JP2009234830A - クロムフリー不定形耐火物、及び廃棄物溶融炉 - Google Patents

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秀征 安藤
Hideyuki Tsuda
秀行 津田
Junichi Hojo
純一 北條
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尚也 榎本
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Abstract

【課題】 構造的スポーリングが起こりにくいクロムフリー不定形耐火物を提供する。
【解決手段】 本発明のクロムフリー不定形耐火物は、粒径1mm以上の粗粒部を有するように粒度調整された耐火性粉体と、結合剤を含む添加剤とよりなるクロムフリー不定形耐火物において、粗粒部が、MgO及びZrOをMgO/ZrOの質量比=0.7〜1.3となる条件で合計70質量%以上含むように、マグネシア質原料及びジルコニア質原料、又はマグネシア‐ジルコニア質原料を含んで構成されてなることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、粒径1mm以上の粗粒部を有するように粒度調整された耐火性粉体と、結合剤を含む添加剤とよりなるクロムフリー不定形耐火物、及びこれを内張りに用いた廃棄物溶融炉に関する。
近年、都市ごみその他の廃棄物の発生量は増加の一途をたどっている。この対策として廃棄物溶融炉で廃棄物を溶融処理して減容化し、さらに安定物質として再利用することが行われている。
廃棄物溶融炉で生成されるスラグ(以下、廃棄物スラグという。)はアルカリを多く含んでいて侵食作用が強く、また廃棄物溶融炉では、一般の焼却炉よりも高い温度(例えば1300℃以上)で廃棄物を処理するため、内張りに使用される耐火物は極めて苛酷な環境に晒される。
従来、廃棄物溶融炉の内張りには、融点が高く、耐侵食性に優れた酸化クロム質原料を含む不定形耐火物が使用されていた。しかし、酸化クロム質原料を含む不定形耐火物は、使用後の廃却時に6価クロムの発生が危惧され、厳重な管理体制が求められる等の問題点を有する。そこで、現在は、酸化クロム質原料を含まなくても充分に耐用するクロムフリー不定形耐火物の開発が進められている。
クロムフリー不定形耐火物としては、例えば、酸化クロムに代えてジルコニア質原料を用いたものが知られている。以下、ジルコニア質原料を用いた耐火物について具体的に説明する。
特許文献1は、粒径44μm〜7mmに粒度調整されたジルコニア質原料を40質量%以上含むクロムフリー不定形耐火物を開示している。特許文献1は、ジルコニア質原料が廃棄物スラグに対する耐侵食性に優れると説明している。
特許文献2は、ジルコニア質原料5〜20質量%と、マグネシア質原料5〜20質量%とを含む粉体を焼結してなる耐火物を開示している(特許文献2の請求項1参照)。具体例では、ジルコニア質原料及びマグネシア質原料に、平均粒径50μmのものを用いている(特許文献2の段落0012参照)。
特許文献3は、ジルコニア質原料、マグネシア質原料、及びアルミナ質原料を主体とするクロムフリー不定形耐火物を開示している(特許文献3の請求項1参照)。具体例で使用するジルコニア質原料の殆どは粒径0.105mm未満であり(特許文献3の段落0035参照)、マグネシア質原料の殆どは粒径0.105mm未満である(特許文献3の段落0037参照)。
特開平7−293851号公報 特開2000−72536号公報 特開2000−327438号公報
特許文献1に開示されるジルコニア質のクロムフリー不定形耐火物は、ある程度の耐用寿命を達成するが、より長い耐用寿命を達成することができるクロムフリー不定形耐火物が望まれている。
クロムフリー不定形耐火物の耐用寿命を延ばすには、その損傷原因の大半を占める構造的スポーリングを防止することが重要であり、そのためには、クロムフリー不定形耐火物よりなる施工体(以下、単に施工体という。)のマトリクスに廃棄物スラグが浸透するのを防止することが必要である。
