JP2009240964A - バー塗布装置、塗布方法、及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布直後において、塗布面に縦スジ等のムラが生じることなく、均質な塗布を行う。
【解決手段】バー塗布装置10は、走行するウエブ12に塗布液を塗布するバー16と、バー16を回転自在に支持する支持部材20と、支持部材20に対しウエブ12の走行方向の上流側と下流側に設けられた第1ブロック22と第2ブロック32とを備え、第2ブロック32のウエブ12と対向する傾斜面32Aの水平距離が1mm〜20mmの範囲内である。
【選択図】 図2
【解決手段】バー塗布装置10は、走行するウエブ12に塗布液を塗布するバー16と、バー16を回転自在に支持する支持部材20と、支持部材20に対しウエブ12の走行方向の上流側と下流側に設けられた第1ブロック22と第2ブロック32とを備え、第2ブロック32のウエブ12と対向する傾斜面32Aの水平距離が1mm〜20mmの範囲内である。
【選択図】 図2
Description
本発明は、バー塗布装置、バー塗布装置を用いた塗布方法、及び光学フィルムの製造方法に係り、特に液晶表示装置に好適な品質を有する光学フィルムを製造するための塗布技術に関する。
光学補償フィルム等の光学性機能フィルムの製造における塗布では、塗布液を均一且つ薄層に塗布することが要求される。しかしながら、このような薄層塗布では、縦スジやストリーク故障を生じることが多く、従来から各種対策が検討されている。
たとえば、バー塗布装置においては、バー断面の最大半径とバー受け部断面の円弧の曲率半径との関係、バーホールド角等を規定することで、バー振動による段状塗布ムラや、バーとバー支持部材との間に発生する泡による塗布スジ故障を防止することが提案されている(特許文献1)。
また、塗布バーの接触部に対して支持体送り方向の上流側に堰を設けて、接触部と堰との間に液溜まりを構成し、堰から塗布液の一部をオーバーフローさせることが提案されている(特許文献2)。これにより、塗布速度を上げた際に、1次側(塗布バーの接触部に対して支持体送り方向の上流側)の液溜めに規則的な渦が発生することにより生じる塗布スジの発生を抑制している。
また、ウエブとバーのラップ角度を2.5〜30°にすると共に、バー断面の最大径をRbとし、バー支持部材のバー受け部断面の円弧の曲率半径をRhとしたときに、Rb/Rhが0.9〜1.0の範囲とし、バー支持部材のバーホールド角を90°以上180°以下にするバー塗布方法が提案されている(特許文献3)。
ブレードコーターにおいて、ファウンテンノズルから塗布液を吹き出す前に、塗布液にせん断力を付与して低粘度化する方法(特許文献4)、ロッドコーターにおいて、ロッドのワイヤー間の溝に引っかかる異物や凝集物を除去するための異物除去ブラシ等をロッドバーホルダに設ける方法(特許文献5)等が提案されている。また、支持体上に塗布膜を形成した後、掻き取りローラにより余剰液を掻き取り必要膜厚を得る塗布方法において、掻き取りローラ表面の乾きに起因する塗布故障を抑制するために、掻き取りローラ表面に塗布液又は溶剤を供給する方法が提案されている(特許文献6)。
また、搬送される長尺の支持体に向けて溶剤で溶かれた塗料を押出すダイに対して、走行方向上流側に、その溶剤と同じ溶剤を溜めるキャッチパンを設け、キャッチパンから溶剤を揮発させることで、ダイから押出される塗料の近傍の溶剤蒸気濃度を上昇させ、塗料の乾燥を防止する方法が提案されている(特許文献7)。
特開2006−82059号公報
特開2003−33702号公報
特開平9−201563号公報
特開平7−189169号公報
特開平7−246358号公報
特開平9−294956号公報
特開2002−273301号公報
ところで、一般的なバー塗布装置では、図1に示すように、バー2を支持するバー支持部材3のウエブ7走行方向上流側に第1ブロック1と、支持部材3のウエブ7走行方向下流側に第2ブロック4を備えている。第1ブロック1と支持部材3、及び第2ブロック4と支持部材3との間にそれぞれスリット5,6が形成され、各スリット5、6から塗布液が供給される。そして、スリット5,6から塗布液が供給され、バー表面との間に塗布液ビードが形成される。塗布後に掻き落とされた未塗布の塗布残液は第2ブロック4の上面4Aをオーバーフローして排出され、回収部8で回収される。
しかしながら、塗布残液が第2ブロック4の傾斜面を流れる際、塗布残液の揮発ガスによる塗布液近傍の気流の乱れが、ウエブ7の塗膜近傍の気流の乱れを発生させる。特に、塗布残液の流動が不安定になると塗布液の揮発成分のガス濃度、気流の不均一を発生させ、初期乾燥での乾燥むらを引き起こす問題があった。
