JP2009242569A - 微粒子の製造方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】微粒子形成材料を含む溶解液の分解・劣化を抑制し、単分散性の高い微粒子を製造することができる。
【解決手段】
有機顔料を、該有機顔料に対して反応性を有する溶解助剤により溶媒に溶解させた溶解液L1を用いた微粒子の製造方法であって、
有機顔料を含む良溶媒と溶解助剤をそれぞれ独立した供給流路を介して1の合流領域内で合流させることにより溶解液L1を調製する工程と、調製した溶解液L1を、該溶解液L1の有機顔料の溶解度を変化させる貧溶媒L2と連続的に混合して微粒子を生成する工程と、を備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】
有機顔料を、該有機顔料に対して反応性を有する溶解助剤により溶媒に溶解させた溶解液L1を用いた微粒子の製造方法であって、
有機顔料を含む良溶媒と溶解助剤をそれぞれ独立した供給流路を介して1の合流領域内で合流させることにより溶解液L1を調製する工程と、調製した溶解液L1を、該溶解液L1の有機顔料の溶解度を変化させる貧溶媒L2と連続的に混合して微粒子を生成する工程と、を備えた。
【選択図】 図1
Description
本発明は、微粒子の製造方法及び装置に関し、特に、有機顔料を良溶媒に溶解させた溶解液を、該有機顔料に対する溶解性が低い貧溶媒と混合することにより有機顔料微粒子を製造するビルドアッププロセスに関する。
顔料は、鮮明な色調と高い着色力とを示し、多くの分野で広く使用されている。例えば、塗料、印刷インク、電子写真用トナー、インクジェットインク、カラーフィルター等を用途として挙げることができる。
中でも、顔料は、染料に比べて耐水性や耐光性が高いことから、インクジェット用インクの色材として好適である。例えば、特許文献1には、有機顔料と分散剤とをアルカリ存在下の非プロトン性有機溶剤に溶解させた顔料溶液を用意し、該顔料溶液と水とを混合することにより有機顔料微粒子を製造するビルドアッププロセスが開示されている。顔料溶液と水との混合は、超音波振動子や各種攪拌装置により行えるほか、連続して流れる水の中で混合することもできる。
このようにして得られた有機顔料微粒子の分散液は、色材濃度等を調整した後、インクジェット用インクとして用いられることが記載されている。あるいは、上記分散液を酸と接触させることにより有機顔料微粒子を凝集、分離した後、アルカリに再分散させることにより浮遊物等を取り除くことが記載されている。
特開2004−43776号公報
しかしながら、上記特許文献1の顔料溶液では、有機顔料を溶解させるために添加するアルカリ剤が有機顔料や分散剤を分解、又は酸化劣化させる場合が多い。有機顔料の種類によっては、アルカリ剤と接触して数分で分解・劣化するものもある。
このように、顔料溶液を水と混合して有機顔料微粒子を析出させる反応を行う前に、顔料溶液そのものが経時劣化するという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、微粒子形成材料を溶解した溶解液の分解・劣化を抑制し、単分散性の高い微粒子を製造する微粒子の製造方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、微粒子形成材料を、該微粒子形成材料に対して反応性を有する溶解助剤により溶媒に溶解させた溶解液を用いた微粒子の製造方法であって、前記微粒子形成材料を含む溶媒と前記溶解助剤をそれぞれ独立した供給流路を介して1の合流領域内で合流させることにより前記溶解液を調製する工程と、前記調製した溶解液を、該溶解液の微粒子形成材料の溶解度を変化させる他の溶液と連続的に混合して微粒子を生成する工程と、を備えたことを特徴とする微粒子の製造方法を提供する。
請求項1によれば、微粒子形成材料と、該微粒子形成材料に対して反応性を有する溶解助剤と、をそれぞれ独立した供給流路に流しながら1の合流領域内で合流させ、混合する。これにより、溶解度を変化させる他の溶液と混合する直前で、微粒子形成材料と溶解助剤とを短時間且つ高効率で接触させることができる。したがって、微粒子形成材料が溶解助剤によって分解されるのを抑制できる。
請求項2は請求項1において、前記溶解助剤は、酸又はアルカリ剤であることを特徴とする。
請求項2によれば、溶解助剤としての酸又はアルカリ剤は、微粒子形成材料に対する反応性が高いものが多い。このような場合でも、微粒子形成材料の分解・劣化を最小限に抑えながら、微粒子形成材料を溶媒に溶解させることができる。
請求項3は請求項1又は2ににおいて、前記溶解液は、前記微粒子形成材料に対する溶解性が相対的に高い良溶媒に前記微粒子形成材料を溶解させた液であり、前記他の溶液は、前記微粒子形成材料に対する溶解性が相対的に低い貧溶媒であることを特徴とする。
請求項3によれば、微粒子形成材料を溶解させた溶解液の溶解度を変化させることで、微粒子を析出、生成することができる。
請求項4は請求項1〜3の何れか1項において、前記微粒子形成材料は、有機顔料であることを特徴とする。
請求項4によれば、有機顔料微粒子をビルドアッププロセスで製造することができる。
