JP2009240917A - 透過膜の阻止率向上方法および透過膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
前段の透過膜モジュールの濃縮水が後段の透過膜モジュールの給水となるように複数段に配置された透過膜装置において阻止率を向上する方法において、透過膜装置への給水に阻止率向上剤を添加する従来の方法では、阻止率向上剤が透過膜などに吸着されるため、後段透過膜モジュールへの給水中の阻止率向上剤濃度が低下する。その結果、最前段と最後段に配置された透過膜モジュールでは阻止率向上処理に違いが生じ、全てのモジュールに均等な阻止率向上処理を施すことが困難であった。
【解決手段】
前段の透過膜モジュールの濃縮水が後段の透過膜モジュールの給水となるように複数段に配置された透過膜装置の透過膜の阻止率を向上させる方法において、各段の透過膜モジュールの給水に阻止率向上剤を添加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、逆浸透膜、ナノ濾過膜等の透過膜の阻止率を向上させる方法とこれに適した透過膜装置に関するもので、特に、前段の透過膜モジュールの濃縮水が後段の透過膜モジュールの給水となるように複数段に配置された透過膜装置の透過膜の阻止率を向上させる方法とこれに適した透過膜装置に関する。
水処理に用いられる透過膜、特にナノろ過膜、逆浸透膜などの選択性透過膜の無機電解質や水溶性有機物等の分離対象物に対する阻止率は、水中に存在する酸化性物質や還元性物質などの影響、その他の原因による素材高分子の劣化によって低下し、必要とされる処理水質が得られなくなる。この変化は、長期間使用しているうちに少しずつ起こることもあり、また事故によって突発的に起こることもある。このような阻止率が低下した透過膜の阻止率を向上させ、性能を回復するために、阻止率向上剤が用いられている。
一般に高純度の純水を製造するための超純水製造システムには、逆浸透膜処理装置と、この逆浸透膜処理装置の透過水を高度処理する電気再生式脱イオン装置または他のイオン交換装置とが組み込まれている。一方、近年の半導体回路形成技術の進歩により、線幅65nm以下の回路を作成することが可能となってきている。それに伴い超純水に対する要求水質も高まっており、後段処理の負荷を軽減し、より高いレベルでの純水製造を実現する純水製造装置および純水製造方法の開発が望まれている。
このような超純水製造システムにおいても、逆浸透膜を阻止率向上剤で処理することが提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1は未公開であるが、重量平均分子量2000〜6000のポリアルキレングルコール、またはそれにアニオン性の官能基を導入したイオン性高分子を含有する阻止率向上剤が示されている。
特許文献2には、水軟化用膜の製造法において、ポリアミド膜の阻止率を向上させるための阻止率向上剤として、加水分解性タンニン酸、スチレン/マレアミド酸コポリマー、C5乃至C7ヒドロキシアルキルメタクリレートポリマー、コポリマーまたはターポリマー、複数個のスルホニウムもしくは第4級アンモニウム基を有する第1のポリマーと複数個のカルボキシレート基を有する第2のポリマーから製造したコアセルベート、任意の他の置換基をもつ枝分れしたポリアミドアミン類、酢酸ビニルコポリマー、ヒドロキシエチル・メタクリレートとメタクリル酸またはメタクリルアミド(任意に他の混和性モノマーを含む)とのコポリマー、スチレン/マレアミド酸コポリマーなどが示されている。
また特許文献3には、水処理に用いられる透過膜の阻止率を向上させるための阻止率向上剤として、重量平均分子量10万以上のイオン性高分子を含有する阻止率向上剤が示されている。このようなイオン性高分子としては、ポリビニルアミジンまたはその誘導体、複素環を有するカチオン性高分子等のカチオン性高分子、ならびにポリアクリル酸またはその誘導体、ポリスチレンスルホン酸またはその誘導体等のアニオン性高分子が示されている。
従来の透過膜の阻止率向上による処理は、透過膜を取り付けた状態で、モジュールの1次側すなわち給水側に上記の阻止率向上剤を供給することにより、モジュールから透過膜を取り外すことなく阻止率を向上させている。そして、前段の透過膜モジュールの濃縮水を後段の透過膜モジュールの給水となるよう複数段に配置されている場合でも、阻止率向上剤を、第1段の各モジュールの1次側に供給することにより、全体のモジュールの阻止率を向上させている。
