JP2009233875A - 平版印刷原版 - Google Patents

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安通史 久保
Toshiki Okui
俊樹 奥井
Toshiaki Taneichi
順昭 種市
Takashi Komine
孝 小峰
Shunsuke Nishimoto
俊介 西本
Kazuya Nakata
一弥 中田
Taketoshi Murakami
武利 村上
Akira Fujishima
昭 藤嶋
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Abstract

【課題】光触媒の作用により親水・撥水パターンを形成可能な平版印刷原版であって、親水性部分と撥水性部分とが十分なコントラストを有し、非画線部に印刷インキの付着する地汚れを抑える平版印刷原版を提供する。
【解決手段】基材上に、光触媒含有層と、撥水性薄膜層と、を順次積層した平版印刷原版であって、前記光触媒含有層は、100cmあたり0.5mg以上5.0mg以下の酸化チタンを含有する平版印刷原版である。これによれば、活性線を照射して、撥水性薄膜層を選択的に除去すると共に当該部分を親水化することにより、撥水性部分と親水性部分とが、十分なコントラストを有し、非画線部の印刷インキの付着する地汚れを抑えることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷原版に関する。
平版印刷とは版の撥水性を利用した印刷方式で、オフセット印刷等において現在広く採用されている。平版印刷においては、アルミニウム板等の基板に撥水性の感光剤等を塗布して平版印刷原版を作製し、これに活性線を選択的に照射することによって、親水性部分と撥水性部分とを有する平版印刷版を製造する。そして、撥水性部分に付着させたインキを被印刷物に転写することによって、被印刷物の印刷を行っている。
このように、平版印刷版の製造にあたっては、基板上に親水・撥水パターンが形成されるが、近年、このような親水・撥水パターンの形成に酸化チタンの有する超親水性や光触媒活性を利用した技術が提案されている。例えば、特許文献1には、基材の表面に酸化チタン光触媒を含むコート層を、直接又は中間層を介して形成した印刷用版材が開示されている。引用文献1に記載の印刷用版材に活性線を選択的に照射した場合、活性線が照射された部位を撥水性から親水性へと変換することができるので、撥水性部分を画線部、親水性部分を非画線部とした印刷版として利用することができるとされる。
特開2000−062334号公報
しかしながら、特許文献1に記載の印刷版材においては、活性線を照射することにより形成される親水性部分と、活性線を照射しない撥水性部分とのコントラストが十分ではない。このため、この印刷版材を用いたとしても、例えば、十分な解像度を有する画像を印刷可能な印刷版を製造することはできず、工業的な利用に適さないものであった。また、非画線部に印刷インキの付着する地汚れが発生する場合があり、良好な印刷結果を得ることが出来なかった。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、光触媒の作用により親水・撥水パターンを形成可能な平版印刷原版であって、親水性部分と撥水性部分とが十分なコントラストを有し、非画線部に印刷インキの付着する地汚れを抑える平版印刷原版を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を行った。その結果、基材上に、光触媒含有層と、撥水性薄膜層と、を順次積層し、光触媒含有層の酸化チタン含有量を所定の範囲とすることで、親水性部分と撥水性部分とが十分なコントラストを有し、非画線部に印刷インキの付着する地汚れを抑える平版印刷版を形成可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明は、基材上に、光触媒含有層と、撥水性薄膜層と、を順次積層した平版印刷原版であって、
前記光触媒含有層は、100cmあたり0.5mg以上5.0mg以下の酸化チタンを含有する平版印刷原版である。
本発明によれば、光触媒含有層の上層に撥水性薄膜層を形成し、光触媒含有層に、所定の範囲の酸化チタンを含有するので、活性線を照射して、撥水性薄膜層を選択的に除去すると共に当該部分を親水化することにより、撥水性部分と親水性部分とが、十分なコントラストを有し、非画線部に印刷インキの付着する地汚れを抑えるように形成された平版印刷版を製造することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<平版印刷原版>
