以下に、図面を参照して、本発明に係るインクジェットヘッド、塗布装置および塗布方法、ならびに放射線検出器の製造方法の好適な実施形態を説明する。
本実施形態の放射線検出器は、X線撮影装置等に使用されるものであり、放射線の照射を受けることにより導電性を呈する光導電層を含む静電記録部を備えてなり、画像情報を担持する放射線の照射を受けて画像情報を記録し、記録した画像情報を表す画像信号を出力するものである。
放射線検出器としては、光の照射により電荷を発生する半導体材料を利用して読み取る、いわゆる光読取方式の放射線検出基板500と、放射線の照射により発生した電荷を蓄積し、その蓄積した電荷を薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などの電気的スイッチを1画素ずつオン・オフすることにより読み取る方式(以下、TFT方式という)の放射線検出器400等がある。
(TFT方式の放射線検出器400の構成)
まず、TFT方式の放射線検出器400の構成について説明する。図1(A)は、TFT方式の放射線検出器400の全体構成を示す概略図である。図2は、TFT方式の放射線検出器400の要部構成を示すものであり、ガラス基板上に積層された各部を示す図である。
本実施形態に係るTFT方式の放射線検出器400は、図1(A)及び図2に示すように、画像情報を担持した放射線の一例としてのX線が入射されることにより電荷を生成する電荷変換層として、電磁波導電性を示す光導電層404を備えている。光導電層404としては、暗抵抗が高く、X線照射に対して良好な電磁波導電性を示し、真空蒸着法により低温で大面積成膜が可能な非晶質(アモルファス)材料が好まれる。
非晶質(アモルファス)材料としては、例えば、アモルファスSe(a−Se)膜が用いられている。また、アモルファスSeにAs、Sb、Geをドープした材料が、熱安定性に優れ、光導電層404の好適な材料となる。
光導電層404上には、画像情報を担持した放射線が透過する第1電極として、光導電層404へバイアス電圧を印加するバイアス電極401が形成されている。バイアス電極401は、例えば、金(Au)で形成されている。このバイアス電極401を透過した放射線が光導電層404に照射される。
光導電層404に対してバイアス電極401が設けられている側とは反対側、すなわち光導電層404下には、光導電層404が生成した電荷を収集する第2電極として、複数の電荷収集電極407aが形成されている。電荷収集電極407aは、図2に示すように、それぞれ電荷蓄積容量407c及びスイッチ素子407bに接続されている。また、電荷収集電極407aは、ガラス基板408に設けられている。
また、図1(A)及び図2に示すように、光導電層404とバイアス電極401との間には、有機高分子層として、正孔ブロック材料を有する正孔注入阻止層402が設けられている。ここで、有機高分子層は、電荷選択性を有する電荷注入阻止層を兼ねるものであっても良い。電荷注入阻止層が電荷選択性を有するとは、電荷注入阻止層がその接するバイアス電極401から流れ出る電荷(バイアス電極401が正バイアスであれば正孔、負バイアスであれば電子)については阻止し、バイアス電極401に流れ込む電荷については通す性質を有することをいう。
すなわち、電荷注入阻止層として、電子に対しては導電体でありながら正孔の注入を阻止する正孔注入阻止層や、正孔に対しては導電体でありながら電子の注入を阻止する電子注入阻止層が用いられる。本実施形態では、バイアス電極401が正極であるため、有機高分子層として、正孔注入阻止層402が設けられている。
正孔注入阻止層402としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリシクロオレフィン等の絶縁性高分子に、正孔ブロック材料を混合した膜を好ましく用いることが出来る。
正孔注入阻止層402に含有される正孔ブロック材料のうち少なくとも一種が、カーボンクラスター又はその誘導体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。さらにカーボンクラスターが、フラーレンC60、フラーレンC70、酸化フラーレン又はそれらの誘導体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、光導電層404と電荷収集電極407aとの間には、図2に示すように、電子注入阻止層406が設けられている。
また、正孔注入阻止層402と光導電層404との間と、電子注入阻止層406と光導電層404との間とには、それぞれ結晶化防止層403、405が設けられている。結晶化防止層403、405としてはGeSe、GeSe2、Sb2Se3、a−As2Se3や、Se−As、Se−Ge、Se−Sb系化合物等を用いることが可能である。
なお、電荷収集電極407aとスイッチ素子407bと電荷蓄積容量407cとからアクティブマトリックス層407が構成され、ガラス基板408とアクティブマトリックス層407とからアクティブマトリックス基板450が構成されている。
図3は、放射線検出器400の1画素単位の構造を示す断面図であり、図4は、その平面図である。図3及び図4に示す1画素のサイズは、0.1mm×0.1mm〜0.3mm×0.3mm程度であり、放射線検出器全体としてはこの画素がマトリクス状に500×500〜3000×3000画素程度配列されている。
図3に示すように、アクティブマトリックス基板450は、ガラス基板408、ゲート電極411、電荷蓄積容量電極(以下、Cs電極と称する)418、ゲート絶縁膜413、ドレイン電極412、チャネル層415、コンタクト電極416、ソース電極410、絶縁保護膜417、層間絶縁膜420、及び電荷収集電極407aを有している。
また、ゲート電極411やゲート絶縁膜413、ソース電極410、ドレイン電極412、チャネル層415、コンタクト電極416等により薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)からなるスイッチ素子407bが構成されており、Cs電極418やゲート絶縁膜413、ドレイン電極412等により電荷蓄積容量407cが構成されている。
ガラス基板408は支持基板であり、ガラス基板408としては、例えば、無アルカリガラス基板(例えば、コーニング社製#1737等)を用いることができる。ゲート電極411及びソース電極410は、図4に示すように、格子状に配列された電極配線であり、その交点には薄膜トランジスタからなるスイッチ素子407bが形成されている。
スイッチ素子407bのソース・ドレインは、それぞれ、ソース電極410とドレイン電極412とに接続されている。ソース電極410は、信号線としての直線部分と、スイッチ素子407bを構成するための延長部分とを備えており、ドレイン電極412は、スイッチ素子407bと電荷蓄積容量407cとをつなぐように設けられている。
ソース電極410には、画像情報を取得するために、電荷収集電極407aで収集した電荷を外部へ取り出す取出電極470が接続されている。取出電極470は、ガラス基板408に設けられると共に、光導電層404の外側に配置されている。
ゲート絶縁膜413は、SiNxやSiOx等からなっている。ゲート絶縁膜413は、ゲート電極411及びCs電極418を覆うように設けられており、ゲート電極411上に位置する部位がスイッチ素子407bにおけるゲート絶縁膜として作用し、Cs電極418上に位置する部位は電荷蓄積容量407cにおける誘電体層として作用する。つまり、電荷蓄積容量407cは、ゲート電極411と同一層に形成されたCs電極418とドレイン電極412との重畳領域によって形成されている。なお、ゲート絶縁膜413としては、SiNxやSiOxに限らず、ゲート電極411及びCs電極418を陽極酸化した陽極酸化膜を併用することもできる。
