JP2009054923A - 放射線画像検出器の製造方法 - Google Patents

放射線画像検出器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板上にアモルファスセレンを主成分とする材料を真空蒸着させてなる蒸着層を有してなる放射線画像検出器の製造方法において、蒸着層の蒸着中に突沸が発生した場合でもその影響を低減させる。
【解決手段】膜の厚さが100μm以上、2000μm以下と比較的厚い記録用光導電層の蒸着時において、突沸の影響が大きく表れる蒸着時間の前半部で基板の温度を通常蒸着時温度よりも上昇させることにより、アモルファスセレンの結晶化を防止しつつ蒸着層の表面をなだらかにさせる。
【選択図】図3

Description

本発明は、基板上にアモルファスセレンを主成分とする材料を真空蒸着させてなる蒸着層を有してなる放射線画像検出器の製造方法において、特に蒸着層の品質向上に関するものである。
今日、医療診断等を目的とする放射線撮影において、放射線を検出して得た電荷を放射線画像情報を表す電気信号に変換して出力する放射線画像検出器(以下単に検出器ともいう)を使用する放射線画像情報記録読取装置が各種提案されている。この装置において使用される放射線画像検出器としては、種々のタイプのものが提案されているが、電荷を外部に読み出す電荷読出プロセスの面から、TFT(薄膜トランジスタ)方式のものと検出器に読取光(読取用の電磁波)を照射して読み出す光読出方式のものがある。
本出願人は、読出しの高速応答性と効率的な信号電荷の取り出しの両立を図ることができる光読出方式の放射線画像検出器として、特許文献1、特許文献2等において、記録用の放射線あるいは該放射線の励起により発せられる光(以下記録光という)に対して透過性を有する第1の導電層、記録光を受けることにより導電性を呈する記録用光導電層、第1の導電層に帯電される電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用し、かつ、該同極性の電荷と逆極性の電荷に対しては略導電体として作用する電荷蓄積層、読取光の照射を受けることにより導電性を呈する読取用光導電層、読取光に対して透過性を有する線状電極を含む第2の導電層を、この順に積層して成り、画像情報を担持する潜像電荷(静電潜像)を電荷蓄積層に蓄積する検出器を提案している。
上記の放射線画像検出器の光導電層等の層にはアモルファスセレン(a−Se)を主成分とする材料が好適に用いられており、この場合に光導電層の成膜は真空中で光導電層の材料を加熱蒸発させた真空蒸着により行なわれる。
このような真空蒸着により成膜される層(以下、蒸着層)の成膜中に突沸が発生し、さらにこの突沸の上から重ねて蒸着が行なわれると、成膜終了時に突沸上方の蒸着層表面に凹凸が形成されてしまう。
放射線画像検出器では記録時等に各層の積層方向に電界を印加するが、光導電層等の蒸着層の表面に凹凸が生じてしまった放射線画像検出器に電界を印加すると、凹凸部近傍への電界集中が起こり、蒸着層内に意図しない電荷注入が生じて画像欠陥となるおそれがある。
このような問題を解消するため、薄膜層を蒸着により成膜する際の突沸の発生を低減する方法が各種提案されている。(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5)
特開2000−105297号公報 特開2000−284056号公報 特開平5−204169号公報 特開平6−161137号公報 特開2005−152034号公報
しかしながら、上記特許文献3、特許文献4、特許文献5等に記載されているような方法を用いたとしても蒸着層の蒸着中に発生する突沸を完全に無くすことは非常に困難であるため、たとえ蒸着中に突沸が発生した場合でもその影響を低減させることが可能な方法が望まれている。
本発明は、上記の事情に鑑み、基板上にアモルファスセレンを主成分とする材料を真空蒸着させてなる蒸着層を有してなる放射線画像検出器の製造方法において、蒸着層の蒸着中に突沸が発生した場合でもその影響を低減させることが可能な放射線画像検出器の製造方法を提供することを目的とする。