一方、超純水製造装置や排水回収装置などに使用されている逆浸透膜は水回収率を向上させるため、前段の膜モジュールの濃縮水を後段の膜モジュールの給水となるよう膜モジュールを複数段に配置することが一般的である。しかしながらこのようにモジュールが複数段に配置されている場合には、前段に配置されているモジュールの透過膜に阻止率向上剤が吸着するため、後段のモジュールでは給水中の阻止率向上剤の濃度が低下し、その結果、最前段と最後段に配置された膜モジュールでは阻止率向上処理に違いが生じ、全てのモジュールに均等に阻止率向上処理を施すことは困難であった。
特願2006−218471号明細書 特許2762358号公報 特開2006−110520号公報
本発明は、上記従来技術が有する課題を解決し、多段に透過膜モジュールが配置された透過膜装置であっても、全段に亘って均一に阻止率向上処理が可能な阻止率向上処理方法およびこれに適した透過膜濾過装置を提供することである。
本発明は次の透過膜の阻止率向上方法および透過膜装置である。
(1) 前段の透過膜モジュールの濃縮水が後段の透過膜モジュールの給水となるように複数段に配置された透過膜装置の透過膜の阻止率を向上させる方法において、各段の透過膜モジュールの給水に阻止率向上剤を添加することを特徴とする透過膜の阻止率向上方法。
(2) 各段の透過膜モジュールの給水中の阻止率向上剤の濃度が略均一となるように各段の給水に阻止率向上剤を添加することを特徴とする上記(1)記載の透過膜の阻止率向上方法。
(3) 前段の透過膜モジュールの濃縮水が後段の透過膜モジュールの給水となるように複数段に配置された透過膜装置において、各段の透過膜モジュールの給水に阻止率向上剤を添加する手段を設けたことを特徴とする透過膜装置。
(4) 各段の給水中の阻止率向上剤の濃度を測定するための手段を設けたことを特徴とする上記(3)記載の透過膜装置。
本発明において阻止率向上処理の対象となる透過膜は、1次側に被処理液を通液して透過させ、2次側から透過液を取り出し膜分離を行う透過膜であるが、特に逆浸透膜、ナノ濾過膜等の無機電解質や水溶性有機物等を水から分離する選択性透過膜が対象として適している。このような透過膜は支持材に取り付けてモジュールとして膜分離装置に装備され、膜分離に供されるが、本発明における阻止率向上処理はこのような膜分離装置に装備された状態のモジュールに対して行われる。このような阻止率向上処理の対象となる透過膜は、未使用の透過膜でも、使用により性能が低下した透過膜でもよく、いずれの場合も薬品洗浄を行ったものでもよい。
本発明における阻止率向上処理剤は、阻止率向上処理により透過膜の溶解性物質の阻止率が向上するものであれば特に制限されることなく使用可能である。このような阻止率向上剤としては、公知のものが使用でき、前記特許文献1〜3に記載のもの、ならびに他の阻止率向上能を有するものが使用できる。好ましい阻止率向上剤としては、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミンなどの水溶性高分子やタンニン酸などのポリフェノール、特許文献2に記載のイオン性高分子(ポリアミジン、ポリスチレンスルホン酸)、特許文献3に記載のポリエチレングリコール鎖を有する化合物などがあげられる。
特に、本発明の阻止率向上処理方法および透過膜装置は、ポリエチレングリコール鎖を有する化合物を阻止率向上剤とした場合に好適に用いることができる。これは、ポリエチレングリコール鎖を有する化合物は透過膜表面に吸着しやすい傾向にあり、多段処理の場合、前段と後段の処理に差ができる。
ポリアルキレングリコール鎖は、アルキレングリコールの脱水重縮合により生成したと考えられる構造を有するが、実際にはアルキレンオキシドのアルカリによるアニオン重合又はプロトン開始によるカチオン重合により製造することができる。本発明に用いる化合物が有するポリアルキレングリコール鎖としては、例えば、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖、ポリトリメチレングリコール鎖、ポリテトラメチレングリコール鎖などを挙げることができる。これらのグリコール鎖は、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフランなどの開環重合により形成することができる。
ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられるが、このかぎりではない。
これらポリアルキレングリコール鎖を有する化合物は1種類で用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。また、混合して一液として用いてもよいし、それぞれ別々に用意し、用いてもよい。実用上の観点からは一液とする方が好ましい。
なお、阻止率向上剤として用いるポリアルキレングリコール鎖を有する化合物の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、好ましくは1,000〜10,000、より好ましくは2,000〜6,000でより一層好ましくは3,000〜5,000である。ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物の重量平均分子量が小さすぎ、特に1,000未満であると、ナノろ過膜又は逆浸透膜の阻止率が十分に向上せず、処理後の阻止率向上剤の定着性も低くなるおそれがある。ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物の重量平均分子量が大きすぎ、特に10,000を超えると、ナノろ過膜又は逆浸透膜の透過流束が大きく低下するおそれがある。なお、本発明において重量平均分子量は、高分子やポリアルキレングリコール鎖を有する化合物などの化合物の水溶液をゲル浸透クロマトグラフィーにより分析し、得られたクロマトグラムからポリエチレンオキシド標準品の分子量に換算することにより求める。ポリエチレンオキシド標準品が入手し得ない高分子量の領域においては、光散乱法、超遠心法などにより重量平均分子量を求めることができる。
本発明における阻止率向上処理は、処理対象の透過膜モジュールに阻止率向上剤を溶解した阻止率向上剤溶液を供給して阻止率を向上させる。この場合、透過膜を取り付けたモジュールの1次側に阻止率向上剤溶液を供給し、阻止率向上剤を透過膜に付着させ、透過膜の阻止率を向上させる。透過膜への吸着性の高い阻止率向上剤を用いる場合は、阻止率向上剤溶液を透過膜モジュールに供給して透過膜と接触させた状態を保ち、あるいは低圧で流動させて吸着させることができるが、一般的には阻止率向上剤溶液を高圧で供給して透過膜を透過させ、2次側から透過液を取り出すことにより、透過膜の内部まで阻止率向上剤を付着させるのが好ましい。
この場合、処理対象の透過膜モジュールの1次側入口の阻止率向上剤溶液供給時の操作圧力は、処理対象モジュールの通常使用時の圧力によって異なり、通常使用時の圧力がおよそ0.75MPaである場合には、1次側入口の阻止率向上剤溶液供給時の操作圧力は0.2MPa以上、好ましくは0.2〜1MPaとすることができ、処理対象の透過膜モジュールの通常使用時の圧力がおよそ1.5MPaの場合には、1次側入口の阻止率向上剤溶液供給時の操作圧力は0.2MPa以上、好ましくは0.2〜2MPaとすることができる。そして2次側出口の透過水量/阻止率向上剤溶液の供給量が0.2から0.8とすることができる。
本発明では、前段の透過膜モジュールの濃縮水が後段の透過膜モジュールの給水となるに複数段に配置された透過膜装置の透過膜の阻止率を向上させるものであり、阻止率向上処理において、各段の透過膜モジュールに供給される阻止率向上剤溶液の濃度が略均一となるよう各段の透過膜モジュールへの給水に阻止率向上剤を添加することが好ましい。
この時の各段の透過膜モジュールに供給される阻止率向上剤溶液の濃度は、一般的には0.01〜50mg/L程度である。この阻止率向上剤溶液の濃度は、阻止率向上剤として用いる化合物の種類や分子量によって異なり、例えば、前述の重量平均分子量1,000〜10,000のポリアルキレングリコール鎖を有する化合物の場合は0.01〜20mg/Lが好ましい。濃度がこれより低いと阻止率向上処理に長時間を要するおそれがある。また、濃度が20mg/Lを超えると、水溶液の粘度が高くなり、透過膜モジュールへの通水抵抗が大きくなるおそれがある。さらに、濃度が20mg/Lを超える場合には、不必要に厚いコーティング層(吸着層)が形成されて透過膜の透過流束を大きく低下させるおそれがある。
