JP2009242581A - ジエン系ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気入りタイヤのベーストレッド、ベルトクッション、上部軟質ビードフィラー等の加硫成形材料として好適に使用し得るジエン系ゴム組成物であって、粘度の上昇や弾性率の低下を招くことなく、低発熱性や高破断伸びを有し、耐熱老化性にすぐれた加硫成形品を与え得るものを提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対して、モノメタクリル酸亜鉛4〜9重量部および一般式
(ここで、Rは置換もしくは非置換のC2〜C10のアルキレン基、置換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を含むアルキレン基であり、xは2〜6の整数であり、nは1〜15の整数である)で表わされる環状ポリスルフィド化合物4〜10重量部を配合してなるジエン系ゴム組成物。
【選択図】 図1
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対して、モノメタクリル酸亜鉛4〜9重量部および一般式
(ここで、Rは置換もしくは非置換のC2〜C10のアルキレン基、置換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を含むアルキレン基であり、xは2〜6の整数であり、nは1〜15の整数である)で表わされる環状ポリスルフィド化合物4〜10重量部を配合してなるジエン系ゴム組成物。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ジエン系ゴム組成物に関する。さらに詳しくは、空気入りタイヤのベーストレッド、ベルトクッション、上部軟質ビードフィラー等の加硫成形材料として好適に用いられるジエン系ゴム組成物に関する。
空気入りタイヤのベーストレッド(アンダートレッド)、ベルトクッション、上部軟質ビードフィラー(下部に位置する硬質ビードフィラーの上部に位置する)等は、図1に示される如く空気入りタイヤの内部に配置されるために熱を蓄熱し易く、低発熱性であることに加えて耐熱老化性にすぐれていることが重要な要求特性とされる。また、その弾性率が小さいと、走行中の変形が大きくなるために疲労劣化が進み易く、またそれぞれの隣接パーツの動きを大きくし、結果的にタイヤの発熱性の悪化やセパレーション等の破壊現象が起り易くなるので、弾性率についても十分な配慮が必要である。
さらに、ベーストレッドは、摩耗終期にはタイヤ表面に露出することになるために、またベルトクッションと上部軟質ビードフィラーは走行中に大きな変形を受け易いために、良好な破断伸びが必要となる。これらのことから、空気入りタイヤのベーストレッド、ベルトクッションおよび上部軟質ビードフィラーにおいては、発熱性、弾性率および破断伸びが重要な特性であるといえる。
一般的に、特許文献1でも言及されている通り、シリカを配合することによって、発熱を低く抑えるという発熱性を向上させることが行われているが、シリカの配合は粘度を上昇させ、製造現場での加工性を低下させる。また、高破断伸びを得るためには、カーボンブラック配合量の減量や比表面積を大きくする微粒子化などが考えられるが、これらは弾性率の低下を招くことになる。
特開昭62−184039号公報
本出願人は先に、耐熱老化性の向上を目的として、天然ゴム90重量部以上を含むゴム100重量部当り、窒素吸着比表面積(N2SA)が70m2/g以上でヨウ素吸着量が70〜90mg/gのカーボンブラック40〜60重量部ならびに加硫剤として硫黄および一般式
で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:炭素数2〜20の置換もしくは非置換のアルキレン基、オキシアルキレン基又は芳香族環を含むアルキレン基、x:平均2〜6の整数、n:1〜20の整数)を配合してなる、重荷重用空気入りタイヤタイゴム層などに好適に用いられるゴム組成物を提案している。しかるに、この組成物より得られる加硫成形品は、空気入りタイヤのベーストレッド、ベルトクッションおよび上部軟質ビードフィラーで求められる低発熱性については、必ずしも十分に満足させるものではない。
特開2006−193679号公報
で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:炭素数2〜20の置換もしくは非置換のアルキレン基、オキシアルキレン基又は芳香族環を含むアルキレン基、x:平均2〜6の整数、n:1〜20の整数)を配合してなる、重荷重用空気入りタイヤタイゴム層などに好適に用いられるゴム組成物を提案している。しかるに、この組成物より得られる加硫成形品は、空気入りタイヤのベーストレッド、ベルトクッションおよび上部軟質ビードフィラーで求められる低発熱性については、必ずしも十分に満足させるものではない。
本発明の目的は、空気入りタイヤのベーストレッド、ベルトクッション、上部軟質ビードフィラー等の加硫成形材料として好適に使用し得るジエン系ゴム組成物であって、粘度の上昇や弾性率の低下を招くことなく、低発熱性や高破断伸びを有し、耐熱老化性にすぐれた加硫成形品を与え得るものを提供することにある。