本発明による放射線画像検出器の製造方法は、基板上に、アモルファスセレンを主成分とする材料を真空蒸着させてなる蒸着層を、少なくとも一層以上有してなる放射線画像検出器の製造方法であって、少なくとも一層の蒸着層の蒸着時には、蒸着時間の前半部において基板の温度を通常蒸着時温度よりも3〜25℃の範囲で上昇させることを特徴とする方法である。
ここで「通常蒸着時温度」とは、一般的にアモルファスセレンを蒸着する際に設定する温度範囲である42〜48℃の温度で、かつ蒸着時間の後半部における支配的な設定温度を意味する。
また、蒸着時間の前半部における基板温度上昇時間は、前半部の全ての領域に限らず、一部の時間のみとしてもよい。
上記放射線画像検出器の製造方法においては、通常蒸着時温度に対する温度上昇幅をΔt(℃)、蒸着時間に対する基板温度上昇時間の割合をΔm(%)としたとき、225<Δt×Δm<400を満たすことが好ましい。
さらに、蒸着時間の最初から基板温度を上昇させることが好ましい。
上記において「放射線画像検出器」とは、被写体の画像情報を担持する記録光、例えば放射線を検出して被写体に関する放射線画像を表す画像信号を出力する検出器であって、入射した放射線を直接または一旦光に変換した後に電荷に変換し、この電荷を外部に出力させることにより、被写体に関する放射線画像を表す画像信号を得ることができるものである。
この画像検出器には種々の方式のものがあり、例えば、放射線を電荷に変換する電荷生成プロセスの面からは、放射線が照射されることにより蛍光体から発せられた蛍光を光電変換素子で検出して得た信号電荷を画像信号(電気信号)に変換して出力する光変換方式の放射線画像検出器、あるいは、放射線が照射されることにより放射線導電体内で発生した信号電荷を電気信号に変換して出力する直接変換方式の放射線画像検出器等、あるいは、電荷を外部に読み出す電荷読出プロセスの面からは、蓄電部と接続されたTFT(薄膜トランジスタ)を走査駆動して読み出すTFT読出方式のものや、読取光(読取用の電磁波)を検出器に照射して読み出す光読出方式のもの等、さらには、前記直接変換方式と光読出方式を組み合わせた本願出願人による上記特許文献1や上記特許文献2において提案している改良型直接変換方式のもの等がある。
アモルファスセレンを主成分とする材料を蒸着する際には基板温度を上昇させる程、蒸着物が平坦化され表面がなだらかとなるが、アモルファスセレンは高温にさらすと結晶化して特性が劣化してしまうという問題があるため、基板温度をあまり上昇させることができず、そのため従来は蒸着時間の全体に渡って基板温度を適正範囲である42〜48℃に設定して蒸着を行なっていた。
また、突沸が発生した場合、その突沸の上に材料を厚く蒸着させる程、最終的に仕上がった表面においてその部分の凹凸が大きくなる傾向がある。すなわち、蒸着初期段階で発生した突沸の方が、蒸着終了間際で発生した突沸よりも影響が大きくなる。
以上のことを考慮し、本発明の放射線画像検出器の製造方法では、蒸着層の蒸着時に、突沸の影響が大きく表れる蒸着時間の前半部において基板の温度を通常蒸着時温度よりも3〜25℃の範囲で上昇させることにより、アモルファスセレンの結晶化を防止しつつ蒸着層の表面をなだらかにさせることが可能となる。
上述した通り、アモルファスセレンは長時間高温にさらすと結晶化してしまうため、通常蒸着時温度に対する温度上昇幅をΔt(℃)、蒸着時間に対する基板温度上昇時間の割合をΔm(%)としたとき、225<Δt×Δm<400を満たすようにすることにより、より適正にアモルファスセレンの結晶化を防止しつつ蒸着層の表面をなだらかにさせることが可能となる。
以下、本発明の放射線画像検出器の製造方法について説明する。図1は本発明の製造方法を用いて製造した放射線画像検出器の概略構成を示す上面図、図2は図1中のII−II線断面図である。
