間でシミュレートされた予測加速度GS(仮想目標出力)を、目標加速度GD(目標出力)に対してフィードバックして、予測加速度GSをフィードバック制御すると共に、予測加速度GSを算出するまでの途中の工程で算出される目標トルクTQD(仮想出力パラメータ)をトルク目標制御部130に出力するように構成されている。したがって、加速度目標制御部120は、予測加速度GSを目標加速度GDに追従させるようにフィードバック制御を行う。
加速度目標制御部120は、具体的には、フィードバック制御部121と、エンジンモデル(第1モデル)122と、車両構造に関する駆動系の伝達モデルである車両モデル(第2モデル)123を備えている。エンジンモデル122と車両モデル123により、車両パワートレインモデルが構成されている。
フィードバック制御部121は、制御要素であり、比較部から受け取った目標加速度GDと予測加速度GSとの偏差e(=GD−GS)である動作信号により、エンジンの仮想の操作量(仮想制御パラメータ)であるスロットル開度TVO,点火時期SA,バルブ位相角θVVT,燃料噴射FPをフィードバック制御により調整し、エンジンモデル122に出力する。
このフィードバック制御部121は、例えばPI制御器で構成することができる。この場合、偏差eを入力としたときの出力は以下の式で表される。
TVO_n=TVO_n-1+en・KI1+(en−en-1)・KP1
SA_n=SA_n-1+en・KI2+(en−en-1)・KP2
θVVT_n=θVVT_n-1+en・KI3+(en−en-1)・KP3
FP_n=FP_n-1+en・KI4+(en−en-1)・KP4
上式中、変数をXとしたとき、X_n,X_n-1は、それぞれ今回の処理値,前回(単位ステップ時間前)の処理値を表している。また、KI,KPは、それぞれ積分係数,比例係数である。
なお、本実施形態では、フィードバック制御部121でエンジンの操作量として、吸入空気量(吸気管圧力,有効圧縮比),点火時期,燃料供給量に関連する上記4つの操作量を用いているが、これらから選択した1以上の操作量のみを用いてもよい。例えば、エンジン出力に最も支配的であるスロットル開度TVOのみを操作量としてもよい。また、他のパワートレイン負荷に関する制御操作量を用いてもよい。さらに、フィードバック制御として、PI制御以外にもPID制御や他の制御方法を採用してもよい。
エンジンモデル122及び車両モデル123は制御対象であり、最終段の車両モデル123からは制御量として予測加速度GS(仮想目標出力)が出力される。また、上述のように、最終段の前段のエンジンモデル122からは目標トルクTQD(仮想出力パラメータ)が出力される。
エンジンモデル122,車両モデル123は、それぞれエンジン4,車両の駆動系の計算モデルである。エンジン4及び車両の駆動系は、機械系のガタ,すべり,弾性等に起因する応答遅れ時間(無駄時間)を有している。
これらの計算モデルは、定常モデルと、過渡応答モデルからなる。定常モデルは、入力(TVO,SA,θVVT,FP又はTQD)に対する定常状態での出力(TQD´又はGS´)の関係が与えられている。また、過渡応答モデルは、遅れ時間及び所定の時定数を加味したものであり、出力に対する過渡応答出力(TQD又はGS)の関係が与えられている。
エンジンモデル122は、車両運転条件に応じて、フィードバック制御部121から受け取った操作量に基づいて、エンジン4から出力されるトルクの予測値を出力する。この予測値は、目標トルクTQDとされ、車両モデル123及びトルク目標制御部130に出力される。
車両モデル123は、目標トルクTQDを受け取り、車両運転条件に応じて、車両に発生する加速度の予測値(予測加速度GS)を出力し、これを比較部に戻している。
このように、本実施形態では、加速度目標制御部120において、目標加速度GDに基づいて、実機の仮想モデルであるエンジンモデル122及び車両モデル123を介して、予測加速度GSをシミュレーションにより算出し、これをフィードバック制御している。すなわち、本実施形態の加速度目標制御では、実際に出力された実加速度を用いてフィードバック制御するのではなく、仮想空間内で予測した予測加速度GSを用いてフィードバック制御している。
したがって、予測加速度GSには、実加速度のように理想的な制御値への収束を乱す外乱要素が含まれていない。すなわち、本実施形態の加速度目標制御部120では、外乱要素を排除することができる。また、エンジンモデル122及び車両モデル123では、遅れ時間を実際のエンジン及び駆動系の遅れ時間よりも小さい値に設定してもよく、又は遅れ時間をなくしてもよい。