本発明に係るジエン系ゴム組成物は、シリカを用いることなく、モノメタクリル酸亜鉛および特定の環状ポリスルフィド化合物を配合することにより、加工性を左右する粘度の上昇や弾性率の低下をもたらすことなく、低発熱性で高破断伸びの加硫物を得ることができるので、これらの特性が要求される空気入りタイヤのベーストレッド、ベルトクッションおよび上部軟質ビードフィラーの少なくとも1個所を形成するのに用いられる加硫成形材料として好適である。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が単独であるいはブレンドゴムとして用いられ、好ましくはNR、IRおよびこれらのブレンドゴムが用いられる。SBRとしては、乳化重合SBR(E-SBR)、溶液重合SBR(S-SBR)のいずれをも用いることができる。
モノメタクリル酸亜鉛は、メタクリル酸が亜鉛に対して配位結合しているものと考えられ、〔CH(CH3)=CHCOO〕2Znで表わされるジメタクリル酸亜鉛とは区別される。実際には、モノメタクリル酸亜鉛として市販されているサートマー社製品SR709等をそのまま用いることができる。また、モノメタクリル酸亜鉛の合成例としては、塩基過剰でメタクリル酸と酸化亜鉛とを反応させて得られた、例えば60重量%のモノメタクリル酸亜鉛と30重量%のジメタクリル酸亜鉛、10重量%の酸化亜鉛とからなる混合塩が挙げられる。
特表平11−512776号公報
モノメタクリル酸亜鉛は、ジエン系ゴム100重量部当り4〜9重量部、好ましくは5〜8重量部の割合で用いられる。モノメタクリル酸亜鉛の配合割合がこれよりも少ないと、弾性率が低下し、また発熱量も増加するようになり、一方これ以上の割合で用いられると、破断伸びが悪化するようになるので好ましくない。ここでモノメタクリル酸亜鉛は、酸化亜鉛を用いることなく亜鉛化合物として単独で用いることもできるし、亜鉛化合物の合計量が9重量部以内であれば、酸化亜鉛等と併用することもできる。
環状ポリスルフィド化合物としては、一般式
(ここで、Rは置換もしくは非置換のC2〜C10のアルキレン基、置換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を含むアルキレン基であり、xは2〜6の整数であり、nは1〜15の整数である)で表わされるものが、ジエン系ゴム組成物100重量部当り4〜10重量部、好ましくは5〜9重量部の割合で用いられる。このような環状ポリスルフィド化合物は、一般式X-R-X′(ここで、XおよびX′はハロゲン原子であり、Rは置換もしくは非置換のC2〜C10のアルキレン基又は置換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を含むアルキレン基を示す)で表わされるジハロゲン化合物と、一般式M2Sx(ここで、Mはアルカリ金属であり、xは2〜6の整数である)で表わされるアルカリ金属多硫化物とを、親水性および親油性溶媒の非相溶混合溶媒中、2相系で反応させることにより製造することができる。
特開2002−293783号公報
(ここで、Rは置換もしくは非置換のC2〜C10のアルキレン基、置換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を含むアルキレン基であり、xは2〜6の整数であり、nは1〜15の整数である)で表わされるものが、ジエン系ゴム組成物100重量部当り4〜10重量部、好ましくは5〜9重量部の割合で用いられる。このような環状ポリスルフィド化合物は、一般式X-R-X′(ここで、XおよびX′はハロゲン原子であり、Rは置換もしくは非置換のC2〜C10のアルキレン基又は置換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を含むアルキレン基を示す)で表わされるジハロゲン化合物と、一般式M2Sx(ここで、Mはアルカリ金属であり、xは2〜6の整数である)で表わされるアルカリ金属多硫化物とを、親水性および親油性溶媒の非相溶混合溶媒中、2相系で反応させることにより製造することができる。
かかる環状ポリスルフィド化合物がこれより少ない割合で用いられると、耐熱老化性が低下するようになり、一方これ以上の割合で用いられると、破断伸びが悪化するようになるので好ましくない。ここで環状ポリスルフィド化合物は、硫黄を用いることなく硫黄含有化合物として単独で用いることもできるし、硫黄含有化合物の合計量が10重量部以内であれば、硫黄等と併用することもできる。
以上の必須成分よりなるジエン系ゴム組成物には、さらに充填剤としてシリカを併用することなくカーボンブラックが配合される。ここで、充填剤としてシリカを用いると、発熱量を抑え、弾性率を改善するといった効果を奏するものの、加工性が悪化してしまう。カーボンブラックは、一般にはSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF等のファーネスカーボンブラックが、ジエン系ゴム組成物100重量部当り、60重量部以下、好ましくは20〜50重量部の割合で用いられる。カーボンブラックがこれより多い割合で用いられると加工性および破断伸びが低下するようになる。
