JP2009241989A - 耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶 - Google Patents
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Abstract
【課題】座屈強度を現行水準に維持しながら、現行の飲料用アルミニウム製DI缶の胴部側壁の肉厚を減少させて軽量化しつつ、耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶及びその製造方法を提供する。
【解決手段】Al−Mn−Mg系アルミニウム合金からなる飲料用DI缶であって、缶1の胴部11の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.080乃至0.105mmであり、前記最薄肉部を含む胴部11に70℃乃至150℃の加熱処理により被着されたシュリンクフィルム16を有し、缶胴部11の軸方向の引張強さが290MPa以上である。
【選択図】図1
【解決手段】Al−Mn−Mg系アルミニウム合金からなる飲料用DI缶であって、缶1の胴部11の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.080乃至0.105mmであり、前記最薄肉部を含む胴部11に70℃乃至150℃の加熱処理により被着されたシュリンクフィルム16を有し、缶胴部11の軸方向の引張強さが290MPa以上である。
【選択図】図1
Description
本発明は、飲料用に使用され、Al−Mn−Mg系アルミニウム合金からなる耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶に関し、特に絞りしごき加工(DI加工)によって成形される耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶に関する。
従来、飲料用に使用される包装容器として、有底円筒状の胴部と、この胴部に繋がり、胴部より小さい外径を有するネック部と、このネック部の端部に形成されたフランジ部及び開口部を有する缶が知られている。この缶は、開口部から内容物が充填され、蓋部が開口部に巻き締められて使用される。
ビール及び炭酸飲料等の飲料缶に用いられるアルミニウム製DI(絞りしごき)缶としては、Al−Mn−Mg系アルミニウム合金が使用され、板厚0.28乃至0.30mm程度の板材にプレス機によって絞り加工を施してカップ状の形状を成形し、更にこのカップ状の形状に数段階のしごき加工を施してストレート缶にするとともに、缶底形状を成形して製造されたものが用いられている。ストレート缶の胴部側壁の肉厚は、最も薄い最薄肉部において0.106mm程度とされている。(特許文献3乃至5)
上述の加工を施された缶は、開口部側端の余肉をトリミングによって切り落とされて一定の高さに揃えられる。更に、缶は洗浄、脱脂、化成処理を施された後、内外面に塗装印刷及び焼付処理が施される。更に、缶開口部付近にネック形状及びフランジ形状が成形されて製品缶が製造される。成形されたネック部は、テーパ又は段形状が形成されることによって厚肉となる。
上述のアルミニウム合金製DI缶は、別途製造された蓋とともに内容物充填先に納入され、内容物が充填された後、缶の開口部付近のフランジ部に蓋の巻締めが行われて、飲料缶が製造される。このように製造される飲料缶は、内容物充填後の製品を搬送する際又は消費者が製品を取り扱う際に、缶胴部の側壁に突起物が接触した場合若しくは缶胴部同士が接触した場合に、缶に穴が開き内容物が漏洩するという問題が発生することがある。この穴開きの多くは缶胴部側壁の最も薄肉部分にて発生する。この穴開きを防止することは、アルミニウム合金製DI缶の長年の課題であり、これが缶胴部の薄肉化及びアルミニウム材料の低減にとって大きな障害となっている。
こうした問題を解決するために、缶胴部側壁の耐突刺し性を向上させる方法が種々検討されてきた。例えば、特許文献1には、JISA3104−H19調質板から絞りしごき加工(DI加工)によりDI缶を成形し、これを270℃以上の洗浄乾燥炉中で熱処理することにより、引張強さを低下させるとともに伸びを増大させて、二次加工の加工性の向上を図るとともに、ピンホールの発生及びフランジ割れの少ない飲料用アルミニウム缶が提案されている。
