以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る画像処理装置を有する画像形成装置を含む画像形成システムの構成を示している。
画像形成システム1は、図1に示すように、画像形成装置10とコンピュータ20とを有している。なお、実施の形態1では、画像形成装置10はプリンタを想定しているので、これ以降の説明においては、画像形成装置10をプリンタ10と表記する。
コンピュータ20は、アプリケーション21、プリンタドライバ22、およびモード情報送信部23を備えている。
アプリケーション21は、入力色空間すなわち光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の色空間(以下「RGB色空間」という。)で表現される印刷データを生成してプリンタドライバ22へ渡す。
プリンタドライバ22は、渡された印刷データを、ページ記述言語(Page Description Language:PDL)で記述されるデータ(以下「PDLデータ」という。)に変換し、この変換したPDLデータをRGB色の画像データとしてプリンタ10に向けて送信する。
コンピュータ20においては、ユーザは、図示しない入力装置を操作することにより、ブラック(K)色をプロセスブラック(PK)色で印刷するモード(例えばPKモード)を指定(入力)することができるようになっている。
PKモードが選択されない場合は、デフォルトのモード情報としてK色をPK色で印刷しないモードつまりK色のトナーで印刷するモード(例えば通常モード)が指定(設定)されるようになっている。
モード情報送信部23は、プリンタドライバ22によって画像データ(PDLデータ)がプリンタ10に向けて送信されると、その画像データに対応してユーザによってPKモードが指定されている場合には、モード情報としてのPKモード情報をプリンタ10に向けて送信し、一方、そのPKモードが選択されていない場合は、モード情報として通常モード情報をプリンタ10に向けて送信する。
ちなみに、ユーザは、アプリケーション21によって生成された印刷対象の印刷データに対応して、図示しない入力装置に対し所定の操作を行うことによりPKモードを指定することになる。モード情報送信部23は、プリンタドライバ22から画像データが送信された場合に、その入力装置からのPKモードを取得しているか否かに応じてPKモード情報または通常モード情報をプリンタ10に向けて送信する。
実施の形態1では、PKモードによる画像処理および印刷処理をプリンタ(画像形成装置)10に実施させたい場合は、コンピュータ20において印刷対象の印刷データ毎にPKモードを指定するようになっている。
プリンタ(画像形成装置)10は、図1に示すように、画像処理を実行するコントローラ100、レーザ発光の制御を実行するレーザ発光制御部101、およびトナー残量検知部102を備えている。
また、プリンタ10は、帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、および定着プロセスを含む電子写真プロセス(画像形成処理)を実施する画像出力装置(図示せず)を備えている。
コントローラ100は、画像処理を実行する画像処理装置の機能を有し、色変換処理部110、UCR/墨生成部120、TRC処理部130、ハーフトーン(HalfTone)処理部140、PWM処理部150、PWM合成部161,162,163、PWM合成判断部170、モード情報判断部180、TRC保持部191、およびスクリーン(Screen)保持部192を備えている。
コントローラ100では、R色、G色、B色の各色(以下「RGB色」という。)で表現される画像データを取得すると、図示しないデコンポーザが、その画像データを、RGB色の色毎にラスタデータ(ビットマップデータ)に画像展開する。
色変換処理部110は、デコンポーザ(図示せず)によって画像展開処理されたRGB色の色毎のラスタデータを色材の三原色すなわちシアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色の各色(以下「CMY色」という。)で表現される画像データC0、M0、Y0に色変換し、この色変換した画像データC0、M0、Y0をUCR/墨生成部120へ出力する。ここで、色材は例えばトナーを想定している。
UCR/墨生成部120は、色変換されたCMY色の画像データC0、M0、Y0を出力色空間すなわちC色、M色、Y色、K色の各色(以下「CMYK色」という。)の色空間で表現される画像データC1,M1,Y1,K1に変換し、これらCMYK色の画像データC1,M1,Y1,K1をTRC処理部130へ出力する。なお、UCR/墨生成部120は、UCR(Under Color Removal:下色除去)という、CMY色で表される下色をK色で置き換える処理(下色除去処理)を実施する。
TRC処理部130は、UCR(下色除去)処理後のCMYK色の画像データC1,M1,Y1,K1について、TRC保持部191から与えられるTRC(Tone Reproduction Curve:階調再現特性曲線)に関するデータ(TRCデータ)を基に階調補正を行い、階調補正後の画像データC2,M2,Y2,K2をハーフトーン処理部140へ出力する。
ハーフトーン(HalfTone)処理部140は、階調補正後のCMYK色の画像データC2,M2,Y2,K2に対し、スクリーン保持部192から与えられるスクリーンデータを基にスクリーン処理を施し、このスクリーン処理された画像データC3,M3,Y3,K3をPWM処理部150へ出力する。
PWM処理部150は、スクリーン処理後のCMYK色の画像データC3,M3,Y3,K3を基に、それらの画像データの階調に応じたパルス幅を有するパルス信号つまりパルス幅変調(PWM)によるパルス信号(パルス信号データ)を生成する。これらのパルス信号データは、レーザを点灯させるためのビデオ(Video)信号データとなる。
また、PWM処理部150は、上述したようにして生成したC色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)C4、M色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)M4およびY色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)Y4をそれぞれPWM合成部161、PWM合成部162およびPWM合成部163へ出力し、また生成したK色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)K4についてはPWM合成判断部170へ出力する。
PWM合成部161は、C色のビデオ信号データC4とPWM合成判断部170から与えられるK色のビデオ信号データK4とを重畳し、この重畳したビデオ信号データC5をレーザ発光制御部101のC色用のレーザユニット101Cへ出力する。
PWM合成部162は、M色のビデオ信号データM4とPWM合成判断部170から与えられるK色のビデオ信号データK4とを重畳し、この重畳したビデオ信号データM5をレーザ発光制御部101のM色用のレーザユニット101Mへ出力する。
PWM合成部163は、Y色のビデオ信号データY4とPWM合成判断部170から与えられるK色のビデオ信号データK4とを重畳し、この重畳したビデオ信号データY5をレーザ発光制御部101のY色用のレーザユニット101Yへ出力する。
PWM合成判断部170は、モード情報判断部180からの情報に応じて、K色のビデオ信号データK4をPWM合成部161,162,163へ出力、またはK色のビデオ信号データK4をビデオ信号データK5(=ビデオ信号データK4)としてレーザ発光制御部101のK色用のレーザユニット101Kへ出力する。
モード情報判断部180は、コンピュータ20のモード情報送信部23から送信されるモード情報(PKモード情報または通常モード情報)を受信するとともに、トナー残量検知部102から送信されるトナー残量情報を受信し、これら受信したモード情報およびトナー残量情報を基に、所定の処理を実施する。
すなわち、モード情報判断部180は、トナー残量情報が「トナー残量が所定の閾値に達した旨」で、かつモード情報が「PKモード情報」のときは、TRC保存部191に対しTRC選択情報を出力し、またスクリーン保持部192に対しスクリーン選択情報を出力し、さらにPWM合成判断部170に対しPWM合成情報を出力する。
また、モード情報判断部180は、上記モード情報が「通常モード情報」のとき、またはトナー残量情報が「トナー残量が所定の閾値を超えている旨」のときは、TRC保存部191、スクリーン保持部192およびPWM合成判断部170に対し、通常モードに応じた処理をすべき旨を出力する。
本実施の形態1では、TRC選択情報は、PKモードの処理に最適なTRC(階調再現特性曲線)を選択してTRC処理部130へ出力すべき旨の指示情報を意味する。
また、スクリーン選択情報は、PKモードの処理に最適なスクリーンを選択してハーフトーン処理部140へ出力すべき旨の指示情報を意味する。
さらに、PWM合成情報は、K色のパルス信号とCMY色のパルス信号とを合成(重畳)させるべく、K色のパルス信号をPWM合成部161.162,163へ送信すべき旨の指示情報を意味する。
また、本実施の形態1では、通常モードに応じた処理をすべき旨は、TRC保存部191に対するものでは通常モード処理用のTRCデータを選択してTRC処理部130へ出力すべき旨の指示情報を意味し、またスクリーン保持部192に対するものでは通常モード処理用のスクリーンを選択してハーフトーン処理部140へ出力すべき旨の指示情報を意味し、さらにPWM合成判断部170に対するものではK色のパルス信号をレーザ発光制御部101のレーザユニット101Kのみに送信すべき旨の指示情報を意味する。
TRC保持部191は、PKモードの処理に最適なTRC(階調再現特性曲線)に関するデータ(TRCデータ)、通常モード処理用のTRCデータなど、複数のTRCデータを保持しており、モード情報判断部170からの情報に応じて所定のTRCデータをTRC処理部130へ出力する。PKモードの処理に最適なTRCデータはPKモード専用のTRCデータを意味する。
スクリーン(Screen)保持部192は、PKモードの処理に最適なスクリーンデータ、通常モード処理用のスクリーンデータなど、複数のスクリーンデータを保持しており、モード情報判断部170からの情報に応じて所定のスクリーンデータをハーフトーン処理部140へ出力する。
レーザ発光制御部101は、C色用、M色用、Y色用、K色用の4つのレーザユニット101C,101M,101Y,101Kを備えている。これらのレーザユニットは、例えば半導体レーザなどレーザ装置と該レーザ装置を駆動するためのレーザ装置制御部とを有しており、ROS(Raster Output Scanner:光学走査装置)に対応するものである。レーザ発光制御部101つまりレーザユニット(前記レーザ装置と前記レーザ装置制御部との協働)によって露光プロセスが実施される。
トナー残量検知部102は、CMYK色の色毎に、トナーの残量を検知するものであり、例えば図2に示すように、トナー消費量計算部102a、トナー残量データ保持部102bおよびトナー残量判断部102cを備えている。
本実施の形態1では、PWM処理部150は、パルス幅変調(PWM)によるパルス信号の生成機能に加えて、CMYK色の色毎にパルス信号のオン時間を積算して、この積算値に対応するピクセル(画素)を計数する機能(計数機能)も有している。
つまり、PWM処理部150は、パルス信号のオン時間にかかわる所定の単位時間あたりのピクセルのカウント数とパルス信号のオン時間の積算値とに基づき、その積算値に対応するピクセルのカウント数を求め、このピクセルカウント値をピクセルカウント情報として出力する。なお、このピクセルカウント値は、例えば印刷対象の印刷データ単位毎またはページ単位毎にリセット(0にリセット)されるようになっている。
