JP2009243325A - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】
広い圧力範囲で高性能かつ低騒音を維持したい。
【解決手段】
歯形の前進面と後進面の両方に部分的にインボリュート曲線を形成する。雌歯形の歯底から前進面側にピッチ点に中心を持つ円弧そして滑らかに接続して、接触線が水平となる曲線を形成する。さらに、雌歯形の歯底から後進面側に雌アデンダムより半径の小さい円弧と、それに滑らかに接続し中心がピッチ円上にある円弧を形成する。以上により内部漏洩が少なく、吸入流れを阻害しにくく、歯面分離しても騒音が大きくなりにくいスクリュー圧縮機となる。
【選択図】図1

Description

本発明は空気や冷媒ガスなどの気体を圧縮するに代表されるスクリュー圧縮機に関わり、高性能で低騒音に好適な歯形を有するロータを備えたスクリュー圧縮機に関する。
スクリュー圧縮機は空気圧源としての空気圧縮機や、比較的大規模な冷凍空調サイクル用冷媒圧縮機として広く活用されている。これらスクリュー圧縮機の心臓部といえるスクリューロータの幾何形状は性能や振動騒音、信頼性に大きく影響する。特にロータの軸直角断面における輪郭形状として定義される歯形は、重要な特性決定因子であり、古くからさまざまな研究がなされ各種の歯形が提案されてきた。
例えば、特公昭63−43597号公報(特許文献1)には、雌ロータの前進面に放物線を採用し加工する際の刃具の摩滅を考慮した歯形が示されている。また、特開2001−227485号公報(特許文献2)には、かみ合い線を短くすることで、作動ガス(内部に閉じ込められて圧縮される過程にある気体)の漏洩を少なくし、性能を向上する歯形が示されている。
特公昭63−43597号公報 特開2001−227485号公報
スクリュー圧縮機においては、高性能化と低騒音化が永続的な研究課題となっている。そして、スクリュー圧縮機の心臓部であるロータの歯形は性能と騒音を決定する重要な要因であるために、これまでさまざまな歯形が研究され多くの発明がなされてきた。
特許文献1及び2による歯形に対しては、更なる性能向上や振動騒音の低減が要求されるようになってきた。また、圧縮機の運転条件や容量制御範囲を拡大したいとの要求から、吸入圧力と吐出圧力の稼動範囲を拡大し、広い圧力条件においても安定して回転することが要求されるようになった。
スクリュー圧縮機における特有の現象に歯面分離振動があり、歯形の持つ特性に吸入圧力と吐出圧力の条件が揃うと発生することがある。通常の運転条件では、発生しないものの、容量制御中や移行過程で発生することもある。歯面分離振動は発生しないにこしたことはないが、発生しても振動騒音が大きくなく、歯面が損傷しなければ致命的な欠陥ではない。
スクリュー圧縮機の性能を低下させる原因には内部漏洩と、吸入抵抗などがあげられる。
吸入抵抗による性能低下とは、スクリュー圧縮機のロータの歯溝が形成する作動室に被圧縮気体が吸い込まれる過程での流体抵抗が大きいことを意味し、吸入圧損とも呼ばれる。歯溝までの吸入流路は設計上十分な断面積を確保し滑らかな形状で抵抗が小さくなるよう配慮されていても、実動時に高圧となった作動室からロータ間などの隙間を通って被圧縮流体や油が噴出し、吸入の流れを阻害し抵抗が増すことがある。
なお、ロータが滑らかに回転できるようにロータ間には微小な隙間を設けている。この隙間を通って高圧となった作動室から反対側にある低圧の作動室への被圧縮気体の噴出は歯形加工や熱変形補償の精度向上により低減することはできるが、皆無とすることはできない。また、油冷式スクリュー圧縮機においては、作動室に油を注入するので、高圧の被圧縮気体とともに油も噴出することになる。高圧の被圧縮気体は圧縮により温度が上昇し、その気体から受熱した油も通常は吸入したばかりの被圧縮気体よりも高温となっている。