また、チャネル層(i層)415はスイッチ素子407bのチャネル部であり、ソース電極410とドレイン電極412とを結ぶ電流の通路である。コンタクト電極(n+層)416はソース電極410とドレイン電極412とのコンタクトを図る。
絶縁保護膜417は、ソース電極410及びドレイン電極412上、つまり、ガラス基板408上に、ほぼ全面(ほぼ全領域)にわたって形成されている。これにより、ドレイン電極412とソース電極410とを保護すると共に、電気的な絶縁分離を図っている。また、絶縁保護膜417は、その所定位置、つまり、ドレイン電極412においてCs電極418と対向している部分上に位置する部位に、コンタクトホール421を有している。
電荷収集電極407aは、非晶質透明導電酸化膜からなっている。電荷収集電極407aは、コンタクトホール421を埋めるようにして形成されており、ソース電極410上及びドレイン電極412上に積層されている。電荷収集電極407aと光導電層404とは電気的に導通しており、光導電層404で発生した電荷を電荷収集電極407aで収集できるようになっている。
続いて、電荷収集電極407aについて詳細に説明する。本実施形態で用いる電荷収集電極407aは、非晶質透明導電酸化膜によって構成されている。非晶質透明導電酸化膜材料としては、インジウムと錫との酸化物(ITO:Indium−Tin−Oxide)や、インジウムと亜鉛との酸化物(IZO:Indium−Zinc−Oxide)、インジウムとゲルマニウムとの酸化物(IGO:Indium−Germanium−Oxide)等を基本組成とするものを使用することができる。
また、電荷収集電極407aとしては、各種の金属膜や導電酸化膜が使用されているが、下記の理由により、ITO(Indium−Tin−Oxide)等の透明導電酸化膜が用いられることが多い。放射線検出器400において入射X線量が多い場合、不要な電荷が半導体膜中(あるいは半導体膜と隣接する層との界面付近)に捕獲されることがある。
このような残留電荷は、長時間メモリされたり、時間をかけつつ移動したりするので、以降の画像検出時にX線検出特性が劣化したり、残像(虚像)が現れたりして問題になる。そこで、特開平9−9153号公報(対応米国特許第5563421号)には、光導電層404に残留電荷が発生した場合に、光導電層404の外側から光を照射することで、残留電荷を励起させて取り除く方法が開示されている。この場合、光導電層404の下側(電荷収集電極407a側)から効率よく光を照射するためには、電荷収集電極407aが照射光に対して透明である必要がある。
また、電荷収集電極407aの面積充填率(フィルファクター)を大きくする目的、またはスイッチ素子407bをシールドする目的で、スイッチ素子407bを覆うように電荷収集電極407aを形成することが望まれるが、電荷収集電極407aが不透明であると、電荷収集電極407aの形成後にスイッチ素子407bを観察することができない。
例えば、電荷収集電極407aを形成後、スイッチ素子407bの特性検査を行う場合、スイッチ素子407bが不透明な電荷収集電極407aで覆われていると、スイッチ素子407bの特性不良が見つかった際、その原因を解明するために光学顕微鏡等で観察することができない。従って、電荷収集電極407aの形成後もスイッチ素子407bを容易に観察することができるように、電荷収集電極407aは透明であることが望ましい。
層間絶縁膜420は、感光性を有するアクリル樹脂からなり、スイッチ素子407bの電気的な絶縁分離を図っている。層間絶縁膜420には、コンタクトホール421が貫通しており、電荷収集電極407aはドレイン電極412に接続されている。コンタクトホール421は、図3に示すように逆テーパ形状で形成されている。バイアス電極401とCs電極418との間には、図示しない高圧電源が接続されている。
次に、光導電層404を被覆する構成について説明する。図1(A)に示すように、バイアス電極401の上方には、バイアス電極401を覆うカバー部材の一例としてのカバーガラス440が設けられている。
ガラス基板408には、カバーガラス440が接合される保護部材442が設けられている。保護部材442は、光導電層404の周囲を囲んでおり、全体として上部及び下部が開放された箱状に形成されている。
また、保護部材442は、ガラス基板408の外周部上に立設された側壁442aと、側壁442aの上部からガラス基板408中央部の上方側へ張り出すフランジ部442bとを有しており、断面L字状に形成されている。
カバーガラス440は、その外周部の上面がフランジ部442b下面(内壁)に接合されており、保護部材442により支持されている。
この保護部材442とカバーガラス440との接合部分は、光導電層404の外側に配置されている。すなわち、光導電層404の上方ではなく、ガラス基板408上の光導電層404の無い領域で、保護部材442とカバーガラス440とが接合されている。
なお、保護部材442には、絶縁性を有する絶縁性部材が用いられている。絶縁性部材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(アクリル)、ポリ塩化ビニールが用いられる。
また、保護部材442は、下部開放がガラス基板408で閉鎖されると共に上部開放がカバーガラス440で閉鎖されており、保護部材442内に所定の大きさの閉鎖空間が形成される。この閉鎖空間に光導電層404が収容されて、光導電層404がカバーガラス440、ガラス基板408及び保護部材442で被覆される。
また、カバーガラス440と保護部材442とガラス基板408とに囲まれた空間には、充填部材としての硬化性樹脂444が充填されている。硬化性樹脂444としては、例えば、エポキシ、シリコン等の常温硬化性樹脂が用いられる。
(正孔注入阻止層402の形成範囲)
ここで、正孔注入阻止層402の形成範囲について説明する。有機高分子層としての正孔注入阻止層402は、その外縁部、すなわち他の層との境界となる周端が所定位置に位置することで、正孔注入阻止層402が所定範囲に形成され、その所定範囲を覆う構成となっている。
本実施形態では、正孔注入阻止層402の外縁部は、画像情報を担持した放射線が照射された領域のうち、画像情報が取得される画像情報取得領域Gの領域端G1と取出電極470との間に位置するように構成されている。なお、図1(A)の矢印Aで示す範囲が、画像情報取得領域Gの領域端G1と取出電極470との間の範囲である。
また、好ましくは、本実施形態に係る正孔注入阻止層402の外縁部が、画像情報取得領域Gの外側であって、光導電層404の平坦部平均膜厚の10%以上の膜厚を有する領域内に位置するように構成される。光導電層404の平坦部平均膜厚は、光導電層404の画像情報取得領域Gの領域内の任意の9点の膜厚を測定し、その9点の膜厚の平均したものである。膜厚は、断面を100倍の倍率で顕微鏡観察を行い測定した。
なお、図1(A)の矢印Bで示す範囲が、画像情報取得領域Gの外側であって、光導電層404の平坦部平均膜厚の10%以上の膜厚を有する領域内の範囲である。
さらに好ましくは、本実施形態に係る正孔注入阻止層402の外縁部が、バイアス電極401の外側であって、光導電層404の平坦部平均膜厚の10%以上の膜厚を有する領域内に位置するように構成される。
