JP2011074807A - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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裕敬 亀谷
Hideharu Tanaka
英晴 田中
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Abstract

【課題】歯面分離振動を低減することが可能なスクリュー圧縮機を提供することを目的とする。
【解決手段】雄ロータ及び雌ロータの歯部を覆うボア部と、雄ロータの雄歯溝と雌ロータの雌歯溝とボア部とで形成された複数個の作動室と、ボア部の圧縮した気体を吐出する側に設けられた吐出ポートと、ボア部の気体を吐出する側であり、吐出ポートとは異なる位置に設けられた凹部とを備え、気体の吐出側端面であり、雄ロータと雌ロータとの接触点が前進面に1箇所、後進面に2箇所ある位置関係にあり、雌ロータの回転中心から前進面の接触点までの距離が、雌ロータの回転中心から後進面の雌ロータに近い側の接触点までの距離よりも大きくなる場合において、前進面の接触点と後進面の雌ロータに近い側の接触点からなる作動室と凹部との連通面積は、後進面の2箇所の接触点からなる作動室と吐出ポートとの連通面積よりも広い。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スクリュー圧縮機に関わる。
スクリュー圧縮機には、特有の振動現象として歯面分離振動がある。ここで、その発生原理を簡単に説明しておく。雌ロータに作用するガストルクの向きは、通常、回転を抑制する方向(逆回転方向)であり、それに抗して雌ロータを駆動することで圧縮動作をしている。そして、多くの場合に、雌ロータは雄ロータから回転伝達されている。特に、油冷式機では、雄及び雌ロータ歯面が油で潤滑されているため、雌雄ロータ間の歯面接触が可能で、歯車のように歯面を介して正トルクが伝達される。
空気圧縮機では、圧縮した空気の吐出量を調整する必要があり、広く使われているのが吸入絞り式の吐出空気量制御法(容量制御)である。この方法で吐出量を減らしたい場合には、吸入流路を弁で絞りアンロードと呼ばれる運転条件にする。このアンロード条件では、吸入圧力や吐出圧力がフルロード時の圧力と異なり、瞬間的には雌ロータに正回転方向のガストルクが作用することがある。ガストルクが正回転方向になると、雌ロータはガストルクにより駆動されることになり、雄ロータから雌ロータへの伝達トルクが負となって、雄ロータと接触していた歯面が離れる。この状態は継続せずに、時間経過でロータの回転位置が変わるとガストルクが負に戻り、その後は正負交互に繰り返す。そのため、歯面の分離にはじまって、表裏両歯面での衝突を繰り返す現象に発展することもある。この振動現象を歯面分離振動と呼んでおり、騒音を増大し、極端な場合には歯面損傷に至ることもあるため防止すべきものである。
その防止法として、特開2000−154792号公報には、歯形形状を工夫することにより歯面分離振動を原理的に発生させない方法が開示されている。また、油冷式機において、作動室(特開昭58−131388号公報では、「作動空間」と記載)に残った油が閉じ込められて、ガストルク以上に大きなトルクを発生し騒音や振動の増大を招く現象(油の閉じ込み)も知られており、この現象が歯面分離を増長する。この現象を発生させない構造に関して、特開昭58−131388号公報には、吐出側端面に凹部を設ける方法が開示されている。さらに、特開昭58−131388号公報をより発展させた特開2008−82273号公報がある。
特開2000−154792号公報 特開昭58−131388号公報 特開2008−82273号公報
上記した特開2000−154792号公報は、確実に歯面分離振動を防止できるものの、歯形がある程度限定されるので、歯形設計の自由が制約される。そのため、圧縮機としての高性能化や加工の効率化をめざした歯形を開発する際には制約条件となり、歯面分離防止と高性能や高加工性との両立が難しかった。
また、特開昭58−131388号公報及び特開2008−82273号公報では、吐出側端面に設けた凹部により、作動室に閉じ込められた油が、さらなる容積縮小により異常に高い圧力を発生し振動騒音を発するのを防止する方法が開示されている。しかし、歯面分離の原因となる雌ロータに作用する正回転方向のガストルクの防止方法については、言及されていなかった。