ジエン系ゴム組成物中には、さらにゴムの配合剤として一般的に用いられている配合剤、例えばチアゾール系、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系等の加硫促進剤、タルク、クレー、グラファイト、珪酸カルシウム等の補強剤または充填剤、ステアリン酸、パラフィンワックス、アロマオイル等の加工助剤、老化防止剤、可塑剤などが必要に応じて適宜配合されて用いられる。
組成物の調製は、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機およびオープンロール等を用いる一般的な方法で混練することによって行われ、得られた組成物は、用いられたジエン系ゴム、加硫剤、加硫促進剤の種類およびその配合割合に応じた加硫温度で加硫され、図1に示されるように空気入りタイヤのベーストレッド1(アンダートレッド)、ベルトクッション2および上部軟質ビードフィラー3(下部に位置する硬質ビードフィラーの上部に位置する)を形成する。
次に、実施例について本発明を説明する。
比較例1(標準例)
天然ゴム(TSR) 100重量部
HAFカーボンブラック(東海カーボン製品シースト300) 35 〃
老化防止剤(住友化学製品アンチゲン6C) 2 〃
ステアリン酸(千葉脂肪酸製品ビーズステアリン酸) 2 〃
酸化亜鉛(正同化学工業製品酸化亜鉛3種) 4 〃
硫黄(鶴見化学工業製品金華印油入微粉硫黄) 3 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーNS-P) 1 〃
以上の各成分の内、加硫促進剤と硫黄を除く各成分を3L密閉型ミキサで5分間混練し、150℃に達したとき放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄を加え、オープンロールで混練し、ジエン系ゴム組成物を得た。
天然ゴム(TSR) 100重量部
HAFカーボンブラック(東海カーボン製品シースト300) 35 〃
老化防止剤(住友化学製品アンチゲン6C) 2 〃
ステアリン酸(千葉脂肪酸製品ビーズステアリン酸) 2 〃
酸化亜鉛(正同化学工業製品酸化亜鉛3種) 4 〃
硫黄(鶴見化学工業製品金華印油入微粉硫黄) 3 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーNS-P) 1 〃
以上の各成分の内、加硫促進剤と硫黄を除く各成分を3L密閉型ミキサで5分間混練し、150℃に達したとき放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄を加え、オープンロールで混練し、ジエン系ゴム組成物を得た。
比較例2
比較例1において、HAFカーボンブラック量が25重量部に変更され、さらにシリカ(UNITED SILICA INDUSTRIAL社製品ULTRASIL VN-3G)10重量部およびシランカップリング剤(デグッサ社製品Si-69)1重量部が用いられた。
比較例1において、HAFカーボンブラック量が25重量部に変更され、さらにシリカ(UNITED SILICA INDUSTRIAL社製品ULTRASIL VN-3G)10重量部およびシランカップリング剤(デグッサ社製品Si-69)1重量部が用いられた。
比較例3
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(サートマー社製品SR709)5重量部が用いられた。
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(サートマー社製品SR709)5重量部が用いられた。
比較例4
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)7重量部が用いられた。
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)7重量部が用いられた。
比較例5
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)9重量部が用いられた。
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)9重量部が用いられた。
比較例6
比較例1において、硫黄量が1重量部に変更され、さらに前記式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)3重量部が用いられた。ここで、かかる環状ポリスルフィド化合物は、30%多硫化ソーダ(Na2S4)水溶液89.76g(0.15mol)に水80g、硫黄48g(0.15mol)および触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド1.16g(0.0045mol)を入れて80℃2時間反応させた後、トルエン100gを加えて90℃で1,6-ジクロロヘキサン23.3g(0.15mol)を1時間滴下してさらに4時間反応させ、反応終了後、有機層を分解した減圧下90℃で濃縮することにより、目的化合物35.2g(収率95%)が合成された。
