JP2009238511A - 膜電極接合体の製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 触媒特性を変えることなく輪郭が鮮明な塗布パターンを得ると共に、塗工時において触媒粉体が発火しない膜電極接合体の製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】 基材2に触媒粉体10を静電付着させて、燃料電池用の膜電極接合体を製造する方法であって、基材2をメインボックス30内に搬送する工程と、メインボックス30内の酸素濃度が所定の濃度以下の条件となるようにメインボックス30内に不燃性ガスを供給して酸素濃度を調整しながら、メインボックス30内において基材2に触媒粉体10の静電付着を行う工程と、を少なくとも含んでなる。
【選択図】図1
【解決手段】 基材2に触媒粉体10を静電付着させて、燃料電池用の膜電極接合体を製造する方法であって、基材2をメインボックス30内に搬送する工程と、メインボックス30内の酸素濃度が所定の濃度以下の条件となるようにメインボックス30内に不燃性ガスを供給して酸素濃度を調整しながら、メインボックス30内において基材2に触媒粉体10の静電付着を行う工程と、を少なくとも含んでなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池用の膜電極接合体の製造方法及びその製造装置に係り、基材に触媒粉体を好適に静電付着させることができる膜電極接合体の製造方法及びその製造装置に関する。
固体高分子型燃料電池は、イオン交換膜からなる電解質膜と、該電解質膜の両面に配置された触媒層及びガス拡散層と、を含む膜電極接合体(MEA)を備えている。触媒層は白金担持カーボンのような触媒粉体(触媒担持導電体)を含み、基材である電解質膜あるいはガス拡散層に触媒層を形成する方法としては、電極インクを、印刷、ローラコート、スプレーなどにより基材に塗布(塗工)する、いわゆる湿式塗布方法が従来から行われてきた。さらに、近年になり、静電気力や気体(キャリヤーガス)の流れを利用して、触媒粉体を基材である電解質膜またはガス拡散層に向けて飛翔させて直接付着させる乾式方法も採用されている。
例えば、下記に示す特許文献1に記載の乾式方法では、基材に対して非接触のスクリーンを配置し、基材とスクリーンの間に電圧を印加しておき、弾性体であるフィードローラによりスクリーン上に触媒粉体を供給すると共に、フィードローラの持つ弾性力により触媒粉体に押出し力を与え、静電気力と弾性体からの押出し力の双方により、触媒粉体を基材側に飛翔させて静電付着させるようにしている。
この方法によれば、静電気力と押出し力の双方によって、スクリーンから基材へ触媒粉体が飛翔するので、低い印加電圧でもって所望の塗布パターンを基材上に形成することができると共に、輪郭が鮮明な塗布パターンを得ることができる。
特開平2005−230688号公報
しかし、乾式方法の場合には、触媒粉体にエネルギを付与して、触媒粉体を基材に付着させているため、触媒粉体そのものが発火し易いものであった。例えば、特許文献1に記載の方法によれば、触媒粉末に静電気力を作用させるために触媒粉体が帯電しているので、静電付着する粉体が発火する場合があった。
よって、このような発火を抑制するためには、例えば、基材とスクリーンの間に印加する着火源となる電圧を抑えて、触媒粉体を帯電させるためのエネルギを低減することも考えられる。しかし、電圧を抑えた場合には、塗工された触媒粉体の輪郭の塗布パターンが鮮明とならず、いわゆるエッジボケが発生するおそれがある。また、別の方法として、触媒粉体そのものの仕様を変更する方法も考えられるが、この場合には、所望の触媒特性が得られない場合もある。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、触媒特性を変えることなく輪郭が鮮明な塗布パターンを得ると共に、塗工時において触媒粉体が発火等しない膜電極接合体の製造方法及びその製造装置を提供することにある。
前記課題を解決すべく、発明者は鋭意検討を重ねた結果、触媒粉体の発火を抑制するには、(1)発火する触媒粉体そのもの、(2)着源となる触媒粉体の帯電、(3)静電付着時の酸素の3つの要素のいずれかを管理すべきと考えた。しかし、(1)(2)の管理は、上述したように、所望の膜電極接合体を得ることができないため、発明者は、静電付着時の酸素濃度を管理することが、最適であるとの新たな知見を得た。