上記2つの特許文献の歯形において軸方向の断面を見てみると、いずれも高圧流体が斜め上方に吹き出し、その方向と被圧縮気体が流入してくる方向がほぼ同じである。したがって、噴出してくる流体に阻害されて、吸い込み抵抗が増すとともに、高温の噴出流体との熱交換により被圧縮気体の温度が上がり、体積膨張によって質量流量が低下してしまう懸念があった。
内部漏洩は圧縮過程や圧縮完了した高圧の被圧縮気体がロータ間などの隙間を通って、吸入過程や圧縮途上にある作動室に逆流してしまう現象である。逆流する流路の隙間としてブローホールやシール線がよく知られ、その面積を縮小するための歯形も多く発明されてきた。しかし、吐出端面に周期的に現れる吸入側への直通路については十分な解決策が示されていなかった。
上記状況に鑑み、本発明のスクリュー圧縮機は、歯面分離振動が発生しても振動騒音が拡大しにくく、広い圧力範囲で安定して運転できることを第1の目的とする。また、内部漏洩と吸入抵抗を低減することによる高効率化を実現することを第2の目的とする。
上記課題を解決するために本発明のスクリュー圧縮機は、両ロータの軸直角断面である軸に垂直な断面上における輪郭形状を表す歯形曲線のうち、雄ロータのピッチ円より外側であって雌ロータのピッチ円半径より内側に相当する互いに噛み合う範囲が、前進面ならびに後進面上の両面をインボリュート曲線とする。インボリュート曲線とした区間の長さは前進面と後進面で異なってもかまわない。また、前進面と後進面のインボリュート曲線の圧力角が異なっていてもよい。
また、上記課題を解決するために本発明のスクリュー圧縮機の歯形曲線は、雌ロータの歯底点から前進面側が、最初の区間がピッチ点を中心とする円弧、滑らかに続く次の区間が「水平接触線を形勢する曲線」とする。
また、上記課題を解決するために本発明のスクリュー圧縮機の歯形曲線は、前記雄ロータの歯底点から後進面側が、最初の区間が雌アデンダムよりも小さい半径の第1の円弧で、次の区間が第一の円弧に滑らかに連続し、かつ曲がり方向が同じ第2の円弧で、当該第2の円弧の中心はピッチ円上に位置する。
また、上記課題をよりよく解決するために、本発明のスクリュー圧縮機は、両ロータの軸直角断面である軸に垂直な断面上における輪郭形状を表す歯形曲線のうち、雄ロータのピッチ円より外側であって雌ロータのピッチ円半径より内側に相当する互いに噛み合う範囲が、前進面ならびに後進面上の両面をインボリュート曲線とし、雌ロータの歯底点から前進面側が、最初の区間がピッチ点を中心とする円弧、滑らかに続く次の区間が「水平接触線を形勢する曲線」とし、前記雄ロータの歯底点から後進面側が、最初の区間が雌アデンダムよりも小さい半径の第1の円弧で、次の区間が第一の円弧に滑らかに連続し、かつ曲がり方向が同じ第2の円弧で、当該第2の円弧の中心はピッチ円上に位置する歯形を有するものである。
本発明のスクリュー圧縮機によれば、広い圧力範囲で安定し、高効率化を実現することができる。
本発明の一実施例を図1〜図3を用いて説明する。図1は雌雄ロータの歯形の拡大図、図2は圧縮機の断面図である。
スクリュー圧縮機はケーシング3の中に一部を重複した2つの円筒穴からなるボア4を有し、各々の円筒穴の中で回転する雄ロータ1と雌ロータ2は噛み合いながら回転する。雄ロータ1と雌ロータ2の噛み合い部分は理論的には隙間0となるよう幾何学的に歯形が設計され、それに熱変形やガス圧変形、振動や加工誤差を許容できるように隙間を設定し、その分だけ歯面を減肉し製作している。本発明の本質は隙間の設定方法には直接関与しないので、隙間の存在は考察に加えるものの本実施例において説明する歯形は幾何設計上の歯形について述べる。したがって、文中で「接触」と表現しても実際の歯形間には微小な隙間が存在する場合が多い。