放射線画像検出器1は、被写体の放射線画像を担持した放射線を透過する第1の導電層11、第1の導電層11を透過した放射線の照射を受けることにより電荷を発生する記録用光導電層12、記録用光導電層12において発生した潜像電荷に対しては絶縁体として作用し、且つその潜像電荷と逆極性の輸送電荷に対しては導電体として作用する電荷蓄積層13、読取光の照射を受けることにより電荷を発生する読取用光導電層14、および読取光を透過する第2の導電層15をガラス基板20上にこの順に積層してなるものである。記録用光導電層12内で発生した潜像電荷は電荷蓄積層13に蓄積される。また、支持部材となるガラス基板20は透明で剛性のあるガラス、例えばソーダライムガラスにより厚さ1.8mmで形成されている。
第1の導電層11としては、金属薄膜が好ましく用いられる。材料としてはAu、Ni、Cr、Au、Pt、Ti、Al、Cu、Pd、Ag、Mg、MgAg3−20%合金、Mg-Ag系金属間化合物、MgCu3−20%合金、Mg-Cu系金属間化合物などの金属から形成するようにすればよい。
特にAuやPt、Mg-Ag系金属間化合物が好ましく用いられる。例えばAuを用いた場合、厚みとして15nm以上、200nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以上、100nm以下である。例えばMgAg3−20%合金を用いた場合は、厚さ100nm以上400nm以下を用いることがより好ましい。
作成方法は任意であるが、抵抗加熱方式による蒸着により形成されることが好ましい。例えば、抵抗加熱方式によりボート内で金属塊が融解後にシャッターを開け、15秒間蒸着し一旦冷却する。抵抗値が十分低くなるまで複数回繰り返すことで形成される。
第2の導電層15は、記録用光導電層12や読取用光導電層14等が重なる領域において、多数の信号出力用線状電極と多数の共通線状電極とが交互に複数平行に配列された構造となっている。各線状電極の長手方向と直交する方向の幅は例えば信号出力用線状電極が10μm、共通線状電極が20μmである。信号出力用線状電極および共通線状電極は、ガラス基板20側から照射される読取光に対して透明である例えばIZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)等の材料により厚さ0.2μmの平坦な線状に形成されている。また、共通線状電極は、記録用光導電層12や読取用光導電層14等と重ならない領域において、互いに電気的に接続されており、共通電位となるように構成されている。
なお、信号出力用線状電極および共通線状電極において、記録用光導電層12や読取用光導電層14等と重ならない領域は、厳密には電極としてではなく配線として機能するが、電極部と配線部とは一体に形成されるため、全体を線状電極と呼称している。
共通線状電極のガラス基板20側には、所定の波長の光だけを透過させるカラーフィルターが形成されており、共通線状電極とカラーフィルターの間には透明有機絶縁層が形成されている。カラーフィルターは、顔料を分散させた感光性のレジスト、例えばLCDのカラーフィルターに用いられる赤色レジストにより厚さ1.2μmで形成されている。さらに、このカラーフィルター層による段差を無くすため、PMMA (メタクリル樹脂)等の透明有機絶縁層が、例えば1.8μmの厚さで形成されている。
記録用光導電層12は、放射線を吸収し電荷を発生する光導電物質であり、アモルファスセレン化合物、Bi12MO20 (M:Ti、Si、Ge)、Bi12 (M:Ti、Si、Ge)、Bi、BiMO(M:Nb、Ta、V)、BiWO、Bi2439、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、MNbO(M:Li、Na、K)、PbO、HgI、PbI、CdS、CdSe、CdTe、BiI、GaAs等のうち少なくとも1つを主成分とする化合物により構成される。この中で特にアモルファスセレン化合物よりなることが好ましい。
アモルファスセレン化合物の場合には、その層中にLi、Na、K、Cs、Rb等のアルカリ金属を0.001ppmから1ppmまでの間で微量にドープしたもの、LiF、NaF、KF、CsF、RbF等のフッ化物を10ppmから10000ppmまでの間で微量にドープしたもの、P、As、Sb、Geを50ppmから0.5%までの間添加したもの、Asを10ppmから0.5%までドープしたもの、Cl、Br、Iを1ppmから100ppmの間で微量にドープしたもの、を用いることができる。