トナー消費量計算部102aは、PWM処理部150からのピクセルカウント情報を基にトナー消費量を算出するとともに、このトナー消費量情報と現在のトナー残量情報とを基に新たなトナー残量を算出し、この新たなトナー残量に関するデータ(トナー残量データ)をトナー残量データ保持部102bに格納(上書き)する。
なお、例えば新規のトナーカートリッジ(図示せず)が画像形成(電子写真プロセス)を実施する画像出力装置(図示せず)に装着される毎に、上述した現在のトナー残量情報はリセットされるようになっており、リセット後の現在のトナー残量情報は、当該トナーカートリッジに収容されているトナーの規定のトナー量(未使用状態でのトナー残量)となる。
トナー残量データ保持部102bは、CMYK色の色毎にトナーのトナー残量に関するトナー残量データを保持する。これらの色のトナーのトナー残量データ(トナー残量情報)は、トナー消費量計算部102aによって更新されるととともに、トナー残量判断部102cによって参照される。
トナー残量判断部102cは、トナー残量データ保持部102bに保持されているK色のトナーに関するトナー残量データを参照して、K色のトナーに関するトナー残量が予め設定される所定の閾値に達しているか否か(所定の閾値以下か否か)を判断し、この判断した結果、トナー残量が当該所定の閾値に達している場合にはトナー残量が所定の閾値に達している旨を、またトナー残量が当該所定の閾値を超えている場合はトナー残量が所定の閾値を超えている旨を、それぞれトナー残量情報としてモード情報判断部180へ出力する。
ここで、予め設定される所定の閾値は、例えば、K色のトナーによるK色の色再現がそのトナーのトナー量不足に起因して所望の色再現にならない場合のトナー残量値に設定される。
また、トナー残量判断部102cは、トナー残量データ保持部102bに保持されているCMY色のトナーに関するトナー残量データを参照して、CMY色の各色のトナーに関するトナー残量が0(ゼロ)であるか否かを判断し、この判断した結果、CMY色の何れかの色のトナーのトナー残量が0の場合にはその旨を、またCMY色の全ての色のトナーについてのトナー残量が0ではない場合はその旨を、それぞれトナー残量情報としてコントローラ100のモード情報判断部180へ出力する。
コントローラ100においては、モード情報判断部180が受け取ったトナー残量判断部102cからのトナー残量情報がCMY色の何れかの色のトナーのトナー残量が0である旨のときは、色変換処理、UCR/墨生成処理、TRC処理、ハーフトーン処理、PWM処理など画像処理は実行されないようになっている。換言すれば、印刷処理は実施されないようになっている。
実施の形態1において、色変換処理部110、UCR/墨生成部120、TRC処理部130、ハーフトーン処理部140は、およびPWM処理部150は画像データ変換手段に対応し、PWM合成部161、PWM合成部162、PWM合成部163、およびPWM合成判断部170は画像データ生成手段に対応し、TRC処理部130は階調補正手段に対応し、ハーフトーン処理部140はスクリーン処理手段に対応し、PWM処理部150はパルス信号生成手段に対応し、PWM合成部161、PWM合成部162、PWM合成部163、およびPWM合成判断部170は信号重畳処理手段に対応する。
次に、プリンタ(画像形成装置)10の画像処理装置(コントローラ)100の画像処理について、図3を参照して説明する。
図3は、その画像処理の処理手順を示すフローチャートである。
コンピュータ20において、プリンタドライバ22がRGB色の画像データR,G,Bをプリンタ10に向けて送信するとともに、モード情報送信部23がモード情報をプリンタ10に向けて送信すると、プリンタ(画像形成装置)10では、コントローラ100が、これらの画像データR,G,Bおよびモード情報を受信するとともに(ステップS101)、トナー残量検知手段102から送信されたトナー残量検知結果(トナー残量情報)を受信する(ステップS102)。
上記画像データR,G,Bは、デコンポーザ(図示せず)による画像展開処理が施された後、色変換処理部110に入力され、上記モード情報およびトナー残量情報はモード情報判断部180に入力される。
モード情報判断部180は、受け付けたトナー残量情報を基に、K色のトナーのトナー残量が所定の閾値に達しているか否か(所定の閾値以下か否か)を判断し(ステップS103)、この判断した結果、K色のトナーのトナー残量が所定の閾値に達した場合(所定の閾値以下の場合)は、受け付けたモード情報がPKモード情報であるか否か(PKモードが選択されているか否か)を判断する(ステップS104)。
モード情報判断部180は、受け付けたモード情報がPKモード情報の場合は、上記トナー残量情報を基に、CMY色の何れかの色のトナーのトナー残量が0(ゼロ)であるか否かを判断し(ステップS105)、この判断した結果、CMY色の全ての色のトナーのトナー残量が存在する場合(何れの色のトナーにおいてもトナー残量は0(ゼロ)ではない場合)は、TRC保存部191に対しTRC選択情報を出力し、またスクリーン保持部192に対しスクリーン選択情報を出力し、さらにPWM合成判断部170に対しPWM合成情報を出力する。
TRC保存部191は、TRC選択情報を受け付けると、保持しているTRC(階調再現特性曲線)データの中からPKモードの処理に最適なTRCデータ(PKモード専用のTRCデータ)を選択してTRC処理部130へ出力する。また、スクリーン保持部192は、スクリーン選択情報を受け付けると、保持しているスクリーンデータの中からPKモードの処理に最適なスクリーンデータを選択してハーフトーン処理部140へ出力する。
ところで、デコンポーザ(図示せず)による画像展開処理が施された後の画像データR,G,Bを受け付けた色変換処理部110は、その画像データR,G,Bに対する色変換処理を実施し、この色変換処理後の画像データC0,C0,Y0をUCR/墨生成部120へ出力する(ステップS106)。
UCR/墨生成部120は、受け付けた画像データC0,C0,Y0に対するUCR処理(墨生成処理を含む)実施し、このUCR処理後の画像データC1,C1,Y1,K1をTRC処理部130へ出力する(ステップS107)。
TRC保存部191が、上述したようにPKモードの処理に最適なTRCデータを選択してTRC処理部130へ出力すると(ステップS108)、TRC処理部130は、そのTRCデータに基づき、受け付けた画像データC1,M1,Y1,K1に対するTRC処理を実施し、このTRC処理後の画像データC2,M2,Y2,K2をハーフトーン処理部140へ出力する(ステップS109)。
スクリーン保持部192が、上述したようにPKモードの処理に最適なスクリーンデータを選択してハーフトーン処理部140へ出力すると(ステップS110)、ハーフトーン処理部140は、そのスクリーンデータに基づき、受け付けた画像データC2,M2,Y2,K2に対するハーフトーン処理(スクリーン処理)を実施し、このハーフトーン処理(スクリーン処理)後の画像データC3,M3,Y3,K3をPWM処理部150へ出力する(ステップS111)。
PWM処理部150は、受け付けた画像データC3,M3,Y3,K3を基にPWM処理(CMYK色の色毎にパルス幅変調によるパルス信号の生成処理)を実施するとともに、CMYK色の色毎に、対応するビデオ信号データ(パルス信号データ)をPWM合成部161,162,163、およびPWM合成判断部170へ出力する(ステップS112)。
PWM合成判断部170は、PWM合成情報を受け付けるとともにK色のビデオ信号データK4を受け付けると、そのK色のビデオ信号データK4をC色用、M色用、Y色用のPWM合成部161,162,163へ出力する。しかしPWM合成判断部170は、K色のビデオ信号データK5(=ビデオ信号データK4)をレーザユニット101Mへ出力しない。
これらのPWM合成部161,162,163では、K色のビデオ信号データK4とPWM処理部150からのCMY色のビデオ信号データとを重畳する重畳処理(PWM重畳処理)を実施し、この重畳処理の結果(重畳後のビデオ信号データ)を、対応するレーザ発光制御部101のレーザユニットへ出力する(ステップS113)。
すなわち、PWM合成部161は、PWM処理部150からのC色のビデオ信号データC4とPWM合成判断部170からのK色のビデオ信号データK4とを重畳したC色のビデオ信号データC5をレーザユニット101Cへ出力する。
また、PWM合成部162は、PWM処理部150からのM色のビデオ信号データM4とPWM合成判断部170からのK色のビデオ信号データK4とを重畳したM色のビデオ信号データM5をレーザユニット101Mへ出力する。
さらにPWM合成部163は、PWM処理部150からのY色のビデオ信号データY4とPWM合成判断部170からのK色のビデオ信号データK4とを重畳したY色のビデオ信号データY5をレーザユニット101Yへ出力する。
これらのレーザユニット101C、レーザユニット101Mおよびレーザユニット101Yでは、それぞれC色、M色およびY色のビデオ信号データに基づきレーザ発光したレーザ光を、対応する像担持体に向けて照射する。そして、CMY色のビデオ信号データに基づく印刷処理(画像形成処理)が実施される(ステップS114)。
ちなみに、K色のビデオ信号データを受信していないレーザユニット101Kからは、レーザ発光は行われない。
本実施の形態1において、プロセスブラック(PK)色でK色を再現するときに、K色の画像データを生成するとともに、このK色の画像データに対しPKモードの処理に最適なTRCデータ(専用のTRCデータ)に基づく専用のTRC補正処理を施すようにしているのは、次の理由からである。
すなわち、K色(100%)をPK色(100%)で色再現するようにした場合、換言すれば、K色(100%)をPK色(100%)=C色(100%)+M色(100%)+Y色(100%)で変換した場合、単位面積あたりのトナー量が多すぎるため、転写不良、定着不良、トナー消費の増大などの問題が起こる。
そのため、K色(100%)を例えばPK色(80%)で色再現するようにする。すなわちK色(100%)をPK色(80%)=C色(80%)+M色(80%)+Y色(80%)と変換されるような、専用のTRCデータに基づく専用のTRC補正処理を実施するようにする。
そして、UCR/墨生成部120によって生成されたC色、M色、Y色、K色の各画像データに対し、専用のTRC補正処理を施した後に各色のハーフトーン処理を施し、さらにパルス幅変調(PWM)処理を施すことにより、C色、M色、Y色、K色の各画像データをビデオ信号に変換するようにする。このようにしてビデオ信号に変換されたC色、M色、Y色、K色の各ビデオ信号に関して、K色のビデオ信号をC色、M色、Y色の各色のビデオ信号と重畳させることで、背景など通常部分とPK部分とを異なるスクリーンで描画することができる。
また、本実施の形態1において、PK色でK色を再現するときに、K色の画像データを生成するとともに、このK色の画像データ(ビデオ信号データ)とC色、M色、Y色の各色の画像データ(ビデオ信号データ)とを重畳させ、重畳されたC色、M色、Y色の各色のビデオ信号データを基にレーザ発光するようにしているのは、次の理由からである。
すなわち、K色をPK色で再現するときに、色味が付いてしまうことがあり、その原因としては、スクリーン線数、スクリーン角度が異なるために、各色のスクリーンの重なり比率がばらばらであることが挙げられる。例えば、PK色で描いたパッチをミクロで見ると、そのパッチは、C色、M色、Y色、R色(M色+Y色)、G色(C色+Y色)、B色(C色+M色)、PK色(C色+M色+Y色)の7色で構成されていることがわかる。このカラーバランスが均等に近いほど無彩色に近づく。
そこで、PK色で描画する部分に関してC色、M色、Y色の3色のスクリーン線数、スクリーン角度、スクリーン位相を一致させることで、各色のスクリーンの重なりを完全に一致させるようにする。
これにより、PK色で描画する部分にかかわるパッチは、ミクロで見たときにPK色のみで構成されるようになり、色味が抑制され、無彩色に近いPK色で描画する(色再現する)ことができる。
ところで、ステップS103においてK色のトナー残量が所定の閾値を超えていると判断したモード情報判断部180は、TRC保存部191、スクリーン保持部192およびPWM合成判断部170に対し、通常モードに応じた処理をすべき旨を出力する。