図1には、雄ロータ1の歯形と雌ロータ2の歯形を1歯分だけ示す。雄ロータは時計回り、雌ロータ2は反時計回りする。この図では雄ロータの歯先点11が雌ロータ2の歯底点21と接しており、このときの両ロータの回転角度を基準すなわち回転角度0度とする。これらの点11,21から回転方向を前進面、反回転方向を後進面と呼ぶ。雄ロータの回転中心と雌ロータの回転中心を結ぶ線分を雄ロータの歯数と雌ロータの歯数の比で内分した点をピッチ点Pといい、実体は無いものの設計上は重要な位置である。雄の中心からピッチ点Pまでの距離を雄ピッチ円半径、雌の中心からピッチ点までの距離を雌ピッチ円半径という。また、雄ロータ1の歯形を雄歯形、雌ロータ2の歯形を雌歯形と称する。
前進面における歯形曲線について説明する。
雌歯形において、歯底点21から前進面側に点22までの区間はピッチ点Pを中心とする円弧とする。ピッチ点P中心の円弧は、機構学で知られる「噛み合いの条件」から全域で同時に接触する。したがって、この区間で噛み合う雄歯形上の区間11から12も同じ円弧となる。
雌歯形上の点22から点23の区間は「水平接触線を形成する曲線」である。本実施例では、各ロータを図1や図2の置き方をした場合に紙面上で横線となる方向を水平、縦線となる方向を鉛直として説明する。圧縮機全体の設置方向を変えた場合には、真の水平や鉛直と異なる場合もある。
「水平接触線」の意味を説明する。この区間22,23で相手となる雄ロータの区間12,13と接触するとき、その接触は一点でなされ、その位置が全て点12,22を通る同一の水平線上にくるようにする。すると雌歯形も雄歯形も区間11,12と同じ曲がり方向ながら、左端12,22側よりも右端13,23側の方が曲率が大きく(曲率半径が小さく)なる。
雌雄とも歯形上の点12や22では点の両側の曲線が滑らかに連続し、これらの点では角にならない。
雄歯形の区間13,14と雌歯形の区間23,24は共にインボリュート曲線で互いに噛み合う。点13ならびに点23は歯形曲線を滑らかに接続する。雄歯形上の点14の回転半径は雄ピッチ円半径よりも小さく、点14はピッチ円の内側にある。同様に雌歯形上の点24の回転半径は雌ピッチ円半径よりも大きく、点24は雌ピッチ円の外側にある。これらインボリュート曲線どうしの接触点はピッチ点Pを通る直線上になる。
雄歯形の区間14,15は点14でインボリュート曲線と滑らかに接続し、点15で回転中心を中心とする歯底円弧に滑らかに接続する凹曲線である。同様に雌歯形の区間24,25は点24でインボリュート曲線に滑らかに接続し、点25で回転中心を中心とする外周円弧に滑らかに接続し、雌歯形の区間14,15と噛み合う滑らかな凸曲線である。
次に後進面における歯形曲線について説明する。雄歯形の区間11〜16は円弧でその半径は区間11,12の円弧の半径よりも小さく、その中心は歯先点11とピッチ点Pを結ぶ線分上にある。したがって歯先点11において前進面と後進面の2つの円弧は滑らかに接続する。その区間と噛み合う雄歯形の区間21〜26は雌歯形の円弧によって創成された曲線となる。
雌歯形の区間16,17は雌ピッチ円上に中心を有する円弧で、それと噛み合う雄歯形の区間26,27も雄ピッチ円上に中心を有する円弧である。ロータの回転により、それら中心がピッチ点Pに同時に重なるとき、2つの円弧16,17と26,27は重なって同時接触となる。図3における点16と点26において両側の曲線は滑らかに接続する。
雄歯形の区間27,28は半径が区間11〜16の半径よりも小さい円弧で、その区間と噛み合う雌歯形の区間17,18は、区間27,28の円弧に創成された曲線である。点27において両側の円弧は滑らかに接続し、噛み合う相手となる点17も同様に両側の曲線が滑らかに接続する。
