JP2009236055A - 流体機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャビテーションの発生を効果的に抑制できる流体機械を提供すること。
【解決手段】この流体機械1は、複数の主羽根22と、これらの主羽根22よりも短い翼長を有する複数のスプリッタ23とが交互に配列されて成るランナ2を備えている。ここで、隣り合う一対の主羽根22の中間位置に基準線oを引く。このとき、スプリッタ23が基準線oよりもスプリッタ23に対して負圧面を向けている主羽根22側に寄せられて配置されている。
【選択図】 図2

Description

この発明は、流体機械に関し、さらに詳しくは、キャビテーションの発生を効果的に抑制できる流体機械に関する。
近年の流体機械は、複数の主羽根と、これらの主羽根よりも短い翼長を有する複数のスプリッタとが交互に配列されて成るランナを備えている。このような流体機械では、運転時にてキャビテーションの発生を抑制すべき課題がある。
このような課題に関する従来の流体機械として、特許文献1に記載される技術が知られている。従来の流体機械(スプリッタランナ)は、クラウン、バンド間に、翼長の長い羽根と翼長の短い羽根とが、回転軸を中心とする円周方向に交互に配置されてなるスプリッタランナであって、前記翼長の長い羽根の前記クラウン、バンド間の水車入口側端部の少なくとも一部が、前記翼長の短い羽根の前記クラウン、バンド間の水車入口側端部よりも、前記円周の内径側に位置する。
特開2005−48608号公報
この発明は、キャビテーションの発生を効果的に抑制できる流体機械を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる流体機械は、複数の主羽根と、前記主羽根よりも短い翼長を有する複数のスプリッタとが交互に配列されて成るランナを備える流体機械であって、隣り合う一対の前記主羽根の中間位置に基準線oを引くときに、前記スプリッタが基準線oよりも前記スプリッタに対して負圧面を向けている前記主羽根側に寄せられて配置されることを特徴とする。
この流体機械では、スプリッタが基準線oよりもスプリッタに対して負圧面を向けている主羽根側に寄せられて配置されるので、運転時におけるキャビテーションの発生が抑制される利点がある。
また、この発明にかかる流体機械は、隣り合う一対の前記主羽根のうち前記スプリッタに対して負圧面を向けている主羽根から他方の主羽根までの距離Lと前記スプリッタまでの距離L’とが0.40≦L’/L<0.50の関係を有する。
この流体機械では、主羽根とスプリッタとの位置関係が適正化されるので、運転時におけるキャビテーションの発生が効果的に抑制される利点がある。
また、この発明にかかる流体機械は、前記主羽根の外径端部が前記スプリッタの外径端部よりも前記ランナの径方向内側にある。
この流体機械では、運転時にて主羽根の負荷が低減されるので、主羽根とスプリッタとの負荷配分が均等化される。これにより、各翼の負荷が低減されて、キャビテーションの発生が効果的に抑制される利点がある。
また、この発明にかかる流体機械は、前記スプリッタの延長線と前記ランナの外周円とのなす角βが前記主羽根の延長線と前記ランナの外周円とのなす角αよりも大きい。
この流体機械では、スプリッタのポンプ入口角(水車出口角)βと、主羽根のポンプ入口角αとがβ>αの関係を有する。かかる構成では、運転時にて主羽根の負荷が低減されるので、主羽根とスプリッタとの負荷配分が均等化される。これにより、各翼の負荷が低減されて、キャビテーションの発生が効果的に抑制される利点がある。
また、この発明にかかる流体機械は、前記主羽根および前記スプリッタの少なくとも一方の入口側端部が翼厚さ方向の断面視にて異なる曲率半径r1、r2を有する複数の円弧から成るときに、翼の圧力面側に位置する前記円弧の曲率半径r1と翼の負圧面側に位置する前記円弧の曲率半径r2とがr1<r2の関係を有する。
この流体機械では、低流量での運転時にて水流が負圧面側の翼面に沿って流れるため、静圧が極度に低下することなく、キャビテーションの発生が抑制される利点がある。