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、歯面分離振動を低減することが可能なスクリュー圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、気体を吸入して圧縮し、外部へ吐出するスクリュー圧縮機において、互いに噛み合った雄ロータ及び雌ロータと、前記雄ロータと前記雌ロータとを回転させる機構と、前記雄ロータ及び前記雌ロータとが収められたケーシングと、前記ケーシングに形成され、前記雄ロータ及び前記雌ロータの歯部を覆うボア部と、前記雄ロータの雄歯溝と前記雌ロータの雌歯溝と前記ボア部とで形成された複数個の作動室と、前記ボア部の前記圧縮した気体を吐出する側に設けられた吐出ポートと、前記ボア部の前記気体を吐出する側であり、前記吐出ポートとは異なる位置に設けられた凹部とを備え、前記気体の吐出側端面であり、前記雄ロータと前記雌ロータとの接触点が前進面に1箇所、後進面に2箇所ある位置関係にあり、前記雌ロータの回転中心から前記前進面の接触点までの距離が、前記雌ロータの回転中心から前記後進面の前記雌ロータに近い側の接触点までの距離よりも大きくなる場合において、前記前進面の接触点と前記後進面の前記雌ロータに近い側の接触点からなる作動室と前記凹部との連通面積は、前記後進面の2箇所の接触点からなる作動室と前記吐出ポートとの連通面積よりも広い。さらに、前記吐出ポートから前記凹部までの最小距離は、前記気体の吐出側端面における前記雌ロータの最小の歯厚よりも大きい。さらに、前記吐出ポートは、前記雄ロータの回転中心と前記雌ロータの回転中心を結ぶ直線に対して、前記雄ロータと前記雌ロータが噛み合いを始める領域に設けられる。さらに、前記凹部は、前記雄ロータの回転中心と前記雌ロータの回転中心を結ぶ直線に対して、前記雄ロータと前記雌ロータの噛み合いが終わる領域に設けられる。さらに、前記複数個の作動室のうち、容積が最大を過ぎて最小過程になる付近の作動室には、前記気体とは異なる液体を注入する構造が設けられる。
本発明によれば、歯面分離振動を低減することが可能なスクリュー圧縮機を提供することができる。
吐出側端面におけるロータと流路の位置関係を示す図である。 図1よりも回転が進んだ状態の図である。 図2よりも回転が進んだ状態の図である。 図3よりも回転が進んだ状態の図である。 油冷式スクリュー圧縮機の概略構造である。 雌ロータにおける接触点の回転半径の変化を示すグラフである。
気体を吸入して圧縮し、外部へ吐出するスクリュー圧縮機において、雄ロータと雌ロータを互いに噛み合わせて回転すると、雄ロータ及び雌ロータの歯面の相互が接触する点や僅かな隙間を残して接近する点が現れ、雄ロータ及び雌ロータの回転とともに発生,移動,消滅を繰り返す。図示しないが、スクリュー圧縮機は、雄ロータと雌ロータを回転させる機構を備える。相手歯と極めて接近した点も歯形設計上は、接触点と同一に取り扱える。なぜなら、極めて接近した雄ロータ及び雌ロータの各歯面上それぞれの点も、理想的な歯面どうしの場合には、接触して1点となるように設計しているためである。実際のロータでは、加工誤差,熱変形,ガス圧変形,振動等を考慮して雄ロータと雌ロータとの歯面間に隙間を与えているため、雄ロータ及び雌ロータの各々の歯面上に2つの点として存在する。以下の実施例では、この接近した雄ロータ及び雌ロータの歯面上の2点も広義の接触点とした。
また、ロータの吐出側端面と、それと向き合ったボア部端面の間にも、ロータの円滑な回転を維持するために、微小な隙間を設けている。したがって、ボア部の端面に開口した吐出ポートと、雄ロータと雌ロータとの歯溝に形成された作動室の位置がずれても、この微小な隙間を通って僅かな流れは生じる。しかし、この流れは極めて少ない量なので、以下の実施例では、この流れを無視し、吐出ポートと作動室の間も、それらの輪郭線内側がずれていれば連通しないと見なすことにする。
上記した前提に基づいて、実施例1を、図1〜図6を用いて説明する。図1は、ボア部の端面にロータの吐出側端面を重ね書きした図である。図2〜図4は、図1と同じ断面でロータの回転を順次進めた状態を示している。図5は、油冷式のスクリュー圧縮機の模式的な断面図である。