なお、図1(A)の矢印Cで示す範囲が、バイアス電極401の外側であって、光導電層404の平坦部平均膜厚の10%以上の膜厚を有する領域内の範囲である。
さらに好ましくは、正孔注入阻止層402の外縁部が、バイアス電極401の外側であって、光導電層404の端部斜面の勾配が50%以下の領域内に位置するように構成される。
正孔注入阻止層402の外縁部は、光導電層404の平坦部から外縁に向けて徐々に勾配がきつくなる端部斜面において、その勾配が50%以下の領域内、すなわち勾配が50%よりも勾配が緩やかな範囲に位置する。勾配が50%とは、図1(B)に示すように、光導電層404の膜厚方向に沿った辺と、その辺と直交する辺と、斜辺とで構成される直角三角形において、光導電層404の膜厚方向に沿った辺の長さ1に対して、その辺と直交する辺の長さ2としたときの斜辺で形成される勾配である。勾配は、断面を100倍の倍率で顕微鏡観察を行い測定した。
なお、図1(A)の矢印Dで示す範囲が、バイアス電極401の外側であって、光導電層404の端部斜面の勾配が50%以下の領域内の範囲である。
光導電層404は、バイアス電極401よりも広い領域に形成されている。また、電荷収集電極407aは、画像情報取得領域Gより広い領域に形成されている。
なお、本実施形態に係る正孔注入阻止層402の外縁部は、画像情報取得領域Gの外側であって、光導電層404の領域内に位置するように構成してもよい。
次に、上述の正孔注入阻止層402を成膜する装置および、その方法について説明する。本実施形態において、正孔注入阻止層402は、膜成分を含む溶液を基材表面に塗布して成膜されている。
図13に正孔注入阻止層402を成膜する塗布装置600の概略構成を示す。塗布装置600は、アクティブマトリックス基板450、電子注入阻止層406、結晶化防止層405および光導電層404が積層されたものを基材601とし、基材601の表層をなす光導電層404の表面に有機高分子層である正孔注入阻止層402を成膜する。尚、光導電層404と正孔注入阻止層402との間に結晶化防止層403が形成される場合には、光導電層404に結晶化防止層403が積層されたものを基材とし、基材の表層をなす結晶化防止層403の表面に正孔注入阻止層402が成膜される。
正孔注入阻止層402の膜成分としては、上述の通り、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリシクロオレフィン等の絶縁性高分子に、正孔ブロック材料を混合したものを好ましく用いることが出来る。
塗布装置600は、上記の溶液を基材601の表面に塗布する略密閉された塗布室602を備え、この塗布室602内に、基材601を保持する保持台603、および保持台603に保持された基材601の表面に溶液を塗布するインクジェットヘッド604を備えている。インクジェットによれば、マスクを必要とせず、消費液量が少なく、また、基材601に非接触で正確に成膜することができる。
塗布室602内には、除振台605と、この除振台605に支持された定盤606とが設けられていれる。そして、定盤606上には、保持台603を支持する保持台移動機構607と、インクジェットヘッド604を支持するヘッド移動機構608とが設けられている。保持台移動機構607およびヘッド移動機構608は、基材601の表面をインクジェットヘッド604により走査できるように、保持台603に対してインクジェットヘッド604を主走査方向および副走査方向に相対移動させる。例えば、保持台移動機構607が、水平直交2軸のうちの第1軸に沿った主走査方向に保持台603を移動させ、且つヘッド移動機構608が水平直交2軸のうちの第2軸に沿った副走査方向にヘッド604を移動させる。
インクジェットヘッド604には、所定量の溶液を間欠的に液滴として吐出するノズル609が設けられている。図14(A)に示すように、このノズル609からは、液滴が略柱状に吐出される。液滴を略柱状に吐出し、その長さを大きくするには、例えば、溶液の粘度を高くする、溶液にダイラタンシー性を持たせる、溶液の動的表面張力を小さくする、液滴を吐出する際の吐出速度を著しく速くする(吐出するためのアクチュエータに非常に大きいエネルギーを与える)といった方法が挙げられる。尚、ダイラタンシー性とは、せん断速度の増加に対して粘度が増加する液体の性質をいう。また、動的表面張力とは、界面が不安定な流動・攪拌状況での表面張力のことをいう。
表1に、溶液の粘度と液滴の丸まりにくさ(柱状の維持のし易さ)との関係を示す。尚、表1および後述する表2〜4において、「○」は液滴が丸まりにくい、換言すれば柱状を維持し易いことを示し、「×」は液滴が丸まり易いことを示す。
表2に、溶液のダイラタンシー性と液滴の丸まりにくさとの関係を示す。尚、表2に示される粘度は、せん断速度が増加するノズル609における粘度であって、ノズル609以外での粘度は3[cP]である。
表3に、溶液の表面張力と液滴の丸まりにくさとの関係を示す。
表4に、液滴の長さと液滴の丸まりにくさとの関係を示す。
インクジェットヘッド604のノズル609から柱状に吐出される液滴は、図14(B)に示すように、インクジェットヘッド604を主走査方向に相対移動させ、略柱状を保ったまま基材601に着弾させる。略柱状を保ったまま液滴を着弾させることにより、同体積の液滴を球状に着弾させるよりも着弾直後の液滴の高さを小さくすることができ、濡れ広がりきるまでに要する時間を短縮して、塗布時間の短縮を図ることができる。
略柱状を保ったまま液滴を着弾させるにあたり、インクジェットヘッド604のノズル609と基材601との間隔は短い方が望ましい。例えば、液滴の体積Vが30plで1.5mm以下が好ましい。また、基材601と溶液との接触角は、できるだけ小さいほうが望ましい。
さらに、略柱状を保ったまま液滴を着弾させるにあたり、液滴の体積をV、液滴の長さをl、液滴の吐出速度をV
d、基材601に対するインクジェットヘッド604の相対移動速度をV
k、液滴と基材601との接触角をθとして、下記数式(i)を満たすことが好ましい。
上記数式(i)における左辺は、着弾直後の液滴の主走査方向の長さを示す。また、上記数式(i)における右辺は、液滴が基材上で円形状に濡れ広がったときの該液滴の直径Dを示す。着弾直後の液滴の主走査方向の長さが、円形状に濡れ広がったときの該液滴の直径Dよりも大きければ、液滴は、円形状に戻ることなく濡れ広がる。それにより、濡れ広がりきるまでに要する時間を短縮して、塗布時間の短縮を図ることができる。
上述のとおり吐出されて基材601に着弾した液滴を、主走査方向に隣り合う液滴と確実に合一させるため、主走査方向のドットピッチP1は、下記数式(ii)を満たすようにすることが好ましい。
また、上述のとおり吐出されて基材601に着弾した液滴を、副走査方向に隣り合う液滴と確実に合一させるため、副走査方向のドットピッチP2は、下記数式(iii)を満たすようにすることが好ましい。
尚、上記数式(iii)は、以下のようにして導出される。図15に示すように、液滴が基材上で円形状に濡れ広がりきったときの平面視での面積S1は、π・D2/4となる。また、略柱状を保って着弾した液滴は、若干の丸まりを伴って平面視において略楕円形状を呈し、その際の平面視での面積S2は、πb・lVk/Vd・1/4となる。ここで、lVk/Vdは長軸の長さであって、主走査方向の長さである。また、bは短軸の長さであって、副走査方向の長さである。S1=S2とするとb=D2・Vd/lVkとなるが、略柱状を保って着弾した液滴は、基材上で濡れ広がり、その短軸の長さは上記bよりも大きくなる。よって、P2≦b、即ち、上記数式(iii)とすることにより、副走査方向に隣り合う液滴は確実に合一する。