本発明は発明者の前記新たな知見に基づくものであり、本発明に係る膜電極接合体の製造方法は、基材に触媒粉体を静電付着させて、燃料電池用の膜電極接合体を製造する方法であって、前記基材を筐体内に搬入する工程と、該筐体内の酸素濃度が所定の濃度以下の条件となるように前記筐体内に不燃性ガスを供給して酸素濃度を調整しながら、前記筐体内において前記基材に前記触媒粉体の静電付着を行う工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明に係る膜電極接合体の製造方法によれば、発火要因となる3要素の1つである、筐体内の酸素濃度を調整することにより、触媒特性を変えることなく輪郭が鮮明な触媒粉体の塗布パターンを得ると共に、塗工時において触媒粉体の発火を防止することができる。
ここで、本発明にいう「基材」とは、電解質膜又はガス拡散層をいい、「膜電極接合体」とは、電解質膜の両面に、アノード電極及びカソード電極として触媒層、ガス拡散層が順次積層されたものをいい、本発明に係る膜電極接合体の製造方法は、膜電極接合体を製造するにあたって、基材に触媒粉体を静電付着させる工程を少なくとも含むものであり、他の工程として一般的な工程をさらに含んでもよい。また、不燃性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスが好ましい。
また、本発明に係る膜電極接合体の製造方法において、前記筐体内から前記基材を搬出する際に、前記筐体内の酸素濃度と筐体外の酸素濃度との間の酸素濃度のガスに、前記基材を晒す工程をさらに含むことがより好ましい。
本発明に係る膜電極接合体の製造方法によれば、触媒粉体を塗布(塗工)後、時間経過と共に段階的に酸素濃度を筐体外(大気)の酸素濃度に近づけるので、基材が筐体から搬出され、触媒層が大気に暴露されたとしても、急激な酸素濃度上昇と、触媒への大気(酸素)の吸着に起因する触媒の吸着熱の発生を抑制でき、基材に付着した触媒の発火・発煙を防止することができる。
また、本発明に係る膜電極接合体の製造方法において、前記筐体内へ前記基材を搬入する際に、前記筐体外から該筐体内への流入を抑制するように、不燃性ガスを前記筐体の搬入側に供給する工程をさらに含むことがより好ましい。
本発明に係る膜電極接合体の製造方法によれば、前記筐体内への大気の流入が抑制され、その結果として前記筐体内の酸素濃度の調整を容易に行うことができる。特に、この工程では、筐体内への大気の流入を抑制することを目的とするので、前記筐体の基材が搬入される搬入口に、不燃性ガスのガスカーテンが形成されるように、不燃性ガスを供給することがより好ましい。
さらに、本発明に係る膜電極接合体の製造方法において、前記筐体内の酸素濃度を測定し、該測定した酸素濃度が前記所定の酸素濃度以下となるように、前記酸素濃度の調整を行なうことがより好ましい。本発明に係る膜電極接合体の製造方法によれば、筐体内の酸素濃度を測定しながら酸素濃度の調整を行うので、より精度良く酸素濃度の調整が可能となる。
本発明として、前記膜電極接合体の製造方法を好適に行なうための製造装置をも開示する。本発明に係る膜電極接合体の製造装置は、基材に触媒粉体を静電付着させて、燃料電池用の膜電極接合体を製造する装置であって、該装置は、前記基材を搬入し搬出することが可能な筐体と、該筐体内の酸素濃度が所定の酸素濃度以下の条件となるように不燃性ガスを供給して、前記酸素濃度を調整する酸素濃度調整手段と、前記筐体内の前記基材に触媒粉体を静電付着させる静電付着手段と、を少なくとも備えることを特徴とする。
本発明に係る膜電極接合体の製造装置によれば、酸素濃度調整手段により、筐体内の酸素濃度が所定の濃度以下の条件となるように前記筐体内に不燃性ガスを供給して酸素濃度を調整しながら、静電付着手段により、前記筐体内において前記基材に前記触媒粉体の静電付着を行うことができる。これにより、触媒特性を変えることなく輪郭が鮮明な触媒粉体の塗布パターンを得ると共に、塗工時において触媒粉体の発火を防止することができる。
本発明に係る膜電極接合体の製造装置は、前記筐体内に前記基材を搬入し、前記筐体外へ前記基材を搬出する基材搬送手段を備えており、前記筐体の搬出側には、前記筐体内の酸素濃度と前記筐体外の酸素濃度との間の酸素濃度のガスに基材を晒すように、該ガスを供給する出側ガス供給手段をさらに備えることがより好ましい。