これにより、加速度目標制御部120では、制御量である予測加速度GSを理想的な加速度波形に収束させ、これらの偏差を極めて低減することができる。
また、これに伴って、予測加速度GSと同様に、エンジンモデル122の出力値である目標トルクTQDも外乱要素等の影響を排除することができる。したがって、出力される目標トルクTQDも理想的な目標トルク値に収束させることができる。
一方、回転数目標制御部150は、回転数目標設定部140から目標回転数NDを受け取り、これに基づいて、加速度目標制御部120と同様なフィードバック制御を行って、目標トルクTQDをトルク目標制御部130に出力する。このため、回転数目標制御部150は、加速度目標制御部120と同様に、フィードバック制御部,エンジンモデル,車両モデル,比較部等を有しており、車両モデルからの予測回転数をフィードバックし、フィードバック制御部で予測回転数と目標回転数との偏差に基づいて算出した操作量をエンジンモデルに出力し、エンジンモデルで算出された目標トルクTQDをトルク目標制御部130及び車両モデルに出力するように構成されている。
トルク目標制御部130は、車両運転条件に応じ、加速度目標制御部120又は回転数目標制御部150から入力される目標トルクTQDに基づいて、操作量(制御パラメータ)であるスロットル開度TVOD,点火時期SAD,バルブ位相角θVVT_D,燃料噴射FPDを算出する。
具体的には、トルク目標制御部130は、目標トルクTQDの定常状態からの変位分を補償するため、最適手段選択部132により、上記4つの制御パラメータから出力値を変更する制御パラメータを決定すると共に、決定した制御パラメータの補正量,変更時期又は変更順序を決定し、さらに、エンジン逆モデル131により、決定した制御パラメータ(又はその組合せ)で目標トルクTQDを達成できるように各制御パラメータ(TVOD,SAD,θVVT_D,FPD)の出力値を算出する。
エンジン制御器100は、トルク目標制御部130で算出された上記操作量(TVOD,SAD,θVVT_D,FPD)により、それぞれスロットル・アクチュエータ58,点火システム52,VVT32,燃料供給システム54を制御する。
このようにトルク目標制御部130から出力される操作量によってエンジン4を制御することにより、車両パワートレイン3を、目標加速度GD又は目標回転数NDに近似した滑らかな加速度波形又は回転数波形を形成するように作動させることができる。
次に、トルク目標制御部130についてより詳細に説明する。
最適手段選択部132は、要求負荷が一定の定常状態から要求負荷が変化する種々のシーンで適切に上記4つの制御パラメータから出力値を変更する制御パラメータ,及び各制御パラメータの補正量,変更時期(変更開始時期,変更終了時期)又は変更順序を決定するための2種類のテーブル(トルク余力テーブル133,期間制限テーブル134)を有している。上記シーンには、定常状態からの急加速シーン及び減速シーン,アイドル中での空調機作動開始シーン,アイドル中でのパワーステアリングシステム作動シーン等が含まれる。
トルク余裕テーブル133は、所与の車両運転条件(現在の上記制御パラメータ値,エンジン回転数NENG,車速VSP等)で想定される各シーンにおいて、各制御パラメータの出力値(制御量)の変更により、増減可能な余裕トルク量をあらわしている。また、トルク余裕テーブル133は、各制御パラメータの応答時間をトルク量と共に記憶していてもよい。
図5は、例えばアイドル中に空調機80を所定の負荷でオンとした場合のトルク余裕テーブル133を示している。この場合、図5は、スロットル開度,点火時期,燃料供給量,バルブ位相角を独立に制御することにより、それぞれ+100(N・m),+20(N・m),+20(N・m),+20(N・m)だけ、目標トルクTQDを変化(増加)させる余裕があることを示している。
期間制限テーブル134は、トルク余裕テーブル133に関連して設定されており、各シーンで許容されている最大トルク量(余裕トルク量)を増減させるように各制御パラメータを制御した場合に、各制限項目が単位時間当たり影響を受ける度合を示している。ここでは、制限項目として、ノッキングの発生,熱負荷,エミッションの発生,燃費悪化が設定されている。
図6に、ある車両運転条件での期間制限テーブル134の例を示す。図6では、例えば、ノッキングの発生について、スロットル開度TVOの制御では影響度合がゼロであり、点火時期SAを最大限度まで進角した場合の影響度合は7である。
