JP2009242446A - ナイロン6製品のリサイクル方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品から、簡便な操作で、工業的に有利な方法でナイロン6製品をリサイクルする方法を提供することである。さらに、回収されたナイロン6製品を解重合して高品位のカプロラクタムを回収するナイロン6製品のリサイクル方法を提供することにある。
【解決手段】一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を、洗浄液中で加熱処理することで、防炎剤に由来の成分が分離し除去されたナイロン6製品を回収する方法。さらに、回収されたナイロン6製品を解重合してカプロラクタムを回収する方法。ここで原料の前記ナイロン6製品が染色されていても、同時に脱色することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品から、これら防炎剤に由来の成分を分離し除去してナイロン6製品をリサイクルする方法に関するものであり、さらに防炎剤に由来の成分の分離し除去されたナイロン6製品を解重合して収率良くカプロラクタムを回収するナイロン6製品のリサイクル方法に関するものである。
特に本発明は、建築現場などに使用される防炎剤を含むナイロン6ネットのリサイクル方法に関するものである。
ナイロン6に代表されるナイロンは衣料や工業材料として広く使用されており、リサイクルが容易な素材として知られている。ナイロン6をリサイクルする方法としては、焼却して熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクル法、溶融した後に再成型して再利用するマテリアルリサイクル法、および化学的に解重合してナイロンの原料にまで戻し、ナイロン製造等に再利用するケミカルリサイクル法がある。
これらのうち、ケミカルリサイクル法はナイロン6を原料のカプロラクタムにまで分解してから回収し、ナイロン6の原料として再利用できることから、産業上有用なリサイクル方法といえる。
しかし、近年では防炎剤や難燃剤による防炎加工や難燃加工により防炎性や難燃性を付与されたナイロン6繊維がネットやカーペット、カーテンに使用されるようになり、その使用量は年々増加傾向にある。これら防炎加工や難燃加工されたナイロン6製品の多くは使用後に廃棄されて、殆どは地中に埋める等の方法で処理されており、これら防炎加工や難燃加工されたナイロン6製品の廃棄物をリサイクルすることが環境対策として重要になってきた。
ナイロン6以外の成分を含むナイロン6製品には、表面を樹脂加工したり、セルロース系繊維やガラス繊維を含むもの等、種々の成分が含まれることから、ケミカルリサイクルにおいて得られる原料の回収率を低下させたり、純度を低下させる等、効率よくケミカルリサイクルでカプロラクタムを回収することは難しく、数多くの方法が提案されている。
ナイロン6製品をケミカルリサイクルする方法として、例えば特許文献1には、りん酸触媒の存在下、布帛および衣料付属品の素材が実質的にナイロン6で統一されているナイロン6製衣料製品を解重合し、カプロラクタムを回収する方法が提案されている。また、特許文献2にはナイロン6とセルロース系繊維により構成される複合物を濃度65質量%以上、77質量%以下のりん酸水溶液中で30〜70℃に加熱し、溶解したナイロン6と不溶のセルロース系繊維とを分離し、ナイロン6を回収する方法が提案されている。特許文献3にはガラス繊維等の非溶融物を含有するナイロン6廃棄物に酸性物質を添加し、220℃から400℃で加熱処理して溶液粘度を低下させることにより、非溶融物を分離したのち、解重合して高収率でカプロラクタムを得る方法が提案されている。特許文献4にはナイロン6を主成分とする熱可塑性物質を直接解重合して得たカプロラクタムを晶析する方法が提案されている。特許文献5には、ナイロン6を解重合し、アルキルフェノール性化合物でカプロラクタムを抽出して回収する方法が提案されている。また、特許文献6には、ケミカルリサイクルすることを目的として、ナイロン6が90質量%以上の防塵衣が提案されている。