これに対して、特許文献1〜7に記載された塗布方法では、いずれも塗布後の揮発性ガス濃度分布に起因する縦スジムラを解決するものではなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、塗布直後において、塗布面に縦スジ等のムラが生じることがなく、均質な塗布を行うことができるバー塗布装置及びそれを用いた製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のバー塗布装置は、走行する帯状体に塗布液を塗布するバーと、前記バーの下側に設けられ、該バーを回転自在に支持する支持部材と、前記支持部材に対し、前記帯状体の走行方向の上流側に設けられ、該支持部材との間に塗布液を供給するスリットを形成する第1ブロックと、前記支持部材に対し、前記帯状体の走行方向の下流側に設けられ、該支持部材との間に塗布液を供給するスリットを形成し、未塗布の塗布残液を流下させる傾斜面を備えた第2ブロックと、を備え、帯状体と対向する前記第2ブロックの傾斜面の水平距離が1mm〜20mmであることを特徴とする。
本発明のバー塗布装置によれば、帯状体の塗布面と対向する塗布残液がオーバーフローする第2ブロックの傾斜面の水平距離を1mm〜20mmと短くすることで、第2ブロックと帯状体の塗布面との間に発生する揮発ガスによる影響を少なくできる。これにより、帯状体の塗布面に縦スジ状のムラが発生するのを抑制できる。
本発明のバー塗布装置は、前記発明において、前記第2ブロックの傾斜面の水平距離が1mm〜20mmとすることができる。
本発明のバー塗布装置によれば、第2ブロック自身を小さくすることで、帯状体の塗布面と対向する前記第2ブロックの傾斜面の水平距離を1mm〜20mmとすることができる。
本発明のバー塗布装置は、前記発明において、前記第2ブロックの傾斜面から所定の距離だけ離れ、該傾斜面に対向する位置に平板を配置させることができる。
本発明の塗布装置によれば、帯状体の塗布面と第2ブロックの傾斜面との間に平板を配置し、傾斜面を流下する塗布残液と帯状体の塗布面を平板で分離することで、帯状体の塗布面と対向する前記第2ブロックの傾斜面の水平距離を1mm〜20mmとすることができる。
本発明のバー塗布装置は、前記発明において、前記第2ブロックに対し、前記帯状体の走行方向の下流側に配置された、塗布残液の回収部を有し、前記平板が前記回収部を覆うものとすることができる。
本発明のバー塗布装置によれば、帯状体の塗布面と第2ブロックの傾斜面との間に配置された平板で、さらに回収部を覆うようにしたので、回収部から発生する揮発ガスの影響を少なくすることができる。これにより、帯状体の塗布面に縦スジ状のムラが発生するのを抑制できる。
本発明のバー塗布装置は、前記発明において、前記平板と前記回収部との間に塗布残液からの揮発ガスを排出するための排出口を設けることができる。また、本発明のバー塗布装置は、前記発明において、前記排出口に、さらに排気装置を接続させることができる。
本発明のバー塗布装置によれば、平板と回収部で構成される空間に充満した揮発ガスを排出口から排出することで、揮発ガスが上昇して帯状体の塗布面に濃度分布が発生するのを防止することができる。さらに、排出口に排気装置を接続することで、効率よく揮発ガスを排出させることができる。これにより、さらに帯状体の塗布面に縦スジ状のムラが発生するのを抑制できる。
前記目的を達成するために、本発明の塗布方法は、前記バー塗布装置の何れかを使用して、走行する帯状体に塗布液を塗布することを特徴とする。
本発明の塗布方法によれば、塗布液が第2ブロックをオーバーフローする過程において、塗布液と塗布面との間に発生する揮発ガスによる影響を小さくできるので、帯状体の塗布面に縦スジ状のムラが生じるのを抑制できる。
前記目的を達成するために、本発明の光学フィルムの製造方法は、帯状体に形成された配向膜にラビング処理する工程と、前記ラビング処理された配向膜上に前記バー塗布装置の何れかを使用して液晶ディスコティック化合物を含有する塗布液を塗布する工程と、塗布された前記塗布液を乾燥することにより光学異方性層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、塗布面にムラを生じることなく、良好な品質の光学フィルムを得ることができる。
本発明によれば、塗布直後において、塗布面に縦スジ等のムラが生じることがなく、均質な塗布を行うことができる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行なうことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を含む範囲を意味する。
図2は本発明が適用された第1の実施形態のバー塗布装置の構成を模式的に示す断面図である。バー塗布装置10は、走行方向に沿って連続走行するウエブ(帯状支持体)12に塗布液を塗布する装置であり、バー16を有する塗布ヘッド14と、バー16が接触するようにウエブ12をガイドするガイドローラ18、18とを備える。