最適手段選択部132は、負荷要求変化に応じた目標トルクTQDの変位量を補償するため、トルク余裕テーブル133に基づいて、各制御パラメータの余裕トルク量及び応答性から、最適且つ効率的な少なくとも1つの制御パラメータを選択すると共に、選択した制御パラメータによる補正量を決定する。
エンジン逆モデル131は、エンジンモデル122と入出力が逆となる計算モデルであり、目標トルクTQDから、4つの制御パラメータ(スロットル開度TVOD,点火時期SAD,バルブ位相角θVVT_D,燃料噴射FPD)を算出可能となっている。
エンジン逆モデル131は、負荷要求が一定の定常状態における上記4つの制御パラメータの出力値(第1パラメータ値)を記憶しており、負荷要求が変化した過渡時には、目標トルクTQDを達成するべく、新たに4つの制御パラメータの出力値(第2パラメータ値)を算出する。
このとき、エンジン逆モデル131は、選択された各制御パラメータが決定された補正量を補償し、選択されなかった制御パラメータが定常状態と同じ出力値を保持するように、新たに4つの制御パラメータの出力値を算出する。これにより、目標トルクTQDの変位量は、選択された制御パラメータによって補償される。
最適手段選択部132は、期間制限テーブル134に基づいて、選択されている制御パラメータの補正量に応じて、各制限項目の影響度合を制御時間の経過と共に累積加算する。そして、最適手段選択部132は、各制限項目の影響度合の累積値が、制限項目毎に安全マージンをみこして設定された閾値に到達したときに、当該制限項目の制御フラグをオンにし、当該制限項目で影響度合が大きい制御パラメータの選択を停止する。選択が停止された制御パラメータは補正量がゼロとなるので、エンジン逆モデル131での処理により、当該制御パラメータは定常状態の出力値に戻される。各制限項目の制御フラグは、それぞれノッキングフラグ,熱負荷フラグ,エミッションフラグ,燃費フラグである。
例えば、スロットル開度TVOと点火時期SAが選択されている場合に、その選択中は各制限項目の影響度合が時間経過に応じて加算されていき、例えば、ノッキング発生の影響度合の累積値がノッキング発生の閾値に到達するとノッキングフラグがオンとなり、影響度合が大きい点火時期SAの選択が停止される。
なお、ある制御パラメータについて、許容された最大トルク量(余裕トルク量)の50%を増加させるように補正量を設定した場合には、影響度合は補正量に応じた値、すなわち50%の値に見積もられる。
最適手段選択部132は、このようなある制御パラメータの選択停止に伴って、目標トルクTQDが不足する場合には、必要に応じてトルク量の不足分を補うため、新たに別の制御パラメータを選択し、制限パラメータの選択を切替えていく。以下に例を示す。
図7は、定常状態からの急加速シーンにおける制御パラメータ切替え制御の概略を示している。同図(A)は目標加速度GDの時間変化(加速度波形)を示しており、同図(B)は4つの制御パラメータの制御状態の変化を示している。
図7の例では、時間t0までは車両は定速走行しており、時間t0にアクセルが全開方向に踏み込まれ、この結果アクセル開度信号αが増加する。そして、目標加速度GDは、所定時間で急激に増加して時間t7に最大値に到達し、その後緩やかに減少する。
急加速シーンでは、大きな正の加速度及び素早い初期応答性が要求されるので、最適手段選択部132は、トルク余裕テーブル133に基づいて、略時間t0に4つの制御パラメータのうちスロットル開度TVOと点火時期SAを選択し、それぞれの補正量を決定する。
そして、エンジン逆モデル131は、時間t0における4つの制御パラメータの出力値を記憶しておき、選択された2つの制御パラメータの出力値のみを補正して、目標トルクTQDを達成するように、スロットル開度TVOD,点火時期SAD,バルブ位相角θVVT_D,燃料噴射FPDを算出する。これにより、各補正量に応じて、スロットル開度TVODは全開方向への変位量が増大されるように補正され、点火時期SADは進角量が増大されるように補正される。
なお、本実施形態では、スロットル開度TVOの選択のみによっては、上記制限項目のいずれもフラグがオンとなることがないので、スロットル開度TVOが優先して選択及び補正され、不足分を他の制御パラメータで補うように構成されている。また、素早い応答性が要求されるシーンでは、点火時期SAが優先して選択される。
時間t0から時間t7までは、加速度の増加フェーズであるので、最適手段選択部132は、さらに目標トルクTQDの不足分を補うために、この増加フェーズ中の時間t1に燃料供給量を増加させるべく燃料噴射FPを選択し、時間t2にVVT32を進角させて空気量を増加させるべくバルブ位相角θVVTを選択する。これにより、各補正量に応じて、燃料噴射FPD,バルブ位相角θVVT_Dがトルク増大方向に補正される。
