本発明の1つの目的は、小型で取り扱い易いサイクロン分離式の集塵部を備えた電気掃除機を提案することにある。
本発明の他の目的は、抵抗が小さい、つまり、高い吸込仕事率を有し、塵埃捕捉(集塵)性能が高いサイクロン分離式の集塵部を備えた電気掃除機を提案することにある。
本発明の更に他の目的は、捕捉した微細塵を飛散しないように確実に保持しておくことができるサイクロン分離式の集塵部を備えた電気掃除機を提案することにある。
本発明の更に他の目的は、サイクロン分離筒から空気を排出する内筒に毛髪や、犬や猫などのペットの毛,糸くずなどが巻き付くのを防いだサイクロン分離式の集塵部を備えた電気掃除機を提案することにある。
そこで、本発明は、含塵空気を遠心分離により除塵するサイクロン分離筒の下部に、含塵空気を流入する入口部と、前記サイクロン分離筒の上部に集塵ケースに至る連通口とを設けた電気掃除機において、前記サイクロン分離筒の内部に設けた内筒の筒部に、該内筒の根元側から先端側へ螺旋状の隔壁を設け、該隔壁の高さと、前記内筒の筒部の高さを略等しくしたことを特徴とする。
また、含塵空気を遠心分離により除塵するサイクロン分離筒に、含塵空気を流入する入口部と、前記サイクロン分離筒の外筒にふた状に構成した内筒を取り付け、この内筒を通じてサイクロン分離筒の空気を排気する電気掃除機において、前記サイクロン分離筒の内部に設けた内筒の筒部に、該内筒の根元側から先端側へ螺旋状の隔壁を設け、該隔壁に沿って外筒と内筒の気密面を設けたことを特徴とする。
また、含塵空気を遠心分離により除塵するサイクロン分離筒に、含塵空気を流入する入口部と、前記サイクロン分離筒に、ふた状に構成した内筒をサイクロン分離筒の外筒に取り付け、前記内筒を通じてサイクロン分離筒の空気を排気する電気掃除機において、前記サイクロン分離筒の内部に設けた内筒の筒部に、該内筒の根元側から先端側へ螺旋状の隔壁と、前記入口部側から筒部へ案内壁を設け、該案内壁と筒部にサイクロン分離筒の空気を排気する開口部を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、上向きに旋回流を発生させるサイクロン分離筒と、この側面に集塵ケースを配置して、掃除機本体に装着したことにより、小型で取り扱い易いサイクロン分離式の集塵部を実現することができる。
また、本発明によれば、内筒の隔壁を螺旋状に上方に持上げているので、低風量で動作する掃除機でも、塵埃は前記サイクロン分離筒内を上昇する強い作用を与えられ、塵埃を集塵ケースへ搬送することが可能である。
さらに本発明によれば、サイクロン分離筒から空気を排出する内筒の筒部に毛髪や、犬や猫などのペットの毛,糸くずなどが巻き付くことを防ぐことにより、掃除機の吸い込み力が低下し難いサイクロン分離式の集塵部を実現できる。
さらにまた、本発明によれば、サイクロン分離筒から空気を排出する内筒の筒部に毛髪や、犬や猫などのペットの毛,糸くずなどが巻き付くことを防ぐことにより、メンテナンス性能を向上したサイクロン分離式の集塵部を実現できる。
本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す電気掃除機の外観斜視図である。図2は、この掃除機本体の斜視図である。図3は、この掃除機本体の上蓋を開いた状態を示す斜視図である。図4は、この掃除機本体の上蓋を開いて、サイクロン分離筒と集塵ケースを取り外した状態を示す斜視図である。図5は、上蓋と上ケースを取り除いた平面図である。図6は、この掃除機本体内の空気の流れを示す模式図である。
この実施形態における電気掃除機は、図1に示すように、掃除機本体1とホース2と手元操作管3と伸縮継ぎ手管4と吸口5を備え、掃除機本体1と手元操作管3をホース2で接続し、この手元操作管3に伸縮継ぎ手管4を介して吸口5を接続して使用する。
掃除機本体1は、電動送風機(後述する)を内蔵し、この電動送風機の吸気力によって吸口5から吸気することによって該吸気流に乗せて塵埃を吸い込み、吸い込んだ含塵空気を伸縮継ぎ手管4と手元操作管3とホース2を介して掃除機本体1に吸い込ませ、サイクロン分離式の集塵部で塵埃捕捉(集塵)した後に機外に排気する。
掃除機本体1は、図2から図5に示すように、下ケース101と上蓋102の間に、サイクロン分離筒104と一体となった集塵ケース105を着脱可能に縦置き装着し、下ケース101と上ケース150の間にフィルターケース113と、このフィルターケース113に取り付ける補助フィルター112と電動送風機107とコードリール110とを内蔵する。また、下ケース101は、この掃除機本体1を床面に走行させるための走行車輪208と案内車輪(図示せず)を備えている。さらに、上ケース150の上部にはハンドル207が転回可能に取り付けられており、掃除機本体1を持ち運ぶ事ができる。
上蓋102は、上ケース150の上側後部に転回可能に取り付けている。この上蓋102を閉じた状態において、サイクロン分離筒104の入口管115とホース接続口部116とが気密状態に当接し、集塵ケース105とフィルター枠140とが気密状態に当接し、フィルター枠140とフィルター枠163とが気密状態に当接し、フィルター枠163と補助フィルター112が収納されるフィルターケース113との間が気密状態に当接している。また、サイクロン分離筒104の下部の排気口120と集塵ケース105の下部に設けた連絡通路145とが気密状態に当接している。ここで、サイクロン分離筒104の軸方向は鉛直方向を向いているが、鉛直方向でなく斜め方向に傾いていてもかまわない。