(TFT方式の放射線検出器の動作原理)
次に、上記のTFT方式の放射線検出器400の動作原理について説明する。光導電層404にX線が照射されると、光導電層404内に電荷(電子−正孔対)が発生する。バイアス電極401とCs電極418との間に電圧が印加された状態、すなわちバイアス電極401とCs電極418とを介して光導電層404に電圧が印加された状態において、光導電層404と電荷蓄積容量407cとは電気的に直列に接続された構造となっているので、光導電層404内に発生した電子は+電極側に、正孔は−電極側に移動し、その結果、電荷蓄積容量407cに電荷が蓄積される。
電荷蓄積容量407cに蓄積された電荷は、ゲート電極411への入力信号によってスイッチ素子407bをオン状態にすることによりソース電極410から取出電極470を介して外部に取り出すことが可能となる。そして、ゲート電極411とソース電極410とからなる電極配線、スイッチ素子407b及び電荷蓄積容量407cは、すべてマトリクス状に設けられているため、ゲート電極411に入力する信号を順次走査し、ソース電極410からの信号をソース電極410毎に検知することにより、二次元的にX線の画像情報を得ることが可能となる。
実施例1においては、アクティブマトリックス基板450上に、2μmの膜厚の硫化アンチモンからなる電子注入阻止層406を形成する。次に、Asを3%含有したSe原料を蒸着により成膜して膜厚0.15μmの結晶化防止層405を形成した。続いて、Naを10ppm含有したSe原料を蒸着により成膜して、膜厚1000μmの非晶質Seから成る光導電層404を形成した。
次に、カーボンクラスターまたはその誘導体から選択される少なくとも一種の正孔ブロック材料を含み、かつ一般式(1)(2)で表される芳香族系溶剤のうち少なくとも1種を含む吐出液を用いて、有機高分子層としての正孔注入阻止層402を成膜した。
(一般式(1)(2)中、R
1-8は、水素、ハロゲン、またはアルキル基のいずれかを表す。)
本実施例では、カーボンクラスターとして、フラーレンC60を用いた。フラーレンC60は、フロンティアカーボン株式会社性、nanom purple (C60)を使用した。
また、本実施例では、上記の芳香族系溶剤としてのo−ジクロロベンゼンに、1.05wt%のポリカーボネート樹脂(PCz)(三菱ガス化学株式会社製ユーピロンPCz−400)および、PCzに対して30wt%のフラーレンC60を溶解して、吐出液を作製した。
吐出液は、ダイラタンシー性を示している。ダイラタンシー性とは、せん断速度の増加に対して粘度が増加する液体の性質をいう。この吐出液のせん断速度とせん断粘度の関係はレオメーターによって測定した。せん断速度が10〜1000[s−1]の範囲で測定を2度行い、その平均値を図5に示した。せん断速度の増加に伴い、せん断粘度が増加しているため、ダイラタンシー性であるといえる。
図5のグラフの指数近似式は、y=2.2331e1E−05xとなる。インクジェットヘッドからの吐出時に吐出液に掛かるせん断速度は、一般に105[s−1]程度と言われており、そのときのせん断粘度は6.07[mPa・s]と予想される。一方、着弾後のせん断速度は0[s−1]と考えられるため、そのときのせん断粘度は2.23[mPa・s]と予想される。着弾後に粘度が下がるため液が広がりやすく、均一な膜形成に適していることは明らかである。
また、この吐出液は、光導電層404との接触角が45°以下とされている。本実施例では、光導電層404との接触角が5°の吐出液を用いた。
該吐出液を、FUJIFILM Dimatix社製インクジェットヘッドSE−128に充填し、画像情報取得領域Gより広く、取出電極470に掛からない範囲に吐出を行った。真空乾燥機で溶剤を蒸発させ、膜厚0.2μmの正孔注入阻止層402を得た。最後に、該正孔注入阻止層402端より内側にAuを蒸着により成膜して、膜厚0.1μmのバイアス電極401を形成した。
本実施例の構成では、正孔注入阻止層402の外縁部が、取出電極470から1mm画像情報取得領域G側に位置しており、画像情報が取得される画像情報取得領域Gの領域端G1と取出電極470との間に位置する。
これにより、光導電層404の画像情報取得領域Gを正孔注入阻止層402が覆うことになり、光導電層404の画像情報取得領域Gにおける結晶化等の劣化を抑制でき、放射線検出器400としての耐久性が向上する。また、正孔注入阻止層402は、取出電極470を覆わないので、取出電極470の導通不良を防止できる。
実施例2においては、正孔注入阻止層402の外縁部が、バイアス電極401端よりも1mm内側に位置し、画像情報取得領域Gの外側であって、光導電層404の平坦部平均膜厚の10%以上の膜厚を有する領域内に位置するように構成されている。
本実施例の構成によれば、電荷選択性を有する正孔注入阻止層402が、光導電層404の平坦部平均膜厚の10%未満の膜厚を有する領域、すなわち膜厚の薄い領域を覆わないので、正孔注入阻止層402を伝って生じる沿面放電が起きにくい。
実施例3においては、正孔注入阻止層402の外縁部が、光導電層404の平坦部平均膜厚の50%の箇所に位置し、バイアス電極401の外側であって、光導電層404の平坦部平均膜厚の10%以上の膜厚を有する領域内に位置するように構成されている。
本実施例の構成によれば、正孔注入阻止層402がバイアス電極401の端部を覆うので、バイアス電極401の端部への電界集中による放電破壊を抑制できる。
実施例4においては、正孔注入阻止層402の外縁部が、バイアス電極401端の2mm外側に位置し、バイアス電極401の外側であって、光導電層404の端部斜面の勾配が50%以下の領域内に位置するように構成されている。
本実施例の構成によれば、正孔注入阻止層402が、光導電層404の端部斜面の勾配が50%以下の領域内に形成されることにより、正孔注入阻止層402を液状の材料で形成した場合であっても、液垂れが生じない。液垂れによる液だまりが生じると、C60の結晶化が発生して沿面放電が起こりやすくなるが、本実施例では、液垂れが生じないので、沿面放電を抑制できる。
なお、正孔注入阻止層402は、二層構造としても良く、フラーレンを含有した有機高分子層上に0.6μmの膜厚の硫化アンチモンを積層してもよい。この構成により、正孔ブロック性を高められる。
(光読取方式の放射線検出器の構成)
光読取方式の放射線検出器についても、本発明の適用は可能であり、上記の放射線検出器400における正孔注入阻止層402の構成に準じて適用される。ここで、光読取方式の放射線検出器としての放射線検出基板500について説明する。
図6(A)、(B)は、放射線検出基板500の概略図を示している。図6(A)、(B)に示すように、放射線検出基板500にはTCP510とそれを介して接続される読み出し装置512、高電圧を印加するための高電圧線514が接続されている。
TCP(Tape Carrier Package)510は、信号検出用IC(チャージアンプIC)511を搭載したフレキシブルの配線基板である。このTCP510はACF(Anisotropic Conductive Film 異方性導電膜)を用いて熱圧着にて接続される。
検出エリア516上部の上部電極518から延長された延長電極部519が形成されており、この延長電極部519に高電圧線514が接続されている。放射線を検出する検出エリア516は、信号読み出しと高電圧印加のための下部電極520、放射線を電荷に変換する放射線検出層522、高電圧を印加する上部電極518から構成される。