また特許文献7には、各種廃プラに含まれる難燃剤を除去する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法はナイロン6繊維衣料製品のケミカルリサイクルではあるが、実質的にナイロン6単一成分の解重合でカプロラクタムを回収する方法である。また、特許文献2,3はナイロン6を主成分とし、別成分を含む複合物をケミカルリサイクルする方法であるが、複合される別成分のセルロース系繊維やガラス繊維等の非溶融物が酸性物質と反応しない化合物であることから、直接りん酸や酸性水溶液と加熱処理してナイロン6を溶解し、非溶融物を除去してから、ナイロン6を解重合してカプロラクタムを回収する方法である。また、特許文献4はナイロン6を主成分とする熱可塑性物質を直接解重合してケミカルリサイクルする方法であるが、回収カプロラクタムに不純物が多く含有されるために炭化水素、塩素系炭化水素、アルコール等の有機溶媒で再結晶精製が必要となり、煩雑であるだけでなく、カプロラクタム回収率も低下し廃棄物となる残渣量が増加する。特許文献5もナイロン6を含む混合物を直接解重合してケミカルリサイクルする方法であるが、回収カプロラクタムに不純物が多く含有されるためにフェノール性化合物でカプロラクタムを抽出して精製する必要がある等、煩雑である。また、ポリエステル系樹脂が含有されているとナイロン6を解重合してカプロラクタムを回収する際に、カプロラクタムの品質が悪化する他、ポリエチレンテレフタレートから副生するテレフタル酸が昇華し、解重合設備の配管が閉塞する等の問題が発生するため、特許文献6には縫い糸もナイロン6に変更するなど、縫製製品の強度を保つ機能を多少後退させ、ナイロン6のリサイクルを優先する商品設計も提案されている。また、特許文献7は、各種廃プラから溶剤により難燃剤を抽出し廃プラをリサイクルする方法であるが、抽出に使用するアルコール系溶媒の除去や回収を行う必要があり煩雑である。
これら文献に記載された技術を防炎加工したナイロン6製品に適用すると、種々の問題を起こす可能性があることが本発明者らの検討により判明した。例えばナイロン6の防炎加工に用いるチオ尿素樹脂は、酸性条件下でナイロン6を解重合する際に著しい収率低下の原因となる。また、チオ尿素樹脂は加熱により硫化水素を生成し、生成したガスの処理を行う必要がある。
そのため上記文献の技術はいずれも実用的なケミカルリサイクルという観点では満足できるものではなかった。
特開平07−310204号公報 特開平09−241416号公報 特開2001−294571号公報 特開平08−048666号公報 特表平11−508913号公報 特開平07−331514号公報 特許第3737816号公報
そこで本発明は、一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品をケミカルリサイクルするに際し、簡単な操作で、防炎剤による回収率の低下や、防炎剤の分解によるガスの発生を抑制してカプロラクタムを回収することを課題とする。
本発明者らは、課題を解決するために鋭意検討した結果、一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6繊維を、酸性水溶液またはアルカリ水溶液の洗浄液中で加熱処理して、防炎剤に由来の成分を除去し、ついで解重合してカプロラクタムを回収することにより、効率的にケミカルリサイクルができることを見出した。更に、本発明者らは繊維だけでなく、成形品などのナイロン6製品に対しても本発明を同様に適用可能であることを見いだし本発明を完成した。
すなわち本発明は、一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を、酸性水溶液またはアルカリ水溶液の洗浄液中で加熱処理して、ナイロン6製品から前記防炎剤に由来の成分を分離し、前記防炎剤に由来の成分が除去されたナイロン6製品を再利用に供することを特徴とするナイロン6製品のリサイクル方法である。
上記構成により、防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を酸性水溶液またはアルカリ水溶液の洗浄液中で加熱処理して、前記不純物由来の成分を洗浄液相に分離させることにより、ナイロン6製品から前記不純物由来の成分を除去することが可能となり、実用的に再利用が可能である。