この掃除機本体1は、図6に示すように、ホース2を介して含塵空気を入口管115より、サイクロン分離筒104に流し入れて、下側から上側に旋回させることにより遠心分離作用で塵埃を分離して、上部の連通口117から上部開口118を通して集塵ケース105に塵埃を搬送する。サイクロン分離筒104からの排気の一部は内筒131を通り、サイクロン分離筒104の下部に設けた排気口120から排気される。また、サイクロン分離筒104に流入した空気の一部は、集塵ケース105に流れ込み、第1のフィルター106によって塵埃を捕捉する。集塵ケース105の排気は第1のフィルター106の後方にある集塵ケース排気口144から、第2のフィルター161、補助フィルター112の順に通して電動送風機107に吸込ませる。この時サイクロン分離筒104からの排気は前記排気口120から連絡通路145、サイクロン部流出口146を介して、集塵ケース排気口144からの排気と合せて、第2のフィルター161、および、補助フィルター112を通して電動送風機107に吸い込ませる。この電動送風機107からの排気はフィルター108を介して、一部は排気流路(図示せず)を介し、一部はコードリール110に流してこれらを冷却し、その後に機外に放出される。
つまり、排気口120から流出する空気流の風量Aと、集塵ケース排気口144から流出する空気流の風量Bのサイクロン分離筒104で分流した空気流は、第2のフィルター161の上流側で合流し、この第2のフィルター161に流入する。そして、この空気流は第2のフィルター161で微細塵を集塵された後、電動送風機107に吸引される。
ここで、サイクロン分離筒104の内表面や、集塵ケース105の内表面に、クリヤー系UV硬化型コーティング処理をしている。このため、前記サイクロン分離筒104内に塵埃が流入し、塵埃が遠心分離され、前記集塵ケース105に流入する際に、このサイクロン分離筒104内の表面や、集塵ケース105の内面に塵埃が衝突し、こすれた場合でも、表面に傷が入りにくく、汚れを付着しにくくするととともに耐摩擦性、耐汚染性を向上させることができる。このため、サイクロン分離筒104の外筒135や、集塵ケース105を透明のプラスチック材で製作した場合でも、塵埃のたまり具合を目視で確認することができる。
また、上蓋102を透明のプラスチック素材で製作しておけば、図2に示すように上蓋102を閉じた際、この上蓋102がサイクロン分離筒104や、集塵ケース105を覆う場合でも、塵埃のたまり具合は目視で確認することができる。
また、サイクロン分離筒104や、集塵ケース105は帯電防止樹脂剤を用いて成形したり、これらの表面に帯電防止剤を塗布することにより、前記サイクロン分離筒104や、集塵ケース105に塵埃が付着しにくくなり、清掃回数を減らすことができる。
次に、図5を参照して、掃除機本体1内部の配置について説明する。ホース接続口部116は上方から見て掃除機本体1の幅方向の中央にあり、かつ、前記掃除機本体1の前面に配置している。サイクロン分離筒104の中心軸は幅方向の中央からずらして位置し、サイクロン分離筒104の略接線方向に空気を流入させる入口管115とホース接続口部116が直線状になるように配置されている。また、集塵ケース105はサイクロン分離筒104の中心軸とは幅方向の反対側に設置される。同様に、電動送風機107はサイクロン分離筒104の中心軸とは幅方向の反対側に設置され、その前面には補助フィルター112と、この補助フィルター112を収容するフィルターケース113とが設けられている。コードリール110は電動送風機107の横に設置され、幅方向でサイクロン分離筒104の中心軸と同じ方向に設置されている。
このように配置したことで、本体の長さを短くでき、小型軽量を達成できる。また、サイクロン分離筒104の入口部分に曲りなどを設ける必要が無いため、損失を小さくできる効果が得られる。
ここで、前記サイクロン分離筒104で遠心分離された塵埃が連通口117を通じてサイクロン分離筒104から流出する方向は、サイクロン分離筒104内での旋回方向で、かつ、サイクロン分離筒104の接線方向である。このため、本実施の形態では、サイクロン分離筒104の連通口117と、この連通口117と連通する集塵ケース105の上部開口118の両者を、前記集塵ケース105内の開閉する第1のフィルター106から最も離れた電気掃除機本体1の前面側(ホース接続口部116側)に配置することができる。ここで、サイクロン分離筒104で遠心分離された塵埃は、開閉する第1のフィルター106付近から堆積し、サイクロン分離筒104の連通口117と、この連通口117と連通する集塵ケース105の上部開口118側へと、順に堆積していくので、前記集塵ケース105に塵埃が充填されるまで、塵埃が前記連通口117と前記上部開口118を塞ぎにくい。つまり、前記集塵ケース105の容積を有効利用することができる。
ここで、サイクロン分離筒104と集塵ケース105の詳細について、図7から図14を参照して説明する。図7はサイクロン分離筒104と集塵ケース105の外観斜視図、図8はサイクロン分離筒104と集塵ケース105の図5に示すA−A断面図、図9はサイクロン分離筒104と集塵ケース105の図5に示すB−B断面図、図10はサイクロン分離筒104と集塵ケース105の図5に示すC−C断面図、図11は図9のD−D断面図、図12はサイクロン分離筒104と集塵ケース105を排気側から見た側面図、図13はサイクロン分離筒104と集塵ケース105を下から見た時の平面図、図14は補助フィルター112を上流側から見たときの側面図である。
まず、塵埃の流れについて述べる。塵埃を含んだ空気は、サイクロン分離筒104の連通口117から集塵ケース105の上部に設けられた上部開口118より集塵ケース105に流入する。ここで、網フィルター106aで空気中の比較的大きな塵埃がせき止められ、網フィルター106aの手前から堆積していく。細かい塵埃は、第1のフィルター106で捕捉され、さらに細かい塵埃は第2のフィルター161で集塵される。第2のフィルター161を通過した塵埃は補助フィルター112に流れていく。