下部電極520は、ガラス基板536に設けられており、下部電極520が設けられたガラス基板536により、放射線検出用下部基板524が構成されている。
この放射線検出基板500の製造は大きく分けて、下部電極520を含む放射線検出用下部基板524の製造、放射線検出層522及び上部電極518の形成、高電圧線514の接続に分けられる。
以下、放射線検出用下部基板524の構造について説明する。図7には、放射線検出用下部基板524の概略構造が示されている。図7では、TCP510は左右1つずつ、チャンネル数も各3チャンネル、合計6チャンネルと単純化している。放射線検出用下部基板524は、図7に示すように、放射線検出部526、ピッチ変換部528、取出電極としてのTCP接続部530から構成されている。
放射線検出部526は、信号取り出しのための下部電極520がストライプ状(線状)に配置されている。また、その下層には透明の有機絶縁層532を介して一部任意の波長の光だけを透過させるカラーフィルター層534が形成されている。
カラーフィルター層534上部にある層を共通Bライン520B、カラーフィルター層534のない部分にある信号Sライン520Sと呼ぶ。Bライン520Bは放射線検出部の外側で共通化され、くし型電極構造を有している。Sライン520Sは信号ラインとして用いられる。Bライン520Bの幅は、例えば20μm、Sライン520Sの幅は、例えば10μmとされ、Bライン520BとSライン520Sとの間隔は、例えば、10μmである。
カラーフィルター層534の幅は、例えば、30μmである。下部電極520は、裏面より光を照射するため透明であることと、高電圧印加時の電界集中による破壊などを避けるため平坦性が必要であり、たとえばIZO、ITOが用いられる。IZOを用いた場合、厚さは0.2μm、平坦性はRa=1nm程度である。
カラーフィルター層534は、顔料を分散させた感光性のレジスト、例えばLCDのカラーフィルターに用いられる赤色レジストである。このカラーフィルター層534の段差を無くすために感光性有機の透明絶縁層532、たとえばPMMAが用いられる。
更に支持部材となるガラス基板536は透明で剛性のあるものが望ましく、さらにはソーダライムガラスが望ましい。各層の厚さの一例は、下部電極520が0.2μm、カラーフィルター層534が1.2μm、有機透明絶縁層532が1.8μm、ガラス基板536が1.8mmである。このカラーフィルター層534、有機絶縁層532は放射線検出部526のみにあり、その境界は放射線検出部526、ピッチ変換部528にある。このためIZO配線は有機絶縁層532の境界段差部分を介してTCP接続部530ではガラス基板536上に形成される。
放射線検出部526ではある数を単位として左右のTCP510へ配線が取り出される。図7では3ライン単位である。ライン数の一例は256ラインである。放射線検出部526でのライン幅はTCP接続部530でのライン幅と異なりこれを調整することと、所定のTCP接続位置まで配線を引き回すためピッチ変換部528にてライン幅が調整される。Bライン520Bは共通化されて同様にTCP接続部530へ引き出される。
TCP接続部530では信号Sライン520Sと放射線検出部外側で共通化された共通Bライン520Bが配置される。共通Bライン520Bは信号Sライン520Sの外側に配置される。その数の一例としては信号ライン256、共通ライン上下各5ラインを用いてTCPへ接続される。その電極ライン/スペースは40/40μmである。
また、このTCP接続部530にてTCPを接続するためTCP用のアライメントマークが必要である。透明電極で形成することが望ましいが、透明なため認識が難しく、不透明な材料として、例えばこの基板の構成部材であるカラーフィルター層534を用いて合わせマークを形成する。
次に、放射線検出層522について説明する。図8は、放射線検出基板500の構成を模式的に示した概略図である。放射線検出層は、図8に示すように、記録用光導電層542、電荷蓄積層544、読取用光導電層546、電極界面層548、下引き層550、上引き層552を備えて構成されている。
<記録用光導電層>
記録用光導電層542は、電磁波を吸収し電荷を発生する光導電物質であり、アモルファスセレン化合物、Bi12MO20(M:Ti、Si、Ge)、Bi4M3O12(M:Ti、Si、Ge)、Bi2O3、BiMO4(M:Nb、Ta、V)、Bi2WO6、Bi24B2O39、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、MNbO3(M:Li、Na、K)、PbO、HgI2、PbI2、CdS、CdSe、CdTe、BiI3、GaAs等のうち少なくとも1つを主成分とする化合物により構成される。この中で特にアモルファスセレン化合物よりなることが好ましい。
アモルファスセレン化合物の場合には、その層中にLi、Na、K、Cs、Rb等のアルカリ金属を0.001ppmから1ppmまでの間で微量にドープしたもの、LiF、NaF、KF、CsF、RbF等のフッ化物を10ppmから10000ppmまでの間で微量にドープしたもの、P、As、Sb、Geを50ppmから0.5%までの間添加したもの、Asを10ppmから0.5%までドープしたもの、Cl、Br、Iを1ppmから100ppmの間で微量にドープしたもの、を用いることができる。
特に、Asを10ppmから200ppm程度含有させたアモルファスセレン、Asを0.2%〜1%程度含有させさらにClを5ppm〜100ppm含有させたアモルファスセレン、0.001ppm〜1ppm程度のアルカリ金属を含有させたアモルファスセレンが好ましく用いられる。
また、数ナノから数ミクロンのBi12MO20(M:Ti、Si、Ge)、Bi4M3O12(M:Ti、Si、Ge)、Bi2O3、BiMO4(M:Nb、Ta、V)、Bi2WO6、Bi24B2O39、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、MNbO3(M:Li、Na、K)、PbO、HgI2、PbI2、CdS、CdSe、CdTe、BiI3、GaAs等の光導電性物質微粒子を含有させたものも用いることができる。
記録用光導電層542の厚みは、アモルファスセレンの場合100μm以上2000μm以下であることが好ましい。特にマンモグラフィ用途では150μm以上250μm以下、一般撮影用途においては500μm以上1200μm以下の範囲であることが特に好ましい。
<電荷蓄積層>
電荷蓄積層544は、蓄積したい極性の電荷に対して絶縁性の膜であれば良く、アクリル系有機樹脂、ポリイミド、BCB、PVA、アクリル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド等のポリマーやAs2S3、Sb2S3、ZnS等の硫化物、その他に酸化物、フッ化物より構成される。更には、蓄積したい極性の電荷に対して絶縁性であり、それと逆の極性の電荷に対しては導電性を有する方がより好ましく、移動度×寿命の積が、電荷の極性により3桁以上差がある物質が好ましい。
好ましい化合物としては、As2Se3、As2Se3にCl、Br、Iを500ppmから20000ppmまでドープしたもの、As2Se3のSeをTeで50%程度まで置換したAs2(SexTe1−x)3(0.5<x<1)、As2Se3のSeをSで50%程度まで置換したもの、As2Se3からAs濃度を±15%程度変化させたAsxSey(x+y=100、34≦x≦46)、アモルファスSe−Te系でTeを5−30wt%含むものを挙げることができる。