雄歯形の区間18,19と、噛み合う相手となる雌歯形の区間28,29は共にインボリュート曲線で、区間13,14,23,24と同様の性質を有する。点18,28において両側の曲線は滑らかに接続する。点19は雄ピッチ円の内側にあり、点29は雌ピッチ円の外側にある。
雌歯形の区間29,30は中心を雌ピッチ円の内側にある円弧で、点29はインボリュート曲線と滑らかに接続し、他端は雌外周円弧と滑らかに接続する。その区間と噛み合う雄歯形19,20は雌区間29,30に創成された曲線で点19はインボリュート曲線と滑らかに接続し、点20は雄歯底円弧と滑らかに接続する。
1つの断面で見たとき、雄ロータ1と雌ロータ2を噛み合わせた時に接触する位置はロータの回転によって移動する。両ロータの歯がねじれていることから、立体的に見ると接触する位置は連続した線となり、それの形状を図4に示す。この線はシール線と呼ばれ、ロータの下側にある高圧となった作動室5と、吸入過程にある低圧の作動室6を隔てる区切りの線となる。シール線上も雌雄の歯形曲線に1対1で対応するので、雄歯形上の点11〜20に対応するように番号を付けると31〜40で示す位置となる。
円弧区間11,12によるシール線区間31,32は鉛直方向となり、ある軸直角断面では、この区間全域で同時に接触することがわかる。水平接触線区間22,23によるシール線区間32,33は水平な線分となる。なお、インボリュートによる区間では斜めの直線となる。
本実施例の歯形の動作について説明する。ロータの回転によって、ねじれた歯の作用で作動室は吸入端7から吐出端8に向かって移動する。ロータの全長に及ぶ作動室6が最大容積となって、それより左側にある作動室は吸入過程で吸入流路41と連通する。右側にある作動室は外周をボア3、端面をケーシングの端面でふさがれて閉じた室であるまま容積が縮小する。ある程度容積が縮小した作動室5はボアあるいは端面の少なくとも一方に開けられた穴である吐出ポートを経て吐出流路と連通する。吸入流路41からボア内に吸い込まれた被圧縮気体は作動室6に閉じ込められ、圧縮された後に吐出流路42から送り出されることになる。
油冷式の圧縮機においては、圧縮過程の前半の作動室に油が注入され、油はロータ間の接触駆動用の潤滑材,冷却媒体,隙間のシール材としての役割を担う。したがって、油は作動室の中で被圧縮気体と混在することになる。
高圧の作動室5と低圧の作動室6は完全に区切られた空間ではなく、ロータ間の隙間などに代表されるいくつかの連通流路がある。もちろん性能の観点からはこれら連通流路は無い方が好ましいが、ロータの円滑な回転には欠かせないものである。ロータ間の連通流路はシール線を横断する部分が最も隙間が小さくなるので、ここを通り低圧側の作動室6に噴出する被圧縮気体や油はシール線に直交する方向に噴出することになる。
従来の歯形のシール線は図5に示す形状であり、前進面で形成される区間には左下から右上に斜めに延びる部分がある。この部分のシール線を横断して噴出する気体や油は吸入流路の方向を向いている。したがって、吸入してくる気体はこの逆方向の流れに逆らってボア内に流入せねばならず、圧力損失が大きかったし、圧縮によって高温となっている被圧縮気体や油と熱交換し吸気加熱よ呼ばれる損失要因となっていた。
本実施例においては、シール線で吸入空間に面する上半分の主要部で形状が鉛直あるいは水平となる。区間31,32からの噴出は左方向で、区間32,33からの噴出は上方向となる。左方向は歯があるため噴出してもすぐに歯に衝突し、吸入流路への逆流とはならず、吸入の阻害要因とはならない。上方向はボア壁があるため、噴出してもすぐにボア内面に衝突し、やはり吸入流路への逆流とはならず、吸入の阻害要因とはならない。