特に、Asを10ppmから200ppm程度含有させたアモルファスセレン、Asを0.2%〜1%程度含有させさらにClを5ppm〜100ppm含有させたアモルファスセレン、0.001ppm〜1ppm程度のアルカリ金属を含有させたアモルファスセレンが好ましく用いられる。
また、数ナノから数ミクロンのBi12MO20 (M:Ti、Si、Ge)、Bi12 (M:Ti、Si、Ge)、Bi、BiMO(M:Nb、Ta、V)、BiWO、Bi2439、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、MNbO(M:Li、Na、K)、PbO、HgI、PbI、CdS、CdSe、CdTe、BiI、GaAs等の光導電性物質微粒子を含有させたものも用いることができる。
記録用光導電層12の厚みは、アモルファスセレンの場合100μm以上、2000μm以下であることが好ましい。特にマンモグラフィ用途では150μm以上、250μm以下、一般撮影用途においては500μm以上1200μm以下の範囲であることが特に好ましい。
電荷蓄積層13としては、蓄積したい極性の電荷に対して絶縁性の膜であれば良く、アクリル系有機樹脂、ポリイミド、BCB、PVA、アクリル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド等のポリマーやAs、Sb、ZnS等の硫化物、その他に酸化物、フッ化物より構成される。更には、蓄積したい極性の電荷に対して絶縁性であり、それと逆の極性の電荷に対しては導電性を有する方がより好ましく、移動度×寿命の積が、電荷の極性により3桁以上差がある物質が好ましい。
好ましい化合物としては、AsSe、AsSeにCl、Br、Iを500ppmから20000ppmまでドープしたもの、AsSeのSeをTeで50%程度まで置換したAs(SeTe1−x(0.5<x<1)、AsSeのSeをSで50%程度まで置換したもの、AsSeからAs濃度を±15%程度変化させたAsSe(x+y=100、34≦x≦46)、アモルファスSe−Te系でTeを5−30wt%のもの等が挙げられる。
この様なカルコゲナイド系元素を含む物質を用いる場合、電荷蓄積層の厚みは0.4μm以上3.0μm以下であること好ましく、より好ましくは0.5μm以上2.0μm以下である。この様な電荷蓄積層は、一度の製膜で形成しても良いし、複数回に分けて積層しても良い。
有機膜を用いた好ましい電荷蓄積層としては、アクリル系有機樹脂、ポリイミド、BCB、PVA、アクリル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド等のポリマーに対し、電荷輸送剤をドープした化合物が好ましく用いられる。好ましい電荷輸送剤としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、N,N−ジフェニル−N,N−ジ(m−トリル)ベンジジン(TPD)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリアルキルチオフェン、ポリビニルカルバゾール(PVK)、トリフェニレン(TNF)、金属フタロシアニン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、液晶分子、ヘキサペンチロキシトリフェニレン、中心部コアがπ共役縮合環あるいは遷移金属を含有するディスコティック液晶分子、カーボンナノチューブ、フラーレンからなる群より選択される分子を挙げることができる。ドープ量は0.1から50wt%の間で設定される。
読取用光導電層14は、電磁波特に可視光を吸収し電荷を発生する光導電物質であり、アモルファスセレン化合物、アモルファスSi:H、結晶Si、GaAs等のエネルギーギャップが0.7−2.5eVの範囲に含まれる半導体物質を用いることができる。特にアモルファスセレンであることが好ましい。