請求項5は請求項1〜4の何れか1項において、前記微粒子形成材料を含む溶媒と前記溶解助剤とをそれぞれ複数に分流した後、前記1の合流領域で合流させることを特徴とする。
請求項5によれば、微粒子形成材料と溶解助剤とを分流させた後、合流させて混合する。これにより、微粒子形成材料と溶解助剤の接触面積を増やすことができ、混合性能を高めることができる。
本発明の請求項6は前記目的を達成するために、微粒子形成材料を含む溶媒と前記微粒子形成材料を前記溶媒に溶解させる溶解助剤とをそれぞれ独立して供給する複数の第1、第2供給流路と、前記複数の第1、第2供給流路と連通し、前記微粒子形成材料を含む溶媒と前記溶解助剤とを合流させて溶解液を調製する第1合流領域と、前記溶解液と、該溶解液の微粒子形成材料の溶解度を変化させる他の溶液とをそれぞれ独立して供給する複数の第3、第4供給流路と、前記複数の第3、第4供給流路と連通し、前記溶解液と前記他の溶液とを合流させて微粒子を生成する第2合流領域と、を備えたことを特徴とする微粒子の製造装置を提供する。
請求項7は請求項6において、前記複数の第1、第2供給流路は、それぞれ複数の流路に分岐する分岐部を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、微粒子形成材料を溶解した溶解液の分解・劣化を抑制し、単分散性の高い微粒子を製造することができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る微粒子の製造方法及び装置の好ましい実施の形態について説明する。
以下の各実施形態では、微粒子形成材料として有機顔料を用い、有機顔料微粒子を製造する例で説明する。なお、本発明はこれに限定されず、反応に使用する前の原料溶液が経時的に不安定な場合(原料溶液の成分同士が反応する場合)にも広く適用できる。
まず、有機顔料微粒子の製造手順について説明する。
即ち、有機顔料の固形物を良溶媒で湿らせたスラリー溶液を調製する。微粒子を析出・生成するビルドアッププロセスでは、有機顔料を分子レベルまで完全に溶解させておく必要がある。このため、上記スラリー溶液に酸又はアルカリ剤を添加することで、有機顔料を良溶媒に溶解させた溶解液L1を調製する。そして、溶解液L1と、良溶媒に相溶するが有機顔料を溶解しない貧溶媒L2とを混合して溶解度を変化させることにより、有機顔料微粒子を析出・生成させる。なお、酸又はアルカリ剤は、使用する有機顔料の種類によって選定するものとする。
次に、本発明の微粒子の製造方法及び装置が適用されるマイクロデバイスの第1の実施形態について説明する。本実施形態は、平面型のマイクロデバイスを用いて上述した有機顔料微粒子を生成する例である。
図1は、本実施形態のマイクロデバイス10の一例を示す平面図である。図2は、図1のマイクロデバイス10のa−a’線断面図である。
図1に示すように、マイクロデバイス10は、主に、溶解液L1(原料溶液)を調製する調製部12と、該調製した溶解液L1と貧溶媒L2とを混合させて微粒子を生成する微粒子生成部14と、調製部12で調製した溶解液L1を微粒子生成部14に供給する連結管16と、より構成される。
調製部12は、基板13の表面に、1本の混合溝20aと、該混合溝20aから放射状に分岐した5本の導入溝22a、22b、22c、24a、24bと、が形成されている。そして、図2に示すように、基板13上に蓋板15が被せられて一体化されることにより、1本の混合流路20と、該混合流路20から放射状に分岐した5本の導入流路22A、22B、22C、24A、24Bと、が形成される。
蓋板15には、混合溝20Aの出口側端部と導入溝22aの入口側端部に対向する位置に、厚み方向に貫通する孔29、31が形成されている。孔29は、アルカリ剤溶液A1を導入する孔であり、孔31は調製した溶解液L1を回収する孔である。その他の導入流路や液を導入又は回収する孔についても、同様に形成される。
導入流路22A、22B、22C(第1供給流路)は、有機顔料を良溶媒に溶解させるためのアルカリ剤溶液A1を導入する流路であり、周方向に互いに等間隔となるように設けられている。導入流路24A、24B(第2供給流路)は、有機顔料を良溶媒に溶解させたスラリー溶液A2を導入する流路であり、導入流路22A、22B或いは導入流路22B、22Cの間に周方向に等間隔に設けられている。即ち、混合流路20の反対側には第1の導入流路22Aが設けられ、該第1の導入流路22Aを挟んだ左右に、第1及び第2の導入流路24A、24BがV字状に配置される。さらに、混合流路20を挟んだ左右に、第2及び第3の導入流路22B、22Cが逆V字状に配設される。
混合流路20は、その入口部26(第1合流領域)が5本の導入流路と連通しており、導入流路22A、22B、22Cより導入したアルカリ剤溶液A1と導入流路24A、24Bより導入したスラリー溶液A2とを混合して、溶解液L1を調製する。
導入流路22A、22B、22Cの流路幅は、特に限定はなく、例えば等価直径で1mm以下程度である。導入流路24A、24Bの流路幅は、有機顔料を良溶媒と混合させたスラリー溶液A2を詰まらせないように流すことができる大きさに設定される。例えば、スラリー溶液A2の粘度は20cP以下であることが好ましく、5cP以下であることが一層好ましい。粘度が20cP以下である場合、導入流路24A、24Bの流路幅(直径)は0.5mm〜6mmの範囲であることが好ましく、0.5mm〜2mmの範囲が一層好ましく、1mm〜2mmの範囲が特に好ましい。