本発明の平版印刷原版は、基材上に、光触媒含有層と、撥水性薄膜層と、を順次積層されてなるものであり、前記光触媒含有層は、100cmあたり0.5mg以上5.0mg以下の酸化チタンを含有する。
[基材]
本発明の平版印刷原版に用いることができる基材としては、特に限定されるものではなく、平版印刷版に必要とされる物理的・機械的強度を有する従来公知の材料を用いることができる。具体的には、アルミニウム板、ステンレス板、ニッケル板、及び銅板等の金属板;二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、及び酪酸酢酸セルロース等のセルロース誘導体;並びにポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、及びポリアセタール等のプラスティックフィルムを用いることができる。これらの中でも、特にアルミニウム板を用いることが好ましい。
本発明の平版印刷原版においては、基材と、後述する光触媒含有層との密着性を高めるため、必要に応じて基材に機械的処理及び/又は化学的処理を施すことが好ましい。例えば、基材としてアルミニウム板を用いる場合には、アルカリ水溶液による脱脂処理の後、機械的又は電気化学的な手法により粗面化し、粗面化した表面を、硫酸、塩酸、シュウ酸、及びクロム酸、並びにこれらの混酸等を用いて陽極酸化処理することが好ましい。
基材の厚みは、特に限定されるものではないが、平版印刷原版から製造される平版印刷版を版胴に巻き付けて使用する場合には、50μm以上600μm以下であることが好ましい。
[光触媒含有層]
本発明の平版印刷原版においては、基材上に光触媒含有層を形成する。光触媒含有層は、基材上に直接形成してもよいが、基材上にシリカ、シリコーン樹脂、及びシリコーンゴム等のシリコン系化合物等からなる中間層を塗布することにより、基材への光触媒含有層の密着性を向上させてもよい。
(光触媒粒子)
光触媒含有層は、酸化チタンを光触媒粒子として含有する。酸化チタン粒子は、アナターゼ型結晶形及びルチル型結晶形のいずれの酸化チタン粒子を用いてもよいが、光触媒能の高いアナターゼ型結晶形の酸化チタン粒子を用いることが好ましい。また、光触媒粒子は、触媒反応における反応物質との接触面積を増大させるという観点から、小径の粒子を用いることが好ましい。具体的な粒子径としては、平均一次粒子径が1nmから10nmである。また、複数の一次粒子によって構成される酸化チタン粒子の具体的な平均二次粒子径としては、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることが更に好ましい。
光触媒含有層における光触媒粒子である酸化チタンの含有量は、100cmあたり0.5mg以上5.0mg以下であることが好ましく、1.2mg以上2.0mg以下であることがより好ましい。0.5mg以上であることにより、触媒反応を十分に進行させることができ、平版印刷版が有する親水・撥水パターンを効率的に形成させることができる。また、5.0mg以下であることにより、非画線部の印刷インキの付着する地汚れを抑えることができる。なお、基板の単位面積あたりの酸化チタンの含有量は、たとえば塗布乾燥前後の質量差より決定することができる。
(その他の成分)
光触媒含有層は、光触媒含有層の撥水性から親水性への変換特性を改良するため、或いは光触媒層と基材との密着性を向上させるためその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、具体的には、シリカ、シリカゾル、オルガノシラン、及びシリコン樹脂等のシリカ系化合物;酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウム等の金属酸化物;並びにフッ素樹脂を挙げることができる。
(光触媒含有層形成用組成物)
光触媒含有層を形成するに当たっては、光触媒含有層の構成材料を、水、及びイソプロピルアルコール等の有機溶剤等に分散させた光触媒含有層形成用組成物を用いることが好ましい。光触媒含有層形成用組成物の固形分濃度としては、特に限定されるものではないが、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。固形分濃度が0.1質量%以上であることにより、十分な膜厚の光触媒含有層を形成することができる。固形分濃度が20質量%以下であることにより、光触媒含有層形成用組成物の塗布性が低下することがない。上記固形分濃度は0.5質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。
(光触媒含有層の膜厚)