また、本発明は、一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を、洗浄液中で加熱処理して、ナイロン6製品から前記防炎剤に由来の成分を分離する工程(a工程)、前記洗浄液中から前記防炎剤に由来の成分が除去されたナイロン6製品を取り出す工程(b工程)、b工程で得られるナイロン6製品を解重合してカプロラクタムを回収する工程(c工程)を含むことを特徴とするナイロン6製品のリサイクル方法である。
上記構成により、防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を洗浄液中で加熱処理し、前記不純物由来の成分をナイロン6製品から分離し、前記防炎剤に由来の成分が除去されたナイロン6製品を解重合に供することにより回収率の低下を抑制し、防炎剤の分解によるガスの発生を抑制してカプロラクタムが回収できる。
本発明によれば、防炎加工により付着した防炎剤を不純物として含むナイロン6製品から、防炎剤由来の成分を簡便な方法で分離することができる。また、防炎剤由来の成分が分離し除去されたナイロン6製品を解重合することで、残渣量を大幅に低減させ、高収率でカプロラクタムを回収することができる。
また、防炎剤に由来の成分を除去することにより防炎剤の分解により発生するガスの発生を抑制することができる。
本発明は、防炎加工により付着した防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を、酸性水溶液またはアルカリ水溶液の洗浄液中で加熱処理して、ナイロン6製品から前記防炎剤に由来の成分の一部または全てを分離し、前記洗浄液中のナイロン6比率の高められたナイロン6製品を取り出す方法であり、さらに前記防炎剤に由来の成分の一部または全てが除去されたナイロン6製品を解重合してカプロラクタムを回収することを特徴とする、防炎剤を不純物として含むナイロン6製品のケミカルリサイクル方法である。
<防炎剤>
本発明でいうナイロン6製品に不純物として含まれる防炎剤としては、後述する洗浄液により分離されれば特に制限はなく、防炎加工により付着した防炎剤である。上記の防炎剤は単一の成分として含まれていても良いし、複数の成分が組み合わせて含まれていても良い。使用される防炎剤としては、例えば、塩化パラフィン等の有機塩素化合物、チオ尿素樹脂、フェノールスルフォン酸等の有機硫黄化合物、THPC(テトラキスハイドロオキシホスホリルクロライド)、APO(トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキシド)等の有機リン化合物、リン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム塩、塩化チタン等の金属塩化物、ケイ酸ソーダ等のアルカリ金属塩、ブロム化合物およびアンチモン系化合物等を使用することができる。
防炎剤の加工方法は実質的にナイロン6製品に防炎剤が付着・浸透・一体化されていれば、いかなる加工方法により加工されても良く、繊維の段階で加工してもよく、織物とした後に加工してもよい。このような防炎剤は、ナイロン6製品に対して、好ましくは0.5〜20質量%付与したものがよい。このような防炎加工はナイロン6製品に防炎性(自己消火性)を付与させるために行われるものである。
<ナイロン6製品>
本発明の効果はナイロン6製品に不純物として含まれる防炎剤を洗浄液と十分接触させることができれば、ナイロン6製品の形状・形態は特に限定されることは無い。ナイロン6製品は、ナイロン6を含む、好ましくはそれを50質量%以上、より好ましくは60質量%以上含めば特に制限は無い。
本発明でいうナイロン6製品としては、ナイロン6製品、ナイロン6製品製造過程で発生する産業廃棄物、あるいはナイロン6製品使用済み廃棄物などを含む。たとえば、ナイロン6を含む産業用、工業用、衣料用、屋内外用の構造物であり、衣料や自動車部品、あるいはこれらの屑などを挙げることができる。
なお、ナイロン6製品の形態は、繊維状、布帛状、樹脂状、フィルム状等いかなる形態でも良い。中でもナイロン6繊維は、含まれる防炎剤と洗浄に用いる洗浄液を十分に接触させることができ、好適に用いることができる。また、自動車部品等の成形品に本発明を適用する場合、洗浄液が接触可能なナイロン6表面に加工された不純物は、洗浄液を接触させることにより分離し除去できる。これらのナイロン6製品は単独で解重合の原料としても良いし、これらを組み合わせて原料としても良い。