アモルファスセレン化合物の場合には、その層中にLi、Na、K、Cs、Rb等のアルカリ金属を0.001ppmから1ppmまでの間で微量にドープしたもの、LiF、NaF、KF、CsF、RbF等のフッ化物を10ppmから10000ppmまでの間で微量にドープしたもの、P、As、Sb、Geを50ppmから0.5%までの間添加したもの、Asを10ppmから0.5%までドープしたもの、Cl、Br、Iを1ppmから100ppmの間で微量にドープしたものを用いることができる。
特に、Asを10ppmから200ppm程度含有させたアモルファスセレン、Asを0.2%〜1%程度含有させさらにClを5ppm〜100ppm含有させたアモルファスセレン、0.001ppm〜1ppm程度のアルカリ金属を含有させたアモルファスセレンが好ましく用いられる。
読取用光導電層14の厚みは、読取光を十分吸収でき、かつ電荷蓄積層13に蓄積された電荷による電界が光励起された電荷をドリフトできれば良く、1μmから30μm程度が好ましい。
なお、放射線画像検出器1の層構成は上記のような層構成に限らず、その他の層を含むものとしてもよく、また各層の材料についても上記各層の作用と同等の作用を有するものであれば上記以外の材料を利用するようにしてもよい。
電流検出部30は、フレキシブル基板32上に信号検出用IC(チャージアンプIC)31を実装した複数のTCP(Tape Carrier Package)を備えており、図1および図2に示す通り、TCPの一方の端部はガラス基板20上において放射線画像検出器1の信号出力用線状電極および共通線状電極と接続されており、TCPの他方の端部は画像処理基板33に接続されている。
画像処理基板33は、各信号出力用線状電極より出力され信号検出用IC31により検出されたアナログ信号をデジタル信号(画像信号)に変換するための不図示のA/D変換器等を備えている。
次に、上記放射線画像検出器1の作用について説明する。
まず、第1の導電層11と第2の導電層15との間に電界を形成する。本実施の形態においては第1の導電層11と第2の導電層15の信号出力用線状電極および共通線状電極との間に不図示の高圧電源を接続し、両者の間にバイアス電圧を印加する。この状態で記録用光導電層12に画像情報を担持する放射線が照射されると、記録用光導電層12内に正と負の電荷が発生し、そのうちの負電荷が上記電圧の印加により形成された電界分布に沿って第2の導電層15の各線状電極方向に集められ、電荷蓄積層13に潜像電荷として蓄積される。潜像電荷の量は照射放射線量に略比例し、この潜像電荷の量が放射線画像を示すことになる。一方、記録用光導電層12内で発生する正電荷は第1の導電層11に引き寄せられて、電圧源から注入された負の電荷と結合して消滅する。
次に、上記のようにして放射線画像検出器1に記録された放射線画像を読み取る際には、信号出力用線状電極の延びる方向と直交する方向に延びる線状の読取光により、信号出力用線状電極の長手方向に沿って放射線画像検出器1の全面を走査することによって、読取光の走査位置に対応する読取用光導電層14内に正負の電荷対が発生し、読取用光導電層14に生じた正電荷は電荷蓄積層13の潜像電荷に引きつけられ、電荷蓄積層13で潜像電荷と電荷再結合し消滅する一方、読取用光導電層14に生じた負電荷は信号出力用線状電極を経て各画素領域に対応する潜像電荷に基づく画像信号としてTCPに出力される。そして、この画像信号をチャージアンプIC31により検出することにより、潜像電荷が担持する放射線画像を読み取ることができる。
上記の放射線画像検出器1の記録用光導電層12、電荷蓄積層13および読取用光導電層14にはアモルファスセレン(a−Se)を主成分とする材料が好適に用いられており、この場合に各層の成膜は真空中で光導電層の材料を加熱蒸発させた真空蒸着により行なわれる。
このような真空蒸着により成膜される層の成膜中に突沸が発生し、さらにこの突沸の上から重ねて蒸着が行なわれると、成膜終了時に突沸上方の蒸着層表面に凹凸が形成されてしまう。