塗布ヘッド14のバー16は、円柱状に形成されており、円周方向に一定間隔で溝が形成されているもの、ワイヤーが密に巻回されているもの、あるいは表面が平滑であるものの何れでもよい。また、バー16は、不図示の回転駆動手段に連結されており、ウエブ12の走行方向と同方向に、且つウエブ12の走行速度と略同じ速度で回転される。
また、バー16は、ウエブ12の走行方向と反対方向に回転させてもよく、さらにはバー16の周速がウエブ12の走行速度と異なるように回転させてもよい。
バー16は、支持部材20によって支持される。支持部材20の上部には、円弧状の溝が形成されており、この溝にバー16が回動自在に支持される。
バー16に対してウエブ12の走行方向の上流側(すなわち、ウエブ12の進入側)に、第1ブロック22が支持部材20に対して所定の間隔で平行に設けられる。第1ブロック22と支持部材20との間にスリット24が形成される。第1ブロック22は走行方向の上流側に堰部26を備えている。液溜部30が支持部材20とバー16、及び堰部26により構成される。液溜部30の大きさはウエブ12の搬送速度を考慮して、適宜好適に設定される。
スリット24には、塗布液の供給ライン(不図示)が接続される。供給ラインから供給された塗布液が、スリット24を介して液溜部30に供給される。液溜部30の塗布液が回転するバー16にピックアップされ、バー16にラップして連続走行するウエブ12に塗布される。なお、過剰に供給された塗布液は堰部26をオーバーフローし、回収部(不図示)により回収される。
一方、バー16に対してウエブ12の走行方向の下流側には、第2ブロック32が支持部材20に対して所定の間隔で平行に設けられる。第2ブロック32と支持部材20との間にはスリット34が形成される。スリット34には、塗布液の供給ライン(不図示)が接続される。供給ラインから供給された塗布液が、バー16の乾きによる塗布故障を防止するために、バー16の下流側に供給され、バー16表面との間に塗布液ビードが形成される。塗布液の一部は塗布残液として第2ブロック32をオーバーフローして、傾斜面32Aを流下する。
図2のバー塗布装置10において、バー16の下流側に形成されるスリット34の出口の液溜り部では、塗布する際にバー16表面に残った塗布残液と、スリット34から供給される塗布液とが合流する。このため、液溜り部において塗布液に渦等の乱れが生じ易い。さらに、液溜り部の塗布液が第2ブロック32の傾斜面32Aをオーバーフローする過程で、塗布液からの揮発ガスに濃度分布が生じ、液溜り部で生じた乱れが増幅される。これらの液相の乱れにより気相も乱れを生じ、第2ブロック32の傾斜面32Aの近傍を走行するウエブ12の塗布面に縦スジ状のムラを生じる原因となる。
そこで、本発明の第1の実施形態では、第2ブロック32のウエブ12の走行方向の長さ、つまり水平距離L1を1mm〜20mmと短くすることで、塗布残液が傾斜面32Aを流下する区間を短くしている。傾斜面32Aを流下した塗布残液は、さらに第2ブロック32の垂直面を流下し、回収される。このように塗布残液が傾斜面32Aを流下する区間を短くすることで、塗布残液に起因する気相の乱れの影響を少なくし、塗布面に縦スジ状のムラを生じるのを防止することができる。
第2ブロック32の水平距離L1が1mmより短いと32Aの部分を流れる塗布液が乾きやすくなり、液がブロックに固着するカワバリという問題が生じるおそれがある。一方、水平距離L1が20mmより長いと本発明の期待する効果を発現できなくなり、縦スジという問題が生じるおそれがある。
なお、傾斜面32Aは、塗布液が第2ブロック32を流下しやすくするため、水平に対して傾斜角度αが5°〜90°となるよう設定されることが好ましい。
図3は本発明が適用された第2の実施形態のバー塗布装置の構成を模式的に示す断面図である。なお、第1の実施形態に示したバー塗布装置と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。第2の実施形態のバー塗布装置は、第2ブロックの傾斜面とウエブの塗布面の間の位置に、傾斜面と対向するように平板が設置されている点で、第1の実施形態のバー塗布装置と異なる。
第2の実施形態のバー塗布装置10は、バー16と、バー16を支持する支持部材20と、支持部材20に対しウエブ12の走行方向の上流側に設けられた第1ブロック22と、下流側に設けられた第2ブロック32を備えている。塗布液を供給するためのスリット24、34が支持部材20と第1ブロック22との間、及び支持部材20と第2ブロック32との間に形成される。第2ブロック32の下流側にさらに塗布残液を回収するための回収部36が設けられている。
第2の実施形態のバー塗布装置10は、第2ブロック32の傾斜面32Aとウエブ12の塗布面の間で、傾斜面32Aと対向する位置に平板40が配置されている。平板40により、ウエブ12の塗布面と対向する塗布残液が流下する傾斜面32Aの区間を、水平距離L1で1mm〜20mmとなるよう、実質的に短くすることができる。平板40により、塗布残液が傾斜面32Aを流下する区間を短くすることで、塗布残液に起因する気相を乱れの影響を少なくし、塗布面に縦スジ状のムラが生じるのを防止することができる。