本発明に係る膜電極接合体の製造装置によれば、筐体内から前記基材を搬出する際に、前記出側ガス供給手段により、前記筐体内の酸素濃度と筐体外の酸素濃度との間の酸素濃度のガスに、所定時間、前記基材を晒すことができる。これにより、触媒粉体を塗布後、基材が前記筐体から搬出され、触媒層が大気に暴露されたとしても、急激な酸素濃度上昇と、触媒への酸素の吸着に起因する触媒の吸着熱の発生を抑制でき、触媒層の発火・発煙を防止することができる。
本発明に係る膜電極接合体の製造装置は、前記筐体内に前記基材を搬入し、前記筐体外へ前記基材を搬出する基材搬送手段を備えており、前記筐体の搬入側には、前記筐体外から該筐体内へのガスの流入を抑制するように、不燃性ガスを前記筐体の搬入側に供給する入側ガス供給手段をさらに備えることがより好ましい。
本発明に係る膜電極接合体の製造装置によれば、前記筐体内から前記基材を搬入する際に、前記筐体外から該筐体内に、入側ガス供給手段により、該筐体外のガスの流入を抑制するように、不燃性ガスを前記筐体の搬入側に供給することができる。これにより、前記筐体内への大気の流入が抑制され、前記筐体内の酸素濃度の調整を容易に行うことができる。特に、入側ガス供給手段は、筐体内への大気の流入を抑制することを目的とするので、前記筐体の基材が搬入される搬入口に、不燃性ガスのガスカーテンが形成されるように、入側ガス供給手段を配置することがより好ましい。
本発明に係る膜電極接合体の製造装置は、前記筐体内の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段をさらに備えることがより好ましい。本発明に係る膜電極接合体の製造装置によれば、酸素濃度測定手段により測定された筐体内の酸素濃度が、所定の酸素濃度(発火しない酸素濃度)以下となるように不燃性ガスを供給して、筐体内の酸素濃度をより精度よく調整することができる。
本発明によれば、触媒特性を変えることなく輪郭が鮮明な塗布パターンを得ると共に、塗工時において触媒粉体の発火を防止することができる。
以下、本発明を、図面を参照しながら、本発明を実施形態に基づき説明する。図1は、本発明の製造方法を好適に実施することのできる装置の第一実施形態を示す概略図であり、図2は図1の変形態様を示す概略図である。なお、基材としての電解質膜に触媒層を形成する場合の実施の形態について説明するが、ガス拡散層に触媒層を形成する場合は、基材として電解質膜に代えてガス拡散層を用いる。
膜電極接合体の製造装置100は、ロール状に巻かれた基材(電解質膜)2を保持する巻き出しロール1と、触媒粉体10が付着されかつ定着された後の基材2を巻き取る巻き取りロール3を備える。図示しない駆動手段により巻き出しロール1と巻き取りロール3は同期した回転をし、基材2は一定の速度で巻き取りロール3に巻き取られる。なお、本発明でいう「基材搬送手段」とは、本実施形態に係る、巻き出しロール1、巻き取りロール3、及びこれらのロールを駆動手段に相当するが、基材2を搬送することができるのであれば、これらの構成に限定されるものではない。
巻き出しロール1と巻き取りロール3との間には、基材2の一部を搬入し搬出することが可能なメインボックス(筐体)30が備えられている。メインボックス30の内部には、移動する基材2を背面から支持するバックアップ材(電極の片極)4が配置されており、バックアップ材4から所定距離(例えば、10mm程度)離れた位置には、バックアップ材4と平行する姿勢で、メッシュ状のスクリーン5が適宜の保持手段により保持されている。
そして、図示しない駆動手段によりスクリーン5はその下を移動する基材2と同期した速度で所定距離だけ基材2と同方向に移動し、その後、原位置に復帰するようになっている。スクリーン5には、基材2の上に触媒粉体10を塗布し付着しようとするパターン(すなわち、膜電極接合体での触媒層のパターン)と同じパターンの模様が例えば200メッシュのような編み目体で形成されている。
スクリーン5にはSUSなどの導電性材料またはナイロンなど樹脂の絶縁材料のいずれかが用いられる。基材2の移動路であって、スクリーン5よりも下流側には、加熱ロールのような加熱圧着手段8が備えてあり、基材2に塗布された触媒粉体10の定着を行う。
スクリーン5の上にはホッパー6が位置しており、該ホッパー6には触媒担持導電体(たとえば白金担持カーボン)などの触媒粉体10が充填される。また、ホッパー6の出口部分には弾性体で作られたフィードローラ7が、その回転軸心を基材2の移動方向に直交する姿勢で配置されている。この例において、フィードローラ7の素材はポリエウレタンであるが、その他、樹脂やゴムに発泡剤を添加したもので作ることもできる。また、フィードローラ7は図示しない駆動手段により回動するようになっている。