光触媒含有層の膜厚としては、特に限定されるものではないが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。光触媒含有層の膜厚が0.1μm以上であることにより、光触媒含有層における触媒反応を進行させるための特性を高めることができ、10μm以下であることにより、クラック等を生じることがない。上記膜厚は、1μm以上5μm以下であることが更に好ましい。
[撥水性薄膜層]
本発明の平版印刷原版は、光触媒含有層の上層に形成された撥水性薄膜層を有する。撥水性薄膜層としては、疎水性を有する膜成分により構成される薄膜であれば特に限定されるものではなく、吸着膜、堆積膜、及び自己組織化単分子膜等、平版印刷版の使用態様に応じて適宜選択することができる。しかしながら、後述する平版印刷版の製造方法において、光触媒含有層と酸素分子との接触可能性を担保する点、撥水性部分における撥水性薄膜層の撥水性を向上させる点から、撥水性薄膜層として疎水性基を有する化合物により形成される自己組織化単分子膜を採用することが好ましい。
疎水性基を有する化合物により形成される自己組織化単分子膜を形成する場合において、疎水性基を有する化合物と光触媒含有層を構成する光触媒粒子との結合様式は特に限定されるものではなく、共有結合、配位結合、水素結合、及びファンデルワールス結合を挙げることができる。しかしながら、経時的に安定な自己組織化単分子膜を形成するという観点からは、疎水性基を有する化合物と光触媒含有層を構成する光触媒粒子との結合様式が共有結合であることが好ましい。
疎水性基を有する化合物としては、疎水性基と、光触媒含有層を構成する光触媒粒子への結合部位とを有する化合物であれば、特に限定されるものではない。しかしながら、後述する平版印刷版の製造方法において、光触媒含有層に含有される光触媒の作用により容易に分解除去される化合物であるという観点、及び光触媒含有層を構成する光触媒粒子との結合性の観点から、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2009233875
[上記一般式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されていてもよい、炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、nは1以上3以下の整数である。]
ここで、Xの具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、及びt−ブトキシ基等のアルコキシ基;ビニロキシ基及び2−プロペノキシ基等のアルケノキシ基;フェノキシ基及びアセトキシ基等のアシロキシ基;ブタノキシム基等のオキシム基;並びにアミノ基等を挙げることができる。これらの中で炭素数1以上5以下のアルコキシ基が好ましく、特に加水分解、縮合時の制御のし易さから、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、及びブトキシ基が好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物において、隣接して存在する当該化合物のケイ素原子がシロキサン結合を形成することにより、撥水性薄膜層の安定性をより向上させるという観点から、nは1又は2であることが好ましく、1であることが更に好ましい。
一般式(1)又は(2)で表される化合物の具体例としては、オクタデシルトリメトキシシラン及びオクタデシルホスホン酸を挙げることができる。これらの中でも、オクタデシルホスホン酸を用いることが好ましい。
撥水性薄膜層の膜厚は、撥水性を十分に発揮することができる範囲のものであれば、特に限定されるものではないが、自己組織化単分子膜が有する膜厚以上であって、0.01μm以下であることが好ましい。撥水性薄膜層の膜厚が0.01μm以下であることにより、後述する平版印刷版の製造方法において、光触媒含有層上に形成された撥水性薄膜を容易に分解・除去することができる。上記膜厚の上限値は、0.003μmであることが更に好ましい。
<平版印刷版の製造方法>
本発明の平版印刷版の製造方法は、本発明の平版印刷原版に活性線を選択的に照射するものである。
[平版印刷原版の製造方法]
平版印刷版の製造法において製造される平版印刷原版は、基材上に光触媒含有層を形成する工程と、光触媒含有層の上層に撥水性薄膜層を形成する工程と、を経ることにより製造される。
基材上に光触媒含有層を形成する工程においては、基板上に上述した光触媒含有層形成用組成物を塗布し、乾燥させることにより、光触媒含有層を形成する。光触媒含有層形成用組成物を塗布するための方法としては、特に限定されるものではなく、浸漬法及びスプレー法等を挙げることができる。