また、この発明にかかる流体機械は、前記主羽根および前記スプリッタの少なくとも一方のポンプ運転時における入口側端部における翼厚が出口側端部における翼厚よりも小さい。
この流体機械では、翼のポンプ運転時における入口側端部が薄い翼厚を有する。かかる構成では、ポートの径が確保されるので、水車運転時の最大出力性能が適正に確保される利点がある。
この発明にかかる流体機械では、スプリッタが基準線oよりもスプリッタに対して負圧面を向けている主羽根側に寄せられて配置されるので、運転時におけるキャビテーションの発生が抑制される利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1は、この発明の実施例にかかる流体機械を示す構成図である。図2は、図1に記載した流体機械のランナを示す平面図である。図3〜図6は、図1に記載したランナの作用を示す説明図である。
[ポンプ水車]
この流体機械は、例えば、ポンプ(軸流ポンプ)、ポンプ水車などに適用され得る。ここでは、一例として、発明がポンプ水車に適用される場合について説明する(図1参照)。
流体機械(ポンプ水車)1は、ランナ2と、主軸3と、カバー4とを備える。ランナ2は、ランナ本体21の背面側にて主軸3に連結される。カバー4は、このランナ2を収容する部材である。このカバー4を介して、ランナ2の軸方向前方と吸出管10とが接続され、また、ランナ2の径方向外側とケーシング11とが接続される。
この流体機械1では、ポンプ運転時には、ランナ2が主軸3から動力を伝達されて回転する。すると、水が吸出管10から吸い上げられてケーシング11内に送り出される。一方、水車運転時には、吸出管10からの水流がランナ2を回転させた後にケーシング11内に排出される。これにより、ランナ2が回転して動力が主軸3に伝達される。
[ランナのスプリッタ]
また、ランナ2は、ランナ本体21と、複数の主羽根22および複数のスプリッタ23とを有する(図2参照)。スプリッタ23は、主羽根22よりも短い翼長を有する。また、複数の主羽根22と複数のスプリッタ23とが交互に配列される。かかる構成では、複数のスプリッタ23の配置により、全体としての翼枚数が増加して各翼22、23の負荷が低減される。これにより、静圧の低下が抑制されてキャビテーションの発生が抑制される。
ここで、ランナ2の平面視(翼配置図)にて、隣り合う一対の主羽根22、22の中間位置に基準線oを引く(図2参照)。このとき、各スプリッタ23が基準線oよりもスプリッタ23に対して負圧面を向けている主羽根22側に寄せられて配置される。すなわち、主羽根とスプリッタとが交互かつ等間隔にて配置されるのではなく、各スプリッタ23が一方の主羽根22(スプリッタ23に対して負圧面を向けている主羽根22)側に寄せられて配置される。
また、隣り合う一対の主羽根22、22のうちスプリッタ23に対して負圧面を向けている主羽根から他方の主羽根までの距離をLとする。また、スプリッタ23に対して負圧面を向けている主羽根22からスプリッタ23までの距離をL’とする。このとき、これらの距離L、L’が0.40≦L’/L<0.50の関係を有することが好ましく、L’/L=0.45の関係を有することがより好ましい。なお、L’/L=0.50のときに、基準線oとスプリッタ23の位置とが一致する。
図3は、主羽根22とスプリッタ23との位置関係(比L’/L)と揚水運転時におけるキャビテーションの発生量との関係を示すグラフである。同図では、縦軸が低揚程条件(大流量条件)を示し、横軸が高揚程条件(低流量条件)を示している。したがって、グラフが同図の左下の領域にあるほど、低揚程時および高揚程時の双方にてキャビテーションの発生量が少なく、好ましい。同図に示すように、主羽根22とスプリッタ23との位置関係が0.40≦L’/L<0.50の関係を有するときに、キャビテーションの発生量が広い運転範囲にて抑制されることが分かる。また、比L’/L=0.45のときに、最も好ましい実験結果が得られている。
[効果]