図5に示すように、スクリュー圧縮機は、雄ロータ1と雌ロータ2(図5で奥方向にあるため図示せず)を噛み合わせてケーシング3内に形成したボア部4に収める。このボア部4は、雄ロータと雌ロータの歯部を覆っている。このボア部4は、一部を重複し、長さの等しい2つの円筒状の穴である。このボア部4の両側の端面には、雄ロータ1及び雌ロータ2の軸が貫通する軸穴があけてある。雄ロータ1,雌ロータ2とともに歯を形成した部分の両側に張り出した軸部を軸受5で回転自在に軸支する。雄ロータ1の軸の一端は、ケーシング3外部に引き出して、ここを動力入力軸6とする。ケーシング3は、主ケーシング3aと、副ケーシング3bに分割した構造である。主ケーシング3a及び副ケーシング3bの合わせ面は、吐出側端面7に一致する。雄ロータ1及び雌ロータ2の歯溝は、ボア部4の内周面や端面によって塞がれて作動室8で示す閉じた空間となる。
なお、作動室8は、厳密には完全に閉じた空間ではなく、雄ロータ1と雌ロータ2とが噛み合った隙間や、雄ロータ1及び雌ロータ2の外周とボア部4の内周面との間の隙間で、隣接する別な作動室等と非常に狭い断面積で連通している。これらの隙間は、雄ロータ1及び雌ロータ2の円滑な回転のために設けたものであるが、実施例1を述べる上で不要であるため、説明を省略する。また、雄ロータ1の雄歯溝と雌ロータ2の雌歯溝とボア部4とで複数個の作動室を形成する。
ケーシング3には、外部からボア部4まで連通する吸入流路9と吐出流路10と呼ぶ2つの貫通路を形成し、それら貫通路のボア部4への開口部を吸入ポート11,吐出ポート12と呼ぶ。すなわち、吐出ポート12は、ボア部4の圧縮した気体を吐出する側に設けられる。
図1は、副ケーシング3bの吐出側端面7をロータの側から見た図である。雄ロータ1及び雌ロータ2の外形である歯形は、吐出側端面7における輪郭線で示している。ボア部4の端面には、吐出ポート12が開口し、この吐出ポート12とは異なる位置に行き止まりの凹部15を設けている。また、吐出ポート12は、雄ロータ1の回転中心と雌ロータ2の回転中心を結ぶ直線に対して、雄ロータ1と雌ロータ2が噛み合いを始める領域に設けられる。また、凹部15は、雄ロータ1の回転中心と雌ロータ2の回転中心を結ぶ直線に対して、雄ロータ1と雌ロータ2の噛み合いが終わる領域に設けられる。吐出ポート12と凹部15の輪郭形状は、次に述べる条件を満たすものとする。
吐出ポート12は、作動室8の容積が所定の値まで縮小したときに、雄歯溝82及び雌歯溝83において、連通を開始する形状にしている。そして、従来のスクリュー圧縮機では、内容積が0となって作動室が消滅するまで、その作動室が吐出ポート12と連通を持続するようにしたものが多い。しかし、実施例1のスクリュー圧縮機の吐出ポート12の形状は、作動室の内容積が残った状態で連通が終了される形状としている。そのため、吐出ポート12の輪郭線は、雄ロータ1と雌ロータ2の回転中心を結ぶ線分16よりもロータ対の回転方向で手前側、即ち、図1で下側の範囲に留まる。なぜなら、作動室は、この線16上かそれよりも上で最終的に消滅するためである。
すなわち、実施例1では、気体の吐出側端面7であり、雄ロータ1と雌ロータ2との接触点が前進面に1箇所、後進面に2箇所ある位置関係にあり、雌ロータ2の回転中心から前進面の接触点までの距離が、雌ロータ2の回転中心から後進面の雌ロータ2に近い側の接触点までの距離よりも大きくなる場合において、前進面の接触点と後進面の雌ロータ2に近い側の接触点からなる作動室と凹部15との連通面積は、後進面の2箇所の接触点からなる作動室と吐出ポート12との連通面積よりも広くしている。
凹部15は、吐出側端面7上で雄ロータ1と雌ロータ2の回転中心を結ぶ線分16をはさんで、吐出ポート12と反対側に設けられる。そして、先に述べた吐出ポート12との連通が終了する作動室が、それと相前後して凹部15に連通を開始する。内容積が0となって作動室が消滅するまで、凹部15との連通が持続するように凹部15の輪郭形状を決めてある。同時に、凹部15は、吸入ポート11に連通して容積拡大中である別の作動室とも、より広い面積で連通する輪郭形状としておく。
実施例1では、次のように作用する。
図1において、雄歯溝81と雌歯溝82は、別の作動室に見えるが、吸入側方向にある別の断面では互いに連通し、1つの作動室を形成している。また、この作動室は、最大容積であった時点から容積が数分の1に縮小しており、十分に圧縮が進んだ状態となっている。この位置から更に、雄ロータ1,雌ロータ2が矢印の向きに回転すると、図2に示すように、雄歯溝(作動室)81と雌歯溝(作動室)82は、その一部が吐出ポート12の輪郭内に入り、雄歯溝81,雌歯溝82と吐出ポート12は互いに連通する。連通した状態で、作動室81,作動室82の内容積が縮小し続けるので、内部の気体を吐出ポート12から吐出流路10を経て外部に送り出す作用がある。