第2の実施形態に係るバー塗布装置10によれば、ウエブの塗布面と第2ブロック32の傾斜面32Aとの間に平板40を配置し、傾斜面32Aを流下する塗布残液とウエブ12の塗布面を平板40で分離しているので、傾斜面32Aを流下する塗布残液に起因する気相の乱れを防止することができる。
平板40を設置する位置に関して、平板40の上流側の端部と第2ブロック32の頂点との高さ方向の距離L2は5mm〜20mmの範囲であることが好ましい。距離L2が5mmより小さいと、平板40の先端とウエブ12との距離が小さくなり、接触の問題が発生するおそれがある。一方、距離L2が20mmより大きいと、本発明の期待する効果を発現できなくなり、縦スジの問題が発生するおそれがある。
また、平板40の上流側の端部と傾斜面32Aとの距離L3は1mm〜10mmの範囲であることが好ましい。距離L3が1mmより小さいと、第2ブロック32を流下する液が平板40の内側に付着し、液が固着することで第2ブロック32と平板40のクリアランスを閉塞することで溶剤蒸気の逃げ道がなくなり、塗布面側に溶剤蒸気が逃げることで本発明の効果を発現できなくなるおそれがある。一方、距離L3が10mmより大きいと、溶剤蒸気の逃げ道が大きすぎるため、塗布面側に溶剤蒸気が逃げることで本発明の効果を発現できなくなるおそれがある。
第2ブロック32の大きさは、平板40を設けることで、距離L1が1mm〜20mmの範囲を満たす限り、適宜好適な範囲に設定することができる。なお、傾斜面32Aは、 塗布液が第2ブロック32を流下しやすくするため、水平に対して傾斜角度αが5°〜90°となるよう設定されることが好ましい。
本実施形態のバー塗布装置10の平板40は、第2ブロック32を超えて、塗布残液の回収部36を覆うように下流側に伸びている。回収部36が平板40により覆われているので、回収部36からの揮発ガスによる気相の乱れの影響を少なくし、塗布面に縦スジ状のムラを生じるのを防止することができる。なお、本実施形態においては、平板40が傾斜面32A全体と回収部36を覆うように構成されているが、平板40は一体的に構成されている必要はない。つまり、傾斜面32Aに対向して設置される平板と、回収部36に設置される平板は別部材であっても良い。
本実施形態のバー塗布装置10においては、平板40と回収部36とで形成される空間42に充満した揮発ガスを排出するための排出口38が形成されている。排出口38を形成することで、空間42に充満した揮発ガスが上昇して平板40を超え、ウエブ12の塗布面に気相の乱れを生じさせるのを防止することができる。
本実施形態のバー塗布装置10においては、さらに排出口38に排気装置44が接続されている。排気装置44により、空間42に充満した揮発ガスが排出口38を介して排出される。これにより空間42に発生した揮発ガスによる影響をさらに小さくすることができる。
(排出口の数、大きさ、また排気装置に関し明細書に記載しても良い情報があればお知らせ下さい)
次に、本発明に係るバー塗布装置10の適用例について説明する。図4は、本発明のバー塗布装置10を組み込んだ光学補償フィルムの製造ライン80である。
次に、本発明に係るバー塗布装置10の適用例について説明する。図4は、本発明のバー塗布装置10を組み込んだ光学補償フィルムの製造ライン80である。
光学機能フィルムの製造ライン80は、図4に示されるように、送出機82から予め配向膜形成用のポリマー層が形成された透明支持体であるウエブ12が送り出される。
次に、ウエブ12はガイドローラ84によってガイドされてラビング処理装置86に送りこまれる。そして、ウエブ12のポリマー層には、ラビングローラ88によりラビング処理が施される。ラビングローラ88の下流には除塵機90が設けられており、ウエブ12の表面に付着した塵を取り除く。
除塵機90の下流には本発明に係る塗布ヘッド14が設けられている。塗布ヘッド14に対し、ウエブ12の走行方向の上流及び下流側に、ウエブ12をバーにラップさせるためのガイドローラ18が設けられている。塗布ヘッド14によりディスコネマティック液晶を含む塗布液がウエブ12に塗布される。塗布ヘッド14の下流には、乾燥ゾーン92、加熱ゾーン94が順次設けられており、ウエブ12上の塗布液が乾燥・加熱されて液晶層が形成される。更に、この下流には紫外線ランプ96が設けられており、紫外線照射により、液晶を架橋させ、所望のポリマーを形成する。これにより、光学補償フィルムが製造され、製造された光学補償フィルムは巻取機98に巻き取られる。
このように、本発明に係るバー塗布装置10を、光学補償フィルムの液晶層の塗布(ディスコネマティック液晶を含む塗布液の塗布)に用いるので、縦スジ等のムラのない良好な面質のフィルムを製造できる。