放射線画像検出器では記録時等に各層の積層方向に電界を印加するが、光導電層等の蒸着層の表面に凹凸が生じてしまった放射線画像検出器に電界を印加すると、凹凸部近傍への電界集中が起こり、蒸着層内に意図しない電荷注入が生じて画像欠陥となるおそれがある。
この突沸による影響は、膜の厚さが100μm以上、2000μm以下と比較的厚い記録用光導電層12において特に顕著となるため、本実施の形態の説明では特に記録用光導電層12の製造方法について詳細に説明する。図3は、記録用光導電層12の蒸着時におけるガラス基板20の温度の推移を示すグラフである。
本実施の形態では以下の手順により放射線画像検出器1の製造を行った。
蒸着機内のセルAにはSe原料,セルBにはAs20%Se原料,セルCにはセルAと同じSe原料をセットした後、第2の導電層15を既に形成してある20cm×30cmの平面ガラス基板20を蒸着機内の上部にセットし、さらに該ガラス基板20に熱電対をセットした。本蒸着機は外部からの熱媒体により温度制御できるようになっている。原料と基板のセットが終了した後、真空引きを行った。
ガラス基板20の通常蒸着時温度は45℃とした。ガラス基板20の温度が45℃となり、蒸着機内が所定の真空度に到達したところで、セルAの通電を開始し、15℃/分の速度でセル温度を昇温させ、260℃に設定されたセルAから膜厚10μのセレンA層(読取用光導電層14)を蒸着させた。蒸着はセルAの温度が260℃となった時点から開始し、蒸着時間は60分とした。
次に、ガラス基板20の温度が45℃の状態でセルBの通電を開始し、70℃/分の速度でセル温度を昇温させ、340℃に設定されたセルBから膜厚1μのセレンB層(電荷蓄積層13)を蒸着させた。蒸着はセルBの温度が340℃となった時点から開始し、蒸着時間は20分とした。
最後に、図3に示すグラフの通り、ガラス基板20の温度を60℃まで上昇させた状態でセルCの通電を開始し、15℃/分の速度でセル温度を昇温させ、セルCの温度が260℃となった時点からセレンC層(記録用光導電層12)の蒸着を開始し、蒸着開始時間から45分が経過した時点でガラス基板20の温度を通常蒸着時温度である45℃に戻し、蒸着開始時間から180分経過するまで蒸着を行い、膜厚200μのセレンC層(記録用光導電層12)を蒸着させた。
通常蒸着時温度に対する温度上昇幅をΔt(℃)、蒸着時間に対する基板温度上昇時間の割合をΔm(%)とした場合、この時のΔt×Δmは375となる。
上記の蒸着後、セルCの温度が十分に下がったところでリークを行い、ガラス基板20を取り出した。
このようにして製造された記録用光導電層12の表面に発生した全ての突起中心部の断面サンプルから、突起周辺部の溝の深さ、幅及び、突起高さ/幅を算出した。その結果、突起周辺部の溝の深さが3μm以上で、かつ突起高さ/幅が0.3以上の突起は、100cmあたりの平均数で0個で、しかもセレンC層(記録用光導電層12)では結晶化は見られなかった。
このように、突沸の影響が大きく表れる蒸着時間の前半部において基板の温度を通常蒸着時温度よりも上昇させることにより、アモルファスセレンの結晶化を防止しつつ蒸着層の表面をなだらかにさせることが可能となる。
また、上記以外の態様とした場合の例を示す。図4は、記録用光導電層12の蒸着時において、通常蒸着時温度を45℃、蒸着時間を180分に固定し、通常蒸着時温度に対する温度上昇幅と、蒸着時間に対する基板温度上昇時間の割合とを各々変化させた場合の結果を示す表である。
例1は、蒸着時間の全期間に渡ってガラス基板20の温度を45℃にしたものであり、突起周辺部の溝の深さが3μm以上で、かつ突起高さ/幅が0.3以上の突起は20個/100cmで、記録用光導電層12では結晶化は見られなかった。なお、この時のΔt×Δmは0となる。
例2は、蒸着時間の全期間に渡ってガラス基板20の温度を47℃にしたものであり、突起周辺部の溝の深さが3μm以上で、かつ突起高さ/幅が0.3以上の突起は20個/100cmで、記録用光導電層12では結晶化は見られなかった。なお、この時のΔt×Δmは200となる。