TRC保存部191は、TRC選択情報を受け付けると、通常モード処理用のTRCデータを選択してTRC処理部130へ出力する。また、スクリーン保持部192は、スクリーン選択情報を受け付けると、通常モード処理用のスクリーンデータを選択してハーフトーン処理部140へ出力する。
デコンポーザ(図示せず)による画像展開処理が施された後の画像データR,G,Bを受け付けた色変換処理部110は、その画像データR,G,Bに対する色変換処理を実施し、この色変換処理後の画像データC0,C0,Y0をUCR/墨生成部120へ出力する(ステップS115)。
UCR/墨生成部120は、受け付けた画像データC0,C0,Y0に対するUCR処理(墨生成処理を含む)実施し、このUCR処理後の画像データC1,C1,Y1,K1をTRC処理部130へ出力する(ステップS116)。
TRC保存部191が、上述したように通常モード処理用のTRCデータを選択してTRC処理部130へ出力すると、TRC処理部130は、そのTRCデータに基づき、受け付けた画像データC1,M1,Y1,K1に対するTRC処理を実施し、このTRC処理後の画像データC2,M2,Y2,K2をハーフトーン処理部140へ出力する(ステップS117)。
スクリーン保持部192が、上述したように通常モード処理用のスクリーンデータを選択してハーフトーン処理部140へ出力すると、ハーフトーン処理部140は、そのスクリーンデータに基づき、受け付けた画像データC2,M2,Y2,K2に対するハーフトーン処理(スクリーン処理)を実施し、このハーフトーン処理(スクリーン処理)後の画像データC3,M3,Y3,K3をPWM処理部150へ出力する(ステップS118)。
PWM処理部150は、受け付けた画像データC3,M3,Y3,K3を基にPWM処理(CMYK色の色毎にパルス幅変調によるパルス信号の生成処理)を実施し、CMYK色の色毎に、対応するパルス信号をPWM合成部161,162,163、およびPWM合成判断部170へ出力する(ステップS119)。
PWM合成部161は、PWM処理部150からのC色のパルス信号データC4をC色のパルス信号データC5(=パルス信号データC4)としてレーザユニット101Cへ出力する。
また、PWM合成部162は、PWM処理部150からのM色のパルス信号データM4をM色のパルス信号M5(=パルス信号データM4)としてレーザユニット101Mへ出力する。
さらにPWM合成部163は、PWM処理部150からのY色のパルス信号データY4をY色のパルス信号データY5(=パルス信号データY4)としてレーザユニット101Yへ出力する。
PWM合成判断部170は、通常モードに応じた処理をすべき旨を受け付けるとともにK色のパルス信号データK4を受け付けると、そのK色のパルス信号データK4をK色のパルス信号データK5(=パルス信号データK4)としてレーザユニット101Kへ出力する。
これらのレーザユニット101C、レーザユニット101M、レーザユニット101Yおよびレーザユニット101Kでは、それぞれC色、M色、Y色およびK色およびのパルス信号データに基づきレーザ発光したレーザ光を、対応する像担持体に向けて照射する。そして、CMYK色のパルス信号データに基づく印刷処理(画像形成処理)が実施される(ステップS120)。
ステップS104においてモード情報がPKモード情報ではないと判断された場合、ステップS105においてCMY色の何れかの色のトナーのトナー残量が0(ゼロ)であると判断された場合、コントローラ100による色変換処理、UCR/墨生成処理、TRC処理、ハーフトーン処理、PWM処理など画像処理は実行されない、すなわち印刷処理は実施されない(ステップS121)。
次に、画像処理装置(コントローラ)100の画像処理について、具体例を挙げて説明する。
ここでは、例えば、図4に示すようなC色(30%)の背景にK色(100%)の文字が配置されている画像を印刷したいときに、モード情報がPKモード情報で、かつK色のトナーの残量が所定の閾値以下の場合の処理例、すなわちK色を使用せずに、CMY色の3色のみで印刷する場合の処理例について説明する。
なお、図4において、C色(30%)やK色(100%)の表記のうち、括弧内の30%や100%など「数字%」は、値「0」から値「255」までの256階調とした場合の値「255」に対する割合を示している。そのため、C色(30%)は階調値「76」のC色を意味し、またK色(100%)は階調値「255」のK色を意味する。
さて、入力色空間で表現されるRGB色の画像データに対し、色変換処理部110による色変換処理、UCR/墨生成部120によるUCR処理および墨生成処理、TRC処理部130によるTRC処理、ハーフトーン処理部140によるハーフトーン処理(スクリーン処理)、およびPWM処理部150によるPWM処理が実施された後においては、CMYK色の4色のビデオ信号データに対応する画像は、図5から図7に示すような4色の画像となる。
また、CMYK色の4色のビデオ信号データに関して、K色のビデオ信号データとCMY色のそれぞれの色のビデオ信号データとを重畳することで、重畳処理後のCMY色の3色のビデオ信号データに対応する画像は、図8から図10に示すような画像となる。
なお、図4〜図10において、点X0と点X3とで形成される線分は、後述する信号の重畳処理を説明するために記載したものであり、画像には含まれない。また、点X0,X1,X2,X3は、主走査方向における位置を示す。
ところで、図5は無色の背景にK色(80%)の文字が配置された画像(ビデオ信号データK4に対応する画像)を示し、図6はC色(30%)の背景において図5に示すK色の文字に対応する文字が白抜きされた画像(ビデオ信号データC4に対応する画像)を示し、図7はM色(0%)およびY色(0%)の画像(ビデオ信号データM4,Y4に対応する画像)を示している。
ここで、図5に示すK色(80%)の文字画像は、例えば図11(a)に示すスクリーン(ドットタイプのスクリーン)で構成されている。また、図6に示すC色(30%)の背景画像は例えば図11(b)に示すスクリーン(ラインタイプのスクリーン)で構成されている。
また、図8はC色(30%)の背景にC色(80%)の文字が配置された画像(ビデオ信号データC5に対応する画像)を示し、図9は無色の背景にM色(80%)の文字が配置された画像(ビデオ信号データM5に対応する画像)を示し、図10は無色の背景にY色(80%)の文字が配置された画像(ビデオ信号データY5に対応する画像)を示している。
ここで、図8に示すC色(30%)の背景画像は例えば図11(b)に示すスクリーン(ラインタイプのスクリーン)で構成されている。また、図8に示すC色(80%)の文字画像、図9に示すM色(80%)の文字画像、および図10に示すY色(80%)の文字画像は、それぞれ例えば図11(a)に示すスクリーン(ドットタイプのスクリーン)で構成されている。
そして、これらの色の画像に対応するトナー画像が重ね合わされることにより、図12に示すよなC色(30%)の背景画像にPK色(80%)の文字画像が配置された画像が得られる。
次に、ビデオ信号の重畳の例として、図4に示す点X0と点X3とで形成される線分に対応する画像にかかわるビデオ信号を考える。
モード情報がPKモード情報であった場合、PWM処理部150から出力されるビデオ信号データK4およびビデオ信号データC4は、それぞれ図13および図14に示すような信号となり、またPWM処理部150から出力されるビデオ信号データM4およびビデオ信号データY4は、それぞれ図15に示すような信号(オフの信号)となる。
PWM合成部161によってC色のビデオ信号データC4(図14参照)にK色のビデオ信号データK4(図13参照)が重畳されるため、重畳後のC色の信号は、図16に示すような信号(ビデオ信号データC5)となる。同様に、PWM合成部162によってM色のビデオ信号データM4(図15参照)にK色のビデオ信号データK4(図13参照)が重畳されるため、重畳後のM色の信号は、図17に示すような信号(M色のビデオ信号データM5)となり、また、PWM合成部163によってY色のビデオ信号データY4(図15参照)にK色のビデオ信号データK4(図13参照)が重畳されるため、重畳後のY色の信号は、図18に示すような信号(ビデオ信号データY5)となる。
なお、図13〜図18に示す点X0,X1,X2,X3は主走査方向における位置を示し、図5〜図10に示す点X0,X1,X2,X3に対応する。
ちなみに、PWM合成判断部170からはK色の信号(ビデオ信号データK5)は出力されない。
そして、図16に示すビデオ信号データC5を含む全てのビデオ信号データC5を基に形成されるトナー画像(図8に対応する画像)と、図17に示すビデオ信号データM5を含む全てのビデオ信号データM5を基に形成されるトナー画像(図9に対応する画像)と、図18に示すビデオ信号データY5を含む全てのビデオ信号データY5を基に形成されるトナー画像(図10に対応する画像)とが重ね合わされ、さらに転写処理および定着処理が施されることで、最終的に出力される画像(印刷物に印刷された画像)は、図12に示したようなC色(30%)の背景画像にPK色(80%)の文字画像が配置された画像となる。
次に、図4に示すようなC色(30%)の背景にK色(100%)の文字が配置されている画像を印刷したいときに、モード情報が通常モード、またはモード情報がPKモード情報で、かつK色のトナーの残量が所定の閾値を超えている場合の処理例について説明する。
この場合、PWM処理部150によるPWM処理が実施された後においては、CMYK色の4色のビデオ信号データに対応する画像は、C色の画像は図6に示す画像であり、M色およびY色の画像は図7に示す画像(何も描画されない)であり、K色の画像は図19に示す画像となる。なお、図19は無色の背景にK色(100%)の文字が配置された画像(ビデオ信号データK4に対応する画像)を示している。
また、PWM合成部161からは図14に示す信号(ビデオ信号データC4=ビデオ信号データC5)がレーザユニット101Cへ出力され、PWM合成判断部170からは図20に示す信号(ビデオ信号データK4=ビデオ信号データK5)がレーザユニット101K出力される。しかし、PWM合成部162およびPWM合成部163からはM色およびY色の各信号は出力されない。
そして、図14に示すC色のビデオ信号データC4(=ビデオ信号データC5)を含む全てのビデオ信号データC4(=ビデオ信号データC5)を基に形成されるトナー画像(図6の画像に対応する画像)と、図20に示すK色のビデオ信号データK4(=ビデオ信号データK5)を含む全てのビデオ信号データK4(=ビデオ信号データK5)を基に形成されるトナー画像(図19の画像に対応する画像)とが重ね合わされ、さらに転写処理および定着処理が施されることで、最終的に出力される画像(印刷物に印刷された画像)は、図4に示したようなC色(30%)の背景画像にK色(100%)の文字画像が配置された画像となる。
次に、実施の形態1の応用例について説明する。
図21は、実施の形態1に係る画像処理装置を有する画像形成装置を含む他の画像形成システムの構成を示している。
図21に示す画像形成システム1Aは、図1に示した画像形成システム1の構成において、モード情報送信部23を削除し、操作パネル200を追加した構成になっている。なお、図21において、図1に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
操作パネル200は、ユーザがモード情報を入力するモード情報入力部210とモード情報送信部220とを有している。
モード情報入力部210は、ユーザがK色をPK色で印刷するPKモードを指定(入力)するためのものであり、モード情報としてのPKモード情報をモード情報送信部220へ出力する。
なお、モード情報入力部210は、PKモードが指定されなかった場合、デフォルトのモード情報として例えばK色をPK色で印刷しないモードつまりK色のトナーで印刷する通常モードをモード情報送信部220へ出力する。
モード情報送信部220は、モード情報としてのPKモード情報または通常モード情報をコントローラ100のモード情報判断部180へ出力する。