混合流路20の流路幅は、等価直径で0.5mm以上6mm以下、より好ましくは1mm以上6mm以下、特に好ましくは2mm以上6mm以下である。混合流路20の流路幅は、等価直径1mm以上の場合、遷移領域或いは乱流領域となるような流れ、即ちレイノルズ数Reが2000以上となるように設定されることが好ましい。
等価直径(equivalent diameter)は、相当(直)径とも呼ばれ、機械工学の分野で用いられる用語である。任意断面形状の配管(本発明では流路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径を等価直径という。等価直径(deq)は、A:配管の断面積、p:配管のぬれぶち長さ(周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あるいは熱伝達特性を推定するのに用いられ、現象の空間的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、一辺aの正四角形管ではdeq=4a2/4a=a、一辺aの正三角形管では、deq=a/√3、流路高さhの平行平板間の流れではdeq=2h、となる(例えば、(社)日本機械学会編「機械工学事典」1997年、丸善(株)参照)。
混合流路20の長さLは、特に制限はないが、アルカリ剤溶液A1とスラリー溶液A2とを充分に混合するのに適した長さに設定される。また、混合流路20において、混合に関わる入口部26(第1合流領域)の流路幅は最大でも30mmを超えないことが好ましい。
各流路の断面形状は、本実施形態の半円形に特に限定されず、例えば矩形、円形、V字型、楕円形、台形等であってもよい。
上記各導入流路への液の供給は、不図示の溶液供給手段(送液ポンプ等)を使用することができる。
微粒子生成部14は、上記調製部12とほぼ同様に、1本の混合流路30と、該混合流路30から放射状に分岐した5本の導入流路32A、32B、32C、34A、34Bと、が設けられている。
導入流路32A、32B、32C(第4供給流路)は、貧溶媒L2を導入する流路であり、導入流路34A、34B(第3供給流路)は溶解液L1を導入する流路である。即ち、混合流路30の反対側には第1の導入流路32Aが設けられ、該第1の導入流路32Aを挟んだ左右に、第1及び第2の導入流路34A、34BがV字状に配置される。さらに、混合流路30を挟んだ左右に、第2及び第3の導入流路32B、32Cが逆V字状に配設される。
混合流路30は、その入口部36(第2合流領域)が5本の導入流路と連通しており、導入流路32A、32B、32Cから導入する溶解液L1と、導入流路34A、34Bから導入する貧溶媒L2とを混合して有機顔料微粒子を生成する。
混合流路30の流路幅は、混合流路20と同様とすることができる。また、5本の導入流路32A、32B、32C、34A、34Bは、その流路幅の合計が混合流路30の流路幅よりも大きくなるように形成されることが好ましい。これにより、5本の導入流路32A、32B、32C、34A、34Bを流れて混合流路30の入口部36に合流される5つの流れは、お互い同士で縮流し合って先細形状の流れとなる。そして、溶解液L1の薄層と貧溶媒L2の薄層とが交互に積層された5層構造から成るサンドイッチ状の複層流Lを形成しながら混合し、有機顔料微粒子を生成する。
混合流路30の長さは、混合流路20と同様に、有機顔料微粒子を生成するのに十分な長さに設定される。
連結管16は、調製部12の混合流路20と微粒子生成部14の導入流路34A、34Bとを連通する、例えばシリコンチューブや金属管等である。なお、調製部12と微粒子生成部14が同一の基板上に形成されている場合、調製部12の混合流路20と微粒子生成部14の導入流路34A、34Bとを連通する流路を形成してもよい。
連結管16の流路径は、調製部12において生成される溶解液L1の流量に応じて設定される。なお、連結管16の途中に流量調整ポンプを設置し、溶解液L1の流量を調整できるように構成してもよい。
マイクロデバイス10の装置本体は、マイクロドリル加工、マイクロ放電加工、めっきを利用したモールディング、射出成形、ドライエッチング、ウエットエッチング、及びホットエンボス加工等の精密加工技術を利用して製作することができる。
マイクロデバイス10の材質としては、特に限定されるものではなく、使用する各種溶液に対する耐食性を有し、上述の加工技術を適用できるものであればよい。具体的には、金属材料(鉄、アルミニウム、ステンレススチール、チタン、各種の金属等)、樹脂材料(アクリル樹脂、PDMS等)、ガラス(シリコン、パイレックス(登録商標)、石英ガラス等)や、石英ガラスやパイレックス(登録商標)ガラスにパリレン(パラキシレン蒸着)処理を行ったもの、フッ素系又は炭化水素系のシランカップリング処理を行ったものを好適に使用できる。