比較例1において、硫黄量が1重量部に変更され、さらに前記式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)3重量部が用いられた。ここで、かかる環状ポリスルフィド化合物は、30%多硫化ソーダ(Na2S4)水溶液89.76g(0.15mol)に水80g、硫黄48g(0.15mol)および触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド1.16g(0.0045mol)を入れて80℃2時間反応させた後、トルエン100gを加えて90℃で1,6-ジクロロヘキサン23.3g(0.15mol)を1時間滴下してさらに4時間反応させ、反応終了後、有機層を分解した減圧下90℃で濃縮することにより、目的化合物35.2g(収率95%)が合成された。
実施例1
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)6重量部が用いられ、また硫黄量が1重量部に変更され、さらに前記式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)5重量部が用いられた。
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)6重量部が用いられ、また硫黄量が1重量部に変更され、さらに前記式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)5重量部が用いられた。
実施例2
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)5重量部が、また硫黄の代わりに前記式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)10重量部がそれぞれ用いられた。
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)5重量部が、また硫黄の代わりに前記式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)10重量部がそれぞれ用いられた。
実施例3
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)9重量部が、また硫黄の代わりに前記式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)4重量部がそれぞれ用いられた。
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)9重量部が、また硫黄の代わりに前記式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)4重量部がそれぞれ用いられた。
実施例4
比較例1において、酸化亜鉛量が2重量部に変更され、また硫黄の代わりに前記一般式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)4重量部が用いられ、さらにモノメタクリル酸亜鉛(SR709)5重量部が用いられた。
比較例1において、酸化亜鉛量が2重量部に変更され、また硫黄の代わりに前記一般式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)4重量部が用いられ、さらにモノメタクリル酸亜鉛(SR709)5重量部が用いられた。
比較例7
比較例1において、酸化亜鉛量が2重量部に変更され、また硫黄の代わりに前記一般式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)7重量部が用いられ、さらにモノメタクリル酸亜鉛(SR709)3重量部が用いられた。
比較例1において、酸化亜鉛量が2重量部に変更され、また硫黄の代わりに前記一般式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)7重量部が用いられ、さらにモノメタクリル酸亜鉛(SR709)3重量部が用いられた。
比較例8
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)10重量部が、また硫黄の代わりに前記式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)5重量部がそれぞれ用いられた。
比較例1において、酸化亜鉛の代わりに、モノメタクリル酸亜鉛(SR709)10重量部が、また硫黄の代わりに前記式〔I〕で表わされる環状ポリスルフィド化合物(R:(CH2)6、x:平均5、n:1〜4の混合物)5重量部がそれぞれ用いられた。
以上の各実施例および比較例で得られたジエン系ゴム組成物を用いて、加工性についての評価が行われた。また、各ジエン系ゴム組成物を150℃で30分間加硫して加硫ゴム試験片を得、得られた加硫ゴム試験片について、動的粘弾性、破断伸びおよび耐熱老化性についての測定を行った。