更に、雄ロータ1,雌ロータ2が回転すると図2の状態を経て、図3に示すように、雄歯溝81と雌歯溝82がつながった断面が吐出側端面7上に現れ、1つの作動室であることが明白となる。この時点においても、作動室81,作動室82と吐出ポート12の連通は持続している。図4の状態を経て再び図1に戻り、着目していた作動室は、1歯分だけ進み、作動室83の状態に至る。
更に回転が進んだ図2の作動室83は、ボア部4の外周から離れて雄ロータ1及び雌ロータ2の歯面とボア部4の端面だけに囲まれた作動室となる。図2は、吐出側端面7上で雄ロータ1及び雌ロータ2の歯面が後進面で接触を開始した瞬間を示す。そして、生成したばかりの接触点22は、作動室83の輪郭形状の端となっている。この後の回転で、接触点22は、2つの接触点に分離する。一方、この間、前進面側の接触点21は、移動するものの1点での接触が継続する。
図2において、前進面の接触点21の雌ロータ2における回転半径をRLとし、後進面の接触点22の雌ロータ2における回転半径をRTとする。後進面の接触点が2つある回転角度の場合には、回転半径の小さい方をRTとする。接触点は、ロータの回転によって移動し、それにつれてRLとRTも変化する。
図6は、このRLとRTの変化を示したグラフを示す図である。横軸は、時間の進みに対応した雄ロータ1,雌ロータ2の回転角度θを示す。縦軸は、接触点の雌ロータ2における回転半径を示す。後進面の接触点22は、図2に示した回転角度θSで出現し、この回転半径RTは次第に減少する。一方で、前進面の接触点21は、それ以前から存在しており、その回転半径RLも次第に減少する。後進面の接触点22が出現した時点では、RTはRLよりも大きい。しかし、RTの減少率がRLの減少率よりも大きいため、回転角度θCで大小関係が逆転する。回転が進むと2つの接触点21と22は次第に接近して、最終的に回転角度θeで1つになるためRT=RLとなる。次の瞬間には、雄ロータ1の歯面と雌ロータ2の歯面が離れるため接触点は消滅する。
回転角度θCからθeの範囲ではRL>RTの関係になるため、これらの断面では作動室83の内圧が高いと雌ロータ2に回転方向のガストルクを発生する。先に述べたように、回転方向のガストルクは、歯面分離振動の主因なので、発生を避けるか、軽減したいものである。
特に、従来の油冷式や水注入式のスクリュー圧縮機では、吐出ポートが開き、圧縮された気体の吐き出しが始まっても作動室の進行方向の逆端部には密度の大きい液体が残りがちである。図3に示すような典型的な回転角度で、作動室83と吐出ポート12等との連通面積が不足すると、作動室83内部に残っていた液が閉じ込められ圧力急上昇を発生しがちであった。その場合には、作動室83の内圧は、圧縮された気体の吐出圧力をはるかに超えて、雌ロータ2に作用するトルクも非常に大きなものとなる。
これに対して、実施例1では、図3における作動室83は吐出ポート12から離れて、凹部15と連通している。凹部15の一部は、比較的低圧の作動室84に連通しているため、容積縮小中の作動室83内部の流体は凹部15へ流れ出て、作動室83の内圧は降下する。作動室84は、吸入過程あるいは圧縮開始直後のため、内圧は吸入圧に近い。したがって、作動室83の内圧も吸入圧近くまで降下するため、発生するガストルクは、数分の1に小さくなる。その値は、ロータの他の部分に作用するガストルクに比較しても小さく、ロータを正回転させるには及ばない。したがって、歯面分離振動に至る可能性は無くなり、静かな運転が確保できる。
実施例1では、図3において作動室83が吐出ポート12と連通を絶つのとほぼ同時期に凹部15との連通を開始している。このために、吐出ポート12から凹部15までの最小距離は、気体の吐出側端面7における雌ロータ2の最小の歯厚よりも大きくしている。
しかし、吐出ポート12との連通を絶つ前に凹部と連通を開始し、両方に連通する時間帯を設ける方法もある。作動室内にある流体の慣性や粘性が大きい場合には、それらを理由に流れや圧力変化が遅れるのを防ぎ、実施例1の効果を確実に実現できる。