なお、要求負荷変化が小さい場合には、スロットル開度TVOを選択したことによる補正分だけで目標トルクTQDを補償することができるので、燃料噴射FPやバルブ位相角θVVTは選択されない。
そして、時間t3にノッキング発生の影響度合の累積値がノッキング発生の閾値に達し、ノッキングフラグがオンになる。このため、最適手段選択部132は、時間t3に影響度合の最も大きい点火時期SAの選択を停止する。これにより、点火時期SA_Dは、定常状態の出力値に戻される。
また、時間t7以降の加速度の減少フェーズでは、時間t4に燃費悪化の影響度合の累積値が閾値に達し、燃費フラグがオンとなり、最適手段選択部132は、影響度の大きい燃料噴射FPの選択を停止する。これにより、燃料噴射FP_Dは、定常状態の出力値に戻される。
また、時間t5にエミッション発生の影響度合の累積値が閾値に達し、エミッションフラグがオンとなり、最適手段選択部132は、影響度の大きいバルブ位相角θVVTの選択を停止する。これにより、バルブ位相角θVVT_Dは、定常状態の出力値に戻され、スロットル開度TVOのみが補正された状態となる。
その後、再び定常状態に達すると、エンジン制御器100は、図3に示した通常の制御フローにしたがって、エンジン4の制御を行う。
このように、本実施形態では、加速度の増加及び減少フェーズに合わせて、目標トルクTQDを4つの制御パラメータの適宜な選択により達成することができ、且つ、ノッキングの発生,熱負荷,エミッションの発生及び燃費悪化によるエンジン4での弊害発生を抑制することができる。
また、図8は、定常状態からの減速シーンにおける制御パラメータ切替え制御の概略を示している。
図8の例では、時間t10までは定速走行しており、時間t10にアクセルが減速(オフ)方向に戻され、この結果アクセル開度信号αが減少する。そして、目標加速度GDは、所定時間で負の加速度が滑らかに大きくなり、その後、変速段の制御を伴うが全体として緩やかに絶対値が減少している。
減速シーンでは、素早い応答性よりも滑らかな加速度変化が要求されるので、最適手段選択部132は、略時間t0に、トルク余裕テーブル133に基づいて、4つの制御パラメータのうちスロットル開度TVOを選択する。そして、エンジン逆モデル131は、目標トルクTQDを達成するように、補正量に応じてスロットル開度TVODを全閉方向へ所定変位量だけ補正する。
最適手段選択部132は、時間t0以降の負の加速度の増加フェーズ中の時間t11に、目標トルクTQDの負の不足分を補うために、燃料供給量を減少させるべく燃料噴射FPを選択し、さらに時間t12にVVT32を遅角させて空気量を減少させるべくバルブ位相角θVVTを選択する。これにより、エンジン逆モデル131は、各補正量に応じて、時間t11から時間t12の間はスロットル開度TVOD及び燃料噴射FPDの補正量を決定し、時間t12から時間t13の間はスロットル開度TVOD,燃料噴射FPD及びバルブ位相角θVVT_Dの補正量を決定する。
最適手段選択部132は、負の加速度の減少フェーズ中の時間t13に、燃費フラグがオンとなるので、影響度の大きい燃料噴射FPの選択を停止し、代わりに点火時期SAを選択する。エンジン逆モデル131は、時間t13から時間t14の間はスロットル開度TVOD,点火時期SAD及びバルブ位相角θVVT_Dの補正量を決定し、燃料噴射FPDを定常状態の出力値に戻す。
さらに、時間t14にエミッションフラグがオンとなるので、最適手段選択部132は、影響度の大きいバルブ位相角θVVTの選択を停止する。エンジン逆モデル131は、時間t14から時間t15の間はスロットル開度TVOD及び点火時期SADの補正量を決定し、バルブ位相角θVVT_Dを定常状態の出力値に戻す。
また、時間t15にノッキングフラグがオンとなるので、最適手段選択部132は、影響度の大きい点火時期SAの選択を停止する。トルク目標制御部130は、時間t15以降はスロットル開度TVODのみの補正量を決定し、点火時期SADを定常状態の出力値に戻す。
また、図9は、アイドル状態で空調機80を操作したとき及びパワーステアリングシステムを作動させたときにおける制御パラメータ切替え制御の概略を示している。同図(A)は目標回転数NDの時間変化(回転数波形)を示しており、同図(B)は空調機操作時,同図(C)はパワーステアリングシステム作動時の4つの制御パラメータの制御状態を示している。図9(B)の例は、車両走行には関係がなく、応答性が重視されない場合の例である。一方、図9(C)の例は、応答性を重視する場合の例である。