また、網フィルター133は、内筒131から流出する空気流にのった繊維塵や、紙などの塵埃が吹き抜けるのを防止するように機能する。この網フィルター133を通過したさらに細かい塵埃は、上記と同様に、第2のフィルター161で集塵され、第2のフィルター161を通過した塵埃は補助フィルター112に流れていく。
サイクロン分離筒104の外筒135には、空気取り入れ口である入口管115が、このサイクロン分離筒104の中心軸方向長さの中央より下部に設けられ、略円筒形をなすサイクロン分離筒104の略接線方向に空気が入るように設置されている。サイクロン分離筒104の中央より上部に連通口117が設けられ、集塵ケース105に塵埃とともに空気を流入させる。サイクロン分離筒104の下部には内筒131が設けられ、下部の排気口120につながっている。ここで、内筒131にネジなどで内筒キャップ152を取り付け、排気口120と連絡通路145間は弾性シール部材153を介し、外筒135と内筒131は弾性シール部材151を介して取り付ければ気密を取り易い。内筒131は筒部134と、この筒部134に螺旋状に巻き付いた隔壁132と、入口管115と前記筒部134を結ぶ案内壁137と、前記隔壁132の外周側に配置した外壁139で構成され、該隔壁132の最も高い部分の高さと、前記筒部134の高さを略等しくしている。ここでは、案内壁137の高さも前記筒部134の高さと略等しくしている。また、筒部134には網フィルター133として樹脂繊維性の網を筒部134と一体にインサート成形により構成している。網フィルター133は図8に示すように、筒部134の側面の円筒部分に構成してもよく、筒部134の側面の円筒部分と案内壁132とに構成してもかまわない。
ここで、前記内筒131の筒部134は、前記隔壁132の最も高い部分の高さと略等しく構成しているので、サイクロン分離筒104から空気を排出する内筒131の筒部134に毛髪や、犬や猫などのペットの毛,糸くずなどが巻き付くことを防ぐことができる。また、毛髪などの塵埃が内筒の131の筒部134に巻き付こうとしても、この筒部134に一周巻きつくことができず、これらの塵埃はサイクロン分離筒104内を上昇する旋回空気流により、上方へ移動し、集塵ケース105へと搬送される。このため、内筒134の排気口面積の減少を防げるので、掃除機の吸い込み力が低下しにくい。さらに、毛髪などの長い塵埃がサイクロン分離筒104内にとどまらず、集塵室に搬送されることで、このサイクロン分離筒104内の気流の乱れを抑制できるので、掃除機の吸い込み力が低下しにくくできる。
さらに、内筒131の筒部134に毛髪や、犬や猫などのペットの毛,糸くずなどが巻き付くことを防ぐことにより、メンテナンス性能を向上したサイクロン分離式の集塵部103を実現できる。なお、内筒131の構成を以上のようにすれば、サイクロン分離筒104の上から下に含塵空気を流入させた場合や、サイクロン分離筒104を横置きにし、旋回流の中心軸が略水平方向に配置した場合でも同様の効果が得られる。
ここで、網フィルター133は、繊維塵や、紙などの塵埃が内筒131から吹き抜けるのを防止するように機能するが、この網フィルター133を案内壁132にも設けた場合、網フィルター133の面積を大きくすることができ、網フィルター133の目詰まりを遅らせる事ができる。
ここで、サイクロン分離筒104の内部や、内筒131の網フィルターが汚れた場合は、上蓋102を上に開け、この状態で集塵ケース105の上部の取っ手123を持って、サイクロン分離筒104と集塵ケース105を取り出す。ここで、レバー142を下側に押して、集塵ケース105からフィルター枠140とフィルター枠163の両者を一緒に開いて、集塵ケース105内の塵埃とポケット162内の塵埃を廃棄する。次に、サイクロン分離筒104から内筒キャップ152と一体になった内筒131を取り外し、清掃用ブラシ168を用いて清掃することができる。
また、網フィルター133にはゴミの色とは違った色、例えば、黄色に着色することにより、使用者は網フィルター133に塵埃が付着したことを目で確認できるので、網フィルター133に繊維塵とか粉塵などが付いて目詰まりしたことを早く見つけることができ、清掃を早期に行うことができる。
また、網フィルター133は前記内筒131の内向きに力を受けるので、前記網フィルター133の内径側に内筒のリブ136を設ければ内筒131の変形を防止できる。ここで、網フィルター133に帯電防止処理を施すと、前記網フィルター133に付着した塵埃が離れやすく、清掃が容易にできる。また、前記網フィルター133に撥水処理を行えば、前記内筒131を水洗いした場合の清掃性が向上する。
ここで、内筒131の筒部134が、この筒部134に螺旋状に巻き付いた隔壁132の最下端まで延びている。このため、網フィルター133を前記筒部134と一体にインサート成形により構成する場合、前記網フィルター133の部材の形状は略長方形とすればよい。このようにすることで、前記筒部134の周方向に一様に前記網フィルター133を構成する部材があるため、成形時に前記筒部134が変形しにくい。また、前記網フィルター133の部材の形状を略長方形にできるので、この部材の材料取りがよくなる。
さらに、内筒131の筒部134が、この筒部134に螺旋状に巻き付いた隔壁132の最下端まで延びているため、網フィルター133を通過して、前記筒部134から排気口120へと流れる空気流の全てが、前記網フィルター133を通過するまで、流路に急拡大部分が無いので、空気流は急激な減速を起こさないため、空気流の流れ方向に逆らった逆圧力勾配を生じにくい。つまり、空気流の下流側である前記筒部131内側から、この空気流の上流側である前記内筒131の外側へと該空気流は逆流しにくいので、この空気流の剥離を抑制でき、前記筒部134から前記排気口120へと流れる空気流で発生する損失が増加するのを防げる。