光触媒含有層の上層に撥水性薄膜層を形成する工程において、撥水性薄膜層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いて自己組織化単分子膜を形成する場合には、塗布法や蒸着法等を用いることができる。
[平版印刷原版への活性線の照射]
平版印刷版の製造にあたっては、露光装置を用い、所定のパターンを有するネガマスクを介して、平版印刷原版に活性線を選択的に照射する。活性線を照射された部位においては、光触媒含有層が有する光触媒活性により、紫外線を照射された部位の上層に形成された撥水性薄膜層が選択的に除去される。また、紫外線が照射されることにより、光触媒含有層に含有される光触媒が疎水性から超親水性に変換される。一方、紫外線が照射されない部位においては、撥水性薄膜層が残存して当該部位が撥水性を示すため、紫外線が照射された部位を親水性部分とし、紫外線が照射されなかった部位を撥水性部分とする、高いコントラストを有する親水・撥水パターンが形成される。なお、ネガマスクの方法として、例えばインクジェット方式で遮光インクにより遮光パターンを形成する方法があげられ、CTP等のディジタル化に対応することができる。
光触媒含有層に照射する活性線の波長は、387nm以下であることが好ましい。また、活性線の照射量及び照射時間は、撥水性薄膜層の膜厚にも依存するが、1mW/cm以上10mW/cm以下の照射量で、5分以上1時間以下照射することが好ましい。
以上のようにして製造される本発明の平版印刷版は、十分なコントラストを有する親水・撥水パターンを有するので、高いコントラストを有する画像を被印刷物に印刷することができる。
<平版印刷原版の再生方法>
本発明の平版印刷原版の再生方法は、平版印刷原版から平版印刷版を製造した後、平版印刷版上の親水・撥水パターンを消失させて、再度、平版印刷原版を製造するものである。これにより、一旦、平版印刷に使用した平版印刷版を利用して再度、新たな平版印刷版を製造することができる。
具体的な平版印刷原版の再生方法は、本発明の平版印刷版の製造方法により製造される平版印刷版に活性線を全面照射する工程と、活性線を全面照射された平版印刷版の表面に撥水性薄膜層を積層する工程と、を有する。
平版印刷版に活性線を全面照射する工程においては、露光装置を用い、387nm以下の紫外線を平版印刷版に照射する。活性線の照射量及び照射時間は、平版印刷版を製造する際に採用した照射量及び照射時間と同等のものとすることが好ましい。このようにして、平版印刷版に活性線を全面照射することにより、光触媒含有層に含有される光触媒の触媒活性により撥水性薄膜層が除去され、平版印刷版における親水・撥水パターンが消失する。
活性線を全面照射された平版印刷版の表面に撥水性薄膜層を積層する工程において、撥水性薄膜層を形成する手法としては、平版印刷原版を製造する際に採用した手法をそのまま採用することができる。これにより、光触媒含有層の上層に撥水性薄膜層が形成され、平版印刷原版が再生される。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
[光触媒含有層形成用組成物の調製]
アナターゼ型結晶形であり、平均一次粒子径が6nmである「TDK−701」(商品名、テイカ社製)の酸化チタンゾルをイソプロピルアルコールで2質量%に希釈して光触媒含有層形成用組成物を調製した。
[基板の調製]
ナイロンブラシを用いて表面研磨した厚さ0.3mmのアルミニウム板を、10質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して表面をエッチングして水洗した。その後、アルミニウム板を陽極酸化し、酸化アルミニウムで表面が被覆されたアルミニウム板を得た。
[平版印刷原版の製造]
このようにして得られたアルミニウム板に上記光触媒含有層形成用組成物を塗布し、100cmあたり約1.2mgの酸化チタンを含有した、膜厚0.2μmの光触媒含有層を形成した。光触媒含有層を形成したアルミニウム基板を、イソプロピルアルコールで濃度0.5mmol/lに調整されたオクタデシルホスホン酸溶液中で5日間処理することにより膜厚0.002μmの撥水性薄膜を形成した。
[平版印刷版の製造]
インクジェット吐出機を用いて、平版印刷原版の表面にマスクパターンを形成し、乾燥処理した。これに、短波長のUV−Cを10mW/cmで5分間照射して露光処理を行い、マスクが無い部分の撥水性薄膜層が選択的に分解除去された平版印刷版を得た。なお、インクジェット吐出機で用いたインキは紫外線を遮光する水溶性染料からなるもので、インクジェット吐出機用に特別に調製したものを用いた。