上述したように、この画像形成システム1Aは、PKモードの指定をコンピュータ20側で行うようにした画像形成システム1とは、プリンタ10側つまり操作パネル200でPKモードの指定を行うようにした点が相違している。
すなわち、画像形成システム1Aにおいては、操作パネル200によってPKモードが指定された場合は、コンピュータ20から送信されコントローラ100で受信した全ての画像データ(PDLデータ)についてPKモードによる画像処理および印刷処理を実施することができる。
また、画像形成システム1Aにおいては、PKモードまたは通常モードによる画像処理および印刷処理が、プリンタ10が受信した画像データ全てに適用されるようになっているので、TRC処理部130は、モード情報判断部180から送信されたTRC選択情報または常モードに応じた処理をすべき旨に基づきTRC保持部191から送信された最新の所定のTRCデータを保持し、またハーフトーン処理部140は、モード情報判断部180から送信されたスクリーン選択情報または常モードに応じた処理をすべき旨に基づきスクリーン保持部192から送信された最新の所定のスクリーンデータを保持し、さらにPWM合成判断部170は、モード情報判断部180から送信されたPWM合成情報または常モードに応じた処理をすべき旨を保持するようになっている。
そして、TRC処理部130は、UCR/墨生成部120からの画像データに対し、保持している所定のTRCデータを基にTRC処理を施し、またハーフトーン処理部140は、TRC処理部130からの画像データに対し、保持している所定のハーフトーンデータを基にハーフトーン処理を施し、さらにPWM合成判断部170は、保持しているPWM合成情報または常モードに応じた処理をすべき旨に応じた処理を施す。
なお、上述した実施の形態1では、TRC保持部191はTRC選択情報を取得した場合にTRCデータをTRC処理部130へ出力し、スクリーン保持部192はスクリーン選択情報を取得した場合にスクリーンデータをハーフトーン処理部140へ出力するようになっているが、次のようにしてもよい。
すなわち、TRC処理部130は、UCR/墨生成部120からの画像データを受け付けた場合にTRC保持部191に対しTRCデータを要求し、TRC保持部191は、その要求に受け付けた場合に所定のTRCデータをTRC処理部130へ出力する。
また、スクリーン処理部140は、TRC処理部130からの画像データを受け付けた場合にスクリーン保持部192に対しスクリーンデータを要求し、スクリーン保持部192は、その要求を受け付けた場合に所定のスクリーンデータをハーフトーン処理部140へ出力する。
さらに、実施の形態1では、TRC保持部191は、保持している複数のTRCデータ(Kモードの処理に最適なTRCデータ、通常モード処理用のTRCデータなど)の中から所定のTRCデータをTRC処理部130へ出力し、スクリーン保持部192は、保持している複数のスクリーンデータ(PKモードの処理に最適なスクリーンデータ、通常モード処理用のスクリーンデータなど)の中から所定のスクリーンデータをハーフトーン処理部140へ出力するようにしているが、これに限定されることなく、次のようにしてもよい。
すなわち、TRC保持部191は、所定の演算によりTRCデータを生成し、この生成したTRCデータをTRC処理部130へ出力するようにする。
また、スクリーン保持部192も、所定の演算によりスクリーンデータを生成し、この生成したスクリーンデータをハーフトーン処理部140へ出力するようにする。
以上説明したように、実施の形態1では、PKモードが指定された場合に、K色の画像をCMY色のプロセスブラックで描画し、かつ、プロセスブラック部分は、CMY色の各色に関して同じ線数、同じ角度、同じ位相のスクリーンで描画することができ、しかもプロセスブラック部分は、より無彩色に近いプロセスブラックで描画することができる。
これにより、所定の色の色材の残量が所定の量よりも低下した場合であっても、当該所定の色で表現される画像の画質を高めることができる。
図22は、実施の形態1の画像形成システムのハードウェア構成を示している。
画像形成システム1は、図22に示すように、画像形成装置としてのプリンタ10とコンピュータ20とが通信回線30を介して接続される。
コンピュータ20は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)2010、ハードディスクなどの記憶装置2020、RAM(Random Access Memory:随時書き込み読み出しメモリ)などのメモリ2030、表示装置2040、入力装置2050および通信インタフェース(以下「通信I/F」という)2060を備えている。
記憶装置2020は、上記アプリケーション21(図1参照)の機能に対応するアプリケーションプログラム2021、上記プリンタドライバ22(図1参照)の機能に対応するソフトウェア(プログラム)としてのプリンタドライバ2022、アプリケーション22によって作成された印刷データなど各種のデータを記憶する。
メモリ2030は、記憶装置2020から読み出されたプログラムやデータを記憶するとともに、プリンタドライバ22によって作成されたPDLデータ(画像データ)など送受データ、通信I/F2060によって受信された受信データを記憶する。
表示装置2040は、作成中あるいは編集中の文書データの表示、印刷処理を実行させたいプリンタの指定、印刷対象の印刷データ(文書データ)の指定、PKモードの設定など印刷にかかわる印刷設定画面を表示する。
入力装置2050は、文書データの作成や編集、上記印刷設定画面に対しての所定の情報の指定や設定を行う。PKモードが設定された場合にはPKモード情報が、またPKモードが設定されない場合はデフォルトとしての通常モード情報が、それぞれメモリ2030に記憶される。
通信I/F2060は、通信回線30を介して、プリンタ10との間でデータの送受信を行うインタフェースである。例えば、通信I/F2060は、PDLデータ(画像データ)、モード情報(PKモード情報または通常モード情報)を、通信回線30を介してプリンタ10に向けて送信する。
CPU2010は、コンピュータ20全体を制御するものであり、例えば、記憶装置2020からメモリ2030へアプリケーションプログラム2021、プリンタドライバ2022を読み込んでこれらのプログラムを実行する。
CPU2010がアプリケーションプログラム2021を実行することによりアプリケーション21が実現され、ユーザはそのアプリケーション21を使用してアプリケーションデータつまり印刷データ(文書データ)を作成することができる。またプリンタドライバ2022を実行することによりプリンタドライバ22が実現され、ユーザが所定の印刷データに対する印刷要求を指示した場合、起動されたプリンタドライバ22は、当該印刷データをPDLデータに変換してプリンタ10に向けて送信する。
また、CPU2010は、プリンタドライバ22がPDLデータをプリンタ10に向けて送信したときに、そのPDLデータつまり印刷データに対応してメモリ2030に記憶されているPKモード情報または通常モード情報をプリンタ10に向けて送信する。
この実施の形態1では、CPU2010と通信I/F2060とが協働することにより、モード情報送信部23(図1参照)の機能を実現するようになっている。
プリンタ10は、CPU1100、ハードディスクなどの記憶装置1200、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)1300、RAM1400および通信I/F1500を有する画像処理装置100つまりコントローラ100と、操作パネル1600と、画像出力装置1700とを備えている。
記憶装置1200は、上述した画像処理の画像処理手順(図3参照)に対応するプログラム、上記画像処理装置(コントローラ)100を構成する各構成要素の機能に対応するプログラムなど画像処理にかかわるプログラム(画像処理プログラム)1200Aを含む所定のプログラム、各種のデータを格納している。
ちなみに、上記画像処理装置(コントローラ)100を構成する各構成要素は、図3に示した各構成要素110〜150,161〜163,170,180である。
画像処理プログラム1200Aは、少なくとも次の(1)〜(5)の各処理過程を含んでいる。
(1)入力色空間で表現される画像データをシアン色、マゼンタ色、イエロー色、およびブラック色の4色で表現される画像データに変換する画像データ変換処理過程。
(2)上記画像データ変換処理過程により変換されたシアン色、マゼンタ色、およびイエロー色の3色の色毎の画像データについて階調再現特性曲線を基に階調補正するとともに、上記画像データ変換処理過程により変換されたブラック色の画像データについて前記階調再現特性曲線とは異なる所定の階調再現特性曲線を基に階調補正する階調補正処理過程。
(3)上記4色の色毎に、上記階調補正処理過程により階調補正された画像データに対しスクリーン処理を施すスクリーン処理過程。
(4)上記4色の色毎に、上記スクリーン処理過程によりスクリーン処理された画像データの階調に応じたパルス幅を有するパルス信号を生成するパルス信号生成処理過程。
(5)上記パルス信号生成処理過程により生成されたシアン色、マゼンタ色、およびイエロー色の色毎のパルス信号と上記パルス信号生成処理過程により生成されたブラック色のパルス信号とを重畳させ、シアン色、マゼンタ色、およびイエロー色の色毎の新たなパルス信号を生成する信号重畳処理過程。
ROM1300は、画像処理の際に必要となるパラメータなどを記憶している。
RAM1400は、記憶装置1200から読み込まれたプログラムやデータ、ROM1300から読み込まれたパラメータを記憶するとともに、通信I/F1500を介して受信された受信データを記憶する。
通信I/F1500は、通信回線30を介して、コンピュータ20との間でデータの送受信を行うインタフェースであり、例えば、コンピュータ20から送信された画像データ(PDLデータ)およびモード情報を受信する。
CPU1100は、画像処理装置(コントローラ)100つまりプリンタ10全体を制御するものであり、例えば、記憶装置1200からRAM1400へ画像処理プログラム1200Aを読み込んで実行することにより、高画質の画像データを生成して、画像出力装置1700に向けて出力する。
操作パネル1600は、画像出力装置1700の所定の位置にユーザによる操作が可能に配設され、印刷処理にかかわる所定の入力情報を入力するとともに所定の表示情報を表示する。
画像出力装置1700は、帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、および定着プロセスを含む電子写真プロセス(画像形成処理)を実施して、カラー画像の印刷物を出力する。
通信回線30としては、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)や電話回線などの有線通信回線、無線LANなどの無線通信回線、さらには、これらの通信回線を組み合わせたもの、などが挙げられる。
また、図21に示した他の画像形成システム1A(実施の形態1の応用例)も、図22に示した画像形成システム1のハードウェア構成と同様になっている。
この場合、ユーザは、コンピュータ20の表示装置2400および入力装置2500を使用してPKモードの設定(あるいはデフォルトでの通常モードの設定)を行うことはできず、プリンタ10の操作パネル1600を操作してPKモードの設定(あるいはデフォルトでの通常モードの設定)を行うことになる。この操作パネル1600は、図21に示した操作パネル200の機能を有している。
本願明細書において、プリンタ10の画像処理装置(コントローラ)100の各機能を実現し、上記画像処理の処理手順を示すプログラムを含む所定のプログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する実施の形態として説明したが、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