シール線の区間36,37は図3に示した雌雄歯形の後進面の円弧での接触を意味し、これが吐出端面においては吸入側への直通路が開く時の形状になる。吸入側への直通路は内部漏洩流路として好ましくない存在であるが、幾何学的にスクリュー圧縮機の歯形を形成する上で皆無とはしがたいものである。図1に示した歯形図では後進面に流路面積9として現れる。吐出端面に設ける吐出ポートの輪郭形状を工夫してこの流路が直接に吐出流路42に面しないように設計しているが、十分なまでに塞ぐと、吐出流れの阻害要因ともなるので十分には塞ぎきれていない。
図5に示すように、従来の歯形ではこの直通路を通って吸入側に抜ける流れ43の存在する時間割合が多かった。なぜなら、シール線の突端部44が吐出端8側に大きく伸びており、ロータの回転で図中右方向に平行移動するシール線上で、早めに吐出端8に達し、吐出流路42に開いてしまうからである。
吐出端面8に開いた直通路9の面積をロータの回転に沿って表したものが図6のグラフである。このグラフは横軸に雄ロータの回転角度を、縦軸に直通路9の面積を表す。従来の歯形に比較して本実施例における直通路は開口タイミングが遅い上に面積拡大も小さいので、単位時間に漏れる量は格段に少なくなる。したがって、圧縮機性能の向上に寄与する。
この歯形形状の別な利点は後進面のシール線長さを短くすることにもある。図4と図5の後進面すなわち下半分のシール線の長さを比較すればわかるように、本実施例においては区間37,38で鉛直に短絡するため、長さが短くなり、その分だけシール線からの内部漏洩を少なくできる。
一方で、ブローホール面積が拡大するが、ブローホールは隣接する圧力差が大きくない作動室間の漏洩流路なので、性能低下への影響は小さく、ここで述べた他の向上効果に対して比較的小さい。
吸入側への直通路9が吐出端面に8に面する時間が短い上に、面する位置も上方寄りとなるため、連通に心配のない下方に吐出ポート面積を拡大し、吐出損失を減らし性能向上する効果も期待できる。
ロータを収納するケーシングの加工誤差や熱変形,ガス圧変形により、運転時の両ロータの中心距離は意図したものから変化することは通常おこりえる。その場合、作動室に油を注入しながらロータ歯面を接触回転させる方式の圧縮機では、意図したのと異なる歯形上の部分で雌雄ロータが接触することになる。通常運転時には問題になることが少ないが、吸入と吐出の圧力条件によって歯面分離振動した場合には、回転伝達のみならず歯面間の衝突を繰り返し、振動騒音の増大や、材料強度が不十分なときには歯面の損傷に至ることもありえる。
特に公知例でとりあげた従来の歯形では、最も接触しやすい圧力角が最小となる部分が歯形上の特定部分に限られ、中心距離の変化に対して接触位置が動きやすかった。また、同じ理由により接触面積の拡大に限界があり、歯面分離振動による衝撃に十分な強度を確保しにくかった。
歯面上にインボリュート曲線を採用した利点は動力伝達用の一般の歯車と同様に中心距離が変化してもその曲線上の全域での接触が維持されることにある。特に本実施例では前進面と後進面の両側にインボリュート曲線を持つことにより、歯面分離振動が発生し前進面と後進面で交互に雌雄の歯面が衝突した場合でも、両面で広い接触面積を確保し歯面損傷を防止できる。また、接触面積が広いことにより、歯面間に介在する油のダンピング効果を活用し、衝突時にも金属面どうしの接触に至らない程度に衝撃を抑制する効果もある。これにより、たとえ歯面分離振動が発生しても、大幅な騒音増加とならず、歯面分離振動を許容した設計も可能となる。
本実施例で述べた3つの改良点は各々単独でも効果があるが、組み合わせることにより、更なる相乗効果を享受できる。