スクリーン5とフィードローラ7とは、スクリーン5の表面にフィードローラ7が圧接する状態、すなわち、フィードローラ7がスクリーン5の表面に押し付けられることにより、スクリーン5の接する面は潰されるように変形して、メッシュ内に部分的に入り込んだ状態と取り得るようにされている。
装置100は電圧印加手段20を備え、スクリーン5に0〜10kV程度の電圧をかけて、基材2とスクリーン5間に電界が印加されるようになっている。また、図示しないが、ホッパー6に収容した触媒粉体10に帯電させる手段として、コロナ放電手段や攪拌による摩擦帯電手段などが、必要に応じて配置される。本発明でいう「静電付着手段」とは、本実施形態におけるホッパー6、フィードローラ7、スクリーン5、バックアップ材(電極の片極)4及び電圧印加手段20を含むものであり、触媒粉体10にエネルギを付与し、基材2に触媒粉体10を静電付着させることができるのであれば、特にその装置構成は限定されるものではない。
さらに、膜電極接合体の製造装置100は、メインボックス30内の酸素濃度が所定の酸素濃度以下の条件となるように不燃性ガスを供給して、メインボックス30内の酸素濃度を調整する酸素濃度調整手段40を備えており、メインボックス30内の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段50をさらに備えることがより好ましい。
酸素濃度調整手段40は、例えば窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスを不燃ガスとして含む不燃性ガス供給源40aと、不燃性ガス供給源40aからメインボックス30に供給される不燃性ガスの量を調整する流量調整弁などの調整手段40bと、を備えている。
以下に上述した装置100を用いて、基材に触媒粉体を静電付着させて、燃料電池用の膜電極接合体の製造方法を以下に示す。
まず、基材2である電解質膜に触媒層を形成するに際し、スクリーン5に電圧印加手段20により所要に電圧をかけておく。これと同時に、酸素濃度測定手段50により測定されたメインボックス30内の酸素濃度が、所定の酸素濃度(発火しない酸素濃度)以下の条件となるように不燃性ガス供給源40aから不燃性ガスを供給して、調整手段40bによりメインボックス30内の酸素濃度を調整する。また、目標となる酸素濃度の基準値は、予備実験等を行なうことにより、求めることができる。さらに、この際、メインボックス30内の圧力は、大気圧に対して数十Paの陽圧となるように調整することが好ましい。
次に、ホッパー6に触媒粉体10を充填し、必要に応じて帯電させる。巻き取りロール3を駆動して基材2を一定速度、例えば5m/分でメインボックス30内に搬入する。それに同期して所望にパターンニングされたスクリーン5も同じ方向に移動させ、かつ、フィードローラ7にも回転を与える。
ホッパー6内の触媒粉体10はフィードローラ7の表面に付着した状態でホッパー6から繰り出され、フィードローラ7がスクリーン5の表面に圧着すると同時に、触媒粉体10はスクリーン5上に供給されかつ帯電した状態となる。さらにフィードローラ7が回転することにより、フィードローラ7の表面の一部はメッシュ状とされたスクリーン5内に入り込むようになるので、触媒粉体10は弾性体であるフィードローラ7の表面で押し付けられるようになり、印加された電圧による静電気力に加えて、基材2側への押し出し力を受ける。
フィードローラ7の回転中にホッパー6からスクリーン5上に触媒粉体10が落下することもあるが、その場合にも、落下した触媒粉体10はスクリーン5の移動によりフィードローラ7の下に来たときにフィードローラ7により押し付けられ、やはり、印加された電圧による静電気力に加えて、基材2側への押し出し力を受ける。
この静電気力と弾性体の押し出し力の双方により、触媒粉体10は基材2側に飛翔し付着する。付着した触媒粉体10は、加熱圧着手段8を通過するときに基材2に定着されて安定し、触媒層10aを形成する。その状態で基材2は、メインボックス30からに搬出され、巻き取りロール3に巻き取られる。膜電極接合体の一枚分に対して触媒粉体10の塗布が終了した時点で、スクリーン5は原位置に復帰し、次の塗布に備える。なお、図示の例では、一枚のスクリーン5を往復動させるようにしているが、複数枚のスクリーンを用いてスクリーンをローテーションさせるようにしてもよい。この態様は連続生産に好適である。