阻止率向上剤溶液の濃度(各段の透過膜モジュールの給水中の阻止率向上剤の濃度)を管理するためには、水処理薬品の公知の管理方法を応用することが可能である。例えば、上述した阻止率向上剤は全て有機物を主成分とするものであるが、このような有機部物を主成分とする阻止率向上剤では、阻止率向上剤溶液の濃度は、TOC計などによって有機物濃度を測定することで管理することが可能である。
阻止率向上剤は、複数のものを組合わせて用いることができ、この場合混合して通液してもよく、また別々に時間をずらせて通液することもできる。阻止率向上剤には、食塩等の電解質やイソプロパノール等の低分子有機物などの標識として検出可能な標識物質を含み、阻止率の程度を検出できるようにすることができる。標識物質の濃度は阻止率の程度を検出できる程度の濃度とすることができる。
本発明によれば、前段の透過膜モジュールの濃縮水が後段の透過膜モジュールの給水となるように複数段に配置された透過膜装置の透過膜の阻止率を向上させる方法において、各段の透過膜モジュールの給水に阻止率向上剤を添加することにより、多段に透過膜モジュールが配置された透過膜装置であっても、全段に亘り、透過膜モジュールの均一な阻止率向上処理が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
図1は本発明の実施の形態による透過膜装置を示すフロー図であり、1a、1b・・・1nは第1段1のモジュール、2a、2b・・・2nは第2段2のモジュール、3a、3b・・・3nは第3段3のモジュールであり、それぞれ透過膜4により1次側の濃縮液室5と、2次側の透過液室6に区画されている。これらのモジュールは第1段1から第3段3の複数段に段階的に配置され、各段では複数のモジュールが並列に配置されている。各モジュールには1次側の濃縮液室5に被処理液供給路7が分岐して連絡し、2次側の透過液室6から透過液取出路8が集合して系外に連絡し、第1段1および第2段2の濃縮液室5から連絡路9、10がマニホールド11、12によって収斂し、その後さらに分岐して第2段2および第3段3の濃縮液室5に連絡し、第3段3の濃縮液室5から濃縮液取出路13が集合して系外に連絡している。被処理液供給路7およびマニホールド11、12には阻止率向上剤槽14からポンプ15を介して阻止率向上剤供給路16、17、18が連絡している。なお、阻止率向上剤供給路16、17、18にはそれぞれバルブV1、V2、V3が設けられている。
図1では第1段1のモジュール1a、1b・・・1nの1次側の濃縮液室5へ被処理液供給路7から被処理液(原水)を供給し、第1段1および第2段2の濃縮液室5から連絡路9、10およびマニホールド11、12を通して濃縮液を第2段2および第3段3の濃縮液室5に供給し、第3段3の濃縮液室5から濃縮液取出路13を通して濃縮液を排出し、各モジュールの透過液は2次側の透過液室6から透過液取出路8を通して取出すことにより透過膜処理(水処理)を行う。
透過膜の阻止率向上処理を行う場合は、被処理液供給路7から純水を供給するとともに、阻止率向上剤槽14からポンプ15により阻止率向上剤供給路16、17、18を通して阻止率向上剤を被処理液供給路7、マニホールド11、12へ供給する。その結果、第1段1、第2段2および第3段3の濃縮液室5から連絡路9とマニホールド11、連絡10とマニホールド12を通して濃縮液が第2段2および第3段3の濃縮液室5に供給され、第3段3の濃縮液室5から濃縮液取出路13を通して濃縮液が排出される。各モジュールの透過液は2次側の透過液室6から透過液取出路8を通して取出す。これにより各段に配置されたモジュールの透過膜4は、それぞれの段毎に阻止率向上剤が供給されて阻止率向上処理を受け、阻止率が前段に亘って均一に向上する。
このとき、各段の透過膜モジュールの少なくとも一つの透過膜モジュール、例えば透過膜モジュール1a、2a、3aの給水入口付近の給水中のTOCを測定できるようにして、このTOCの測定値に基づき各段の透過膜モジュールに供給される給水中の阻止率向上剤の濃度が略均一となるようバルブV1、V2、V3の開度を調整するようにすることが好ましい。
本実施の態様は上記の構成に特に限定されるものでなく、例えば、図1では阻止率向上剤はマニホールドに供給するようになっているが、マニホールドから後段の透過膜モジュールに分岐する配管毎に阻止率向上剤を添加するようにして、最前段に配置された膜モジュール以外については各透過膜モジュールのそれぞれの給水毎に阻止率向上剤を供給するようにしてもよい。また、図1では阻止率向上剤を添加するためのポンプは一つであるが、各段毎にポンプを設けても良い。このように各透過膜モジュールのそれぞれの給水毎に阻止率向上剤を添加するようにしたり、各段毎にポンプを設けたりすることにより、より均一な阻止率向上処理が可能となるが、一方で装置構成が複雑になるという問題がある。