一般に、不定形耐火物は最密充填構造に近づくように粒度調整されるが、マトリクスを緻密化することには限界があり、マトリクスに空隙が残ることは避けられない。従って、粒度調整のみによってマトリクスへの廃棄物スラグの浸透を防止し、耐構造的スポーリング性を高めることには限界がある。
そこで、本願発明者らは、粒度構成以外の観点から耐構造的スポーリング性を高めるべく研究した結果、粒径1mm以上の粗粒部に、ZrOと組み合わせてMgOを含めた場合に、耐構造的スポーリング性を改善しうることを見出した。
これは、粗粒部のMgOが廃棄物スラグ中のAlと共にスピネルを生成し、これに伴う体積膨張によってマトリクスの組織が緻密化することによる。粗粒部のZrOは、廃棄物スラグ中のCaOを吸着し、廃棄物スラグ中のAl濃度を高めること等により、MgOとの組み合わせでスピネルの生成を促進する。
従来、特許文献2及び3に開示されるように、ジルコニア質原料とマグネシア質原料とを組み合わせたものは知られているが、両者を粗粒部において適切な比率で配合した例は知られていない。
特許文献2の発明は、マグネシア質原料とジルコニア質原料とを平均粒径50μmという細かい粒度域で使用しているため、マグネシア質原料からのMgOの溶出が過剰となり、却ってマトリクスの組織が疎になってしまい易い。MgOの溶出を適度に抑え、スピネル生成によるスラグ浸透防止効果をいかんなく発揮するためには、マグネシア質原料及びジルコニア質原料は粒径1mm以上の粗粒部に配合することが必要である。
特許文献3の発明は、粗粒部にマグネシア質原料及びジルコニア質原料を配合しているが、その合量が少なく、粗粒部の殆どがアルミナ質原料よりなるため、上記効果を得るのに充分なスピネルを生成できない。スピネル生成によるスラグ浸透防止効果をいかんなく発揮するためには、粗粒部の70質量%以上がMgO及びZrOで構成されることが必要である。
本発明の目的は、構造的スポーリングが起こりにくいクロムフリー不定形耐火物と、これを内張りに用いた廃棄物溶融炉とを提供することである。
本発明の一観点によれば、粒径1mm以上の粗粒部を有するように粒度調整された耐火性粉体と、結合剤を含む添加剤とよりなるクロムフリー不定形耐火物において、前記粗粒部が、MgO及びZrOをMgO/ZrOの質量比=0.7〜1.3となる条件で合計70質量%以上含むように、マグネシア質原料及びジルコニア質原料、又はマグネシア‐ジルコニア質原料を含んで構成されてなることを特徴とするクロムフリー不定形耐火物が提供される。
本発明の他の観点によれば、上記クロムフリー不定形耐火物を内張りに用いた廃棄物溶融炉も提供される。
本明細書において、例えばZrOのように化学式で表記したものは化学成分を表し、ジルコニア質原料のように「〜質原料」と表記したものは不可避的不純物を含有する可能性のある現実の耐火原料を表すものとする。また、本明細書において、数値範囲を表す「〜」の記号は、両端点を含む意味で用いるものとする。
マグネシア‐ジルコニア質原料のZrO組成の部分、又はジルコニア質原料(以下、ジルコニア部と総称する。)は、スラグに濡れ易い。このため、マトリクスに浸透したスラグは、ジルコニア部の周囲に留まりやすい。ジルコニア部はまた、スラグ中のCaOを吸着する性質をもつため、ジルコニア部の周囲には、CaOが減少した分だけAl濃度の高められたスラグが留まった状態が形成される。ジルコニア部を粗粒部に配合したことにより、ジルコニア部がAl濃度の高められたスラグを捕捉する効果がより確実なものとなる。
マグネシア‐ジルコニア質原料のMgO組成の部分、又はマグネシア質原料(以下、マグネシア部と総称する。)は、スラグ中のAlと共にスピネルを生成する。マグネシア部を粗粒部に配合したことにより、スピネル生成よりもマグネシア部からのMgOの溶出が過剰になるといった問題を回避できる。