また、特許文献2には、Siを0.3%を超え0.45%以下含有する他、Mn、Mg、Feを含有し、熱間圧延後、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延した板にリオイルを施して製造される缶胴用アルミニウム合金板が提案されている。また、合金板表面において、合金成分が関与する金属間化合物の分布密度及び面積率を特定することによって、缶胴体の重量を変えることなく缶胴体の成形を行うことができ、更に缶胴体の強度を維持したまま突起物の押圧に対する耐突刺し性を向上させた缶胴用アルミニウム合金板が開示されている。このアルミニウム合金板を用いて製造されるアルミニウム缶は、DI加工、塗装を含む缶胴成形行程で、外面及び内面塗装を含む厚さが0.110乃至0.130mmの側壁を備えた缶胴体を成形した場合、缶胴体壁部の缶軸方向において、伸びが3%以上6%未満、引張強さが290MPaを超え330MPa以下となることが特許文献2に記載されている。
更に、特許文献3乃至5では、Si、Fe、Cu、Mn、Mgを含有し、板厚が0.250mm以上0.275mm未満の缶ボディ用アルミニウム合金板において、金属間化合物の分布密度及び面積率、リオイル量又はベーキング後の素材耐力若しくは引張強さを特定することで、製造コストを増大させることなく、耐流通ピンホール性に優れた缶ボディを得ることができることが開示されている。また、このアルミニウム合金板を用いて製造されるアルミニウム缶は、胴部の厚さが0.110mmを超え0.125mm以下で、製造時の総絞り比が2.0乃至2.7であり、且つ総しごき率が50%以上60%未満であり、DI加工及び塗装焼付けによる製缶後において、胴部の引張強さが330MPa超え380MPa以下であるとともに延びが4%以上となることが特許文献3乃至5に記載されている。
しかしながら、近時の飲料用アルミニウム缶は胴部側壁の厚さが前述の如く0.106mm程度まで薄肉化されており、特許文献1に記載された飲料用アルミニウム缶を用いると、側壁の引張強さが低くなるため、耐突刺し性が低下する。また、蓋部巻締め時の軸加重に対する缶の座屈強度が不足するという問題点がある。
また、特許文献2に記載された缶胴用アルミニウム合金板は、アルミニウム合金中にSiを0.3質量%を超えて多量に含有するため、合金板の結晶粒のばらつきが大きく、更に、このアルミニウム合金板を用いてDI缶を製造すると、缶成形時に耳率のばらつきが大きくなるため、割れ又は耳切れ等の成形不良が発生してアルミニウム缶の良品率が低下する。その結果、低コストでアルミニウム缶を製造することが難しいという問題点がある。
また、特許文献3乃至5に記載されたアルミニウム合金板を用いて製造した飲料用アルミニウム缶は、缶胴部の厚さが0.110mmを超え0.125mm以下であり、近時、市場に流通している缶よりもむしろ厚いものである。また、このアルミニウム合金板を用いて製缶を行う場合、第1の絞りしごき加工によるカップ成形時に、打ち抜かれる円板状のブランク素材の径が増大するため、製缶時におけるスクラップ量が増え、コストアップにつながる。またカップ形状の絞り比が大きくなるので、ブランク素材が円周方向に圧縮を受けてしわを発生したり、最終製品缶において、フランジ部に割れを生じてしまうことがある。
また、特許文献1乃至5に記載されているように、アルミニウム缶の材料又は製造過程において耐突刺し性を向上させようという研究はなされているが、缶内への内容物充填工程を含めた研究例及び特許文献は見当たらず、耐突刺し性向上技術の確立を更に困難にしていると思われる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、座屈強度を現行水準に維持しながら、現行の飲料用アルミニウム合金製DI缶の胴部側壁の肉厚を減少させて軽量化しつつ、耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶は、Al−Mn−Mg系アルミニウム合金からなる飲料用DI缶であって、缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.080乃至0.105mmであり、前記最薄肉部を含む前記缶胴部に被着されたシュリンクフィルムを有し、前記缶胴部の軸方向の引張強さが290MPa以上であることを特徴とする。
本発明に係る耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶の製造方法は、Al−Mn−Mg系アルミニウム合金からなる飲料用DI缶の製造方法であって、缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.080乃至0.105mmになるように絞りしごきする工程と、塗装印刷する工程と、内容物を缶内に充填する工程と、蓋部を缶胴部の一端及び/又は両端に巻締めする工程と、前記最薄肉部を含む前記缶胴部にシュリンクフィルムを巻き、前記シュリンクフィルムを70℃乃至150℃の加熱処理により加熱することによって、前記缶胴部に前記シュリンクフィルムを被着させる工程と、を有することを特徴とする。