本発明に使用されるウエブ12としては、紙、プラスチックフィルム、レジンコーティッド紙、合成紙等が包含される。プラスチックフィルムの材質は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のビニル重合体、6,6−ナイロン、6−ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ヘルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロースアセテート等が使用される。またレジンコーティッド紙に用いられる樹脂としては、ポリエチレンをはじめとするポリオレフィンが代表的であるが、必ずしもこれに限定されない。ウエブの厚さも特に限定されないが、0.01mm〜1.0mm程度のものが取扱い、汎用性の見地から有利である。
本発明に用いられる塗布液は特に限定は無く、高分子化合物の水又は有機溶媒液、顔料分散液、コロイド溶液等が適用できる。特に、薄層塗布を均一且つ高精度に行うことが求められる各種光学フィルムの塗布液、例えば、液晶性ディスコティック塗布液等が好適である。また、塗布液の粘度が高い場合、塗布膜厚や塗布速度、塗布後の乾燥速度等にもよるが、ワイヤー目或いは溝の目が消えずにバー筋故障となるため、0.5Pa・s以下が望ましい。
以上、本発明に係るバー塗布装置及び塗布方法の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
以下、実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。本発明に係る第1の実施形態及び第2の実施形態のバー塗布装置10を組み込んだ図4の光学補償フィルムの製造ライン80において、塗布直後の縦スジ故障への影響を評価した。
(実施例1)
ウエブ12は、厚さ40〜120μmのトリアセチルセルロース(フジタック、富士フィルム(株)製)の表面に長鎖アルキル変性ポバールの2重量%溶液をフィルム1m2当たり25mlになるように塗布後、60℃で1分間乾燥させて配向膜用樹脂層を形成したものを使用した。このウエブ12を、送出機82から送り出すと共に10〜50m/分で搬送しながらラビング処理装置86によって配向膜用樹脂層表面にラビング処理を行って配向膜を形成した。ラビング処理におけるラビングローラ88の押し付け圧力を、配向膜樹脂層の1cm2あたり10kgf/cm2にすると共に、回転周速を5.0m/秒とした。
(実施例1)
ウエブ12は、厚さ40〜120μmのトリアセチルセルロース(フジタック、富士フィルム(株)製)の表面に長鎖アルキル変性ポバールの2重量%溶液をフィルム1m2当たり25mlになるように塗布後、60℃で1分間乾燥させて配向膜用樹脂層を形成したものを使用した。このウエブ12を、送出機82から送り出すと共に10〜50m/分で搬送しながらラビング処理装置86によって配向膜用樹脂層表面にラビング処理を行って配向膜を形成した。ラビング処理におけるラビングローラ88の押し付け圧力を、配向膜樹脂層の1cm2あたり10kgf/cm2にすると共に、回転周速を5.0m/秒とした。
そして、配向膜用樹脂層をラビング処理して得られた配向膜上に、図2に示す第1の実施形態に係るバー塗布装置10を使用して塗布液を塗布した。塗布液は、下記に示すディスコティック化合物TE−8のR(1)とR(2)の重量比で4:1の混合物に対し、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V♯360、大阪有機科学(株)製)を10重量%、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)を0.6重量%、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を3重量%、増感剤(カヤキュアーDET−X、日本化薬(株)製)を1重量%、添加し、最終的にその混合物の32重量%メチルエチルケトン溶液とした。その液晶性化合物を含む液に、さらにフッ素系界面活性剤(フルオロ脂肪族基含有共重合体、メガファックF780、大日本インキ(株)製)を0.3重量%添加し、塗布液として使用した。
そして、図2に示す第1の実施形態に係るバー塗布装置10において、支持部材20により、バー径6mm、線径80μmのワイヤーのバー16を支持し、ウエブ12を走行速度10〜50/分で走行させながらバー16も同速で順回転させ、塗布ヘッド14から塗布液をウエブ1m2当たり5ml(湿潤膜厚5μm)になるように配向膜上に塗布した。
第2ブロック32の傾斜面32Aの傾斜角度αを30°とし、第2ブロック32の水平距離L1を1mmとした。
(実施例2)
第2ブロック32の水平距離L1を3mmとした以外は、実施例1と同様にした。
第2ブロック32の水平距離L1を3mmとした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
第2ブロック32の水平距離L1を5mmとした以外は、実施例1と同様にした。