施工体中にはマグネシア部とジルコニア部とが散在する。粗粒部がMgO及びZrOをMgO/ZrOの質量比が0.7〜1.3となる条件で合計70質量%以上含むような構成としたことにより、施工体中にジルコニア部とマグネシア部とが近接した部分が多く存在する。その部分には、Al濃度の高められたスラグが留まっているため、マグネシア部によるスピネルの生成が促進される。スピネル生成には体積膨張が伴うため、スピネルの周囲のマトリクスはスラグが浸透しにくい緻密な組織となる。このため、それ以上背面側へのスラグの浸透を防止でき、構造的スポーリングの発生を防止できる。
なお、ジルコニア部がスラグ中のCaOを吸着すると、スラグの粘性が高まるため、マトリクス中におけるスラグの移動速度が遅くなる。このことも、耐構造的スポーリング性の改善に貢献する。
実施形態の説明に先立ち、本発明の基礎をなす実験結果について説明する。
第1の基礎実験として、マグネシア質原料、ジルコニア質原料、アルミナ質原料、及び酸化クロム質原料の廃棄物スラグに対する濡れ性を調べた。具体的には、それらの各原料の焼結体よりなる4種類の基材(15mm角×5mm厚)上に廃棄物スラグのペレット(直径3mm×高さ3mmの円筒状)を載せた状態で、電気炉中で1400℃迄昇温し、昇温の過程で廃棄物スラグと基材との接触角を測定した。
表1に、本実験に用いた廃棄物スラグの成分構成を示す。
Figure 2009234830
図1は、本実験の結果を示すグラフである。横軸は、廃棄物スラグの温度を示し、縦軸は、接触角を示す。接触角が小さい程、廃棄物スラグに濡れ易いことを示す。この結果から、ジルコニア質原料が、上記4種の原料の中で最も廃棄物スラグに濡れ易いことが分かる。また、アルミナ質原料は、酸化クロム質原料と略同程度に、廃棄物スラグに濡れ難いことも分かる。
次に、第2の基礎実験として、ジルコニア質原料、マグネシア質原料、及びアルミナ質原料への、廃棄物スラグ中のCaOの移動のし易さを調べた。具体的には、上記各原料の焼結体よりなる3種類の基材(15mm角×5mm厚)上に廃棄物スラグのペレット(直径3mm×高さ3mmの円筒状)を載せたものを電気炉に挿入して加熱し、1400℃に1時間保持した後に取り出し、基材及び廃棄物スラグ中のCaO濃度を測定した。CaO濃度の測定には、エネルギー分散型X線元素分析装置(EDS)を用いた。また、廃棄物スラグには、表1に示したものを用いた。
図2は、本実験の結果を示すグラフである。横軸は、基材及び廃棄物スラグの厚さ方向の位置を示す。基材と廃棄物スラグとの境界の位置を0とし、横軸の負の領域は基材内部の厚さ方向の位置を示し、横軸の正の領域は廃棄物スラグ内部の厚さ方向の位置を示す。縦軸は各位置におけるCaO濃度を示す。
この結果から、基材中のCaO濃度は、基材がジルコニア質原料よりなる場合に最も高くなることが分かる。即ち、上記3種類の原料の中では、ジルコニア質原料が最も廃棄物スラグ中のCaOを吸着し易い性質をもつ。
以下、上記各実験結果を踏まえ、本発明の実施形態について説明する。
実施形態によるクロムフリー不定形耐火物は、耐火性粉体と、結合剤を含む添加剤とよりなる。
耐火性粉体は、粒径1mm以上の粗粒部、粒径75μm以上1mm未満の中粒部、及び粒径75μm未満の微粒部よりなる。耐火性粉体の粒度構成を最密充填構造に近づける等の観点から、耐火性粉体に占める粗粒部の割合は、自ずと40質量%以上、好ましくは45〜65質量%となる。
粗粒部は、MgO及びZrOをMgO/ZrOの質量比が0.7〜1.3、好ましくは0.8〜1.2となる条件で合計70質量%以上、好ましくは90質量%以上含むように、マグネシア質原料及びジルコニア質原料、マグネシア‐ジルコニア質原料、又はマグネシア質原料及びジルコニア質原料の少なくともいずれか一方とマグネシア‐ジルコニア質原料とよりなる。
マグネシア質原料としては、例えば焼成マグネシアや電融マグネシア等が挙げられる。マグネシア質原料のMgO純度は95質量%以上であることが好ましい。
ジルコニア質原料としては、例えば電融ジルコニアが挙げられる。ジルコニア質原料のZrO純度は95質量%以上であることが好ましい。