実施例1では、作動室83の容積が0にならないうちに吐出ポート12との連通を絶ち、内部に残った流体を低圧側に逃がすため、逃がした流体の圧縮に要したエネルギが損失になる懸念がある。しかし、図3における作動室83の内容積は、吐出流体の数百分の1以下と小さく、その損失は小さい。また、油冷式のスクリュー圧縮機においては、終期の作動室には圧縮した気体よりも油が残っている割合が高く、非圧縮性の流体である油が低圧側に抜けてもエネルギ損失は極めて小さい。よって、性能低下の懸念は、杞憂といえるレベルに留まる。
以上、実施例1によれば、歯形設計の自由度を制約することなく、油の閉じ込みや圧縮作用の反力としての雌ロータに作用する正回転方向のトルクの発生を防止し、歯面分離しないスクリュー圧縮機を提供することが可能となる。また、吸入や吐出の圧力条件にかかわらず、歯面分離しないスクリュー圧縮機を提供することが可能となる。さらに、ロータの歯形形状に対して制約条件を設けないため、歯形の設計自由度が高く、高性能の歯形や加工性の良い歯形との両立が可能となる。
また、油を注入する方式である油冷式や、水を注入する方式のスクリュー圧縮機においては、容積が最大を過ぎて最小過程になる付近の作動室84に、気体とは異なる液体を注入する構造が設けることにより、上述した効果を得ることが可能となる。
また、実施例1では、雄ロータの歯数が4枚、雌ロータの歯数が5枚を例として説明したが、歯数には関係なく、歯面分離を防止する効果が期待できる。
1 雄ロータ
2 雌ロータ
3 ケーシング
4 ボア部
5 軸受
6 動力入力軸
7 吐出側端面
8,83 作動室
9 吸入流路
10 吐出流路
11 吸入ポート
12 吐出ポート
15 凹部
16 雄ロータと雌ロータの回転中心を結ぶ線分
21 前進面の接触点
22 後進面の接触点
23 半径大の後進面の接触点
81 雄歯溝
82 雌歯溝
84 吸入作動室

Claims (5)

  1. 気体を吸入して圧縮し、外部へ吐出するスクリュー圧縮機において、
    互いに噛み合った雄ロータ及び雌ロータと、
    前記雄ロータと前記雌ロータとを回転させる機構と、
    前記雄ロータ及び前記雌ロータとが収められたケーシングと、
    前記ケーシングに形成され、前記雄ロータ及び前記雌ロータの歯部を覆うボア部と、
    前記雄ロータの雄歯溝と前記雌ロータの雌歯溝と前記ボア部とで形成された複数個の作動室と、
    前記ボア部の前記圧縮した気体を吐出する側に設けられた吐出ポートと、
    前記ボア部の前記気体を吐出する側であり、前記吐出ポートとは異なる位置に設けられた凹部とを備え、
    前記気体の吐出側端面であり、前記雄ロータと前記雌ロータとの接触点が前進面に1箇所、後進面に2箇所ある位置関係にあり、前記雌ロータの回転中心から前記前進面の接触点までの距離が、前記雌ロータの回転中心から前記後進面の前記雌ロータに近い側の接触点までの距離よりも大きくなる場合において、
    前記前進面の接触点と前記後進面の前記雌ロータに近い側の接触点からなる作動室と前記凹部との連通面積は、前記後進面の2箇所の接触点からなる作動室と前記吐出ポートとの連通面積よりも広いことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  2. 請求項1に記載のスクリュー圧縮機において、
    前記吐出ポートから前記凹部までの最小距離は、前記気体の吐出側端面における前記雌ロータの最小の歯厚よりも大きいことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  3. 請求項2に記載のスクリュー圧縮機において、
    前記吐出ポートは、前記雄ロータの回転中心と前記雌ロータの回転中心を結ぶ直線に対して、前記雄ロータと前記雌ロータが噛み合いを始める領域に設けられたことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  4. 請求項3に記載のスクリュー圧縮機において、
    前記凹部は、前記雄ロータの回転中心と前記雌ロータの回転中心を結ぶ直線に対して、前記雄ロータと前記雌ロータの噛み合いが終わる領域に設けられたことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  5. 請求項4に記載のスクリュー圧縮機において、
    前記複数個の作動室のうち、容積が最大を過ぎて最小過程になる付近の作動室には、前記気体とは異なる液体を注入する構造が設けられたことを特徴とするスクリュー圧縮機。
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