本発明の耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶によれば、シュリンクフィルムを缶胴部に密着させて巻くことにより、耐突刺し性が向上する。つまり、缶胴部に突起物等が接触したとき、シュリンクフィルムは缶胴部側壁が穴開きに至るまでの最大変位量を増加させる。また、シュリンクフィルムは、缶胴部同士が接触する際の衝撃を緩和させて穴開きを抑制する。更に、シュリンクフィルムを缶胴部に密着させる際の加熱処理は、蓋の巻締めまでの行程において缶胴部に生じる残留応力を除去するため、耐突刺し性が向上する。
更に、本発明の耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶の製造方法によれば、缶胴部側壁の金属部分の厚さが薄いため、飲料缶の軽量化が可能である上、製造に使用するアルミニウム合金の使用量が少なくなるため、飲料用アルミニウム缶を低コストで製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a)は絞りしごき成形後のアルミニウム合金製DI缶を示す斜視図、図1(b)は本実施形態の耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶を示す斜視図、図2(a)はアルミニウムDI缶の絞り工程を示す図、図2(b)はアルミニウムDI缶のしごき工程を示す図である。
本実施形態の耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶1は、Al−Mn−Mg系アルミニウム合金からなり、図1(a)に示すように、有底円筒状の胴部11が形成され、この胴部11の開口部14付近には、胴部11よりも若干小径に絞られ、開口部14に向けて側面が傾斜して又は段形状を形成して伸びるネック部12が形成されている。更に、胴部11の開口端部には、フランジ部13が形成されている。本実施形態の耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶1は、缶胴部11の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.080乃至0.105mmである。なお、この厚さは後述するシュリンクフィルムの厚さを含まない。更に、図1(b)に示すように胴部11の開口端部には、蓋部15が固定されている。更に、胴部11の最薄肉部を含む円筒状の胴部11の外面には、シュリンクフィルム16が被着されている。
以下、上記各数値限定の理由について説明する。
「シュリンクフィルム巻付け後の加熱処理温度:70乃至150℃」
シュリンクフィルムを缶胴部に巻き付けた後に加熱処理を行うと、シュリンクフィルムが缶胴部に密着するとともに、蓋の巻締めまでの行程において缶胴部に生じる残留応力が解放される。加熱処理温度が70℃未満であると、この効果が十分に得られず、加熱処理温度が150℃を超えると、缶の内圧が上昇して缶の変形を招く。従って、シュリンクフィルム巻付け後の加熱処理温度は70℃乃至150℃である。
シュリンクフィルムを缶胴部に巻き付けた後に加熱処理を行うと、シュリンクフィルムが缶胴部に密着するとともに、蓋の巻締めまでの行程において缶胴部に生じる残留応力が解放される。加熱処理温度が70℃未満であると、この効果が十分に得られず、加熱処理温度が150℃を超えると、缶の内圧が上昇して缶の変形を招く。従って、シュリンクフィルム巻付け後の加熱処理温度は70℃乃至150℃である。
「缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さ:0.080乃至0.105mm」
絞りしごき加工後の缶胴部の金属厚さが小さくなると、即ち缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.080mm未満であると、製品の軽量化は図れるが、内容物を缶内に充填する工程から蓋を巻締めする工程までの間に缶胴部にデント(凹み、窪み)が発生しやすくなるため、座屈を招く可能性が高まり、また、十分な耐突刺し性を得られない。缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.105mmを超えると、缶の製造に使用するアルミニウム合金の使用量が増加して、製品の重量が増え、更に、製造コストが大きくなる。従って、缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さは0.080乃至0.105mmである。