この様なカルコゲナイド系元素を含む物質を用いる場合、電荷蓄積層544の厚みは0.4μm以上3.0μm以下であること好ましく、より好ましくは0.5μm以上2μm以下である。この様な電荷蓄積層544は、1度の製膜で形成しても良いし、複数回に分けて積層しても良い。
有機膜を用いた好ましい電荷蓄積層544としては、アクリル系有機樹脂、ポリイミド、BCB、PVA、アクリル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド等のポリマーに対し、電荷輸送剤をドープした化合物が好ましく用いられる。好ましい電荷輸送剤としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、N,N−ジフェニル−N,N−ジ(m−トリル)ベンジジン(TPD)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリアルキルチオフェン、ポリビニルカルバゾール(PVK)、トリフェニレン(TNF)、金属フタロシアニン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、液晶分子、ヘキサペンチロキシトリフェニレン、中心部コアがπ共役縮合環あるいは遷移金属を含有するディスコティック液晶分子、カーボンナノチューブ、フラーレンからなる群より選択される分子を挙げることができる。ドープ量は0.1から50wt.%の間で設定される。
<読取用光導電層>
読取用光導電層546は、電磁波、特に可視光を吸収し電荷を発生する光導電物質であり、アモルファスセレン化合物、アモルファスSi:H、結晶Si、GaAs等のエネルギーギャップが0.7−2.5eVの範囲に含まれる半導体物質を用いることができる。特にアモルファスセレンであることが好ましい。
アモルファスセレン化合物の場合には、その層中にLi、Na、K、Cs、Rb等のアルカリ金属を0.001ppmから1ppmまでの間で微量にドープしたもの、LiF、NaF、KF、CsF、RbF等のフッ化物を10ppmから10000ppmまでの間で微量にドープしたもの、P、As、Sb、Geを50ppmから0.5%までの間添加したもの、Asを10ppmから0.5%までドープしたもの、Cl、Br、Iを1ppmから100ppmの間で微量にドープしたもの、を用いることができる。
特に、Asを10ppmから200ppm程度含有させたアモルファスセレン、Asを0.2%〜1%程度含有させさらにClを5ppm〜100ppm含有させたアモルファスセレン、0.001ppm〜1ppm程度のアルカリ金属を含有させたアモルファスセレンが好ましく用いられる。
読取用光導電層546の厚みは、読取光を十分吸収でき、かつ電荷蓄積層544に蓄積された電荷による電界が光励起された電荷をドリフトできれば良く、1μmから30μm程度が好ましい。
<電極界面層>
電極界面層548は、記録用光導電層542と上部電極518の間、あるいは読取用光導電層546と下部電極520の間に敷設される。結晶化を防止する目的において、アモルファスセレンにAsがi%−20%の範囲で添加されたもの、S、Te、P、Sb、Geを1%から10%の範囲で添加したもの、上記の元素と他の元素を組合せて添加したものが好ましい。
または、より結晶化温度の高いAs2S3やAs2Se3も好ましく用いることができる。更に、電極層からの電荷注入を防止する目的で上記、添加元素に加えて、特に正孔注入を防止するためにLi、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属や、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、LiCl、NaCl、KCl、RbF、CsF、CsCl、CsBr等の分子を10ppm−5000ppmの範囲でドープすることも好ましい。逆に電子注入を防止するためには、Cl、I、Br等のハロゲン元素や、In2O3等の分子を10ppm−5000ppmの範囲でドープすることも好ましい。界面層の厚みは、上記目的を十分果たすように0.05μmから1μmの間に設定されることが好ましい。
上記の電極界面層548、読取用光導電層546、電荷蓄積層544、記録用光導電層542は、真空度10−3から10−7Torrの間の真空槽内において、基板を25℃以上70℃以下の間に保持し、上記各合金を入れたボート、あるいはルツボを、抵抗加熱あるいは電子ビームにより昇温し、合金、化合物を蒸発または昇華させることにより基板上に積層される。
合金、化合物の蒸発温度が大きく異なる場合には、複数の蒸着源に対応した複数のボートを同時に加熱し個々に制御することで、添加濃度、ドープ濃度を制御することも好ましく用いられる。例えば、As2Se3・アモルファスセレン・LiFをそれぞれボートに入れ、As2Se3のボートを340℃、アモルファスセレン(a−Se)のボートを240℃、LiFのボートを800℃として、各ボートのシャッターを開閉することで、As10%ドープアモルファスセレンにLiFを5000ppmドープした層を形成することができる。
<下引き層>
読取用光導電層546と下部電極(電荷収集電極)520の間には、下引き層550を設けることが出来る。電極界面層(結晶化防止層(A層))548がある場合には、電極界面層548と下部電極520の間に設けることが好ましい。下引き層550は、暗電流、リーク電流低減の観点から、整流特性を有することが好ましい。上部電極518に正バイアスが印加される時には電子ブロック性を、負バイアスが印加される時にはホールブロック性を有することが好ましい。
この下引き層の抵抗率は、108Ωcm以上であること、膜厚は、0.01μm〜10μmであることが好ましい。電子ブロック性を有する層、すなわち電子注入阻止層としては、Sb2S3,SbTe,ZnTe,CdTe,SbS,AsSe,As2S3等の組成から成る層、または有機高分子層が好ましい。有機高分子層としては、PVK等のホール輸送性高分子、またはポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリシクロオレフィン等の絶縁性高分子に、NPD,TPDを混合した膜を好ましく用いることが出来る。
ホールブロック性を有する層、すなわち正孔注入阻止層としては、CdS,CeO2,等の膜、または有機高分子層が好ましい。有機高分子層としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリシクロオレフィン等の絶縁性高分子に、C60(フラーレン)、C70等のカーボンクラスターを混合した膜を好ましく用いることが出来る。
一方、薄い絶縁性高分子層も好ましく用いることが出来、例えば、パリレン、ポリカーボネート、PVA、PVP,PVB,ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂が好ましい。この時の膜厚としては、2μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。
<上引き層>
記録用光導電層542と上部電極(電圧印加電極)518の間には、上引き層552を設けることが出来る。電極界面層(結晶化防止層(C層))548がある場合には、電極界面層548と上部電極518の間に設けることが好ましい。上引き層552は、暗電流、リーク電流低減の観点から、整流特性を有することが好ましい。