本発明で用いる防炎剤を含むナイロン6製品としては、防炎剤により防炎性を付与された繊維を使用した繊維製品、例えば産業資材用ネットやカーペット、カーテンなどを挙げることができる。これらの防炎剤を含むナイロン6製品は上記形態のものを単独で使用しても良いし、これらを組み合わせて原料としても良く、染色されていても良い。
<洗浄工程前の前処理>
本工程に供するナイロン6製品はいかなる形態でも使用することはできるが、事前にナイロン6と異なる素材を取り除いてあることが作業性向上の観点から好ましい。
洗浄液に投入するナイロン6製品のサイズは特に規定しないが、効率的に実施するためには大き過ぎると撹拌が難しくて洗浄液との接触効率が悪くなり、また、小さ過ぎても後工程においてナイロン6製品を取り出す分離操作が煩雑となるので、設備に応じた適度なサイズにカットしてあることが好ましい。
また、部品、部材等がナイロン6製品中にはめ込まれている場合等を考慮すると、粉砕をした方が好ましい場合もある。
<洗浄液>
本発明で使用する洗浄液は、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液の洗浄液であり、ナイロン6製品から防炎剤または防炎剤に含有される成分や防炎剤の分解生成物などの防炎剤に由来の成分の一部または全てを分離できれば特に制限は無い。
酸性水溶液は、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸、あるいは酢酸等の有機酸から選択される一種以上の水溶液であり、好ましくは硫酸、塩酸、リン酸から選択される一種以上の水溶液であり、特に好ましくはリン酸の水溶液が使用できる。
アルカリ水溶液は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、あるいは水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物から選択される一種以上の水溶液であり、好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物から選択される一種以上の水溶液であり、特に好ましくは水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選択される一種以上の水溶液が使用できる。
ここで使用する前記酸性成分または前記アルカリ成分の濃度は加熱温度によっても異なるが、1から40質量%であり、好ましくは2から30質量%であり、さらに好ましくは5から20質量%である。濃度がこの範囲であれば、防炎剤を不純物として含むナイロン6製品から、防炎剤または防炎剤に含有される成分や防炎剤の分解生成物などの防炎剤に由来の成分を溶出させる作業時間も短く、作業性も良い。さらに、ナイロン6の分解も抑制され、ナイロン6の回収率も高くなる等、好ましい結果を与える。
<洗浄液で加熱処理する工程(a工程)>
本発明において、まず、一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を、洗浄液中で加熱処理して、前記防炎剤に由来の成分を分離する工程(a工程)が行われる。a工程では、一種以上の防炎剤成分を不純物として含むナイロン6製品と洗浄液を混合し、加熱しながら撹拌する。これによりナイロン6製品に不純物として含まれる防炎剤または防炎剤に含有される成分や防炎剤の分解生成物などの防炎剤に由来の成分の一部または全てを洗浄液中に分離させることができる。
洗浄液の使用量は、防炎剤を不純物として含むナイロン6製品と洗浄液が十分に接触し、攪拌できる量が必要である。具体的にはこれらの不純物を含むナイロン6製品の嵩高さや不純物の含有量によっても異なるが、通常はこれらの不純物を含むナイロン6製品に対して2から50質量倍、好ましくは5から15質量倍、特に好ましくは7から10質量倍の洗浄液中である。この範囲であれば、ナイロン6製品の加熱時間も長くならず、洗浄液の省資源化や回収コスト削減にもつながり、廃液処理量も削減される。