また、必要に応じてマイクロデバイス10の装置本体を加熱する加熱手段(図示せず)が設けられる。このような加熱手段としては、金属抵抗線やPolysilicon等のヒータ構造を装置本体に作り込む方法等がある。金属抵抗線やPolysilicon等のヒータ構造の場合、加熱についてはこれを使用し、冷却については自然冷却でサーマルサイクルを行うことで温度を制御する。この場合の温度のセンシングについては、金属抵抗線の場合には同じ抵抗線をもう一つ作り込んでおき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行い、Polysiliconの場合には、熱電対を用いて温度検出を行う方法が一般的に採用されている。また、ペルチェ素子を用いた温度制御機能を装置本体に組み込んでもよい。
次に、マイクロデバイス10の作用について図1を参照しながら説明する。
あらかじめ、有機顔料と良溶媒を不図示の攪拌タンク内で混合し、スラリー溶液A2を調製しておく。このスラリー溶液A2の粘度は約20cpである。
次いで、調製部12において、アルカリ剤溶液A1と上記スラリー溶液A2とを各導入流路を通じて混合流路20の入口部26で合流させて混合する。これにより、有機顔料をアルカリ剤により良溶媒に溶解させた溶解液L1を調製することができる。なお、混合流路20における溶解液L1の流れは、層流でも乱流でもよい。
この調製した溶解液L1を、連結管16を介して連続的に微粒子生成部14の導入流路34A、34Bに供給する。一方、貧溶媒L2を不図示の供給手段により導入流路32A、32B、32Cから供給する。そして、混合流路30の入口部(合流部)36において、溶解液L1と貧溶媒L2とを合流させて層流Lを形成する。これにより、溶解液L1と貧溶媒L2とを短時間且つ高効率で混合させ、有機顔料微粒子を析出、生成させる。
このように、調製部12において溶解液L1を調製した後、連続的に微粒子生成部14において貧溶媒L2と混合する。このため、溶解液L1を調製した後、実際に使用するまでの間に、アルカリ剤と有機顔料との接触時間をできるだけ短くすることができる。したがって、有機顔料がアルカリ剤によって分解されるのを抑制できる。
なお、混合流路30の入口部36に供給する複層流L(溶解液L1+貧溶媒L2)の総流量は、混合流路30の入口部36において溶解液L1と貧溶媒L2とが合流してから混合流路30を出るまでの滞在時間が10msec以下になるよう設定されることが好ましい。即ち、混合流路30の流路幅が上述のように比較的大きいと、溶解液L1と貧溶媒L2とが接触する接触距離(接触機会)が大きくなり、微粒子の多分散化の原因となる不均一な混合が発生し易くなるためである。複層流Lの総流量を調整するには、上記した各種溶液の供給手段を制御するとよい。
本実施形態では、調製部12、微粒子生成部14において、それぞれ5本の導入流路を形成する例で説明したが、これに限定されず、各溶液につき1本以上の任意の数だけ導入流路を形成することができる。
また、調製部12及び微粒子生成部14において、各導入流路の合流部周辺の流路幅を小さくしてもよい。これにより、各液が合流・衝突する際の線速度を大きくすることができ、混合性能を一層高めることができる。
なお、調製部12及び微粒子生成部14において、種類の異なる溶液が交互に隣り合うように導入流路を配置する例を示したが、これに限定されず、任意に配置することができる。
次に、第2の実施形態のマイクロデバイス40について説明する。
図3は、本実施形態のマイクロデバイス40の一例を示す分解斜視図である。
同図に示すように、マイクロデバイス40は、主に、それぞれが円柱状体の供給要素42、合流要素44、混合要素46、及び排出要素48とより構成されている。マイクロデバイス40を構成する際は、これらの要素が円柱状となるように一体に締結して組み立てる。この組み立てには、例えば、各要素の周辺部に円柱を貫通する孔(不図示)を等間隔に設けてボルト/ナットでこれらの要素を一体に締結すればよい。
供給要素42の合流要素44に対向する面には、断面が矩形の環状チャンネル49および50が同心状に形成されている。図示した態様では、供給要素42をその厚さ(または高さ)方向に貫通してそれぞれの環状チャンネルに到る孔52、54が形成されている。
合流要素44は、その厚さ方向に貫通する孔56が形成されている。この孔56は、マイクロデバイスを構成するために要素を締結した場合、供給要素42に対向する合流要素44の面に位置する孔56の端部が環状チャンネル49に開口するようになっている。図示した態様では、孔56は4つ形成され、これらが環状チャンネル49の周方向で等間隔に配置されている。
合流要素44には、孔56と同様に孔58が貫通して形成されている。孔58も、孔56と同様に、環状チャンネル50に開口するように形成されている。図示した態様では、孔58も環状チャンネル50の周方向で等間隔に配置され、かつ、孔56と孔58が交互に位置するように配置されている。
合流要素44の混合要素46に対向する面62には、マイクロチャンネル64、66(第1、第2供給流路)が形成されている。このマイクロチャンネル64、66の一端は、孔56、58の開口部であり、他方の端部は、面62の中心68(第1合流領域)であり、全てのマイクロチャンネルはこの中心68に向かって孔から延在し、中心で合流している。マイクロチャンネルの断面は、例えば矩形であってよい。