第2ブロック32の水平距離L1を5mmとした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例4)
第2ブロック32の水平距離L1を10mmとした以外は、実施例1と同様にした。
第2ブロック32の水平距離L1を10mmとした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例5)
第2ブロック32の水平距離L1を15mmとした以外は、実施例1と同様にした。
第2ブロック32の水平距離L1を15mmとした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例6)
第2ブロック32の水平距離L1を20mmとした以外は、実施例1と同様にした。
第2ブロック32の水平距離L1を20mmとした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例1)
第2ブロック32の水平距離L1を25mmとした以外は、実施例1と同様にした。
第2ブロック32の水平距離L1を25mmとした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
第2ブロック32の水平距離L1を0.5mmとした以外は、実施例1と同様にした。
第2ブロック32の水平距離L1を0.5mmとした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例7)
実施例7以降においては図3に示す第2の実施形態のバー塗布装置10が使用される。第2の実施形態に係るバー塗布装置10において、支持部材20により、バー径6mm、線径80μmのワイヤーのバー16を支持し、ウエブ12を走行速度10〜50/分で走行させながらバー16も同速で順回転させ、塗布ヘッド14から塗布液をウエブ1m2当たり5ml(湿潤膜厚5μm)になるように配向膜上に塗布した。
実施例7以降においては図3に示す第2の実施形態のバー塗布装置10が使用される。第2の実施形態に係るバー塗布装置10において、支持部材20により、バー径6mm、線径80μmのワイヤーのバー16を支持し、ウエブ12を走行速度10〜50/分で走行させながらバー16も同速で順回転させ、塗布ヘッド14から塗布液をウエブ1m2当たり5ml(湿潤膜厚5μm)になるように配向膜上に塗布した。
バー塗布装置10は平板40を備えており、平板40は水平距離L1を1mm、平板40の端部と第2ブロック32の頂部との高さ距離L2を3mm、平板40と傾斜面32Aの距離L3を3mm、となるようにウエブ12と第2ブロック32の傾斜面32Aの間に配置される。
(実施例8)
平板40を、距離L1を3mm、距離L2を5mm、距離L3を3mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
平板40を、距離L1を3mm、距離L2を5mm、距離L3を3mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
(実施例9)
平板40を、距離L2を5mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例8と同様にした。
平板40を、距離L2を5mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例8と同様にした。
(実施例10)
平板40を、距離L1を5mm、距離L2を5mm、距離L3を3mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
平板40を、距離L1を5mm、距離L2を5mm、距離L3を3mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
(実施例11)
平板40を、距離L2を5mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例10と同様にした。
平板40を、距離L2を5mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例10と同様にした。
(実施例12)
平板40を、距離L2を5mm、距離L3を10mm、となるよう設置した以外は、実施例10と同様にした。
平板40を、距離L2を5mm、距離L3を10mm、となるよう設置した以外は、実施例10と同様にした。
(実施例13)
平板40を、距離L1を10mm、距離L2を5mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
平板40を、距離L1を10mm、距離L2を5mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
(実施例14)
平板40を、距離L2を10mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例13と同様にした。