洗浄液の加熱温度は、洗浄液の使用量、反応時間によって異なるが、通常は80℃から洗浄液の沸点である。この範囲であれば、作業時間も長くならず、作業性が良い。ここで、洗浄液と加熱する時の圧力は、減圧・常圧・加圧のいずれも採用できるが、作業性の観点からは常圧から微加圧が好ましい。なお、上記沸点は系内の圧力における沸点を意味する。
上記の方法で実施すれば、ナイロン6製品に不純物として含まれる防炎剤に由来の成分は洗浄液相に分離される。また、染色されているナイロン6製品も、染料の種類にもよるが、染料が洗浄液相に分離されるので、後述するc工程で回収したカプロラクタムも高純度品が得られる。
従って、防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を、洗浄液中で加熱処理して防炎剤に由来の成分を分離させることで、防炎剤に由来の成分の除去されたナイロン6製品が得られる。また、染色されているこれらのナイロン6製品を原料として使用すれば、染料も洗浄液相に分離されるので、ナイロン6比率の高められたナイロン6製品が得られる。
<洗浄液中のナイロン6製品を回収する工程(b工程)>
a工程で防炎剤に由来の成分が分離されたナイロン6製品を、b工程において洗浄液より取り出し、防炎剤に由来の成分の除去されたナイロン6製品を得ることができる。取り出す方法は、洗浄液からナイロン6製品を引き上げることにより取り出す方法、遠心脱液する方法、フィルター濾過する方法等、特に制限されないが、操作の簡便性から濾過操作や遠心脱液操作が採用できる。
ここで、防炎剤除去操作後のナイロン6製品に残留する防炎剤に由来の成分の付着量は少ない方が好ましいが、実質的にナイロン6製品であれば問題ない。ナイロン6製品から分離された防炎剤に由来の成分の付着量が多い場合は、再度水または洗浄液を使用してすすぎ落としても良い。また、洗浄液の付着量が多い場合には、水ですすぎ落としてもよい。かくして防炎剤を不純物として含むナイロン6製品から防炎剤に由来の成分が除去されたナイロン6製品等の形態を有するナイロン6製品を回収する。ここで固液分離した洗浄液は、含有される不純物量が少なければそのまま再使用する事が可能であり、含有されている不純物量が多い場合には蒸留回収することで再使用することができる。
<b工程で得られるナイロン6製品を解重合する工程(c工程)>
かくして取り出した、防炎剤に由来の成分が除去されたナイロン6製品は再利用に供される。好ましくは取り出したナイロン6製品をc工程に供し、解重合してカプロラクタムを回収する。b工程で防炎剤に由来の成分が除去されたこれらのナイロン6製品は、それのみで解重合してもよいし、他のナイロン6製品屑等と一緒に解重合してもよい。また、例えばナイロン重合工程で生成する重合抽出水に含まれるカプロラクタムオリゴマー等と一緒に解重合することもできる。
本発明で行う解重合法は、いかなる方法でも良い。通常、ナイロン6製品などのナイロン6は加熱により解重合され、触媒を用いても良く、水の不存在下(乾式)でも、存在下(湿式)でも実施することができる。
解重合時の圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれであっても良い。解重合温度は、通常、100から400℃であり、好ましくは、200から350℃、さらに好ましくは、220から300℃である。温度が低いと、ナイロン6が溶融しないうえ、解重合速度が遅くなる。温度が高いと、不必要なナイロン6のモノマー(すなわちカプロラクタム)の分解が起こり、回収カプロラクタムの純度低下をもたらす。
触媒を用いる場合は、通常、酸、あるいは塩基触媒などを用いる。酸触媒としては、リン酸、ホウ酸、硫酸、有機酸、有機スルホン酸、固体酸、およびこれらの塩、また塩基触媒としては、アルカリ水酸化物、アルカリ塩、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類塩、有機塩基、固体塩基などが挙げられる。好ましくは、リン酸、ホウ酸、有機酸、アルカリ水酸化物、アルカリ塩などが挙げられる。さらに好ましくは、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。