また、上述の実施態様のように、透過膜装置全体の阻止率向上処理を一度に行ってもよいが、バルブV1のみ開、バルブV2とV3は閉として第1段1の透過膜モジュールの阻止率向上処理を行い、次にバルブV2のみ開として、バルブV1とV3は閉として第2段2の透過膜モジュールの阻止率向上処理を行うというように、各段毎に阻止率向上処理を行うようにしてもよい。この場合にはNaClなどのトレーサーを併用してNaClの阻止率を測定することで阻止率向上の終点を管理しながら実施することで各段毎の阻止率向上処理を均一に実施することが可能となる。
[実施例1]
第1段目が7つのモジュール、第2段目が5つのモジュール、第3段目が3つのモジュールで構成された透過膜装置に日東電工製8インチ超低圧芳香族ポリアミド系逆浸透膜ES20の新品膜エレメントを1モジュールあたり4本装填した。第1段目の給水圧力を0.6MPaとし、給水量50m3/h、第1段目の1モジュールあたりの給水量を10m3/hとして通水を行った。阻止率向上処理は透過水、濃縮水をすべて回収して給水とする全量循環運転を行いながら、各段毎に給水に阻止率向上剤を添加した。阻止率向上剤としては重量平均分子量3000のポリエチレングリコール1重量%水溶液を用い、添加濃度は各段での給水水量に対して2mg/Lになるように添加した。2時間循環通水後、ポリマー溶液を廃棄し、純水でフラッシングを行い、処理を終了した。
処理後の逆浸透膜エレメントを第1段目と第3段目でそれぞれ一本ずつ抜き出し、イソプロパノール(IPA)除去率、フラックスを確認した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様の装置を用い、給水ポンプの直後で給水水量に対して2mg/Lになるように重量平均分子量3000のポリエチレングリコール1重量%水溶液を添加し、2時間の全循環通水処理を行った。通水処理後、ポリマー溶液を廃棄し、純水フラッシングを行い、処理を終了した。実施例1と同様、処理後の逆浸透膜エレメントを第1段目と第3段目でそれぞれ一本ずつ抜き出し、IPA除去率、フラックスを確認した。結果を表1に示す。
表1に示す通り、実施例1の方が第1段目から抜き出した逆浸透膜エレメントと第3段目から抜き出した逆浸透膜エレメントの性能差が小さく、全体として均一処理が可能であることがわかる。
Figure 2009240917
本発明は、電子デバイス製造分野、半導体製造分野、その他の各種産業分野で排出される高濃度ないし低濃度TOC含有排水の回収・再利用のための水処理に有効に適用される。
本発明の一実施形態による透過膜装置を示すフロー図である。
符号の説明
1 第1段
1a、1b・・、2a、2b・・、3a、3b・・モジュール
2 第2段
3 第3段
4 透過膜
5 濃縮液室
6 透過液室
7 被処理液供給路
8 透過液取出路
9、10 連絡路
11、12 マニホールド
13 濃縮液取出路
14 阻止率向上剤槽
15 ポンプ
16、17、18 阻止率向上剤供給路
V1、V2、V3 バルブ

Claims (4)

  1. 前段の透過膜モジュールの濃縮水が後段の透過膜モジュールの給水となるように複数段に配置された透過膜装置の透過膜の阻止率を向上させる方法において、各段の透過膜モジュールの給水に阻止率向上剤を添加することを特徴とする透過膜の阻止率向上方法。
  2. 各段の透過膜モジュールの給水中の阻止率向上剤の濃度が略均一となるように各段の給水に阻止率向上剤を添加することを特徴とする請求項1に記載の透過膜の阻止率向上方法。
  3. 前段の透過膜モジュールの濃縮水が後段の透過膜モジュールの給水となるように複数段に配置された透過膜装置において、各段の透過膜モジュールの給水に阻止率向上剤を添加する手段を設けたことを特徴とする透過膜装置。
  4. 各段の給水中の阻止率向上剤の濃度を測定するための手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の透過膜装置。
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