上記のように、本発明によれば、触媒粉体10の基材(電解質膜)2への飛翔と付着は、静電気力と押し出し力の双方で行われるので、十分に安全な低い電圧であっても、安定した飛翔と定着を実現することかできる。そのために、形成される膜厚は一定なものとなり、輪郭もはっきりしたものとなって、膜電極接合体の製品精度は向上する。さらに、強い力で基材に向けて飛翔するので、無駄に飛散する触媒粉体量を少なくすることができ、それらのことから、触媒粉体10の歩留まりも向上する。
そして、メインボックス30内の酸素濃度を、酸素濃度調整手段40を用いて酸素濃度を調整したので、メインボックス30内において、触媒粉体10の発火を回避することができる。さらに、メインボックス30内を大気圧に対して数十Paの陽圧としたので、メインボックス30内に、大気が流入し難くなり、好適にメインボックス30内の酸素濃度を調整することができる。
なお、本実施形態では、酸素濃度調整手段40は、不燃性ガスを供給するように構成されているが、メインボックス30に大気(エア)をさらに別系統から供給できるようにしてもよい。これにより、装置100の使用終了時に、メインボックス30内の不燃性ガスを大気に入れ替えることができ、装置使用の安全の確保を図ることができる。
上記の装置100では基材2の一面にのみ触媒粉体10を塗布して触媒層を形成するようにしたが、図2に示す装置は、基材2である電解質膜の両面に連続して触媒粉体10を塗布することを可能としている。ここでは、図1に示す装置100での巻き取りロール3に代えて送りロール3aを使用し、そこを通過する一面に触媒粉体10を触媒層10aとして定着した基材2を、さらに送りロール3bを通過させることにより反転させ、該反転した基材2の触媒層10aが形成されていない反対側の面に対して、図1に示した装置Aと同じ装置100Aを用いて、触媒粉体10を塗布し定着して触媒層10bとするようにしている。両面に所定のパターンで触媒粉体10が触媒層10a,10bとして定着した基材2は、装置100Aの巻き取りロール3により巻き取られる。このようにして、基材2の両面に触媒層10a,10bを精度良く形成すると共に、塗工時において発火しない触媒粉体の静電付着が可能な膜電極接合体の製造することができる。
図3は、本発明の製造方法を好適に実施することのできる装置の第二実施形態を示す概略図であり、図4は図2の変形態様を示す概略図である。なお、第一実施形態と同じ装置構成は、同じ符号を付して、その説明は省略する。
第二実施形態に係る膜電極接合体の製造装置100Bは、第一実施形態の製造装置100と比べて、メインボックス30の基材2を搬入する側に入側ガス供給手段41と、メインボックス30の基材2を搬出する側に出側ガス供給手段42と、を配置した点が相違する。
入側ガス供給手段41は、メインボックス30外(大気)からメインボックス30内へ、メインボックス外のガス(大気)の流入を抑制するように構成されており、メインボックス30内の基材2が搬入される搬入口に隣接して配置された入側サブボックス31を備えている。さらに入側ガス供給手段41は、例えば窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスを不燃ガスとして含む不燃性ガス供給源41aと、不燃性ガス供給源41aから入側サブボックス31に供給される不燃性ガスの量を調整する調整手段40bと、を備えている。
このように、入側ガス供給手段41を備えることにより、メインボックス30内への大気の流入が抑制され、メインボックス内の酸素濃度の調整を容易に行うことができる。特に、メインボックス30と入側サブボックス31との境界、すなわちメインボックス30の搬入口に、不燃性ガスのガスカーテンが形成されるように、入側ガス供給手段41を配置することが好ましく、メインボックス30内への大気の流入をより確実に抑えることができる。
また、出側ガス供給手段42は、メインボックス30内の酸素濃度とメインボックス30外の大気の酸素濃度との間の酸素濃度のガスを基材2に晒すように構成されており、メインボックス30内の基材2が搬出される搬出口に隣接して配置された出側サブボックス32を備えている。さらに出側ガス供給手段42は、例えば窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスを不燃ガスとして含む不燃性ガス供給源42aと、不燃性ガス供給源42aから出側サブボックス32に供給される不燃性ガスの量を調整する調整手段40bと、を備えている。
そして、調整手段40bにより、出側サブボックス32内の酸素濃度を、メインボックス30内の酸素濃度とメインボックス30外の大気の酸素濃度との間の酸素濃度のガスとなるように、不燃性ガス供給源42aの不燃性ガスを調整する。