なお、内筒131の筒部134が、この筒部134に螺旋状に巻き付いた隔壁132より内筒キャップ152側へ延長され、この筒部134の円筒部分に網フィルター133を設けた構成とすれば、サイクロン分離筒104の上から下に含塵空気を流入させた場合や、サイクロン分離筒104を横置きにし、旋回流の中心軸が略水平方向に配置した場合でも同様の効果が得られる。
また、サイクロン分離筒104の外筒135には、空気取り入れ口である入口管115が、このサイクロン分離筒104の中心軸方向長さの中央より下部に設けられているので、前記入口管115に連通するホース接続口部116も、サイクロン分離筒104の中心軸方向長さの中央より下部に配置することができる。このため、前記ホース接続口部116は、掃除機本体1の下部に配置することができるので、使用者が手元操作管3を持って、ホース2を介して前記掃除機本体1を引き回した場合、前記掃除機本体1が転倒しにくく、安定して引き回す事ができる。
さらに、前記ホース接続口部116を前記掃除機本体1の下側に配置できるので、前記ホース接続口部116を上ケース150や下ケース101の下部に設ければよく、これらのケースを上方に延長する必要はない。このためホース接続部116にかかる力を受けるために、下ケース101にかかる曲げモーメントを小さくできるので、下ケースに特別な補強部を設ける必要はなく、小形・軽量化に役立つ。
ここで、前記内筒131の隔壁132は、サイクロン分離筒104内の空気の流れを上方に持上げるように、巻き開始位置138から螺旋状に上方に持ち上がっている。このため、入口管115からサイクロン分離筒104に流入した塵埃は、この螺旋状の隔壁132に沿って上昇するとともに、前記サイクロン分離筒104内を旋回し、遠心分離され、連通口117,上部開口118通じ、集塵ケース105へと搬送される。このように、前記隔壁132を螺旋状に上方に持上げているので、塵埃は前記サイクロン分離筒104内で強い上昇作用を与えられ、DCコードレス掃除機などの毎分1立方メートル以下の低風量で動作する掃除機でも、塵埃を集塵ケース105へ搬送することが可能である。ここでは、サイクロン分離筒104の軸方向は水平方向ではないので、上述の低風量時に、前記サイクロン分離筒104内に流入した比重の大きい塵埃が旋回の途中で、旋回できずに落下し、サイクロン分離筒104に何度も衝突することを防げ、サイクロン分離筒104の傷つきや、破損を防ぐことができる。なお、巻き開始位置138は、案内壁137付近から設けてもかまわない。
ここで、サイクロン分離筒104の内部に設けた内筒131の筒部134に、該内筒131の根元側から先端側へ螺旋状の隔壁132を設け、該隔壁132に略沿って外筒135と内筒131とを弾性シール部材151を介して気密を保つ構成としている。ここで、図8に示すように、外筒135と内筒131の気密は、図の上下方向に付勢することにより気密を保ちやすい。なお、案内壁137の上部付近と当接する部分では外筒135の一部が凹部となるが、この凹部の角部付近をR状にすれば外筒135の強度を確保できる。
外筒135と内筒131をこのように取り付けているので、サイクロン分離筒104内に不要な凹凸を設けなくてよい。このため、サイクロン分離筒104に塵埃が流入した場合、塵埃は集塵ケース105へとスムースに搬送されるので、サイクロン分離筒104内にたまり難く、サイクロン分離筒104の清掃メンテナンスの回数を減少することができる。また、サイクロン分離筒104内の気流の乱れを抑制できるので、吸込仕事率を向上することができる。なお、シール部材151とシール部材153は一体で構成することもでき、一体で構成した場合は成形を一度で行え、組立ての手間も省略できる。
なお、案内壁137の高さは、入口管115の高さよりも高くすれば、入口管115から流入した空気流れと、サイクロン分離筒104内を旋回した空気流れが、干渉や、混合しにくく、これらに付随する乱れを防ぐとともに、流入時の急拡大も防げ、損失を低減することができる。
ここで、図には示さないが、螺旋状の隔壁132の勾配が一定でない構成にし、内筒131の排気口120付近までの勾配を大きくすれば、この排気口120の高さ方向寸法を大きくすることができ、この排気口120の面積を大きくすることができ、流速を低減できるため、通気損失を低減することができる。
また、入口管115の断面形状を周囲の角が取れた略長方形の形状とすれば、入口管115からサイクロン分離筒104に空気流れが流入する際、外筒135の壁と内筒131の隔壁132に沿って流入できるので、円形断面の入口管115の場合に比べて、サイクロン分離筒104に流入する際の急拡大による流れの損失を低減できる。このように、入口管115の断面形状を略長方形の形状とした場合、ホース2の接続部2aの断面形状をホース側の円形から、入口管115の断面形状である略長方形の形状へと緩やかに形状変化することにより、流れの剥離などによる損失を抑えて、サイクロン分離筒104に流れを流入することができる。
集塵ケース105には、サイクロン分離筒104の連通口117に連通する上部開口118が設けられている。集塵ケース105の排気側には、フィルター枠140に取り付けられた第1のフィルター106が設けられている。フィルター枠140はその両面が開口となっていて、下部に設けた開閉軸143を中心として回動するように設けられ、フィルター枠140が閉まったときには、集塵ケース105とフィルター枠140は気密状態を保って当接している。
第1のフィルター106の集塵性能は、フィルター材の能力で決定されるが、μmオーダーの塵埃までを分離できる能力を持たせると良い。ここで、第1のフィルター106は発泡性の洗える素材のプラスチックでできたスポンジ、あるいは、水洗いできる不織布、あるいは、水洗できる濾紙材などを用いるのが望ましい。また、発泡性のプラスチック材を用いると、塵埃中に含まれる細かい繊維塵などの通過を防止できるので、第2のフィルター161で取り除きにくい繊維塵が第2のフィルター161側に流入するのを防げるのでなお良い。