以上説明したように、この流体機械1では、スプリッタ23が基準線oよりもスプリッタ23に対して負圧面を向けている主羽根22側に寄せられて配置されるので(図2参照)、運転時におけるキャビテーションの発生が抑制される利点がある。例えば、主羽根(スプリッタ)の前縁部が円弧形状や楕円形状を有する構成では、低流量での運転時にて、水流が主羽根の前縁部を回り込み、静圧が局所的に低下してキャビテーションが発生し易くなる。
また、かかる構成では、翼形状(主羽根22およびスプリッタ23の形状)を変更することなくキャビテーションの発生を抑制できるので、運転出力が適性に維持される利点がある。例えば、主羽根の負圧面側が局所的に肉盛りされる構成では、上記の回り込み流れが緩和されるものの水車ポンプの出口角(ポンプの入口角)が実質的に寝てしまう。このため、ポンプの最高効率点が低流量側にずれるという問題がある。また、水車運転時にて、ランナ出口の順旋回傾向が強まり、最大出力点などの過負荷運転の効率が低下するという問題がある。
また、この流体機械1では、隣り合う一対の主羽根22、22のうちスプリッタ23に対して負圧面を向けている主羽根22から他方の主羽根22までの距離Lとスプリッタ23までの距離L’とが0.40≦L’/L<0.50の関係を有する(図2参照)。かかる構成では、主羽根22、22とスプリッタ23との位置関係が適正化されるので、運転時におけるキャビテーションの発生が効果的に抑制される利点がある。例えば、L’/L<0.40では、主羽根22とスプリッタ23との間隔が狭いため運転出力が低下する。また、0.50≦L’/Lでは、キャビテーションの低減効果が十分に得られない(図3参照)。
[付加的事項]
また、この流体機械1では、主羽根22の外径端部(ランナ2の径方向に対して外側にある端部)がスプリッタ23の外径端部よりもランナ2の径方向内側にあることが好ましい(図2参照)。かかる構成では、運転時にて主羽根22の負荷が低減されるので、主羽根22とスプリッタ23との負荷配分が均等化される。これにより、結果的に主羽根22の負荷が低減されて、キャビテーションの発生が効果的に抑制される利点がある。
例えば、この実施例では、主羽根22の外径端部がカットされており、スプリッタ23の外径端部よりもランナ2の径方向内側に位置している(図2参照)。なお、主羽根22の翼長さは、スプリッタ23の翼長さよりも長い。また、各主羽根22同士の翼長さは、同一に設定されている。
また、この流体機械1では、スプリッタ23の延長線mとランナ2の外周円とのなす角βが主羽根22の延長線lとランナ2の外周円とのなす角αよりも大きい(β>α)ことが好ましい(図4参照)。すなわち、スプリッタ23のポンプ出口角(水車入口角)βと、主羽根22のポンプ出口角αとがβ>αの関係を有することが好ましい。かかる構成では、運転時にて主羽根22の負荷が低減されるので、主羽根22とスプリッタ23との負荷配分が均等化される。これにより、各翼22、23の負荷が低減されて、キャビテーションの発生が効果的に抑制される利点がある。
例えば、この実施例では、主羽根22の外径端部からスプリッタ23に引いた垂線の足を点Pとするときに、スプリッタ23のポンプ出口角βが点Pよりも外径端部側の領域にてβ>αの関係に設定されている(図4参照)。具体的には、外径端部から翼長の約20%の領域にて、スプリッタ23のポンプ入口角βがβ>αの関係に設定されている。これにより、キャビテーションの発生がより効果的に抑制されている。例えば、β>αの関係となる領域が大き過ぎると、翼端部にて水流の剥離が生じてキャビテーションの抑制効果が低下する。
また、この流体機械1では、主羽根22およびスプリッタ23の少なくとも一方のポンプ運転時における入口側端部が、翼厚さ方向の断面視にて異なる曲率半径r1、r2を有する複数の円弧から成る。このとき、翼22(23)の圧力面側に位置する円弧の曲率半径r1と負圧面側に位置する円弧の曲率半径r2とが、r1<r2の関係を有することが好ましい。すなわち、翼22(23)の入口側端部が負圧面側にて大きな曲率半径r2(>r1)を有することが好ましい。かかる構成では、低流量での運転時にて水流が負圧面側の翼面に沿って流れるため、静圧が適性に維持されてポンプ運転時のキャビテーションの発生が抑制される利点がある。