マグネシア‐ジルコニア質原料とは、一つの粒子内にMgO組成の部分と、ZrO組成の部分とを有するものをいい、その具体例としては、例えば電融マグネシア‐ジルコニアが挙げられる。マグネシア‐ジルコニア質原料は、MgOとZrOとを合計で95質量%以上含むものが好ましい。
中粒部は、Alを70質量%以上、好ましくは90質量%以上含むようにアルミナ質原料で構成される。アルミナ質原料としては、例えば仮焼アルミナ、焼結アルミナ、溶融アルミナ、ボーキサイト、ダイアスポア等が挙げられる。
微粒部は、粗粒部及び中粒部を構成する粗い粒子間の隙間を埋めるマトリクスとなるもので、中粒部と同様、Alを70質量%以上、好ましくは90質量%以上含むようにアルミナ質原料で構成される。
添加剤としては、結合剤の他にも、分散剤、硬化時間調整剤、及び爆裂防止剤等が挙げられる。結合剤としては、アルミナセメントが好ましい。分散剤としては、縮合リン酸塩、カルボン酸塩、及びスルホン酸塩等が挙げられる。硬化時間調整剤としては、消石灰等の硬化促進剤や、ホウ酸やシュウ酸等の硬化遅延剤が挙げられる。爆裂防止剤としては、金属粉や有機繊維が挙げられる。
クロムフリー不定形耐火物は、施工水を添加してから施工される。施工水の添加量は、耐火性粉体100質量%に対する外掛けで、例えば3〜10質量%であることが好ましい。
施工方法としては、例えば流し込み、湿式吹付け、乾式吹付け、ポンプ圧送、及びコテ塗り等が挙げられる。乾式又は湿式吹付け施工の場合には、被施工面からのだれ落ち防止のために、例えば、ケイ酸塩、アルミン酸塩、炭酸塩、硫酸塩等の急結剤が上記添加剤として使用される。
図3は、第1の具体例によるクロムフリー不定形耐火物の施工体の断面図である。粗粒部を構成するマグネシア質原料1及びジルコニア質原料2、並びに中粒部を構成するアルミナ質原料3の間を、微粒部よりなるマトリクス4が充填している。
既述のように、マトリクス4に微細な気孔が残ることは避けられない。このため、施工体の稼動面(表面)Aから背面側に向かって、マトリクス4中を廃棄物スラグが浸透することは避けられない。
いま、稼動面Aから破線Bで示す位置まで廃棄物スラグが浸透している状態を考える。ジルコニア質原料2は、図1を参照して説明したように、廃棄物スラグに濡れ易い性質をもつ。このため、マトリクス4内に浸透した廃棄物スラグは、ジルコニア質原料2の表面に留まりやすい。
ジルコニア質原料2を取り巻くマトリクス4は、その70質量%以上がAlよりなる。また、中粒部もアルミナ質原料3で構成されている。アルミナ質原料は、図1を参照して説明したように、廃棄物スラグに濡れ難い性質をもつ。ジルコニア質原料2を取り巻く部分を、廃棄物スラグに濡れ難いアルミナ質原料で構成したことにより、ジルコニア質原料2が廃棄物スラグを捕捉する効果を高めることができる。
ジルコニア質原料2はまた、図2を参照して説明したように、廃棄物スラグ中のCaOを吸着する性質をもつ。このため、ジルコニア質原料2の周囲には、CaOが減少した分だけAl濃度の高められた廃棄物スラグが留まった状態が形成される。
マグネシア質原料1は、稼動面A上の廃棄物スラグに対してだけでなく、マトリクス4に浸透した廃棄物スラグに対しても溶出し、廃棄物スラグ中のAlと共にスピネル5を形成する。スピネル5は、マグネシア質原料1の表面を覆うように層状に形成される。スピネル5の生成には体積膨張が伴うため、スピネル5の周囲のマトリクス4の組織が緻密となり、廃棄物スラグが浸透しにくくなる。
施工体の組織中に、マグネシア質原料1とジルコニア質原料2とが近接した部分(以下、近接部という。)6が存在する。この近接部6には、上述したように、Al濃度の高められた廃棄物スラグが留まっているため、スピネル5の生成が特に顕著となる。このため、近接部6では、それ以上背面側への廃棄物スラグの浸透を防止する効果が特に高い。