また、フィルター枠140には、網フィルター106aがインサート成形等で一体に設けられている。網フィルター106aの集塵性能は、網の目の細かさで決定されるが、集塵性能を高くしすぎると目詰まりも早くなり易いので、全体の集塵能力との兼ね合いで決定するのが望ましい。この網フィルター106aに帯電防止処理を施すと、該網フィルター106aに付着した塵埃が離れやすく、清掃用ブラシ168を用いて清掃すれば良く、清掃は容易である。さらに、該網フィルター106aに撥水処理などを施すと、水洗いした時の乾燥時間が短くてすむ。
第1のフィルター106の下流側には、フィルター枠163が設けられ、フィルター枠140とフィルター枠163が閉まったときには、この両者は気密状態を保って当接している。フィルター枠163はその両面が開口となっていて、フィルター枠140の下部に設けた開閉軸143中心として、フィルター枠140と同軸で回動するように設けられている。フィルター枠163の上部にはレバー142が設けられ、フィルター枠140とフィルター枠163を集塵ケース105側に気密状態を保つように係止している。なお、本実施の形態例では、開閉軸143が下にあり、フィルター枠140とフィルター枠163が、図中上部から開くことになるので、集塵ケース105を横に向けて塵埃を捨てるのが良い。詳細な構造は省くが、開閉軸を上部に設け下部にレバーを設ける構造や、上部にレバーと開閉軸の両者を設けて下部にクランプなどを設ける構造とすれば、集塵ケース105内とポケット162内の塵埃を捨てるときに、塵埃がフィルター枠140にかかりにくくなるので、なお良い。
フィルター枠163には第2のフィルター161が一体に成形されている。第2のフィルター161は、フィルター材をひだ折りに形成し、山折りの折り線方向は床面に略垂直方向としている。この第2のフィルター161には洗える不織布、洗える濾紙材などを用いる。さらに、撥水処理を施すと水洗い時の乾燥時間を短くできるので、なお良い。また、第2のフィルター161には下流側の山の頂部にプラスチック製の補強部166が第2のフィルター161と一体に形成されている。なお、補強部166は山部全てに渡って設けているのではなく、除塵装置164の除塵ばね170が当たる部分の近くのみに設けている。これにより、除塵ばね170が与えた第2のフィルター161への振動が第2のフィルター161全体に伝わり易くなるので第2のフィルター161を除塵する能力を高くできる。また、補強部166を山部の一つの端まで、例えば、本実施の形態例では、下側の端まで伸ばせば、多少除塵能力が低下するがかまわない。また、第2のフィルター161下流側の山の頂部にプラスチック製の補強部166を設けているので、フィルターの有効面積の低下を抑えることができ、通気抵抗の増大を防止できる。
さらに、第2のフィルター161を清掃するときに清掃用ブラシ168を用いて第2のフィルター161をこすった場合、補強部166があるので、前記第2のフィルター161のフィルター材が図中左右方向に逃げないので、第2のフィルター161を除塵する能力を高めることができる。なお、第2のフィルター161に帯電防止処理を施すと、第2のフィルター161を除塵時に塵埃が剥離し易く、第2のフィルター161を除塵する能力を高めることができる。
第1のフィルター106は、フィルター枠140と第2のフィルター161とで挟み込まれ、なおかつ、フィルター枠140に設けたリブで固定されて設置されている。第1のフィルター106に塵埃が溜まってくると抵抗が増加し、第1のフィルター106は下流側へと力を受けるが、第2のフィルター161の山部で押さえられているので、流れ方向に局部的に圧縮されることもなく、第1のフィルター106の変形を防ぐことができる。このため、第1のフィルター106の目のつぶれによる流れ抵抗の増加を抑制でき、吸い込み力を維持しやすい。
また、第2のフィルター161には、内筒131を通じてサイクロン分離筒104の排気口120から流出した空気と、集塵ケース105の排気口144を流出した空気が合流して通過するようにしているので、この第2のフィルター161を各流路に区切る必要はない。つまり、この第2のフィルター161は、一つの除塵部で除塵を行う事ができる。
また、第2のフィルター161には、内筒131及び排気口120から流出した空気と、集塵ケース排気口144を流出した空気が合流して通過するようにしている。これにより、各流路毎に区画したフィルターを設けるよりも、1つの第2のフィルター161を用いる方が流路面積を大きくする事ができ、フィルターの目詰まりを遅らせる事ができる。さらに、集塵ケース105に吸引したゴミの量によって、排気口120から流出した空気の風量と、集塵ケース排気口144を流出した空気の風量の比は変化していく。第2のフィルター161は、フィルター材をひだ折りに形成し、山折りの折り線方向は床面に略垂直方向としているので、サイクロン部流出口144を流出した空気は、第2のフィルター161の山と山の間を通過しながらこの第2のフィルター161を通過する事ができる。さらに、これらの各風量が合流して混合してから1つの第2のフィルター161を通過するので、フィルターを通過する空気の流速は過大にならず、通気抵抗の増大や、フィルターの集塵率の低下を防げる。
また、フィルター枠163には、両端部をネジ2個所で設置された円弧状のガイド165を設けている。ここで、除塵装置164は、フィルター枠163の上部にある支点167に回動可能にネジ止めされ、下端部がガイド165に挟み込まれている。使用者は除塵装置164のほぼ中央部にある手持ち部を持ち、図14の左右方向に除塵装置164を動かすことによって、第2のフィルター161を除塵することができる。