第2の手段による性能向上を目的とした雄歯形の前進面の区間11,12の円弧と区間12,13(雌歯形の前進面の区間21,22の円弧と区間22,23)の歯形形状は、一方では雌ロータに作用するガストルクを低下させ、歯面分離振動を誘発しやすくなる短所を有する。しかし、第1の手段により前進面と後進面にインボリュート曲線を持つ本実施例においては歯面分離振動を許容できるため、性能向上効果を十分に発揮できるように前進面形状を選択し、広い圧力範囲で圧縮機を使用できるようになる。
吸入端7における第3の手段による区間16,17による雌雄ロータの接触開始は点ではなく長さを持った圧力範囲を歯面上に出現させるため、両ロータに作用するガストルクを不連続的に変化させ加振力となる。ガス圧条件によっては、これが歯面分離振動の要因となりうるため、第3の手段の短所となる場合もある。これも第1の手段と組み合わせることにより、歯面分離にかかわらず後進面の歯形形状を決定できるようになるため相乗効果が期待できる。
図4で示したように第2の手段により高圧側の作動室5からシール線を横断して噴出する流体のうち、区間31,32から水平に噴出するものは、吐出端からの直通路からの流れ43があると、流れ方向を上方に曲げられ、性能向上効果が減退してしまう。そのため、第3の手段と兼用することにより、十分な性能向上効果を期待することができる。
本実施例においては油冷式スクリュー圧縮機を題材に説明したが、作動室に油を注入しないオイルフリー式であっても同様に適用できる。また、図2に示したように、雄ロータ4枚,雌ロータ5枚の歯数の例で説明したが、他の歯数の組み合わせであっても同様に適用できる。
本実施例の第1の手段により、運転時の吸入と吐出の圧力条件が悪く歯面分離振動の発生が避けられない場合であっても、歯面の衝突の衝撃を抑制し外部への騒音を小さく抑える。また、衝撃緩和が歯面の損傷を防止する効果もある。
また、本実施例の第2の手段により、吐出端面から吸入側への直通路が現れる時間割合が小さく、なおかつ直通路がある時間帯でもその断面積が小さい。また、後進面のシール線長さが短くなる。これら内部漏洩流路の面積縮小により内部漏洩を低減し圧縮機のエネルギ効率向上すなわち高性能化が図れる。
また、本実施例の第3の手段により、ロータ間隙間を通って高圧となった圧縮室から吸入側面に吹き出す高温個圧の被圧縮気体や油の噴出方向を軸方向か半径方向のいずれかに制限し、斜め方向から吸入してくる被圧縮気体の流れを阻害しない。そのため、吸入圧損や吸入過熱が抑制され、圧縮機の性能を向上する。
更に、各手段を組み合わせることにより、上記第1〜第3の手段個別の効果に加えて次の効果がある。第2の手段は歯面分離振動が発生しやすくなる副作用を伴うが、第1の手段を併用することにより、その欠点を補える。第3の手段による効果は吸入側への直通路からの漏洩量が多いと、水平方向への噴出流を上方に曲げてしまうため、第2の手段を併用することにより、その効果を十分に発揮することができる。第3の手段は雌ロータに作用するガストルクの変化を大きくする副作用があり、それにより条件によっては歯面分離しやすくなることもあるが、第1の手段を併用することによりその欠点を補える。
本発明の一実施例における雌雄ロータの歯形を説明するロータ断面拡大図。 本発明の一実施例におけるスクリュー圧縮機の軸方向の断面図。 後進面における同時接触線で接触する角度での歯形を説明するロータ断面拡大図。 ロータの側面から見たシール線の形状と吸入側への噴出を説明するスクリュー圧縮機の断面略図。 従来の歯形のシール線形状を説明するスクリュー圧縮機の断面略図。 本発明と従来の歯形による吸入側への直通路の面積変化を示すグラフ。
符号の説明
1 雄ロータ
2 雌ロータ
3 ケーシング
4 ボア
5 高圧作動室
6 低圧作動室
7 吸入端
8 吐出端
9 吸入側への直通路
11 雄ロータの歯先
12〜20 雄歯形上の点