絞りしごき加工後の缶胴部の金属厚さが小さくなると、即ち缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.080mm未満であると、製品の軽量化は図れるが、内容物を缶内に充填する工程から蓋を巻締めする工程までの間に缶胴部にデント(凹み、窪み)が発生しやすくなるため、座屈を招く可能性が高まり、また、十分な耐突刺し性を得られない。缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.105mmを超えると、缶の製造に使用するアルミニウム合金の使用量が増加して、製品の重量が増え、更に、製造コストが大きくなる。従って、缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さは0.080乃至0.105mmである。
「缶胴部の軸方向の引張強さ:290MPa以上」
缶胴部の軸方向の引張強さが290MPa未満であると、缶の耐突刺し性及び座屈強度が低下し、缶胴部の側壁に突起物が接触した場合、又は缶胴部同士が接触した場合に内容物が漏れやすくなったり、内容物を缶に充填する工程及び蓋を巻締めする工程において座屈が発生しやすくなる。従って、缶胴部の軸方向の引張強さは290MPa以上である。
缶胴部の軸方向の引張強さが290MPa未満であると、缶の耐突刺し性及び座屈強度が低下し、缶胴部の側壁に突起物が接触した場合、又は缶胴部同士が接触した場合に内容物が漏れやすくなったり、内容物を缶に充填する工程及び蓋を巻締めする工程において座屈が発生しやすくなる。従って、缶胴部の軸方向の引張強さは290MPa以上である。
本実施形態の耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶は、缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部にシュリンクフィルムを有するため、缶胴部に突起物等が接触したとき、缶の胴部側壁が穴開きに至るまでの最大変位量が増加し、また、シュリンクフィルムは缶胴部同士が接触する際の衝撃を緩和させて穴開きを抑制するため、耐突刺し性が優れている。更に、缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さ及びシュリンクフィルム密着後の缶胴部側壁の軸方向の引張強さを最適化することによって、缶胴部側壁の肉厚を従来より薄く加工した場合においても缶の耐突刺し性及び座屈強度が低下することがない。
本実施形態の耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶は、以下のように製造される。まず、Mg:0.8乃至1.7質量%、Mn:0.6乃至1.2質量%を含有するアルミニウム合金板を切り抜いて、円形状の板材(ブランク)にする。そして、図2(a)に示すように、ダイ21に載置された円形状のアルミニウム合金製の板材にパンチ22によって絞り加工を施し、カップ状の缶10を成形する。更に、このカップ状の缶10に、図2(b)に示すように、再絞りダイス23による絞り加工及びしごきダイス24によるしごき加工を施してストレート缶にするとともに、缶底成形ダイ26によって缶底を成形し、ストリッパー25によって缶をパンチから外す。そして、缶の開口端側端部をトリミングして余肉を切り落とし、所定の寸法に仕上げる。更に、缶10に洗浄、脱脂、化成処理を施した後、缶の内外面に塗装印刷及び焼付処理を施す。そして、缶開口部付近にネック部12及びフランジ部13を成形してアルミニウム合金製DI缶1を製造する。
そして、図1(b)に示すように、このアルミニウム合金製DI缶1に内容物を充填した後、開口部14に蓋15を載置し、その後、フランジ部13と共に缶外面側に巻締めて固定する。そして、この蓋15を巻締められたDI缶1の缶胴部11の最薄肉部にシュリンクフィルム16を巻き、70℃乃至150℃の加熱温度にて加熱処理することにより、シュリンクフィルム16を胴部11に被着させる。ここで、シュリンクフィルム16は、例えば、PETからなる厚さ数10μmのシート状のものを缶胴部11に巻き付けてもよいし、筒状に巻いたものをDI缶1の上から被せてもよい。また、シュリンクフィルム16は、少なくとも缶胴部11の最薄肉部、例えば一般的な350cc缶においては、缶底からの高さ40乃至80mmの部位をカバーするものとする。また、シュリンクフィルム16を缶胴部11に被着させる際の加熱処理は、10秒以上の加熱時間であれば十分である。