この除塵装置164には、除塵ばね170が取り付けられ、除塵装置164を左右に動かすことによって、除塵ばね170の図中の下方部分が第2のフィルター161の補強部166と順次衝突する。ここで、除塵ばね170は、この除塵ばね170の軸を中心とする回転方向に変形しながら、除塵フィルター161の補強部166への衝突、この補強部166を乗り上げ、この補強部166を乗り越して、隣の山に設けた補強部への衝突を繰り返す。この結果、除塵ばね170は、第2のフィルター161に振動を与えて、この振動により第2のフィルター161に付着している塵埃を剥離する。ここで、第2のフィルター161の下面部と接合する部分のフィルター枠163形状は、第2のフィルター161のひだ折りの山谷に概略一致した鋸歯状になっている。さらにこの下部には、フィルター枠163の下流側と下側は閉じられ、上流側は開放された形状となっている。つまり、第2のフィルター161の下端部はフィルター枠140の下端部より、上側になるように設置されている。従って、第2のフィルター161のフィルター面から剥離した塵埃は、第2のフィルター161の山の間を通って、集塵ケース105の下方で、連絡通路145の下部にあるポケット162側に塵埃が移行し易くなっており、このポケット162に塵埃が蓄積する。
なお、集塵ケース105のゴミを捨てる前には、除塵装置164を動かして、第2のフィルター161から塵埃を剥離し、塵埃をポケット162に入れてから前記集塵ケース105のゴミ捨てを行えばよい。なお、ゴミ捨て後に除塵動作をしても良く、この場合は、ポケット162の入口側に落ちた塵埃は、次の掃除機運転時にサイクロン流出口146を流れる気流によって、ポケット162の入口部に形成される2次流れの渦により、ポケット162の奥に搬送されるとともに、塵埃の舞い上がりを防止できる。なお、塵埃の密度は空気密度より大きいので、慣性によって塵埃は空気流の2次流れによる渦の急転向には追随できずポケット162の奥に飛ばされ、このポケット162の奥から塵埃はたまるようになる。
また、実際の掃除時にも、掃除の前後に、掃除機本体1を移動させるときに、この掃除機本体1に衝撃が加わり、第2のフィルター161から塵埃が剥離するが、この塵埃が下側に落ちてきたときにも、上記で説明したように、次の掃除機運転時にポケット162に搬送されていく。従って、除塵装置164が取り付いていなくても、ポケット162を設けることにより、ポケット162にフィルター面から剥離した塵埃が堆積するので、塵埃が再飛散するのを抑えることができる。なお、このポケット162は連絡通路145の下側にあるが、第2のフィルター161側から遠ざかるような方向に奥行きを持たせることにより、高さ方向の寸法を大きくしなくても、塵埃の収容量を大きくできる。
第1のフィルター106の清掃は、フィルター枠140とフィルター枠163を開けて、フィルター枠140から第1のフィルター106を取り出して洗うなどして行うことができる。また、網フィルター106aに付着したゴミは、集塵ケース105の下面の固定用リブにはめ込んで保持している清掃用ブラシ168を取り出して、この清掃用ブラシ168で網フィルター106aの表面をこすることや、水洗いすることにより清掃できる。第2のフィルター161の清掃は、フィルター枠140とフィルター枠163を開けた状態にして、集塵ケース105を含めて、清掃用ブラシ168を使って第2のフィルター161の表面をこすることや水洗いすることにより行えばよい。集塵ケース105の下面に清掃用ブラシ168を取り付けているので、網フィルター106a等の清掃時に使用者は清掃用ブラシ168を集塵ケース105の下面から取り出して簡単に使うことができる。なお、清掃用ブラシ168の刷毛部分の高さを除塵フィルター161のひだ折りの山の高さより高くしておくと、刷毛部分が除塵フィルター161のひだ折りの谷の部分にまで届くので、奥の塵埃を掻き出し易い。
なお、フィルター枠140とフィルター枠163とが同じ開閉軸143を中心として回動でき、かつ、それぞれを個別に外すことができなくなっているので、フィルター枠140とフィルター枠163とを付け忘れて運転するのを防げる。
集塵ケース105は、壁105bにより塵埃収納部105aと連絡通路145に分けられ、この連絡通路145の下部にはポケット162を設けている。フィルター枠140は、塵埃収容部105aに面する部分に網フィルター106aを設け、壁105bと接合する部分は弾性シール部材により気密を保って当接するようになっており、塵埃収容部105aからサイクロン流出口146へゴミが流出するのを防いでいる。また、サイクロン分離筒104の排気口120と連絡通路145も弾性シール部材153を介し気密を保って当接している。
一方、連絡通路145とポケット162との間の壁105cはフィルター枠140とは気密状態になっていない。これは、第2のフィルター161から除塵時に剥離した塵埃がポケットに収納され易くするためである。
フィルター枠163の外周側には、フィルター枠163と一体となった弾性シール部172があり、電動送風機107の前に設けられた補助フィルター112を収納するフィルターケース113と気密を保って当接している。なお、集塵ケース105を掃除機本体1に収納したときに、弾性シール部172は垂直方向ではなく、上側が電動送風機107側に傾斜して設けている。このため、集塵ケース105を掃除機本体1に押し込むことで、気密が取れ易くなるとともに、掃除機本体1から集塵ケース105の着脱をし易くする。さらに、フィルター枠163の弾性シール部172はフィルター枠140とも気密も取れるので、シール部材の数を低減できるという効果も有る。
なお、集塵ケース105を掃除機本体1に収納したときに、弾性シール部140bは垂直方向ではなく、上側が電動送風機107側に傾斜して設けられている。このため、集塵ケース105を掃除機本体1に押し込むことで、気密が取れ易くなるとともに、掃除機本体1から集塵ケース105の着脱をし易くする。