図9の例では、時間t20に、空調機を作動スイッチをオンにし、又は、ステアリングを所定方向に回動させパワーステアリングシステムを作動させている。
図9(B)の例では、最適手段選択部132は、時間t20当初からスロットル開度TVO及び点火時期SAを選択する。点火時期SAを選択する理由は、作動スイッチをオンにしたときの回転数の落ち込みを防止するためである。
そして、最適手段選択部132は、時間t21に燃料噴射FPを選択し、時間t22にさらにバルブ位相角θVVTを選択する。
その後、時間t24にエミッションフラグがオンとなるので、影響度が大きい燃料噴射FPの選択を停止し、時間t25に燃費フラグがオンとなるので、影響度が大きいバルブ位相角θVVTの選択を停止し、さらに、時間t26に熱負荷フラグがオンとなるので、影響度が大きい点火時期SAの選択を停止する。その後は、スロットル開度TVOのみによって、目標トルクTQDが達成されるように、エンジン逆モデル131は、スロットル開度TVODの補正量を算出する。
また、図9(C)の例では、最適手段選択部132は、時間t20当初は応答性重視のため点火時期SAのみを選択している。そして、最適手段選択部132は、時間t21に燃料噴射FPを選択し、時間t22にさらにバルブ位相角θVVTを選択する。
その後、時間t23に熱負荷フラグがオンとなるので、最適手段選択部132は、影響度が大きい点火時期SAの選択を停止し、代わりにスロットル開度TVOを選択する。さらに、最適手段選択部132は、時間t24にエミッションフラグがオンとなるので、影響度が大きい燃料噴射FPの選択を停止し、時間t25に燃費フラグがオンとなるので、影響度が大きいバルブ位相角θVVTの選択を停止する。その後は、スロットル開度TVOのみによって、目標トルクTQDが達成されるように、エンジン逆モデル131は、スロットル開度TVOの補正量を算出する。
なお、4つ制御パラメータを補正する選択順序及び選択を解除する順序は、図7乃至図9で示した例に限らず、運転条件に応じて適宜な順序が選択される。したがって、運転条件に応じて、各制御パラメータが選択される順序と選択解除の順序が同一の場合や異なる場合が発生する。
以上のように、本実施形態では、車両運転条件の変化に応じて、スロットル開度TVO,点火時期SA,燃料噴射FP及びバルブ位相角θVVTからなる4つの制御パラメータを適宜に補正して、エンジン4を制御することにより、目標トルクTQDを達成しつつ、ノッキングの発生,熱負荷,エミッションの発生及び燃費悪化によるエンジン4での弊害発生を抑制することができる。
なお、上記実施形態では、選択された制御パラメータは、制御フラグがオンとなることによって選択停止となっていたが、これに限らず、目標トルクTQDを達成できれば、運転条件に応じて、制御フラグで選択停止になる前に別の制御パラメータに切替えたり、早期に選択された他の制御パラメータより早期に当該制御パラメータが選択停止となるように切替えたりするような他のアルゴリズムを採用してもよい。
本発明の実施形態による車両パワートレインの説明図である。 本発明の実施形態によるエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態による通常運転状態におけるエンジン制御フローチャートである。 本発明の実施形態によるエンジン制御器の機能ブロック図である。 本発明の実施形態によるトルク余裕テーブルの説明図である。 本発明の実施形態による期間制限テーブルの説明図である。 本発明の実施形態による定常状態からの急加速シーンでの制御パラメータ切替え制御の説明図である。 本発明の実施形態による定常状態からの減速シーンでの制御パラメータ切替え制御の説明図である。 本発明の実施形態によるアイドル状態における負荷要求シーンでの制御パラメータ切替え制御の説明図である。
符号の説明
1 車両
3 車両パワートレイン
4 エンジン
5 自動変速機
32 VVT
51 点火プラグ
52 点火システム
53 燃料噴射弁
54 燃料供給システム
57 スロットル弁
58 スロットル・アクチュエータ
75 アクセル開度センサ
76 車速センサ
100 エンジン制御器
110 加速度目標設定部
120 加速度目標制御部
121 フィードバック制御部
122 エンジンモデル
123 車両モデル
130 トルク目標制御部
131 エンジン逆モデル
132 最適手段選択部
133 トルク余力テーブル
134 期間制限テーブル
140 回転数目標設定部
150 回転数目標制御部

Claims (6)