混合要素46は、その中心に厚み方向に貫通する孔70(第3供給流路)が形成されている。また、混合要素46の排出要素48に対向する面には、中心の孔70から放射状に分岐する分岐チャンネル72(第4供給流路)が形成されている。分岐チャンネル72は、排出要素48の混合要素46に対向する面に設けた環状チャンネル74と連通している。
排出要素48は、その中心を通過して厚さ方向に貫通する孔76と、排出要素48の混合要素46に対向する面に形成された環状チャンネル74に連通する孔78と、が形成されている。孔76は、一端にて混合要素46の中心にある孔70に開口し、他端にてマイクロデバイスの外部に開口している。
本実施形態において、混合要素46に形成された孔70は、アルカリ剤溶液A1とスラリー溶液A2とを混合した後、溶解液L1として供給する機能を有する。同様に、排出要素48に形成された孔76は、溶解液L1と貧溶媒L2とを混合して微粒子を生成し、微粒子分散液LMとして供給する機能を有する。
各孔70、76の流路径は、上記第1の実施形態と同様に、等価直径が0.5mm以上6mm以下、より好ましくは1mm以上6mm以下、特に好ましくは2mm以上6mm以下とすることができる。各孔70、76の長さは、各液の混合に十分な長さに設定されればよく、混合要素46、排出要素48の厚さを変えることで調節できる。
このような構成とすることにより、孔52及び54の端部にてマイクロデバイスの外部から供給されるアルカリ剤溶液A1、スラリー溶液A2は、それぞれ孔52及び54を経由して環状チャンネル49及び50に流入する。
環状チャンネル49に流入したアルカリ剤溶液A1は、該チャンネルと連通する孔56を経由してマイクロチャンネル64に入る。また、環状チャンネル50と孔58が連通し、環状チャンネル50に流入したスラリー溶液A2は、孔58を経由してマイクロチャンネル66に入る。そして、アルカリ剤溶液A1、スラリー溶液A2は、合流領域において4つに分割され、それぞれマイクロチャンネル64及び66に流入し、その後、中心68に向かって流れる。
そして、マイクロチャンネル64の中心軸とマイクチャンネル66の中心軸は、中心68にて交差する。これにより、アルカリ剤溶液A1とスラリー溶液A2が中心68で合流してから混合要素46の中心80に至るまでの間に、溶解液L1が調製される。
一方、排出要素48の孔78から貧溶媒L2が供給される。貧溶媒L2は、環状チャンネル74から一辺が50μmの正方形断面を有する8本の分岐チャンネル72に分岐して流れる。これらの分岐チャンネル72は混合チャンネルとして機能する孔70の端部に向かって(図示した態様では、混合要素46の中心部に向かって)流れる。
これにより、排出チャンネルを流れる溶解液L1を包み込むように貧溶媒L2が排出チャンネルに沿って流れる過程で、孔76において溶解液L1と貧溶媒L2とが混合され、有機顔料微粒子を生成し、該有機顔料微粒子の分散液LMとしてマイクロデバイスから排出される。
尚、混合要素46の中心部は、合流要素44の中心部に隣接しているので、中心部は実質的に合流領域として機能する。これにより、平均粒子径が100nm以下、好ましくは40nm以下の有機顔料微粒子を単分散性よく製造できる。
尚、混合要素46の中心部は、合流要素44の中心部に隣接しているので、中心部は実質的に合流領域として機能する。これにより、平均粒子径が100nm以下、好ましくは40nm以下の有機顔料微粒子を単分散性よく製造できる。
以上説明したように、本発明に係る微粒子の製造方法及び装置を採用することにより、アルカリ剤溶液A1とスラリー溶液A2を瞬時混合して溶解液L1を調製した直後に、該溶解液L1と貧溶媒L2とを混合・反応させる。これにより、混合・反応に用いる前に、溶解液L1において有機顔料がアルカリ剤と長時間接触することで分解されるのを抑制できる。
なお、上記第2の実施形態では、合流要素44や混合要素46において各液の流れをそれぞれ4つ、或いは8つに分割する例を示したが、これに限定されない。
また、上記各実施形態において、更に析出する有機顔料微粒子を分散させる分散剤を予め良溶媒或いは貧溶媒のうち少なくとも一方に含有させることができる。あるいは、分散剤溶液を良溶媒、貧溶媒とは別に独立して混合することもできる。後者の例として、図1の態様では、微粒子生成部14の5本の導入流路のうち少なくとも1本を分散剤溶液の導入流路とする。そして、分散剤を含まない溶解液L1、貧溶媒L2、及び分散剤溶液をそれぞれ独立して混合流路30の入口部36に供給し、合流・混合させる。これにより、分散剤が溶解液L1に含まれるアルカリ剤によって分解されるのを抑制できる。また、分散剤としても、良溶媒、貧溶媒のいずれに対して溶解するかを問わず、選択することができる。
次に、本実施形態に使用される各種材料について説明する。