加工性:JIS K6200準拠;ムーニー粘度ML1+4(100℃)を測定し、標準例で得られた値
を100とする逆数を指数として示した
(この値が大きい程加工性にすぐれていることを示している)
動的粘弾性:JIS K6394準拠;東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメータを用い、初
期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で、20℃における貯蔵弾性
率(E’)および損失正接(tanδ)を測定し、標準例で得られた値を100と
する指数で示した
(E’が大きいほど弾性が大きく、またtanδが大きい程発熱量が抑えら
れていることを示している)
破断伸び:JIS K6251準拠;3号ダンベルにて2mmシートを打ち抜き、室温下、500mm/
分の引張り速度にて切断時伸びを測定し、標準例で得られた値を100とす
る指数で示した
(この値が大きい程破断伸びがすぐれていることを示している)
耐熱老化性:JIS K6251準拠;80℃で96時間保存後の破断伸びを測定し、熱老化後の
破断伸び/熱老化前の破断伸びを算出して標準例で得られた値を100と
する指数で示した
(この値が大きい程耐熱老化性にすぐれていることを示している)
加工性:JIS K6200準拠;ムーニー粘度ML1+4(100℃)を測定し、標準例で得られた値
を100とする逆数を指数として示した
(この値が大きい程加工性にすぐれていることを示している)
動的粘弾性:JIS K6394準拠;東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメータを用い、初
期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で、20℃における貯蔵弾性
率(E’)および損失正接(tanδ)を測定し、標準例で得られた値を100と
する指数で示した
(E’が大きいほど弾性が大きく、またtanδが大きい程発熱量が抑えら
れていることを示している)
破断伸び:JIS K6251準拠;3号ダンベルにて2mmシートを打ち抜き、室温下、500mm/
分の引張り速度にて切断時伸びを測定し、標準例で得られた値を100とす
る指数で示した
(この値が大きい程破断伸びがすぐれていることを示している)
耐熱老化性:JIS K6251準拠;80℃で96時間保存後の破断伸びを測定し、熱老化後の
破断伸び/熱老化前の破断伸びを算出して標準例で得られた値を100と
する指数で示した
(この値が大きい程耐熱老化性にすぐれていることを示している)
得られた結果は、次の表に示される。
表
例 加工性 E’ tanδ 破断伸び 耐熱老化性
比較例1 100 100 100 100 100
〃 2 88 90 111 105 99
〃 3 103 95 93 105 96
〃 4 107 97 97 102 97
〃 5 106 104 103 97 93
〃 6 101 96 96 105 106
実施例1 107 101 101 106 106
〃 2 105 105 103 100 110
〃 3 101 103 100 101 102
〃 4 101 100 102 102 103
比較例7 101 96 96 100 104
〃 8 97 105 100 94 102
表
例 加工性 E’ tanδ 破断伸び 耐熱老化性
比較例1 100 100 100 100 100
〃 2 88 90 111 105 99
〃 3 103 95 93 105 96
〃 4 107 97 97 102 97
〃 5 106 104 103 97 93
〃 6 101 96 96 105 106
実施例1 107 101 101 106 106
〃 2 105 105 103 100 110
〃 3 101 103 100 101 102
〃 4 101 100 102 102 103
比較例7 101 96 96 100 104
〃 8 97 105 100 94 102
以上の結果から、次のようなことがいえる。
(1) 各実施例では、いずれも加工性、弾性率、低発熱性、破断伸びおよび耐熱老化性がバランス良く改善されている。
(2) 標準例である比較例1と比較して、そのカーボンブラックの一部をシリカで置き換えると、発熱量は抑えられ、また破断伸びも改善されるものの、加工性、弾性率および耐熱老化性がいずれも悪化する(比較例2)。
(3) 標準例である比較例1と比較して、環状ポリスルフィド化合物を用いることなくモノメタクリル酸亜鉛を用いると加工性は改善されるものの、耐熱老化性が悪化する(比較例3〜5)。
(4) 標準例である比較例1と比較して、モノメタクリル酸亜鉛を用いることなく環状ポリスルフィド化合物を用いると、耐熱老化性は改善されるものの、発熱量が増加し、また弾性率が悪化する(比較例6)。
(5) 標準例である比較例1と比較して、モノメタクリル酸亜鉛量が規定量よりも少ないと、環状ポリスルフィド化合物を併用した場合であっても発熱量が増加し、また弾性率が悪化する(比較例7)。