このようにして、触媒粉体10を塗布後、基材2がメインボックス30から搬出され、触媒層10aが大気に暴露されたとしても、急激な酸素濃度上昇と、触媒への酸素の吸着に起因する触媒の吸着熱の発生を抑制でき、触媒層10aの発火・発煙を防止することができる。
上記の装置100Bでは基材2の一面にのみ触媒粉体10を塗布して触媒層を形成するようにしたが、図4に示す装置は、基材2である電解質膜の両面に連続して触媒粉体10を塗布することを可能としている。ここでは、図3に示す装置100Bでの巻き取りロール3に代えて送りロール3aを使用し、そこを通過する一面に触媒粉体10を触媒層10aとして定着した基材2を、さらに送りロール3bを通過させることにより反転させ、該反転した基材2の触媒層10aが形成されていない反対側の面に対して、図3に示した装置100Bと同じ装置100Cを用いて、触媒粉体10を塗布し定着して触媒層10bとするようにしている。両面に所定のパターンで触媒粉体10が触媒層10a,10bとして定着した基材2は、装置100Cの巻き取りロール3により巻き取られる。このようにして、基材2の両面に触媒層10a,10bを精度良く形成すると共に、塗工時において発火しない触媒粉体の静電付着が可能な膜電極接合体の製造することができる。
以下、実施例と比較例により本発明を説明する。
[実施例1]
図2に示した装置を用いて電解質膜への触媒粉体の静電付着を行った。触媒粉体は、白金担持カーボン(Pt/C)と、電解質の混合造粒粉体(電解質比率0.8)を用いて、スクリーン−基材間距離3mm、電圧1.5kV(電界0.5kV/mm)の装置条件で、電解質膜上に目付けが0.4mgPt/cm2となるように塗工、定着を実施した。この時、メインボックスの酸素濃度を5体積%(爆発(発火)下限酸素濃度7体積%)とした。また、電解質膜の搬送速度は、3m/分とした。
[実施例1]
図2に示した装置を用いて電解質膜への触媒粉体の静電付着を行った。触媒粉体は、白金担持カーボン(Pt/C)と、電解質の混合造粒粉体(電解質比率0.8)を用いて、スクリーン−基材間距離3mm、電圧1.5kV(電界0.5kV/mm)の装置条件で、電解質膜上に目付けが0.4mgPt/cm2となるように塗工、定着を実施した。この時、メインボックスの酸素濃度を5体積%(爆発(発火)下限酸素濃度7体積%)とした。また、電解質膜の搬送速度は、3m/分とした。
[結果1]
触媒粉体を摩擦により帯電させた際に、触媒粉体が発火することはなかく、好適であった。なお、触媒粉体の定着後、搬出時には酸素濃度が5体積%から大気の酸素濃度に急激に変化するため、触媒層は大気中に暴露され、酸素の触媒表面への吸着熱によって触媒層の発煙が生じる場合があった。
触媒粉体を摩擦により帯電させた際に、触媒粉体が発火することはなかく、好適であった。なお、触媒粉体の定着後、搬出時には酸素濃度が5体積%から大気の酸素濃度に急激に変化するため、触媒層は大気中に暴露され、酸素の触媒表面への吸着熱によって触媒層の発煙が生じる場合があった。
[実施例2]
図4に示した装置を用いて電解質膜への触媒粉体の静電付着を行なった。製造条件は、実施例1と同じ条件であり、相違する点は、入側サブボックス及び出側サブボックスの酸素濃度を10体積%とした点である。
図4に示した装置を用いて電解質膜への触媒粉体の静電付着を行なった。製造条件は、実施例1と同じ条件であり、相違する点は、入側サブボックス及び出側サブボックスの酸素濃度を10体積%とした点である。
[結果2]
触媒粉体を摩擦により帯電させた際に、触媒粉体が発火することはなかった。また、触媒粉体の定着後、搬出時には酸素濃度が5体積%から、10体積%となり、大気の酸素濃度に、段階を追って変化するため、酸素の触媒表面への吸着熱は抑制され、触媒層の発煙が生じることはなかった。
触媒粉体を摩擦により帯電させた際に、触媒粉体が発火することはなかった。また、触媒粉体の定着後、搬出時には酸素濃度が5体積%から、10体積%となり、大気の酸素濃度に、段階を追って変化するため、酸素の触媒表面への吸着熱は抑制され、触媒層の発煙が生じることはなかった。
以上、本発明に係る膜電極接合体の製造装置及び製造方法の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
例えば、第二実施形態の出側サブボックスの酸素濃度をより正確に管理すべく、出側サブボックスに、さらに酸素濃度測定手段を備えてもよい。