本実施形態に用いられる有機顔料は、色相的に限定されるものではなく、マゼンタ顔料、イエロー顔料、またはシアン顔料であることができる。詳しくは、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンまたはイソビオラントロン系顔料またはそれらの混合物などのマゼンタ顔料、イエロー顔料、またはシアン顔料である。更に詳しくは、例えば、C.I.ピグメントレッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメントレッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメントバイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメントレッド194(C.I.番号71100)等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(C.I.番号73900)、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメントレッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメントレッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメントオレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン系顔料、C.I.ピグメントイエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン系顔料、C.I.ピグメントブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメントバイオレット32(C.I.番号12517)、C.I.ピグメントイエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメントイエロー181(C.I.番号11777)、C.I.ピグメントオレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメントレッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメントイエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメントイエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメントイエロー128(C.I.番号20037)、C.I.ピグメントイエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメントオレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメントオレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメントオレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166(C.I.番号20730)、C.I.ピグメントレッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメントレッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメントレッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、もしくはC.I.ピグメントブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合系顔料、C.I.ピグメントイエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメントイエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメントイエロー188(C.I.番号21094)等のジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメントレッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメントイエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメントレッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメントレッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメントオレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメントレッド247(C.I.番号15915)等のアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン系顔料、C.I.ピグメントグリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメントグリーン36(C.I.番号74265)、ピグメントグリーン37(C.I.番号74255)、ピグメントブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメントブルー75(C.I.