  1. 所定の運転条件において要求負荷が一定の際に、吸気管圧力,有効圧縮比,燃料供給量及び点火時期からなる4つの制御パラメータを、前記要求負荷に応じた第1制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する定常時運転工程と、
    前記所定の運転条件において要求負荷が変化する際に、前記4つの制御パラメータを、前記要求負荷変化に応じた第2制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する過渡時運転工程と、を備え、
    前記第2制御パラメータ値は、前記4つの制御パラメータの少なくとも1つが前記第1制御パラメータ値と異なるものであって、
    前記過渡時運転工程は、
    過渡期間中に、前記4つの制御パラメータの少なくとも1つを第1順序で順次に補正して前記第1制御パラメータ値から前記第2制御パラメータ値に異ならせる工程と、
    前記第1の制御パラメータ値から前記第2制御パラメータ値に異ならせた制御パラメータを、前記第1順序と異なる第2順序で順次に前記第1の制御パラメータ値に戻す工程と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の制御方法。
  2. 前記過渡時運転工程は、運転条件に応じて前記第1順序を変更する工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御方法。
  3. 前記過渡時運転工程は、運転条件に応じて前記第2順序を変更する工程を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御方法。
  4. 所定の運転条件において要求負荷が一定の際に、吸気管圧力,有効圧縮比,燃料供給量及び点火時期からなる4つの制御パラメータを、前記要求負荷に応じた第1制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する定常時運転工程と、
    前記所定の運転条件において要求負荷が変化する際に、前記4つの制御パラメータを、前記要求負荷変化に応じた第2制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する過渡時運転工程と、を備え、
    前記第2制御パラメータ値は、前記4つの制御パラメータの少なくとも1つが前記第1制御パラメータ値と異なるものであって、
    前記過渡時運転工程は、
    過渡期間中に、前記4つの制御パラメータの少なくとも1つを第1順序で順次に補正して前記第1制御パラメータ値から前記第2制御パラメータ値に異ならせる工程と、
    前記第1の制御パラメータ値から前記第2制御パラメータ値に異ならせた制御パラメータを、第2順序で順次に前記第1の制御パラメータ値に戻す工程と、
    運転条件に応じて前記第1順序を変更する工程と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の制御方法。
  5. 所定の運転条件において要求負荷が一定の際に、吸気管圧力,有効圧縮比,燃料供給量及び点火時期からなる4つの制御パラメータを、前記要求負荷に応じた第1制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する定常時運転工程と、
    前記所定の運転条件において要求負荷が変化する際に、前記4つの制御パラメータを、前記要求負荷変化に応じた第2制御パラメータ値に設定して内燃機関を運転する過渡時運転工程と、を備え、
    前記第2制御パラメータ値は、前記4つの制御パラメータの少なくとも1つが前記第1制御パラメータ値と異なるものであって、
    前記過渡時運転工程は、
    過渡期間中に、前記4つの制御パラメータの少なくとも1つを第1順序で順次に補正して前記第1制御パラメータ値から前記第2制御パラメータ値に異ならせる工程と、
    前記第1の制御パラメータ値から前記第2制御パラメータ値に異ならせた制御パラメータを、第2順序で順次に前記第1の制御パラメータ値に戻す工程と、
    運転条件に応じて前記第2順序を変更する工程と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の制御方法。
  6. 内燃機関を制御する制御器で実行されることによって、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御方法を実現するプログラム。
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