すなわち、上記所定のプログラムをROMに格納しておき、CPUが、このプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
また、上記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。この場合、その記録媒体に記録されたプログラムを画像処理装置がインストールした後、このプログラムをCPUが実行するようにする。このプログラムのインストール先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置がある。そして、画像処理装置は、必要に応じてこの記憶装置に記憶したプログラムを主記憶装置にローディングして実行する。
さらには、画像処理装置を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータ等のコンピュータと接続するようにし、当該画像処理装置が、サーバ装置あるいはコンピュータから上記所定のプログラムをダウンロードした後、このプログラムを実行するようにしてもよい。この場合、このプログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)がある。そして、当該画像処理装置が、必要に応じてこの記憶装置に記憶された上記プログラムを主記憶装置にローディングして実行するようにする。
(実施の形態2)
図23は、実施の形態2に係る画像処理装置を有する画像形成装置を含む画像形成システムの構成を示している。
図23に示す画像形成システム2は、図1に示した実施の形態1の画像形成システム1の構成において、モード情報送信部23、モード情報判断部180およびトナー残量検知部102を削除し、MCU300を追加した構成になっている。なお、図23において、図1に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
本実施の形態2においても、PWM処理部150は、実施の形態1の場合と同様に、パルス幅変調(PWM)によるパルス信号の生成機能に加えて、CMYK色の色毎にパルス信号のオン時間を積算して、この積算値に対応するピクセル(画素)を計数する機能(計数機能)も有している。
MCU(マシンコントロールユニット)300は、トナー消費量計算部310、トナー残量データ保持部320および処理動作判断部330を有している。
トナー消費量計算部310は、PWM処理部150からのピクセルカウント情報を基にトナー消費量を算出するとともに、このトナー消費量情報と現在のトナー残量情報とを基に新たなトナー残量を算出し、この新たなトナー残量に関するデータ(トナー残量データ)をトナー残量データ保持部320に格納(上書き)する。
なお、例えば新規のトナーカートリッジ(図示せず)が画像形成(電子写真プロセス)を実施する画像出力装置(図示せず)に装着される毎に、上述した現在のトナー残量情報はリセットされるようになっており、リセット後の現在のトナー残量情報は、当該トナーカートリッジに収容されているトナーの規定のトナー量(未使用状態でのトナー残量)となる。
トナー残量データ保持部320は、CMYK色の色毎にトナーのトナー残量に関するトナー残量データを保持する。これらの色のトナーのトナー残量データ(トナー残量情報)は、トナー消費量計算部310によって更新されるととともに、処理動作判断部330によって参照される。
処理動作判断部330は、トナー残量データ保持部320に保存されているK色のトナーに関するトナー残量データを参照して、K色のトナーに関するトナー残量が予め設定される所定の閾値に達しているか否か(所定の閾値以下であるか否か)を判断し、この判断した結果に応じた処理を実施する。
ここで、予め設定される所定の閾値は、例えば、K色のトナーによるK色の色再現がそのトナーのトナー量不足に起因して所望の色再現にならない場合のトナー残量値に設定される。
処理動作判断部330は、トナー残量が上記所定の閾値に達していると判断した場合(上記所定の閾値以下になったと判断した場合)は、TRC保存部191に対しTRC選択情報を出力し、またスクリーン保持部192に対しスクリーン選択情報を出力し、さらにPWM合成判断部170に対しPWM合成情報を出力する。
この場合の処理は、実施の形態1においてトナー残量情報が「トナー残量が所定の閾値に達した旨」で、かつモード情報が「PKモード情報」であった場合のモード情報判断部180の処理に相当する。
これに対し、処理動作判断部330は、トナー残量が上記所定の閾値を超えていると判断した場合は、TRC保存部191、スクリーン保持部192およびPWM合成判断部170に対し、通常モードに応じた処理をすべき旨を出力する。
この場合の処理は、実施の形態1においてモード情報が「通常モード情報」のとき、またはトナー残量情報が「トナー残量が所定の閾値を超えている旨」であった場合のモード情報判断部180の処理に相当する。
また、処理動作判断部330は、トナー残量データ保持部320に保持されているCMY色のトナーに関するトナー残量データを参照して、CMY色の各色のトナーに関するトナー残量が0(ゼロ)であるか否かを判断し、この判断した結果、CMY色の何れかの色のトナーのトナー残量が0の場合にはその旨を、またCMY色の全ての色のトナーについてのトナー残量が0ではない場合はその旨を、それぞれトナー残量情報としてコントローラ100へ出力する。
コントローラ100においては、処理動作判断部330からのトナー残量情報を受け取った場合に、そのトナー残量情報がCMY色の何れかの色のトナーのトナー残量が0である旨のときは、色変換処理、UCR/墨生成処理、TRC処理、ハーフトーン処理、PWM処理など画像処理は実行されないようになっている。換言すれば、印刷処理は実施されないようになっている。
実施の形態2において、トナー消費量計算部310、トナー残量データ保持部320、および処理動作判断部330は残量検知手段に対応する。
次に、プリンタ(画像形成装置)10の画像処理装置(コントローラ)100の画像処理について、図24を参照して説明する。
図24は、その画像処理の処理手順を示すフローチャートである。
コンピュータ20において、プリンタドライバ22が印刷データとしてのRGB色の画像データR,G,Bをプリンタ10に向けて送信すると、プリンタ(画像形成装置)10では、コントローラ100が、図24に示すように、その画像データR,G,Bを受信する(ステップS201)。
コントローラ100によって受信された上記画像データR,G,Bは、デコンポーザ(図示せず)による画像展開処理が施された後、色変換処理部110に入力される。
また、プリンタ10において、MCU300は、PWM処理部150からのピクセルカウント情報を基に、CMYK色の各色のトナーに関するトナー残量を検知する(ステップS202)。
すなわち、処理動作判断部330は、トナー残量データ保持部320に保持されているCMYK色の各色のトナーに関するトナー残量データを基に、前記各色のトナーに関するトナー残量を検知する。
具体的には、MCU300では、トナー消費量計算部310は、PWM処理部150からのピクセルカウント情報を基にトナー消費量を算出するとともに、このトナー消費量情報と現在のトナー残量情報とを基に新たなトナー残量を算出し、この新たなトナー残量に関するデータ(トナー残量データ)をトナー残量データ保持部320に格納(上書き)する。
次に、処理動作判断部330は、トナー残量データ保持部320に保持されているK色のトナーに関するトナー残量データを基に、K色のトナーのトナー残量が所定の閾値に達したか否か(所定の閾値以下か否か)を判断するとともに(ステップS203)、トナー残量データ保持部320に保持されているCMY色の各色のトナーに関するトナー残量データを基に、CMY色の何れかの色のトナーのトナー残量が0(ゼロ)であるか否かを判断する(ステップS204)。
処理動作判断部330は、ステップS203において、K色のトナーのトナー残量が所定の閾値に達していると判断した場合(所定の閾値以下であると判断した場合)には、TRC選択情報、スクリーン選択情報およびPWM合成情報をそれぞれコントローラ100のTRC保持部191、スクリーン保持部192およびPWM合成判断170へ出力し、一方、K色のトナーのトナー残量が所定の閾値を越えていると判断した場合は、通常モードに応じた処理をすべき旨をTRC保持部191、スクリーン保持部192およびPWM合成判断170へ出力する。
ステップS203において、K色のトナーのトナー残量が所定の閾値に達していると判断された場合にはステップS204に移行され、一方、K色のトナーのトナー残量が所定の閾値を越えていると判断された場合は、図3に示した実施の形態1の処理手順のステップS115〜S120と同様の処理が実施される。
また、処理動作判断部330は、ステップS204において、CMY色の何れかの色のトナーのトナー残量が0(ゼロ)であるか否かを判断した結果をトナー残量情報としてコントローラ100へ出力する。
ステップS204において、トナー残量情報が、CMY色の全ての色のトナーについてのトナー残量が0ではないと場合には、コントローラ100によって図3に示した実施の形態1の処理手順のステップS106〜S113と同様の処理が実施され、その後、レーザ発光制御部101によって当該処理手順のステップS106と同様の処理が実施され、一方、CMY色の何れかの色のトナーのトナー残量が0の場合は、図3に示した処理手順のステップS121と同様の処理が実施される。
なお、図23に示した画像形成システム2のハードウェア構成は、図22に示した画像形成システム1の場合と同様になっている。
この場合、記憶装置1200に格納されている画像処理プログラム1200Aには、上述した図3に示した画像処理の画像処理手順に対応するプログラムに代替して、図24に示した画像処理の画像処理手順に対応するプログラムが含まれることになる。
以上説明したように、実施の形態2では、CMYK色の各色のトナーのトナー残量の検知結果に応じて、K色の画像をCMY色のプロセスブラックで描画し、かつ、プロセスブラック部分は、CMY色の各色に関して同じ線数、同じ角度、同じ位相のスクリーンで描画することができ、しかもプロセスブラック部分は、より無彩色に近いプロセスブラックで描画することができる。
これにより、所定の色の色材の残量が所定の量よりも低下した場合であっても、当該所定の色で表現される画像の画質を高めることができる。
(実施の形態3)
図25は、実施の形態3に係る画像処理装置を有する画像形成装置を含む画像形成システムの構成を示している。
図25に示す画像形成システム3は、図1に示した実施の形態1の画像形成システム1の構成において、モード情報送信部23、レーザユニット101K、トナー残量検知部102、PWM合成判断部170、モード情報判断部180、TRC保持部191、およびスクリーン保持部192を削除し、PWM処理部150をPWM処理部150Aに変更した構成になっている。なお、図25において、図1に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
実施の形態3では、プリンタ10が処理する画像データの色空間に関して、入力色空間はRGB色空間であり、出力色空間はCMY色空間である。
PWM処理部150Aは、実施の形態1のPWM処理部150と同様に、スクリーン処理後のCMYK色の画像データC3,M3,Y3,K3を基に、その画像データの階調に応じたパルス幅を有するパルス信号つまりパルス幅変調(PWM)によるパルス信号(パルス信号データ)を生成する。これらのパルス信号データは、レーザを点灯させるためのビデオ信号データとなる。
また、PWM処理部150Aは、上述したようにして生成したC色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)C4、M色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)M4およびY色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)Y4をそれぞれPWM合成部161、PWM合成部162およびPWM合成部163へ出力するとともに、K色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)K4をPWM合成部161、PWM合成部162およびPWM合成部163へ出力する。