(6) 標準例である比較例1と比較して、環状ポリスルフィド化合物を用いた場合であっても、モノメタクリル酸亜鉛量が規定量よりも多いと加工性および破断伸びが悪化する(比較例8)。
(1) 各実施例では、いずれも加工性、弾性率、低発熱性、破断伸びおよび耐熱老化性がバランス良く改善されている。
(2) 標準例である比較例1と比較して、そのカーボンブラックの一部をシリカで置き換えると、発熱量は抑えられ、また破断伸びも改善されるものの、加工性、弾性率および耐熱老化性がいずれも悪化する(比較例2)。
(3) 標準例である比較例1と比較して、環状ポリスルフィド化合物を用いることなくモノメタクリル酸亜鉛を用いると加工性は改善されるものの、耐熱老化性が悪化する(比較例3〜5)。
(4) 標準例である比較例1と比較して、モノメタクリル酸亜鉛を用いることなく環状ポリスルフィド化合物を用いると、耐熱老化性は改善されるものの、発熱量が増加し、また弾性率が悪化する(比較例6)。
(5) 標準例である比較例1と比較して、モノメタクリル酸亜鉛量が規定量よりも少ないと、環状ポリスルフィド化合物を併用した場合であっても発熱量が増加し、また弾性率が悪化する(比較例7)。
(6) 標準例である比較例1と比較して、環状ポリスルフィド化合物を用いた場合であっても、モノメタクリル酸亜鉛量が規定量よりも多いと加工性および破断伸びが悪化する(比較例8)。
1 ベーストレッド
2 ベルトクッション
3 上部軟質ビードフィラー
3’ 下部硬質ビードフィラー
4 キャップトレッド
5 ベルト
6 サイドウォール
7 インナーライナー
8 ベルトエッジクッション
9 カーカス
10 チェーファー
11 リムクッション
12 ビードコア
2 ベルトクッション
3 上部軟質ビードフィラー
3’ 下部硬質ビードフィラー
4 キャップトレッド
5 ベルト
6 サイドウォール
7 インナーライナー
8 ベルトエッジクッション
9 カーカス
10 チェーファー
11 リムクッション
12 ビードコア
Claims (7)
- さらに充填剤として、シリカを併用することなくカーボンブラックが用いられた請求項1記載のジエン系ゴム組成物。
- ジエン系ゴムが、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムである請求項1記載のジエン系ゴム組成物。
- 酸化亜鉛ZnOが、モノメタクリル酸亜鉛との合計量が9重量部以下となるように併用された請求項1記載のジエン系ゴム組成物。
- 硫黄が、環状ポリスルフィド化合物との合計量が10重量部以下となるように併用された請求項1記載のジエン系ゴム組成物。
- 空気入りタイヤのベーストレッド、ベルトクッションおよび上部軟質ビードフィラーの少なくとも1個所を形成させる加硫成形材料として用いられる請求項1、2、3、4または5記載のジエン系ゴム組成物。
- 請求項6記載のジエン系ゴム組成物から加硫成形されたベーストレッド、ベルトクッションおよび上部軟質ビードフィラーの少なくとも1個所を形成させた空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008090602A JP2009242581A (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | ジエン系ゴム組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008090602A JP2009242581A (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | ジエン系ゴム組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009242581A true JP2009242581A (ja) | 2009-10-22 |
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ID=41304867
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2009242581A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014105296A (ja) * | 2012-11-28 | 2014-06-09 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | ベーストレッド用ゴム組成物、その製造方法及び空気入りタイヤ |
JP2016044201A (ja) * | 2014-08-20 | 2016-04-04 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
-
2008
- 2008-03-31 JP JP2008090602A patent/JP2009242581A/ja active Pending
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