例3は、蒸着時間の全期間に渡ってガラス基板20の温度を50℃にしたものであり、突起周辺部の溝の深さが3μm以上で、かつ突起高さ/幅が0.3以上の突起は10個/100cmで、記録用光導電層12では結晶化が若干発生した。なお、この時のΔt×Δmは500となる。
例4は、ガラス基板20の温度を50℃まで上昇させた状態で蒸着を開始し、蒸着開始時間から90分が経過した時点でガラス基板20の温度を通常蒸着時温度である45℃に戻し、蒸着開始時間から180分経過するまで蒸着を行なったものであり、突起周辺部の溝の深さが3μm以上で、かつ突起高さ/幅が0.3以上の突起は12個/100cmで、記録用光導電層12では結晶化は見られなかった。なお、この時のΔt×Δmは250となる。
例5は、ガラス基板20の温度を55℃まで上昇させた状態で蒸着を開始し、蒸着開始時間から60分が経過した時点でガラス基板20の温度を通常蒸着時温度である45℃に戻し、蒸着開始時間から180分経過するまで蒸着を行なったものであり、突起周辺部の溝の深さが3μm以上で、かつ突起高さ/幅が0.3以上の突起は8個/100cmで、記録用光導電層12では結晶化は見られなかった。なお、この時のΔt×Δmは330となる。
例6は上記実施の形態で説明した通りである。
例7は、ガラス基板20の温度を70℃まで上昇させた状態で蒸着を開始し、蒸着開始時間から30分が経過した時点でガラス基板20の温度を通常蒸着時温度である45℃に戻し、蒸着開始時間から180分経過するまで蒸着を行なったものであり、突起周辺部の溝の深さが3μm以上で、かつ突起高さ/幅が0.3以上の突起は0個/100cmであるが、記録用光導電層12では結晶化が多量に発生した。なお、この時のΔt×Δmは425となる。
以上の例で示した通り、記録用光導電層12の蒸着においては225<Δt×Δm<400を満たすように設定することにより、記録用光導電層12に結晶化を発生させることなく突起の発生を少なくさせることが可能であることが確認された。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。例えば、蒸着時間の前半部において基板の温度を通常蒸着時温度よりも上昇させる場合、必ずしも蒸着開始時間の最初から温度を上昇させる必要はなく、前半部の一部の期間で温度を上昇させてもよい。また本願の製造方法は、記録用光導電層以外の層を蒸着する際にも適用することが可能である。また放射線画像検出器の構成については、直接変換方式のものに限らずシンチレーターを併用する方式のものでもよい。また読出方式についても、上記の光読出方式のものに限らずTFT読出方式のものでもよい。
本発明の製造方法を用いて製造した放射線画像検出器の概略構成を示す上面図 図1中のII−II線断面図 記録用光導電層の蒸着時における基板温度の推移を示すグラフ 記録用光導電層の蒸着時において、通常蒸着時温度を45℃、蒸着時間を180分に固定し、通常蒸着時温度に対する温度上昇幅と、蒸着時間に対する基板温度上昇時間の割合とを各々変化させた場合の結果を示す表
符号の説明
1 放射線画像検出器
11 第1の導電層
12 記録用光導電層
13 電荷蓄積層
14 読取用光導電層
15 第2の導電層
20 ガラス基板
30 電流検出部
31 信号検出用IC
32 フレキシブル基板
33 画像処理基板

Claims (3)

  1. 基板上に、アモルファスセレンを主成分とする材料を真空蒸着させてなる蒸着層を、少なくとも一層以上有してなる放射線画像検出器の製造方法であって、
    少なくとも一層の前記蒸着層の蒸着時には、蒸着時間の前半部において前記基板の温度を通常蒸着時温度よりも3〜25℃の範囲で上昇させることを特徴とする放射線画像検出器の製造方法。
  2. 前記通常蒸着時温度に対する温度上昇幅をΔt(℃)、蒸着時間に対する前記基板温度上昇時間の割合をΔm(%)としたとき、225<Δt×Δm<400を満たすことを特徴とする請求項1記載の放射線画像検出器の製造方法。
  3. 蒸着時間の最初から基板温度を上昇させることを特徴とする請求項2記載の放射線画像検出器の製造方法。
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