実施の形態3においては、K色のビデオ信号データと、C色、M色、Y色の各色のビデオ信号データとの重畳処理が実施されるようになっている。
すなわち、PWM合成部161は、C色のビデオ信号データC4とK色のビデオ信号データK4とを重畳し、この重畳したビデオ信号データC5をレーザ発光制御部101のレーザユニット101Cへ出力する。
PWM合成部162は、M色のビデオ信号データM4とK色のビデオ信号データK4とを重畳し、この重畳したビデオ信号データM5をレーザ発光制御部101のレーザユニット101Mへ出力する。
PWM合成部163は、Y色のビデオ信号データY4とK色のビデオ信号データK4とを重畳し、この重畳したビデオ信号データY5をレーザ発光制御部101のレーザユニット101Yへ出力する。
実施の形態3において、TRC処理部130は、K色をPK色で印刷するPKモードの処理に最適なTRCデータ(PKモード専用のTRCデータ)を保持し、ハーフトーン処理部140は、PKモードの処理に最適なスクリーンデータ(PKモード専用のTRCデータ)を保持している。
次に、プリンタ(画像形成装置)10の画像処理装置(コントローラ)100の画像処理について、図26を参照して説明する。
図26は、その画像処理の処理手順を示すフローチャートである。
コンピュータ20において、プリンタドライバ22がRGB色の画像データR,G,Bをプリンタ10に向けて送信すると、プリンタ(画像形成装置)10では、コントローラ100が、図26に示すように、その画像データR,G,Bを受信する(ステップS301)。
コントローラ100では、デコンポーザ(図示せず)による画像展開処理が施された後の画像データR,G,Bを受け付けた色変換処理部110は、その画像データR,G,Bに対する色変換処理を実施し、この色変換処理後の画像データC0,C0,Y0をUCR/墨生成部120へ出力する(ステップS302)。
UCR/墨生成部120は、受け付けた画像データC0,C0,Y0に対するUCR処理(墨生成処理を含む)実施し、このUCR処理後の画像データC1,C1,Y1,K1をTRC処理部130へ出力する(ステップS303)。
TRC処理部130は、保持しているPKモード専用のTRCデータに基づき(ステップS304)、受け付けた画像データC1,M1,Y1,K1に対するTRC処理を実施し、このTRC処理後の画像データC2,M2,Y2,K2をハーフトーン処理部140へ出力する(ステップS305)。
ハーフトーン処理部140は、保持しているPKモード専用のスクリーンデータに基づき(ステップS306)、受け付けた画像データC2,M2,Y2,K2に対するハーフトーン処理(スクリーン処理)を実施し、このハーフトーン処理(スクリーン処理)後の画像データC3,M3,Y3,K3をPWM処理部150Aへ出力する(ステップS307)。
PWM処理部150Aは、受け付けた画像データC3,M3,Y3,K3を基にPWM処理(CMYK色の色毎にパルス幅変調によるパルス信号の生成処理)を実施するとともに、CMY色の色毎に、対応するビデオ信号データ(パルス信号データ)をPWM合成部161,162,163へ出力するとともに、K色のビデオ信号データ(パルス信号データ)をPWM合成部161,162,163へ出力する(ステップS308)。
これらのPWM合成部161,162,163では、K色のビデオ信号データK4とCMY色のビデオ信号データとを重畳する重畳処理(PWM重畳処理)を実施し、この重畳処理の結果(重畳後のビデオ信号データ)を、対応するレーザ発光制御部101のレーザユニットへ出力する(ステップS309)。
すなわち、PWM合成部161は、C色のビデオ信号データC4とK色のビデオ信号データK4とを重畳したC色のビデオ信号データC5をレーザユニット101Cへ出力する。
また、PWM合成部162は、M色のビデオ信号データM4とK色のビデオ信号データK4とを重畳したM色のビデオ信号データM5をレーザユニット101Mへ出力する。
さらにPWM合成部163は、Y色のビデオ信号データY4とK色のビデオ信号データK4とを重畳したY色のビデオ信号データY5をレーザユニット101Yへ出力する。
これらのレーザユニット101C、レーザユニット101Mおよびレーザユニット101Yでは、それぞれC色、M色およびY色のビデオ信号データに基づきレーザ発光したレーザ光を、対応する像担持体に向けて照射する。そして、CMY色のビデオ信号データに基づく印刷処理(画像形成処理)が実施される(ステップS310)。
なお、図25に示した画像形成システム3のハードウェア構成は、図22に示した画像形成システム1の場合と同様になっている。
この場合、記憶装置1200に格納されている画像処理プログラム1200Aには、上述した図3に示した画像処理の画像処理手順に対応するプログラムに代替して、図26に示した画像処理の画像処理手順に対応するプログラムが含まれることになる。
以上説明したように、実施の形態3では、出力色空間としてのCMY色の色空間で表現される画像データを基に印刷処理を実施するプリンタ(画像形成装置)において、K色のトナーのトナー残量に無関係に、またPKモードを指定することなく、コンピュータ20から送信される画像データ(PDLデータ)全てついて、K色の画像をCMY色のプロセスブラックで描画し、かつ、プロセスブラック部分は、CMY色の各色に関して同じ線数、同じ角度、同じ位相のスクリーンで描画することができ、しかもプロセスブラック部分は、より無彩色に近いプロセスブラックで描画することができる。
これにより、所定の色の色材の残量が所定の量よりも低下した場合であっても、当該所定の色で表現される画像の画質を高めることができる。
(実施の形態4)
図27は、実施の形態4に係る画像処理装置を有する画像形成装置を含む画像形成システムの構成を示している。
画像形成システム4は、図27に示すように、画像形成装置40とコンピュータ50とを有している。なお、実施の形態4では、画像形成装置40はプリンタを想定しているので、これ以降の説明においては、画像形成装置40をプリンタ40と表記する。
コンピュータ50は、アプリケーション51およびプリンタドライバ523を備えている。
アプリケーション51は、入力色空間としてのRGB色空間で表現される印刷データを生成してプリンタドライバ22へ渡す。
プリンタドライバ52は、渡された印刷データをPDLデータに変換し、この変換したPDLデータをRGB色の画像データR,G,Bとしてプリンタ(画像形成装置)40に向けて送信する。
プリンタ(画像形成装置)40は、図27に示すように、画像処理を実行するコントローラ400、レーザ発光の制御を実行するレーザ発光制御部401、濃度読取センサ402、およびMCU(マシンコントロールユニット)403を備えている。
また、プリンタ40は、図1に示した実施の形態1の画像形成装置10と同様に、帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、および定着プロセスを含む電子写真プロセス(画像形成処理)を実施する画像出力装置(図示せず)を備えている。
実施の形態4においては、上記画像出力装置は、出力色空間にかかわるシアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色およびブラック(K)色の4色の色材に対応して、帯電プロセスを実施する帯電装置(図示せず)に対し電圧を供給する電源と、現像プロセスを実施する現像装置(図示せず)に対し電圧を供給する電源とを備えている。すなわち、帯電装置および現像装置に対応して、それぞれ4つの電源(合計8つの電源)が配設されている。
また、実施の形態4においては、出力色空間にかかわるC色、M色、Y色およびK色の4色(色材の4色)の色毎に、色材の残量が所定の閾値を超えているときは、高濃度域で像の潰れが発生し、かつ例えば図28に示すようにベタ濃度が所望の値(図28中符号2700で示される所望のベタ濃度)よりも高く(濃度情報Cinが100%のときにベタ濃度が所望の値よりも高く)、しかも色材の残量が所定の閾値に達したときは、例えば図29に示すようにベタ濃度が当該所望の値(図29中符号2700で示される所望のベタ濃度)となる(濃度情報Cinが100%のときにベタ濃度が所望の値となる)ように設定されている。ここで、色材は例えばトナーを想定している。
すなわち、図28に示した階調曲線2800、および図29に示した階調曲線2900となるように、帯電電位および現像電位の各条件を設定する。換言すれば、感光体など像担持体の露光後の電位(露光量を多くする)と現像電位との電位差を規定の電位差よりも大きくする。
ちなみに、高感度、太ビーム径の組み合わせのレーザプリンタなどでは、高濃度域のつぶれが顕著に発生するので、上述したような階調性は容易に設計することができる。
さて、コントローラ400は、色変換処理部410、UCR/墨生成部420、TRC処理部430、ハーフトーン(HalfTone)処理部440、PWM処理部450、補正判断部460、およびTRC補正計算部470を備えている。
コントローラ400では、RGB色の各色で表現される画像データR,G,Bを取得すると、図示しないデコンポーザが、それらの画像データを、RGB色の色毎にラスタデータ(ビットマップデータ)に画像展開する。
色変換処理部410は、デコンポーザ(図示せず)によって画像展開処理されたRGB色の色毎のラスタデータを色材の三原色すなわちCMY色で表現される画像データC0、M0、Y0に色変換し、この色変換した画像データC0、M0、Y0をUCR/墨生成部420へ出力する。
UCR/墨生成部420は、色変換されたCMY色の画像データC0,M0,Y0を出力色空間すなわちCMYK色の色空間で表現される画像データC1,M1,Y1,K1に変換し、これらCMYK色の画像データC1,M1,Y1,K1をTRC処理部430へ出力する。なお、UCR/墨生成部420は、CMY色中の下色(つまりグレー成分の一部)をK色で置き換える処理(下色除去処理)を実施する。
TRC処理部430は、UCR(下色除去)処理後のCMYK色の画像データC1,M1,Y1,K1について、TRC補正計算部470から与えられるTRC(階調再現特性曲線)に関するデータ(TRCデータ)を基に階調補正を行い、階調補正後の画像データC2,M2,Y2,K2をハーフトーン処理部440へ出力する。
ハーフトーン(HalfTone)処理部440は、スクリーンデータを保持する図示しない保持部を備え、階調補正後のCMYK色の画像データC2,M2,Y2,K2に対し、保持しているスクリーンデータを基にスクリーン処理を施し、このスクリーン処理された画像データC3,M3,Y3,K3をPWM処理部450へ出力する。
PWM処理部450は、スクリーン処理後のCMYK色の画像データC3,M3,Y3,K3を基に、その画像データの階調に応じたパルス幅を有するパルス信号つまりパルス幅変調(PWM)によるパルス信号(パルス信号データ)を生成する。これらのパルス信号データは、レーザを点灯させるためのビデオ信号データとなる。
また、PWM処理部450は、上述したようにして生成したC色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)C4、M色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)M4、Y色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)Y4、およびK色のパルス信号データ(ビデオ信号データ)K4を、それぞれレーザ発光制御部401のレーザユニット401C,レーザユニット401M,レーザユニット401Y,レーザユニット401Kへ出力する。