組織中に近接部6が多く存在するように構成すると、廃棄物スラグの浸透を防止する効果を高めることができる。本例では、粗粒部がマグネシア質原料1及びジルコニア質原料2だけで構成され、かつマグネシア質原料1及びジルコニア質原料2を、粗粒部におけるMgO/ZrOの質量比が0.7〜1.3となるようにほぼ均等に配合したので、施工体中における近接部6の存在割合が高くなる。
即ち、粗粒部におけるMgO/ZrO質量比が0.7未満であると、マグネシア質原料1が少なすぎるため、近接部6の存在割合が小さくなる。また、スピネル5の生成量も少なくなって、耐構造的スポーリング性を改善する効果を得ることができない。粗粒部におけるMgO/ZrO質量比が1.3を超えると、ジルコニア質原料2が少なすぎるため、近接部6の存在割合が小さくなる。また、ジルコニア質原料2による効果が不充分となる。
以上のように、本例のクロムフリー不定形耐火物は、廃棄物スラグ中のAlを有効に利用してマトリクス4中にスピネル5を生成し、これにより、構造的スポーリングの発生を防止するものである。
なお、ジルコニア質原料2が廃棄物スラグ中のCaOを吸着すると、廃棄物スラグの粘性が高まるため、マトリクス4内における廃棄物スラグの移動速度が遅くなる。このことも、廃棄物スラグ浸透防止による耐構造的スポーリング性の改善に貢献する。
マグネシア質原料1を粗粒部に配合したことにより、廃棄物スラグへの溶出が過剰となることに起因して却って本耐火物の耐用寿命が短くなることを回避できる。ジルコニア質原料2を粗粒部に配合したことにより、廃棄物スラグをAl濃度を高め、かつ粘性を高めた状態で留める効果を高めることができる。これらの効果を高めるためには、粗粒部は、粒径3mm以上5mm未満のもの60〜80質量%と、粒径1mm以上3mm未満のもの20〜40質量%とよりなることが好ましい。
図4は、第2の具体例によるクロムフリー不定形耐火物の施工体の断面図である。粗粒部を、電融マグネシア‐ジルコニア10で構成した以外は、図3に示した第1の具体例と同じである。
電融マグネシア‐ジルコニア10は、マグネシア粉とジルコニア粉とを電融してなるもので、一つの粒子内にMgO組成の部分11と、ZrO組成の部分12とを有し、両者が粒界によって画定されてなる。
電融マグネシア‐ジルコニア10におけるMgO組成の部分11を覆うようにスピネル5が生成される。ある電融マグネシア‐ジルコニア粒子10のMgO組成の部分11と、他の電融マグネシア‐ジルコニア粒子10のZrO組成の部分12とが近接して配置された部分で、特にスピネル5の生成が顕著となり、図3の例と同様、耐構造的スポーリング性を改善する効果を得ることができる。
また、一つの電融マグネシア‐ジルコニア粒子10の、MgO組成の部分11とZrO組成の部分12との境界部分においても、スピネル5の生成が顕著となる。従って、図3の例に比べると、スピネル5が多く生成され、より優れた耐構造的スポーリング性を達成しうる。
表2に、実施例及び比較例によるクロムフリー不定形耐火物の配合と評価結果を示す。
表2で、粗粒部の電融マグネシアには、MgO純度約98質量%のものを用いた。粗粒部の電融ジルコニアには、ZrO純度約97質量%のものを用いた。電融マグネシア‐ジルコニアには、MgO/ZrOの質量比が約1で、MgO及びZrOを合計で約97質量%含有するものを用いた。いずれの例も、施工水の添加量は、耐火性粉体100質量%に対する外掛けで4質量%とした。
表2のスラグ浸透深さ指数は、次の要領で求めた。各例のクロムフリー不定形耐火物に施工水を加えて鋳込み成形し、養生及び乾燥させたものを試験片とする。試験片を回転侵食試験装置で一定時間侵食させる。侵食剤には、表1の廃棄物スラグを用いる。侵食試験の後、試験片における廃棄物スラグの最大浸透深さと、その最大浸透深さを測定した位置における溶損量との合計を測定する。各試験片についてのその測定値を、実施例4の測定値で割って100倍した値が、スラグ浸透深さ指数である。
スラグ浸透深さ指数は、その値が小さい程、耐構造的スポーリング性に優れることを意味する。
Figure 2009234830