触媒の使用量は、通常、ナイロン6成分に対して、0.01から50質量%である。好ましくは、0.1から20質量%、さらに好ましくは、0.5から10質量%である。触媒使用量は少ないと、反応速度が遅くなり、多いと、副反応が多くなるうえ、触媒コストがかさみ経済的に不利になる。
湿式解重合の水使用量は、ナイロン6製品成分に対して、0.1から50質量倍である。好ましくは、0.5から20質量倍、さらに好ましくは、1から10質量倍である。水の使用量は、少ないと、反応速度が遅くなり、多いと、回収カプロラクタム水溶液の濃度が低くなり、カプロラクタムの取得上、不利になる。
カプロラクタムの回収方法には特に制限はなく、何れの方法も採用できる。例えば、乾式解重合を行う場合、生成したカプロラクタムを反応装置から減圧蒸留により留出させ、回収カプロラクタムを得る。解重合反応が終了してから、減圧蒸留によりカプロラクタムを取り出しても良いし、反応の進行とともに、連続的に取り出しても良い。また、湿式解重合を行う場合は、生成したカプロラクタムを反応装置から水とともに留出させ、回収カプロラクタム水溶液を得る。解重合反応が終了してから、蒸留によりカプロラクタム水溶液を取り出しても良いし、反応の進行とともに連続的に取り出しても良い。好ましくは、反応装置へ連続的に水を供給し、かつ、生成するカプロラクタム水溶液を反応装置から連続的に取り出す。特に好ましくは、常圧で反応装置へ連続的に水蒸気を供給し、かつ生成するカプロラクタム水溶液を反応装置から連続的に取り出す方法が採用できる。a工程により防炎剤に由来の成分が分離され、b工程で防炎剤に由来の成分が除去されたナイロン6製品は実質的にナイロン6純度が高いので、c工程で解重合すると高収率で、しかも高純度のカプロラクタムが回収できる。得られたカプロラクタム水溶液は蒸留で水と分離することで十分に高純度のカプロラクタムを回収することができる。
さらに高純度のカプロラクタムを得る方法としては、回収したカプロラクタムを精密蒸留する方法、微量の水酸化ナトリウムを添加して減圧蒸留する方法、活性炭処理する方法、イオン交換処理する方法、再結晶する方法等の精製方法と組み合わせることができる。
以下に本発明の実施例を示すが、これらに限定されるものではない。
原料としてチオ尿素樹脂で防炎加工した防炎剤付きネットを用い、各種洗浄液による洗浄効果の確認を行った。洗浄効果は、防炎剤に含まれる硫黄量を洗浄後に分析することにより行った。硫黄量の定量は、ネットを燃焼管内で燃焼させた後、発生したガスを過酸化水素水に吸収させ、イオンクロマト分析により実施した。
また、解重合して得られるカプロラクタム水溶液の濃度を測定し、収率改善効果を確認した。
比較例1(水による加熱処理)
コンデンサー、攪拌機を装着した500mLセパラブルフラスコに、約10cm角に裁断した防炎剤付きネット10gを水200gと共に仕込み、ゆっくり攪拌しながら120℃のシリコーンオイルバス中で3時間加熱処理を実施した。室温まで冷却してからネットを取り出し、水洗、乾燥した。
乾燥後のネットの質量は、加熱処理前の97.6質量%、硫黄含有率は4,200質量ppmであった。
実施例1(硫酸水溶液による加熱処理)
洗浄溶媒に10質量%の硫酸水溶液200gを使用した以外は参考例と同様に防炎剤付きネットの加熱処理を実施した。
乾燥後のネットの質量は、加熱処理前の84.4質量%、硫黄含有率は質量3,200ppmであった。
実施例2(リン酸水溶液による加熱処理)
洗浄溶媒に10質量%のリン酸水溶液200gを使用した以外は参考例と同様に防炎剤付きネットの加熱処理を実施した。
乾燥後のネットの質量は、加熱処理前の93.2質量%、硫黄含有率は800質量ppmであった。
実施例3(水酸化ナトリウム水溶液による加熱処理)
洗浄溶媒に10質量%の水酸化ナトリウム水溶液200gを使用した以外は参考例と同様に防炎剤付きネットの加熱処理を実施した。
乾燥後のネットの質量は、加熱処理前の92.9質量%、硫黄含有率は2,400質量ppmであった。
比較例2(未処理ネットの解重合)
加熱処理による洗浄を行っていない防炎剤付きネット207.5gと解重合触媒である75質量%水溶液のリン酸8.5gを解重合装置に仕込み、窒素雰囲気下で260℃まで加熱した。窒素を止め、過熱水蒸気を導入速度250g/hrで解重合装置へ吹き込み反応を開始し、260℃で6時間、解重合装置から連続的に留出するカプロラクタムを含む水蒸気を冷却し、カプロラクタム水溶液2,860gを得た。