上部電極518に正バイアスが印加される時にはホールブロック性を、負バイアスが印加される時には電子ブロック性を有することが好ましい。この上塗り層の抵抗率は、108Ωcm以上であること、膜厚は、0.01μm〜10μmであることが好ましい。
電子ブロック性を有する層、すなわち電子注入阻止層としては、有機高分子層が好ましい。有機高分子層としては、PVK等のホール輸送性高分子、またはポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリシクロオレフィン等の絶縁性高分子に、NPD,TPDを混合した膜を好ましく用いることが出来る。
ホールブロック性を有する層、すなわち正孔注入阻止層としては、有機高分子層が好ましい。有機高分子層としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリシクロオレフィン等の絶縁性高分子に、正孔ブロック材料を混合した膜を好ましく用いることが出来る。
正孔注入阻止層に含有される正孔ブロック材料のうち少なくとも一種が、カーボンクラスター又はその誘導体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。さらにカーボンクラスターが、フラーレンC60、フラーレンC70、酸化フラーレン又はそれらの誘導体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一方、薄い絶縁性高分子層も好ましく用いることが出来、例えば、パリレン、ポリカーボネート、PVA、PVP,PVB,ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂が好ましい。この時の膜厚としては、2μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。
次に、上部電極518及びその上部電極518の表面に形成される表面保護層554について説明する。
<上部電極>
記録用光導電層542の上面に形成される上部電極518としては金属薄膜が好ましく用いられる。材料としてはAu、Ni、Cr、Au、Pt、Ti、Al、Cu、Pd、Ag、Mg、MgAg3−20%合金、Mg−Ag系金属間化合物、MgCu3−20%合金、Mg−Cu系金属間化合物などの金属から形成するようにすればよい。
特にAuやPt、Mg−Ag系金属間化合物が好ましく用いられる。例えばAuを用いた場合、厚みとして15nm以上200nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以上100nm以下である。例えばMgAg3−20%合金を用いた場合は、厚さ100nm以上400nm以下を用いることがより好ましい。
作成方法は任意であるが、抵抗加熱方式による蒸着により形成されることが好ましい。たとえば、抵抗加熱方式によりボート内で金属塊が融解後にシャッターを開け、15秒間蒸着し一旦冷却する。抵抗値が十分低くなるまで複数回繰り返すことで形成される。
<表面保護層>
放射線照射によって放射線検出デバイスに潜像を形成するため、上部電極518には数kVの高電圧を印加する。この上部電極518が大気に開放されていると沿面放電を生じ、被写体が感電する危険がある。上部電極518における沿面放電を防止するため、電極上面に表面保護層554を形成し絶縁処理を施す。
絶縁処理は電極面が全く大気に触れない構造にすることが必要で、絶縁体で密着被覆する構造とする。尚且つ、この絶縁体は印加電位を上回る絶縁破壊強度を有することが必要である。更に、放射線検出デバイスの機能上、放射線透過を妨げない部材であることが必要である。これら要求される被覆性、絶縁破壊強度および放射線透過率の高い材料および製法として、絶縁性ポリマーの蒸着または溶剤塗布が好ましい。
具体例としては、常温硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ポリパラキシリレン誘導体をCVD法で成膜する方法等があげられる。この中でも常温硬化型エポキシ樹脂、ポリパラキシリレンをCVD法で成膜するが好ましく、特にポリパラキシリレン誘導体をCVD法で成膜する方法が好ましい。好ましい膜厚は10μm以上1000μm以下であり、さらに好ましくは20μm以上100μm以下である。
ポリパラキシリレン膜は、室温で形成できるため被着体に熱ストレスを与えることなく、極めて段差被覆性の高い絶縁膜が得られるが、化学的に非常に安定であるため、被着体との密着性は一般に好ましくない場合が多い。被着体との密着性を上げるため、ポリパラキシリレン形成前の被着体への処理として、カップリング剤、コロナ放電、プラズマ処理、オゾン洗浄、酸処理、表面租化等の物理的、化学的処理が一般的に知られており用いることができる。特にシランカップリング剤もしくはシランカップリング剤を必要によりアルコール等で希釈したものを、少なくとも被着体との密着性を向上させたい部分に塗布処理を施した後ポリパラキシリレン膜を形成することで被着体との密着性を向上させる方法が好ましい。
さらに、放射線検出デバイスの経時劣化防止のため、防湿処理を施すことが好ましい。具体的には防湿部材で覆う構造とする。防湿部材としては、前記絶縁性ポリマーのような樹脂単独では機能不足であり、ガラス、アルミラミネートフィルムといった少なくとも無機材層を有する構成が効果的である。但し、ガラスは放射線透過を減衰するため、防湿部材は薄いアルミラミネートフィルムが望ましい。例えば、一般的に防湿包材として用いられているアルミラミネートフィルムとして、PET12μm/圧延アルミ9μm/ナイロン15μmを積層したものがある。
アルミの厚みは5μm以上30μm以下が好ましく、前後のPET厚み、ナイロン厚みはそれぞれ10μm以上100μm以下が好ましい。このフィルムのX線減衰は約1%程度であり、防湿効果とX線透過を両立する部材として最適である。
例えば、図9に示すように、ポリパラキシリレン554Aによる絶縁処理を施した放射線検出デバイス全面を防湿フィルム554Bで覆い、放射線検出デバイス領域外において防湿フィルム554Bの周囲を接着剤で基板と接着固定する。これによって、放射線検出デバイスを基板と防湿フィルム554Bで密封した構成とする。
この接着固定に際し、ポリパラキシリレン554Aは、化学的に非常に安定であるため、一般的には接着材による他の部材との接着性が悪いが、接着に先立ち紫外光による光照射処理を施すことにより接着性を向上させることが出来る。必要な照射時間は使用する紫外光源の波長、ワット数により適時、最適な時間に調節するが、低圧水銀灯で1から50Wのものが好ましく、光照射は1分から30分で行なうのが好ましい。
尚、本実施形態に係る放射線検出デバイスは、アモルファスセレンを用いており、40℃以上の高温ではアモルファスセレンが結晶化して潜像形成の機能が得られなくなるおそれがあることから、接着加工において加熱処理は適さない。そこで、室温硬化型の接着剤が望ましく、接着強度が高い2液混合室温硬化型エポキシ接着剤が最適である。このエポキシ接着剤を放射線検出デバイスの外周に塗布し、防湿フィルム554Bを被せる。接着部を防湿フィルム554Bの上面から均一に押圧固定し、この状態のまま室温環境にて12時間以上置いて硬化させる。接着剤硬化後に押圧を開放して封止構造が完成する。
封止構造部材について補足する。放射線検出デバイスをマンモグラフィに用いる場合、X線撮影における被曝を抑えるため、低線量での撮影検出が望まれる。低線量照射での陰影変化を検出するため、放射線源からデバイスまでの経路における、被写体(マンモ)以外の部材はX線の透過率を高くすること望ましく、これにより明瞭な画像が得られる。