実施例1〜7は、いずれも本発明の規定を満たしており、小さなスラグ浸透深さ指数を達成することができた。
実施例2及び3は、実施例1をベースとして、粗粒部におけるMgO/ZrOの質量比を変更したもので、実施例2が、実施例1及び3よりも小さなスラグ浸透深さ指数を達成していることから、粗粒部におけるMgO/ZrOの質量比は1に近い程好ましいと考えられる。これは、粗粒部にマグネシア質原料とジルコニア質原料とが均等に存在する程、図3の近接部6の存在割合が高くなることによると考えられる。
実施例6は、実施例4をベースとして、粗粒部における電融マグネシア及び電融ジルコニアを電融マグネシア-ジルコニアに置き換えたもので、実施例6が実施例4よりも小さなスラグ浸透深さ指数を達成していることから、電融マグネシア及び電融ジルコニアの組み合わせよりも、電融マグネシア-ジルコニアの方が好ましいと考えられる。
比較例1は、粗粒部にマグネシア質原料を含まないため、マグネシア質原料によるスピネル生成の効果が得られず、スラグ浸透深さ指数が著しく大きい。
比較例2は、粗粒部におけるMgO/ZrOの質量比が0.3と小さすぎるため、マグネシア質原料によるスピネル生成の効果が殆ど得られず、スラグ浸透深さ指数が大きい。
比較例3は、粗粒部にジルコニア質原料を含まないため、ジルコニア質原料による効果、即ち、マグネシア質原料によるスピネル生成を促進する効果と、スラグの粘性を高める効果とが得られず、スラグ浸透深さ指数が大きい。
比較例4は、粗粒部におけるMgO/ZrOの質量比が3.9と大きすぎるため、ジルコニア質原料による上記効果が殆ど得られず、スラグ浸透深さ指数が大きい。
比較例5は、粗粒部に占めるMgO及びZrOの合量が50質量%と少ないため、電融マグネシア及び電融ジルコニアによる耐構造的スポーリング性向上の効果が充分に得られず、スラグ浸透深さ指数が大きい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、種々の設計変更及び改良が可能なことは当業者に自明であろう。
本発明のクロムフリー不定形耐火物は、ガス化溶融炉や灰溶融炉といった廃棄物溶融炉の内張りに特に好ましく利用される。また、本発明のクロムフリー不定形耐火物は、廃棄物溶融炉以外にも、Alを含んだスラグと接触する部位に広く利用されうる。
各種原料に対する廃棄物スラグの接触角の温度変化を示すグラフである。 各種原料中のCaO濃度を示すグラフである。 第1の具体例によるクロムフリー不定形耐火物の施工体の断面図である。 第2の具体例によるクロムフリー不定形耐火物の施工体の断面図である。
符号の説明
1…マグネシア質原料(マグネシア部)、2…ジルコニア質原料(ジルコニア部)、3…アルミナ質原料、4…マトリクス、5…スピネル、6…近接部、10…電融マグネシア‐ジルコニア、11…電融マグネシア‐ジルコニアのMgO組成の部分(マグネシア部)、12…電融マグネシア‐ジルコニアのZrO組成の部分(ジルコニア部)。

Claims (4)

  1. 粒径1mm以上の粗粒部を有するように粒度調整された耐火性粉体と、結合剤を含む添加剤とよりなるクロムフリー不定形耐火物において、前記粗粒部が、MgO及びZrOをMgO/ZrOの質量比=0.7〜1.3となる条件で合計70質量%以上含むように、マグネシア質原料及びジルコニア質原料、又はマグネシア‐ジルコニア質原料を含んで構成されてなることを特徴とするクロムフリー不定形耐火物。
  2. 前記粗粒部が、マグネシア‐ジルコニア質原料よりなる請求項1に記載のクロムフリー不定形耐火物。
  3. 前記耐火性粉体が、粒径75μm未満の微粒部を有し、該微粒部がAlを70質量%以上含む請求項1又は2に記載のクロムフリー不定形耐火物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のクロムフリー不定形耐火物を内張りに用いた廃棄物溶融炉。
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