21 雌ロータの歯底
22〜30 雌歯形上の点
31〜40 シール線(接触点の軌跡となる線)上の点
41 吸入流路
42 吐出流路
43 直通路を通って吸入側に抜ける流れ
44 シール線の突端部

Claims (4)

  1. 平行な二軸の回りを互いに噛み合って回転し、それぞれ表面上でねじれた歯を有する一対の雄ロータ及び雌ロータを有し、前記雄ロータの軸に垂直な断面において前記雄ロータの歯の大部分が前記雄ロータの軸を中心とする雄ピッチ円の外側にあり、前記雌ロータの軸に垂直な断面において前記雌ロータの歯の大部分が前記雌ロータの軸を中心とする雌ピッチ円の内側にあるスクリューロータ対を備えたスクリュー圧縮機において、
    前記両ロータの軸に垂直な断面上における輪郭形状を表す歯形曲線は、前記雄ロータのピッチ円より外側で、前記雌ロータのピッチ円半径より内側に相当する前進面ならびに後進面上の両方にインボリュート曲線を有することを特徴とするスクリュー圧縮機。
  2. 平行な二軸の回りを互いに噛み合って回転し、それぞれ表面上でねじれた歯を有する一対の雄ロータ及び雌ロータを有し、前記雄ロータの軸に垂直な断面において前記雄ロータの歯の大部分が前記雄ロータの軸を中心とする雄ピッチ円の外側にあり、前記雌ロータの軸に垂直な断面において前記雌ロータの歯の大部分が前記雌ロータの軸を中心とする雌ピッチ円の内側にあるスクリューロータ対を備えたスクリュー圧縮機において、
    前記両ロータの軸に垂直な断面上における輪郭形状を表す歯形曲線は、前記雌ロータの歯底点から前進面側が、最初の区間がピッチ点を中心とする円弧、次の区間が水平接触線を形成する曲線からなることを特徴とするスクリュー圧縮機。
  3. 平行な二軸の回りを互いに噛み合って回転し、それぞれ表面上でねじれた歯を有する一対の雄ロータ及び雌ロータを有し、前記雄ロータの軸に垂直な断面において前記雄ロータの歯の大部分が前記雄ロータの軸を中心とする雄ピッチ円の外側にあり、前記雌ロータの軸に垂直な断面において前記雌ロータの歯の大部分が前記雌ロータの軸を中心とする雌ピッチ円の内側にあるスクリューロータ対を備えたスクリュー圧縮機において、
    前記両ロータの軸に垂直な断面上における輪郭形状を表す歯形曲線は、前記雄ロータの歯底点から後進面側が、最初の区間が雌アデンダムよりも小さい半径の第1の円弧で、次の区間が該第一の円弧に滑らかに連続し、かつ曲がり方向が同じの第2の円弧で、該第2の円弧の中心はピッチ円上にあることを特徴としたスクリュー圧縮機。
  4. 平行な二軸の回りを互いに噛み合って回転し、それぞれ表面上でねじれた歯を有する一対の雄ロータ及び雌ロータを有し、前記雄ロータの軸に垂直な断面において前記雄ロータの歯の大部分が前記雄ロータの軸を中心とする雄ピッチ円の外側にあり、前記雌ロータの軸に垂直な断面において前記雌ロータの歯の大部分が前記雌ロータの軸を中心とする雌ピッチ円の内側にあるスクリューロータ対を備えたスクリュー圧縮機において、
    前記両ロータの軸に垂直な断面上における輪郭形状を表す歯形曲線は、前記雄ロータのピッチ円より外側で、前記雌ロータのピッチ円半径より内側に相当する前進面ならびに後進面上の両方にインボリュート曲線を有し、前記雌ロータの歯底点から前進面側が、最初の区間がピッチ点を中心とする円弧、次の区間が水平接触線を形成する曲線からなり、前記雄ロータの歯底点から後進面側が、最初の区間が雌アデンダムよりも小さい半径の第1の円弧で、次の区間が該第一の円弧に滑らかに連続し、かつ曲がり方向が同じの第2の円弧で、該第2の円弧の中心はピッチ円上にある歯形を有するスクリュー圧縮機。
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