平板40を、距離L2を10mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例13と同様にした。
(実施例15)
平板40を、距離L2を15mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例13と同様にした。
平板40を、距離L2を15mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例13と同様にした。
(実施例16)
平板40を、距離L1を15mm、距離L2を10mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
平板40を、距離L1を15mm、距離L2を10mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
(実施例17)
平板40を、距離L2を15mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例16と同様にした。
平板40を、距離L2を15mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例16と同様にした。
(実施例18)
平板40を、距離L2を20mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例16と同様にした。
平板40を、距離L2を20mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例16と同様にした。
(実施例19)
平板40を、距離L1を20mm、距離L2を10mm、距離L3を3mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
平板40を、距離L1を20mm、距離L2を10mm、距離L3を3mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
(実施例20)
平板40を、距離L2を10mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例19と同様にした。
平板40を、距離L2を10mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例19と同様にした。
(実施例21)
平板40を、距離L2を10mm、距離L3を10mm、となるよう設置した以外は、実施例19と同様にした。
平板40を、距離L2を10mm、距離L3を10mm、となるよう設置した以外は、実施例19と同様にした。
(比較例3)
平板40を、距離L1を25mm、距離L2を10mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
平板40を、距離L1を25mm、距離L2を10mm、距離L3を5mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
(比較例4)
平板40を、距離L1を0.5mm、距離L2を1mm、距離L3を0.5mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
平板40を、距離L1を0.5mm、距離L2を1mm、距離L3を0.5mm、となるよう設置した以外は、実施例7と同様にした。
(比較例5)
平板40を設けていない以外は、実施例7と同様とした。
平板40を設けていない以外は、実施例7と同様とした。
(評価方法)
第1の実施形態に係るバー塗布装置10においては、評価項目は、バー16の塗布直後において下流側のウエブ12の塗布面に発生す縦スジ状のムラ、第2ブロック32の傾斜面32Aでの塗布液のカワバリとし、目視により評価した。
第1の実施形態に係るバー塗布装置10においては、評価項目は、バー16の塗布直後において下流側のウエブ12の塗布面に発生す縦スジ状のムラ、第2ブロック32の傾斜面32Aでの塗布液のカワバリとし、目視により評価した。
また、第2の実施形態に係るバー塗布装置10においては、評価項目は、バー16の塗布直後において下流側のウエブ12の塗布面に発生す縦スジ状のムラとし、目視により評価した。
評価レベルは、光学補償フィルムの品質評価において、製造品質レベルを十分に満たす
レベルを○、製造品質を満たすレベルを△、製造品質を満たさず不合格となるレベルを×とした3段階評価を行った。
レベルを○、製造品質を満たすレベルを△、製造品質を満たさず不合格となるレベルを×とした3段階評価を行った。
実施例1〜6及び比較例1、2の結果を表1に示す。また、実施例7〜21及び比較例3〜5の結果を表2に示す。