レーザ発光制御部401は、C色用、M色用、Y色用、K色用の4つのレーザユニット401C,401M,401Y,401Kを備えている。これらのレーザユニットは、例えば半導体レーザなどレーザ装置と該レーザ装置を駆動するためのレーザ装置制御部とを有しており、ROS(光学走査装置)に対応するものである。レーザ発光制御部401つまりレーザユニット(前記レーザ装置と前記レーザ装置制御部との協働)によって露光プロセスが実施される。
実施の形態4では、プリンタ40においては、画像出力装置(図示せず)では、その非印刷動作中(印刷結果を印刷物として印刷出力しない印刷処理動作中)において、CMYK色の各色のパッチ(パッチ画像)を中間転写体(中間転写ベルトなど)上に作成し、そのパッチの濃度を画像出力装置内に配設された濃度読取センサ402によって読み取るようになっている。
濃度読取センサ402は、画像出力装置内に中間転写ベルトなど中間転写体に作成されたパッチの濃度を検出可能に配設され、そのパッチの濃度を読み取りMCU403へ出力する。
MCU403はトナー残量判断部403Aを備えており、このトナー残量判断部403Aは、濃度読取センサ402からの濃度情報を基にトナーのトナー残量を求め、この求めたトナー残量情報をコントローラ400の補正判断部460へ出力する。
また、MCU403は、上記帯電装置(図示せず)に対し電圧を供給する電源の印加すべき電圧を制御(電位を制御)するとともに、上記現像装置(図示せず)に対し電圧を供給する電源の印加すべき電圧を制御(電位を制御)する。すなわち、MCU403は、図28に示した階調曲線2800、および図29に示した階調曲線2900となるように、帯電電位および現像電位の各条件を設定する。
なお、図28および図29において、横軸はパーセント(%)表示の濃度情報(Cin)を示し、縦軸はベタ濃度を示している。
コントローラ400において、補正判断部460は、取得したトナー残量情報が予め設定された閾値以下であるか否かを判断し、この判断した結果に応じたTRCを作成すべき旨の指示をTRC補正計算部470へ出力する。
ここで、トナー残量情報が所定の閾値以下である場合には補正TRCを作成すべき旨の指示が、またトナー残量情報が前記所定の閾値を超えている場合は通常処理用TRCを作成すべき旨の指示がそれぞれ出力されるようになっている。
TRC補正計算部470は、補正TRCを作成すべき旨の指示、または通常処理用TRCを作成すべき旨の指示に従ってTRCデータを作成し、この作成したTRCデータをTRC処理部430へ与える。
実施の形態4では、TRC補正計算部470は、TRC処理部430からTRCデータの要求があったときに、TRCデータを作成してTRC処理部430へ出力するようになっている。なお、TRCデータの要求は、TRC処理部430はUCR/墨生成部420からの画像データC1,M1,Y1,K1を取得し、これらの画像データに対しTRC処理を実施するときに行われる。
実施の形態4において、色変換処理部410、およびUCR/墨生成部420は画像データ変換手段に対応し、TRC処理部430は階調補正手段に対応し、ハーフトーン処理部440はスクリーン処理手段に対応し、PWM処理部450はパルス信号生成手段に対応し、濃度読取センサ402は濃度読取手段に対応し、トナー残量判断部403Aは残量検知手段に対応する。
次に、プリンタ(画像形成装置)40の画像処理装置(コントローラ)400の画像処理について、図30を参照して説明する。
図30は、その画像処理の処理手順を示すフローチャートである。
画像出力装置(図示せず)が、その非印刷動作中(印刷結果を印刷物として印刷出力しない印刷処理動作中)に、CMYK色の各色のパッチ(パッチ画像)を中間転写体(中間転写ベルトなど)上に作成すると、濃度読取センサ402が、そのパッチ画像の濃度を読み取り、この読取の結果(濃度情報)をMCU403のトナー残量判断部403Aへ出力する。
トナー残量判断部403Aは、CMYK色の色毎に、取得した濃度情報を基にトナーのトナー残量を求め、この求めたトナー残量情報をコントローラ400の補正判断部460へ出力する。
ところで、コンピュータ50では、アプリケーション51が印刷対象の印刷データをプリンタドライバ52へ渡すと、プリンタドライバ52は、取得した印刷データをPDLデータに変換して、RGB色空間で表現される画像データつまり画像データR,G,Bとしてプリンタ40のコントローラ400に向けて送信する。
コントローラ400では、図30に示すように、画像データR,G,Bを取得すると(ステップS401)、図示しないデコンポーザが、それらの画像データR,G,Bを、RGB色の色毎にラスタデータ(ビットマップデータ)に画像展開して色変換処理部410へ出力する。
色変換処理部410は、デコンポーザ(図示せず)からの画像データ(ラスタデータ)R,G,Bを、CMY色の画像データC0,M0,Y0に色変換してUCR/墨生成部420へ出力する。
UCR/墨生成部420は、色変換処理部410からのCMY色の画像データC0,M0,Y0を出力色空間すなわちCMYK色の色空間で表現される画像データC1,M1,Y1,K1に変換(K色データを作成する)してTRC処理部430へ出力する。ここで、UCR/墨生成部120は、CMY色中の下色をK色で置き換える下色除去処理を実施する。
TRC処理部430は、UCR/墨生成部420からのCMYK色の画像データC1,M1,Y1,K1を取得した場合、TRC補正計算部470に対しTCRデータを要求する。
ところで、補正判断部460は、トナー残量判断部403Aからのトナー残量情報を取得すると(ステップS402)、この取得したトナー残量情報が予め設定された所定の閾値以下であるか否かを判断し(ステップS403)、この判断した結果、トナー残量情報が所定の閾値以下である場合には補正TRCを作成すべき旨の指示をTRC補正計算部470へ出力し、一方、トナー残量情報が所定の閾値を超えている場合は通常処理用TRCを作成すべき旨の指示をTRC補正計算部470へ出力する。
TRC補正計算部470は、通常処理用TRCを作成すべき旨の指示を受け取った場合は、図31に示すようなTRC曲線3100を作成する(ステップS404)。このTRC曲線3100は、階調性(通常の階調性)で70%のベタ濃度が所望の濃度のベタ濃度になるとした場合、図31に示すように、入力に100%の濃度の要求がきても70%の濃度の出力に置き換えるTRCになっている。
すなわち、トナー残量が所定の閾値を超えているときは、図31に示すCRT曲線3100を基に画像データC1,M1,Y1,K1に対しCRT補正が行われる。
換言すれば、TRC処理部430がTRC処理を実施するに際し、トナー残量が所定の閾値を超えている場合は、図32に示すような階調曲線3200(階調曲線3200Aおよび階調曲線3200B)のうち、実線部分の階調曲線3200Aのみが使用され、点線部分の階調曲線3200Bは使用されないことになる。
なお、図31において、横軸はパーセント(%)表示の濃度情報(Cin)を示し、縦軸はTRC補正後のパーセント(%)表示の濃度情報(Cin)を示している。また、図32において、横軸はパーセント(%)表示の濃度情報(Cin)を示し、縦軸はベタ濃度を示している。さらに図32において、符号2700は所望のベタ濃度を示している。
一方、TRC補正計算部470は、補正TRCを作成すべき旨の指示を受け取った場合は、図33に示すようなTRC曲線3300を作成する(ステップS405)。このTRC曲線3300は、100%のベタ濃度が所望の濃度のベタ濃度になるように設定されているので、図33に示すように、入力に100%の濃度の要求がきたときは100%の濃度の出力に置き換えるTRCになっている。
すなわち、トナー残量が所定の閾値以下のときは、図34に示すCRT曲線3300を基に画像データC1,M1,Y1,K1に対しCRT補正が行われる。
換言すれば、TRC処理部430がTRC処理を実施するに際し、トナー残量が所定の閾値以下の場合は、図34に示すような階調曲線3400つまり階調情報Cinの0%から100%の全域が使用されることになる。
なお、図33において、横軸はパーセント(%)表示の濃度情報(Cin)を示し、縦軸はTRC補正後のパーセント(%)表示の濃度情報(Cin)を示している。また、図34において、横軸はパーセント(%)表示の濃度情報(Cin)を示し、縦軸はベタ濃度を示している。さらに図34において、符号2700は所望のベタ濃度を示している。
さて、TRC補正計算部470は、TRC処理部430からのTCRデータの要求を受け取ると、取得した補正判断部460からの通常処理用TRCを作成すべき旨の指示または補正TRCを作成すべき旨の指示に応じて、TRCデータ(TRC曲線3100またはTRC曲線3300)してTRC処理部430へ出力する。
TRC処理部430は、取得したUCR/墨生成部420からのCMYK色の画像データC1,M1,Y1,K1を、取得したTRC補正計算部470からのTRCデータ(TRC曲線3100またはTRC曲線3300)に基づきTRC処理(TRC補正)を実施してCMYK色の画像データC2,M2,Y2,K2に変換するとともに(ステップS406)、これらの画像データC2,M2,Y2,K2をハーフトーン処理部440へ出力する。
ハーフトーン処理部440は、取得したTRC処理部430からの階調補正後のCMYK色の画像データC2,M2,Y2,K2に対し、保持しているスクリーンデータを基にスクリーン処理を施し、このスクリーン処理された画像データC3,M3,Y3,K3をPWM処理部450へ出力する(ステップS407)。
PWM処理部450は、取得したハーフトーン処理部440からのスクリーン処理後のCMYK色の画像データC3,M3,Y3,K3を基に、その画像データの階調に応じたパルス幅を有するパルス信号つまりパルス幅変調(PWM)によるパルス信号(パルス信号データ)、つまりレーザユニットを駆動するためのビデオ信号を生成する。
また、PWM処理部450は、上述したようにして生成したC色のビデオ信号データC4、M色のビデオ信号データM4、Y色のビデオ信号データY4、およびK色のビデオ信号データK4を、それぞれレーザ発光制御部401のレーザユニット401C,レーザユニット401M,レーザユニット401Y,レーザユニット401Kへ出力する(ステップS408)。
レーザ発光制御部401のCMYK色のレーザユニット401C,401M,401Y,401Kが、それぞれビデオ信号データC4,M4,Y4,K4に基づきレーザ発光することにより露光プロセスが実施され、画像が形成される。
ところで、TRC補正は階調曲線を所望の形状(一般的には直線)にするのが目的であるが、通常の階調設計のプリンタ(帯電電位および現像電位を個別に設定できるプリンタ)では、トナー残量の減少による階調曲線の変形を、非印刷(非印字)の動作中に行うパッチ濃度の読取などから、補正することはできる。
しかし、帯電電位および現像電位を個別に設定できないプリンタではベタ濃度の補正ができないので、トナー残量に応じて、補正後の階調曲線は例えば図35に示すような階調曲線になる。すなわち、トナー残量が所定の閾値を超えている場合には階調曲線3510となり、一方、トナー残量が所定の閾値以下の場合は階調曲線3520となる。
これに対し、TRC補正計算部470によるTRCの作成処理を実施(トナー残量の検知結果に基づくTRCの作成処理を実施)することにより、そのTRCを基にベタ濃度相当の補正も可能となり、補正後の階調曲線は例えば図36に示すような階調曲線3600になる。すなわち、トナー残量が所定の閾値を超えている場合およびトナー残量が所定の閾値以下の場合の何れにおいても補正後の階調曲線は階調曲線3600となり、補正後の階調曲線はトナー残量に依存しなくなる。
なお、実施の形態4では、TRC補正計算部470は、TRC処理部430からTRCデータの要求があったときに、TRCデータをTRC処理部430へ出力するようにしているが、これに限定されることなく、次のようにしてもよい。
すなわち、TRC補正計算部470は、作成したTRCデータを一旦保持し、TRC処理部430からTRCデータの要求があったときに、保持しているTRCデータをTRC処理部430へ出力するようにする。
また、TRC補正計算部470は、作成したTRCデータを、そのTRCデータを作成した時点でTRC処理部430へ出力するようにしてもよい。