番号74160:2)、もしくは15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメントブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメントブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメントバイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントレッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメントオレンジ71、もしくはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール系顔料、C.I.ピグメントレッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ系顔料、C.I.ピグメントイエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメントオレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー109(C.I.番号56284)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメントレッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン系顔料、またはC.I.ピグメントバイオレット31(60010)等のイソビオラントロン系顔料である。
好ましい顔料は、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、ジスアゾ縮合系、アゾ系、またはフタロシアニン系、ジオキサジン系顔料である。
本実施の形態で使用する分散剤としては、以下のものを使用することができる。
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、N−アシル−N−アルキルタウリン塩が好ましい。N−アシル−N−アルキルタウリン塩としては、特開平3−273067号明細書に記載されているものが好ましい。これらアニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機顔料性分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される有機顔料性分散剤と定義する。例えば、糖含有有機顔料分散剤、ピペリジル含有有機顔料分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導有機顔料分散剤、メチレン基を介して有機顔料親構造に連結された官能基を有する有機顔料分散剤、ポリマーで化学修飾された有機顔料親構造、スルホン酸基を有する有機顔料分散剤、スルホンアミド基を有する有機顔料分散剤、エーテル基を有する有機顔料分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する有機顔料分散剤などがある。
高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール一部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール一部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル―メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。なかでも、ポリビニルピロリドンが好ましい。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、アニオン性分散剤を水性媒体に含有させ、かつノニオン性分散剤および/または高分子分散剤を、有機顔料を溶解した溶液に含有させる態様を挙げることができる。
分散剤の配合量は、有機顔料の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、有機顔料100質量部に対して0.1〜1000質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜500質量部の範囲であり、更に好ましくは10〜250質量部の範囲である。0.1質量部未満であると有機顔料微粒子の分散安定性の向上が見られない場合がある。
なお、上記各実施形態で説明した微粒子の製造方法では、有機顔料微粒子を製造する例で説明したが、本発明の微粒子製造方法及び装置は、各種の反応に適用することができる。他の微粒子形成材料としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化クロム、バナジン酸ビスマス、ルチル型混合相顔料、ハロゲン化銀、シリカ、及びカーボンブラックなどがあるが、これらに限定されるものではない。