上記平版印刷版を用いて、これをそのままオフセット印刷機にかけたところ、湿し水によりインクジェット吐出機でパターニングされたインキが洗い流され、地汚れがなく非常に高い解像度の印刷をすることができた。数枚の損紙を印刷する間にインクジェット吐出機で用いたインキはきれいに洗い流され、50μmの白抜き線も明確に印刷することができた。
[平版印刷原版の再生]
次いで、平版印刷版に付着したインクを、プレートクリーナー(商品名「TC−2」、東京インキ社製)を用いて除去し、UV−Cを10mW/cmで1時間照射して撥水性薄膜層及びクリーナーで除去し切れなかったインキを光触媒酸化分解によって除去した。ここに、撥水性薄膜層を再度形成し、平版印刷版の製造の際に採用した方法と同様の方法を用いて、初回の露光と異なるパターンで紫外線を照射し、得られた平版印刷版を用いて再度印刷を行った。その結果、初回の印刷と同様に、地汚れが無く90LPI(Line Per Inch)の解像度の高い良好な画像を得ることができた。
<実施例2>
実施例1と同じ「TDK−701」(商品名、テイカ社製)の酸化チタンゾルをイソプロピルアルコールで5質量%に希釈して光触媒含有層形成用組成物を調製した。実施例1と同様の方法で、100cmあたり約2mgの酸化チタンを含有した、膜厚0.2μmの光触媒含有層を形成した。光触媒含有層を形成したアルミニウム基板を、イソプロピルアルコールで濃度0.5mmol/lに調整されたオクタデシルホスホン酸溶液中で5日間処理することにより膜厚0.002μmの撥水性薄膜を形成し、平版印刷原版を製造した。
上記平版印刷版にインクを付着させ、実施例1と同様の方法によりオフセット印刷機にて印刷した。その結果、実施例1と同様に地汚れが無く解像度の高い画像を得ることができ、50μmの白抜き線も明確に印刷することができた。
また、実施例1と同様に平版印刷原版の再生を行い、平版印刷版を再度製造して印刷を行った。その結果、初回の印刷と同様に、地汚れが無く解像度の高い良好な画像を得ることができた。
<比較例1>
実施例1と同じ「TDK−701」(商品名、テイカ社製)の酸化チタンゾルをイソプロピルアルコールで0.2質量%に希釈して光触媒含有層形成用組成物を調製した。実施例1と同様の方法で、100cmあたり約0.4mgの酸化チタンを含有した、膜厚0.2μmの光触媒含有層を形成した。光触媒含有層を形成したアルミニウム基板を、イソプロピルアルコールで濃度0.5mmol/lに調整されたオクタデシルホスホン酸溶液中で5日間処理することにより膜厚0.002μmの撥水性薄膜を形成し、平版印刷原版を製造した。
以上のように形成された平版印刷版にインクを付着させて印刷を試みたが、地汚れはないものの、親水・撥水パターンにおけるコントラストが十分ではなく、50μmの白抜き線がインキつまりによって文字がつぶれてしまい、良好な印刷結果を得ることができなかった。
<比較例2>
実施例1と同じ「TDK−701」(商品名、テイカ社製)の酸化チタンゾルをイソプロピルアルコールで15質量%に希釈して光触媒含有層形成用組成物を調製した。実施例1と同様の方法で、100cmあたり約6mgの酸化チタンを含有した、膜厚0.2μmの光触媒含有層を形成した。光触媒含有層を形成したアルミニウム基板を、イソプロピルアルコールで濃度0.5mmol/lに調整されたオクタデシルホスホン酸溶液中で5日間処理することにより膜厚0.002μmの撥水性薄膜を形成し、平版印刷原版を製造した。
以上のように形成された平版印刷版にインクを付着させて印刷を試みたが、解像度は良いものの、非画線部にインキが付着する地汚れが発生し、良好な印刷結果を得ることができなかった。

Claims (4)

  1. 基材上に、光触媒含有層と、撥水性薄膜層と、を順次積層した平版印刷原版であって、
    前記光触媒含有層は、100cmあたり0.5mg以上5.0mg以下の酸化チタンを含有する平版印刷原版。
  2. 前記撥水性薄膜層が、疎水性基を有する化合物により形成される自己組織化単分子膜である請求項1に記載の平版印刷原版。
  3. 前記疎水性基を有する化合物が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物である請求項2に記載の平版印刷原版。
    Figure 2009233875
    [上記一般式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されていてもよい、炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、nは1以上3以下の整数である。]
  4. 前記酸化チタンはアナターゼ型結晶形であり、平均一次粒子径が1nmから10nmである請求項1から3のいずれかに記載の平版印刷原版。
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