1:巻き出しロール、2:基材(電解質膜またはガス拡散層)、3:巻き取りロール、3a,3b:送りロール、4:バックアップ材、5:スクリーン、6:ホッパー、7:フィードローラ、8:加熱圧着手段、10:触媒粉体、10a,10b:触媒層、20:電圧印加手段、30:メインボックス、31:入側サブボックス、32:出側サブボックス、40:酸素濃度調整手段、40a:不燃性ガス供給源、40b:調整手段、41:入側ガス供給手段、41a:不燃性ガス供給源、41b:調整手段、42:出側ガス供給手段、42a:不燃性ガス供給源、42b:調整手段、50:酸素濃度測定手段、100,100A,100B,100C:膜電極接合体の製造装置
Claims (8)
- 基材に触媒粉体を静電付着させて、燃料電池用の膜電極接合体を製造する方法であって、
前記基材を筐体内に搬入する工程と、該筐体内の酸素濃度が所定の濃度以下の条件となるように前記筐体内に不燃性ガスを供給して酸素濃度を調整しながら、前記筐体内において前記基材に前記触媒粉体の静電付着を行う工程と、を少なくとも含むことを特徴とする膜電極接合体の製造方法。 - 前記筐体内から前記基材を搬出する際に、前記筐体内の酸素濃度と筐体外の酸素濃度との間の酸素濃度のガスに、前記基材を晒す工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体の製造方法。
- 前記筐体内へ前記基材を搬入する際に、前記筐体外から該筐体内へのガスの流入を抑制するように、不燃性ガスを前記筐体の搬入側に供給する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の膜電極接合体の製造方法。
- 前記筐体内の酸素濃度を測定し、該測定した酸素濃度が前記所定の酸素濃度以下となるように、前記酸素濃度の調整を行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膜電極接合体の製造方法。
- 基材に触媒粉体を静電付着させて、燃料電池用の膜電極接合体を製造する装置であって、
該装置は、前記基材を搬入し搬出することが可能な筐体と、該筐体内の酸素濃度が所定の酸素濃度以下の条件となるように不燃性ガスを供給して、前記酸素濃度を調整する酸素濃度調整手段と、前記筐体内の前記基材に触媒粉体を静電付着させる静電付着手段と、を少なくとも備えることを特徴とする膜電極接合体の製造装置。 - 前記膜電極接合体の製造装置は、前記筐体内に前記基材を搬入し、前記筐体外へ前記基材を搬出する基材搬送手段を備えており、前記筐体の搬出側には、前記筐体内の酸素濃度と前記筐体外の酸素濃度との間の酸素濃度のガスに基材を晒すように、該ガスを供給する出側ガス供給手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の膜電極接合体の製造装置。
- 前記膜電極接合体の製造装置は、前記筐体内に前記基材を搬入し、前記筐体外へ前記基材を搬出する基材搬送手段を備えており、前記筐体の搬入側には、前記筐体外から該筐体内へのガスの流入を抑制するように、不燃性ガスを前記筐体の搬入側に供給する入側ガス供給手段をさらに備えることを特徴とする請求項5または6に記載の膜電極接合体の製造装置。
- 前記筐体内の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段をさらに備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の膜電極接合体の製造装置。
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JP2008081646A JP2009238511A (ja) | 2008-03-26 | 2008-03-26 | 膜電極接合体の製造方法及びその製造装置 |
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KR101175032B1 (ko) | 2011-01-03 | 2012-08-17 | 삼성에스디아이 주식회사 | 극판 건조 장치 |
CN104685683A (zh) * | 2012-09-28 | 2015-06-03 | 日产自动车株式会社 | 涂敷装置 |
-
2008
- 2008-03-26 JP JP2008081646A patent/JP2009238511A/ja active Pending
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