表1及び表2に示すように、ウエブ12の塗布面と対向する第2ブロック32の傾斜面32Aの塗布残液の流下する区間の水平距離L1を1mm〜20mmの範囲を満たす実施例1〜21では、いずれも縦スジ状のムラはほとんどなかった。これに対して、水平距離L1が1mm〜20mmの範囲を超える比較例1〜5では、縦スジ状のムラが多く発生した。
また、第2の実施形態のバー塗布装置においては表2に示すように、平板40の端部と第2ブロック32の頂点との距離L2を5mm〜20mm、平板40と傾斜面32Aとの距離を1mm〜10mmとすることで、さらに縦スジ状のムラを防止できることが理解できる。
以上から、本発明を適用することで、塗布直後の塗布面に縦スジ状のムラが生じるのを抑制できることが確認できた。
10・・・バー塗布装置、12・・・ウエブ、14・・・塗布ヘッド、16・・・バー、18・・・ガイドローラ、20・・・支持部材、22・・・第1ブロック、24・・・スリット、26・・・堰部、30・・・液溜部、32・・・第2ブロック、32A・・・傾斜面、34・・・スリット、36・・・回収部、38・・・排出口、40・・・平板、44・・・排気装置
Claims (8)
- 走行する帯状体に塗布液を塗布するバーと、
前記バーの下側に設けられ、該バーを回転自在に支持する支持部材と、
前記支持部材に対し、前記帯状体の走行方向の上流側に設けられ、該支持部材との間に塗布液を供給するスリットを形成する第1ブロックと、
前記支持部材に対し、前記帯状体の走行方向の下流側に設けられ、該支持部材との間に塗布液を供給するスリットを形成し、未塗布の塗布残液を流下させる傾斜面を備えた第2ブロックと、を備え、
帯状体と対向する前記第2ブロックの傾斜面の水平距離が1mm〜20mmであることを特徴とするバー塗布装置。 - 前記第2ブロックの傾斜面の水平距離が1mm〜20mmである請求項1記載のバー塗布装置。
- 前記第2ブロックの傾斜面から所定の距離だけ離れ、該傾斜面に対向する位置に配置された平板を有する請求項1記載のバー塗布装置。
- 前記第2ブロックに対し、前記帯状体の走行方向の下流側に配置された、塗布残液の回収部を有し、前記平板が前記回収部を覆う請求項3記載のバー塗布装置。
- 前記平板と前記回収部との間に塗布残液からの揮発ガスを排出するための排出口を設けた請求項4記載のバー塗布装置。
- 前記排出口に、さらに排気装置が接続されている請求項5記載のバー塗布装置。
- 請求項1〜6の何れか記載のバー塗布装置を使用して、走行する帯状体に塗布液を塗布する塗布方法。
- 帯状体に形成された配向膜にラビング処理する工程と、
前記ラビング処理された配向膜上に請求項1〜6の何れか記載のバー塗布装置を使用して液晶ディスコティック化合物を含有する塗布液を塗布する工程と、
塗布された前記塗布液を乾燥することにより光学異方性層を形成する工程と、を備えた光学フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008092073A JP2009240964A (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | バー塗布装置、塗布方法、及び光学フィルムの製造方法 |
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JP2008092073A Pending JP2009240964A (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | バー塗布装置、塗布方法、及び光学フィルムの製造方法 |
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JP (1) | JP2009240964A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2314840A1 (en) | 2009-10-20 | 2011-04-27 | Nakagawa Sangyo Co., Ltd. | Heat insulator for a vehicle exhaust pipe, vehicle pipe and methods for manufacturing the same |
-
2008
- 2008-03-31 JP JP2008092073A patent/JP2009240964A/ja active Pending
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EP2314840A1 (en) | 2009-10-20 | 2011-04-27 | Nakagawa Sangyo Co., Ltd. | Heat insulator for a vehicle exhaust pipe, vehicle pipe and methods for manufacturing the same |
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