補助フィルター112は、図14に示すように、フィルター材をひだ折りに形成し、山折りの折り線方向は床面に略平行方向としている。このように補助フィルター112を形成しているので、補助フィルター112で捕捉された塵埃が、下方に移行しにくいので、補助フィルター112の下部に塵埃が落ちることが少なくなり、掃除機本体1に塵埃が落ちることが少ないという効果も得られる。
補助フィルター112は集塵部に付随する最後段のフィルターとなるので、サブμmまでの塵埃を高い確率をもって捕塵できることが望ましい。これを実現する方法として、フィルター材として帯電処理を施したものを用いる方法がある。あるいは、フィルター材として、サブμmの線径をもつ細い繊維で形成された目の細かい不織布を用いることによって、同様の捕塵性能を実現できる。この場合、目の細かい不織布の前後に、目が粗く、線径が大きく、剛性の高い不織布を補強材として溶着することにより、剛性が高く、サブμmまでの塵埃を捕塵できるフィルター材とすることができる。更にこれらを全て洗える材料で作れば、水洗いも可能になる。たとえば、ポリエステル系の材料とかPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの材料を使っている。なお、この場合は帯電防止処理を行えば、補助フィルター112に付着した塵埃が剥離しやすく、清掃が容易にできる。
なお、補強材を厚くすると、着色あるいは、印刷により色をつけることもし易くなるので、補強材は前側を厚くしている。ここで、前側を厚くすると、この部分に貯えられる塵埃量を多くできるので、補助フィルター112の目詰まりを遅くできるという効果も得られる。なお、補助フィルター112の色はゴミと違った色にした方が良く、本実施の形態例の場合青色に着色している。このため、使用者は補助フィルター112の汚れを目視で確認でき、水洗いをするなどして、補助フィルター112のフィルターを除塵することにより、吸い込み力を回復できる。
補助フィルター112はフィルター材をひだ折りに形成し、山折りの折り線方向は、床移動時に床面に略平行方向になるように、枠体181に一体に成形されている。さらに、複数の補強リブ182を用いて、枠体181側からフィルター材が剥離するのを防止している。この補強リブ182には、手持ち用突起183が補助フィルター112の下部で、かつ、図中手前側に突き出している。また、サイクロン分離筒104と、集塵ケース105を一体に構成して、掃除機本体1に取り付ける場合、取り外しを考慮して、上部の前後方向が、下部の前後方向長さに比べて長くなるように抜き勾配を設けている。これに応じて、フィルターケース113も床面に対して、斜めに傾斜して配置しているので、フィルターケース113の下側の方が上側に比べて前後方向が長い。このため、手持ち用突起183は、下側に設ければ、フィルターケース113を大きくする必要はなく、掃除機本体1の小型化が図れる。
このように構成しているので、補助フィルター112を清掃するときは、手持ち用突起183を手でつかみ、手前に引き出して取り出すことができる。このとき、補助フィルター112の上流側の面を上にして取り出す事ができるので、掃除機本体1に塵埃が落下しにくい。
以上述べてきたフィルター材の塵埃の集塵性能は、より細かい塵埃を捕塵できる順に、補助フィルター112、第2のフィルター161、第1のフィルター106、網フィルター106aであり、これらは流れの下流側から順に並んでいる。このように構成することにより、それぞれのフィルターに到達する塵埃の総量(容積)が上流側から徐々に減少していくので、目詰まりし易いフィルターになればなるほど、受け持つ塵埃の量が少なくなるので、全体としての目詰まりを遅くできるという効果も得られる。
掃除機本体1内に入ってきた塵埃は、そのほとんどが集塵ケース105内に溜められるので、ごみ捨ては集塵ケース105を掃除機本体1からとり取り出して塵埃を廃棄すれば良い。ごみ捨ては集塵ケース105より塵埃があふれないうちに行うのが望ましい。このため、集塵ケース105には、図7に示すように上部開口118付近の位置にごみ捨てライン155を設けておき、使用者がこれを参考にごみ捨てを行えるようにしている。ごみ捨てライン155は、水平あるいは鉛直を向いているのではなく、集塵ケース105内にごみが溜まっていく時には、上部開口118に近接した部分が最後にごみで埋まるので、ごみのたまり具合から曲線や、くの字が傾いた形状に設定している。
なお、本実施の形態では、掃除機本体1内の空気の流れを図6に示すように2つの経路に分けているので、集塵ケース105内の塵埃には空気の流れ方向に圧力差を生じ、この圧力差によって塵埃が常時圧縮される。この圧力差は、溜められた塵埃が多くなるほど大きくなるので、塵埃が多くなればなるほど圧縮量が多くなるという特徴を併せ持っている。従って、集塵ケース105内の塵埃は、網フィルター106aの手前で層状に堆積していき、かつ微細な粉塵も一緒に堆積していく。このため、繊維塵の間に粉塵がまぎれ込んでいくので、ごみ捨て時に粉塵が舞い上がりにくくなるという効果も得られる。
さらに、サイクロン分離筒104の排気口120を通過する空気流の風量が、集塵ケース排気口144を空気が通過しないときに比べて、少なくなるので、サイクロン分離筒104の通気抵抗を小さくできる。従って、掃除機の吸込仕事率をより大きくすることができるという特徴を持っている。
また、サイクロン分離筒104内で、サイクロン分離筒104の入口管115から該サイクロン分離筒104内に含塵空気が流入して該サイクロン分離筒104内で旋回することにより塵埃を遠心分離して該サイクロン分離筒104内の上の方に持ち上げ、集塵ケース105側に搬送する。この際、前記サイクロン分離筒104から、前記集塵ケース105を通じて第1のフィルター106から排気される空気の流れが有るため、前記サイクロン分離筒104で遠心分離された塵埃は、前記集塵ケース105側へ流入しやすくなり、塵埃は前記集塵ケース105側へ瞬間分離されるので、捕塵効率を高くできる。
