JP2009234952A - 枇杷種子由来エキス、およびその製造方法 - Google Patents
枇杷種子由来エキス、およびその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】抽出工程に先立って、枇杷種子を種子の形態のままで天日にて3日間以上天日干しする。かかる3日以上の天日干しにより、枇杷種子に含まれるアミグダリンをエムルシンにより分解することができる。つまり、3日間以上天日干しすることにより、アミグダリンの分解酵素であるエルムシンを失活させずに機能させることができるので、当該エムルシンによりアミグダリンをベンズアルデヒドとシアン化水素に分解させて、これらを揮発・除去することができる。エキス中に含まれるシアンの総量は、550ppm以上、2000ppm以下の範囲にあることが好適である。
【選択図】図1
Description
特許文献1ないし3は、本出願の発明者の一人である西岡豊氏によってなされたものであり、特許文献1では当該エキスを用いて細胞線維化を抑制する組成物を作製している。特許文献2では、当該エキスを用いて体液中の脂肪量を調整するための医薬組成物を作製している。特許文献3では、当該エキスを用いて健康飲食品を作製している。特許文献4では、当該エキスを用いて血糖値上昇抑制等組成物、健康食品、抗糖尿剤を作製している。
一方、アミグダリンには、遺伝子を傷つけるなど、発ガンのイニシエーターとなり得るハイドロキシラジカル(−OH)やスーパーオキサイド(O2 - )などの生体内ラジカルに対する消去能を備えることも知られている。このため、アミグダリン(シアン)を皆無とすることも、美容健康剤への応用に際して好適であるとは言えない。
本発明に係る枇杷種子由来エキスは、これを数十から数百倍に希釈してなる飲料水の形態で服用することができる。また、エキスを固化・粉砕して顆粒状として服用してもよい。
エキスをパウダー状として、化粧剤に含ませることもできる。
これに対して、乾燥機等を用いて高温(例えば100℃)で乾燥処理した場合には、エムルシンは失活し、良好な分解能が得られない。また、種子をスライスさせて急速に乾燥させた場合にも、エムルシンが分解能を発揮するために不可欠な水分が不足するため、好ましくない。
これに対して、乾燥効率を上げるために、60℃以上の温度で乾燥を行うと、急激な水分の減少により酵素エムルシンが失活あるいは機能しなくなるおそれがある。また、乾燥後、スライスされた種子を保存する際にも室温にて保存することが好ましく、保冷庫等の冷所による保存は不適である。
特に、70%エタノールを用いれば、有効成分の一つであるプロリンを、より多く抽出することができる。
(実施例1)
(1)天日干し、乾燥工程
枇杷の実を出荷した後の木で枇杷を回収し、手作業で種を外した。得られた枇杷種子に対して、水洗いおよび水切りし、種子形態のままで7日間天日干しを行った。天日干しを行わない夜間等においては、25℃以上に保たれた室内で保存した。次に、枇杷種子をスライスしたうえで、60℃の温度条件下で5時間乾燥させた。
乾燥工程を経た枇杷種子を、冷却機付きブレンダーで2〜3mm角に粉砕し、粉砕物(1kg)を70%エタノールに10日間浸漬させた。上清を分取し、エバポレータで80℃の温浴上で溶媒を飛ばして、約130gに濃縮させた。かかる濃縮液に水を加えて、総量を200mlとして、実施例1に係る枇杷種子由来エキスを得た。
天日干し工程において、天日干し時間を3日間とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る枇杷種子由来エキスを得た。
乾燥工程において、常温で2日間乾燥させた以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る枇杷種子由来エキスを得た。
天日干し工程において、表面付着の水分を乾燥させるため数時間天日干しを行い、その後、冷所にて2週間保存した以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る枇杷種子由来エキスを得た。
天日干し工程を省き、冷所にて4週間保存したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る枇杷種子由来エキスを得た。
天日干し工程において、表面付着の水分を乾燥させるため数時間天日干しを行い、その後、室温にて数日間保存した以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る枇杷種子由来エキスを得た。
その結果、比較例1ないし3(エキス中の総シアン量が2000ppmを超える)では、それぞれ一人のモニターが軟便・下痢症状を訴え、使用感も不快であったと回答した。これに対して、実施例1ないし3に係るエキス(総シアン量が2000ppm以下)を含む美容健康飲料水では、各3人のモニター全員が軟便等とならず、使用感も良好或いは普通であるとの回答を得た。
上述のように、実施例1ないし3に係る枇杷種子由来エキスは、人が口にしても軟便・下痢症状を引き起こすことはなかったが、その安全性をより明確にするため、ラットを用いた急性経口毒性試験を行った。なお、当該試験は、財団法人日本食品分析センターに委託した。
投与前に約17時間試験動物を絶食させた。体重を測定した後、試験群には試験液、対象群には注射用水をそれぞれ20ml/kgの投与容量で胃ゾンデを用いて強制単回経口投与した。
観察期間は14日間とし、投与日は頻回、翌日から1日1回の観察を行った。投与後7日及び14日に体重を測定し、t−検定により有意水準5%で群間の比較を行った。観察期間終了後に動物すべてを剖検した。
総シアン量が700ppmである枇杷種子由来エキスを約10倍に薄めて12ppmの総シアン量を有するエキスを作製し、当該エキスのラジカル消去能について測定した。まず、実験的ラジカルに対するラジカル消去能を確認することを目的として、比較的安定なフリーラジカルを有するDPPH(1、1−Diphenyl−2−picrylhydrazyl)に対して試験を行った。ここでは、DPPHのフリーラジカルが半分となるときのエキスの添加量を測定した。また、比較例として、優れたラジカル消去能を有するものとして知られているアスコルビン酸(ビタミンC)とエダラボンについても同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
枇杷種子由来エキスに含まれる成分は、枇杷種子を極性の異なる溶媒を用いて抽出することにより、その物性により振り分けられる。したがって、使用した溶媒により、エキス成分の種類および含有量は異なる。
Claims (5)
- エキス中に含まれるシアンの総量が、550ppm以上、2000ppm以下の範囲にあることを特徴とする枇杷種子由来エキス。
- エキス中に含まれるプロリンの総量が900ppm以上の範囲にある請求項1記載の枇杷種子由来エキス。
- 枇杷種子由来エキスを製造する方法であって、
採取した枇杷より果皮および果実を取り除き、得られた枇杷種子を洗浄処理する工程と、
洗浄処理後の枇杷種子を、当該種子の形態のままで天日にて3日間以上乾燥させる天日干し工程と、
天日干し後の枇杷種子を粉砕し、溶媒で抽出する抽出工程と、
減圧処理により溶媒を除去して濃縮液を得る工程とを含むことを特徴とする枇杷種子由来エキスの製造方法。 - 前記天日干し工程後、抽出工程に先立って、40〜60℃の温度条件下で5時間以上枇杷種子を乾燥させる乾燥工程を含む請求項3記載の枇杷種子由来エキスの製造方法。
- 前記抽出工程において、70%エタノールを溶媒として抽出処理を行う請求項3又は4記載の枇杷種子由来エキスの製造方法。
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