有機顔料は、アルカリ性又は酸性の水性媒体に均一に溶解されなければならないが、酸性で溶解するかアルカリ性で溶解するかは対象とする顔料がどちらの条件で均一に溶解し易いかで選択される。一般に、分子内にアルカリ性で解離可能な基を有する顔料の場合は、アルカリ性が用いられる。或いは、アルカリ性で解離する基が存在せず、プロトンが付加しやすい窒素原子を分子内に多く有するときは酸性が用いられる。例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合系顔料はアルカリ性で、フタロシアニン系顔料は酸性で溶解される。
アルカリ性で溶解させる場合に用いられる塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、もしくは水酸化バリウム等の無機塩基、又はトリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、金属アルコキシドなどの有機塩基であるが、好ましくは無機塩基である。
使用される塩基の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、無機塩基の場合、好ましくは顔料に対して1.0〜30モル当量であり、より好ましくは2.0〜25モル当量であり、さらに好ましくは3〜20モル当量である。有機塩基の場合、好ましくは顔料に対して1.0〜100モル当量であり、より好ましくは5.0〜100モル当量であり、さらに好ましくは20〜100モル当量である。
酸性で溶解させる場合に用いられる酸は、硫酸、塩酸、もしくは燐酸等の無機酸、又は酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸であるが、好ましくは無機酸である。特に好ましくは硫酸である。
使用される酸の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、塩基に比べて過剰量用いられる場合が多い。無機酸及び有機酸の場合を問わず、好ましくは顔料に対して3〜500モル当量であり、より好ましくは10〜500モル当量であり、さらに好ましくは30〜200モル当量である。
本発明は、複数種の溶液を混合或いは反応させる技術に幅広く適用でき、特に、原料溶液が経時的に不安定な場合に好ましく適用できる。また、本実施形態では、貧溶媒、良溶媒を用いて微粒子形成材料の溶解度を変化させることにより微粒子を生成する例を示したが、これに限定されず、例えば、pHを変化させることにより微粒子を生成することもできる。また、上記各実施形態では、平面型、積層型のマイクロデバイスについて例示したが、これに限定されず、原料溶液を調製する装置として、同芯状に多重円筒層流を形成する同芯状多重円筒管型マイクロデバイスを用いてもよい。
10、40…マイクロデバイス、12…調製部、14…微粒子生成部、16…連結管、20、30…混合流路、22A、22B、22C…導入流路、24A、24B…導入流路、32A、32B、32C…導入流路、34A、34B…導入流路、42…供給要素、44…合流要素、46…混合要素
Claims (7)
- 微粒子形成材料を、該微粒子形成材料に対して反応性を有する溶解助剤により溶媒に溶解させた溶解液を用いた微粒子の製造方法であって、
前記微粒子形成材料を含む溶媒と前記溶解助剤をそれぞれ独立した供給流路を介して1の合流領域内で合流させることにより前記溶解液を調製する工程と、
前記調製した溶解液を、該溶解液の微粒子形成材料の溶解度を変化させる他の溶液と連続的に混合して微粒子を生成する工程と、
を備えたことを特徴とする微粒子の製造方法。 - 前記溶解助剤は、酸又はアルカリ剤であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子の製造方法。
- 前記溶解液は、前記微粒子形成材料に対する溶解性が相対的に高い良溶媒に前記微粒子形成材料を溶解させた液であり、前記他の溶液は、前記微粒子形成材料に対する溶解性が相対的に低い貧溶媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒子の製造方法。
- 前記微粒子形成材料は、有機顔料であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の微粒子の製造方法。
- 前記微粒子形成材料を含む溶媒と前記溶解助剤とをそれぞれ複数に分流した後、前記1の合流領域で合流させることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の微粒子の製造方法。
- 微粒子形成材料を含む溶媒と前記微粒子形成材料を前記溶媒に溶解させる溶解助剤とをそれぞれ独立して供給する複数の第1、第2供給流路と、
前記複数の第1、第2供給流路と連通し、前記微粒子形成材料を含む溶媒と前記溶解助剤とを合流させて溶解液を調製する第1合流領域と、
前記溶解液と、該溶解液の微粒子形成材料の溶解度を変化させる他の溶液とをそれぞれ独立して供給する複数の第3、第4供給流路と、
前記複数の第3、第4供給流路と連通し、前記溶解液と前記他の溶液とを合流させて微粒子を生成する第2合流領域と、
を備えたことを特徴とする微粒子の製造装置。 - 前記複数の第1、第2供給流路は、それぞれ複数の流路に分岐する分岐部を備えたことを特徴とする請求項6に記載の微粒子の製造装置。
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