また、実施の形態4では、色材の残量が所定の閾値を超えている場合は、図31に示すTRC曲線3100のみを採用するようにしているが、これに限定されることなく、色材の残量が所定の閾値を超えている場合の当該色材の残量の範囲に関しては、異なる複数のTRC(階調再現特性曲線)を対応させるようにしてもよい。
すなわち、色材の残量が所定の閾値を超えている場合の当該色材の残量に応じて、異なる複数のTRCの中から一つのTRCを作成するようにする。
例えば、階調性(通常の階調性)で70%のベタ濃度が所望の濃度のベタ濃度になるとした場合、入力に100%の濃度の要求がきても例えば90%の濃度の出力に置き換える第1のTRC、入力に100%の濃度の要求がきても例えば80%の濃度の出力に置き換える第2のTRC、入力に100%の濃度の要求がきても例えば70%の濃度の出力に置き換える第3のTRCなど、複数のTRCの中から上記色材の残量に応じて特定のTRCを作成するようにする。そして、この作成された特定のTRCを基に画像データの階調補正を実施する。
このように、色材の残量が所定の閾値を超えている場合は、その色材の残量に応じて、段階的にTRC補正を行うようにする方が好ましい。
さらに、実施の形態4では、TRC補正計算部470は、色材の残量に応じてTRC曲線(TRCデータ)を作成するようにしているが、次のようにしてもよい。
すなわち、TRC補正計算部470は、例えばTRC曲線3100およびTRC曲線3200など複数のTRC曲線情報を予め保存しておき、色材の残量に応じて、この保存している複数のTRC曲線情報の中から対応するTRC曲線情報を選択するようにしてもよい。
以上説明したように、実施の形態4では、標準状態の階調性設計と、トナー残量検知によるTRC補正の変更を組み合わせることにより、トナー残量の変化によるベタ濃度の変動を補正することができる。特に、多数色の画像形成が同時に行われ、かつ帯電電位および現像電位をそれぞれ個別に設定できないプリンタにおいて、上述したようにトナー残量の変化によるベタ濃度の変動を補正することができる。
これにより、所定の色の色材の残量が所定の量よりも低下した場合であっても、当該所定の色で表現される画像の画質を高めることができる。
図37は、実施の形態4の画像形成システムのハードウェア構成を示している。
画像形成システム4は、図37に示すように、画像形成装置としてのプリンタ40とコンピュータ50とが通信回線60を介して接続される。
コンピュータ50は、CPU5010、ハードディスクなどの記憶装置5020、RAMなどのメモリ5030、および通信I/F5040を備えている。
記憶装置5020は、上記アプリケーション51(図27参照)の機能に対応するアプリケーションプログラム5021、上記プリンタドライバ52(図27参照)の機能に対応するソフトウェア(プログラム)としてのプリンタドライバ5022、アプリケーション52によって作成された印刷データなど各種のデータを記憶する。
メモリ5030は、記憶装置5020から読み出されたプログラムやデータを記憶するとともに、プリンタドライバ52によって作成されたPDLデータ(画像データ)など送受データ、通信I/F5040によって受信された受信データを記憶する。
通信I/F5040は、通信回線60を介して、プリンタ40との間でデータの送受信を行うインタフェースである。例えば、通信I/F5040は、PDLデータ(画像データ)を、通信回線60を介してプリンタ40に向けて送信する。
CPU5010は、コンピュータ50全体を制御するものであり、例えば、記憶装置5020からメモリ5030へアプリケーションプログラム5021、プリンタドライバ5022を読み込んでこれらのプログラムを実行する。
CPU5010がアプリケーションプログラム5021を実行することによりアプリケーション51が実現され、ユーザはそのアプリケーション51を使用してアプリケーションデータつまり印刷データ(文書データ)を作成することができる。またプリンタドライバ5022を実行することによりプリンタドライバ52が実現され、ユーザが所定の印刷データに対する印刷要求を指示した場合、起動されたプリンタドライバ52は、当該印刷データをPDLデータに変換してプリンタ40に向けて送信する。
プリンタ40は、CPU4100、ハードディスクなどの記憶装置4200、ROM4300、RAM4400および通信I/F4500を有する画像処理装置400つまりコントローラ400と、画像出力装置4600とを備えている。
記憶装置4200は、上述した画像処理の画像処理手順(図30参照)に対応するプログラム、上記画像処理装置(コントローラ)400を構成する各構成要素の機能に対応するプログラムなど画像処理にかかわるプログラム(画像処理プログラム)4200Aを含む所定のプログラム、各種のデータを格納している。
ちなみに、上記画像処理装置(コントローラ)400を構成する各構成要素は、図27に示した各構成要素410〜470である。
画像処理プログラム4200Aは、少なくとも次の(1)および(2)の処理過程を含んでいる。
(1)入力色空間で表現される画像データを出力色空間にかかわるシアン色、マゼンタ色、イエロー色およびブラック色の4色で表現される画像データに変換する画像データ変換処理過程。
(2)上記出力色空間にかかわる4色の色毎に、色材の残量が所定の閾値を超えているときはベタ濃度が所望の値よりも高く、色材の残量が所定の閾値に達したときはベタ濃度が当該所望の値となるように設定されていることを条件に、対応する色材の残量に応じて、当該色材の色にかかわる前記画像データ変換処理過程により変換された画像データについて所定の階調再現特性曲線を基に階調補正を実施する階調補正処理過程。
ROM4300は、画像処理の際に必要となるパラメータなどを記憶している。
RAM4400は、記憶装置4200から読み込まれたプログラムやデータ、ROM4300から読み込まれたパラメータを記憶するとともに、通信I/F4500を介して受信された受信データを記憶する。
通信I/F4500は、通信回線60を介して、コンピュータ50との間でデータの送受信を行うインタフェースであり、例えば、コンピュータ50から送信された画像データ(PDLデータ)を受信する。
CPU4100は、画像処理装置400つまりプリンタ40全体を制御するものであり、例えば、記憶装置4200からRAM4400へ画像処理プログラム4200Aを読み込んで実行することにより、高画質の画像データを生成して、画像出力装置4600に向けて出力する。
画像出力装置4600は、帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、および定着プロセスを含む電子写真プロセス(画像形成処理)を実施して、カラー画像の印刷物を出力する。
通信回線60としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)や電話回線などの有線通信回線、無線LANなどの無線通信回線、さらには、これらの通信回線を組み合わせたもの、などが挙げられる。
(実施の形態5)
図38は、実施の形態5に係る画像処理装置を有する画像形成装置を含む画像形成システムの構成を示している。
図38に示す画像形成システム5は、図27に示した実施の形態4の画像形成システム4の構成において、PWM処理部450の機能を変更した構成になっている。なお、図38において、図27に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
実施の形態5は、実施の形態4とはトナー残量判断部403Aによるトナー残量の算出の方法が相違している。ここでは、その相違点について説明する。
PWM処理部450は、実施の形態4のPWM処理部450(図27参照)の機能に加えて、CMYK色の色毎にパルス信号のオン時間を積算して、この積算値に対応するピクセル(画素)を計数する機能(計数機能)も有している。
つまり、このPWM処理部450は、パルス信号のオン時間にかかわる所定の単位時間あたりのピクセルのカウント数とパルス信号のオン時間の積算値とに基づき、その積算値に対応するピクセルのカウント数を求め、このピクセルカウント値をピクセルカウント情報として出力する。なお、このピクセルカウント値は、例えば印刷対象の印刷データ単位毎またはページ単位毎にリセット(0にリセット)されるようになっている。
MCU403のトナー残量判断部403Aは、PWM処理部450Aからのピクセルカウント情報と濃度読取センサ402からの濃度情報とを基にトナーのトナー残量を求め、この求めたトナー残量情報をコントローラ400の補正判断部460へ出力する。
なお、図38に示した画像形成システム5のハードウェア構成は、図27に示した画像形成システム4の場合と同様になっている。
この実施の形態5では、トナー残量を算出するに際し、パッチの濃度情報とピクセルカウント情報とを使用することにより、よりトナー残量検知の精度(予測精度)や効率を向上させることができる。
(実施の形態6)
図39は、実施の形態6に係る画像処理装置を有する画像形成装置を含む画像形成システムの構成を示している。
図39に示す画像形成システム6は、図27に示した実施の形態4の画像形成システム4の構成において、UCR/墨生成部420およびレーザ発光制御部401のレーザユニット401Kを削除した構成になっている。なお、図39において、図27に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
TRC処理部430は、色変換処理部410によって色変換されたCMY色の画像データC0,M0,Y0について、TRC補正計算部470から与えられるTRC(階調再現特性曲線)に関するデータ(TRCデータ)を基に階調補正を行い、階調補正後の画像データC2,M2,Y2をハーフトーン処理部440へ出力する。
ハーフトーン処理部440は、階調補正後のCMY色の画像データC2,M2,Y2に対し、保持しているスクリーンデータを基にスクリーン処理を施し、このスクリーン処理された画像データC3,M3,Y3をPWM処理部450へ出力する。
PWM処理部450は、スクリーン処理後のCMY色の画像データC3,M3,Y3を基に、その画像データの階調に応じたパルス幅を有するパルス信号つまりパルス幅変調(PWM)によるパルス信号(パルス信号データ)つまりビデオ信号データを生成するとともに、これら生成したC色のビデオ信号データC4、M色のビデオ信号データM4、およびY色のビデオ信号データY4を、それぞれレーザ発光制御部401のレーザユニット401C,レーザユニット401M,レーザユニット401Yへ出力する。
すなわち、実施の形態6は、実施の形態5とは、出力色空間がCMY色空間である点が相違している。
実施の形態6において、色変換処理部410は画像データ変換手段に対応し、TRC処理部430は階調補正手段に対応し、ハーフトーン処理部440はスクリーン処理手段に対応し、PWM処理部450Aはパルス信号生成手段に対応し、濃度読取センサ402は濃度読取手段に対応し、トナー残量判断部403Aは残量検知手段に対応する。
なお、図39に示した画像形成システム5のハードウェア構成は、図27に示した画像形成システム4の場合と同様になっている。
この場合、記憶装置4200に格納されている画像処理プログラム)4200Aに含まれる、上記画像処理装置(コントローラ400)を構成する各構成要素の機能に対応するプログラムにかかわる当該各構成要素は、図39に示した各構成要素410,430〜470である。
また、画像処理プログラム4200Aは、少なくとも次の(1)および(2)の処理過程を含んでいる。
(1)入力色空間で表現される画像データをシアン色、マゼンタ色、およびイエロー色の3色で表現される画像データに変換する画像データ変換処理過程。
(2)上記画像データ変換処理過程により変換された3色の色毎の画像データと上記画像データ変換処理過程により変換されたブラック色の画像データとを合成し、シアン色、マゼンタ色、およびイエロー色の色毎の新たな画像データを生成する画像データ生成処理過程。
この実施の形態6では、出力色空間がCMY色空間のプリンタにおいて、所定の色の色材の残量が所定の量よりも低下した場合であっても、当該所定の色で表現される画像の画質を高めることができる。