本実施形態の耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶の製造方法によれば、シュリンクフィルムを70乃至150℃の加熱処理温度で缶胴部に被着させるため、シュリンクフィルムが缶胴部に密着するとともに、蓋の巻締めまでの行程において缶胴部に生じる残留応力が解放されるため、耐突刺し性が向上する。更に、缶胴部側壁の肉厚が従来より薄く加工されるため、缶胴部の重量を低減することが可能であり、製造に使用するアルミニウム合金の使用量が少なくなるため、飲料用アルミニウム缶を低コストで製造することができる。
以下、本発明の実施例の効果について比較例と対比して説明する。
この実施例及び比較例のアルミニウム合金製DI缶の製造方法を以下に示す。本実施例及び比較例のアルミニウム合金製DI缶の製造には、Mg:0.8乃至1.7質量%、Mn:0.6乃至1.2質量%を含有するアルミニウム合金からなる板材を用いた。このアルミニウム合金板に前述の絞りしごき加工を施して、缶胴部の径が66mm(211径)のDI缶を作成した。そしてこのDI缶に塗装焼付けに相当するベーキングを行った。そして、このDI缶の開口部付近に4段ネック成形及びフランジ成形を施した。更に、このDI缶に内容物を充填した後、缶の内圧を200kPaに保った状態で蓋の巻締めを行って供試材とした。更に、この供試材の缶の胴部側面にPETからなる厚さ50μmのシュリンクフィルムを巻き付け、加熱処理を行って、実施例及び比較例の缶とした。また、缶の胴部側面にシュリンクフィルムを巻き付けず、更に加熱処理も施さずに比較例の缶とした。本実施例及び比較例の缶は、予め缶の胴部側壁の一部を切り取って引張試験を行い、引張強さが298乃至330MPaであることを確認した。下記表1に本実施例及び比較例の缶の引張強さを示す。
耐突刺し性の評価は、図3に示すように、圧延0°方向の缶胴部11の側壁の最薄肉部に、先端半径0.5mmの突刺し針2を50mm/分の速度で突き刺し、この突刺し針が缶胴部11の側壁を貫通するまでの最大荷重によって行った。そして、この最大荷重が37N以上であった場合を良好と判断した。
缶の胴部側壁の最薄肉部肉厚及びシュリンクフィルム巻き付け後の加熱条件を変化させて、上記耐突刺し性評価試験を行った。なお、シュリンクフィルム巻き付けがない場合については、巻きつけ後の加熱処理を行わなかった。下記表1は、実施例及び比較例の形状条件及びシュリンクフィルム巻き付け後の加熱条件を示す。
実施例及び比較例の耐突刺し評価試験の結果を表1に示す。
この表1に示すように、実施例1乃至5は缶胴部側壁の最薄肉部の肉厚が本発明の範囲を満足するので、本発明の範囲を満足しない比較例5に比して耐突刺し性が優れている。また、実施例1乃至5は、缶の胴部側面にシュリンクフィルムを有して本発明の請求項を満足するため、シュリンクフィルムを有しない比較例1及び2に比して耐突刺し性が優れている。実施例1乃至5は、シュリンクフィルム巻き付け後の加熱温度が本発明の範囲を満足し、本発明の範囲を満足しない比較例3に比して耐突刺し性が優れている。なお、比較例4については、シュリンクフィルム巻き付け後の加熱の時点で缶底部が変形し、商品としての価値を損なう結果となった。実施例1乃至5は、缶胴部側壁の引張強さが本発明の範囲を満足するため、本発明の範囲を満足しない比較例6に比して耐突刺し性が優れている。
1:アルミニウムDI缶、2:突刺し針、10:缶、11:胴部、12:ネック部、13:フランジ部、14:開口部、15:蓋部、16:シュリンクフィルム、21:ダイ、22:パンチ、23:再絞りダイス、24:しごきダイス、25:ストリッパー、26:缶底成形ダイ
Claims (2)
- Al−Mn−Mg系アルミニウム合金からなる飲料用DI缶であって、缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.080乃至0.105mmであり、前記最薄肉部を含む前記缶胴部に被着されたシュリンクフィルムを有し、前記缶胴部の軸方向の引張強さが290MPa以上であることを特徴とする耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶。
- Al−Mn−Mg系アルミニウム合金からなる飲料用DI缶の製造方法であって、缶胴部の肉厚が最も薄い最薄肉部の厚さが0.080乃至0.105mmになるように絞りしごきする工程と、塗装印刷する工程と、内容物を缶内に充填する工程と、蓋部を缶胴部の一端及び/又は両端に巻締めする工程と、前記最薄肉部を含む前記缶胴部にシュリンクフィルムを巻き、前記シュリンクフィルムを70℃乃至150℃の加熱処理により加熱することによって、前記缶胴部に前記シュリンクフィルムを被着させる工程と、を有することを特徴とする耐突刺し性が優れた飲料用アルミニウム缶の製造方法。
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