GC分析の結果、カプロラクタム含有率は2.4質量%であった。解重合原料のナイロン6ネットからのカプロラクタム回収率は34質量%であり、十分な回収率が得られなかった。
実施例4(硫酸水溶液による加熱処理後、解重合)
コンデンサー、攪拌機を装着した5Lセパラブルフラスコに、約10cm角に裁断した防炎剤付きネット200gを10質量%硫酸水溶液2kgと共に仕込み、ゆっくり攪拌しながら120℃のシリコーンオイルバス中で3時間加熱処理を実施した。室温まで冷却してからネットを取り出し、水洗、乾燥した。
乾燥後の防炎剤付きネット197.8gと解重合触媒である75質量%水溶液のリン酸8.0gを解重合装置に仕込み、窒素雰囲気下で260℃まで加熱し、以下、参考例2と同様に解重合反応を実施し、カプロラクタム水溶液3,045gを得た。
GC分析の結果、カプロラクタム含有率は5.5質量%であった。解重合原料のナイロン6ネットからのカプロラクタム回収率は84質量%であり、十分な回収率が得られた。
実施例5(水酸化ナトリウム水溶液による加熱処理後、解重合)
洗浄液を10質量%水酸化ナトリウム水溶液にした以外は、実施例4と同様に防炎剤付きネットの加熱処理を行い、水洗、乾燥した。
乾燥後の防炎剤付きネット203.5gと解重合触媒である75質量%水溶液のリン酸8.3gを解重合装置に仕込み、窒素雰囲気下で260℃まで加熱し、以下、参考例2と同様に解重合反応を実施し、カプロラクタム水溶液3,017gを得た。
GC分析の結果、カプロラクタム含有率は5.5質量%であった。解重合原料のナイロン6ネットからのカプロラクタム回収率は82質量%であり、十分な回収率が得られた。
本発明によれば、一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品から、簡便な操作で、工業的に有利な方法でナイロン6製品がリサイクルできる。

Claims (7)

  1. 一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を、酸性水溶液またはアルカリ水溶液の洗浄液中で加熱処理して、ナイロン6製品から前記防炎剤に由来の成分を分離し、前記防炎剤に由来の成分が除去されたナイロン6製品を再利用に供することを特徴とするナイロン6製品のリサイクル方法。
  2. 一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を、リン酸水溶液の洗浄液中で加熱処理して、ナイロン6製品から前記防炎剤に由来の成分を分離し、前記防炎剤に由来の成分が除去されたナイロン6製品を再利用に供することを特徴とするナイロン6製品のリサイクル方法。
  3. 一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を、水酸化ナトリウム水溶液の洗浄液中で加熱処理して、ナイロン6製品から前記防炎剤に由来の成分を分離し、前記防炎剤に由来の成分が除去されたナイロン6製品を再利用に供することを特徴とするナイロン6製品のリサイクル方法。
  4. ナイロン6製品の加熱処理温度が80℃から洗浄液の沸点であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
  5. 洗浄液の使用量が、ナイロン6製品に対して、2から50質量倍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
  6. 不純物として含まれる防炎剤がチオ尿素樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のナイロン6製品のリサイクル方法。
  7. 一種以上の防炎剤を不純物として含むナイロン6製品を、洗浄液中で加熱処理して、ナイロン6製品から前記防炎剤に由来の成分を分離する工程(a工程)、前記洗浄液中から前記防炎剤に由来の成分が除去されたナイロン6製品を取り出す工程(b工程)、b工程で得られるナイロン6製品を解重合してカプロラクタムを回収する工程(c工程)を含むことを特徴とするナイロン6製品のリサイクル方法。
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