例えば、この実施例では、主羽根22およびスプリッタ23の双方の入口側端部が、翼厚さ方向の断面視にて2つの円弧によりそれぞれ構成されている。また、翼22(23)の圧力面側に位置する円弧の曲率半径r1と負圧面側に位置する円弧の曲率半径r2とが、r1<r2の関係を有している。また、これらの円弧よりも翼長さ方向内側の範囲では、翼厚tを膨らませる等の加工が施されていない。したがって、翼22(23)の加工範囲が少ないため、翼22(23)の加工が容易となっている。
また、例えば、ギャビテーション性能を確保するために翼22(23)のポンプ入口角を小さくした(寝かせた)構成では、ポートの径が縮小されるため、水車運転時の最大出力性能が悪化するおそれがある。そこで、この流体機械1では、主羽根22およびスプリッタ23の少なくとも一方の入口側端部における翼厚tが出口側端部における翼厚tよりも小さいことが好ましい(図5および図6参照)。すなわち、翼22(23)の入口側端部が薄い翼厚tを有する。かかる構成では、ポートの径が確保されるので、水車運転時の最大出力性能が適正に確保される利点がある。
例えば、この実施例では、主羽根22およびスプリッタ23の双方にて、ポンプ入口側端部からポート近傍の領域における翼厚tがポンプ出口側端部における翼厚tよりも小さく設定されている(図6の実施例参照)。具体的には、ポンプ入口側端部から点P(図4参照)までの領域にて、翼厚tの変化率がポンプ出口側端部よりも緩やかに設定されている。これにより、ポンプ入口側端部における翼厚tの薄型化が図られている。なお、図6の従来例では、ポンプ入口側端部における翼厚tの変化率とポンプ出口側端部における翼厚tの変化率とが略同一に設定されている。
以上のように、この発明にかかる流体機械は、キャビテーションの発生を効果的に抑制できる点で有用である。
この発明の実施例にかかる流体機械を示す構成図である。 図1に記載した流体機械のランナを示す平面図である。 図1に記載したランナの作用を示す説明図である。 図1に記載したランナの作用を示す説明図である。 図1に記載したランナの作用を示す説明図である。 図1に記載したランナの作用を示す説明図である。
符号の説明
1 流体機械
2 ランナ
21 ランナ本体
22 主羽根
23 スプリッタ
3 主軸
4 カバー
10 吸出管
11 ケーシング

Claims (6)

  1. 複数の主羽根と、前記主羽根よりも短い翼長を有する複数のスプリッタとが交互に配列されて成るランナを備える流体機械であって、
    隣り合う一対の前記主羽根の中間位置に基準線oを引くときに、前記スプリッタが基準線oよりも前記スプリッタに対して負圧面を向けている前記主羽根側に寄せられて配置されることを特徴とする流体機械。
  2. 隣り合う一対の前記主羽根のうち前記スプリッタに対して負圧面を向けている主羽根から他方の主羽根までの距離Lと前記スプリッタまでの距離L’とが0.40≦L’/L<0.50の関係を有する請求項1に記載の流体機械。
  3. 前記主羽根の外径端部が前記スプリッタの外径端部よりも前記ランナの径方向内側にある請求項1または2に記載の流体機械。
  4. 前記スプリッタの延長線と前記ランナの外周円とのなす角βが前記主羽根の延長線と前記ランナの外周円とのなす角αよりも大きい請求項1〜3のいずれか一つに記載の流体機械。
  5. 前記主羽根および前記スプリッタの少なくとも一方のポンプ運転時における入口側端部が翼厚さ方向の断面視にて異なる曲率半径r1、r2を有する複数の円弧から成るときに、翼の圧力面側に位置する前記円弧の曲率半径r1と翼の負圧面側に位置する前記円弧の曲率半径r2とがr1<r2の関係を有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の流体機械。
  6. 前記主羽根および前記スプリッタの少なくとも一方のポンプ運転時における入口側端部における翼厚が出口側端部における翼厚よりも小さい請求項1〜5のいずれか一つに記載の流体機械。
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