さらに、前記サイクロン分離筒104で遠心分離され、前記集塵ケース105側へ搬送された塵埃は、前記サイクロン分離筒104へ逆流しにくいので、前記集塵ケース105側へ搬送された塵埃が再飛散すること無く、捕塵効率を高くすることができる。ここで、集塵ケース105内にリブ156や、リブ157を配置して、前記集塵ケース105内に生成される渦を抑制している。このため、前記集塵ケース内105に流入した塵埃が、再びサイクロン分離筒104に流入するのを抑えることができる。塵埃がサイクロン分離筒104へ再飛散するのを抑えることができるので、捕塵効率を向上することができる。
さらに、内筒131の網フィルター133に塵埃が付着した場合には、サイクロン分離筒104から除塵した空気を排気する排気口120から排気される空気流の風量が減少するため、第1のフィルター106を通過した前記集塵ケース105からの排気口である集塵ケース排気口144の空気流の風量が増加する。このため、前記内筒131の前記網フィルター133に付着した塵埃は、集塵ケース105に搬送されるという特徴をもつ。
また、前記集塵ケース105から、第1のフィルター106を通過した前記集塵ケース105からの排気口である集塵ケース排気口144の断面積を、サイクロン分離筒104から除塵した空気を排気する排気口120の断面積より大きくしている。このため、第1のフィルター106の断面積を大きくすることができ、前記第1のフィルター106を通過する空気の流速を小さくすることができる。このため、前記第1のフィルター106からの塵埃の吹き抜けを低減できる。さらに、前記第1のフィルター106を空気が通過する際の圧力損失を低減できるので、掃除機の吸込仕事率をより大きくすることができるという特徴を持っている。
また、集塵ケース105内に溜まる塵埃の量が増えると、集塵ケース105を通過するときの通気抵抗が増えるので、集塵ケース105内を流れる風量が低下する。従って、集塵ケース105内に臭いを発生させ易い塵埃が多くたまった時には、この塵埃を通過する空気の量が減り、臭いを掃除機外に出しにくくなるという効果もある。
また、連絡通路145,ポケット162,サイクロン部流出口146内が汚れたときも、集塵ケース105を取り出した状態で簡単に清掃することができる。
また、サイクロン分離筒104の入口管115と内筒131を下に設けたので、上部にサイクロン分離筒104の連通口117と集塵ケース105の上部開口118を設けることができ、集塵ケース105に入った塵埃は、重力で下に落ちるので、サイクロン分離筒104へのこぼれを防止できる。
また、集塵ケース105の上部開口118は、前記集塵ケース105の前方に配置しているので、掃除機本体1を立てて収納する時には、前記集塵ケース105の上部開口118は、前記集塵ケース105の上方に配置していることとなる。この結果、前記集塵ケース105に入った塵埃が、前記サイクロン分離筒104へこぼれるのを防止できる。
また、集塵ケース105をサイクロン分離筒104の側面に配置しているので、掃除機本体1の高さを高くすることなく、サイクロン分離筒104の長さ方向を長くできるので、旋回流によるごみの分離能力を高くできるという特徴を持っている。
なお、入口管115付近に、電動送風機107が停止した場合に入口管115を塞ぎ、前記電動送風機107を運転した場合には、前記入口管115と前記サイクロン分離筒104を連通するように、前記サイクロン分離筒104内に配置した内筒131の案内壁137側へ回動する弁を設けてもかまわない。この場合、電動送風機107の運転を停止し、サイクロン分離筒104を取り出した時の塵埃のこぼれを防止することができる。
次に図15を用いて本発明の第2の実施形態を説明する。図15は、サイクロン分離筒104と集塵ケース105の断面図である。なお、本実施形態では、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、その説明は省略する。ここでは、サイクロン分離筒104の内部に設けた内筒131の筒部134に、該内筒131の根元側から先端側へ螺旋状の隔壁132を設け、前記内筒131の外壁139と前記サイクロン分離筒131の外筒135の間に、前記隔壁132が螺旋状に変化している部分に隙間147を設けている。この隙間147は前記外筒135の半径方向に5mm程度の間隔を有している。このため、掃除機運転中は前記サイクロン分離筒104内に旋回流があり、前記隙間147内にも旋回流が生じており、前記外壁139と前記外筒135の間の前記隙間147にゴミが侵入したとしても、この隙間147にゴミはたまりにくく、集塵ケース105へと搬送される。また、この隙間147を設けておくと、外筒135と内筒131の外壁139間をシールする弾性シール部材151は、螺旋状の隔壁132に沿う必要はなく、略円筒のシール面を構成すればよいので気密をとりやすい。このため、掃除機の真空度の低下を防げ、吸込仕事率の向上につながる。さらに、前記弾性シール部材151は、略円筒面を構成すればよいので、シール面の長さを短くすることができ、内筒131をサイクロン分離筒104から取り外し易いため、前記内筒131を取り外してメンテナンスし易い。なお、シール部材151とシール部材153は一体で構成することもでき、一体で構成した場合は成形を一度で行え、組立ての手間も省略できる。さらに、前記隙間147を空気流の下流側であるサイクロン分離筒104の上方に行くに従って拡大すれば、この隙間147にゴミがつまりにくくすることができる。また、前記隙間147にゴミが詰まった場合でも前記内筒131をサイクロン分離筒104から容易に取り外す事ができるので、詰まったゴミを容易に取り除きやすい。