好ましい保護層・封止構造の一例を図9に示しているが、これに限定されるものではない。保護膜の形成によりデバイスの湿度環境が30%以下、より好ましくは10%以下になるように維持されることが好ましい。
<電荷取り出しアンプ>
本実施形態において、電荷はアンプを通して増幅後AD変換される。図10は、電荷取り出しアンプの構成、並びにこれらと放射線検出基板500の外部に配された画像処理装置150などとの接続態様を示したブロック図である。
電荷取り出しアンプとしてのチャージアンプIC511は、放射線検出基板500の各エレメント15aごとに接続された多数のチャージアンプ33aおよびサンプルホールド(S/H)33b、各サンプルホールド33bからの信号をマルチプレクスするマルチプレクサ33cを備えている。
下部電極から流れ出す電流は、各チャージアンプ33aにより電圧に変換され、該電圧がサンプルホールド33bにより所定のタイミングでサンプルホールドされ、サンプルホールドされた各エレメント15aに対応する電圧がエレメント15aの配列順に切り替わるようにマルチプレクサ33cから順次出力される(主走査の一部に相当する)。
マルチプレクサ33cから順次出力された信号はプリント基板31上に設けられたマルチプレクサ31cに入力され、さらに各エレメント15aに対応する電圧がエレメント15aの配列順に切り替わるようにマルチプレクサ31cから順次出力され主走査が完了する。
マルチプレクサ31cから順次出力された信号はA/D変換部31aによりデジタル信号に変換され、デジタル信号がメモリ31bに格納される。一旦メモリ31bに格納された画像信号は、信号ケーブルを介して外部の画像処理装置150に送られ、この画像処理装置150において適当な画像処理が施され、撮影情報と共にネットワーク151にアップロードされ、サーバもしくはプリンタに送られる。
<画像取得シーケンス>
本画像記録読取システムの画像形成シーケンスは、基本的には、高圧印加中に記録光(例えばX線)を照射し潜像電荷を蓄積する過程、および、高圧印加を終了後、読取光を照射して潜像電荷を読み出す過程からなる。読取光Lとしてはライン光源301を電極方向に走査する方法(図11参照)が最適であるが、他の方法でも可能である。
さらに、必要に応じて、読み残した潜像電荷を十分に消去する過程を組み合わせることができる。この消去過程は、パネル全面に消去光を照射することにより行われ、全面に一度に照射させても、あるいはライン光やスポット光を全面に走査させても良く、読取過程の後、または/および、潜像蓄積過程の前に行われる。消去光を照射する際に、高圧印加を組み合わせて消去効率を高めることもできる。また、高圧印加後、記録光を照射する前に「前露光」を行うことにより、高圧印加の際に発生する暗電流による電荷(暗電流電荷)を消去することができる。
さらに、これら以外の原因によっても静電記録体に種々な電荷が記録光の照射の前に蓄積されることが知られている。これらの残存信号は、残像現象として次に出力される画像情報信号に影響を及ぼすため、補正により低減させることが望ましい。
残像信号を補正する方法として、上記の画像記録読取過程に、残像画像読取過程を加える方法が有効である。この残像画像記録過程は、記録光を照射しないで高圧印加のみ行った後、読取光により「残像画像」を読取ることで行われ、この「残像画像」信号に適当な処理を施し、「記録画像」信号から差し引くことで、残像信号を補正することができる。残像画像読取過程は、画像記録読取過程の前、あるいは後に行われる。また、残像画像読取過程の前、または/および後に、適当な消去過程を組み合わせることができる。
光読取方式の放射線検出器としての放射線検出基板500では、上部電極518が本発明の第1電極に相当し、記録用光導電層542を有する放射線検出層522が本発明に係る光導電層に相当し、下部電極520が本発明に係る第2電極に相当し、TCP接続部530が本発明の取出電極に相当し、上引き層552が本発明の有機高分子層に相当する。
光読取方式の放射線検出基板500では、上記の放射線検出器400と同様に、以下のように上引き層552を構成することができる。
有機高分子層としての上引き層552は、その外縁部、すなわち他の層との境界となる周端が所定位置に位置することで、上引き層552が所定範囲に形成され、その所定範囲を覆う構成となっている。
本実施形態では、上引き層552の外縁部は、画像情報を担持した放射線が照射された領域のうち、画像情報が取得される画像情報取得領域Gの領域端G1とTCP接続部530との間に位置するように構成されている。なお、図12(A)の矢印Aで示す範囲が、画像情報取得領域Gの領域端G1とTCP接続部530との間の範囲である。
また、好ましくは、本実施形態に係る上引き層552の外縁部が、画像情報取得領域Gの外側であって、放射線検出層522の平坦部平均膜厚の10%以上の膜厚を有する領域内に位置するように構成される。放射線検出層522の平坦部平均膜厚は、放射線検出層522の画像情報取得領域Gの領域内の任意の9点の膜厚を測定し、その9点の膜厚の平均したものである。膜厚は、断面を100倍の倍率で顕微鏡観察を行い測定した。
なお、図12(A)の矢印Bで示す範囲が、画像情報取得領域Gの外側であって、放射線検出層522の平坦部平均膜厚の10%以上の膜厚を有する領域内の範囲である。
さらに好ましくは、本実施形態に係る上引き層552の外縁部が、上部電極518の外側であって、放射線検出層522の平坦部平均膜厚の10%以上の膜厚を有する領域内に位置するように構成される。
なお、図12(A)の矢印Cで示す範囲が、上部電極518の外側であって、放射線検出層522の平坦部平均膜厚の10%以上の膜厚を有する領域内の範囲である。
さらに好ましくは、上引き層552の外縁部が、上部電極518の外側であって、放射線検出層522の端部斜面の勾配が50%以下の領域内に位置するように構成される。
上引き層552の外縁部は、放射線検出層522の平坦部から外縁に向けて徐々に勾配がきつくなる端部斜面において、その勾配が50%以下の領域内、すなわち勾配が50%よりも勾配が緩やかな範囲に位置する。勾配が50%とは、図12(B)に示すように、放射線検出層522の膜厚方向に沿った辺と、その辺と直交する辺と、斜辺とで構成される直角三角形において、放射線検出層522の膜厚方向に沿った辺の長さ1に対して、その辺と直交する辺の長さ2としたときの斜辺で形成される勾配である。勾配は、断面を100倍の倍率で顕微鏡観察を行い測定した。
なお、図12(A)の矢印Dで示す範囲が、上部電極518の外側であって、放射線検出層522の端部斜面の勾配が50%以下の領域内の範囲である。
なお、放射線検出層522は、上部電極518よりも広い領域に形成されている。また、下部電極520は、画像情報取得領域Gより広い領域に形成されている。
そして、有機高分子層としての上引き層552は、放射線検出用下部基板524、下引き層550、読取用光導電層546、電荷蓄積層544、記録用光導電層542が積層されたものを基材とし、記録用光導電層542の表面に成膜される。尚、記録用光導電層546と上引き層552との間に結晶化を防止する目的で電極界面層548が形成される場合には、上引き層552は、記録用光導電層542に電極界面層548が積層されたものを基材とし、電極界面層548の表面に成膜される。上引き層552を成膜する装置および方法は、上述した放射線検出器400の正孔注入阻止層402と同様であるので、説明は省略する。
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。